特許第6097761号(P6097761)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097761家畜廃水の処理用プロセス、装置およびシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097761
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】家畜廃水の処理用プロセス、装置およびシステム
(51)【国際特許分類】
   C02F 11/02 20060101AFI20170306BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20170306BHJP
   B09B 3/00 20060101ALI20170306BHJP
   C05F 7/00 20060101ALI20170306BHJP
   C05F 17/00 20060101ALI20170306BHJP
   C05F 3/00 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C02F11/02ZAB
   C02F11/04 Z
   B09B3/00 A
   C05F7/00 301E
   C05F17/00
   C05F3/00
【請求項の数】22
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-545046(P2014-545046)
(86)(22)【出願日】2012年12月10日
(65)【公表番号】特表2015-505722(P2015-505722A)
(43)【公表日】2015年2月26日
(86)【国際出願番号】AU2012001508
(87)【国際公開番号】WO2013086561
(87)【国際公開日】20130620
【審査請求日】2015年12月10日
(31)【優先権主張番号】2011905167
(32)【優先日】2011年12月12日
(33)【優先権主張国】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】514145545
【氏名又は名称】ナン,ギャリー ロバート
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ナン,ギャリー ロバート
【審査官】 富永 正史
(56)【参考文献】
【文献】 特表2002−503197(JP,A)
【文献】 特開2000−263092(JP,A)
【文献】 特開2001−010886(JP,A)
【文献】 特開平10−265286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C02F 11/00−11/20
B09B 3/00
C05F 3/00
C05F 7/00
C05F 17/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家畜廃水処理プロセスであって、
a)少なくとも部分的に好気性消化が生ずる条件下に前記家畜廃水をさらすステップ、
b)前記固相中の微生物活性のピークで形成されるアンモニア、糖類およびサッカライドレベルを維持するために、前記部分的微生物好気性消化固形物を、嫌気性条件下で保持するステップ、
c)ステップb)で生成された半コンポスト化堆肥を密封するステップ、
d)ステップa)〜c)で生成された固形消化残渣を水性媒体中に分散させるステップ、
e)可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムの存在下で、ステップd)の前記水性分散液に通気するステップ;および
f)前記通気水性分散液由来の液体から固形物を分離するステップ
を含む、プロセス。
【請求項2】
前記ステップc)が、さらに具体的に懸濁液中に固形分を保持することを含む、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記家畜廃水を嫌気性条件にさらす前に、前記家畜廃水をセルロース系材料と混合する、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記家畜廃水を、40:60〜60:40の重量比(%w/w)の家畜廃水:セルロース系材料比率で前記セルロース系材料と混合する、請求項3に記載のプロセス。
【請求項5】

前記混合物の水分含量が、0〜70%w/wの範囲である、請求項3または4に記載のプロセス。
【請求項6】
前記家畜廃水を少なくとも部分的な前記家畜廃水好気性消化が生ずる条件下にさらすことが、家畜廃水とセルロース系材料の前記混合物を、酸素または酸素リッチ雰囲気の存在下で1週間〜2ヶ月間、貯蔵することを含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項7】
前記混合物が、前記条件下で60℃〜85℃の範囲の温度に達する、請求項3〜6のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項8】
前記プロセスが、前記セルロース系材料を界面活性剤で処理することを含む、請求項3〜7のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項9】
前記セルロース系材料が、セルロース系材料1メートルトン当たり0.5〜5リットル界面活性剤の量で前記界面活性剤と混合される、前記プロセス請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
セルロース系材料と界面活性剤の前記混合物が、前記セルロース系材料と前記家畜廃水の混合の前に形成される、請求項8または9に記載のプロセス。
【請求項11】
前記セルロース系材料と界面活性剤の混合物が、前記処理セルロース系材料と前記家畜廃水との混合の前に、少なくとも1ヶ月間、好気性条件にさらされる、請求項8〜10のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項12】
前記界面活性剤が、前記セルロース系材料が前記家畜廃水と混合されるのと同じ時間、またはその前後に前記セルロース系材料と混合される、請求項8〜11のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項13】
その後、前記半コンポスト化堆肥が炭素と共に嫌気性条件下に保持して、前記糖類およびサッカライドがさらなる好気性分解して、COを形成し、アンモニアが消散するのを防ぐ、請求項1〜12のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項14】
前記固形消化残渣を水性媒体中に分散させる前記ステップが、前記固形消化残渣を水または水溶液と、2.5〜50リットルの水または水溶液に対し1kgの固形消化残渣の範囲の重量/容量比率で混合することを含む、請求項1〜13のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項15】
前記固形消化残渣の前記水性分散液が、界面活性剤,好気性微生物接種剤もしくはその前駆物質,可溶性シリカおよび/もしくはゲルマニウム、窒素源、ならびに微生物のエネルギー源を含む群から選択される1つまたは複数の添加物をさらに含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項16】
前記添加物が、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムである、請求項15に記載のプロセス。
【請求項17】
前記1つまたは複数の添加物が、前記固形消化残渣を前記水性媒体中に分散するのと同じ時間、またはその前後に添加される、請求項15または16のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項18】
前記1つまたは複数の添加物が、前記水性分散液に添加される、請求項15〜17のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項19】
前記1つまたは複数の添加物が、前記固形消化残渣が水または前記水溶液と混合される前に、前記固形消化残渣に添加される、請求項15〜18のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項20】
前記水溶液が、前記固形消化残渣と混合される前に前記1つまたは複数の添加物を含む、請求項15〜19のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項21】
前記水性分散液に通気する前記ステップが、0.5m〜5.0mの通気媒体/100Lの水/時間の範囲の速度で、通気媒体を陽圧で前記水性分散液中を通過させることを含む、請求項1〜20のいずれか1項に記載のプロセス。
【請求項22】
前記水性分散液に通気する前記ステップが、最大4日間期間行われる請求項1〜21のいずれか1項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、動物性堆肥の処理用プロセス、装置およびシステムに関する。特に、本発明は、動物性堆肥を、−100mV〜−1000mVの酸化還元電位の高電子供与特性、5mS/cm〜100mS/cmの電気伝導度を有し、多くの反応性の低い反応部位、および固形コンポスト様副産物を有する液状完全微生物好気性消化アミノ酸ベース肥料に変換するプロセス、装置およびシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
家畜およびヒト由来の排汁は、水路および地下水への栄養素の浸出による環境汚染の大きな原因である。特に環境に有害なのは硝酸塩類およびリン酸塩類で、これらは、魚を死滅させ、藻類の爆発的増殖を引き起こし、さらに、水をヒトや動物の消費に向かないほど有毒にしてしまう。また、これらの堆肥の廃棄は、不快な臭気の放出の原因であり、また、ハエの繁殖を促進し、土壌と水中への有毒レベルの病原菌を放出する。
【0003】
動物やヒトにとって大きな健康上の懸念は、抗生物質を摂取したヒトや動物由来の排出物の廃棄による生きている抗生物質の土壌や水路中への放出である。抗生物質の使用は一般に普及し、集約的家畜施設ではよく行われる。抗生物質に曝された土壌および水中の常在細菌(微生物を含む)の多様な集団が抗生物質耐性株を急速に発生させる。また、これらの常在天然細菌は、抗生物質に曝された死細菌からデオキシリボ核酸(DNA)を採取して抗生物質耐性細菌株を構築できる。さらに、これらの抗生物質耐性細菌は、環境および食物連鎖全体に広がり、自己複製し、個体群密度を高め、さらに有害性の少ない抗生物質感受性種を置換する。抗生物質または死細菌もしくは死微生物のDNAに対して、土壌や水由来の細菌および微生物の暴露が継続されると、抗生物質耐性を持つ細菌または微生物の比率が、爆発的増加が起こる閾値に達することになるであろう。こうなった場合には、抗生物質は、ヒトや動物の疾患と感染を防ぐツールとしては役に立たなくなり、世界的パンデミックに繋がる可能性がある。既に、抗生物質耐性ブドウ球菌株(ゴールデンスタフ(Golden Staph)としてよく知られている)が病院に常在し、除去が難しいことが明らかになっている。
【0004】
本発明は、上記不利益の少なくとも一部を克服しようとするものである。
【発明の概要】
【0005】
最も広い態様では、本発明は、家畜廃水処理用のプロセス、装置およびシステムを提供する。
【0006】
従って、第1の態様では、本発明は、下記のステップを含む家畜廃水処理用プロセスを提供する。
a)固形状態で家畜廃水の少なくとも部分的な好気性消化を生じる条件に動物およびヒトの堆肥をさらすこと。微生物消化に適した炭素は、40%炭素〜60%堆肥と、60%炭素〜40%堆肥との間の比率で堆肥の備蓄物中に存在する形態である必要がある。炭素は、限定されないが、オガクズ、麦わら、木材パルプまたは藻類であってよい。
b)コンポストパイル中の水分レベルは、40%〜60%水分に維持する必要がある。そのパイルを、1週〜2ヶ月の期間中に2〜10回ひっくり返し、塊に通気して、微生物によるタンパク質、炭水化物および炭素の分解を可能とする必要がある。あるいは、コンポスト攪拌機を使ってコンポストをかき回せるが、こちらの方が進行は速い。
c)パイル中の温度は、少なくとも1週間、60℃〜85℃に維持される。
d)大量のアンモニア、糖類、多糖類、アミン、アルデヒド、カルボン酸、還元硫黄およびVOCが生成される固形コンポスト化の時点で、コンポスト化パイルを嫌気性条件下で密封し、好気性コンポスト化プロセスが完全コンポスト化段階にまで継続するのを防ぐ。固形部分の完全コンポスト化段階には、アンモニアは消散し、糖類はCO2に変換されてしまい、微生物活性は大きく減少する。完全コンポスト化固形物は、その後の液状コンポスト化段階には適さない。部分的にコンポスト化した固形物は、嫌気性条件下の密封備蓄物中に保持され、上記20行目のd)に記載の品質を維持している。この静置式で覆われた備蓄物は、微生物消化用の有効な供給原料として無期限に保持できるが、好ましい方法は、静置式嫌気性備蓄とし、不通気性シートで覆ってパイル中のガスを密封した2年以内に生成物を使用することである。過剰ガスは、放出してもよい。
e)一旦、糖類、糖類およびアンモニアが検出されると、固形状態でパイルのコンポスト化プロセスを継続してはいけない。これは、液状好気性コンポスト化段階に適する理想的な形態の成分を与える堆肥炭素源を効率的に半コンポスト化する。これは、上述の的確な形態の成分に加えて、パイル中に天然に存在する高レベルの活性な微生物集団を提供し、最終の液状通気コンポスト化段階での微生物消化プロセスを完結する。固形コンポスト化プロセスである液状前の微生物消化を、アンモニアがもはや生成されず、糖類およびサッカライドがCO2に変換されてしまう段階に進ませてしまうと、液状段階コンポスト化は、効率的ではないであろう。完全なコンポスト化プロセスの途中の微生物および菌類の活性のピークの時点で液状微生物消化供給原料が供給されることは、重要である。この時点で、微生物および菌類活性ならびに熱生成のレベルと同様に、サッカライド、メチルエチルケトン、エチルアミン、イソプロピルアミン、還元硫黄、チオフェン、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、アセトン、アミン、カルボン酸、VOC、アルデヒド、糖類、アンモニアレベルは、最高のレベルにある。一旦、的確な最大微生物および菌類活性点が到達されると、事前調整した液状微生物消化供給原料は、密封状態で保持する必要がある。本発明による殆どのコンポスト化プロセスは、固形物が懸濁状態で、通気されて保持される液状好気性段階で起こる。事前調整段階は、液状消化槽中で無機質および有機質の原料を、微生物により容易に消化される形態に変換するものである。
f)a)〜f)のステップで生成された固形消化残渣を水性の媒体中に分散すること。図1参照。
g)可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムの存在下、ステップb)の水性分散液に通気すること。
h)通気水性分散液が完全に微生物および菌類消化された後で、液体から固形物を分離すること。この期間は、4時間〜3日であってよい。図2参照。
【0007】
本発明の一実施形態では、家畜廃水を嫌気性および/または好気性条件に供する前に、家畜廃水:セルロース系材料の比率が40:60〜60:40重量比(%w/w)となるように家畜廃水とセルロース系材料とを混合する。好ましくは、混合物の水分含量は、約40〜70%w/wの範囲である。
【0008】
別の実施形態では、家畜廃水の嫌気性および/または好気性消化が生じる条件に家畜廃水をさらすことは、家畜廃水とセルロース系材料の混合物を酸素の存在下で少なくとも2週間、貯蔵することを含む。混合物は、前記条件下で、約60℃〜約85℃の範囲の温度になるのが好ましい。
【0009】
さらなる実施形態では、プロセスは、セルロース系材料の界面活性剤による処理を含む。セルロース系材料は、40%〜70%の範囲の水分を含むのが好ましい。本発明の一形態では、セルロース系材料の界面活性剤による処理は、1メートルトンのセルロース系材料当たり、0.5リットル〜5リットルの量の界面活性剤の混合を含む。セルロース系材料と界面活性剤の混合物は、セルロース系材料と家畜廃水の混合の前に形成されてもよい。セルロース系材料と界面活性剤の混合物は、処理されたセルロース系材料と家畜廃水の混合の前に、少なくとも1週間、好気性条件に供されるのが好ましい。あるいは、界面活性剤は、セルロース系材料が家畜廃水と混合されるのと同じ時間に、またはその前後にセルロース系材料と混合してもよい。
【0010】
上述のように、家畜廃水を家畜廃水の好気性消化が行われる条件にさらすことにより、固形消化残渣が生成される。
【0011】
本発明の一実施形態では、固形消化残渣を水性媒体中に分散するステップは、固形消化残渣を、水または水溶液と、約5〜50リットルの水または水溶液に対し、1kgの固形消化残渣の範囲の重量/容量比率で混合することを含む。
【0012】
本発明の好ましい実施形態では、固形消化残渣の水性分散液は、界面活性剤、好気性微生物の接種剤またはその前駆物質、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウム、尿素などの窒素源、可溶性海藻、糖、鉱物および糖蜜を含む群から選択される1つまたは複数の添加物をさらに含む。特に好ましい添加物は、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムである。1つまたは複数の添加物が、固形消化残渣が水または水溶液と混合されるのと同じ時間、またはその前後に添加できる。あるいは、1つまたは複数の添加物を、水性分散液に添加してもよい。逆に、水または水溶液と混合される前に、1つまたは複数の添加物を固形消化残渣に添加してもよい。本発明のさらに別の代替形態では、水溶液は、固形消化残渣との混合の前に、1つまたは複数の添加物を含んでいてもよい。
【0013】
別の実施形態では、水性分散液に通気するステップは、水性分散液の全体にわたり、0.5m〜5.0m酸素含有ガス/100L水/時間の範囲の速度で陽圧の通気媒体を通すことを含む。本発明の一形態では、水性分散液の通気ステップは、最大4日間にわたり行われる。通常、通気媒体は、酸素含有ガスである。酸素含有ガスの好適例には、限定されないが、空気および酸素ガスが含まれる。
【0014】
通気期間が完了後、通気水性分散液中の固形物は、典型的な例では、重力下で静置して、いくつかのよく知られ、理解されている分離技術の1つにより、固相と液相の分離が促進される。
【0015】
第2の態様では、本発明は、固形消化残渣、または半コンポスト化堆肥の水性分散液を含む円錐底状容器を含む家畜廃水処理用装置を提供し、固形消化残渣は、2〜10枚の容器壁から垂直に突き出た等間隔に配置されたじゃま板を備えた2個の下方推進プロペラにより懸濁状態で保持される。この場合、4枚のじゃま板が好ましい。じゃま板は、渦巻き作用を防ぎ、これにより、固形物が容器壁に沿って連続的に上方に持ち上げられるのを可能にし、固形物を懸濁状態で効果的に保持する。市販の通気分散システムは、容器の底の方に上向きに設置される。酸素の追加があってもなくても、空気は、空気分散ユニットを経由して送付され、容器の容量全体にわたり0.2mm〜10mmの直径の大量の気泡を生成し、回転プロペラが通気ゾーン中に固形消化残渣/半コンポストを懸濁状態で保持する。これにより、溶液または懸濁液中で固形消化残渣、鉱物、水、空気、酸素、添加物、ならびに、有益な微生物、有益な細菌および有益な真菌の間の高レベルの表面積接触が可能となる。この高レベルの表面積接触は、半コンポスト化堆肥の消化のための細菌の理想的環境を与え、自己複製し、強力な代謝物溶液を作り出す。このプロセスは、水を80℃の温度まで加熱するほどの微生物消化の強さを示して、48時間以内に完結する。代謝物は、pH7.5〜pH11のpH(好ましくは、pH9.2)、−200mV〜−800mVの酸化還元電位、および5mS/cm〜100mS/cmの電気伝導度の特性を有する。本発明は、有益な微生物および有益な真菌の多くの種が、増殖し、事前調整投入物の活発な消化を行い、固形投入物を懸濁状態で保持しながら、全液状懸濁液を好気的に消化することにより生成されるアミノ酸、ペプチド、フミン酸およびフルビン酸、リボ核酸、ヘモグロビン、などの代謝物を形成するための理想環境を提供する。微生物消化、または代謝物産生の最大効率は、有益な微生物および有益な真菌と、水、空気および/または酸素、半コンポスト化堆肥、鉱物、界面活性剤、糖類および炭素との最大の表面積接触を持つことにより実現される。液状コンポスト化段階でペプチドおよびアミノ酸の生成が起こるためには、堆肥は、部分的コンポスト化段階で供給される必要があり、それにより、微生物の作用による熱、糖およびアンモニア生成のピークが好気性液状コンポスト化段階に取り込める。
【0016】
さらなる実施形態では、排出口は、分離器と流体連結しており、分離器は、使用時、通気された水性分散液中の液体から固形物を分離するように配置される。
【0017】
第3の態様では、本発明は、家畜廃水処理用のシステムを提供し、システムは、
家畜廃水源、
家畜廃水を消化するための好気性消化槽であって、堆肥および炭素の通気パイルから構成され、ブリックス計を使って半コンポスト化堆積物中の糖度が測定され、ブリックス糖度が1〜20の読み値に達した場合は、固形物好気性コンポスト化プロセスは、停止され、備蓄物は密封され、液状微生物好気性消化段階で使用されることになるまで嫌気性条件下で保持される好気性消化槽、
固形消化残渣の水性分散液を含む容器であって、固形消化残渣が、好気性消化槽中で家畜廃水を好気的に消化することにより生成される容器、
排出口と流体連通している分離器であって、使用時、通気された水性分散液中の液体から固形物を分離するように配置されている分離器、および、
家畜廃水を前記家畜廃水源から好気性消化槽に移し、また、消化残渣を好気性消化槽から容器に移すための、それぞれ第1と第2のコンベア、
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のプロセスに従って家畜廃水を処理する装置の断面図である。
図2】本発明のプロセスに従って家畜廃水を処理する別の装置の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明は、コンポスト様固形生成物ならびにアミノ酸の形の微生物および真菌代謝物液状肥料を生成する家畜廃水処理用プロセスに関する。家畜廃水は、最初、少なくとも部分的な好気性消化を受けて、固形物消化残渣を生成する。本明細書で使われる用語の「好気性消化」は、生分解性材料が酸素の存在下で好気性細菌により分解され、アンモニアおよび単糖、ならびに好気性消化が行われた水分条件に応じて液状でも、および/または固形であってもよい消化残渣を生成するプロセスを意味する。その後、本発明で生成される固形消化残渣は、水性媒体中に分散され、水性分散液は、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムの存在下で通気される。次に、水性分散液中の固形物および液体は、それぞれのコンポスト様生成物および液状肥料に分離される。
【0020】
一般的に、本発明のプロセスを使って、どのような形態の家畜廃水も、処理によりコンポスト様生成物および液状微生物消化肥料に変換できる。家畜廃水の好適例には、限定されないが、ヒトおよび動物性堆肥、家禽および魚処理廃棄物、ホタテガイ処理残渣、藻類、および屠殺場排出物が含まれる。本発明は、特に、ヒトおよび動物性堆肥の処理に有用である。
【0021】
典型的な例では、家畜廃水は、農業施設、特に、養豚場、養鶏場、酪農、および家畜飼養場、などの畜産施設から供給される。他の農業施設の好適例には、限定されないが、屠殺場および食物処理施設が含まれる。また、ヒトの排出物は、地方自治体の施設から供給されてもよい。
【0022】
家畜廃水を少なくとも部分的な好気性消化が生ずる条件に家畜廃水をさらすステップは、酸素の存在下で少なくとも1ヶ月間、家畜廃水を貯蔵することを含む。
【0023】
通常、家畜廃水の好気性消化は、好気性消化槽で行われる。いずれの好気性消化槽も、本発明のプロセスで使用でき、連続またはバッチ好気性消化槽として操作できる。本明細書で使われる用語の「好気性消化槽」は、有機、タンパク質および無機物質の複合体の、アンモニア、アミン、サッカライドおよび単糖への化学的分解を促進する装置を意味する。固形および/または液状消化残渣は、複合有機材料中のタンパク質および炭水化物の加水分解の結果として、糖類、脂肪酸およびアミノ酸を含んでもよい。本発明で使うことができる好気性消化槽の好適例には、限定されないが、覆い付き、または野ざらしの堆積物が含まれる。
【0024】
本発明の形態では、家畜廃水は、少なくとも10メートルトンの、好ましくは、100メートルトンの塊として静置式備蓄物または堆積物中に貯蔵される。典型的な例では、静置式備蓄物は、ターポリンなどの不通気性カバーで覆われる。カバーする目的は、2つあり、1つは、備蓄物中への降雨による過剰水の侵入、ならびに臭気の放出およびバイオガスまたはアンモニアの形の温室効果ガス排出を最小限にすることであり、2つ目は、備蓄物中の熱エネルギーを保持し、温存することである。また、カバーは、ハエの繁殖、備蓄物を通って降雨の浸出による栄養素の浸出、および病原菌の放出を抑制する。
【0025】
一般的に、家畜廃水は、好気性消化中に約60℃〜約85℃の範囲の温度を生じる。好都合にも、このような温度は、病原菌を死滅させ、存在する可能性のある全ての抗生物質を消滅させる。さらに、発明者は、無機質化により窒素ガスが固形消化残渣の炭素画分中に固定され、従って、この貴重な元素の空気への損失を防ぎ、温室効果ガス排出も防止すると考えている。
【0026】
家畜廃水を好気性条件にさらす前に、家畜廃水は、40:60〜60:40重量比(%w/w)の家畜廃水:セルロース系材料比率でセルロース系材料と混合されることが好ましい。セルロース系材料の好適例には、限定されないが、木材、オガクズ、植物残渣、麦わら、バガス、例えば、非漂白クラフト紙もしくは板紙または段ボール紙もしくは板紙などの回収(廃棄物およびスクラップ)紙または板紙、主に機械パルプ(例えば、新聞、週刊誌および類似印刷物)で作られた紙もしくは板紙、回収(廃棄物もしくはスクラップ)紙もしくは板紙由来繊維のパルプ、または、例えば、機械的および化学パルプ化プロセスの組み合わせにより得られた綿リンターパルプ、機械木材パルプ、化学木材パルプもしくは木材パルプなどの他の線維セルロース系材料のパルプ、が含まれる。言及した木材パルプは、非漂白、針葉樹、非針葉樹、半漂白または漂白であってもよいことは、理解されよう。
【0027】
家畜廃水およびセルロース系材料混合物の水分含量は、約40〜70%w/wの範囲であるのが好ましい。
【0028】
混合物の粒径または粒径範囲は、本発明には重要であると考えられていないが、表面積/粒子直径比率の観点から好気性消化速度の増加に好都合な小さい粒径が好ましい。典型的な例では、0.5cm未満の粒子の大きさが好ましい。
【0029】
好ましいセルロース系材料は、オガクズである。しかし、オガクズおよび他の木材由来セルロース系材料は、油およびリグニンを含み、生分解性および好気性消化の間に放出される窒素と硫黄ガスの無機質化を妨げる場合がある。従って、プロセスは、界面活性剤によるセルロース系材料の処理を含む場合もある。適切な界面活性剤には、限定されないが、イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、および脂肪アルコールが含まれる。イオン性界面活性剤の代表例には、限定されないが、硫酸、スルホン酸またはカルボン酸陰イオンベースの陰イオン性界面活性剤、例えば、ドデシル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、および他のアルキル硫酸塩、ラウレス硫酸ナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、セッケン、洗浄剤、または脂肪酸塩;4級アンモニウム陽イオンベースの陽イオン界面活性剤、例えば、臭化セチルトリメチルアンモニウムおよび他のアルキルトリメチルアンモニウム塩、塩化セチルピリジニウム、ポリエトキシレート化獣脂アミン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンザルコニウム;ならびに、両性界面活性剤、例えば、ドデシルベタイン、ドデシルジメチルアミンオキシド、コカミドプロピルベタイン、およびコカアンホグリシネートが含まれる。非イオン性界面活性剤の代表例には、限定されないが、アルキルポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンオキシド)とポリ(酸化プロピレン)の共重合体、アルキルポリグルコシド、例えば、オクチルグルコシドおよびデシルマルトシド、脂肪アルコール、例えば、セチルアルコールおよびオレイルアルコール、ならびに、コカミドMEA、コカミドDEA、およびコカミドTEAが含まれる。
【0030】
ラウレス硫酸ナトリウムは、好ましい界面活性剤である。
【0031】
本発明の一形態では、セルロース系材料の界面活性剤による処理は、1メートルトンのセルロース系材料当たり0.5〜5リットルの界面活性剤の量で界面活性剤を混合することを含む。セルロース系材料と界面活性剤の混合物は、セルロース系材料を家畜廃水と混合する前に形成してもよい。セルロース系材料と界面活性剤の混合物は、処理済セルロース系材料の家畜廃水との混合の前に、少なくとも1ヶ月間、嫌気性条件にさらし、木材油類を分解して、それにより、その後の微生物の消化を改善し、窒素固定を増やすのが好ましい。あるいは、セルロース系材料と家畜廃水とを混合するのと同じ時間、またはその前後に界面活性剤をセルロース系材料と混合してもよい。
【0032】
典型的な例では、家畜廃水の少なくとも部分的好気性消化の間に、家畜廃水は、加水分解を受け、それにより、家畜廃水中のタンパク質と炭水化物は、固形消化残渣中の糖類、脂肪酸およびアミノ酸に変換される。好都合なことに、上述のような家畜廃水の好気性消化は、温室効果ガス排出の一因となる有害なガスとして放出されないで、アンモニア、硝酸塩およびスルホン酸塩の形で、固形消化残渣中で窒素と硫黄の固定が行われる。
【0033】
家畜廃水の好気性消化がアンモニア、サッカライドおよび単糖生成のピークに達すると、これらのレベルが減少する前に、プロセスは、調製済み/半コンポスト化固形消化残渣を水性媒体中に分散するステップをさらに含む。固相の好気性消化は、パイル中の最大発熱時点で、かつ、糖類、サッカライド、アンモニアおよびアミンの存在が検出されるときに終わる。通常、固形消化残渣の水性媒体中への分散は、固形消化残渣を好気性消化槽から容器に運び、固形消化残渣を、約2.5〜50リットルの水または水溶液に対し、1kgの固形消化残渣の範囲の重量/容量比率の水または水溶液と混合する形態を取る。
【0034】
界面活性剤、好気性微生物接種剤、有益な細菌、またはその前駆物質、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウム、窒素源、および微生物のエネルギー源を含む群から選択される1つまたは複数の添加物を水性分散液に添加するのが好ましい。特に好ましい添加物は、可溶性シリカおよび/またはゲルマニウムである。
適切な界面活性剤には、上述のものが含まれる。
【0035】
適切な好気性微生物の接種剤またはその前駆物質は、当業者にはよく知られている。代表例には、限定されないが、Eco Care(Insight Environmental製)、Symbex、Environ−8、Eco−Growthなどの市販品が含まれる。Eco Careの投入量は、100リットルの溶液当たり1mlまでである。
【0036】
適切な可溶型のシリカおよび/またはゲルマニウムは、当業者にはよく知られている。特に好ましいのは、SOLSILの名称で市場に出ている市販品の可溶性シリカである。可溶性シリカは、1リットルの水性媒体当たり10mg〜1gの可溶性シリカの量で水性分散液中に含まれる。理論に拘泥する意図はないが、可溶性シリカの利点は、1)それが、微生物消化に関与し、ポリペプチド配列中に結合され、機械的な強度と弾性をアミノ酸およびペプチド配列に付与すること、さらに、2)それが、複数の化学的に活性な部位を与え、長鎖アミノ酸およびポリペプチド配列の急速構築を促進することにより、微生物の消化速度を加速する触媒として作用すること、の2つであると発明者は考えている。
【0037】
ゲルマニウムは、1リットルの水性媒体当たり1μg〜100μgゲルマニウムの量で水性分散液中に含まれる。ゲルマニウムは、可溶性シリカと同様な方式で作用し(もっと強力かもしれないが)、抗酸化レベルを高めるのに重要な役割を持つと考えられる。
【0038】
適切な窒素源には、限定されないが、尿素または例えば、市販品のARCADIANなどの海藻が含まれる。このARCADIANは、通常、1000リットル水性媒体中に1g〜20gの可溶性海藻の量で水性分散液中に存在できる。海藻は、それが、痕跡量の鉱物、例えば、ヨウ素、クロム、コバルト、バナジウム、ヒ素およびウラニウムおよびラジウムなどの放射性元素、ならびに微生物の作用を刺激する有益なホルモンを供給することから、窒素源として特に好ましい。海藻の添加の代わりに、またはそれとあわせて、水性分散液に前出の痕跡量の鉱物を添加してもよい。一部のケースでは、痕跡量の鉱物は、鉱物抽出物、または産業廃棄物由来であってもよい。
【0039】
適切な微生物のエネルギー源には、限定されないが、糖、糖蜜、デンプン、麦芽糖、ラクトース、ショ糖、グルコースが含まれる。微生物のエネルギー源は、1000リットルの水性媒体当たり250g〜1000gの微生物のエネルギー源を含む。微生物のエネルギー源の目的は、好気性微生物の炭素固定化能力を高め、ポリペプチド産生を改善することであると考えられる。
【0040】
1つまたは複数の添加物は、固形消化残渣を水または水溶液と混合するのと同じ時間、またはその前後に添加できる。あるいは、1つまたは複数の添加物を水性分散液に添加してもよい。逆に、1つまたは複数の添加物を、固形消化残渣を水または水溶液と混合する前に、固形消化残渣に加えてもよい。さらに別の代わりの本発明の形態では、水溶液は、固形消化残渣と混合する前に、1つまたは複数の添加物を含んでもよい。
【0041】
本発明のプロセスの水性分散液に通気するステップは、水性分散液を通して陽圧で、0.5m〜5.0m酸素含有ガス/100Lの水/時間の範囲の速度で通気媒体を通すことを含む。本発明の一形態では、水性分散液に通気するステップは、48時間まで行われる。通常、通気媒体は、酸素含有ガスである。酸素含有ガスの好適例には、限定されないが、空気および酸素ガスが含まれる。
【0042】
通気期間の完了後、通気水性分散液中の固形物は、通常、重力下で約15〜30分間静置され、いくつかのよく知られ、よく理解されている分離技術の内の1つを使って、固相と液相の分離が促進される。適切な分離技術の実例には、限定されないが、真空または圧力による濾過、遠心分離、脱水、清澄化、振動ふるい分離器、ウェッジワイヤーストレーナー、などが含まれる。固相および液相のいずれか片方、または両方をポンプ圧送を使って別々の分離装置に運搬できることは理解されよう。通常、固相は、スラリーとしてポンプ輸送される。例えば、スラリーは、20メッシュの穿孔を有する排水収納箱にポンプで送り出され、過剰水分をスラリーから排出して、砕けやすい培養土、マルチまたは浄化剤を得ることができる。あるいは、スラリーは、脱水に使う遠心機、フィルタープレスまたは脱水バッグを経由してポンプ圧送してもよい。
【0043】
その後、固形脱水生成物は、土壌の環境修復用の土壌改良材として、または植物成長改善用の培養土もしくはマルチとして流通させるまで、ターポリンのカバーをして貯蔵できる。
【0044】
プロセスの分離液状生成物は、未希釈または希釈した形態で液状肥料としてすぐに適用できる。分離液状生成物は、−50mV〜−1000mVの酸化還元電位を有し、高い抗酸化値をもつと考えられる。さらに、液状生成物が形成される条件は、シリコン、クロム、ヨウ素、バナジウム、セレンおよびゲルマニウムなどの小数の微量成分を消費する長鎖アミノ酸およびポリペプチド配列の形成を促進する。
【0045】
上記構成は、液状分散系の活発な通気を確実にする。空気は、好ましい通気媒体であるが、空気より多い酸素含量を有する通気媒体、または純粋な酸素も使用可能である。
【0046】
本発明の別の実施形態では、入口14は、容器12の下壁18に配置され、固定された膜ディスクディフューザを含む。典型的な例では、下壁18の全表面は、前記膜ディスクディフューザで覆われている。ディスクの孔の大きさは、約5ミクロンで、1mm〜3mmの粒径の気泡を生成する。この細かい気泡は、容器12の内容物の表面まで移動するのに、より大きな気泡よりも長時間かかり、従って、微生物が通気に接触する機会が増える。小さな表面積もまた、微生物/空気/消化残渣/水の接触を増やし、容器内の水性分散液のさらに完全で、急速な微生物消化を可能とする。
【0047】
排出口16は、分離器(図示せず)と流体連通しており、分離器は、使用時に、通気水性分散液中の固形物を液体から分離するように配置されている。排出口16は、それぞれの液相と固相に静置させた後で、通気水性分散液の液状相を取り出すように構成できる。この特定の構成では、排出口は、懸濁固形粒子を除去するための濾過装置(真空または加圧)、遠心分離装置、またはタンジェンシャルフロー分離器などの分離器と流体連通している。その後、得られた液体は、肥料液体、または固体、液体またはガス処理用の環境浄化剤としてすぐに使用できる。
【0048】
別の構成では、排出口16は、通気水性分散液の固相をスラリーとして取り出すように作られる。スラリーは、例えば、20メッシュの穿孔を備えた排水収納箱中にポンプで送り出し、スラリーから過剰水分を排出できる。あるいは、脱水するためにスラリーを遠心機に排出してもよい。他の分離技術は、当業者によく知られており、通気水性分散液中の固相と液相の分離に容易に適用できる。
【0049】
栄養素溶液から150ミクロン〜5ミクロンの範囲の微細固形粒子を分離するさらなる本発明の実施形態は、円錐の底に連結された管を備えた円錐底タンクを経由するものである。図2/2を参照されたい。ナイフバルブを円錐に連結された管の先端に配置し、別のナイフバルブを管の下部に配置する。上部バルブを開いたままにして、下部のバルブを閉じる。円錐タンクと管は、微生物消化液と固形微細粒子からなる分散液で満たす。固形物を少なくとも15分間静置すると、固形物は管下部に存在する。上部ナイフバルブを閉じ、下部バルブを開いて、固形微細粒子を少量の液状スラリー中に取り出す。上部ナイフバルブ閉止の効果により、高価な濾過装置を必要とせずに、固形微細粒子をかき混ぜないで、殆どの液状部分の急速で効率的な回収を可能とする。
【0050】
上述のような本発明の装置10は、家畜廃水処理システムに容易に組み込まれる。装置は、好気的に家畜廃水を消化する固形物好気性消化槽の近くに配置されてもよく、また、システムは、固形消化残渣を好気性消化槽から装置の容器まで運搬する第1のコンベヤをさらに備えてもよい。同様に、好気性消化槽は、家畜廃水源の近くに配置されてもよく、また、システムは、家畜廃水を家畜廃水源から好気性消化槽まで運搬する第2のコンベアをさらに備えてもよい。
【0051】
先行技術の使用および出版物に関し本明細書で言及されている場合があるが、このような言及は、オーストラリアまたは他のいずれかの国における当技術分野で共通の一般的知識の一部を形成することを認めるものではないことは理解されたい。
【0052】
この明細書の目的のために、単語の「含む(comprising)」は、「含むが、限定されない(including but not limited to)」を意味し、また、単語の「含む(comprise)」は、対応する意味を有することは、明確に理解されよう。
【0053】
当業者なら、基本的発明概念を逸脱することなく、既に記載された事項に加えて多くの変形および修正を思いつくであろう。全てのこのような変形と修正は、本発明の範囲内にあると考えられるべきであり、本発明の特質は、前出の記載から判断されるべきものである。
図1
図2