(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0013】
まず、本発明の弾球遊技機の実施形態について説明する。
【0014】
本実施形態の弾球遊技機は、遊技球が
転動可能な遊技領域と、前記遊技領域
内に位置する
、遊技球が転動不可能な非遊技領域と、前記遊技領域の裏面側に位置する裏面側領域と、前記非遊技領域への遊技球の進入を阻止するために前記遊技領域と前記非遊技領域とを区画する区画部材とを備えた弾球遊技機であって、前記遊技領域は、その少なくとも一部に、裏面側が視認可能な透明領域を含み、前記非遊技領域と、前記裏面側領域のうち少なくとも前記透明領域を介して視認可能な裏面側視認領域とにまたがって装飾物が配置され、
前記装飾物は、少なくとも前記裏面側視認領域に位置する該装飾物の裏面側視認領域装飾部が、該裏面側視認領域から前記非遊技領域へ移動可能に構成された可動役物であることを特徴とする。
【0015】
上記構成の弾球遊技機によれば、装飾物が遊技領域内の裏面側視認領域と非遊技領域とにまたがって配置されていても、遊技者に透明領域及び非遊技領域を介して該装飾物のほぼ全体を視認させることができる。このため、装飾物が非遊技領域にのみ配置されている場合に比べ、装飾物の大きさ、配置場所についての設計自由度が高められる。
【0016】
また、該構成の弾球遊技機によれば、前記第1部分が前方に位置しているので、当該第1部分の裏面側にさらに他の装飾物を配置するなど、装飾物等の配置に関する設計自由度が高められる。
【0017】
また、該構成の弾球遊技機によれば、第1部分の裏面側に第2の可動役物が配置されることで、装飾物の裏面側の空間が有効活用される。
【0018】
本実施形態の弾球遊技機において、前記装飾物は前記裏面側視認領域と前記非遊技領域とにまたがる移動範囲で移動可能に構成された第1の可動役物であることが好ましい。
【0019】
該構成の弾球遊技機によれば、装飾物が前記裏面側視認領域及び前記非遊技領域にまたがる移動範囲で移動可能であるので、非遊技領域のみを移動範囲とする場合に比べ、装飾物の移動範囲が広がるため、装飾物の移動範囲についての設計自由度が高められる。
【0020】
該構成の弾球遊技機において、前記透明領域に遊技球検出手段が設けられていることが好ましい。
【0021】
該構成の弾球遊技機によれば、例えば、装飾物の位置、姿勢が変化した場合(透明領域の装飾物の見え方が変化した場合)に、遊技者が透明領域に対して遊技球を打ち出すような遊技をしていることを、透明領域に設けられた遊技球検出手段により検出することが出来る。遊技球検出手段における遊技球の検出状況と装飾物の位置等に基づき、例えば演出を変化させることにより、遊技者は、自己の遊技内容により演出が変化すると認識する。この結果、装飾物の変化に応じた演出等と遊技者の遊技内容を紐付けることが出来るので、遊技者に興趣を与えることが出来る。
【0022】
該構成の弾球遊技機において、前記第2部分の裏面側に第3の可動役物が配置され、前記第2の可動役物は、前記第3の可動役物と連動するように構成されていることが好ましい。
【0023】
該構成の弾球遊技機によれば、第3の可動役物を第2部分の裏面側に配置することにより、遊技者から第3の可動役物が見えなくなる又は見えにくくなるため、遊技者が第3の可動役物と連動する第2の可動役物の動きを予測できなくなる。このため、第2の可動役物が動いた際に、遊技者に対し興趣を与えることが出来る。
【0024】
本実施形態の弾球遊技機において、前記区画部材は、少なくとも前記装飾物をまたぐ部分が透明性を有する部材で構成されていることが好ましい。
【0025】
該構成の弾球遊技機によれば、装飾物の区画部材の裏面側にある部分も視認可能になるので、装飾物の全体像を遊技者が視認できるようになる。
【0026】
本実施形態の弾球遊技機において、前記装飾物は、前記弾球遊技機を識別するためのロゴを表示する部材で構成されることが好ましい。
【0027】
ロゴを表示する装飾物は遊技者の目を引く部分であることから、出来るだけ大きくしたいという開発側の要求がある。該構成の弾球遊技機によれば、ロゴを表示する装飾物の設計自由度が高められるから、例えば、ロゴを表示する装飾物を大きくするなど、ロゴを表示する装飾物を目立つように配置することができる。
【0028】
(第1実施形態)
次に、
図1を参照して、第1実施形態のパチンコ遊技機1を構成する部分について説明する。
図1に示すパチンコ遊技機1は、矩形状の外枠2と、この外枠2に開閉可能に枢着された前面枠3及び前扉5を備えている。
【0029】
前面枠3は、額縁状であり開口部に遊技盤4(
図2参照)が取付け可能となっている。また、前扉5の中央部にはガラス板6が嵌め込まれており、外部より遊技盤4が視認可能に構成されている。
【0030】
前扉5の上部左右両側にはスピーカ7が設けられている。スピーカ7は、遊技に伴う演出効果音を外部に出力する音響出力部である。また、前扉5の左右両側及び上部には枠装飾LED8が設けられている。枠装飾LED8は、遊技の演出に連動してLEDが発光、点滅する発光装飾部である。
【0031】
前扉5の下側には前面板9が配置され、その左端部は前面枠3に開放可能に枢着されている。前面板9には、発射機構を作動させるための発射ハンドル10、遊技球を貯留する上貯留皿11、下貯留皿12等が設けられている。
【0032】
また、上貯留皿11の表面部分には、内蔵ランプが点灯したとき操作可能となる左演出ボタン13と、中央演出ボタン14が設けられている。両演出ボタン13、14は、遊技中に操作の機会が与えられ、ボタンを押下することにより演出を変化させることができる。
【0033】
次に、
図2〜
図6を参照して、パチンコ遊技機1の遊技盤4について説明する。遊技盤4は、化粧板20と、内側パネル30と、装飾部材40(
図5参照)と、可動装飾物支持機構50(
図6参照)とを備える。
【0034】
また、遊技盤4は、遊技に使用される又は遊技の演出効果を高めるための領域として、遊技球が打ち出される第1領域R1と、第1領域R1の中央に位置し、遊技に伴う演出効果を高めるための装飾部材等を配置する第2領域R2と、遊技球を第1領域R1に誘導する第3領域R3(発射球通路21)と、第2領域R2以外の装飾部材等を配置する第4領域R4と、第1領域R1の裏面側の裏面側領域(不図示)とを備える。なお、第1領域R1及び第3領域R3が本発明の「遊技領域」に、第2領域R2が本発明の「非遊技領域」に、それぞれ相当する。
【0035】
また、第1領域R1は、一部に、裏面側領域が視認可能な透明領域RTを含む。
【0036】
化粧板20は、
図3に示されるように、例えば不透明のベニヤ板に、遊技に使用される各種部材及び遊技の演出効果を高めるための装飾部材を取り付けて構成される。
【0037】
化粧板20のうち、第1領域R1を区画する部分には、随所に遊技球を誘導するための釘(不図示)が設けられ、かつ当該部分の下方には、始動入賞装置22、大入賞口23及び遊技球を回収するためのアウト球回収口24a等が設けられている。化粧板20の中央には、開口部25が形成されており、この開口部25の内側に装飾物又は画像表示装置等を配置するための第2領域R2が形成される。
【0038】
また、化粧板20には、遊技に使用される領域の外側へ遊技球が排出することを防止するための外側区画部材26と、遊技球を発射球通路21(第3領域R3)を介して遊技領域へ案内するための案内体27とが取り付けられている。化粧板20の右下(第4領域R4)には、遊技の演出効果を高めるための装飾部材が配置される。
【0039】
始動入賞装置22は、第1特別図柄始動口22a及び第2特別図柄始動口22bから構成される。遊技領域を流下する遊技球が第1特別図柄始動口22a、または第2特別図柄始動口22bに入賞することにより抽選が行われる。この抽選に対応して、後述する特別図柄表示装置28aにて特別図柄の変動表示が行われる。また、液晶表示装置15においても、特別図柄の抽選に対応した変動表示が行われる。
【0040】
第2特別図柄始動口22bは、一対の開閉部材を備えている。当該開閉部材が開状態の場合、遊技球が第2特別図柄始動口22bに入賞し易くなる一方、当該開閉部材が閉状態の場合、当該開閉部材によって遊技球の第2特別図柄始動口22bへの入賞が阻止される。当該開閉部材は、通常は閉状態に制御されているが、普通図柄の抽選に当選した場合には、所定回数、又は所定時間開状態となるように、制御される。
【0041】
始動入賞装置22の下方には、大入賞口23が配置されている。大入賞口23は、特別図柄の抽選に当選した場合、すなわち、大当りとなった場合に所定時間開放される入賞装置である。遊技球が大入賞口23の内部に設けられた検出スイッチ(図示省略)を通過すると入賞が検知され、遊技者に対し多くの賞球が払いだされる。
【0042】
遊技領域の最も左側には、発射ハンドル10により発射された遊技球を遊技領域に案内するため略上下方向に円弧状に延びた案内体27、が配置されている。案内体27は、金属製の帯状の外内2本のガイドレール27a、27bで構成されている。
【0043】
これら外内2本のガイドレール27a及び27bの間で上下方向に延びた空間が、前記発射機構から発射された遊技球が通過する発射球通路21(第3領域R3)を形成している。
【0044】
内側ガイドレール27bの上端には、発射球の発射方向への通過を許可すると共に戻り方向(発射球通路21側)への通過を阻止する戻り球防止片27cが配設されている。また、内側ガイドレール27bの最下部にはアウト球回収口24aと、アウト球回収口24aにアウト球を導入する球寄せ部24bが形成されている。
【0045】
化粧板20の右側下方には、特別図柄表示装置28a及び普通図柄表示装置28bが配置されている。特別図柄表示装置28aは、3個の7セグメントLEDから構成される表示器であり、特別図柄始動口22a、22bへの入賞を契機として特別図柄を変動させ、抽選結果を表示する。普通図柄表示装置28bは、複数のLEDで構成される表示器であり、普通図柄用始動ゲート34への入賞を契機として普通図柄を始動させ、LEDの点灯により抽選結果を表示する。
【0046】
化粧板20左側には、遊技球の流下方向を変化させる風車、多数の遊技釘(図示省略)が配置されている。また、風車の下方には、複数の一般入賞口29a、29b、29cが配置されている。遊技球が一般入賞口29a、29b、29cに入賞する(一般入賞口29a、29b、29cに設けられた検出センサにより遊技球が検知される)と所定数の賞球の払出しが行われる。
【0047】
化粧板20の表面(第1領域R1及び第3領域R3を形成する表面)には、化粧シート(図示省略)が貼り付けられている。この化粧シートにより、遊技盤4の一部の装飾が構成される。化粧シートの表面には、後述する区画部材31、可動装飾物51等と統一感のある装飾が施されていることが好ましい。
【0048】
図2に戻ると、
図2(a)に示されるように、化粧板20の開口部25の内側に沿って、内側パネル30が表側からビス等により取り付けられている。
【0049】
次に、内側パネル30は、
図4に示されるように、化粧板20の開口部25に沿って取り付けられる区画部材31と、内側パネル30の中央下方に配置されたステージ部材32と、当該区画部材31の左上に設けられた振分部33と、内側パネル30の右上部分に形成された普通図柄用始動ゲート34とを備える。内側パネル30は、アクリル樹脂等の透明な材料で形成されているが、適宜塗色等により、一部を除いて不透明に構成されている。
【0050】
区画部材31は、その左側が球ワープ通路35で構成されている。球ワープ通路35の上方に設けられた入球口から入球した遊技球は、球ワープ通路35を流下し、その下方に設けられた球出口から排出され、ステージ部材32上に誘導される。
【0051】
ステージ部材32は、やや前後に延びた板状部材で構成され、その中央に、遊技球をその前方下方に位置する始動入賞装置22へ誘導するための溝状の誘導経路32aを備えている。ステージ部材32に誘導された遊技球は、誘導経路32aの付近を前後左右に転動したのちに落下する。
【0052】
図2(a)に示されるように、内側パネル30が化粧板20に取り付けられた状態では、誘導経路32aの下方には、第1特別図柄始動口22aが位置することとなる。このため、遊技球が誘導経路32aを通過する場合は第1特別図柄始動口22aに入賞しやすい一方、遊技球が誘導経路32aを通過しない場合は第1特別図柄始動口22aに入賞しづらくなっている。
【0053】
また、区画部材31の右側下方に形成された通路36は、前記第1領域R1の一部を構成する。
【0054】
振分部33は、化粧板20の発射球通路21の出口付近の位置に取り付けられる。
図4に示されるように、振分部33は、その表面に振分部材33a、33b、33cを備える。発射装置10により発射された遊技球は、振分部材33a、33b、33cにより、遊技盤4の左側下方の通路又は右側通路に振り分けられる。
【0055】
また、振分部33は、透明な部材で構成されているが、透明部分33dを除いた部分は塗色されているため、振分部33の表面は透明部分33dを除き不透明になっている。透明領域RTは、透明部分33dにより形成される(
図2(a)参照)。
【0056】
普通図柄用始動ゲート34は、普通図柄の始動契機となる入賞装置である。遊技球が普通図柄用始動ゲート34を通過する(実際には、普通図柄用始動ゲート34に設けられた検出センサにおいて遊技球を検知する)ことを契機として抽選が行われ、普通図柄表示装置28bにて、普通図柄の変動表示が行われる。
【0057】
装飾部材40は、
図5に示されるように、装飾体41及び取付部42で構成されている。装飾部材40は、化粧板20の裏面側、かつ、可動装飾物支持機構50の表面側に、
図2(a)に示されるように、内側パネル30の内側に装飾体41が位置するように、ビス等により化粧板20に固定されて取り付けられる。
【0058】
装飾部材40は、遊技盤4の装飾の一部を構成するとともに、可動装飾物支持機構50の固定部材53b(
図6参照)のように遊技者に視認させたくない部材を覆う役割を担っている。装飾体41は、例えば、液晶表示装置15に表示される予告、リーチ等の演出に連動して、その内部にあるLEDが点灯又は点滅するように構成されている。
【0059】
図6(a)に示されるように、可動装飾物支持機構50は、可動物の一例としての可動装飾物51と、可動装飾物51の裏面側に配置された固定装飾物52と、固定装飾物52を左右から支持する固定部材53a,53bと、左側固定部材53aの上に取り付けられ、可動装飾物51を移動させるための駆動機構54とを備える。可動装飾物51が本発明の「装飾物」及び「第1の可動役物」に相当する。
【0060】
本実施形態においては、上記の装飾部材40と固定装飾物52とで意匠部が構成されている。これによれば、可動装飾物51が第1位置にある場合には、
図2(a)及び
図5に示されるように、意匠部の一部(装飾部材40)によって「乙丙」との文字を表す有意な第1の意匠が構成される。可動装飾物51が第2の位置にある場合には、
図2(b)に示されるように、意匠部の全体(装飾部材40及び固定装飾物52)によって「丁乙丙」との文字を表す有意な第2の意匠が構成される。
【0061】
なお、本実施形態では、第1の意匠は、
図5に示されるように、「乙丙」全体ではなく、「乙」の文字の一部と「丙」の文字を表す意匠であるが、その意匠により「乙丙」という一つの有意なロゴを認識できるので、単独で有意な意匠である。
【0062】
また、可動装飾物51が第1位置にある場合には、
図2(a)に示されるように、第1の意匠と可動装飾物51により、「甲乙丙」との全体として統一のある第3の意匠が構成される。
【0063】
可動装飾物51は、互いに異なる位置である第1位置と第2位置との間を移動範囲として移動するように構成されている。可動装飾物51は、第1位置にある場合(
図2(a)及び
図6(a)参照)、第2領域R2と、透明領域RTを介して視認可能な裏面側視認領域(不図示)とにまたがっている。一方、可動装飾物51は、第2位置にある場合(
図2(b)及び
図6(c)参照)、第2領域R2内に収まる。
【0064】
駆動機構54は、
図6(a)(b)に示されるように、2つのモータ55a、55bと、2つのギア(ピニオン)56a、56bと、移動部材(ラック)57aと、受止部57bと、支持部材58と、落下補助部材59a,59bとを備える。
【0065】
各モータ55a、55bは、それぞれ正回転駆動、逆回転駆動をするように構成されている。
【0066】
各ギア56a、56bは、それぞれモータ55a、55bの回転駆動により回転するように構成されている。
【0067】
移動部材57aは、上下方向に形成された矩歯部を有し、これに各ギア56a、ギア56bがかみ合うように構成されている。移動部材57aは、ギア56a又はギア56bが正回転するとき、上方に移動し、かつ、ギア56a又はギア56bが逆回転するとき、下方に移動するように配置されている。
【0068】
移動部材57aは、上部に存在するとき、上側のモータ55a及びギア56aの回転により上下に移動し、下部に存在するとき、下側のモータ55b及びギア56bの回転により上下に移動するように構成されている。
【0069】
受止部57bは、底面で移動部材57aと連結しており、移動部材57aと連動して上下に移動するように構成されている。また、受止部57bは、その表面に落下してきた可動装飾物51を受け止めるための突起部を有している。受止部57bは、可動装飾物51を受け止めた状態で、可動装飾物51が第1位置に位置するまで上方に移動させることが出来る。
【0070】
支持部材58は、可動装飾物51を支持しながら上下に移動できるように構成されている。支持部材58は、移動部材57aと連動するストッパ(不図示)により、所定位置で係止されるように構成されている。ストッパは、移動部材57aが上方に移動する場合に、支持部材58を所定位置で係止し、移動部材57aが下方に移動する場合に、支持部材58の係止を解除するように構成されている。
【0071】
落下補助部材59a,59bは、上下に延びた棒状の部材で構成される。支持部材58が落下補助部材59a,59bに沿って移動することにより、可動装飾物51の落下が安定する。
【0072】
可動装飾物51(支持部材58)がストッパによって第1位置に係止されている場合、モータ55a又は55bの逆回転駆動によりギア56a又はギア56bが逆回転をすると、移動部材57aが下方に移動する。この移動部材57aの下方への移動に連動するストッパによって、支持部材58の係止が解除される。
【0073】
この結果、可動装飾物51(及び支持部材58)が、落下補助部材59a,59bに沿って落下する。可動装飾物51の落下は、
図6(c)に示すように、当該可動装飾物51を支持する支持部材58の上端の一部を受止部57bの突起部に受け止められることにより停止する。受止部57bの突起部が落下した可動装飾物51を受け止める位置が第2位置となる。
【0074】
一方、可動装飾物51が第2位置にある状態で、モータ55a又は55bの正回転駆動によりギア56a又はギア56bが正回転をすると、移動部材57aが上方に移動する。当該移動部材57aの移動に連動して受止部57bが支持部材58を下から支えながら上方へ持ち上げる。また、移動部材57aの上方への移動に伴って動くストッパにより、支持部材58が第1位置に係止される。
【0075】
可動装飾物支持機構50が化粧板20の裏面に取り付けられた状態では、左側固定部材53a及び駆動機構54の表面側には、内側パネル30及び化粧板20が取り付けられ、右側固定部材53bの表面側には装飾部材40が取り付けられている。このため、左側固定部材53a、駆動機構54、及び右側固定部材53bは、前面からは視認されない。
【0076】
また、固定装飾物52は、
図2(a)に示すように、初期状態(可動装飾物51が第1位置にある場合)では前面から視認されないが、可動装飾物51が下方に移動した場合(可動装飾物51が第2位置にある場合)には、
図2(b)に示すように、前面から視認されるようになる。
【0077】
また、初期状態では、化粧板20の開口部25を介して可動装飾物51の第1部分51aが視認可能となっているとともに、内側パネル30の透明部分33dを介して可動装飾物51の第2部分51bが視認可能になっている。可動装飾物51が下方に移動することにより、より広範囲にわたって可動装飾物51が視認可能となる。
【0078】
液晶表示装置15は、遊技の進行に応じた種々の動画を表示するように構成されている。
【0079】
第1実施形態によれば、可動装飾物51が、第1位置において、第2領域R2と裏面側視認領域(裏面側領域のうち透明領域RTを介して視認可能な領域、より具体的には第2部分51bによって形成される領域)とにまたがって配置されていても、第2領域R2と透明領域RTとを介して当該可動装飾物51のほぼ全体を視認させることが出来る。このため、当該可動装飾物51が、第2領域R2にのみ配置された場合に比べ、当該可動装飾物51の大きさ、配置場所についての設計自由度が高められる。
【0080】
また、第1実施形態によれば、可動装飾物51が第1位置と第2位置との間を移動することにより、装飾部材40と固定装飾物52とにより構成される意匠部の視認可能な範囲が変化し、複数の有意な意匠が視認される。これらの意匠では、その構成要素の一部が共通するので、これを見た遊技者に意匠間の関連性を印象付けることが出来、印象深い意匠的効果を発揮できる。
【0081】
第1実施形態において、固定装飾物52の表面は、「丁乙丙」の有意な意匠の一部を構成するように形成されているが、これに代えて、「乙丙」と一見して関係のない、例えば「乙丙」が破壊されたような印象を与える意匠が形成されてもよい。
【0082】
このように構成することで、可動装飾物51が第1位置にある場合には全体として統一のある意匠が視認可能となる一方、可動装飾物51が第2位置にある場合には、当該意匠と印象が異なる意匠が視認可能となる。この結果、遊技者に驚きを与えることが出来、印象深い意匠的効果を発揮できる。
【0083】
なお、本実施形態においては、可動装飾物51、固定装飾物52及び装飾部材40により第1の意匠「乙丙」、第2の意匠「丁乙丙」及び第3の意匠「甲乙丙」が形成されたが、これに代えて又は加えて、可動装飾物51が第2位置にあるときに可動装飾物51と第1の意匠の少なくとも一部により有意な第4の意匠(例えば「甲丙」又は「乙丙甲」のような意匠)が形成されるように、可動装飾物51及び第1の意匠を構成してもよい。
【0084】
また、第1位置で視認不能且つ第2位置で視認可能な可動装飾物51の部分に装飾(例えば「丁」の文字を表す装飾)を施すことにより、当該装飾を含んだ第4の意匠(例えば「甲丁丙」の文字を表す意匠)を構成してもよい。
【0085】
第4の意匠は、第2の意匠を利用しても第2の意匠を利用しなくともよいが、可動装飾物51が第1位置にある場合に意匠の構成要素である第1の意匠(上記例における「乙丙」)が視認でき、第2位置に移動した場合にも第1の意匠が視認できかつ第1の意匠の少なくとも一部(上記例における第2の意匠の場合「乙丙」、第4の意匠の場合「乙丙」又は「丙」)を用いてもうひとつの意匠を構成する、という点で両者(第2の意匠と第4の意匠)は共通している。
【0086】
(第2実施形態)
次に、
図7を参照して、第2実施形態として、遊技球が進入しない領域にある装飾物の部分を前方に配置し、その裏面側に他の装飾物を配置した実施形態を説明する。
【0087】
第2実施形態の遊技機の遊技盤は、
図7(a)に示されるように、全体が透明に構成された遊技盤60において、遊技球が打ち出される第1領域61a(透明領域)と、第1領域61aの中央に位置する第2領域61bと、第1領域61aの裏面側に位置する裏面側領域(不図示)と、遊技球の第2領域61bへの進入を防止するために第1領域61aと第2領域61bとを区画する区画部材62とを備える。
【0088】
装飾物63は、第2領域61bと、裏面側領域のうち当該第1領域61aを介して視認可能な裏面側視認領域(不図示)とにまたがって配置されている。
【0089】
装飾物63は、第2領域61bに配置された第1部分63aと、裏面側視認領域に配置された第2部分63bとを備える。
【0090】
図7(b)に示されるように、第1部分63aは、第2部分63bよりも前方に配置されている。第1部分63aの裏面側には、板状の下側可動物65が配置されている。また、第2部分63bの裏面側には、回転軸66を中心に回転運動をする上側可動物67が配置されている。下側可動物65は、上側可動物67の動きに連動して動くように構成されている。下側可動物65が本発明の「第2の可動役物」に相当し、上側可動物67が本発明の「第3の可動役物」に相当する。
【0091】
図7(a)に示されるように、下側及び上側可動物65,67がそれぞれ第1部分63a及び第2部分63bの裏面側に配置されているため、初期状態では、遊技者は下側及び上側可動物65,67を見ることが出来ない。一方、演出等に伴って、下側及び上側可動物65,67が駆動された場合には、
図7(c)に示されるように、下側可動物65が例えば第2部分63bの左方に出現する。
【0092】
第2実施形態によれば、第2領域61bに配置された第1部分63aを前方に配置することにより、その裏面側に他の装飾物(下側可動物65)を配置することが出来、配置自由度を高めることが出来る。また、第2部分63bの裏面側にある回転軸66を中心として回転運動をする上側可動物67と、下側可動物65とが連動することにより、遊技者に興趣を与えることが出来る。
【0093】
なお、装飾物63は、裏面側視認領域と第2領域61bとにまたがった移動範囲において移動可能に構成された可動役物として構成されてもよい。
【0094】
(他の実施形態)
上記の実施形態は、本発明の一例であり、これ以外にも本発明を実施することができれば、本発明の趣旨を逸脱しない限り、様々な変形例が考えられる。
【0095】
上記の実施形態においては、可動物が第1位置及び第2位置との2つの位置の間を移動するように構成されたが、これに限られず、3つ以上の位置を移動するように構成されてもよい。また、可動物は、上下方向の単純な移動にとどまらず、例えば振動をするなど、複雑な移動をするように構成されてもよい。
【0096】
本発明では第1位置が上方の位置で第2位置が下方の位置であったが、これに限られず、例えば、第1位置を左方の位置とし、第2位置を中央の位置としてもよい。また、それぞれ上下左右が逆でもよい。
【0097】
本発明では、装飾物は、第1位置において遊技盤の上方で裏面側視認領域と第2領域とのまたがるように配置されたが、これに限られず、例えば、遊技盤の下方、左方、右方において裏面側視認領域と第2領域とにまたがるように構成されてもよい。
【0098】
第1実施形態の透明領域RTに遊技球検出手段(例えば、遊技球検出センサを有する入賞口等)を設けてもよい。
【0099】
この場合、可動装飾物51が第1位置にある場合に当該遊技球検出手段では遊技球を検出しても特段の処理をせず、可動装飾物51が第2位置にある場合に当該遊技球検出手段で遊技球を検出した場合に演出等の特定の処理をするように遊技機を構成してもよい。この構成により、可動装飾物51の移動と演出との連動をさせることが出来るので、遊技者の興趣が高められる。
【0100】
また、第1実施形態では区画部材31の表面のほとんどが塗色され不透明であったが、これに限られず、例えば可動装飾物51をまたぐ区画部材31の部分を透明性のある部材で構成してもよい。このような構成により、後方にある可動装飾物51等の視認可能範囲が広げられ、設計自由度が高められる。
【0101】
また、上記した実施形態では、装飾物として、主に「甲乙丙」等のロゴを表示する装飾物又は人の顔を模した装飾物が採用されたが、これに限られず、パチンコ遊技機を識別するためのロゴを表示する装飾物又はキャラクタの顔等の他の図柄を表示する装飾物が採用されてもよい。
【0102】
以上、パチンコ遊技機を例に実施形態を説明したが、本発明は、これに限られず、アレンジボール機や雀球式遊技機にも適用が可能である。