(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来のカメラ用シャッタ装置などの羽根駆動装置では、ターレット部材を多く含み、これらの部材には類似部材があるため、組み立て間違いが発生することがある。部材の組み立て間違いが発生した場合、装置が正常に動作しないことがある。このような場合、組み立て間違いがあるか否かは、組み立てられた装置を分解しないと確認することが困難であった。しかしながら、組み立てられた装置を分解するにはかなりの時間を要していた。また、組み立てられた装置を再度組み立てた場合、ネジの締め具合などにより、必ずしも装置分解前と同じ動作をするとは限らず、不具合の原因特定が困難となる場合もあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記課題を解決するために次のような手段を採る。なお、以下の説明において、発明の理解を容易にするために図面中の符号等を括弧書きで付記するが、本発明の各構成要素はこれらの付記したものに限定されるものではなく、当業者が技術的に理解しうる範囲にまで広く解釈されるべきものである。
【0006】
本発明の一の手段は、
それぞれ光路用の開口部(1)を有する地板(10)及び裏板(20)と、
前記地板と裏板との間に移動可能に配置され、移動により前記開口部の開閉状態を変更可能に構成された複数のシャッタ羽根(41、42)と、を備え、
前記裏板には、前記複数のシャッタ羽根の全てを視認可能な第1孔部(21)が形成されている、
シャッタ装置である。
【0007】
上記構成のシャッタ装置によれば、裏板側から複数のシャッタ羽根が適切に組み立てられているかを目視することができ、組み立て間違いがあるか否かを容易に判定することが可能となる。また、第1孔部周辺を監視カメラなどの撮像装置により撮像し、画像処理を行えば、シャッタ装置に組み立て間違いがあるか否かを組立検査工程で自動的に行うことなどが可能となる。
【0008】
上記シャッタ装置において、好ましくは、
一の前記複数のシャッタ羽根(41)には、前記裏板側から他の前記複数のシャッタ羽根を視認可能となる第2孔部が形成されている。
【0009】
上記構成のシャッタ装置によれば、裏板の第1孔部からは複数のシャッタ羽根を視認でき、一のシャッタ羽根の孔部からは他のシャッタ羽根の第2孔部を視認できる。これにより、裏板側から複数のシャッタ羽根が適切に組み立てられているかを容易に確認することが可能となる。
【0010】
上記シャッタ装置において、好ましくは、
前記第1項部は、前記第2孔部よりも大きく、
前記第1孔部と前記第2孔部とは、同心形状となっている。
【0011】
上記構成のシャッタ装置によれば、各部材が水平方向にも位置ずれなく適切に配置されているか否かを判別することが可能となる。または、検査時に第1孔部周辺の画像を連続的に残しておくことで、各部材を成形するための金型の変形を検出することも可能となる。
【0012】
また、本発明の他の手段は、上記いずれかのシャッタ装置を備える撮像装置である。
【0013】
上記構成の撮像装置によれば、シャッタ装置部分の組み立て間違いを容易に判定することが可能となる。
【0014】
また、本発明の他の手段は、
第1構造(裏板20)、第2構造(シャッタ羽根41)、及び第3構造(シャッタ羽根42または仕切板31など)が順に積層された組立構造であって、
前記第1構造(裏板20)には、前記第2構造及び前記第3構造を視認可能な第1孔部が形成されており、
前記第2構造(シャッタ羽根41)には、前記第1構造側から前記第3構造を視認可能な第2孔部が形成されている、
組立構造である。
【0015】
上記構成の組立構造によれば、組み立て間違いを第1孔部から視認可能であり、これにより組み立て間違いを容易に判定可能な構造とすることが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る実施形態について、以下の構成に従って図面を参照しながら具体的に説明する。ただし、以下で説明する実施形態はあくまで本発明の一例にすぎず、本発明の技術的範囲を限定的に解釈させるものではない。なお、各図面において、同一の構成要素には同一の符号を付しており、その説明を省略する場合がある。
1.実施形態
2.変形例
3.補足事項
【0018】
<1.実施形態>
本実施形態のカメラなどに適用されるシャッタ装置は、裏板に形成された孔部からシャッタ羽根や仕切板を視認可能になっている点に特徴のひとつがある。以下、本実施形態のシャッタ装置について、図を参照しながら具体的に説明する。
【0019】
図1は、本実施形態のシャッタ装置の分解斜視図である。
図2は、
図1の側とは反対側から見た、本実施形態のシャッタ装置(地板の裏側部分)の分解斜視図である。
【0020】
図1に示されるように、本実施形態のシャッタ装置は、地板10、裏板20、仕切板31及び32、並びにシャッタ羽根41及び42を含んで構成される。これらの部材は、地板10、仕切板32、シャッタ羽根42、仕切板31、シャッタ羽根41、裏板20の順に組み立てられている。これらの各部材は、ネジ51により組み立てられている。仕切板32と仕切板31との間、及び仕切板31及び裏板20との間にはそれぞれ羽根室が形成され、各羽根室にはシャッタ羽根42及びシャッタ羽根41がそれぞれ配置されている。
【0021】
図2に示されるように、地板10において、シャッタ羽根41及び42などが配置された面とは反対の面には凹部が形成されており、この凹部にはロータ60、ヨーク70、ボビン一体型の押え板80、及び電極板90が配置されている。これらの各部材は、ネジ52及び53により組み立てられている。実際に組み立てられたときには、ボビン一体型の押え板80のボビン部分にヨーク70が挿入される。
【0022】
<地板10>
地板10は、その中心に開口部を備えて円形状に形成され、その第1面側においてシャッタ羽根41及び42を含むシャッタ装置の各構成を支持するよう構成される。地板10の第1面側には、例えばネジ51を挿入可能なネジ穴などが形成されている。
【0023】
<裏板20>
裏板20は、地板10と同様、中心部に開口部を備えて円形状に形成される。裏板20は、第1面側において、地板10と対向する位置に配置される。上記のとおり、地板10と裏板20との間には仕切板31及び32、並びにシャッタ羽根41及び42などが配置される。裏板20は、ネジ51により地板10に対して固定される。また、裏板20には孔部21が形成されている。シャッタ装置が組み立てられた状態では、孔部21を地板10と反対側の裏板20の孔部21からは、シャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32の少なくともいくつかの構成が視認可能となっている。なお、孔部21は、本発明における第1孔部の一例である。
【0024】
<仕切板31及び32>
仕切板31及び32は、地板10と裏板20との間に配置される。仕切板31及び32は円形状に形成され、その中心部には開口部が形成される。仕切板31と裏板20との間にはシャッタ羽根41が配置される羽根室が形成され、仕切板31と仕切板32との間にはシャッタ羽根42が配置される羽根室が形成される。仕切板31及び32は、シャッタ羽根41及び42が互いに接触することで摩耗したり破損したりすることを防止するために配置される。なお、シャッタ羽根同士が接触しづらい構成にする場合には、仕切板31及び32は不要な構成となる場合もある。また、地板10の形状によっては、地板とシャッタ羽根42との間に仕切板32を設けなくてもよい。
【0025】
<シャッタ羽根41及び42>
シャッタ羽根41及び42は、それぞれ裏板20と仕切板31との間の羽根室、及び仕切板31と仕切板32との間の羽根室に配置される。シャッタ羽根41及び42は、それぞれが動作することで、地板10、裏板20並びに仕切板31及び32に形成された、光路用の開口部を開閉する。シャッタ羽根41及び42はそれぞれロータ60に連結され、ロータ60が回動することで動作させられる。なお、詳細な説明は後述するが、仕切り板31、シャッタ羽根41、及びシャッタ羽根42には、組み立てられた状態において孔部21と対応する位置(重なり合う位置)に、それぞれ孔部が設けられている。また、これらの部材に設けられた孔部は、本発明における第2孔部の一例である。
【0026】
<ロータ60>
ロータ60は、地板10における上記第1面側とは反対側の第2面側に形成された凹部に配置され、シャッタ羽根41及び42と連結される。ロータ60は、少なくともその円柱部分の周囲が永久磁石で形成されている。ロータ60の周囲を覆う位置にはヨーク70が配置され、ヨーク70の着磁状態が変化することでロータ60が回動する。
【0027】
<ヨーク70>
ヨーク70は、ロータ60と共に地板10の凹部に配置される。ヨーク70はU字状に形成され、その端部が円柱状に欠けた形状に形成されている。ヨーク70の円柱状に欠けた部分には、ロータ60が配置され、これにより、ヨーク70はロータ60の周囲を覆うように配置される。また、ヨーク70は、ボビン一体型の押え板80のボビン部分に挿入される。ヨーク70は、このボビン部分に巻線により形成されるコイルへの通電により励磁されて着磁状態が変化し、これによりロータ60を回動させる。
【0028】
<ボビン一体型の押え板80>
ボビン一体型の押え板80は、ネジ52及び53により地板10に固定されることで、地板10に形成された凹部にヨーク70及びロータ60を押さえ、保持するよう構成される。組み立て状態において、ボビンには巻線が形成され、これによりヨーク70を覆うコイルが形成させる。コイルに対しては、電極板90から電力が与えられ、これによりヨーク70を励磁可能になっている。
【0029】
<電極板90>
電極板90には、外部から与えられた電力をコイルに印加するための配線が形成されている。
【0030】
次に、本実施形態の特徴部分である孔部21周辺の構成について説明する。
図3は、組み立て時のシャッタ装置を裏板20の側から見た平面図である。シャッタ装置には、地板10、裏板20、並びに仕切板31及び32に形成された開口部により、光路用の開口部1が画定されている。上述のとおり、裏板20には、孔部21が形成されている。孔部21からは、その奥に配置されたシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32が視認可能になっている。なお、孔部21からはこれらの構成の一部のみが視認可能になっていてもよい。
【0031】
図4は、組み立てられたシャッタ装置における孔部21を見たときの図である。
図4(a)〜(g)に示されるように、孔部21からは、上記のように、シャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32の少なくとも一部が視認される。
図4(a)〜(c)には、孔部21から仕切り板32と、シャッタ羽根41、仕切り板31またはシャッタ羽根42とが視認される例を示している。
図4(d)〜(f)には、孔部21から仕切り板32と、シャッタ羽根41、仕切り板31、及びシャッタ羽根42のうちいずれか2つとが視認される例を示している。
図4(g)には、孔部21からシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切り板42が視認される例を示している。
【0032】
図4(g)を参照して、上述したように、裏板20の孔部21から視認されるシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32には、孔部21よりも径が小さい孔部が形成されている。これらの孔部は、シャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32の順に径が小さくなるよう形成されると、全ての部材が裏板20の孔部21から視認可能となる。そして、これらの部材が視認できる状態では、シャッタ羽根41、仕切板31、及びシャッタ羽根42が正しく組み立てられていると判断することができる。一方、シャッタ羽根41、仕切板31またはシャッタ羽根42が正しく組み立てられていない状態で裏板20の孔部21から部材を視認すると、たとえば
図4(a)〜(f)に示すように、孔部21から各部材を視認することが出来ない。このような場合、正しく組み立てられていないと判断することができる。なお、
図4には示されていないが、孔部21からはシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32の全ての構成と、地板10とを視認可能な構成にすることが可能である。
【0033】
このような孔部21などの構成を備えるシャッタ装置によれば、裏板20の側から複数のシャッタ羽根41及び42が適切に組み立てられているかを目視することができ、組み立て間違いがあるか否かを容易に判定することが可能となる。また、孔部21の周辺を監視カメラなどの撮像装置により撮像し、画像処理を行えば、シャッタ装置に組み立て間違いがあるか否かを組立検査工程で自動的に行うことなども可能となる。
【0034】
<2.変形例>
次に、本実施形態の特徴部分である孔部21周辺の構成の変形例について説明する。
図5は、組み立て時のシャッタ装置を裏板20の側から見た平面図である。裏板20に形成された孔部21からは、その奥に配置されたシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32が視認可能になっている。
【0035】
図6は、組み立てられたシャッタ装置における孔部21を見た図である。
図6(j)は、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32が正しく組み立てられている状態の一例を示している。一方、
図6(a)〜(i)は、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32のいずれかが正しく組み立てられていない状態の一例を示している。
図6(j)に示された、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32が正しく組み立てられている状態では、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32が正しい状態で視認される。一方で、
図6(a)〜(i)に示された、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32のいずれかが誤って組み立てられた状態では、シャッタ羽根41及び42、並びに仕切板31及び32が異常状態で視認される。
【0036】
このように、裏板20の孔部21から視認されるシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32には、それぞれの構成より奥にある構成が孔部21から見られるような孔部または切り欠き部などが形成されている。なお、
図6には示されていないが、孔部21からはシャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32の全ての構成と、地板10とを視認可能な構成にすることが可能である。
【0037】
<3.補足事項>
以上、本発明の実施形態についての具体的な説明を行った。上記説明は、あくまで一実施形態としての説明であって、本発明の範囲はこの一実施形態に留まらず、当業者が把握可能な範囲にまで広く解釈されるものである。
【0038】
上記実施形態では、シャッタ装置を例に挙げて説明したが、このような構成は必ずしもシャッタ装置に限定されるものではなく、種々の組立構造体に適用することが可能である。ただし、このような構成は、シャッタ羽根や仕切板が類似形状となっているために組み立て間違いが発生しやすく、かつ組み立て後には組み立て間違いの確認が困難となるシャッタ装置において特に有用である。
【0039】
また、上記実施形態のシャッタ装置では、それぞれの構成の重なり状態が孔部21から視認可能なように、シャッタ羽根41、仕切板31、シャッタ羽根42、及び仕切板32に孔部または切り欠きが形成されることが好ましい。これにより、各構成が適切に重ねられて組み立てられているか否かを容易に判定可能となる。
【0040】
また、上記実施形態のシャッタ装置では、裏板20の孔部21から仕切板やシャッタ羽根を視認可能な構成となっているが、地板10に孔部を形成し、この孔部から仕切板やシャッタ羽根を視認可能な構成としてもよい。ただし、比較的薄く形成された裏板20に孔部を形成する構成の方が、孔部の奥の仕切板やシャッタ羽根を視認しやすくなるため好ましい。
【0041】
また、上記実施形態では、孔部は円形状に形成されていたが、必ずしも円形状に形成される必要はなく、三角形状、四角形状、または楕円状などの他の形状で形成されてもよい。
【0042】
また、上記実施形態では、2枚のシャッタ羽根及び2枚の仕切板を含む構成を例に挙げて説明したが、シャッタ羽根及び仕切板の数は任意に設計可能である。
【解決手段】それぞれ光路用の開口部(1)を有する地板(10)及び裏板(20)と、前記地板と裏板との間に移動可能に配置され、移動により前記開口部の開閉状態を変更可能に構成された複数のシャッタ羽根(41、42)と、を備え、前記裏板には、前記複数のシャッタ羽根の全てを視認可能な第1孔部(21)が形成されている、シャッタ装置を採用する。