特許第6097813号(P6097813)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097813留出燃料における表面電圧低減のための組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097813
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】留出燃料における表面電圧低減のための組成物
(51)【国際特許分類】
   C10L 1/10 20060101AFI20170306BHJP
   C10L 1/192 20060101ALI20170306BHJP
   C10L 1/16 20060101ALI20170306BHJP
   C10L 1/234 20060101ALI20170306BHJP
   C10L 1/24 20060101ALI20170306BHJP
   C10L 1/222 20060101ALI20170306BHJP
【FI】
   C10L1/10
   C10L1/192
   C10L1/16
   C10L1/234
   C10L1/24
   C10L1/222
【請求項の数】9
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2015-240648(P2015-240648)
(22)【出願日】2015年12月9日
(65)【公開番号】特開2016-108569(P2016-108569A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2015年12月9日
(31)【優先権主張番号】62/089,299
(32)【優先日】2014年12月9日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391007091
【氏名又は名称】アフトン・ケミカル・コーポレーション
【氏名又は名称原語表記】Afton Chemical Corporation
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】特許業務法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・エイ・レグラト
【審査官】 森 健一
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−520343(JP,A)
【文献】 特開2005−240037(JP,A)
【文献】 特開2005−023321(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C10L 1/00− 1/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留出燃料のための相乗的導電性改良剤添加物組成物であって、
A)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24−α−オレフィン−マレイミドコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、
B)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとの重合反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物と、を含み、
前記添加物組成物は、前記添加物組成物の総重量を基準として30〜60重量%の成分(A)及び30〜60重量%の成分(B)を含み
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として10〜20重量%の範囲であり、成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の8〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として5〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として50〜80重量%の範囲であり、成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の1〜10重量%の範囲である、
前記添加物組成物。
【請求項2】
(iv)成分が芳香族溶媒の混合物を含む、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項3】
多量の留出燃料と、導電性を改良する少量の請求項1に記載の添加物組成物とを含む留出燃料組成物。
【請求項4】
成分(B)は、成分(B)の総重量を基準として1〜5重量%の(vi)を含む、請求項1に記載の添加物組成物。
【請求項5】
前記燃料組成物中の前記添加物組成物は、前記燃料組成物の総体積を基準として、0.25〜5mg/Lの成分(A)及び(B)の総重量の範囲である、請求項3に記載の留出燃料組成物。
【請求項6】
留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法であって、留出燃料を提供し、前記燃料に、
A)燃料組成物の総体積を基準とした重量で0.25〜2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24−α−オレフィン−マレイミドコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、
B)前記燃料組成物の総体積を基準とした重量で0.25〜2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとの重合反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物と、を添加することを含み、
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として10〜20重量%の範囲であり、成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の8〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として5〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として50〜80重量%の範囲であり、成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の1〜10重量%の範囲である、
前記方法。
【請求項7】
留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法であって、
第1の留出燃料を提供し、前記第1の燃料に、第1の燃料組成物の総体積を基準とした重量で0.25〜5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24−α−オレフィン−マレイミドコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物を含む、燃料添加物(A)を添加することと、
第2の留出燃料を提供し、前記第2の燃料に、第2の燃料組成物の総体積を基準とした重量で0.25〜5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとの重合反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物を含む、燃料添加物(B)を添加することと、
前記第1の燃料及び前記第2の燃料を、0.1:1〜10:1の体積比で混合することと、を含み、
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として10〜20重量%の範囲であり、成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の8〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として5〜15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として50〜80重量%の範囲であり、成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の1〜10重量%の範囲である、
前記方法。
【請求項8】
成分(B)中の(vi)の量は、成分(B)の総重量を基準として1〜5重量%の範囲である、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
成分(B)中の(vi)の量は、成分(B)の総重量を基準として1〜5重量%の範囲である、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、2014年12月9日に出願された仮出願第62/089,299号への優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本開示は、航空機翼タンクなどの貯蔵タンクが充填されるときに、静電放電及び発火事象の危険性を低減するように、燃料の低表面電圧を維持するための組成物及び方法に関する。具体的には、本開示は、相乗的組み合わせの静電消散添加物、及び相乗的組み合わせの添加物を含有する留出燃料組成物に関する。
【背景と概要】
【0003】
静電消散添加物は、燃料がパイプ及び高表面積フィルタを通じて流れる際に燃料中で静電荷が増大する危険性を低減するために、ディーゼル、航空タービン(ジェット)燃料、及びガソリンを含む多くの留出燃料において使用されている。静電荷の増大は100kVに達する場合もあり、適切な接着及び接地があったとしても、静電放電が起こり、発火及び爆発をもたらす可能性がある。概して、放電のエネルギーは、留出燃料に対して発火性であるために、局所的放電に関しては1kV超(または−1kV未満)、またはブラシ放電に関しては30kV超(または−30kV未満)でなければならない。航空燃料においては現在、低表面電圧を維持するため及び燃料の電圧緩和速度を増大させるために1つの静電消散添加物のみが認可されている。導電性添加物の組み合わせは、航空燃料における規制によって推奨されないだけでなく、航空燃料への任意の新規または追加の添加物が、燃料中の任意の他の添加物に対抗するか、または悪影響を及ぼすことがないことを示すための大規模な試験を必要とする。したがって、航空燃料用に唯一認可されている導電性添加物は、スルホン酸、第4級アンモニウム、及び芳香族溶媒と組み合わせた、ポリスルホン/アミンエピクロルヒドリンポリマーの組み合わせの添加物である。
【0004】
炭化水素燃料中の微量物質、例えば、酸、アルコール、アミン、及びメルカプタンなどは、燃料が、純粋な無添加(unadditized)の燃料よりはるかに容易にイオン化されて、帯電したフラグメントを付与することを可能にすることが既知である。残念ながら、前述の化合物の多く及び他の不純物は、燃料中に常に存在し、したがって、電荷を発生させる燃料の全体的な傾向は予想ができず、少なくとも100倍変動する。発生する電荷の規模はまた、流速にも依存する。したがって、フィルタコアレッサーなどの微細フィルタは、パイプ及び接続具と比較して巨大な表面積のため、膨大な静電気帯電を付与する場合がある。静電荷はまた、タンク内の燃料の表面上で容易に増大することがある。燃料中の不純物のレベルが未知であるため、燃料の導電性または表面電圧緩和時間に悪影響を及ぼすことなく低燃料表面電圧を維持する必要性が存在する。
【0005】
前述の観点から、本開示の実施形態は、留出燃料の低表面電圧を相乗的に維持するための添加物組成物混合物及び方法を提供する。一実施形態では、留出燃料のための相乗的導電性改良剤添加物組成物が提供される。本添加物組成物は、A)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、B)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物とを含む。本添加物組成物は、添加物組成物の総重量を基準として、30〜60重量%の成分(A)及び30〜60重量%の成分(B)を含有する。
【0006】
別の実施形態では、留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法が提供される。本方法は、留出燃料を提供し、該燃料に、燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)ヒドロカルビル置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、B)燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物と、を添加することを含む。
【0007】
また別の実施形態は、留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法を提供する。本方法は、第1の留出燃料を提供し、該第1の燃料に、第1の燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)ヒドロカルビル置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物を含む、燃料添加物(A)を添加することと、第2の留出燃料を提供し、該第2の燃料に、第2の燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物を含む、燃料添加物(B)を添加することと、第1の燃料及び第2の燃料を0.1:1〜10:1の体積比で混合することと、を含む。
【0008】
本開示の別の実施形態は、多量の留出燃料と、導電性を改良する少量のA)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物、ならびにB)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物とを含む、留出燃料組成物を提供する。
【0009】
本開示の実施形態の利点は、燃料、具体的には、航空またはジェット燃料が、燃料の導電性または電圧緩和時間に悪影響を及ぼすことなく、相乗的に低い表面電圧で維持され得ることである。導電性改良添加物に由来する2つの異なる種類のアミンポリマーの存在によって達成される相乗的に低い表面電圧は、驚くべきことであり、極めて予想外であった。概して、ポリスルホン及びアミンポリマーの混合物は、導電性を効果的に上昇させ、電荷緩和速度を増大させるが、燃料がパイプ及びフィルタを通過するときに発生される電荷の量も増大させる場合がある。電荷の規模及び方向(すなわち、正または負)は、パイプ材料、プラスチック対金属、固有の燃料特性、及び使用される添加物によって決定される。従来の導電性添加物は、ポリスルホン及びエピクロルヒドリン/ジアミンポリマーを含有する。しかしながら、本明細書に説明されるポリスルホン及び2つの異なるアミンポリマーを含む燃料は、アミンポリマーのうちの1つのみを含有する導電性添加物または燃料によって達成することができる表面電圧よりも、低い表面電圧を提供する。添加物の配合設計に応じて、燃料は、全体的な負または正の正味電荷を有する場合がある。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本明細書で使用されるとき、「中間留出燃料」は、ディーゼル燃料、バイオディーゼル、バイオディーゼル由来燃料、合成燃料、ジェット燃料、灯油、微粒子制御のための含酸素添加剤で処理されたディーゼル燃料、それらの混合物、及びASTM D975の定義を満たす他の生成物から成る群から選択される1つ以上の燃料を意味するように理解され
る。本明細書で使用されるとき、「バイオディーゼル」は、バイオマス液化(BTL)燃料などの、生物学的供給源に由来する燃料を含むディーゼル燃料を意味するように理解される。合成燃料としては、石炭液化(CTL)燃料などの石炭から生成される燃料、ガス液化(GTL)燃料などの天然ガスから生成される燃料、ならびに植物アルコールからジェット(ATJ)、及び脂肪酸の水素化エステル(HEFA)燃料を含む他の合成経路から生成される燃料が挙げられるが、これらに限定されない。ある態様では、中間留出燃料は、最大50%、例えば、約10%〜約20%などの約0.5%〜約30%の、生物学的供給源及び/または合成燃料供給源に由来する燃料を含有することができる。
【0011】
中間留出燃料は、例えば、菜種、ヒマワリ、大豆種子などの油性種子などの生物学的供給源に由来し得る。種子は、飽和及び不飽和(選択される油性種子に応じた割合の、互いとの混合物中のモノ及びポリ不飽和)C16〜C22脂肪酸のトリグリセリドを含む油を抽出するために、粉砕及び/または溶媒抽出処理(例えば、n−ヘキサンによる)に供することができる。油は、任意の可能な存在する遊離脂肪及びリン脂質を除去するために、濾過及び精製プロセスに供することができ、また脂肪酸のメチルエステル(脂肪酸メチルエステルは、「FAME」としても既知であり、また一般的にバイオディーゼルと称される)を調製するために、メタノールによるエステル交換反応に供することができる。
【0012】
本明細書で使用されるとき、用語「ヒドロカルビル基」または「ヒドロカルビル」は、当業者に周知であるその通常の意味で使用される。具体的には、それは、分子の残りの部分に直接付着された炭素原子を有し、また主に炭化水素特徴を有する基を指す。ヒドロカルビル基の例としては、
(1)炭化水素置換基、すなわち、脂肪族(例えば、アルキルまたはアルケニル)、脂環式(例えば、シクロアルキル、シクロアルケニル)置換基、ならびに芳香族、脂肪族、及び脂環式の置換芳香族置換基、ならびに環が分子の別の部分を通じて完了される環式置換基(例えば、2つの置換基が一緒に脂環式ラジカルを形成する)、
(2)置換炭化水素置換基、すなわち、本明細書における説明の文脈において主に炭化水素置換基を変更しない、非炭化水素基を含有する置換基(例えば、ハロ(特にクロロ及びフルオロ)、ヒドロキシ、アルコキシ、メルカプト、アルキルメルカプト、ニトロ、ニトロソ、及びスルホキシ)、
(3)ヘテロ置換基、すなわち、主に炭化水素特徴を有するが、本説明の文脈において、さもなくば炭素原子からなる環または鎖内に炭素以外を含有する置換基が挙げられる。ヘテロ原子としては、硫黄、酸素、窒素が挙げられ、またピリジル、フリル、チエニル、及びイミダゾリルなどの置換基を包含する。概して、ヒドロカルビル基内の炭素原子10個当り、2つ以下、またはさらなる例では、1つ以下の非炭化水素置換基が存在する。いくつかの実施形態では、ヒドロカルビル基内に非炭化水素置換基が全く存在しない。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「多量」は、50重量%以上、例えば、組成物の総重量に対して約80〜約98重量%の量を意味するように理解される。さらに、本明細書で使用されるとき、用語「少量」は、組成物の総重量に対して50重量%未満の量を意味するように理解される。
成分(i)
【0014】
アルケニルポリスルホンポリマーは、しばしばオレフィン−二酸化硫黄コポリマー、オレフィンポリスルホン、またはポリ(オレフィンスルホン)と表され、その構造がオレフィン及び二酸化硫黄の交互コポリマーの構造であると見なされ、頭から尾の配置においてコモノマーのオレフィンとの1対1のモル比を有する直鎖ポリマーである。本明細書で使用されるポリスルホンポリマーは、当該技術分野において既知の方法によって容易に調製される。
【0015】
ポリスルホンポリマーの重量平均分子量は、約10,000〜1,500,000ダルトンの範囲であり、好ましい範囲は、約50,000〜900,000であり、また最も好ましい分子量は、約100,000〜500,000の範囲である。その分子量が約10,000未満であるポリスルホンポリマーは、炭化水素燃料における導電性の増大に効果的でありながら、より高い分子量のポリスルホンポリマー程には導電性値を増大させない。その分子量が約1,500,000を超えるポリスルホンポリマーは、生成が困難であり、また取り扱いがより困難である。
【0016】
ポリスルホンポリマーの分子量を所望の範囲に制御することは、使用する開始剤の量、重合温度などの重合条件を制御することによって、またはドデシルメルカプタンなどの分子量調節剤を使用することによって、ポリマー科学分野の当業者によって容易に達成される。所望の分子量範囲を得るために必要な分子量調節剤の量は、二酸化硫黄で重合化されている特定の1−オレフィンに依存し、またいくつかの実験によって容易に決定することができる。概して、ドデシルメルカプタンなどの、50,000〜900,000の範囲の分子量を得るために使用される調節剤の量は、1−オレフィン1モル当り最大約0.007モルの範囲である。
【0017】
ポリスルホンポリマーの調製に有用な1−アルケンは、石油のクラッキングプロセスまたはエチレンの低度の重合に由来する純粋なまたは混合されたオレフィンとして市販されている。1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタデセン、1−ノノデセン(nonodecene)、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、及び1−テトラコセンが挙げられる。分枝鎖アルケンは有用ではあるが、直鎖1−アルケンが、純粋であるか、または他の直鎖1−アルケンとの混合であるかにかかわらず好ましい。
【0018】
ポリスルホンポリマーが最大10モルパーセントのオレフィンAHC=CHBを含有するとき、A及びBは、共にジカルボン酸無水物基を形成する。ジカルボン酸無水物基は、単純な酸加水分解によって2つのカルボキシル基に容易に変換される。オレフィン、AHC=CH2は、CH2=CH−(Cx2x)−COOHによって表される末端不飽和アルケニル酸である。ビニル及びカルボキシル基を架橋するアルキレン基は、1〜17個の炭素原子を有することができるか、または不在であることができ、かかるアルキレン基は、存在する場合、直鎖基または分枝鎖であることができる。有用な酸は、オレフィン基が末端基である3〜20個の炭素原子のアルケニル酸である。末端オレフィン基を有するアルケニル酸の代表的ではあるが非限定的な例としては、アクリル酸、3−ブテン酸、4−ペンテン酸、5−ヘキセン酸、6−ヘプテン酸、7−オクテン酸、8−ノネン酸(nonenoic acid)、9−デセン酸、10−ウンデセン酸、11−ドデセン酸、13−テトラデセン酸、15−ヘキサデセン酸、17−オクタデセン酸、及び末端オレフィン基を有する分枝鎖アルケニル酸、例えば、2−エチル−4−ペンテン酸、2,2−ジメチル−4−ペンテン酸、3−エチル−6−ヘプテン酸、2−エチル−6−ヘプテン酸、2,2−ジメチル−6−ヘプテン酸などが挙げられる。アルケニル酸の混合物を使用してもよいことが理解されるべきである。
【0019】
ポリスルホン形成につながる反応は、当該技術分野において既知のフリーラジカル重合プロセスである。ほぼすべての種類のラジカル開始剤が、ポリスルホン形成の開始に有効である。酸素、オゾニド、t−ブチルペルオキシピバレート、過酸化水素、アスカリドール、過酸化クメン、過酸化ベンゾイル、アゾビスイソブチロニトリルなどのラジカル開始剤は、有用な開始剤のいくつかの例である。フリーラジカルは、熱的に及び/または光活性化によってかのいずれかで、二酸化硫黄及び1−アルケンの混合物の存在下でかかるラジカル開始剤から発生される。重合は、典型的には、液相内で、好都合には、ベンゼン、
トルエン、またはキシレンなどの反応を促進するための溶媒中で実行される。かかる溶媒は、所望により、例えば、留出によって除去することができるが、概して、かかる溶媒中でポリスルホンコポリマーを濃縮物として使用することがより好都合である。概して、任意の未反応二酸化硫黄は窒素ガスをポリマー溶液中に通過させることによって容易に除去されるため、過剰な二酸化硫黄を使用することが好ましい。しかしながら、過剰な1−アルケンが使用されてもよく、過剰分は、留出によってその後除去される。
【0020】
得られるポリスルホンポリマーは、反応する具体的なモル比にかかわらず1−アルケン及び二酸化硫黄を1:1のモル比で含有するため、1−アルケンの二酸化硫黄に対する具体的なモル比は、重要ではないと考えられる。しかしながら、反応物質及び設備の利用効率のため、僅かに過剰な二酸化硫黄が好ましい。重合は、大気圧または超大気圧にて実行することができ、重合反応は、圧力とは独立している。重合温度は、用いられる特定の1−アルケンの天井温度を下回る任意の好都合な温度であってよい。天井温度とは、重合及び脱重合の速度が等しく、その結果、ポリマー形成が生じない温度である。概して、好都合な重合温度範囲は、約0〜50℃である。
【0021】
上記に説明される成分(A)及び(B)の各々は、各成分の総重量を基準として約10〜約20重量%のポリスルホンポリマーを含有することができる。
成分(ii)
【0022】
成分(ii)の化合物は、1つ以上の塩基性窒素原子と、少なくとも4個の炭素原子を有する少なくとも1つの比較的長鎖の分枝または直鎖炭化水素ラジカルとを含有する、ポリマー材料を含む。一実施形態では、炭化水素ラジカルは、少なくとも8個の炭素原子、好適には少なくとも12個の炭素原子、特に16〜50個の炭素原子を有する。成分(ii)の化合物は、ヒドロキシル基を実質的に欠いている。
【0023】
比較的長鎖の分枝または直鎖炭化水素ラジカルは、塩基性窒素原子、または塩基性窒素原子のうちの1つ、または炭素原子、特に、ポリマー構造内の主ポリマー鎖の炭素原子上にあってもよい。かかる比較的長鎖の炭化水素ラジカルを有する、成分(ii)に好適なオリゴマーまたはポリマー構造の種類としては、オリゴエチレンアミンまたはオリゴエチレンイミンのハロゲン化アルキルとの反応生成物、ポリイソブテニル無水コハク酸(polyisobutenylsuccinic anhydride)を伴うポリエチレンイミン、エチレン−酢酸ビニル−アミノ(メタ)アクリレートターポリマー、及び特に、ポリアミンで誘導体化されたオレフィン−無水マレイン酸コポリマー、具体的には、少なくとも1つの塩基性窒素原子を有するα−オレフィン−マレイミドコポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0024】
オリゴエチレンアミンのハロゲン化アルキルとの反応生成物の典型的な例は、デカエチレンウンデカミン及び複数のモル過剰な塩化n−ヘキサデシルから形成される櫛様構造の反応生成物である。
【0025】
成分(ii)の少なくとも1つの塩基性窒素原子を有するα−オレフィン−マレイミドコポリマーに関する構造及び調製プロセスは、原理的には米国特許第4,416,668号の文書内に説明されている。一実施形態では、α−オレフィン−マレイミドコポリマーは、無水マレイン酸による6〜50個の炭素原子を有する1つ以上の直鎖または分枝α−オレフィンのフリーラジカル重合、及び1つ以上のポリアミンによるその後の反応によって得られる。α−オレフィン−無水マレイン酸コポリマー、及びそれから調製されるα−オレフィン−マレイミドコポリマーは、典型的には、主ポリマー鎖が交互に変わり、1つのマレイン酸単位の後に1つのα−オレフィン単位が常に続く、1:1コポリマーである。比較的長鎖の分枝または直鎖炭化水素ラジカルの結果、櫛構造が概して生じる。
【0026】
成分(ii)のα−オレフィン−マレイミドコポリマーを調製するための、6〜50個の炭素原子を有する有用な分枝、また特に直鎖1−オレフィンは、例えば、1−ヘキセン、1−ヘプテン、1−オクテン、1−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン、1−ドデセン、1−トリデセン、1−テトラデセン、1−ペンタデセン、1−ヘキサデセン、1−ヘプタデセン、1−オクタ−デセン、1−ノナデセン、1−エイコセン、1−ヘンエイコセン、1−ドコセン、1−トリコセン、1−テトラコセン、1−トリアコンテン、1−テトラコンテン、1−ペンタコンテン、またはそれらの混合物である。12〜30個の炭素原子を有する、特に、16〜24個の炭素原子を有する直鎖1−オレフィン、及びそれらの混合物が、特に好ましい。
【0027】
無水マレイン酸による1−オレフィンのフリーラジカル重合は、慣習的な方法によって実施される。この目的のため、慣習的なフリーラジカル開始剤、特に、例えば、過酸化ジ−tert−ブチル、tert−ブチルペルオキシピバレート、またはアゾビスイソブチロニトリルなどの過酸化物またはアゾ化合物をベースとするものが使用され、慣習的な温度及び圧力範囲、例えば、標準圧力での50〜150℃などが用いられ、反応は、慣習的な溶媒、例えば、芳香族炭化水素中で実施される。使用される溶媒は、好ましくは、下記に説明される成分(iv)の高沸点有機溶媒である。
【0028】
重合の完了後、得られたα−オレフィン−無水マレイン酸コポリマーは、対応するイミドを付与するために1つ以上のポリアミンと反応される。第1級アミノ基を有するポリアミンが、イミド形成のために必要であり、そして、塩基性窒素原子のために少なくとも1つのさらなる第1級、第2級、または第3級アミノ基が必要である。この文脈における好適な例は、比較的短鎖のジアミン、例えば、エチレンジアミン、1,3−プロピレンジアミン、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン(「DMAPA」)、もしくはビス[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アミン(「ビス−DMAPA」)など、または比較的長鎖のジアミン、例えば、獣脂脂肪−1,3−ジアミノプロパンなどである。このイミド形成のための慣習的な反応条件は、当業者に既知である。このイミド形成のために溶媒が追加で使用される場合、成分(iv)の高沸点有機溶媒の使用が好ましい。
【0029】
脂肪族ポリアミンと反応されるα−オレフィン−無水マレイン酸コポリマーの典型的な例は、C16/24−α−オレフィン無水マレイン酸コポリマー及び3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピルアミン(「DMAPA」)またはビス[3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル]アミン(「ビス−DMAPA」)から形成される櫛様構造を有する反応生成物である。
【0030】
説明される成分(ii)の少なくとも1つの塩基性窒素原子を有するα−オレフィン−マレイミドコポリマーは、典型的には、500〜50,000、特に、1000〜10,000ダルトンの重量平均分子量を有する。典型的なα−オレフィン−マレイミドコポリマーは、イミドを付与するように獣脂脂肪−1,3−ジアミノプロパンと反応されており、1000〜10,000ダルトンの範囲の重量平均分子量を有するα−オレフィン−無水マレイン酸コポリマーである。
【0031】
成分(A)中の成分(ii)の量は、成分(A)の総重量を基準として約8〜約15重量%の範囲であってよい。
成分(iii)
【0032】
スルホン酸成分は、好ましくは有機スルホン酸であり、それは、油溶性を達成するために比較的長鎖または比較的大量のヒドロカルビルラジカルを適切に有し、特に、6〜40個の炭素原子、具体的には、8〜32個の炭素原子、より好ましくは10〜24個の炭素
原子を有する。好適なヒドロカルビルラジカルは、直鎖または分枝アルキルまたはアルケニルラジカル、例えば、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、n−ノニル、n−デシル、2−プロピルヘプチル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、イソトリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、n−ヘキサデシル、n−ヘプタデシル、n−オクタデシル、n−ノナデシル、n−エイコシル、n−ヘンエイコシル、n−ドコシル、n−トリコシル、n−テトラコシル、オレイル、リノリル(linolyl)もしくはリノレニル(linolenyl)、シクロアルキルラジカル、例えば、シクロヘキシル、メチル−シクロヘキシル、もしくはジメチルシクロヘキシルなど、アリールラジカル、例えば、フェニルもしくはナフチルなど、アラルキルラジカル、例えば、ベンジルもしくは2−フェニルエチルなど、またはより好ましくは、アルカリルラジカル、特に、直鎖もしくは分枝C1〜C18アルキル基で置換されたフェニルもしくはナフチル、例えば、トリル、キシリル、n−ノニルフェニル、n−デシルフェニル、n−ドデシルフェニル、イソトリデシルフェニル、n−ノニルナフチル、ジ−n−ノニルナフチル、n−デシルナフチル、ジ−n−デシルナフチル、n−ドデシルナフチル、ジ−n−ドデシルナフチル、イソトリデシルナフチルもしくはジイソトリデシルナフチルなどであってよい。後者のモノ置換フェニルラジカルの場合、アルキル基は、スルホン酸基に対してオルト、メタ、またはパラ位置にあってよく、パラ配向が好ましい。成分(iii)の典型的な例はしたがって、n−ノニルベンゼンスルホン酸、n−デシル−ベンゼンスルホン酸、n−ドデシルベンゼンスルホン酸、イソトリデシルベンゼンスルホン酸、n−ノニルナフチルスルホン酸、ジ−n−ノニルナフチルスルホン酸、n−デシルナフチルスルホン酸、ジ−n−デシルナフチルスルホン酸、n−ドデシルナフチルスルホン酸、ジ−n−ドデシル−ナフチルスルホン酸、イソトリデシルナフチルスルホン酸、及びジイソトリデシルナフチルスルホン酸である。
【0033】
述べられる有機スルホン酸に加えて、成分(iii)として、例えば、同様に比較的長鎖または比較的大量のヒドロカルビルラジカルを適切に有する油溶性の有機スルフィン酸または有機ホスホン酸、特に、6〜40個の炭素原子、具体的には、8〜32個の炭素原子、より好ましくは、10〜24個の炭素原子を有するものを使用することも原理的に可能である。
【0034】
濃縮物を調合するとき、ポリマーポリアミンは、保管中の沈殿物形成への改良された耐性のために、塩として、具体的にはスルホン酸塩として存在することが好ましい。例えば、説明されるポリマーポリアミンを遊離塩基形態で含む濃縮物が、約44℃の高温で約4週間の期間保管される場合、微量の沈殿物が形成する場合がある。濃縮物中の微量の沈殿物の存在は、静電気防止添加物としての本組成物の有用性にはほとんどまたは全く影響を及ぼさないが、単に美的観点から望ましくない。塩酸、硫酸、またはスルホン酸などの強酸は、濃縮物中の沈殿物形成を制限するために使用することができることが見出されている。油溶性スルホン酸は、組成物の導電特性に対して実質的な悪影響を及ぼさずに沈殿物形成を効果的に阻害するため、好ましい。アルカンスルホン酸またはアルカリルスルホン酸などの任意の油溶性スルホン酸が、使用されてもよい。有用なスルホン酸は、油を硫酸で処理することによって得られる石油スルホン酸である。
【0035】
概して、濃縮物中に組み込まれるスルホン酸の量は、当量、すなわち、ポリマーポリアミンのすべてアミン基を中和するのに十分なスルホン酸の量であるが、ただし、当量よりも少ないまたは多い量を使用することができる。
【0036】
上記に説明される成分(A)及び(B)の各々は、各成分の総重量を基準として約5〜約15重量%のスルホン酸成分を含有することができる。
成分(iv)
【0037】
成分(iv)の芳香族溶媒は、表面電圧の低減または燃料の導電性の改良のための添加物配合物の活性成分ではないが、成分(i)、(ii)、(iii)、(v)、及び(vi)とのその相互作用を通じてその活動を促進及び強化して、配合物の熱安定性に寄与し、比較的高い引火点を確実にする。
【0038】
一実施形態では、成分(iv)は、少なくとも80重量%の範囲、具体的には少なくとも90重量%の範囲まで、9〜30個の炭素原子を有する高沸点芳香族炭化水素、またはかかる高沸点芳香族炭化水素の混合物から成る。最も好ましくは、成分(iv)は、少なくとも80重量%の範囲、特に、少なくとも90重量%、具体的には、100重量%の範囲まで、9〜20個の炭素原子、特に、9〜14個の炭素原子を有する高沸点芳香族炭化水素の混合物である。かかる芳香族炭化水素は、具体的には、二環式、三環式、もしくは多環式芳香族、例えば、ナフタレン、ジフェニル、アントラセン、もしくはフェナントレン、または脂肪族側鎖を有するモノ、二環式、三環式、もしくは多環式芳香族、例えば、C7〜C14アルキル側鎖、特に、C7〜C12アルキル側鎖を有する置換ベンゼン、例えば、n−ドデシルベンゼンもしくはn−テトラデシルベンゼンなどであるが、具体的には、C1〜C6アルキル側鎖を有するもの、例えば、n−プロピルベンゼン、イソプロピルベンゼン、エチルメチルベンゼン、トリメチルベンゼン、エチルジメチルベンゼン、ジエチルベンゼン、n−ブチルベンゼン、イソブチルベンゼン、sec−ブチルベンゼン、tert−ブチルベンゼン、n−ペンチルベンゼン、tert−ペンチルベンゼン、n−ヘキシルベンゼン、メチルナフタレン、ジメチルナフタレン、もしくはC2〜C6アルキル−ナフタレンである。言及されるすべての芳香族炭化水素は、標準圧力で150℃を上回る、概して、標準圧力で156〜167℃の範囲の沸点を有する。
【0039】
言及される9個以上の炭素原子を有する芳香族炭化水素に加えて、成分(iv)は、0〜20重量%未満の非芳香族有機溶媒成分(例えば、長鎖パラフィン及び/または脂環式化合物及び/または複素環式化合物、各場合において100℃超、具体的には、130℃超の沸点を有する)、及び/または9個未満の炭素原子を有する芳香族溶媒成分(例えば、トルエンまたはキシレン)を含んでもよい。一実施形態では、芳香族溶媒は、多量の溶媒ナフサ及びキシレン及び/またはトルエンを含んでもよい。
【0040】
上記に説明される成分(A)及び(B)の各々は、各成分の総重量を基準として約50〜約80重量%の芳香族溶媒を含有してもよい。
成分(v)
【0041】
本添加物組成物の成分(B)のアミンポリマー成分(v)は、エピクロルヒドリンの脂肪族第1級モノアミンまたはN−脂肪族ヒドロカルビルアルキレンジアミンとのポリマー反応生成物である。ポリマー反応生成物は、アミンをエイプクロロヒドリンと共に50〜100℃の温度範囲内で1:1〜1.5のモル割合で加熱することによって調製される。概して、脂肪族モノアミン、R1NH2に関して、モル比は約1:1である。初期反応生成物は、第1級モノアミンによるエピクロルヒドリンの付加物と考えられる。アミノクロロヒドリンは、無機塩基との反応後、アミノエポキシドを形成する。アミノエポキシドは、反応性エポキシド基及び反応性アミノ水素を含有し、重合を受けて、複数のアミノ基を含有するポリマー材料を提供する。使用されるエピクロルヒドリンのアミンに対する比率及び反応温度は、ポリマー反応生成物が、アミノエポキシドに由来する2〜20の繰り返し単位を含有するようなものである。
【0042】
エピクロルヒドリンと共にポリマー反応生成物を調製するために使用され得る脂肪族第1級モノアミンは、直鎖または分枝鎖であり得、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ウンデシルアミン、ドデシルアミン、トリデシルアミン、テトラデシルアミン、ペンタデシルアミン、ヘキサデシルアミン、ヘプタデシルアミン、オクタデシルアミン、
ノナデシルアミン、エイコシルアミン、ヘンエイコシルアミン、ドコシルアミン、トリコシルアミン、テトラコシルアミン、及び対応するアルケニル類似体が挙げられるが、これらに限定されない。脂肪族第1級アミンは、炭化水素燃料中での十分な可溶性のポリマー反応生成物を提供するために、少なくとも約8個の炭素原子、好ましくは約12〜18個の炭素原子を有しているべきである。約24個を超える炭素原子を含有する脂肪族第1級アミンは、有用であるが、かかるアミンの利用可能性は限定されている。
【0043】
脂肪族第1級アミンの混合物を使用することもでき、トール油、獣脂、大豆油、ココナッツ油、綿実油、ならびに他の植物及び動物起源の油に由来する第1級アミンの混合物は、市販されており、個別のアミンよりも低費用であるため、好ましい。上記のアミンの混合物は概して、約12〜18個の炭素原子のアルキル及びアルケニルアミンを含有するが、ただし、個々のアミン混合物は、その供給源に応じてより少ないまたはより多い炭素原子を有する微量の第1級アミンを含有する場合もある。第1級モノアミンの市販の混合物の好ましい例は、少量のテトラデシルアミンと共に主にヘキサデシル及びオクタデシルアミンを含有する水素化獣脂アミンである。
【0044】
同様に、N−脂肪族ヒドロカルビルアルキレンジアミンも、エピクロルヒドリンと反応されて、成分(v)を作成することができる。かかるジアミンとしては、N−オクチル、N−ノニル、N−デシル、N−ウンデシル、N−ドデシル、N−トリデシル、N−テトラデシル、N−ペンタデシル、N−ヘキサデシル、N−ヘプタデシル、N−オクタデシル、N−ノナデシル、N−エイコシル、N−ウンエイコシル、N−ドコシル、N−トリコシル、N−テトラコシル、ならびにエチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンチレンジアミン、及びへキシレンジアミンの対応するN−アルケニル誘導体が挙げられる。好ましいN−脂肪族ヒドロカルビルアルキレンジアミンは、N−脂肪族ヒドロカルビル−1,3−プロピレンジアミンである。N−脂肪族ヒドロカルビル−1,3−プロピレンジアミンは、市販されており、アクリロニトリルによるシアノエチル化及びシアノエチル化アミンの水素化によって、上記に説明されるものなどの脂肪族第1級モノアミンから容易に調製される。N−脂肪族ヒドロカルビル−1,3−プロピレンジアミンの混合物も、有利に使用することができる。好ましい混合物は、N−獣脂−1,3−プロピレンジアミンであり、「獣脂」は、14個の炭素原子の微量のアルキル及びアルケニル基を含有し得る16〜18個の炭素原子のアルキル及びアルケニル基の混合物を主に表す。
【0045】
アミン(上記に説明される)とエピクロルヒドリンとの間の反応は、有利なことに、ベンゼン、トルエン、またはキシレンなどの溶媒の存在下で実行され、それはまた、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのいくつかのヒドロキシル成分も含有してもよい。アミノクロロヒドリン中間物を形成するアミンとエピクロルヒドリンとの間の初期反応の後、反応物質を、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、または水酸化リチウムなどの強い無機塩基で処理して、アミノエポキシドを形成し、それは、持続的加熱の下で重合を受けて、所望のアミンポリマー生成物をもたらす。反応中に形成される無機塩化物は、濾過によって除去される。反応を促進するために使用される溶媒は、所望により、例えば、留出によって除去することができるが、概して、ポリマーポリアミンを溶液として使用することがより好都合である。
【0046】
成分(B)中の成分(v)の量は、成分(B)の総重量を基準として約1〜約10重量%の範囲であってよい。
成分(vi)
【0047】
成分(B)は、任意に、一般式:
【化1】
を有する第4級アンモニウム化合物を含有してもよく、式中、R1及びR2は、1〜22個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基であり、R3は、1〜22個の炭素原子を有するアルキル基と、
【化2】
基とから成る群から選択され、式中、R5は、水素またはメチルであり、nは、1〜20であり、R4は、
a.1〜22個の炭素原子を有するアルキル基と、
b.7〜22個の炭素原子を有するアラルキル基と、
【化3】
基であって、式中、R5は水素またはメチルであり、nは1〜20である、基と、
【化4】
基であって、式中、R6及びR7は、11〜19個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基である、基と、
e.−R8−CO2-基であって、式中、R8は1〜17個の炭素原子を有するヒドロカルビル基である、基と、から成る群から選択されるが、
ただし、R1、R2、R3、及びR4が各々アルキル基であるとき、R1、R2、R3、及びR4のうちの少なくとも1つは、少なくとも8個の炭素原子を有するアルキル基であり、Aは、アニオンであり、zは、0〜1であり、R4が(d)または(e)であるとき、zは、0であり、yは、少なくとも1であり、zが1であるとき、yは、アニオンAのイオン価に数値的に等しい。
【0048】
1、R2、R3、及びR4がアルキル基である有用な第4級アンモニウム化合物は、テトラアルキルアンモニウム塩である。R1、R2、R3、及びR4の定義の範囲内のアルキルラジカル及びアラルキルラジカルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、エイコシル、ドコシル、オクタデセニル、オクタデカジエニル、オクタデカトリエニル、
トール油、獣脂、大豆油、ココナッツ油、綿実油、ならびに他の植物及び動物起源の油に由来する炭化水素ラジカルの混合物、ならびに例えば、ベンジル、フェニルエチル、フェニルプロピルなどのアリール置換アルキルラジカルなどが挙げられる。テトラアルキル第4級アンモニウム塩は、市販されているか、または当該技術分野において既知の方法による調製によって容易に利用可能である。例えば、特定の有用なテトラアルキルアンモニウム塩としては、ジメチルジ(水素化獣脂)第4級アンモニウム塩化物、ジメチルジソヤ(dimethyldisoya)第4級アンモニウム塩化物、ジメチルジ(水素化獣脂)第4級アンモニウム亜硝酸塩、ジココジメチル第4級アンモニウム塩化物、及びジココジメチル第4級アンモニウム亜硝酸塩が挙げられる。
【0049】
第4級アンモニウム化合物はまた、既知の手順によって容易に調製され、例えば、式RNH2+3R1Cl→RN(R13Cl+2HClによって例示される通り、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アラルキル、アルキル硫酸塩などによるアミンの処理などである。開始アミンは、上記の式に例示されるような第1級アミンであってもよく、または第2級もしくは第3級アミンであってもよい。便宜上、第3級アミンが通常好ましい。本発明の第4級アンモニウム化合物の調製に有用なアミンは、概して市販されている。特に有用なアミンは、植物及び動物油に由来する第3級アミンである。
【0050】
有用なテトラアルキル第4級アンモニウム塩の代表的であるが非限定的な例としては、上記に列挙されるものに加えて、ジオクタデシルジメチルアンモニウム塩化物、オクタデシルトリメチルアンモニウム塩化物、ドデシルトリメチルアンモニウム塩化物、C12〜C14アルキルトリメチルアンモニウム塩化物、ジ−C12〜C14アルキルジメチルアンモニウム塩化物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム臭化物、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムヨウ化物、ジオクタデシルジメチルアンモニウム臭化物、ジオクタデシルメチルベンジルアンモニウム塩化物、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム塩化物、オクスタデシル(oxtadecyl)ジメチル(フェニルエチル)アンモニウム塩化物などが挙げられる。同様に、上記の第4級アンモニウムハロゲン化物に対応する亜硝酸塩、硫酸塩、アルキル硫酸塩、リン酸塩、カルボン酸塩を使用してもよい。この種類の好ましい塩は、ジココジメチルアンモニウム亜硝酸塩であり、「ココ」は、ココアミンのC8〜C18アルキルラジカルの混合物である。
【0051】
有用な第4級アンモニウム化合物としては、前述の一般式中のR3及びR4が、
【化5】
基であり、式中、R5及びnは上記に定義される通りであるものが挙げられる。これらの化合物は、エチレンオキシド及び1,2−プロピレンオキシドなどの1,2−アルキレンオキシドとの第1級アミンの反応によって、容易に調製される。アミンに付着されるアルキレンオキシド単位の数は、使用される反応物質の比率によって容易に決定される。当該技術分野において既知の通り、アルキレンオキシドの混合物、例えば、エチレンオキシド及びプロピレンオキシドの混合物などを使用して、窒素原子に付着されるポリオキシアルキレン基がアルキレンオキシド単位の無作為混合物から成るアミン誘導体を得ることができ、または凝縮反応を段階的に実行して、それによって、ポリオキシアルキレン基が1つのアルキレンオキシドに由来し、また次に別のアルキレンオキシドとの反応を継続することによって、ポリオキシアルキレン単位がブロックとして存在するポリオキシアルキレン置換基を得ることができる。ポリオキシアルキレン基を有するアミンは、上記に説明される通り、ハロゲン化アルキル、アルキル硫酸塩などを用いた反応によって4級化されても
よい。上記の説明の観点から、R5基は、n単位の各々において独立して水素またはメチルであってよい。
【0052】
第4級アンモニウム化合物のアニオン、Aは、塩形成酸の任意のアニオンであってよい。かかるアニオンとしては、塩化物イオン(chloride)、臭化物イオン(bromide)、ヨウ化物イオン(iodide)、硫酸化物イオン(sulfate)、重硫酸化物イオン(bisulfate)、アルキル硫酸化物イオン(alkylsulfate)、アリール硫酸化物イオン(arylsulfate)、アルカンスルホン酸化物イオン(alkanesulfonate)、アレーンスルホン酸化物イオン(arenesulfonate)、硝酸化物イオン(nitrate)、亜硝酸化物イオン(nitrite)、リン酸化物イオン(phosphate)、モノアルキルリン酸化物イオン(monoalkyl phosphate)、ジアルキルリン酸化物イオン(dialkyl phosphate)、モノアリールリン酸化物イオン(monoaryl phosphate)、ジアリールリン酸化物イオン(diaryl phosphate)、ホウ酸化物イオン(borate)、カルボン酸化物イオン(carboxylate)などが挙げられる。好ましいアニオンは、亜硝酸化物イオンである。
【0053】
式中、R4基が、
【化6】
であり、R6及びR7が、約11〜19個の炭素原子を有する同一または異なるアルキル基であり得る第4級アンモニウム化合物もまた、本発明に有用である。リン脂質またはレシチンとして知られるこの種類の化合物は、当該技術分野において周知であり、潤滑油中の非金属スラッジ分散剤として石油生成物において使用されている。
【0054】
オレフィンポリスルホンの第4級アンモニウム化合物に対する比率は、約100:1〜約1:100、好ましくは約50:1〜約1:1の範囲、最も好ましくは約20:1〜約1:1の範囲であってよい。使用が経済的である組成物を提供する最も好ましい比率は、導電性の増大に効果的であり、炭化水素燃料の他の望ましい特徴に悪影響を及ぼさない。したがって、成分(B)中の第4級アンモニウム化合物の量は、成分(B)の総重量を基準として約1〜約5重量%の範囲である。
【0055】
(vi)が成分(B)中に存在する場合、成分(B)は、2〜10個の炭素原子を有する少量の脂肪族アルコールを含んでもよい。一実施形態では、成分(B)は、5重量パーセント未満のC3〜C6アルコール、例えば、イソプロパノールを含む。
【0056】
かかる導電性炭化水素燃料を得るために添加物が添加される、通常液体の炭化水素燃料は、約20〜375℃の範囲で沸騰するものであり、航空ガソリン、モーターガソリン、ジェット燃料、ナフサ、灯油、ディーゼル燃料、及び留出バーナー燃料油として市販されているものが挙げられる。
【0057】
航空ガソリンは、航空エンジン、特に、プロペラ航空機のためのガソリンエンジン用に特別に開発された燃料であり、陸上車の運転のための商業用ガソリン燃料に類似している。
【0058】
有用なガソリン燃料としては、市場に通例あるすべての商業用ガソリン燃料組成物が挙げられる。国際公開第00/47698号に従うガソリン燃料組成物も、本発明の可能な使用分野である。言及されるガソリン燃料としてはまた、バイオエタノールも挙げられる
【0059】
有用な中間留出燃料としては、市場に通例あるすべての商業用ディーゼル燃料及び暖房油組成物が挙げられる。ディーゼル燃料は、典型的には、概して100〜400℃の沸騰範囲を有する鉱油ラフィネートである。これらは通常、最大360℃またはさらにはそれ以上の95%点を有する留出物である。これらはまた、「超低硫黄ディーゼル」または「都市ディーゼル」と称されることもあり、例えば、345℃以下の95%点及び0.005重量%以下の硫黄含有率によって、または例えば、285℃の95%点及び0.001重量%以下の硫黄含有率を特徴とする。その主要な構成要素が比較的長鎖のパラフィンである、精製によって得られるディーゼル燃料に加えて、好適なディーゼル燃料は、石炭ガス化[「石炭液化」(CTL)燃料]またはガス液状化[「ガス液化」(GTL)燃料]によって得られるものである。また、前述のディーゼル燃料の、バイオディーゼルなどの再生可能燃料との混合物も、好適である。また、バイオマス[「バイオマス液化」(BTL)燃料]によって得られるディーゼル燃料も好適である。低硫黄含有率を有する、すなわち、0.05重量%未満、好ましくは0.02重量%未満、具体的には0.005重量%未満、特に、0.001重量%未満の硫黄の硫黄含有率を有するディーゼル燃料は、特に関心が高い。ディーゼル燃料はまた、水を、例えば、最大20重量%の量で、例えば、ディーゼル−水マイクロエマルションまたはいわゆる「ホワイトディーゼル」の形態で含んでもよい。
【0060】
暖房油は、例えば、低硫黄もしくは多硫黄鉱油ラフィネート、または瀝青炭留出物もしくは褐炭留出物であり、典型的には、150〜400℃の沸騰範囲を有する。暖房油は、DIN51603−1に従う標準的な暖房油であってよく、0.005〜0.2重量%の硫黄含有率を有するか、または0〜0.005重量%の硫黄含有率を有する低硫黄暖房油である。暖房油の例としては、具体的には、家庭用油式ボイラー用の暖房油またはEL暖房油が挙げられる。
【0061】
開示される添加物は、タービン燃焼燃料油(ジェット燃料)の配合物に特に有用であり、概して約150〜600°F(65〜315℃)の制限内の沸騰範囲を有する炭化水素燃料であり、JP−4、JP−5、JP−7、JP−8、JetA、JetA−1などの用語によって指定される。JP−4、及びJP−5は、米軍用規格MIL−T−5624−Nによって定義される燃料であり、JP−8は、米軍用規格MIL−T83133−Dによって定義される燃料である。JetA、JetA−1、及びJetBは、ASTM規格D1655によって定義される。
【0062】
本添加物組成物は、任意の従来の様式で添加することができる。本組成物の各個別の成分は、炭化水素燃料に別々に添加されることができ、または成分(A)及び(B)を組み合わせた組成物が、単純な混合物としてか、もしくは芳香族溶媒、ベンゼン、トルエン、キシレン、燃料油などの溶媒中の溶液としてか、もしくはかかる溶媒の混合物中で、添加されることができる。ポリスルホンコポリマー及びポリマーポリアミンの両方を、上記のうちの1つ以上の溶媒中で調製することは、好都合である。したがって、ポリスルホン及びポリマーポリアミンのかかる溶液を使用して、それらを組み合わせることが好ましい。この組み合わせは、濃縮物と称することができ、炭化水素燃料に添加されることができる。かかる濃縮物は、好都合には、約1〜40重量%のポリスルホンコポリマー、約1〜40重量%のポリマーポリアミン、及び約20〜98重量%の溶媒または説明されるそれらの混合物を含有する。好ましくは、濃縮物は、約5〜25重量%、例えば、10〜20重量%のポリスルホンコポリマー、約1〜25重量%、例えば、約1〜15重量%のポリマーポリアミン、及び約50〜90重量%の溶媒を含有するであろう。したがって、燃料は、燃料の総体積を基準として、約0.1〜約10mg/Lの成分(A)及び(B)を含有する添加物、例えば、約0.2〜約8mg/L、または約0.25〜約5mg/Lの添加
物を含有するであろう。
【0063】
一実施形態では、成分(A)は、第1の燃料の総体積を基準として約0.25〜約5mg/Lの範囲の量で第1の燃料に添加することができ、成分(B)は、第2の燃料の総体積を基準として約0.25〜約5mg/Lの範囲の量で第2の燃料に添加することができる。第1の燃料及び第2の燃料は次に、約0.25:1〜約5:1、約0.5:1〜約2:1、または1:1など、0.1:1〜10:1の体積比で組み合わせることができる。
【0064】
1つ以上の追加の任意の添加物が、本明細書に開示される組成物中に存在することができる。例えば、本組成物は、消泡剤、分散剤、清浄剤、酸化防止剤、熱安定剤、分散媒、金属不活性化剤、染料、マーカー、腐食阻害剤、殺生物剤、抵抗低減剤、摩擦調整剤、乳化破壊剤、乳化剤、かすみ防止剤(dehazer)、凍結防止添加物、アンチノック添加物、界面活性剤、セタン改良剤、腐食阻害剤、低温流動性改良剤、流動点降下剤、溶媒、乳化破壊剤、潤滑添加物、極圧剤、粘度指数改良剤、シール膨潤剤、アミン安定剤、燃焼改良剤、分散剤、金属不活性化剤、マーカー染料、有機硝酸塩着火促進剤、マンガントリカルボニル化合物、及びそれらの混合物を含有することができる。いくつかの態様では、本明細書に説明される燃料添加物組成物は、添加物または燃料組成物の総重量を基準として、上記の添加物のうちの1つ以上を約10重量%以下、または他の態様では約5重量%以下含有することができる。同様に、本燃料組成物は、好適な量の燃料配合成分、例えば、メタノール、エタノール、ジアルキルエーテルなどを含有することができる。
【実施例】
【0065】
以下の実施例は、本開示の例示的実施形態を例証する。本実施例及び本出願の他の部分において、すべての部及び百分率は、別段に指定のない限り重量基準である。これらの実施例は、単に例証の目的のために提示されており、本明細書に開示される発明の範囲を限定することを意図されないことが意図される。
【0066】
試験燃料の導電性は、約1〜約2000ピコシーメンスm−1(pS/m)の範囲を有するEMCEE導電性計(モデル1152)を使用して、ASTM2624に従って評価した。すべての導電性値は、約20℃〜約25℃の温度範囲内で測定した。すべての導電性測定値は、CUまたは導電性単位としても既知であるピコシーメンスm−1(pS/m)である。
【表1】
【0067】
上記の表内の結果に示される通り、燃料の混合物において、表面電圧の絶対値は相乗的に低減され、導電性及び電荷緩和速度は影響を受けない。表面電圧の相乗的な低減は、2つの異なる種類のアミンポリマーをポリスルホンの存在下で併せて混合することによって達成されると考えられる。ポリスルホンとアミンポリマーとの混合物は、効果的に導電性
を上昇させ、電荷緩和速度を増大させるが、燃料がパイプ及びフィルタを通過するときに発生される電荷の量も増大させる。電荷の規模及び方向(すなわち、正または負)は、パイプ材料、プラスチック対金属、固有の燃料特性、及び使用される添加物によって決定される。従来の導電性添加物は、ポリスルホン、1−デセン/SO2を、燃料中で反対に荷電するエピクロルヒドリン/獣脂ジアミンポリマーと共に使用する。燃料中の成分(A)及び(B)の量に応じて、燃料は、全体的な負または正の正味電荷を有することができる。
【0068】
表は、燃料中で2つの添加物を合わせて混合するとき、電圧の絶対値が、どちらかの添加物を同一の導電性レベルで単独で使用するときよりも小さいことを示している。導電性は、燃料が静電気事象に対して安全であるかを決定するための工業標準試験である。しかしながら、タンクの充填中に生じる表面電圧は、放電が起こり得るか/放電がいつ起こり得るかを決定するであろう。放電は、+1000V超または−1000V未満で起こる可能性がある。したがって、添加物は個別に、ベース燃料の2つの規模の改良をもたらすが、それらを合わせて混合することは、予想外にさらなる規模の改良をもたらす。
【0069】
本明細書及び添付の特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、明確に及び明白に1つの指示対象に限定されない限り、複数の指示対象を含むことに留意されたい。したがって、例えば、「分散剤」への言及は、2つ以上の異なる分散剤を含む。本明細書で使用されるとき、用語「含む」及びその文法上の変形語は、非限定的であることが意図され、リスト内の項目の記載は、その列挙される項目に置換または追加され得る他の同様の項目を排除するものではない。
【0070】
本明細書及び添付の特許請求の範囲の目的のために、別段に指定のない限り、量、百分率、または割合を表すすべての数、及び本明細書及び特許請求の範囲で使用される他の数値は、すべての場合において用語「約」によって修飾されることを理解されたい。したがって、別段にそうではないことが示されない限り、以下の本明細書及び添付の特許請求の範囲に記載される数値パラメータは、本開示によって得ることが求められる所望の特性に応じて変動し得る近似値である。最低限でも、また特許請求の範囲への同等物の減速の適用を限定する試行としてではなく、各数値パラメータは少なくとも、報告された有効数字の数を考慮して、また通常の概算方法を適用することによって解釈されるべきである。
【0071】
特定の実施形態を説明してきたが、現在予期されるまたは予期され得る代替、修正、変形、改良、及び実質的同等物は、出願者または他の当業者に対して起こり得る。したがって、出願時及びそれらが改正され得る時の添付の特許請求の範囲は、すべてのかかる代替、修正、変形、改良、及び実質的同等物を包含することが意図される。
【0072】
本発明の主な特徴及び態様を挙げれば以下のとおりである。
1.
留出燃料のための相乗的導電性改良剤添加物組成物であって、
A)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)C16〜C24置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、
B)(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物と、を含み、
前記添加物組成物は、前記添加物組成物の総重量を基準として30〜60重量%の成分(A)及び30〜60重量%の成分(B)を含む、前記添加物組成物。
2.
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として約10〜約20重量%の範囲である、上記1に記載の前記添加物組成物。
3.
成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の約8〜約15重量%の範囲である、上記1に記載の前記添加物組成物。
4.
成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の約1〜約10重量%の範囲である、上記1に記載の前記添加物組成物。
5.
成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として約5〜約15重量%の範囲である、上記1に記載の前記添加物組成物。
6.
成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として約50〜約80重量%の範囲である、上記1に記載の前記添加物組成物。
7.
成分(B)は、成分(B)の総重量を基準として約1〜約5重量%の(vi)を含む、上記1に記載の前記添加物組成物。
8.
(iv)は、芳香族溶媒の混合物を含む、上記1に記載の前記添加物組成物。
9.
多量の留出燃料と、導電性を改良する少量の上記1に記載の前記添加物組成物とを含む、留出燃料組成物。
10.
前記燃料中の前記添加物組成物は、前記燃料組成物の総体積を基準として、約0.25〜約5mg/Lの成分(A)及び(B)の総重量の範囲である、上記9に記載の前記留出燃料組成物。
11.
留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法であって、留出燃料を提供し、前記燃料に、
A)燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)ヒドロカルビル置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物と、
B)前記燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約2.5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物と、を添加することを含む、前記方法。
12.
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として約10〜約20重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として約5〜約15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として約50〜約80重量%の範囲である、上記11に記載の前記方法。
13.
成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の約8〜約15重量%の範囲であり、成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の約1〜約10重量%の範囲であり、成分(B)中の(vi)の量は、8によって成分(B)の総重量の約1〜約5%の範囲である、上記11に記載の前記方法。
14.
留出燃料の表面電圧の絶対値を1000ボルト未満に相乗的に維持するための方法であって、
第1の留出燃料を提供し、前記第1の燃料に、第1の燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(ii)ヒドロカルビル置換マレイン酸/ポリアミンコポリマー、(iii)スルホン酸、及び(iv)芳香族溶媒の混合物を含む、燃料添加物(A)を添加することと、
第2の留出燃料を提供し、前記第2の燃料に、第2の燃料組成物の総体積を基準とした重量で約0.25〜約5mg/Lの(i)アルケニルポリスルホンポリマー、(v)C8〜C18脂肪族アミンまたはジアミンのエピクロルヒドリンとのポリマー反応生成物、(iii)スルホン酸、(iv)芳香族溶媒、及び任意に(vi)第4級アンモニウム化合物の混合物を含む、燃料添加物(B)を添加することと、
前記第1の燃料及び前記第2の燃料を、0.1:1〜10:1の体積比で混合することと、を含む、前記方法。
15.
成分(A)及び(B)の各々中の(i)の量は、各成分の総重量を基準として約10〜約20重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iii)の量は、各成分の総重量を基準として約5〜約15重量%の範囲であり、成分(A)及び(B)の各々中の(iv)の量は、各成分の総重量を基準として約50〜約80重量%の範囲であ
る、上記14に記載の前記方法。
16.
成分(A)中の(ii)の量は、成分(A)の総重量の約8〜約15重量%の範囲であり、成分(B)中の(v)の量は、成分(B)の総重量の約1〜約10重量%の範囲であり、成分(B)中の(vi)の量は、8によって成分(B)の総重量の約1〜約5%の範囲である、上記14に記載の前記方法。