【実施例】
【0017】
実施例の磁気治療装置は、
図1に示すように、電源接続コード1と2つの接続プラグ2、3を有するコントローラ4、両端にベルト通し部5、6を有するとともに最もコントローラ側に本体接続プラグ7を有する本体部8、及びコントローラ4と本体部8とを接続するための本体接続コード9からなっている。
そして、電源接続コード1は、電源プラグに接続するための電源接続用コンセント10を有し、コントローラ4は電源スイッチ11、モード選択スイッチ12及びタイマー表示部13を備えている。
また、本体部8は、最もコントローラ側に配置されるケースA、中間部に配置される3つのケースB、最も末端側に配置されるケースC及び各ケースの内部に収容される磁界発生装置からなっており、ケースA〜Cはいずれも合成樹脂製である。
【0018】
図2及び
図3に示すように、ケースAは末端側にケースBを回動自在に接続するための結合凹部14を有しており、
図2及び
図4に示すように、ケースBはコントローラ側にケースA又は他のケースBを回動自在に接続するための結合凸部15、末端側に他のケースB又はケースCを回動自在に接続するための結合凹部16を有している。
また、
図5に示すように、ケースCはコントローラ側にケースBを回動自在に接続するための結合凸部17を有している。
そして、本体接続コード9はコントローラ4の接続プラグ3に脱着可能なコントローラ接続端子18を有するとともに、本体接続プラグ7に脱着可能な本体接続端子19を有している。
【0019】
図2〜8を用いてケースA〜Cについて詳しく説明する。
ケースA〜Cは、いずれも底部及び蓋部の2つに分離できるようになっており、ケースAは4本のビス(図示せず)で固定され、ケースB及びCは、それぞれ3本のビス(図示せず)で固定される。
そして、固定状態においては、底部の底面20と蓋部の天面21は互いに平行となるようになっている。
なお、本体部8を分解する際には、コントローラ側のケースAから順次ビスをはずして分離していく。
また、本体部8を組み立てる際には、まずケースCの底部に磁界発生装置をセットし、ケースCの底部の結合凸部17をケースBの底部の結合凹部16に嵌合せ、ケースCとケースBの回動を適度に規制するためゴム板(図示せず)を挟んだ後、蓋部を被せビス(図示せず)をねじ込んで固定する。
次に、同様の作業をケースB同士で順次行い、最後にケースBとケースAとで同様の作業を行い全てのケースを固定すれば、本体部8の組み立てが終了する。
【0020】
ケースAは、
図2及び
図3に示すように、平面視が略正方形であり、そのコントローラ4側の隅部の1箇所に本体接続プラグ7がセットされ、その中央部に磁界発生装置がセットされる。
なお、磁界発生装置及びケースの底部中央はケースA〜Cともに同様の構成となっており、磁界発生装置とケースの底面及び天面との関係もケースA〜Cともに同様であるので、これらについては、
図6に示すケースBの磁界発生装置等と同じ図面番号を用い、ケースB及びCの磁界発生装置等とともに後述する。
【0021】
ケースBは、
図2及び
図4に示すように、平面視が略長方形であり、その中央部に磁界発生装置がセットされる。
ケースBの磁界発生装置は、ケースB及び磁界発生装置の分解図である
図6に示すように、コの字型のケイ素鋼板を複数枚重ねたコア(以下、単に「コア」という。)22、筒状の巻き付け部と上下フランジ等よりなるボビン23、筒状の巻き付け部の外側に巻き付けられた電磁コイル24、上フランジの上面の一部に固着されている緩衝材25、及びボビン23の端子26に挿入実装され他のケースのコネクタ基板等と電気的に接続されるコネクタ基板27を備えている。
そして、コア22は中間部と中間部の両端から上方に延びる突出部を有し、筒状の巻き付け部の内側にはコア22の突出部が挿入できるようになっている。
また、コネクタ基板27には第1コネクタ28及び第2コネクタ29が設置され、これらのコネクタは、ケースA又はコントローラ側に配置されるケースB内のコネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29、末端側に配置されるケースB又はケースC内のコネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29、並びにサーモスタット30と各々接続線により電気的に接続されている。
【0022】
接続線の先端部にはプラグ(図示せず)が装着されており、第1コネクタ28又は第2コネクタ29への接続は、それぞれのプラグ挿入部にプラグを差し込むことにより行えるようになっている。
そして、プラグを第1コネクタ28又は第2コネクタ29に挿入した後は接続線が容易には抜けないようにするため、プラグ及びプラグ挿入部にはロック機構(図示せず)が設けてある。
また、ケースBの底部中央には底面20から延びる2つのコの字状突起よりなるコア固定部31が設置されるとともに、1つのL字状突起及び柱状突起よりなるサーモスタット固定部32が設置されている。
なお、
図7及び
図8に示すように、上下フランジは互いに平行であり、磁界発生装置がセットされケースBが固定された状態においては、底部の底面20、蓋部の天面21、上フランジの上面及び下フランジの下面が互いに平行となる。
【0023】
ケースCは、
図5に示すように、平面視が略長方形であり、その中央部に磁界発生装置がセットされる。
ケースCの磁界発生装置は、ケースBと同様、コの字型のコア22、ボビン23、電磁コイル24、緩衝材25及びコネクタ基板27を備えており、上記のとおり、コネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29は、ケースB内のコネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29並びにケースC内のサーモスタット30と各々接続線により電気的に接続されている。
なお、ケースA内のコネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29は、ケースB内のコネクタ基板27に設置されている第1コネクタ28及び第2コネクタ29並びにケースA内のサーモスタット30と各々接続線により電気的に接続されているだけでなく、本体接続プラグ7とも接続線により電気的に接続されている。
【0024】
図7はコア22の一方の突出部の中心を通りケースBの短辺に平行な断面の形状を示す図、
図8はコア22の突出部の中心を通りケースBの長辺に平行な断面の形状を示す図である。
ケースBの底部中央に設置されているコア固定部31にコア22の中間部を嵌合させると、コア22の突出部がケースBの底面20に対して垂直に固定され、サーモスタット固定部32にサーモスタット30を嵌合させた後に、コア22の2つの突出部に各々ボビン23を挿入すると、下フランジがコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面に載置され、その後蓋部を被せビスをねじ込んで固定すればケースBに磁界発生装置がセットされる。
【0025】
図7及び
図8から分かるように、ケースBの底部に磁界発生装置を載置し蓋部を被せて固定した状態において、天面21とコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面との距離は、上フランジの上面と下フランジの下面との距離より大きくなるように設定されており、上フランジに固着してある緩衝材25の厚さは、両者の距離の差とほぼ同じに設定されている。
コア22及びボビン23の構造並びにコア22、ボビン23及び緩衝材25の配置やケースBとの関係は上記のとおりとなっているので、電磁コイル24に交流電流を印加するとボビン23及び電磁コイル24等は上下方向に振動する。
しかし、緩衝材25があることによってケースBに適度な振動が伝わり、不快な音をたてることがない。
そして、この関係はケースA及びCでも同様となっているので、全てのケースにおいて、適度な振動が伝わり、不快な音をたてることがない。
【0026】
図6に示すように、コア22の突出部の先端付近は厚さが薄くなっているとともに先細りの形状となっている。
また、
図7及び
図8に示すように、天面21の2箇所には円形の凹部33が設けてあり、ケースBに磁界発生装置をセットし蓋部を被せて固定した状態においては、コア22の突出部の先端がその凹部33に嵌入するようになっている。
加えて、電磁コイル24の巻数と線径を最適化し、電磁コイル24全体の電気抵抗を抑えることにより、各ケース上面のコア22の突出部の先端近傍において、従来の磁気治療装置では安定的に発生させることのできなかった150ミリテスラ(以下「mT」と記載、1500ガウスに相当)以上の磁束密度が得られ、強力な交番磁界を治療対象に作用させることができるようになった。
なお、電磁コイル24に印加する交流電流はデューティー比を最適化してあるので、通常の利用継続時間であれば本体部8の温度が許容範囲を超えることはない。
【0027】
磁界発生装置をセットしケースA〜Cを組み立てる際の手順について説明する。
なお、ボビン23には電磁コイル24が巻き付けられ、コネクタ基板27が取り付けられているとともに、組み立て前に本体接続プラグ7と5つのコネクタ基板27は接続線によって電気的に接続されているものとする。
(手順1)コア22の中間部をケースCのコア固定部31に嵌合し、サーモスタット30をサーモスタット固定部32に嵌合する。
(手順2)コア22の2つの突出部に、それぞれ筒状の巻き付け部を挿入し、ボビン23をコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面に届くまで押し下げる。
(手順3)ケースCの底部の結合凸部17をコントローラ側に位置するケースBの底部の結合凹部16に嵌入させ、ゴム板(図示せず)を結合凸部17と結合凹部16との隙間に挿入する。
(手順4)ケースCの蓋部を被せ3本のビスを締め付ける。
(手順5)上記(手順1)〜(手順4)の「ケースC」を「ケースB」に、「結合凸部17」を「結合凸部15」に置き換えて、上記(手順1)〜(手順4)を3回繰り返す。
ただし、3回目の(手順3)では「ケースBの底部の結合凹部16」を「ケースAの底部の結合凹部14」に、「結合凹部16」を「結合凹部14」に置き換える。
(手順6)コア22の中間部をケースAのコア固定部31に嵌合し、サーモスタット30をサーモスタット固定部32に嵌合する。
(手順7)コア22の2つの突出部に、それぞれ筒状の巻き付け部を挿入し、ボビン23をコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面に届くまで押し下げる。
(手順8)本体接続プラグ7をケースAの所定位置に嵌め込む。
(手順9)ケースAの蓋部を被せ4本のビスを締め付ける。
以上の作業によりケースA〜Cの組み立てが完了し、磁気治療装置が完成する。
【0028】
本発明の磁気治療装置は、上記のとおりコア22の突出部の先端近傍における磁束密度が非常に高くなるので、皮膚交感神経活動を低下させるとともに、皮膚血流量や頸部における血流量を増加させる効果が大きくなる。
そのため、末梢血液循環改善や脳のリラックスにも効果的である。
【0029】
また、交流磁気を仙骨又は膀胱付近に約2週間照射することにより、腹圧性尿失禁症(女性12名)に対する治験及び前立腺摘除後尿失禁症(男性13名)に対する治験において、排尿回数、1日パット交換枚数、QOLスコア(使用感、不快感など生活の質に関する治療の印象を数値化したもの)等の全項目で有意な改善効果が認められたとの報告(高橋悟著、NIKKENファミリーマガジン「絆」、2003年7月5日No.274春号)からみて、本発明の磁気治療装置によって生体に磁気刺激を与えれば、尿失禁や頻尿の改善に従来以上の効果が上がることが期待される。
【0030】
次に、免疫生理学的実験により得られた結果として、以下のような報告がある。
(1)全身性交流磁気治療装置にて1日30分間1ヶ月間磁気治療を行い、その前後のヒト抹消血液中のNK細胞活性の変化を測定した結果、磁気治療開始後約2週間でNK細胞活性が上昇傾向を示した。
(2)帯状疱疹後神経痛(PHN)15例に対して全身性交流磁気治療装置を用いた治験を行い、患者の自覚症状や患部の血行動態を測定した結果、11例(73%)で著効又は有効で、特別な副作用は全く認められなかった。
(3)磁気治療用メガネを用い、花粉症患者30例に対して磁気治療を行った結果、自覚症状に対する治療効果は有効以上が80%であり、従来のレーザ療法及び電気鍼の治療成績と比較しても統計的に遜色のない治療成績が得られ、増悪例、その他特記すべき副作用は何も認められなかった。
(4)交流磁気を発生する装置4台を用いて磁気刺激を行い、1日4時間5日間曝射し、血中の総コルステロール、HDLコルステロール、LDLコルステロール及び中性脂肪の変化を測定した結果、LDLコルステロールは有意に低下し、HDL/LDLコルステロール比は有意に上昇した。
(5)全身性交流磁気治療装置を用い、健康な男女12名に対し1日30分3日間連続で磁気刺激を行って血中のセロトニンを測定した結果、磁気刺激前のセロトニンは146.8±8.6mg/dlであったのに対し、3日間の磁気刺激後のセロトニンは123.7±7.7mg/dlに低下した。
(久光正、他6名著、「磁気の健康増進効果を免疫・筋循環生理および量子生理の立場から解明する研究」、財団法人磁気健康科学研究振興財団、平成6・7年度助成研究成果報告書、p.23〜29、平成9年10月16日発行)。
これらの報告からみて、本発明の磁気治療装置によって生体に磁気刺激を与えれば、(1)免疫力の向上、(2)帯状疱疹後神経痛の鎮静化、(3)ヒト花粉症アレルギーの軽減、(4)LDLコルステロールの低下及びHDL/LDLコルステロール比の向上、(5)血中セロトニンの低下に従来以上の効果が上がることが期待される。
【0031】
さらに、専門医による証言として、以下のような報告もなされている。
(6)人間の代表的な白血病細胞であるHL−60に交流磁気をかける実験を行った結果、かなりの高率でHL−60がアポトーシスを起こした(自滅した)。その原因としては磁気の通過に伴う誘導電流の作用によるものと考えられるが、いずれにしても、交流磁気をかけることによって白血病の細胞が自滅することが明らかになった。
(7)通常のマウスと交流磁気をかけたマウスにストレスを与え、マウスの肝臓内のビタミンC量を比較する実験において、通常のマウスでは1.4分程度でビタミンCがなくなってしまったのに対し、交流磁気をかけたマウスではビタミンCがなくなるまでに65分かかった。ストレスとビタミンCの減少には相関性のあることが分かっているので、交流磁気には抗ストレス作用があるのではないかと推測される。
(「専門医10人の証言、代替医療の最先端をいく交流磁気治療」、現代書林、p.178〜181及びp.188〜190、2000年8月28日発行)。
これらの報告からみて、本発明の磁気治療装置によって生体に磁気刺激を与えれば、(6)白血病の治癒、(7)ストレス解消に従来以上の効果が上がることが期待される。
【0032】
実施例の磁気治療装置に関する変形例を列記する。
(1)実施例においては、ケースA〜Cの固定状態においては、底面20と天面21が互いに平行となるようになっていたが、必ずしも平行でなくても良い。
(2)実施例においては、コの字型のケイ素鋼板を複数枚重ねたコア22を用いたが、ケイ素鋼板を複数枚重ねたものに限らず、磁気抵抗の低い磁性材料よりなるものであれば、どのようなものであっても良い。
また、コア22はコの字状としたが、ボビン23の筒状の巻き付け部に挿入可能な棒状の突出部を有するものであれば、どのような形状でも良い。
【0033】
(3)実施例においては、ケースA〜Cの底部の略中央に2つのコの字状突起よりなるコア固定部31と1つのL字状突起及び柱状突起よりなるサーモスタット固定部32を設けたが、コア22及びサーモスタット30を固定できるものであれば、どのような形状のものであっても良く、底面20の一部をコア固定部31やサーモスタット固定部32として、そこに接着やネジ止め等で固定するようにしても良い。
また、これらの突起や固定部を設ける位置は底部の略中央でなくても良く、コア固定部31とサーモスタット固定部32を離れた箇所に設けても良い。
(4)実施例においては、ボビン23をコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面に届くまで押し下げ、コア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面をボビン載置部としていたが、ボビン載置部は別途設けても良く、コア固定部31の上面のみをボビン載置部としても良い。
また、底面20にコア22の中間部を嵌合可能な溝を形成してコア固定部とした場合、底面20自体をボビン載置部とすることも可能である。
【0034】
(5)実施例においては、上フランジの上面の一部に緩衝材25を固着したが、下フランジの下面の一部に緩衝材25を固着しても良く、上フランジの上面又は下フランジの下面全面に緩衝材25を固着しても良い。
また、上下フランジに固着してある緩衝材25に代えて又は加えて、天面21の上フランジに対応する位置とコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面の一部又は全部に緩衝材25を固着しても良く、上フランジ、下フランジ、コア固定部31及びサーモスタット固定部32がある程度の柔軟性を持っている場合には、緩衝材25を設けなくても良い。
(6)実施例においては、上下フランジに固着してある緩衝材25を合わせた厚さは、天面21とコア固定部31及びサーモスタット固定部32の上面との距離から上フランジの上面と下フランジの下面との距離を差し引いた長さとほぼ同じに設定されていたが、その長さより小さくても良い。