特許第6097898号(P6097898)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097898
(24)【登録日】2017年2月24日
(45)【発行日】2017年3月15日
(54)【発明の名称】3Dプリンターの造形物定着法
(51)【国際特許分類】
   B29C 67/00 20170101AFI20170306BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20170306BHJP
【FI】
   B29C67/00
   B33Y10/00
【請求項の数】1
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-96893(P2015-96893)
(22)【出願日】2015年4月17日
(65)【公開番号】特開2016-203597(P2016-203597A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2015年4月17日
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、権利譲渡・実施許諾の用意がある。
(73)【特許権者】
【識別番号】597059041
【氏名又は名称】南澤 肇
(72)【発明者】
【氏名】南澤 肇
【審査官】 ▲高▼橋 理絵
(56)【参考文献】
【文献】 登録実用新案第3090114(JP,U)
【文献】 特開2016−165814(JP,A)
【文献】 特開2008−155477(JP,A)
【文献】 特開2010−100883(JP,A)
【文献】 米国特許第09005710(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 67/00
B33Y 10/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
FDM法3Dプリンター(熱溶解積層法による立体造型機)の造形台表面に編み込んだ形状の編み目構造を施すことで、エクストルーダ―先端の余分なフィラメント(造形材)を除去し造形物の定着を容易かつ確実にし、造形中の剥離を防止して安定した造形が得られる造形台を用いた造形物定着の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、FDM法3Dプリンター(熱溶解積層法による立体造型機)のフィラメント(造形材)の造形台への定着に関するものである。
【背景技術】
【0002】
FDM法(熱溶解積層法)による3Dプリンター(立体造型機)は廉価となり一般への普及も進んでいるが、フィラメント(造形材)に熱可逆性樹脂を用いることからフィラメントの熱収縮が原因で、造形中に造形台からの剥離が発生し、造形の失敗や機器の破損に至るという問題があった。
【0003】
造形中の剥離防止策としては、造形台表面とのクリアランス(間隔)調整および、余熱時の自然流出によるフィラメントの垂れを除去するなど、エクストルーダー先端のクリーニングが基本である。
【0004】
しかし、それだけでは不十分であり、ヒーテッドベッド(加熱式造形台)の使用や造形台表面への定着促進用樹脂樹脂フィルムの貼付け、粘着材の塗布などの追加措置が一般的に行われているが、いずれも剥離を完全に防止できないことが欠点である。
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする問題点は、3Dプリンターによる造形中における造形物の造形台からの剥離を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、造形物を造形台に定着させるために造形台表面に編み目構造を施すことである。(図1)(図2
【0007】
編み目構造は、エクストルーダーのノズル直径以下の直径の円形断面を持つの繊維状で、エクストルーダーのノズルサイズ以上の間隔で編み込んだ形状(図3)とすることを最も重要な特徴とする。
【0008】
本発明は、次の3項目の利点により、フィラメントの成分や環境温度に起因する熱収縮率の違いに影響されること無く、常温環境でフィラメントが造形台に固着するため、造形中の剥離を防止できる。
【0009】
(項目1)エクストルーダー先端と造形台のクリアランスの許容範囲が広がることで造形前の初期設定が容易となる。(図4
【0010】
(項目2)造形初期動作で、造形ヘッドのフィラメント垂れを、編み目構造の凸凹が効率的に除去する。(図5
【0011】
(項目3)造形初期層のフィラメントが網み目構造の円形表面および繊維状材質の交差面にカギ状に固着して造形中の剥離を防止する。(図6
【発明を実施するための形態】
【実施例】
【0012】
編み目構造体を両面粘着シートを用いて造形台表面に貼付ける。(図7
【0013】
編み目構造体を接着剤を用いて造形台表面に貼付ける。(図8
【0014】
造形台表面を編み目構造に成形する。(図9
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】編み目構造を施した造形台の参考斜視図
図2】編み目構造を施した造形台の参考三面図(部分)
図3】エクストルーダーと造形台の寸法の関係を示す参考正面図
図4】発明を使用した造形の参考図
図5】編み目構造の有無によるクリアランスとフィラメント定着の関係の参考正面図
図6】エクストルーダー先端のクリーニング効果に関する参考正面図
図7】フィラメントの固着に関する参考正面図
図8】発明の実施例参考斜視図1
図9】発明の実施例参考斜視図2
図10】発明の実施例参考斜視図3
図11】発明の実施例参考斜視図1に基づく製品の参考図(部分)
図12】発明の実施例参考斜視図1に基づく製品の装着参考図
【符号の説明】
【0017】
▲1▼フィラメント
▲2▼エクストルーダー
▲3▼編み目構造体
▲4▼造形台
▲5▼エクストルーダーのノズル直径
▲6▼繊維状部分の直径
▲7▼編み目の間隔
▲8▼適正値クリアランスで編み目構造有りの場合は、定着面積が大きく、カギ状にしっかりと固着する。
▲9▼適正値クリアランスで編み目構造無しの場合は、フィラメントが扁平し定着面積が広がることにより、定着力が増し定着する。
▲10▼適正値以下のクリアランスで編み目構造有りの場合は、余分なフィラメントが編み目構造の隙間に入り込むので造形動作の障害にならない。
▲11▼適正値以下のクリアランスで編み目構造無しの場合は、フィラメントがはみ出して付着し障害となるので造形できない。
▲12▼適正値以下のクリアランスで編み目構造無しの場合は、フィラメントが逆流し、エクストルーダーが破損するので造形できない。
▲13▼適正値以上のクリアランスで編み目構造有りの場合は、フィラメントが編み目構造の隙間に流れ込むのでフィラメントが固着する。
▲14▼適正値以上のクリアランスで編み目構造無しの場合は、定着面積が少ないので定着しない。
▲15▼造形前の余熱段階でフィラメントが溶けて自然流出する。
▲16▼エクストルーダーが造形初期動作の位置まで降下すると、流出したフィラメントは編み目構造の隙間に流れ込み固着する。
※編み目構造が無い場合は、余熱時に自然流出したフィラメントが多量な場合はエクストルーダーの造形動作直前に手動で除去しなければならない。
▲17▼エクストルーダーが造形開始位置に水平移動することで、自然流出した余分なフィラメントが除去される。
▲18▼編み目構造を構成する円形断面の繊維状表面に溶けたフィラメントがカギ状に固着する。
▲19▼編み目構造体
▲20▼両面粘着シート
▲21▼粘着材
▲22▼造形台表面への編み目状加工
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12