特許第6097905号(P6097905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6097905
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】立ち上り動作測定システム
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/11 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   A61B5/10 310B
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2012-165803(P2012-165803)
(22)【出願日】2012年7月26日
(65)【公開番号】特開2014-23685(P2014-23685A)
(43)【公開日】2014年2月6日
【審査請求日】2015年7月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】515157758
【氏名又は名称】公立大学法人 富山県立大学
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】鳥山 朋二
(72)【発明者】
【氏名】浦島 智
(72)【発明者】
【氏名】中村 正樹
【審査官】 荒井 隆一
(56)【参考文献】
【文献】 特表平8−511448(JP,A)
【文献】 特開2005−87312(JP,A)
【文献】 特開平11−56818(JP,A)
【文献】 特開2005−253819(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2004/0058134(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/11−5/113
A63B 21/068
A63B 23/00
A63B 23/04−23/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
計測装置とその制御装置とを備え、
前記計測装置は、椅座位の状態の患者の臀部を支持する臀部置き台と、足裏を支持する足置き台と、前記置き台に取り付けられその上面に加わる荷重及び圧力分布を検出するセンサとで構成され、
前記制御装置は、前記センサの検出情報を取得して所定の処理を行い、その処理結果を保存する処理部と、前記処理結果を表示する表示部とで構成され、
前記処理部は、少なくとも患者の身体全体の重心位置と支持基底面とを算出する処理を行い、それを前記表示部に表示させることを特徴とする立ち上り動作測定システム。
【請求項2】
前記足置き台は、右足を支持する右足置き台と左足を支持する左足置き台ととで構成され、前記センサは前記各置き台ごとに取り付けられている請求項1記載の立ち上り動作測定システム。
【請求項3】
前記センサは、前記各置き台の周縁部に分散配置された複数の荷重測定用センサと、前記各置き台の上面の圧力分布を測定するシート状の圧力分布測定用センサとで構成され、
前記処理部は、前記複数の荷重測定用センサの検出情報に基づいて前記重心位置を算出し、前記圧力分布測定用センサの検出情報に基づいて前記支持基底面を算出する請求項1又は2記載の立ち上り動作測定システム。
【請求項4】
前記処理部は、患者が椅座位から立位に移行するまでの間、少なくとも患者の身体全体の重心位置と支持基底面とを算出する動作を繰り返し、重心位置及び支持基底面が継時的に変化する様子を前記表示部に表示させる請求項1又は3記載の立ち上り動作測定システム。
【請求項5】
前記処理部は、前記処理部の処理結果のうち、患者の臀部、右足、左足ごとの荷重及び重心位置を前記表示部に表示させる請求項1乃至4のいずれか記載の立ち上り動作測定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、平衡機能障害等の患者の回復期リハビリテーションにおいて、椅座位から立位に移行する立ち上り動作の指導、訓練に使用する立ち上り動作測定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1に開示されているように、体幹のバランスや体幹の重心移動の訓練に使用される装置であって、立位の患者が体幹重心を移動させる動作を計測し、患者の平衡機能の回復状況を定量的に評価するための重心動揺計側装置がある。この重心動揺計測装置は、体幹の重心位置を検出する重心測定装置、重心測定装置の出力を演算する演算装置、演算装置の演算結果を表示する表示装置、及び演算結果を記憶する記憶装置を備えている。表示装置は、重心の目標位置と現在の体幹重心位置とを表示すると共に、目標位置と体幹重心位置との距離を継時的に測定し、距離ごとにその時間を総和し、当該時間の総和に基づいて回復状況を表示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−253819号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、半身麻痺などにより平衡機能障害をもった患者や、足腰の不自由な高齢者等が行うリハビリテーションは、患者の回復の段階ごとに訓練の内容が異なる。特許文献1の重心動揺計測装置は、患者が容易に立ち上がれる段階に回復した後に行う訓練に適した装置であり、椅座位から立位に移行する立ち上り動作の回復を目指す訓練には適さない。
【0005】
立ち上り動作の訓練において患者の回復状況を客観的に評価するためには、身体全体の重心と身体を支持する支持基底面との位置関係を把握することが重要である。立ち上り動作を開始する前の椅座位の状態は、臀部、右足及び左足で身体を支持するので、支持基底面は、これら3つの部分が接地した区域に接する閉じた包絡線で囲まれる領域となる。また、立ち上がり動作を終了する立位の状態は、右足及び左足で身体を支持するので、支持基底面は、これら2つの部分が接地した区域に接する閉じた包絡線で囲まれる領域となる。従って、患者が立ち上る動作を始めると支持基底面の形状が徐々に変化し、同時に身体の重心も移動する。
【0006】
身体の重心が常に支持基底面の内側の中央付近を安定に移動する患者は、転倒する心配が少なく、回復が進んでいると評価できる。反対に、重心の移動が不安定でぎこちない患者や、支持基底面が狭すぎる患者(例えば、右足と左足の接地位置が近すぎるような患者)は、重心が支持基底面の外側にはみ出して転倒しやすいので、的確な指導、訓練を行って修正しなければならない。
【0007】
しかし、特許文献1の重心動揺計測装置の場合、身体の重心位置を検出する重心測定装置を備えているものの、支持基底面を把握する手段を備えていない。支持基底面は、患者の体形や、臀部及び両足の接地位置によって変化し、足のつま先や踵だけで接地したり、前後左右方向に不均衡な姿勢になったりしても変化するので、医師や介護者が患者の様子を傍で観察しても、正確な支持基底面を把握することが難しい。従って、上記の重心動揺計測装置は、患者の立ち上り動作の回復状況を客観的に評価することができず、的確な指導、訓練を行うには不十分なものであった。
【0008】
この発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、身体全体の重心と支持基底面との位置関係を精度よく把握でき、患者の回復状況の客観的評価が可能な立ち上り動作測定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明は、計測装置とその制御装置とを備え、前記計測装置は、椅座位の状態の患者の臀部を支持する臀部置き台と、足裏を支持する足置き台と、前記置き台に取り付けられその上面に加わる荷重及び圧力分布を検出するセンサとで構成され、前記制御装置は、前記センサの検出情報を取得して所定の処理を行い、その処理結果を保存する処理部と、前記処理結果を表示する表示部とで構成され、前記処理部は、少なくとも患者の身体全体の重心位置と支持基底面とを算出する処理を行い、それを前記表示部に表示させる立ち上り動作測定システムである。
【0010】
前記足置き台は、右足を支持する右足置き台と左足を支持する左足置き台ととで構成され、前記センサは前記各置き台ごとに取り付けられているものでもよい。
【0011】
前記センサは、前記各置き台の周縁部に分散配置された複数の荷重測定用センサと、前記各置き台の上面の圧力分布を測定するシート状の圧力分布測定用センサとで構成され、前記処理部は、前記複数の荷重測定用センサの検出情報に基づいて前記重心位置を算出し、前記圧力分布測定用センサの検出情報に基づいて前記支持基底面を算出する。
【0012】
また、前記処理部は、患者が椅座位から立位に移行するまでの間、少なくとも患者の身体全体の重心位置と支持基底面とを算出する動作を繰り返し、重心位置及び支持基底面が継時的に変化する様子を前記表示部に表示させるようにしてもよい。
【0013】
また、前記処理部は、前記処理部の処理結果のうち、患者の臀部、右足、左足ごとの荷重及び重心位置を前記表示部に表示させるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0014】
この発明の立ち上り動作測定システムによれば、患者が立ち上り動作を行うときの身体全体の重心位置、支持基底面等を精度よく測定し表示するので、医師や介護者が患者の回復状況を客観的に評価し、それをフィードバックすることによって、患者に対して適切な指導、訓練を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】この発明の立ち上り動作測定システムの構成を示す正面図(a)、計測装置を示す平面図(b)である。
図2】椅座位における重心位置及び支持基底面を示す図(a)、立位における重心位置及び支持基底面を示す図(b)である。
図3】この実施形態の処理部が支持基底面を算出するアルゴリズムを説明するフローチャートである。
図4】この実施形態の表示部に表示される測定結果の一表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明の立ち上り動作測定システムの一実施形態について、図面に基づいて説明する。この実施形態の立ち上り動作測定システム10は、平衡機能障害等の患者の回復期リハビリテーションにおいて、椅座位から立位に移行する立ち上り動作についての指導、訓練に使用するシステムであり、患者の立ち上り動作を測定する計測装置12と、医師や介護者によって操作により計測装置12を制御する制御装置14とを備えている。
【0017】
計測装置12は、椅子等の座台16aの上面に載置され、着座した患者の臀部Bを支持する臀部置き台16と、患者の右足Rを支持する略矩形の右足置き台18と、左足Lを支持する略矩形の左足置き台20とを備えている。各置き台16,18,20には、各上面の荷重及び圧力分布を個別に測定するセンサが取り付けられている。各センサは、各置き台16,18,20の周縁部の四隅に分散配置され、上面に受ける荷重を測定する荷重測定用センサ22と、各置き台16,18,20の上面の圧力分布を測定するシート状の圧力分布測定用センサ24とで構成されている。荷重測定用センサ22は、例えば、荷重に応じて自己インピーダンス(電気抵抗、静電容量等)が変化する圧力センサ素子である。圧力分布測定用センサ24は、例えば、小型の圧力センサ素子を縦横均等間隔に多数並べ、個々の圧力センサの自己インピーダンスの大小により圧力分布を検出することができる。
【0018】
制御装置14は、パソコン等を用いて構成した処理部26と表示部28とを備えている。処理部26は、各置き台16,18,20の荷重測定用センサ22及び圧力分布測定用センサ24に動作用電源を供給して計測装置12の動作を制御し、荷重測定用センサ22が出力する検出情報を取得する。そして取得した検出情報に基づき、臀部B、右足R、左足Lごとの荷重と重心G(B),G(R),G(L)の位置、及び身体全体の重心G(ALL)の位置を算出する。また、圧力分布測定用センサ24の検出情報に基づいて支持基底面Qを算出する。そして、処理の結果(算出結果、測定日時、測定条件、患者名など)をハードディスク等の記憶手段に保存し、医師や介護者の要求に応じて表示部28に表示させる。
【0019】
表示部28は、処理部26が行った処理結果を表示する手段であり、ここではパソコンのディスプレイである。
【0020】
次に、立ち上がり行動測定システム10の動作について説明する。患者が計測装置12に着座した椅座位の状態(立ち上がり動作の初期状態)において、臀部Bが臀部置き台16の上面に、右足Rが右足置き台18の上面に、左足Lが左足置き台20の上面に支持される。この状態で、患者の重心G(B),G(R),G(L),G(ALL)の位置は、図2(a)に示す位置となる。
【0021】
処理部26は、臀部置き台16の4つの荷重測定用センサ22が出力する検出情報を取得し、臀部置き台16に加わる荷重と臀部Bの重心G(B)の位置を算出するする。同様に、右足置き台18の4つの荷重測定用センサ22が出力する検出情報を取得し、右足置き台18に加わる荷重と右足Rの重心G(R)の位置を算出する。同様に、左足置き台20の4つの荷重測定用センサ22が出力する検出情報を取得し、左足置き台20に加わる荷重と左足Lの重心G(L)の位置を算出する。そして、全ての荷重測定用センサ22が出力する検出情報に基づいて、身体全体の重心G(ALL)の位置を算出する。
【0022】
また、椅座位の状態において、支持基底面Qは、臀部B、右足R及び左足Lが接地する外側を結んで閉じた領域となる。処理部26は、各置き台16,18,20の各圧力分布測定用センサ24が出力する検出情報を取得し、支持基底面Qを算出する。以下、図3のフローチャートを用いて、処理部26が支持基底面Qを算出するアルゴリズムの一例を説明する。
【0023】
まず、圧力分布測定用センサ24内の圧力センサ素子が配置された多数の圧力測定点のうち、圧力の測定値が基準値以上である測定点のみを有効測定点Pとして抽出する(ステップS11)。これにより、測定値が基準値未満の測定点の検出情報は、「信頼性の低いノイズ情報である」として無視され、以降のステップにおける処理の対象から除外されることになる。
【0024】
次に、各有効測定点Pの座標(X,Y)の平均座標点Hの座標(Xh,Yh)を計算する(ステップS12)。平均座標値Xh,Yhは、各有効測定点の座標値X,Yをそれぞれ相加平均することによって算出する。
【0025】
次に、有効測定点Pを、各X座標の値に基づいて並べ替え、値の小さい方から順番にiを付番する(i=0,1,2・・・,n)。そして、有効測定点P0を輪郭構成点Skのうちの最初の点S0と特定する。(ステップS13)。
【0026】
以降のステップS14〜S18は、最初の輪郭構成点S0以外の輪郭構成点Skを順番に抽出する工程である。まず、それまでに特定された輪郭構成点Skのうち、kが最大となる番号をjとおき、その輪郭構成点Sjから平均座標点Hに向かう第一ベクトルUjを求める(ステップS14)。
【0027】
また、輪郭構成点Sjから有効測定点Piに向かう第二ベクトルVijを求める(ステップS15)。ただし、ステップS15において、輪郭構成点Sjと有効測定点Piが同じ場合は、ステップS15を行わない。
【0028】
次に、ステップS14,S15で求めた第一及び第二ベクトルUj,Vijについて、各ベクトルの間の角度θijを算出する(ステップS16)。角度θijは、次の式(1)に表わす逆正接関数を用いて計算することができる。
【0029】
θij=atan2(Uj・Vij,|Uj×Vij|)、−π<θij<+π (1)
ここで、「Uj・Vij」は2つのベクトルの内積であり、「Uj×Vij」は2つのベクトルの外積である。
【0030】
次に、jを固定したとき、角度θijが最大となるiに対応する有効測定点Piを抽出し、その点が最初の輪郭構成点S0と同じかどうかを判断する。2つの点の座標値が一致しないときは、「NO(同じでない)」と判断してステップS18に進み、一致するときは、「YES(同じである)」と判断してステップS19に進む。(ステップS17)。
【0031】
ステップS17で「NO」と判断した場合、先に抽出された有効測定点iを、輪郭構成点Sjに続く次の輪郭構成点S(j+1)であると特定する。そして再度ステップS14に進む(ステップS18)。以上のステップS14〜ステップS18を繰り返すことによって、輪郭構成点Skを順番に抽出することができる。
【0032】
ステップS17で「YES」と判断した場合、前回のステップS17までに全ての輪郭構成点Skを抽出したことになるので、抽出した輪郭構成点Sk(k=0,1,・・・)をkが小さい順番に結び、結んだ線に囲まれた多角形を支持基底面Qと特定する(ステップS19)。
【0033】
なお、上記のステップS11〜ステップS19は、支持基底面Qを算出するアルゴリズムの一例にすぎず、例えば、ステップS13において、X座標値の大きい方から順番にiを付番し(i=0,1,2・・・,n)、ステップS17において、角度θijが最小となった有効測定点Piを抽出する、という方法に変更してもよい。
【0034】
また、圧力分布測定用センサ24の出力情報に基づいて支持基底面Qを算出可できる計算手法であれば、アルゴリズムが上記と全く異なる計算手法を使用してもよい。
【0035】
処理部26は、このような流れで患者の重心G(B),G(R),G(L),G(ALL)の位置と支持基底面Qを算出し、その算出結果に測定日時、測定条件、患者名などを添えてハードディスク等の記憶手段に保存して、椅座位の測定を終了する。
【0036】
患者が立位の状態では、臀部Bが臀部置き台16から離れており、右足Rが右足置き台18の上面に支持され、左足Lが左足置き台20の上面に支持される。従って、患者の重心G(B),G(R),G(L),G(ALL)の位置及び支持基底面Qは、図2(b)に示すように、支持基底面Qが右足R及び左足Lが接地する外側を結んで閉じた狭い領域になり、重心G(ALL)が、重心G(R),G(L)を結ぶ線上の位置となる。処理部26は、立位の状態についても、上記と同様に患者の重心G(B),G(R),G(L),G(ALL)の位置及び支持基底面Qを算出し、算出結果に測定日時、測定条件、患者名などを付してハードディスク等の記憶手段に保存して、立位の測定を終了する。
【0037】
患者が椅座位から立位に移行する途中の体位については、各重心G及び支持基底面Qを算出する動作を高速に繰り返して測定する。繰り返しの回数が多いほど、各重心G及び支持基底面Qが変化する過程を細かく把握できるので、立ち上がり動作を分析しやすくなる。
【0038】
表示部28は、医師や介護者の要求に応じて、処理部26の処理結果を表示する。図4は表示画面の一例であり、画面左側に、患者の重心G(B),G(R),G(L),G(ALL)の位置、及び支持基底面Qを、計測装置12を上方から見た模式図に重ねて描いてある。また、重心G(ALL)の位置について、患者が椅座位から立位に移行するまでの間に移動する軌跡を表わし、それ以外の重心G(B),G(R),G(L)の位置、及び支持基底面Qについては、立位の状態の算出結果を表わしている。医師等から要求があれば、重心G(R)や支持基底面Qの変化を表示させることも可能である。また、前回(例えば1週間前に)測定した軌跡を重ねて表示すれば、前回と今回の違いが一目で分かり、患者の回復の度合いを容易に把握することができる。
【0039】
また、各重心Gの位置と支持基底面Qとを表示した周りの余白部分に、臀部B、右足R、左足Lの荷重等を表示している。図4の「左右バランス」は、右足Rと左足Lの荷重の比率であり、「荷重率」は、最近(例えば1週間前に)測定した荷重の最大値に対する今回の荷重の割合である。この「左右バランス」は、立ち上がり動作の過程で片方の足に荷重が集中しすぎていないことを検出するのに有効であり、左右バランスの回復状況を「荷重率」で評価することも考えられる。
【0040】
また、画面右側には、右足Rと左足Lの荷重の変化を示すグラフを表示している。前回(例えば1週間前に)測定したグラフを重ねて表示し、患者の回復状況の変化が一目で分かるようにしてもよい。
【0041】
以上説明したように、立ち上り動作測定システム10によれば、患者が立ち上りの動作を行うときの身体全体の重心G(ALL)の位置や支持基底面Qなど、立ち上がり行動の特徴を把握するための各種データを精度よく測定し、表示することができるので、医師等が患者の回復状況を客観的に評価し、それをフィードバックすることによって、患者に対して適切な指導、訓練を行うことができる。
【0042】
また、各重心Gの位置が変化する軌跡や、支持基底面Qが変化する様子を表示したり、右足R、左足L及び臀部Bごとの荷重や重心Gの位置を表示したり、処理部26に保存されている過去の測定結果に今回の測定結果を重ねて表したりすることで、患者が立ち上るときの動作における癖や特徴、回復状況などを多面的に評価することができ、より的確な指導、訓練を行うことができる。
【0043】
なお、この発明の立ち上り動作測定システムは上記実施形態に限定されるものではない。例えば、足置き台は、左右の足を載せる1枚の台でも良く、両足を載せた状態の支持基底面を計算することができればよい。計測装置の臀部置き台、右足置き台及び左足置き台の形状や大きさも、患者の各部(臀部、右足、左足)の荷重及び圧力分布を測定可能な範囲で、楕円形、円形その他の形状に変更することができる。また、荷重及び圧力分布を測定するセンサは、必要な検出情報を処理部に向けて出力するものであれば、センサ素子形態(種類、形状、個数など)を自由に選択又は設定することができる。
【0044】
また、制御装置を構成する表示部は、上記のようなディスプレイに代えて、プリンタ等を通じて紙に印刷して表示するものにしてもよい。また、表示方法も特に限定されず、表、描画、グラフなどの形態を自由に選択し、組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 立ち上がり行動測定システム
12 計測装置
14 制御装置
16 臀部置き台
18 右足置き台
20 左足置き台
22 荷重測定用センサ
24 圧力分布測定用センサ
26 処理部
28 表示部
B 臀部
L 左足
R 右足
G(B),G(L),G(R) 重心
Q 支持基底面
図1
図2
図3
図4