【実施例】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0021】
図1は本発明の実施例を示す磁束トランスを用いた微小磁性金属異物の検査装置を示す模式図、
図2はその微小磁性金属異物の検査装置の磁束トランスを示す模式図である。
【0022】
本発明では、特に、リチウム電池用活物質バインダーなど液体中に混入された微小磁性金属異物を、超高感度SQUID磁気センサを用いて磁気的に検査する装置について説明する。
【0023】
図1および
図2において、1は液体配管、2は液体配管1内を移動する微小磁性金属異物、3は液体配管1が貫通する円筒型永久磁石、4は磁束トランス、5は円筒型永久磁石3内に配置される磁束トランス4の差動型検出コイルであり、巻き数が同じで巻き方向が逆になった一対のコイル、例えば、左巻きコイル(又は右巻きコイル)5Aと右巻きコイル(又は左巻きコイル)5Bとからなる。6は磁束トランス4の入力コイル、7は差動型検出コイル5と入力コイル6とを接続するリード線、8は入力コイル6内に配置されるSQUID磁気センサ、9はSQUID磁気センサ8の液体窒素容器(クライオスタット)、10は液体窒素容器9の外側に配置される多層磁気シールドである。
【0024】
本発明の微小磁性金属異物の検査装置は、磁束トランス4を用いている。この磁束トランス4は、巻き数が同じで巻き方向が逆になった一対のコイル5A,5Bからなる差動型検出コイル5と、その磁束をSQUID磁気センサ8に磁気的に結合して入力する入力コイル6とから構成されている。このように構成することで、差動型検出コイル5に均一な静磁場あるいは時間的に変化する磁場が印加されているときには、磁束トランス4に電流は流れず、入力コイル6に信号は発生しないが、磁化された微小磁性金属異物2がある速度を持って差動型検出コイル5を通過すると、一対の左巻きコイル5Aと右巻きコイル5Bのバランスが崩れて磁束トランス4に電流が流れる。その電流の大きさは磁束の時間変化に比例した大きさとなる。
【0025】
このように、本発明では、差動型検出コイル5と入力コイル6で構成される磁束トランス4を用いており、強力な円筒型永久磁石3の中に差動型検出コイル5を設置して、液体配管1をその差動型検出コイル5に貫通させる構成としている。差動型検出コイル5の信号は磁束トランス4で伝達され、磁気遮蔽率が十分高い多層磁気シールド10内部の液体窒素容器9内に設置したSQUID磁気センサ8に磁気的に結合した入力コイル4から伝達される。微小磁性金属異物2が混入していない場合、差動型検出コイル5には電流が流れないのでSQUID磁気センサ8は信号を検出しないが、微小磁性金属異物2が流れてきた場合、微小磁性金属異物2には円筒型永久磁石3による磁化が発生し、この磁化された微小磁性金属異物2が移動することによって磁場が時間的に変化し差動型検出コイル5のバランスが崩れるので、SQUID磁気センサ8では信号が計測される。なお、リード線7は密封状態にした前記多層磁気シールド10に貫通して配線することにより、SQUID磁気センサの磁界の遮蔽を十分に行うことができる。
【0026】
例えば、円筒型永久磁石3内に差動型検出コイル5を配置した
図1に示す本発明の装置において、微小磁性金属異物2としての直径0.6mmの鉄球を磁場を印加しながら差動型検出コイル5内で移動させた場合の信号波形を
図3に示す。この場合、計測信号は極めて大きく、S/Nは1000以上であり、信号計測と同時に磁場を印加するという本発明の有効性が示されている。
【0027】
図4は比較例としての微小磁性金属異物の検査装置の模式図、
図5はその微小磁性金属異物の検査装置による信号波形を示す図である。
【0028】
図4において、11は液体配管、12は液体配管11内を移動する微小磁性金属異物、13は液体配管11が貫通する円筒型永久磁石、14は円筒型永久磁石13から離された位置に配置される磁束トランス、15は液体配管11の周囲に配置された磁束トランス14の差動型検出コイル、16は差動型検出コイル15に接続される入力コイル、17は差動型検出コイル15と入力コイル16とを接続するリード線、18は入力コイル16内に配置されるSQUID磁気センサ、19はSQUID磁気センサ18の液体窒素容器(クライオスタット)、20は液体窒素容器19の外側に配置される多層磁気シールドである。
【0029】
ここでは、微小磁性金属異物12としての直径0.6mmの鉄球を円筒型永久磁石13であらかじめ磁化して、その磁化した微小磁性金属異物12としての鉄球を磁束トランス14の差動型検出コイル15内を移動させて信号を測定しており、その信号波形が
図5に示されている。
【0030】
このように、差動型検出コイル15を円筒型永久磁石13内に置かず、信号計測中には微小磁性金属異物12としての鉄球に磁場を印加しなかった。この場合、あらかじめ磁化された微小磁性金属異物12としての鉄球の自己磁場が計測時点では減衰するので、計測信号は小さく、S/Nはほぼ1程度である。したがって、
図1のように円筒型永久磁石による磁化と差動型検出コイルによる信号検出を同位置で行うことで、自己磁場の減衰をなくすことができ、大きく変化する信号を得られ、S/Nを改善することができる。
【0031】
図6は本発明の他の実施例を示す微小磁性金属異物の検査装置の磁場印加部を示す模式図である。
【0032】
この図において、21は液体配管、22は液体配管21内を移動する微小磁性金属異物、23は液体配管21の外部に同心状に配置される差動型検出コイル24が巻回される差動型検出コイル用配管、25はその差動型検出コイル用配管23の外部に同心状に配置される円筒型永久磁石である。
【0033】
このように、差動型検出コイル24を液体配管21とは別体の差動型検出コイル用配管23に配置するようにしたので、液体配管21と差動型検出コイル24との直接の干渉をなくすことができる。例えば、液体配管21に起因する振動などが差動型検出コイル24に直接影響を及ぼすことがなくなるという利点がある。
【0034】
また、上記実施例では、SQUID磁気センサによる計測について述べたが、SQUID磁気センサに限定されるものではなく、SQUID磁気センサに代えて、フラックスゲートセンサ(flux gate sensor)、つまり、大きさと位相が軸に沿って働く外部磁場の大きさと方向に比例する電気的出力信号を出す検出器を用いるようにしてもよい。
【0035】
さらに、磁気インピーダンス効果素子(MI効果素子)(例えば、特開平7−181239号公報、特開平9−80133号公報参照)を用いるようにしてもよい。つまり、MI効果素子が、ホール素子や磁気抵抗(MR)素子と同程度の微小寸法が可能で、磁気検出感度がホール素子やMR素子の100倍以上であり、フラックスゲートセンサと同程度であるため、本発明の磁気センサとして利用することができる。
【0036】
本発明によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0037】
(1)従来の微小磁性金属異物の検査装置では、
図7に示すように、SQUID磁気センサ106の多層磁気シールド104には液体配管101を貫通させる開口部107が必要であり、SQUID磁気センサ106の磁気遮蔽が十分でなかったが、本発明によれば、磁石による磁場印加部とSQUID磁気センサによる信号計測部とを分離することができるので、SQUID磁気センサの磁界の遮蔽を十分に行うことができ、ノイズが小さくなり、S/Nが改善される。
【0038】
(2)磁石による磁場印加部とSQUID磁気センサによる信号計測部との距離を離すことができるので、微小磁性金属異物に対してより大きな磁場を印加することができ、計測信号が大きくなり、S/Nが改善される。
【0039】
(3)微小磁性金属異物への磁化とSQUID磁気センサによる計測が同時であるため、磁化された微小磁性金属異物の減磁による信号減衰がないので、計測信号が大きくなり、S/Nが改善される。
【0040】
(4)また、SQUID磁気センサに代えて、フラックスゲートセンサやMI効果素子を用いる場合には、SQUID磁気センサに比して取り付けが簡単であるとともに、大幅な磁気センサのコストの低減を図ることができる。
【0041】
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形が可能であり、これらを本発明の範囲から排除するものではない。