(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
一列に配列された複数の電子部品に対向して配置され、イオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、前記一列に配列された複数の電子部品に対応する位置に複数の孔を有し、当該複数の孔は、前記一列に配列された複数の電子部品に対向する位置で、所定数の電子部品おきに形成される遮蔽板と、
前記遮蔽板を前記一列の電子部品に沿って移動させる第1の駆動部と、
前記遮蔽板に形成された複数の孔に対応して設けられ、各前記孔を閉塞または開放する複数のシャッタと、
前記孔を閉塞または開放するように当該シャッタを駆動する第2の駆動部と、
前記複数のシャッタを開放し、前記遮蔽板の前記一列の電子部品が対向する面と反対の面と対向して配置されたイオンガンにより、前記遮蔽板の複数の孔を介して、複数の電子部品にイオンビームを照射した後、前記遮蔽板を、前記第1の駆動部により前記一列の電子部品に沿って移動させ、前記照射が終了した前記複数の電子部品と隣り合う電子部品上に前記複数の孔を位置決めして停止させる制御部とを備え、
前記第1の駆動部は、前記複数のシャッタと接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記複数のシャッタを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させる
ことを特徴とするシャッタ機構。
前記電子部品が圧電素子から構成され、前記第1の駆動部は、当該圧電素子の発振周波数を測定する周波数測定部に接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記周波数測定部を前記一列の電子部品に沿って移動させる
ことを特徴とする請求項1または2に記載のシャッタ機構。
前記第1の駆動部は、前記イオンガンと接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記イオンガンを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させる
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のシャッタ機構。
イオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、一列に配列された複数の電子部品に対応する位置に複数の孔を有し、当該複数の孔は、前記一列に配列された複数の電子部品に対向する位置で、所定数の電子部品おきに形成される遮蔽板を、前記一列に配列された複数の電子部品に対向して配置する工程と、
前記遮蔽板に形成された各前記孔に対応して設けられた複数のシャッタを第2の駆動部により開放する工程と、
前記複数のシャッタのうち開放されたシャッタと当該シャッタに対応する前記遮蔽板の各前記孔を介して、各前記電子部品にイオンガンからイオンビームを照射する工程と、
前記開放されたシャッタを前記第2の駆動部により閉塞する工程と、
第1の駆動部により、前記遮蔽板を前記一列の電子部品に沿って移動させ、前記照射が終了した各前記電子部品と隣り合う電子部品上に各前記孔を位置決めして停止させる移動工程と、
前記複数のシャッタに接続された前記第1の駆動部により、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記複数のシャッタを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させる工程とを備える
ことを特徴とするシャッタ開閉方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような構成を有する周波数調整装置は、個別の水晶振動子毎に適切な処理ができる反面、近年の電子部品の極小化、電子部品間のピッチの狭小化による操作精度の低下が問題となっている。
【0005】
すなわち、トレイ上に極小サイズの水晶振動子等の電子部品をより多く配列すると、隣り合う電子部品同士の間隔が狭くなる。電子部品間の間隔が狭くなると、電子部品毎に対応して設けられる板状のシャッタの幅も狭くなり、シャッタ間のピッチも狭くなる。
シャッタ間のピッチが狭くなると、各シャッタに取り付けられたモータの間隔も狭くなり、モータを並列して配置するには設置スペースの点で限界が生じていた。また、シャッタ間のピッチに適合するために、モータをシャッタの移動方向にずらして配置することもできるが、数が増えると、ずらした分のスペースを必要とし、イオンビーム処理を行う真空チャンバー自体の大型化につながり好ましくない。また、シャッタ長が長くなり信頼性が低下する。
【0006】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、複数の電子部品の間隔が狭く配置されていても当該電子部品に対する処理が適切にできるシャッタ機構、シャッタ開閉方法、プログラム、及びシャッタ機構を備えた周波数調整装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の第1の観点に係るシャッタ機構は、
一列に配列された複数の電子部品に対向して配置され、イオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、前記一列に配列された複数の電子部品に対応する位置に複数の孔を有し、当該複数の孔は、前記一列に配列された複数の電子部品に対向する位置で、所定数の電子部品おきに形成される遮蔽板と、
前記遮蔽板を前記一列の電子部品に沿って移動させる第1の駆動部と、
前記遮蔽板に形成された複数の孔に対応して設けられ、各前記孔を閉塞または開放する複数のシャッタと、
前記孔を閉塞または開放するように当該シャッタを駆動する第2の駆動部と、
前記複数のシャッタを開放し、前記遮蔽板の前記一列の電子部品が対向する面と反対の面と対向して配置されたイオンガンにより、前記遮蔽板の複数の孔を介して、複数の電子部品にイオンビームを照射した後、前記遮蔽板を、前記第1の駆動部により前記一列の電子部品に沿って移動させ、前記照射が終了した前記複数の電子部品と隣り合う電子部品上に前記複数の孔を位置決めして停止させる制御部とを備え
、
前記第1の駆動部は、前記複数のシャッタと接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記複数のシャッタを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させることを特徴とする。
【0008】
前記第2の駆動部は、各シャッタに対応して設けられてもよい。
【0010】
前記電子部品が圧電素子から構成され、前記第1の駆動部は、当該圧電素子の発振周波数を測定する周波数測定部に接続し、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記周波数測定部を前記一列の電子部品に沿って移動してもよい。
【0011】
前記第1の駆動部は、前記イオンガンと接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記イオンガンを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させてもよい。
上記目的を達成するため、本発明の第2の観点に係るシャッタ機構は、
一列に配列された複数の圧電素子に対向して配置され、当該複数の圧電素子に対向する面と反対の面に対向して配置されたイオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、前記一列に配列された複数の圧電素子に対応する位置に、所定数の圧電素子おきに形成された複数の孔を有し、当該複数の孔の間隔は、前記遮蔽板と前記圧電素子とを挟んで前記イオンガンの反対側に配置された周波数測定部であって、前記一列に配列された複数の圧電素子に対応する位置に配置された複数の測定部を備え当該測定部により前記圧電素子の発振周波数を測定する周波数測定部の、当該複数の測定部の間隔と同一である遮蔽板と、
前記遮蔽板と前記周波数測定部とを前記一列の圧電素子に沿って移動させる第1の駆動部と、
前記遮蔽板に形成された複数の孔に対応して設けられ、各前記孔を閉塞または開放する複数のシャッタと、
前記孔を閉塞または開放するように当該シャッタを駆動する第2の駆動部と、
前記複数のシャッタを開放し、前記イオンガンにより、前記遮蔽板の複数の孔を介して、前記周波数測定部の測定部により測定された発振周波数に基づき複数の圧電素子にイオンビームを照射した後、前記遮蔽板と前記周波数測定部とを、前記第1の駆動部により前記一列の圧電素子に沿って移動させ、前記照射が終了した前記複数の圧電素子と隣り合う圧電素子上に前記複数の孔と前記複数の測定部とを位置決めして停止させる制御部とを備えることを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため、本発明の第
3の観点に
係るシャッタ開閉方法は、
イオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、一列に配列された複数の電子部品に対応する位置に複数の孔を有し、当該複数の孔は、前記一列に配列された複数の電子部品に対向する位置で、所定数の電子部品おきに形成される遮蔽板を、前記一列に配列された複数の電子部品に対向して配置する工程と、
前記遮蔽板に形成された各前記孔に対応して設けられた
複数のシャッタを第2の駆動部により開放する工程と、
前記複数のシャッタのうち開放されたシャッタと当該シャッタに対応する前記遮蔽板の各前記孔を介して、各前記電子部品にイオンガンからイオンビームを照射する工程と、
前記開放されたシャッタを前記第2の駆動部により閉塞する工程と、
第1の駆動部により、前記遮蔽板を前記一列の電子部品に沿って移動させ、前記照射が終了した各前記電子部品と隣り合う電子部品上に各前記孔を位置決めして停止させる移動工程と
、
前記複数のシャッタに接続された前記第1の駆動部により、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記複数のシャッタを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させる工程とを備えることを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため、本発明の第
4の観点に
係るプログラムは、
コンピュータを、
一列に配列された複数の電子部品に対向して配置され、イオンガンからのイオンビームを遮蔽する遮蔽板であって、前記一列に配列された複数の電子部品に対応する位置に複数の孔を有し、当該複数の孔は、前記一列に配列された複数の電子部品と対向する位置で、所定数の電子部品おきに形成される遮蔽板を、前記一列の電子部品に沿って移動させる第1の駆動部、
前記遮蔽板に形成された複数の孔に対応して設けられ、各前記孔を閉塞または開放する複数のシャッタを、前記孔を閉塞または開放するように当該シャッタを駆動する第2の駆動部、
前記複数のシャッタを開放し、前記遮蔽板の前記一列の電子部品が対向する面と反対の面と対向して配置されたイオンガンにより、前記遮蔽板の複数の孔を介して、複数の電子部品にイオンビームを照射した後、前記遮蔽板を、前記第1の駆動部により前記一列の電子部品に沿って移動させ、前記照射が終了した前記複数の電子部品と隣り合う電子部品上に前記複数の孔を位置決めして停止させる制御部として機能させ
、
前記第1の駆動部は、前記複数のシャッタと接続され、前記遮蔽板が前記一列の電子部品に沿って移動される動きと同期して、前記複数のシャッタを一体として、前記一列の電子部品に沿って移動させることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため、本発明の第
5の観点に
係る周波数調整装置は、
前記シャッタ機構と、
一列に配列された複数の電子部品に内蔵された圧電素子の発振周波数を測定する周波数測定部と、
測定された発振周波数が、所望の発振周波数から外れた前記圧電素子にイオンビームを照射するイオンガンとを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の電子部品の間隔が狭く配置されていても当該電子部品に対する処理が適切にできるシャッタ機構、シャッタ開閉方法、プログラム、及びシャッタ機構を備えた周波数調整装置を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施の形態に係るシャッタ機構、及びシャッタ機構を備えた周波数調整装置について、図面を参照して説明する。
以下では、理解を容易にするため、シャッタ機構を利用して本発明が実現される実施の形態を説明するが、以下に説明する実施の形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施の形態を採用することが可能であるが、これらの実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0018】
図1は、本実施の形態に係るシャッタ機構を備えた周波数調整装置を模式的に示す図である。理解を容易にするために、搬送されるキャリアの搬送方向をX軸、キャリアの奥行き方向をY軸、キャリアの面に垂直な方向をZ軸とする。
【0019】
周波数調整装置1は、エッチング室3内に配置され、エッチング室3は、ゲートバルブ5を介して仕込室2と接続されている。周波数調整装置1は、コンタクト10と、イオンガン11と、シャッタ12と、第1制御部13と、トレイ搬送装置14と、遮蔽板16と、第2制御部19とから構成される。
【0020】
コンタクト10は、水晶振動子7の発振周波数を測定するものである。発振周波数を測定される水晶振動子7は、トレイ6の収容部9に収容され、トレイ6は、キャリア8に搭載されてエッチング室3に搬入される。
【0021】
キャリア8は、
図2に示すように、好ましくは、矩形形状であり、金属材等からなる。キャリア8上に形成された溝部にトレイ6が載置される。トレイ6には、複数の水晶振動子7を収容するための複数の収容部9が、マトリクス状に形成されている。本実施の形態では、トレイ6には、搬送方向(矢印A)と垂直なY軸方向に12行、搬送方向と平行なX軸方向に17列の収容部9が、形成されている。すなわち、トレイ6上には、一列に12個の収容部9が形成され、このような列が17列あるので、全部で204個の収容部9が形成されている。各収容部9は、
図1に示すように貫通孔として形成され、上部は、水晶振動子7を受け入れるために大きく開口され、下部は、イオンガン11から照射されるイオンビームを適切な箇所に照射させるために小さく開口されている。
【0022】
コンタクト10は、トレイ6の上方に、収容部9の列と平行に配置される。
図1に示すように、コンタクト10は、トレイ6に向かって突出するプローブピン15を有している。プローブピン15は、2本のピンを一組とする。プローブピン15は、トレイ6上の収容部9の一列に沿って、一列の収容部9(収容された水晶振動子7)に対して、所定の水晶振動子の数おきに間隔を置いて設けられる。
なお、コンタクト10は、コンタクト搬送装置25に取り付けられたXYステージ26により、Y軸方向に移動される。
【0023】
プローブピン15を有するコンタクト10は、コンタクト搬送装置25により、Z軸方向に上下移動し、プローブピン15が発振周波数測定対象の水晶振動子7に接触して、発振周波数の測定を行う。
【0024】
第1制御部13は、コンタクト10の上下移動、イオンガン11の照射量、トレイ6のX軸方向への移動、シャッタ12の開閉を制御するものである。なお、第1制御部13は、後述する第2制御部19と連動して、トレイ6の移動、イオンガン11の照射、コンタクト10の上下移動、シャッタ12の開閉を行う。第1制御部13は、コンタクト10により測定された水晶振動子7の発振周波数が、所望の発振周波数か否かを判断する。そして、所望の発振周波数でないときには、水晶振動子7にイオンガン11からイオンビームを照射して、所望の発振周波数になるまで水晶振動子7をエッチングするように指示する。
【0025】
イオンガン11は、トレイ6の下方に配置され、イオンビームを水晶振動子7に照射する。イオンガン11によるイオンビームの照射量は、第1制御部13により制御され、照射対象となる水晶振動子の発振周波数が、目標とする発振周波数に一致するまで行われる。
【0026】
遮蔽板16は、トレイ6のイオンビームが照射される側に配置され、トレイ6に収容された一列の水晶振動子7に対向して配置される。遮蔽板16には、一列の水晶振動子7に対して所定の水晶振動子の数おきに間隔を置いて複数の孔17が形成されている。複数の孔17の数は、コンタクト10の一対のプローブピン15の数と同一である。
【0027】
シャッタ12は、遮蔽板16よりイオンガン11側に配置され、シャッタ12の開放時間によりイオンビームの水晶振動子7への照射量を制御する。シャッタ12は、遮蔽板16の各々の孔17に対応して、複数設けられる。シャッタ12の開閉機構については、後述する。
【0028】
第2制御部19は、遮蔽板16、複数のシャッタ12、コンタクト10を、Y軸方向に所定距離移動させるように制御する。第2制御部19の具体的な制御方法については、後述する。
【0029】
図2は、トレイ6のX軸方向への搬送機構を示す上面図である。
トレイ搬送装置14は、一対のガイドレール21と、ガイドレール21と平行に配置されたボールねじ軸28と、ボールねじナット29と、チャック機構22とからなる。
【0030】
ボールねじ軸28は、円柱軸の表面にねじ溝が形成され、ボールねじナット29の内面に形成されたねじ溝と螺合する。そして、ボールねじ軸28が、
図1に示すモータ4によって回転されると、螺合されたボールねじナット29が、X軸方向に並進する。モータ4はエッチング室3の外部に配置され、ボールねじ軸28はエッチング室に対して固定で取付けられる。
ボールねじナット29は、キャリア8に向かって垂直に伸びるチャック機構22に固定されている。
【0031】
チャック機構22は、アームベース23とマグネット部24とからなる。アームベース23は、キャリア8の搬送方向(A方向)に垂直に配置され、キャリア8側にマグネット部24を有する。チャック機構22に対向するキャリア8の端部には、磁性体(図示せず)が形成され、チャック機構22側のマグネット部24とキャリア8側の磁性体が磁力により結合する。キャリア8は、チャック機構22との結合により、X軸方向の位置決めがなされる。
【0032】
また、トレイ6の上方には、キャリア搬送方向と垂直に、トレイ搬送装置14をまたいで、コンタクト搬送装置25が設置されている。コンタクト搬送装置25は、側面視(X軸方向から見て)で門形形状を有し、トレイ搬送装置14のトレイ搬送方向の両側面をまたぐように配置される。すなわち、コンタクト搬送装置25は、トレイ搬送装置14の当該両側面に当接して立設する2本の側柱27と、2本の側柱27の上部で2本の側柱27の間に配置され当該2本の側柱を繋ぐ柱状の天板30とからなる。
【0033】
天板30の下面には、トレイ6上方でXY方向に移動可能な板状のXYステージ26が、取り付けられている。XYステージ26の下面には、XYステージ26の移動に伴って移動するコンタクト10が搭載される。このXYステージ26は、第2制御部19により制御され、複数のシャッタ12及び遮蔽板16の動きと連動して、Y軸方向にコンタクト10を移動する。XYステージ26は、プローブピン15の位置調整にも用いられる。2本の側柱27は図示しない昇降駆動装置に接続され、コンタクト搬送装置25全体がZ軸方向に上下動する。
【0034】
次に、本実施の形態に係るシャッタ機構について、
図3〜6を用いて、詳述する。
図3は、本実施の形態に係るシャッタ機構において、コンタクト10と、トレイ6と、遮蔽板16と、シャッタ12との位置関係を示す概念図であり、
図3(a)は、シャッタ機構の位置関係を示す側面図、
図3(b)は、同じく背面図である。
【0035】
図3(a)に示すように、マトリクス状に水晶振動子7を配置したトレイ6の上方には、水晶振動子7の発振周波数を測定するためのコンタクト10が配置される。コンタクト10は、トレイ6の搬送方向(矢印A)に垂直に位置する水晶振動子7の一列に対応する位置に、一対のプローブピン15を備えている。一対のプローブピン15は、一列に配列された水晶振動子7の所定数おきに配置される。すなわち、一列に配列された水晶振動子7に対して、1つおき、あるいは2つおきなど、所定の数おきに配置される。
【0036】
また、遮蔽板16は、トレイ6のコンタクト10と対向する面と反対の面の側に、配置され、イオンビームを通過させるための複数の孔17を有する。当該複数の孔17は、コンタクト10の一対のプローブピン15に対応する位置に配置されるように設けられる。すなわち、コンタクト10の一対のプローブピン15と同様に、一列に配列された水晶振動子7の所定数おきに配置される。所定数の数は、一対のプローブピンと、複数の孔17は同一である。
【0037】
さらに、複数のシャッタ12が、遮蔽板16のトレイ6と対向する面と反対の面の側に、配置される。複数のシャッタ12は、遮蔽板16の複数の孔17に対応するように設けられる。したがって、一対のプローブピン15と、遮蔽板16の孔17と、シャッタ12は、Z軸上で同一線上に配置されることになる。各シャッタ12は、各シャッタ12毎に設けられたソレノイド31によって往復移動し、往復移動することで、遮蔽板16の孔17の開放又は閉塞をする。シャッタ12は幅方向(Y軸方向)の中心を対応する孔17の中心に一致して配置される。孔17の開口幅よりもシャッタ12による遮蔽幅の方が大きく、かつシャッタによる遮蔽幅の中央に孔17を配置するため、シャッタの端からイオンビームが回り込んで孔17を通過することを防止でき、シャッタの信頼性を高めることができる。更に本発明の構成により極小ピッチの素子を対象とする処理であってもシャッタ幅を広くすることができるため、シャッタによる確実な遮蔽が可能となる。
【0038】
本実施の形態において、トレイ6の収容部9に収容された水晶振動子7は、12行(Y軸方向)×17列(X軸方向)のマトリクス状に配置されている。すなわち、トレイ6のY軸に沿って、12個の水晶振動子7が一列に配置される。Y軸方向の一列に配置された水晶振動子7に対向する位置に遮蔽板16が配置され、遮蔽板16には、一列の水晶振動子7に対して、1つおきに孔17が開口されている。当該孔17は、一列の水晶振動子7に対して1つおきに設けられるので、6個の孔17が設けられることになる。
【0039】
また、遮蔽板16に対向して配置されるシャッタ12は、遮蔽板16の複数の孔17のそれぞれに対応して設けられるので、6つのシャッタ12が設けられる。また、6つのシャッタ12の各々には、当該シャッタ12を往復運動させるための第2の駆動部であるソレノイド31が接続される。
【0040】
コンタクト10と、トレイ6と、遮蔽板16と、シャッタ12とが、上述した位置関係及び構成を有することで、コンタクト10の隣り合う一対のプローブピンの間隔、遮蔽板16の隣り合う孔17の間隔、孔17に対応する隣り合うシャッタの間隔を、トレイ6上に一列に配置された隣り合う水晶振動子の間隔とは同一にする必要はなく、隣り合う水晶振動子の間隔よりも広く設定することができる。
したがって、トレイ6に収容された水晶振動子7の隣り合う間隔が狭くなっても、シャッタ間のピッチを狭めることなく、適切にイオンビームを水晶振動子7に照射することができる。
【0041】
ソレノイド31は、複数のシャッタ12ごとに設けられることにより、イオンビームの照射量の制御を各水晶振動子7の発振周波数特性に応じて、適切に行うことができる。
【0042】
また、シャッタ間のピッチを狭めることなく、シャッタを配置できるので、シャッタの幅を細くして、シャッタの信頼性及び強度を低下させることもない。
【0043】
図4は、本実施の形態に係るシャッタ機構において、遮蔽板16、シャッタ12をY軸方向に移動させるためのY軸移動機構を示す図である。
図4(a)は、Y軸移動機構の構成を示す側面図、
図4(b)は、Y軸移動機構において、コンタクト10及びトレイ6を除いた状態の上面図、
図4(c)は、トレイ6、遮蔽板16、シャッタ12、ソレノイド31を外した可動台の上面図である。
【0044】
制御部40は、第1制御部13と第2制御部19とから構成され、第1制御部13と第2制御部19とが連動して、制御を行うことにより、トレイ6のX軸方向への搬送、水晶振動子7へのイオンビーム照射、複数のシャッタの開閉、複数のシャッタ・遮蔽板・コンタクトのY軸方向への移動を可能とする。また、制御部40は、PC(Personal Computer)に接続されており、PCに操作者により所望の条件が入力されると、その条件を満たすように、制御部40が全体の制御を行う。
【0045】
可動台41は、好ましくは長方形状に形成されており、その上面に、トレイ6の水晶振動子7の一列に対して、所定数おきに孔17を有する遮蔽板16と、遮蔽板16の下方に配置され、遮蔽板16の孔に対応する数の複数のシャッタ12と、複数のシャッタ12の各々に接続されたソレノイド31とを載置する。
【0046】
複数のシャッタ12は、可動台41の長辺と平行に配置される。複数のシャッタ12の一端部側は、ソレノイド31に接続され、他端部側は、遮蔽板16の下面の孔17近傍に配置される。複数のシャッタ12は、ソレノイド31により往復移動されることにより、遮蔽板16の下面側から遮蔽板16の孔17を開放または閉塞する。
【0047】
複数のシャッタ12は、一体のユニットとして移動させることが可能である。可動台41の下部に設けた駆動部42が、第2制御部19により制御されることにより、可動台41をY軸方向に移動させる。可動台41がY軸方向に移動することにより、複数のシャッタ12も一体としてY軸方向に移動する。
【0048】
可動台41の下部には、イオンビームを出射するイオンガン11が配置される。そして、可動台41のイオンガンに対応する位置には、イオンガン11から出射されるイオンビームを通過されるための通過孔44がスリット状に形成されている。
【0049】
また、可動台41は、その下部に配置される一対のガイド部43によって支持されている。一対のガイド部43は、可動台41の2つの短辺に沿って、通過孔44を挟んで可動台41に取り付けられる。ガイド部43は、例えばレールと、当該レールが貫通するブロックからなり、ブロックの上面が可動台41の下面に接着される。ブロックがレールに沿って移動することにより、可動台41を円滑に移動することができる。
【0050】
さらに、可動台41の下部には、ソレノイド31が設けられる側の短辺に沿って駆動部42が設けられる。駆動部42は、モータ45と、モータ45に接続され、円柱軸の外周にねじ溝が形成されているボールねじ軸46と、ボールねじ軸46のねじ溝と螺合するねじ溝が内周に形成されているボールねじナット47とから構成される。モータ45には、例えばパルスモータが使用される。
【0051】
ボールねじナット47は、その上面が可動台41に接続されており、モータ45の回転によりボールねじ軸46が回転し、ボールねじナットが並進すると、可動台41も並進する。可動台41が並進することにより、可動台41上の複数のシャッタ12及び遮蔽板16が、Y軸方向に移動する。
【0052】
可動台41のY軸方向の移動は、モータ45の回転を制御することにより、シャッタ12及び遮蔽板16のピッチ送り移動として実現される。可動台41の移動ピッチは、イオンビーム照射がされる水晶振動子7の配列ピッチに応じて、適宜、調整をするように制御することが可能である。
図4(d)に可動台の他の実施例を示す。可動台49は、その上面に、トレイ6の水晶振動子7の一列に対して、所定数おきに孔17を有する遮蔽板16と、遮蔽板16の下方に配置され、遮蔽板16の孔に対応する数の複数のシャッタ12と、複数のシャッタ12の各々に接続されたソレノイド31と、イオンガン11と、コンタクト搬送装置25を載置する。モータ45により、可動台49に載置された遮蔽板16、シャッタ12、コンタクト10、イオンガン11を一体にY軸方向に移動させることができる。可動台49にイオンガンを搭載することで、小型イオンガンであっても大面積の基板を処理することが可能となる。
【0053】
次に、シャッタ12の往復移動の機構について、
図5及び6を参照して説明する。
図5は、シャッタの往復移動機構を示す図であり、
図5(a)は、上面図、
図5(b)は、
図5(a)のシャッタを一部外した状態を示す上面図である。
図6は、
図5における1つのシャッタに対応するシャッタ往復移動機構の要部を示す図であり、
図6(a)は、リンクがストッパに接触せずに中立の位置にある状態を示す図、
図6(b)は、リンクが一方に傾いてストッパが作用した状態を示す図、
図6(c)は、リンクが他方に傾いてストッパが作用した状態を示す図である。
【0054】
往復移動機構50は、ソレノイド31と、シャッタ12と、ソレノイド31とシャッタ12を接続するリンク54と、ストッパ52とからなる。説明を容易にするために、
図5において、遮蔽板16の孔17の位置を図示する。孔17は、実際には、シャッタ12の上部に配置される。
【0055】
シャッタ12は、細長形状の板状部材からなり、一端部で遮蔽板16の孔17を開放、閉塞するように配置され、他端側でソレノイド31と接続するように配置される。ソレノイド31は、回転軸55を中心に回転する。リンク54は、長方形状の板状部材であり、その中央部において、ソレノイド31の回転軸55と接続され、接続された箇所をリンク機構の固定端として機能させる。リンク54の一端部は、ピン53を介してシャッタ12に係合され、当該一端部をリンク機構の自由端として機能させる。このように、ソレノイド31の回転軸55と、リンク54と、シャッタ12とを接続してリンク機構を構成し、ソレノイド31の回転を直線運動に変換して、シャッタ12の往復移動が可能となる。
【0056】
ソレノイド31は、複数のシャッタ12のそれぞれ接続されており、複数のシャッタを個別に往復移動制御する。シャッタ12は、遮蔽板16に形成された複数の孔17の間隔に対応するシャッタ12間の間隔を保つ必要があり、ソレノイド31も同様の間隔を保つように配置されなくてはならない。そのため、複数のソレノイド31は、シャッタ12の配置間隔が狭くなると、シャッタ12の移動方向と垂直な方向に一列に並べることは困難である。したがって、隣り合うソレノイド31は、シャッタ12の移動方向に垂直な方向に間隔を隔てるとともに、シャッタ12の往復移動方向に沿って、その回転軸を間隔を隔てて配置される。
【0057】
本実施の形態においては、6本のシャッタ12a〜12fと、これらのシャッタにそれぞれ対応するソレノイド31a〜31fが設けられている。シャッタ12a〜12cに対応するソレノイド31a〜31cは、シャッタ12が往復移動する方向に間隔を隔てて配置され、ソレノイド31a、ソレノイド31b、ソレノイド31cの順に遮蔽板16の孔17から遠ざかるように配置される。そして、シャッタ12d〜12fに対応するソレノイド31d〜31fも、シャッタ12が往復移動する方向に間隔を隔てて配置され、ソレノイド31d、ソレノイド31e、ソレノイド31fの順に遮蔽板16の孔17から遠ざかるように配置される。
【0058】
また、遮蔽板16の孔17からソレノイド31が配置される位置までの距離に応じて、個別のストッパが近接して設けられる。ストッパ52は、棒状の形態を有し、シャッタ12に対して垂直に配置され、ソレノイドが近接する位置には、半円形状の凸部が形成される。
【0059】
すなわち、遮蔽板16の孔17から一番近い位置に設けられるソレノイド31a、31dの近傍には、第1のストッパ56が、2番目に近い位置に設けられるソレノイド31b、31eの近傍には、第2のストッパ57が、一番遠い位置に設けられるソレノイド31c、31fの近傍には、第3のストッパ58が、それぞれ設けられる。孔17からの距離が等しいソレノイドに関しては共通部材のストッパが各ソレノイドの開閉角度を制御するため、ソレノイド周辺の機構を簡素化することができる。
【0060】
第1のストッパ56のソレノイド31a、31dが配置される位置には、第1の凸部59が、第2のストッパ57のソレノイド31b、31eの位置には、第2の凸部60が、第3のストッパ58のソレノイド31c、31fの位置には、第3の凸部61が、それぞれ形成されている。
ストッパ56〜58は、リンク54の動きを規制する部材であり、リンク54の動きが規制されることにより、シャッタ12の往復移動の距離が決定される。シャッタ12の往復移動の距離は、リンク54の長さを調整することにより、変更可能である。また、ストッパに設けられた凸部59〜61の大きさを変更することによっても、シャッタ12の往復移動の距離を変更することが可能である。
【0061】
このような構成を有する往復移動機構50のストッパ52の作用について、
図6を参照して説明する。リンク54は、第3のストッパ58が作用していないときには、
図6(a)に示すように、棒状のストッパと平行な状態となっている。
図6(b)に示すように、ソレノイド31が一定方向に回転すると、リンク54は、回転軸55を固定端としてリンク54は、揺動する。揺動したリンク54の一端側(図示右側)が第3のストッパ58に接触すると、リンク54とピン53で接続されたシャッタ12は移動を規制される。この状態で、シャッタ12は、遮蔽板16の孔17を開放している。
【0062】
一方、
図6(c)に示すように、ソレノイド31が反対方向に回転すると、リンク54の他端側(図示左側)が第3のストッパ58と接触する。リンク54が第3のストッパ58に接触することにより、シャッタ12は移動を規制され、シャッタ12は、遮蔽板16の孔17上で孔を閉塞する状態となる。
【0063】
このように、リンク54は、回転軸55中心として揺動した場合に、第3のストッパ58の凸部61があることによって、両端部が第3のストッパ58に当接し、動きが規制される。リンク機構の自由端となるピン53の揺動する角度によって、シャッタ12の移動距離が決定される。リンクの長さが短ければ、揺動する角度が大きいので、シャッタ12に移動距離は長くなり、リンクの長さが長ければ、揺動する角度が小さいので、シャッタ12の移動距離は短くなる。なお、リンク54の揺動角度は、例えば、60°とすることが好ましい。揺動角度が小さいほどシャッタ開閉の動作時間を短縮することができる。また、リンク54の中心位置でソレノイドの回転軸に連結することにより、リンク54をバランスよく動作させることができる。更に、リンク54の両端をストッパに当接する構成により、シャッタ開時のストッパとシャッタ閉時のストッパとをそれぞれ別に設ける必要がなく、部品点数を減らすことができる。
【0064】
複数のシャッタ12間には、シャッタの動きをガイドするためのシャッタガイド51が設けられており、シャッタ12の動きを円滑に行う役目を果たす。
【0065】
次に、本実施の形態における周波数調整装置の動作を
図1を用いて説明する。
【0066】
図1に示すように、水晶振動子7が収容部9に収容されたトレイ6を、キャリア8上に載置して、仕込室2に搬入する。仕込室2が所定の真空状態になるように真空引きされ、所定の真空状態になると、ゲートバルブ5が解放され、キャリア8は、所定の真空状態となっているエッチング室3に搬入される。
【0067】
キャリア8は、搬入の際には、ガイドレール21の案内部(図示せず)に案内されて、ガイドレール21内に配置される。
そして、ガイドレール21内に搬入されたキャリア8の一端部に設けられた磁性体が、チャック機構22のマグネット部24に結合される。ボールねじ軸28が駆動部42により回転駆動され、ボールねじ軸28に螺合するボールねじナット29がX軸方向に並進する。ボールねじナット29に固定されたチャック機構22及びチャック機構22に結合されたキャリア8は、ボールねじナット29の並進方向と同一方向に搬送される。
【0068】
ボールねじ軸28は、ガイドレール21と平行に配置され、ガイドレール21に垂直に配置されたキャリア8が、ボールねじナット29とともに並進するので、キャリア8は、ボールねじ軸28を基準として、Y軸方向の位置決めがされる。
【0069】
チャック機構22に結合されたキャリア8は、ボールねじ軸28が所定量回転することより、所定の距離をX軸方向に移動される。そして、キャリア8は、トレイ6に収容された水晶振動子7の搬送方向(矢印A方向)の第1番目の列が、コンタクト10の下部の位置に配置されるまで移動され、停止される。
【0070】
図1に示すように、キャリア8の移動が停止されると、トレイ6に収容された水晶振動子7の発振周波数が測定される。発振周波数は、コンタクト10に設けられた一対のプローブピン15により測定される。測定された発振周波数のデータは、第1制御部13に送信される。第1制御部13において、発振周波数の調整が必要であると判断されると、所定の時間シャッタ12を開き、イオンガン11からイオンビームを水晶振動子7に照射する。
【0071】
シャッタ機構の動作について、さらに
図3〜
図7を用いて詳細に説明する。
キャリア8は、トレイ6に収容された水晶振動子7の搬送方向(X軸のA方向)の第1番目の列の位置まで移動され、停止される。このとき、遮蔽板16の孔17は、トレイ6上の第1番目の列に配列された水晶振動子7に対して、1つおきに形成されているため、トレイ6と遮蔽板16とシャッタ12とは、
図3に示すような位置関係に配置される。すなわち、遮蔽板16の孔17、コンタクト10のプローブピン15、及びシャッタ12は、
図3において便宜上黒色で示した水晶振動子7に対して対向するように位置している。ここで、説明を容易にするために、黒色で示した水晶振動子を第1グループの水晶振動子7aとし、第1グループの水晶振動子7aに対して、隣り合う水晶振動子を白色で示した第2グループの水晶振動子7bとする。
【0072】
このような位置関係で、コンタクト10は、プローブピン15により第1グループの水晶振動子7aの発振周波数を測定する。測定された発振周波数から、各水晶振動子に照射すべきイオンビームの量を第1制御部13により算出する。複数のシャッタ12は、ソレノイド31により開放され、遮蔽板16の孔17を介して、シャッタ12の背面に設けられたイオンガン11からイオンビームが第1グループの水晶振動子7aに照射される。
【0073】
イオンビームは、各水晶振動子に対して、算出された必要な量を照射し、必要な量を照射された水晶振動子に対応するシャッタ12をソレノイド31により移動して、遮蔽板16の孔17を閉塞する。本実施形態では、イオンビームの照射と同時に発振周波数を測定し、水晶振動子が所望の発振周波数となる時点で遮蔽板16の対応する孔17が閉塞されるように、シャッタ12をソレノイド31により駆動させるが、イオンビーム照射時間を予め算出してシャッタ12を時間制御にて閉塞してもよい。一列に配置された水晶振動子に対して、全ての第1グループの水晶振動子7aに対してイオンビームの照射が完了すると、トレイ搬送装置14により、トレイ6が
図2のA方向に移動される。トレイ6は、コンタクト10、遮蔽板16の孔17、シャッタ12が、マトリクス状に配置された第1グループの水晶振動子7aの2列目に位置するように移動する。そして、1列目の水晶振動子に対する処理と同様の処理を行い、同じ処理を最後のm列(実施例では第17番目の列)まで行う。トレイ6に収容された第1グループの水晶振動子7aの搬送方向(X軸のA方向)のm番目の列がコンタクト10、遮蔽板16の孔17、シャッタ12に対面する状態にて、第2制御部19により、モータ45を駆動するように指示が出され、モータ45が必要な量回転することで、可動台41がY軸方向に移動する。Y軸方向への移動は、遮蔽板16の孔17が、イオンビームの照射が終了した第1グループの水晶振動子7aのとなりの第2グループの水晶振動子7b上に位置するまで、たとえば5mm移動する。
【0074】
可動台41がY軸方向に移動することで、可動台41上に載置された複数のシャッタ12が一体となってY軸方向に移動し、同じく可動台41上に載置された遮蔽板16もY軸方向に移動する。可動台41がY軸方向に移動することにより、複数のシャッタ12と遮蔽板16の複数の孔は、第2グループの水晶振動子7bに対向して、位置決めされることになる。
【0075】
一方、コンタクト搬送装置25のXYステージ26は、第2制御部19により制御されて、可動台41と同期して、同一の距離をY軸方向に移動する。そして、コンタクト10のプローブピン15は、シャッタ12と遮蔽板16の孔17と同様に、第2グループの水晶振動子7bに対向して、位置決めされることになる。
【0076】
このように、コンタクト10のプローブピン15と、遮蔽板16の孔17と、シャッタ12が、トレイ6に収容された第2グループの水晶振動子7bに対向する位置まで移動すると、第1グループの水晶振動子7aの場合と同様に、プローブピン15が下降して、第2グループの水晶振動子7bの発振周波数が測定される。測定された発振周波数に基づき、第1制御部13は、各水晶振動子7に対して、照射するイオンビームの量を算出する。
【0077】
そして、再度、シャッタ12がソレノイド31により移動され、シャッタ12は、遮蔽板16の孔17を開放する。孔17が開放されると、イオンガン11により第2グループの水晶振動子7bに対して、イオンビームが照射される。算出された量のイオンビームを照射された水晶振動子に対応するシャッタ12は、ソレノイド31が可動することで閉塞され、イオンビームの照射を遮断する。残りの水晶振動子についても、算出されたイオンビームの照射が終了するまで、シャッタ12を開放して、イオンビームの照射を継続する。第2グループの全ての水晶振動子7bに対するイオンビームの照射が完了すると、シャッタ12が移動して、全ての孔17は閉塞される。
【0078】
なお、発振周波数の調整が不要である水晶振動子7には、イオンビームの照射は行う必要がないので、そのような水晶振動子に対応する遮蔽板16の孔17に対応するシャッタ12は、開放する方向に移動しない。
【0079】
このようにして、m列目の水晶振動子7bへのイオンビームの照射が終了すると、トレイ6は、コンタクト10、遮蔽板16の孔17、シャッタ12が、マトリクス状に配置された水晶振動子7bのm−1列目に位置するように移動する。そして、m列目の水晶振動子7bに対する処理と同様の処理を行い、同じ処理を1列目まで行う。実施例では、第1グループの水晶振動子7aに対して1列目からm列目までの処理を実施した後、可動台41をY軸方向に移動して第2グループの水晶振動子7bに対してm列目から1列目までの処理を実施することでタクトタイムを短縮するが、可動台41のY軸方向への搬送とキャリア8のX軸方向への搬送のタイミングは適宜組み合わせてよい。
【0080】
例えば
図7は、キャリア8のX軸方向への搬送と可動台41のY軸方向への搬送を交互に繰り返す実施例である。
図7は、トレイ6と、シャッタ12と遮蔽板16との動きを模式的に示す図である。
図7(a)は、n列目の第1グループの水晶振動子7aの列上に、遮蔽板16とシャッタ12が位置している状態を示す。この状態で、第1グループの水晶振動子7a対してイオンビームの照射が全て終了すると、
図7(b)に示すように、n列目の第2グループの水晶振動子上に遮蔽板16とシャッタ12が位置するように、Y軸方向に遮蔽板16とシャッタ12が移動する。
【0081】
図7(b)に示す状態で、第2グループの水晶振動子7bに対してイオンビームが照射され、全ての第2グループの水晶振動子7bに対してイオンビームの照射が終了すると、遮蔽板16とシャッタ12は、第2制御部19により制御されて、Y軸方向の元の位置に戻る。それと同時に、トレイ6は、トレイ搬送装置14によりX軸方向に移動され、
図7(c)に示すように、n+1列目の水晶振動子の列上に遮蔽板16とシャッタ12とが配置される位置まで、搬送される。なお、遮蔽板16とシャッタ12をY軸方向の元の位置に戻す処理と、トレイ6をX軸方向に移動する処理は、どちらを先に行ってもよい。
【0082】
遮蔽板16とシャッタ12は、Y軸方向の元の位置に戻されるので、遮蔽板16の孔17と、シャッタ12は、n+1列目の第1グループの水晶振動子7aに対応する位置に位置決めされる。この状態で、シャッタ12を開閉してイオンビームを照射する。このような移動を最後の列まで繰り返す。あるいは遮蔽板16とシャッタ12をY軸方向の元の位置に戻さずにトレイ6をX軸方向に搬送して、n+1列目の第2グループの水晶振動子7bを処理した後、n+1列目の第1グループの水晶振動子7aを処理してよい。
【0083】
トレイ6に収容された水晶振動子7の全てについて、イオンビームによる発振周波数調整処理が終了する。そして、エッチング室3内での全ての処理が終了すると、ゲートバルブ5が開き、キャリア8(トレイ6)はエッチング室3から仕込室2に、取り出される。
【0084】
次に、
図7に示す実施の形態に係るシャッタ開閉動作の制御を、
図8に示すフローチャートを用いて説明する。他の実施の形態に係るシャッタ開閉動作の制御は説明を省略する。
【0085】
トレイ6がエッチング室3に搬入されて、トレイ搬送装置14により、トレイ6上の一列目の水晶振動子7がコンタクト10の下部に位置するまで、搬送されると、シャッタ開閉動作の制御が開始する。搬送されたトレイ6上の第1グループの水晶振動子7aは、コンタクト10のプローブピン15により発振周波数が測定される。(ステップS801)。第1制御部13により目標とする発振周波数と、測定された発振周波数とを比較し、イオンビームの照射の要否を水晶振動子7毎に決定する。第1グループの水晶振動子7aに対向する遮蔽板16の、各孔17に対応するシャッタ12を開放する(ステップS802)。
【0086】
そして、イオンガン11によりイオンビームを第1グループの水晶振動子7aに照射する(ステップS803)。目標とされる発振周波数に一致する水晶振動子に対応するシャッタ12から閉塞し、全ての水晶振動子に対するイオンビーム照射が完了すると、全てのシャッタ12が閉塞することになる(ステップS804)。全てのシャッタが閉塞されるとイオンビームが照射された水晶振動子のグループが、一列に配置された水晶振動子のうち最後のグループであるかが判断される(ステップS805)。
【0087】
水晶振動子が最後のグループでないと判断されると(ステップS805;NO)、遮蔽板16及び複数のシャッタ12を一体として、Y軸方向に移動させる(ステップS806)。遮蔽板16と複数のシャッタ12は、第2グループの水晶振動子7bが配置された位置まで、移動する。
【0088】
そして、第2グループの水晶振動子7bについて、コンタクト10により発振周波数が測定され(ステップS801)、第1グループの水晶振動子7aの場合と同様の処理が施される。
【0089】
水晶振動子が最後のグループであると判断されると(ステップS805;YES)、トレイ6をX軸方向に移動させる。(ステップS807)。次に、トレイ6上で処理した列が最後の列であったか否かが判断され(ステップS808)、トレイ上の最後の列の水晶振動子に対する処理でないと判断されると(ステップS808;NO)、処理をした水晶振動子の次の列の水晶振動子の第1グループの水晶振動子7a上に移動しているコンタクト10により、第1グループの水晶振動子7aの周波数測定が開始される(ステップS801)。そして、前列の場合と同様に処理が進められる。
トレイ6上の最後の列に対するイオンビーム照射が終了したと判断されると(ステップS808;YES)、シャッタ開閉動作の処理は終了する。
【0090】
本実施の形態では、処理される対象として、水晶振動子を例として説明したが、本実施の形態は、これに限定されない。電子回路を搭載した回路基板なども対象となる。また、トレイ6の凹部に収容される形態に限られず、複数の圧電素子が形成されたシート基板を用いてもよい。
【0091】
また、本実施の形態では、トレイ6上には、12行17列のマトリクス状の収容部9が形成されることを例に説明したが、本実施の形態は、これに限定されない。収容部の数は、半導体等の製造工程の段階、規模によりことなり、トレイ上にどのような容量の収容部を設けるかは、適宜選択される。また、トレイのサイズ、形状も同様に、任意に選択することが可能である。
【0092】
なお、上記実施の形態においては、複数のシャッタ12に対して、対応するソレノイドを設けたシャッタ機構を例にして説明したが、複数のシャッタ12にそれぞれソレノイドを設けるのではなく、いくつかのシャッタをひとつのソレノイドで可動させるようにしてもよい。
【0093】
また、上記実施の形態においては、複数のシャッタと、遮蔽板と、コンタクトを一体として、Y軸方向に移動させる構成としたが、個別に移動させるようにしてもよい。
また、上記実施の形態においては第一の制御部と第二の制御部を用いているが一つの制御部でもよい。
また、上記実施の形態においては、遮蔽板16の孔17の数に一致するプローブピン15の数を設けているが、コンタクト10をY軸方向に駆動して水晶振動子間で切替る手段を設ければ、プローブピン15の数は孔17の数より少なくてもよい。あるいは、搬送方向(矢印A)と垂直なY軸方向に配列された電子部品と同数(上記実施の形態では12個)のプローブピン15を設け、コンタクト10はY軸方向に搬送せず固定のまま測定してもよい。
【0094】
また、上記実施の形態においては、複数のシャッタと、遮蔽板と、コンタクトとをY軸方向に移動させる構成としたが、遮蔽板と、コンタクトのみをY軸方向に移動させるようにしてもよい。