(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記サブマスタ・パワーコンディショナーが、前記親機パワーコンディショナーで通信に障害が生じていないときは前記子機パワーコンディショナーとして動作するものであることを特徴とする請求項1に記載の発電システム。
前記親機パワーコンディショナーが、前記第1の切替位置で供給された2次電流を計測する親機側電流計測回路と、該親機側電流計測回路で計測された電流値に基づいて受電電力量を演算し該演算した受電電力量から各発電装置が発電すべき発電電力量を演算する親機側演算回路と、該親機側演算回路で演算された発電電力量を指定する情報を、少なくとも前記子機パワーコンディショナーに向けて、前記通信回線を介して送信する親機側通信制御部とを備え、
前記サブマスタ・パワーコンディショナーが、前記第2の切替位置で供給された2次電流を計測するサブマスタ側電流計測回路と、該サブマスタ側電流計測回路で計測された電流値に基づいて受電電力量を演算し該演算した受電電力量から各発電装置が発電すべき発電電力量を演算するサブマスタ側演算回路と、前記サブマスタ側演算回路で演算された発電電力量を指定する情報を、少なくとも前記子機パワーコンディショナーに向けて、前記通信回線を介して送信するサブマスタ側通信制御部とを備え、
前記子機パワーコンディショナーが、前記親機パワーコンディショナー又はサブマスタ・パワーコンディショナーから指定された発電電力量に従って自機の発電装置を制御する発電制御部を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の発電システム。
前記親機パワーコンディショナー及びサブマスタ・パワーコンディショナーの少なくとも一方が、前記親機側通信制御部から前記通信回線に向けて送信される通信に障害が発生したことを検出する通信異常判定部を更に備えることを特徴とする請求項3に記載の発電システム。
前記親機パワーコンディショナー及びサブマスタ・パワーコンディショナーが、前記連系点において逆潮流を発生させないように各発電装置が発電すべき発電電力量を演算することを特徴とする請求項1から4何れか1項に記載の発電システム。
前記切替スイッチが、前記親機パワーコンディショナー及び前記サブマスタ・パワーコンディショナーの少なくとも一方に配置されることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の発電システム。
前記第2の切替位置への切り替え後に、前記親機パワーコンディショナーの通信が復旧すると、前記切替スイッチを前記第2の切替位置から前記第1の切替位置に切り替えることを特徴とする請求項1から6何れか1項に記載の発電システム。
複数の発電装置を、対応するパワーコンディショナーを介して相互に並列に接続しかつ連系点で商用電力系統に連系して成り、前記パワーコンディショナーが、通信回線を介して相互に接続される発電システムを制御する方法であって、
前記パワーコンディショナーが、1台の親機パワーコンディショナーと、少なくとも1台のサブマスタ・パワーコンディショナーと、少なくとも1台の子機パワーコンディショナーとを含み、
前記親機パワーコンディショナーが、前記連携点での受電電流を1次電流とする変流器の2次電流の計測結果に基づいて各発電機が発電すべき発電電力量を演算し、該演算された発電電力量を指定する情報を少なくとも前記子機パワーコンディショナーに向けて前記通信回線を介して送信するステップと、
前記親機パワーコンディショナーで通信に障害が生じると、前記変流器の2次電流を前記親機パワーコンディショナーに供給する第1の切替位置と前記サブマスタ・パワーコンディショナーに供給する第2の切替位置との間で前記変流器の2次電流を切り替え可能な切替スイッチを、前記第1の切替位置から前記第2の切替位置に切り替えるステップと、
前記サブマスタ・パワーコンディショナーが、前記第2の切替位置で供給された2次電流の計測結果に基づいて各発電機が発電すべき発電電力量を演算し、該演算された発電電力量を指定する情報を少なくとも前記子機パワーコンディショナーに向けて前記通信回線を介して送信するステップとを有することを特徴とする発電システムの制御方法。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照し、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態例に係る連系分散型発電システム(以下、単に発電システムと呼ぶ)を含む電力系統を占めす。発電システム100は、連系点101において商用電力系統103の配電線に接続される需要家の構内配電線102に接続されている。構内配電線102は、需要家構内に設置された照明設備や空調システムなどの電力負荷104に接続されており、発電システム100及び商用電力系統103から供給される電力を電力負荷104に供給する。なお、同図では、需要家構内の電気系統が低圧単相3線式配線である例が示されている。しかしながら、電気系統は、例えば、低圧単相2線式、低圧3相3線式、高圧3相3線式など、従来から使用されている如何なる配線方式も使用可能である。
【0019】
発電システム100は、それぞれが対応する発電装置11A、11B、11Cから出力される電力を制御する複数のパワーコンディショナー#0(10A)、#1(10B)、…、#n(10C)を含む。各パワーコンディショナー10A、10B、10Cは、通信回線105を介して互いに接続されており、各パワーコンディショナー10A、10B、10Cの間で情報のやりとりが可能である。また、各パワーコンディショナー10A、10B、10Cは、その出力側が構内配電線102を介して相互に並列に接続されており、各発電装置11A、11B、11Cからの電力を、構内配電線102を経由して電力負荷104に供給可能である。
【0020】
パワーコンディショナー#0(10A)は、他のパワーコンディショナー#1(10B)、…、#n(10C)を制御する親機(マスタ)パワーコンディショナーとして構成される。パワーコンディショナー#1(10B)は、通常時は子機(スレーブ)として働き、かつ、親機パワーコンディショナー10Aの通信異常発生などの際には親機の代替として動作する親機予備(サブマスタ)パワーコンディショナーとして構成される。パワーコンディショナー#n(10C)は、子機(スレーブ)パワーコンディショナーとして構成されている。サブマスタ及び子機として構成されるパワーコンディショナー10B、10Cは、それぞれ1台以上が発電システム100内に設置される。
【0021】
マスタであるパワーコンディショナー#0(10A)は、連系点101付近の構内配電線102に設置された変流器CT
1(106)、CT
2(107)の2次巻線に接続されているCT(Current Transformer)2次配線108を介して、CT2次電流を受け取る。サブマスタであるパワーコンディショナー#1(10B)は、親機通信異常発生などの際には、親機パワーコンディショナー10A内の電流切替回路及びCT2次配線108、109を介してCT
1(106)、CT
2(107)の2次電流を受け取る。
【0022】
図2は、親機パワーコンディショナー(以下、単に親機とも呼ぶ)10Aの構成を、協働する発電装置11Aなどと共に示す。発電装置11Aは、例えば、ガスタービン22によって、ヒートポンプ用のコンプレッサ21と共に回転駆動されて発電を行う誘導発電機として構成される。ヒートポンプは、例えば、建屋の空調設備や給湯システムなどの熱源に利用される。
【0023】
親機10Aは、切替スイッチ12、電流計測回路13、電圧計測回路14、CPU15、インバータ16、及び通信ドライバ17を有する。CPU15は、全体の制御を行う。切替スイッチ12は、CT
1(106)、CT
2(107)の2次巻線からCT2次配線108を経由して送られるCT2次電流を親機10A内で利用するか、又は、CT2次配線109を介してサブマスタ・パワーコンディショナー(以下、単にサブマスタとも呼ぶ)10Bに送るかを選択する。電流計測回路13は、切替スイッチ12から電流を受け取り、その電流値を計測してCPU15に入力する。
【0024】
電圧計測回路14は、構内配電線102の線間電圧を入力し、計測した電圧値をCPU15に入力する。インバータ16は、発電装置11Aからの出力電力を商用電力系統103と同期した交流電力に変換する。通信ドライバ17は、通信回線105を介してサブマスタ10B及び各子機パワーコンディショナー(以下、単に子機とも呼ぶ)10Cに制御信号を送信し、かつこれらから状態情報を受信する。
【0025】
図2に示されるように、CT
1106、CT
2(107)の2次電流は、CT2次配線108を介して親機10A内の切替スイッチ12に接続されており、切替スイッチ12は、CT2次配線108から受け取ったCT2次電流を自機内の電流計測回路13に入力するか、又は、CT2次配線109を介してサブマスタ10Bに転送するかを選択する。切替スイッチ12は、通常時閉の接点(b接点)がサブマスタ10B側に接続されており、通常時開の接点(a接点)が自機内の電流計測回路13に接続されている。切替スイッチ12は、発電システム100の通常運転時には、CT
1、CT
2の2次電流を自機内の電流計測回路13に入力し、また、親機の通信異常時や、親機電気回路の異常時、停電時などにはサブマスタ10Bに向けてCT
1、CT
2の2次電流を転送する。
【0026】
通信ドライバ17は、通信回線105を経由してサブマスタ10B及び子機10Cを含む各スレーブと通信を行う。CPU15は、一定時間ごとに、例えば50〜200ミリ秒(mS)ごとに、各スレーブに向けて順次にスレーブの状態情報を送信させるための指示信号を送信する。各スレーブは、その指示信号に応答して、自機の発電装置における現在の発電電力量や、パワーコンディショナーの出力電圧、パワーコンディショナー内の警報発生状況、発電停止などの状態情報を送信する。CPU15は、順次に各スレーブから状態情報を受け取った後に、各スレーブが発電すべき共通の電力量を指示する制御情報を一斉送信する。CPU15は、このスレーブごとの送受信及びスレーブ一斉送信を含む一連の通信を、例えば1秒ごとに繰り返す。
【0027】
インバータ16は、ガスタービン22によって駆動される発電装置11Aの発電電圧、相数、位相を商用電力系統103からの供給電圧、相数、位相に合致するように変換し、構内配電線102に向けて供給する。CPU15は、発電電力量をインバータ16に指示し、インバータ16における電力変換の際の供給電力量を制御することで、発電装置11Aの発電電力量を制御する。インバータ16は、CPU15に対し、その時点でのパワーコンディショナーの供給電力量や、供給電圧、周波数、警報の作動状況、発電停止などの状態情報を周期的に入力する。
【0028】
図3は、サブマスタ10Bのブロック図である。
図2に示した親機10Aとの違いは、切替スイッチ12に接続されるCT2次配線の構成であり、その他の構成は親機10Aと同様である。サブマスタ10Bの切替スイッチ12は、CT2次配線109を経由して親機10Aから転送されたCT2次電流を、自機内の電流計測回路13に入力するか、又は、単に短絡させるかを選択する。切替スイッチ12は、通常時開の接点が自機内の電流計測回路13に接続され、通常時閉の接点が切替スイッチ12外で短絡される。切替スイッチ12は、自機の電気回路が正常であることを前提として、親機10Aの通信異常時や、親機10Aの停電等の異常時に際して、CT
1、CT
2の2次電流を自機内の電流計測回路13に切り替えることで、連系点101における受電電流をサブマスタ10B側で計測するために利用される。
【0029】
図4は、子機10Cのブロック図である。子機10Cの構成は、切替スイッチ12、電流計測回路13を有しないことを除いて、親機10Aやサブマスタ10Bの構成と同じである。
図2及び
図3に示した構成と同様な子機10Cの構成については、重複した説明を省略する。
【0030】
図5は、親機10A内のCPU15の機能ブロック図である。この親機CPU15の機能は、記憶媒体に記録されたプログラムによって実現される。プログラムは、例えば親機10A、サブマスタ10B、子機10Cとも共通のプログラムとして作成され、管理者からの入力により定まる初期設定に従って、各パワーコンディショナーが親機10A、サブマスタ10B、又は、子機10Cの何れとして作動するかが選択可能に構成される。
【0031】
図5において、親機CPU15は、電流値入力部31及び電圧値入力部32により、定期的に電流計測回路13及び電圧計測回路14からそれぞれ入力を受け取る。受電電力量演算部33は、電流値入力部31及び電圧値入力部32からそれぞれ受け取った電流値及び電圧値から現時点における受電電力量を演算する。逆潮流判定部34は、演算された受電電力量及びあらかじめ設定された設定電力量に基づいて逆潮流が発生するか否かを判定する。
【0032】
発電電力量演算部35は、逆潮流判定部34の判定結果に基づいて、発電システム全体で発電すべき発電電力量を演算する。つまり、発電電力量演算部35は、逆潮流判定部34が現在の受電電力量が設定電力量より多いと判定すれば、現在の発電電力量より所定値だけ発電電力量を増やし、また、逆潮流判定部34が現在の受電電力量が設定電力量と等しいか又はこれより少いと判定すれば、同じ所定値だけ発電電力量を減らすことによって、発電システム100が発電すべき電力量を演算する。
【0033】
各機発電量演算部36は、発電電力量演算部35が算出した電力量、及び、その時点で稼動しているパワーコンディショナーの台数に基づいて各パワーコンディショナーに割り振るべき発電量を演算する。各機発電量演算部36の演算結果は、通信制御部37及び発電制御部41に通知される。発電制御部41は、通知された発電量に従ってインバータ16における電力変換量を制御し、これによって発電装置11Aの発電量を制御する。
【0034】
通信制御部37は、通信回線105及び通信ドライバ17を介して、サブマスタ10B及び子機10Cを含む各スレーブとの間で通信を行う。通信は、まず親機10Aからスレーブであるサブマスタ10Bと子機10Cのそれぞれに対して現在の発電状態の情報を送るように指示する指令信号が送信され、その指令信号に応答してサブマスタ10B及び子機10Cがそれぞれ自機の状態情報を送信し、その後に親機10Aがサブマスタ10B及び子機10Cの全てに共通の発電電力量を通知する指示情報を送信するという一連の送受信を繰り返すことで実行される。
【0035】
子機異常判定部38は、受信した状態情報から何れかの子機に発電停止の異常が発生したことを検知すると、その旨を各機発電量演算部36に通知する。各機発電量演算部36は、当該異常が発生した子機を除いて、各発電機が発電すべき発電量をあらためて演算する。発電制御部41は、自機の発電装置11A及びインバータ16の運転状態を監視しており、その運転が停止するという異常常態が発生すると、その旨を各機発電量演算部36に通知し、各機発電量演算部36は、その異常が発生した親機を除いて、現時点で作動している各スレーブが発生すべき発電電力量をあらためて演算する。
【0036】
発電システム100の定常状態において、親機10Aの通信異常判定部39は、通信制御部37における通信状態を監視する。通信異常判定部39は、通信制御部37による親機から通信回線105への送信、それに応答した各子機からの受信を含む一連の通信が、一定時間継続的に行われていないと判定すると、親機通信異常と判定する。マスタ/スレーブ切替部40は、通信異常判定部39が親機通信異常発生と判定すると、発電制御部41に通知して、インバータ16及び発電装置11Aを停止させると共に、CPU15をマスタモードからスレーブモードに移行させ、自機CPU15のマスタとしての作動を停止する。マスタ/スレーブ切替部40は、更に切替スイッチ12を操作して、CT2次電流をサブマスタ10B側に切り替える。
【0037】
親機通信異常が発生すると、それ以後におけるマスタの役割は、サブマスタ10Bに移され、また、親機パワーコンディショナーを除いてサブマスタ10B及び子機10Cのパワーコンディショナーで発電が行われる。サブマスタ10BのCPU15のブロック構成は、
図5で示した親機CPU15のブロック構成と同様であり、その旨は、
図8のフローチャートを参照したサブマスタの動作記述によって明確になる。子機10CのCPU15は、
図5に示した通信制御部37、及び、発電制御部41を有しており、
図9のフローチャートを参照したスレーブの動作記述によって明確になる。前述したように、親機10A、サブマスタ10B、子機10CのCPUは、何れも同じプログラムで作動しており、これらの何れで作動するかは、オペレータの指定などで定まる電源投入時などの初期設定によって決定される。なお、子機CPUのプログラムは、親機CPUやサブマスタCPUのプログラムとは別に用意してもよい。
【0038】
以下、上記実施形態の発電システム100の作動について
図6〜
図9を参照して説明する。
図6は、親機CPU15の処理を示すフローチャートである。親機10Aに電源が投入されると、CPU15は、まず初期設定によって自機をマスタモードに設定する(ステップA1)。初期設定には他に、サブマスタの台数や、子機の台数、設定電力量などが含まれる。次いで親機CPU15の電流値入力部31及び電圧値入力部32が、連系点における電流値及び電圧値をそれぞれ読み込む(ステップA2)。
【0039】
受電電力量演算部33は、入力された電流値及び電圧値から、受電電力量(商用系統電力量)を演算によって求める(ステップA3)。逆潮流判定部34は、求められた受電電力量が設定電力量よりも大きいか否かを判定する(ステップA4)。発電電力量演算部35は、受電電力量と設定電力量との大小関係に応じて、発電システム全体が発電すべき発電量を演算する。発電電力量演算部35は、受電電力量が設定電力量よりも大きければ、現時点での発電システムにおける発電量から一定値を増加させる(ステップA5)。また、受電電力量が設定電力量よりも小さいか又は等しければ、現時点での発電システムにおける発電量から一定値を減少させる(ステップA6)。
【0040】
各機発電量演算部36は、発電電力量演算部35が演算した電力量と、現在稼動中のパワーコンディショナーの台数とに基づいて、パワーコンディショナー1台あたりが発電すべき電力量を演算する(ステップA7)。演算によって求められた各機の発電電力量は、自機の発電制御部41に伝えられる。また、通信制御部37、通信ドライバ17及び通信回線105を介して、スレーブであるサブマスタ10B及び子機10Cに対しても通知される(ステップA8)。自機のインバータ16は、発電制御部41により、演算された各機の発電電力量に従って制御される。
【0041】
各機発電量演算部36は、各パワーコンディショナーにおける発電状態を取得する(ステップA9)。例えば自機の発電機及びインバータ16の発電停止という異常状態が発生した場合、各機発電量演算部36はその旨の通知を発電制御部41から受け取る。また、子機異常判定部38が、通信制御部37、通信ドライバ17及び通信回線105を介して各子機の発電制御部から取得した発電機の発電状態からその停止異常を認識した場合、各機発電量演算部36はその旨の通知を子機異常判定部38から受け取る。
【0042】
各機発電量演算部36は、発電制御部41及び子機異常判定部38から取得した情報から、稼働中の発電機で停止異常が発生しているか否かを判定する(ステップA10)。自機又は子機の何れかに発電停止の異常が発生していると判断されたときはステップA7に戻り、ステップA7〜A9を繰り返し実行する。つまり、各機発電量演算部36は、発電制御部41及び子機異常判定部38からの情報により、停止した親機又は子機を除いて正常に動作するパワーコンディショナーに対して、必要な発電量を割り振り、各パワーコンディショナーの発電機が発電すべき電力量をあらためて演算し、求められた発電量をスレーブであるサブマスタ10B及び子機10Cと自機のインバータ16に伝達する。ステップA2〜A10までは親機通常処理ルーチンM1である。
【0043】
ステップA10で、子機異常判定部38及び発電制御部41の何れもが発電機の停止を検知していないと判断された場合は、通信異常判定部39が親機の通信機能に不具合が生じる親機通信異常が発生したか否かを判定する(ステップA11)。ステップA11で、親機通信異常が発生していないと判定されると、ステップA2に戻り、ステップA2〜A10を含む親機通常処理ルーチンM1が繰り返される。ステップA11で、親機通信異常が発生したと判定されると、処理は親機通信異常処理ルーチンM2に進む。親機通信異常は、例えば、親機CPU15の通信異常判定部39が、通信制御部37からの送信が1秒以上停止していると判定することであり、この場合は親機10A側で検出される。なお、親機通信異常は、場合により、サブマスタ10Bから親機通信異常が発生した旨の情報、又は、サブマスタがマスタとして作動する旨の情報を受け取ることで、通信異常判定部39が認識するようにしてもよい。また、サブマスタ側で切替スイッチ12が作動した旨を親機の電流計測回路13が認識し、これを通信異常判定部39に通知してもよい。
【0044】
図7は、親機通信異常時ルーチンM2を示すフローチャートである。親機CPUのマスタ/スレーブ切替部40は、親機通信異常が発生すると、まず親機のマスタモードを停止すると共に、発電制御部41に指示してインバータ16を停止させる(ステップA21)次いで、マスタ/スレーブ切替部40は、自機の切替スイッチ12を操作して、CT2次配線108の接続先を自機の電流計測回路13からサブマスタ10B側に切り替える(ステップA22)。なお、このとき、サブマスタ10Bの切替スイッチ12も、サブマスタCPUのマスタ/スレーブ切替部40からの制御に従って動作し、CT2次配線109の接続先を自機の電流計測回路13に切り替える。
【0045】
インバータ16の停止後、親機CPU15の通信異常判定部39は、通信制御部37の稼働状況及び受信内容に基づいて、親機の通信機能が親機通信異常から回復したか否かを随時判定する(ステップA23)。何らかの理由で、親機通信異常から回復すると、つまり、親機CPU15の通信異常判定部39が親機通信異常から回復したと判定すると、マスタ/スレーブ切替部40は、親機CPU15をスレーブモードからマスタモードに復帰させ(ステップA24)、CT2次配線108をサブマスタ側から自機の電流計測回路13へ再び切り替える(ステップA25)。次いで、
図6のステップA2に戻り、受電電流値及び電圧値の読込みから始まる親機通常処理ルーチンM1に復帰する。
【0046】
図8は、サブマスタCPU15における処理を示すフローチャートである。サブマスタ10Bのパワーコンディショナーに電源が投入されると、サブマスタCPU15は、スタート時の初期設定によりスレーブモードに設定される(ステップB1)。これにより、サブマスタ10Bは、電源立ち上がり時には子機パワーコンディショナーとして作動する。サブマスタCPU15の通信制御部37は、CPU処理が開始すると、通信回線105に伝送される全ての通信を受信し、受信した通信をそのまま通信異常判定部39に受け渡すと共に、受信した通信が親機からの送信であるか否かを判定する(ステップB2)。
【0047】
ステップB2で親機10Aから通信回線105に向けて通信が発生していると判定すると、サブマスタCPU15の通信制御部37は、その通信が自機への通信であるか否かを判定する(ステップB3)。通信制御部37は、ステップB3で親機からの通信が自機への通信であると判定すると、それを発電制御部41にも送る。発電制御部41は、受け取った通信が自機の状態報告を指示する通信か、又は、自機の発電電力量の設定を指示する通信かを判定する(ステップB4)。
【0048】
発電制御部41は、ステップB4の判定結果が、状態報告の指示であれば、自機の発電状態を通信制御部37を介して親機に報告する(ステップB5)。発電制御部41は、ステップB4の判定結果が発電電力量設定の指示であれば、その指示に従って自機の発電電力量を設定し(ステップB6)、その設定電力量に従ってインバータ16を制御する。発電制御部41から親機10Aへの発電状態の通知は、親機が通信回線105を通じてサブマスタ10Bに状態報告を要求するタイミングに後続して通信回線105に送出される。ステップB5及びB6の後に、ステップB2に戻る。
【0049】
ステップB2で、通信制御部37が親機10Aから通信回線105への通信を認識できないと、通信異常判定部39は、親機からの通信が継続して発生していない時間を計測することで、親機の通信状態を監視する(ステップB7)。通信異常判定部39は、親機から例えば1秒以上継続して通信回線105への通信が発生しないと、親機通信異常の発生と判定する(ステップB8)。ステップB8で親機通信異常が発生していなければ、ステップB2に戻り、通信異常判定部39により、親機10Aから通信回線105に伝送される通信が更に監視される。
【0050】
ステップB8で、サブマスタCPU15の通信異常判定部39が、親機通信異常が発生したと判定すると、マスタ/スレーブ切替部40は、まず切替スイッチ12を操作して、CT2次配線109を自機の電流計測回路13側に切り替え(ステップB9)、次いで、自機をマスタモードに設定する(ステップB10)。これにより、サブマスタCPU15は、親機CPUに代わって、
図6に示した親機通常処理ルーチンM1に従って、スレーブパワーコンディショナーを制御するマスタCPUとして作動する。
【0051】
サブマスタCPU15の通信異常判定部39は、通常処理ルーチンM1の各ループに後続して、通信回線105の監視結果に基づいて親機通信異常から回復したか否かを判定する(ステップB11)。この通信異常からの回復の判定では、親機から正常な通信が通信回線105に伝送されたと判定されると、親機通信回復と判定する。通信異常判定部39が、ステップB11で親機通信異常が回復していないと判定すると、サブマスタCPU15は、親機通常処理ルーチンM1に従ってマスタCPUとしての作動を継続する。
【0052】
何らかの理由で親機から通信回線105に伝達される通信が正常に戻り、通信異常判定部39が、ステップB11で親機通信異常から回復したと判定すると、マスタ/スレーブ切替部40は、まず、自機の切替スイッチ12を操作してCT2次配線109を短絡側に切り替え(ステップB12)、次いで、自機CPU15を再びスレーブモードで作動させる(ステップB13)。
【0053】
図9は、子機10CのCPU15における処理を示すフローチャートである。子機CPU15は、パワーコンディショナーに電源が投入されると、スタート時の初期設定により、スレーブモードに設定される(ステップC1)。子機CPU15の通信制御部37は、処理が開始すると、通信回線105に伝送される通信が親機10Aから自機に向けた通信であるか否かを判定する(ステップC2)、子機CPU15は、ステップC2で自機への通信でないと判定するとそのまま待機する。
【0054】
通信制御部37は、ステップC2で親機10Aからの通信が自機への通信であると判定すると、それを発電制御部41に送る。発電制御部41は、その自機への通信が自機の状態報告を指示する通信か、又は、自機の発電電力量の設定指示であるかを判定する(ステップC3)。発電制御部41は、ステップC3の判定結果が、状態報告の指示であれば、自機の発電状態を、親機10A又はその時点でマスタとして動作しているサブマスタ10Bに報告する(ステップC4)。また、ステップC3の判定結果が発電電力量設定の指示であれば、その指示に従って自機の発電電力量を設定し(ステップC5)、それに従ってインバータ16を制御する。
【0055】
ステップC4又はC5の後にはステップC2に戻り、新たな通信の発生を監視する。発電制御部41からマスタへの発電状態の報告は、マスタが通信回線105を通じて自機に状態報告を要求するタイミングに後続して実行される。
【0056】
上記実施形態では、受電電流を1次電流とする変流器(CT
1、CT
2)の2次電流を親機パワーコンディショナー10A側に供給する第1の切替位置とサブマスタ・パワーコンディショナー10B側に供給する第2の切替位置との間で変流器の2次電流を切り替え可能な切替スイッチ12(
図2)を設置し、親機パワーコンディショナー10Aから通信回線に送出される通信に障害が発生すると、切替スイッチ12を第1の切替位置から第2の切替位置に切り替える。このようにすることで、サブマスタ・パワーコンディショナー10B側で、変流器の2次電流から受電電力量の演算が可能になり、これに基づいて各子機のパワーコンディショナーの発電電力量が演算できる。このため、サブマスタ・パワーコンディショナー10Bが、親機パワーコンディショナー10Aの代わりに、子機パワーコンディショナー10Cが発電すべき電力量を通知することができ、目的とする発電電力量の制御が可能となる。このように、親機パワーコンディショナーに通信障害が発生しても、子機パワーコンディショナーを停止する必要がなく、所望の発電量制御が可能になり、需要家側において受電電力量の増大によって電力使用料が増大することを防止できる。
【0057】
上記実施形態の発電システム100では、通信回線105として、シリアル通信システム、例えばRS485通信システムが利用可能である。RS485通信システムを利用する場合には、親機10Aからの通信発生によって通信回線内の通信が制御される。つまり、親機から通信が発生すると、その通信に応答する通信のみが有効となり、それ以外の通信は各機の通信ドライバ17によってブロックされる。このRS485通信システムを使用すると、パワーコンディショナーとして例えば最大20台までを含む発電システムの場合で、通信距離として1200m程度までが可能である。使用可能な通信方式としては、他に、例えばRS232C、CAN通信システムなどが利用可能である。
【0058】
上記実施形態の発電システムは、例えば敷地内に複数の店舗を含むショッピングセンターなどに好適に用いられる。この場合、一例として、親機1台、サブマスタ1台、子機1台〜18台の最大20台程度のパワーコンディショナーを含む発電システムが構築可能である。これらパワーコンディショナーは、各店舗内の負荷に隣接して配置することが好ましい。なお、ショッピングセンター開設初期には、その時点で開店する店舗数に合致した台数のパワーコンディショナーを設備しておき、店舗の増設に対応して、パワーコンディショナーを増やすことが考えられる。サブマスタは、必要に応じて2台以上を配置してもよい。この場合には、サブマスタ間に順位が設定される。
【0059】
パワーコンディショナーを例えば20台設置する場合には、親機は、例えば50ミリ秒(ms)ごとに通信回線を介してポーリングを行い、サブマスタ及び各子機を含むスレーブに対して順次に通信指令を発行し、その都度、各スレーブからパワーコンディショナーの状態報告を受け取る。最後のスレーブに通信指令を発行し、そのスレーブから状態報告を受信した後に、スレーブ全体に各パワーコンディショナーが発電すべき電力量を一斉に通知する。このようにすると、親機は1秒ごとに、スレーブ全体から状態報告を受け取ると共に、これらに一斉指示を与えることが出来る。スレーブの台数がこれより少ない、例えばショッピングセンターの開設時点では、CPUの初期設定により、各スレーブの通信間隔を調整して、開設時の通信周期を増設後の周期と同じ1秒に合わせる。
【0060】
サブマスタが、親機通信異常を検出してマスタとして作動しているときに、親機から通信回線への通信が回復すると、サブマスタは、通信回線に送信された親機の通信状態からその通信回復を検知し、自律的にスレーブに復帰する。この目的のために、通信ビット中に、親機通信異常、スレーブ通信異常などのビットを含ませることが好ましい。この場合、例えばサブマスタCPU15の通信異常判定部39は、親機通信に一定以上の障害が発生したと判定すると、親機通信異常発生と判定し、これを親機通信異常ビットに含めて親機に送信してもよい。
【0061】
上記実施形態では、通信回線105又は通信制御部37から親機通信異常を検出する通信異常判定部39、及び、CT2次配線108、109の接続を切り替える切替スイッチ12を、親機10A及びサブマスタ10Bの双方に設ける例を示した。しかし、本発明は、この実施形態の例には限定されない。例えば、通信制御部37から通信異常を判定する通信異常判定部39を親機のみに設置する。この場合には、親機10Aに切替スイッチ12を設置し、親機10Aが通信異常を検出すると、切替スイッチ12をサブマスタ側に切り替える。サブマスタ10B側では、転送されてくるCT2次電流によって、通信異常判定部39が親機10Aの通信異常を検出する。
【0062】
上記に代えて、サブマスタ10Bに、CTの2次電流を親機10Aに供給する第1の切替位置とサブマスタ10B(自機)に供給する第2の切替位置との間で切り替え可能な切替スイッチを設けることとしてもよい。通常時は、第1の切替位置を選択して親機10AにCTの2次電流を供給し、親機の通信異常時に第2の切替位置に切り替えてサブマスタ10BにCTの2次電流を供給するようにしてもよい。なお、親機10A及びサブマスタ10Bは、発電電力量を演算し、それを子機10Cに送信して子機の発電電力量を調整する機能を有すればよく、必ずしも発電装置及びパワーコンディショナー自体を親機及びサブマスタに設置すること、或いは、親機及びサブマスタ側で発電電力量を子機と同様に制御することを必須とするものではない。
【0063】
上記実施形態では、サブマスタ側にも切替スイッチを設ける例を示したが、CT2次配線を開放しない限り、サブマスタ側に切替スイッチを設けずに、親機の切替スイッチの操作によって、CT2次配線を直ちにサブマスタ側の電流計測回路に接続する構成も可能である。また、例えばサブマスタ10Bが親機10Aよりも連系点101から距離的に近い場所に設置されるなどの場合には、通信異常判定部39及び切替スイッチ12をサブマスタ側にのみ設置してもよい。なお、CT2次電流の計測に際しては、シャント抵抗を用いて、受電電流の計測感度を複数段階に分けて設定することが好ましい。この場合、受電電力量の計測範囲を所望の範囲に維持すると共に、逆潮流の検出感度を高めることが出来る。
【0064】
上記実施形態では、逆潮流の検出に際して、逆潮流検出のためのしきい値を1つとする例を示したが、しきい値としては、上限値及び下限値を用いてもよい。この場合、受電電力量が上限値以上になると発電電力量を所定値だけ増加させて受電電力量を減らし、受電電力量が下限値以下になると発電電力量を所定値だけ減少させて受電電力量を増やし、かつ、受電電力量が上限値と下限値の間では、現在の発電量を維持することで、受電電力量を所定範囲に維持する方式も可能である。なお、下限値は実際に逆潮流が発生するゼロ電力値よりも所定値だけ上側に設定してもよい。また、逆潮流の発生如何にかかわらず、設定電力量のしきい値を定めてもよい。
【0065】
親機がスレーブから受信する状態報告には、例えば、パワーコンディショナー停止の他に、各パワーコンディショナーにおける発電周波数や、発電電力量、インバータの故障、近傍の負荷状況などを含んでもよい。親機は、受信した各子機の発電状態、現在の受電電力量、発電システムの現在の発電電力量、各子機の近傍の負荷状況、記憶している子機の累積稼働時間や起動頻度を含む運転履歴などを勘案して、各子機に対して個々に異なる発電電力量を通知してもよい。また、近傍の負荷状況に応じて特定の子機に対して停止指令などを与えることも出来る。更には、発電システムを構成する発電機が異なる発電容量や、異なる発電方式を採用してもよい。
【0066】
上記実施形態では、発電機及びヒートポンプが、ガスタービンによって共通に駆動される例を示した。しかし、発電機の運転は、このような例には限定されず、任意の発電方式で発電する発電機が採用可能である。また、パワーコンディショナーがインバータを含む例を示したが、この例には限定されず、発電機が、商用電力と同じ周波数、同じ電気方式、同じ相数の電力を発生するものでもよい。この場合、パワーコンディショナーは、発電装置から供給する電力を調整する機能を持てばよい。
【0067】
上記実施形態では、親機、サブマスタ及び子機が均等に発電電力量を分担する例を示したが、本発明はこの例には限定されない。例えば、各機の発電能力や、発電コスト、運転頻度、運転時間、各地点における負荷密度の相違などを勘案して、各機に異なる発電電力量を設定し分担させてもよい。
【0068】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて説明したが、本発明の発電システム及びその制御方法は、上記実施形態にのみ限定されるものではなく、上記実施形態の構成から種々の修正及び変更を施したものも、本発明の範囲に含まれる。