【実施例】
【0033】
以下に、本発明の合成繊維構造体について実施例に基づいてさらに詳しく説明する。なお、実施例における合成繊維構造体の評価は以下の方法で行った。
なお、実施例1〜3および5〜8は参考例である。
【0034】
[繊度]
JIS L1013:2010の定義によった。すなわち、綛状に取った試料を20℃、65%RHの温湿度調整室に24時間放置した後、長さ90cmの試料20本をとりそのときの質量を測定し、次式により算出した。
【0035】
繊度=試料の質量/試料の長さ×1000。
【0036】
[モノフィラメントの長径と短径]
株式会社ミツトヨ社製クーラントプルーフ型マイクロメーター(測定範囲0〜25mm)を用い、モノフィラメントを回転させながら、フィラメントの長手方向における同一点にでの最大径と最小径をそれぞれ5本のサンプルについて測定し、最大径の平均値を長径、最小径の平均値を短径とした。
【0037】
[真円度]
上記のモノフィラメントの長径と短径から、次式により真円度を算出した。
【0038】
真円度=短径/長径×100。
【0039】
[ラケット用ガットとして使用時の評価]
ラケット用ガットを想定して作成した繊維構造体を50Lbの張力でテニス用ラケットに張設し、上級レベルのテニスプレーヤーにテニスボールを試打してもらい、従来のポリエステルモノフィラメントを使用したガットを使用した場合と比較しての反発性、ボールコントロール性、耐衝撃性、環境による特性変化の起こし難くさについて評価した。
【0040】
[防鳥線として使用時の評価]
防鳥線を想定して作成した繊維構造体を金魚の養殖池に半年間張ってもらいその間の鳥の飛来状態を従来の丸断面モノフィラメントを使用した防鳥線を使用した場合と比較し評価した。
【0041】
[通線用リード線として使用時の評価]
リード線を想定して作成した繊維構造体を、内径14mmの配管(市販品)を
図1に示すように形設した模擬配管の開口部AからBへとリード線を通線作業した場合のリード線の通線性について評価した。
【0042】
なお、各コーナーにおける配管は、電気配線用エルボ(市販品)を使用し、a〜fの長さは次の通りとした
a:1.0m
b:1.2m
c:2.4m
d:1.2m
e:2.6m
f:1.4m
g:2.6m
[農業用張り線として使用時の評価]
農業用張り線を想定して作成した繊維構造体をホップ栽培の農園でホップの蔓をまきつかせる張り線として使用してもらい、従来の丸断面モノフィラメントを複数本撚り合わせた張り線と比較して評価した。
[実施例1]
合成樹脂としてポリエステル樹脂である三井化学製ポリエチレンテレフタレート樹脂(J055:極限粘度1.37)を用い、これをエクストルーダー型紡糸機へ供給し、紡糸温度300℃で溶融混練した後、ギヤポンプを経て、紡糸パック内の濾過層を通過して断面がクローバー形の異形断面糸製造用紡糸ノズルから紡出し、ただちに75℃の温水浴中で冷却固化させたポリエステル樹脂製の未延伸糸を得た。引き続き、得られた未延伸糸を90℃の温水浴で3.0倍に一次延伸し、次いで260℃の乾熱雰囲気下で1.8倍に二次延伸を行ってトータル延伸倍率5.4倍、繊度4635dtexの断面がクローバー形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0043】
前記ポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法で吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面糸製造用に変更した以外は、同様の方法により繊度1758dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0044】
前記異形断面モノフィラメント1本と、前記丸断面モノフィラメント7本とを引きそろえて繊維集合体とした後、240℃の乾熱浴中で45回/mの撚り数でS方向の撚りを掛けた後、20℃の冷却水中にて急冷させることで前記繊維集合体の形態を熱固定させることにより繊維構造体を得た。
【0045】
得られた繊維構造体をラケット用ガットとして使用した場合は、従来のポリエステルガットを使用した時よりもスピン性に優れ、打球感がソフトでボールコントロールがしやすかった。
[実施例2]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を三角形に変更した以外は同様の方法で繊度8884dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0046】
次に、前記ポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度6161dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0047】
前記異形断面モノフィラメント1本と前記丸断面モノフィラメント1本を使用して撚り数を35回/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0048】
得られた繊維構造体をラケット用ガットとして使用した場合は、実施例1同様に、従来のポリエステルガットを使用した時よりもスピン性に優れ、打球感がソフトでボールコントロールがしやすかった。
[実施例3]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を四角形に変更した以外は、同様の方法で繊度3915dtexの断面が四角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0049】
次に、前記ポリエチレンテレフタレート樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度1357dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0050】
前記異形断面モノフィラメント2本と前記丸断面モノフィラメント7本を使用して撚り数を50回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0051】
得られた繊維構造体を防鳥線として評価した場合は、従来の防鳥線より光の乱反射が多く、鳥の飛来も少なかった。
[実施例4]
実施例3のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量を変更した以外は、同様の方法で繊度5856dtexの断面が四角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。作成したモノフィラメントを単線にて240℃の乾熱浴中で25回/mの撚り数でZ方向の撚りを掛けた後、20℃の冷却水中にて急冷させることで前記単繊維の形態を熱固定させることにより、下撚りされた異形断面モノフィラメントを作成した。
【0052】
次に、合成樹脂として東レ製ポリアミド樹脂(M1041:相対粘度4.4)を用い、これをエクストルーダー型紡糸機へ供給し、紡糸温度290℃で溶融混練した後、ギヤポンプを経て、紡糸パック内の濾過層を通過して丸断面糸製造用紡糸ノズルから紡出し、ただちに20℃の冷却浴中で冷却固化させたポリアミド樹脂製の未延伸糸を得た。引き続き、得られた未延伸糸を100℃の蒸気雰囲気中で3.8倍に一次延伸し、次いで220℃の乾熱雰囲気下で1.42倍に二次延伸を行ってトータル延伸倍率5.4倍、繊度3900dtexの丸断面モノフィラメントを作成した。
【0053】
前記異形断面モノフィラメント1本と、前記丸断面モノフィラメント2本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0054】
得られた繊維構造体を防鳥線として評価した場合は、実施例3同様に、従来の防鳥線より光の乱反射が多く、鳥の飛来も少なかった。
[実施例5]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を三角形に変更した以外は、同様の方法で繊度96044dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0055】
次に、前記エステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度62674dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0056】
異形断面モノフィラメント1本と、前記丸断面モノフィラメント2本を使用して、撚り数を48回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0057】
得られた繊維構造体を通線用リード線として
図1の模擬配管を通したところ、開口部AからBまでスムーズに通線することができた。
【0058】
[実施例6]
実施例5のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量を変更した以外は、同様の方法で繊度148898dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0059】
次に、前記ポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度53339dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0060】
前記異形断面モノフィラメント1本と、前記丸断面モノフィラメント1本を使用して、撚り数を27回/mに変更した以外は実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0061】
得られた繊維構造体を通線用リード線として
図1の模擬配管を通したところ、実施例5同様開口部AからBまでスムーズに通線することができた。
【0062】
[実施例7]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度3915dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0063】
実施例2で作成した繊度8884dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメント3本と、前記繊度3915dtexの丸断面モノフィラメント2本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0064】
得られた繊維構造体を農業用張り線として使用した場合は、従来の張り線より蔓の絡みが良く途中で蔓を縛ることなく栽培ができた。
【0065】
[実施例8]
実施例2で作成した繊度8884dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメント2本と、実施例7で作成した繊度3915dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメント5本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0066】
得られた繊維構造体を農業用張り線として使用した場合は、実施例7同様従来の張り線より蔓の絡みが良く途中で蔓を縛ることなく栽培ができた。
【0067】
[比較例1]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量を変更した以外は、同様の方法で繊度15983dtexの断面がクローバー形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0068】
前記異形断面モノフィラメントを単線にて240℃の乾熱浴中で45回/mの撚り数でS方向の撚りを掛けた後、20℃の冷却水中にて急冷させることで前記異形断面モノフィラメントの形態を熱固定させることにより、繊維軸方向に稜線を形成した異形断面モノフィラメントを得た。
【0069】
得られたモノフィラメントを、ラケット用ガットとして使用した場合は、断面がクローバー形の異形断面モノフィラメント単糸に撚りを掛けて表面に螺旋状の稜線を形成しただけであり、従来のポリエステルガットと比較して、スピンのかけやすさについてはある程度改善するものの、フレキシブル効果が得られないことから、打球感の改善が無くボールコントロールがしにくいものであった。
また、前記繊維構造体を防鳥線として使用した場合には、表面に螺旋状の凹凸はできるが、凹凸が小さいことから光の乱反射を起こす効果が小さく、従来の丸断面モノフィラメントを使用した防鳥線と比較して、鳥の飛来を防止する効果の改善が見られなかった。
【0070】
[比較例2]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を三角形に変更した以外は、同様の方法で繊度190612dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントを作成した。
【0071】
前記異形断面モノフィラメントを、比較例1同様に単線にて45回/mの撚り数でS方向の撚りを掛けた繊維軸方向に稜線を形成した異形断面モノフィラメントを得た。
【0072】
得られた異形断面モノフィラメントを、通線用リード線として模擬配管を通したところ、断面が三角形の異形断面モノフィラメント単糸によりを掛けて表面に螺旋状の稜線を形成しただけであり、フレキシブル性に欠けるとともに稜線の凹凸が小さいことから通線抵抗が大きくなり、開口部AからBまでの途中でリード線を押し込むことができなくなり通線用リード線として使用できないものであった。また、得られた繊維構造体を、農業用張り線として使用した場合は、表面の凹凸が小さく、蔓の絡みが悪くホップが実をつけたとき自重に耐え切れなくなり、蔓が下がってしまうため途中で蔓を張り線に縛る必要があった。
【0073】
[比較例3]
実施例1で作成した繊度4635dtexの断面がクローバー形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメント1本と、実施例1で作成した繊度1758dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメント7本を使い、組紐に製紐して合成繊維構造体の作成を試みたが、組紐中1本だけ繊度が太いモノフィラメントを使用したことにより、歪な繊維構造体となってしまい実用性に欠けるものとなった。
【0074】
[比較例4]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度4700dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0075】
前記丸断面モノフィラメント1本と、実施例1で作成した繊度1758dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメント7本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0076】
得られた繊維構造体をラケット用ガットとして使用した場合は、繊度の違う丸断面モノフィラメントのみで構成されていることから、従来のポリエステルガットと比較してソフトな打球感は得られたが、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、スピンのかけやすさについては不十分なものであった。また、前記繊維構造体を防鳥線として使用した場合は、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、表面のキラつきが少なく従来の防鳥線同様鳥の飛来が多かった。
【0077】
[比較例5]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量を変更した以外は、同様の方法で繊度62674dtexのクローバー形ポリモノフィラメントを作成した。次いで、実施例1のポリモノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で繊度69362dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
【0078】
前記繊度62674dtexのクローバー形ポリモノフィラメント2本と、繊度69362dtexの丸断面ポリモノフィラメント1本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0079】
得られた繊維構造体を通線用リード線として模擬配管を通したところ、複数のモノフィラメントに撚りを掛けて繊維構造体を形成していることから、フレキシブル性は得られるが、繊維構造体を構成するモノフィラメントの繊度の比が小さいことから、稜線の凹凸が小さく、通線抵抗が大きくなり、開口部AからBまでの途中でリード線を押し込むことができなくなり、通線用リード線として使用できないものであった。
【0080】
[比較例6]
実施例3で作成した繊度3915dtexの四角断面ポリモノフィラメント4本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0081】
得られた繊維構造体をラケット用ガットとして使用した場合は、全て同一繊度の異形断面モノフィラメントのみで構成されていることから、従来のポリエステルガットと比較してソフトな打球感は得られたが、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、スピンのかけやすさについては不十分なものであった。また、前記繊維構造体を防鳥線として使用した場合は、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、表面のキラつきが少なく従来の防鳥線同様鳥の飛来が多かった。
【0082】
[比較例7]
実施例1のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメントの製造方法において、吐出量と、紡糸ノズルの断面形状を丸断面に変更した以外は、同様の方法で、繊度96044dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメントを作成した。
前記繊度96044dtexの丸断面ポリモノフィラメント1本と、実施例5で作成した繊度96044dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメント1本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0083】
得られた繊維構造体を通線用リード線として模擬配管を通したところ、複数のモノフィラメントによりを掛けて繊維構造体を形成していることから、フレキシブル性は得られるが、モノフィラメントの繊度比率が低く稜線の凹凸が小さいことから、通線抵抗が大きくなり、開口部AからBまでの途中でリード線を押し込むことができなくなり、通線用リード線として使用できないものであった。
【0084】
[比較例8]
実施例2で作成した繊度8884dtexの断面が三角形のポリエステル樹脂製の異形断面モノフィラメント1本と、実施例3で作成した繊度1357dtexのポリエステル樹脂製の丸断面モノフィラメント5本を使用して、撚り数を45回/mに変更した以外は、実施例1と同様の方法で繊維構造体を得た。
【0085】
得られた繊維構造体をラケット用ガットとして使用した場合は、異形断面モノフィラメントの単糸繊度と、丸断面モノフィラメントの繊度比が大きくなりすぎて、モノフィラメントの剛性が違いすぎるため撚りを掛けた場合異形断面モノフィラメントに丸断面モノフィラメントがまきつくような形状になってしまい、従来のポリエステルガットと比較してフレキシブル効果が得られないことから、打球感の改善が無く、ボールコントロールがしにくいものでああると共に、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、スピンのかけやすさについては不十分なものであった。また、前記繊維構造体を防鳥線として使用した場合は、表面の凹凸が小さくなってしまうことから、表面のキラつきが少なく従来の防鳥線同様鳥の飛来が多かった。
【0086】
以上、実施例・比較例で作成したモノフィラメントと、そのモノフィラメントを使用して得られた繊維構造体の構造を表1にまとめた。
【0087】
【表1】
【0088】
表1および実施例1〜8の結果から明らかなように、本発明の条件を満たした合成繊維構造体は、いずれも繊維構造体のフレキシブル性、表面の凹凸の大きさを生かして、ラケット用ガット、防鳥線、通線用リード線、農業用張り線などの用途に、幅広く有効に使用できる。
【0089】
一方、本発明の条件を満たさない繊維構造体(比較例1〜8)は、繊維構造体のフレキシブル性に欠けるものであったり、表面の凹凸が小さかったりすることから、ラケット用ガットとして使用した場合には、衝撃吸収性に劣り打球性が悪くなったり、スピン性が劣るものになってしまう。また、防鳥線として使用した場合は、表面のキラつきが小さくて防鳥効果が小さく、通線用リード線として使用した場合は、模擬配管の途中で引っかかってしまい通線不能となり、農業用張り線として使用した場合蔓のまきつきが弱く自重で下がってしまうなど問題があり、実用性に欠けるものばかりであった。