(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記ハーネス保持部は、車両前後方向の後端部に、前記複数のハーネスの各々を車両内外方向に挿通して、前記第二スイッチと電気的に接続する前記複数のハーネスの各端部の近傍を保持する挿通保持部を有することを特徴とする請求項1または2に記載の車両用ドアロック装置。
前記第二スイッチは、車両上下方向における前記ケーシングの上端部と前記ラッチの上端部との間に配置されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一つに記載の車両用ドアロック装置。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、添付図面を参照して、本発明に係る車両用ドアロック装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本実施の形態により、本発明が限定されるものではない。また、図面は模式的なものであり、各要素の寸法の関係、各要素の比率等は、現実のものとは異なる場合があることに留意する必要がある。図面の相互間においても、互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている場合がある。また、各図面において、同一構成部分には同一符号が付されている。
【0015】
(車両用ドアロック装置の構成)
まず、
図1〜6を参照して、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の構成について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の一構成例を示す車両内側から見た側面図である。
図2は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の一構成例を示す車両後方から見た後面図である。
図2には、
図1のII方向から見た車両用ドアロック装置1の側面が示されている。
図3は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の第一ケーシングの一構成例を示す斜視図である。
図4は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置のラッチ機構および施解錠機構の一構成例を示す車両後方から見た後面図である。
図5は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の内部構成の一例を示す車両内側から見た側面図である。
図6は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置の内部構成の一例を示す車両外側から見た側面図である。
【0016】
本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置1は、車両のドア(例えばリア側のサイドドア)の内部に取り付けられるものであり、
図1に示すように、ケーシング10と、ラッチ機構4と、を備える。また、車両用ドアロック装置1は、
図5等に示すように、施解錠機構6と、第一スイッチ13と、第二スイッチ14と、スイッチプレート7およびハーネスプレート8によって構成される導通配線部5と、を備える。
【0017】
なお、本実施の形態では、車両用ドアロック装置1およびこれを構成する各構成部の前後、上下、左右(横)の各方向として、車両前後方向、車両上下方向、および車両内外方向が設定される。車両前後方向は、車両用ドアロック装置1が車両のドアに取り付けられた状態における当該車両の前後方向である。同様にして、車両上下方向は、車両用ドアロック装置1が車両のドアに取り付けられた状態における当該車両の上下方向である。また、車両内外方向は、車両用ドアロック装置1が車両のドアに取り付けられた状態における当該車両の内外方向であり、車両前後方向および車両上下方向のそれぞれと直交する方向である。
【0018】
ケーシング10は、
図2に示すように、第一ケーシング2および第二ケーシング3を有する。第一ケーシング2は、
図3に示すように、第一収納部11および第二収納部12を有する。第一収納部11は、施解錠機構6を収納する空間部である。第二収納部12は、ラッチ機構4を収納する空間部である。第一収納部11は、
図3に示すように、第二収納部12よりも車両前側に位置している。
【0019】
第一ケーシング2は、
図3に示すように、第一収納部11を形成する第一外壁部2aおよび第一側壁部2bを有する。第一外壁部2aは、車両内外方向と交差する壁部であり、例えば、車両内外方向と略直交する。第一側壁部2bは、第一外壁部2aを囲む壁部であり、第一外壁部2aから車両内側に向けて突出している。第一側壁部2bは、第一外壁部2aの上端の縁部、前端の縁部、および下端の縁部に沿って連続的に設けられている。
【0020】
また、第一ケーシング2は、
図3に示すように、第二収納部12を形成する第二外壁部2cおよび第二側壁部2dを有する。第二外壁部2cは、車両前後方向と交差する壁部である。第二外壁部2cは、第一外壁部2aの後端から車両外側に向けて突出している。第二側壁部2dは、第二外壁部2cを囲む壁部であり、第二外壁部2cから車両後側に向けて突出している。第二側壁部2dは、第二外壁部2cの上端の縁部および外側端部の縁部に沿って連続的に設けられている。第二収納部12は、車両前後方向におけるケーシング10の後端部の空間部である。
【0021】
第二ケーシング3は、第一ケーシング2における車両内側の開口部を閉塞するカバー部材である。第二ケーシング3は、第一ケーシング2と共に、施解錠機構6およびラッチ機構4を収納する収納空間を形成する。
【0022】
ラッチ機構4は、車両のドアを開閉する際に車体のストライカと係脱する機構であり、
図1に示すように、車両前後方向におけるケーシング10の後端部に配置される。
図2に示すように、ラッチ機構4は、ボディ41およびカバープレート42を有する。カバープレート42は、車体に設けられたストライカが進入する進入溝42aを有する。また、ラッチ機構4は、
図4に示すように、ラッチ43およびラチェット44を有する。ラッチ43およびラチェット44は、それぞれ軸43aおよび軸44aによって回動自在に支持されている。ラッチ43は、スプリングによって
図4の時計回り方向(開放方向)に付勢されている。ラチェット44は、スプリングによって
図4の反時計回り方向に付勢されている。
【0023】
ラッチ機構4がアンラッチ状態である場合、ラッチ43の係合溝43cは、カバープレート42の進入溝42a(
図2参照)と、この進入溝42aに対応するボディ41の溝部とに開口を合わせた状態になっている。すなわち、ラッチ43の回動位置は、アンラッチ位置になっている。このようなアンラッチ状態において、車両のドアが閉じられた際、車体のストライカSは、進入溝42a等に沿って矢印Y1で示すようにラッチ機構4内に進入する。この場合、ストライカSは、ラッチ43の当接部43bに当接してラッチ43を反時計回り方向(係合方向)に回動させる。これとともに、ラッチ43は、係合溝43c内にストライカSを受け入れる。ラチェット44は、係合溝43c内にストライカSを受け入れた状態のラッチ43に当接してラッチ43の開放方向への回動を規制する。すなわち、ラチェット44は、ラッチ43の当接部43bに当接することでラッチ43をハーフラッチ位置で停止させ、突起部43dに当接することでラッチ43をフルラッチ位置で停止させる。ラッチ43の回動位置がハーフラッチ位置である場合、ラッチ機構4はハーフラッチ状態であり、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置である場合、ラッチ機構4はフルラッチ状態である。ラッチ43は、ハーフラッチ状態およびフルラッチ状態の際、
図4に示すように係合溝43cとストライカSとを係合させてストライカSを保持する。なお、
図4には、ラッチ機構4のフルラッチ状態が示されている。
【0024】
施解錠機構6は、ドアのロック状態とアンロック状態とを切り替えることが可能な機構であり、ケーシング10内に配置される。
図5に示すように、施解錠機構6は、インサイドレバー61、オープンリンク62、レバーロック63、中間レバー64、連結部材70、チャイルドプルーフレバー65、ウォームホイール67、およびモータ68を有する。施解錠機構6は、更に、
図4に示すアウトサイドレバー69を有する。
【0025】
図5に戻り、インサイドレバー61は、第一収納部11における下端に配置されている。インサイドレバー61は、第一ケーシング2の第一軸21によって回動自在に支持されている。インサイドレバー61は、第一アーム61a、第二アーム61b、および押圧部61cを有する。第一アーム61aは、第一軸21から車両上側に向けて延在している。第一アーム61aは、ケーブル15を介してドアのインナーハンドルに連結されている。第二アーム61bは、第一軸21から車両後側に向けて延在している。押圧部61cは、第二アーム61bの先端部に設けられている。
【0026】
レバーロック63は、車両の開扉操作をラッチ機構4に伝達するか否かを自身の回動位置に応じて切り替えるものである。
図5に示すように、レバーロック63は、第一収納部11における車両前後方向および車両上下方向の中央部に配置されている。レバーロック63は、第一ケーシング2の第二軸22によって回動自在に支持されている。レバーロック63は、第二軸22に対して車両上側に位置するサイレンサ63a、および第二軸22から車両下側に向けて延在するアーム63bを有する。サイレンサ63aは、平面視における形状が略扇形状であり、第二軸22の半径方向外側へ向かうに従って幅が広がっている。
【0027】
サイレンサ63aには、
図5に示すように、車両内側に向けて突出する連結突起63cおよび係合突起63dが設けられている。連結突起63cは、サイレンサ63aの車両後側の端部に配置された円筒形状の突起である。係合突起63dは、サイレンサ63aの車両前側の端部に配置された円柱形状の突起である。アーム63bは、ケーブル16を介してドアのロックノブに連結されている。
【0028】
オーバーセンタースプリング66は、レバーロック63に対して回動方向の付勢力を与えるスプリングである。オーバーセンタースプリング66は、コイルスプリングであり、コイル部を構成する線材の両端がコイル部から外側に向けて突出し、且つ交差している。この交差部が、
図5に示すように、レバーロック63の係合突起63dに係合している。オーバーセンタースプリング66は、第一ケーシング2のスプリング軸25によって支持されており、サイレンサ63aを車両後側に向けて押圧する。オーバーセンタースプリング66の付勢力は、レバーロック63を解錠方向に向けて回動させる力である。レバーロック63の解錠方向は、
図5における時計回り方向である。
【0029】
チャイルドプルーフレバー65および中間レバー64は、
図5に示すように、第一収納部11における車両後側の下部に配置されている。チャイルドプルーフレバー65は、第一ケーシング2の第三軸23によって回動自在に支持されている。中間レバー64は、第一ケーシング2の第四軸24によって回動自在に支持されている。中間レバー64は、アーム64aと、アーム64aに設けられた連結孔64bと、を有する。アーム64aは、第四軸24から車両前側に向けて延在している。連結孔64bは、アーム64aの長手方向に沿って所定の長さで形成されたスリット状の貫通孔である。連結孔64bには、連結部材70が配置されている。連結部材70は、チャイルドプルーフレバー65と中間レバー64とを連結する部材であり、連結孔64bによって支持されている。連結部材70は、連結孔64bに沿ってアーム64aの長手方向に移動自在である。
【0030】
チャイルドプルーフレバー65は、ユーザの操作に応じて連結部材70を移動させることにより、インナーハンドルに対する開扉操作の有効/無効を切り替える。
図5に示すように、チャイルドプルーフレバー65は、連結孔65cと、つまみ65dとを有する。連結孔65cは、中間レバー64の連結孔64bと交差する方向に沿って所定の長さで形成されたスリット状の貫通孔である。チャイルドプルーフレバー65における車体前後方向の後端部には、つまみ65dが設けられている。つまみ65dは、
図1に示すように、第二ケーシング3に設けられた開口部31から外部に突出している。ユーザは、ドア開状態でつまみ65dをつまんでチャイルドプルーフレバー65をチャイルドロック位置およびチャイルドアンロック位置に回動させることができる。
【0031】
図5には、チャイルドアンロック位置にあるチャイルドプルーフレバー65が示されている。チャイルドプルーフレバー65がチャイルドアンロック位置にある場合、インサイドレバー61の押圧部61cが連結部材70に当接可能である。インナーハンドルに対する開扉操作によってインサイドレバー61が
図5の反時計回り方向に回動する。これにより、押圧部61cは、連結部材70に当接して連結部材70およびアーム64aを車両上側に向けて押し上げる。
図4に示すように、中間レバー64は、押圧部64cを有する。押圧部64cは、
図5に示すアーム64aに設けられ、
図4に示すようにアウトサイドレバー69の当接部69cと当接している。アウトサイドレバー69は、
図4に示す回動軸線XXを中心として回動自在となるように第一ケーシング2によって支持されている。押圧部64cは、当接部69cを車両上側に向けて押圧し、アウトサイドレバー69を
図4の時計回り方向に回動させる。アウトサイドレバー69の連結部69bは、ドアのアウターハンドルに連結されている。アウターハンドルに対する開扉操作がなされると、連結部69bが車両下側に向けて押圧される。これにより、当接部69cが押圧部64cによって押圧された場合と同様に、アウトサイドレバー69が
図4の時計回り方向に回動する。
【0032】
図5に戻り、オープンリンク62は、アンロック位置およびロック位置に切り替え可能である。オープンリンク62は、板状の部材であって、第一連結孔62aおよび第二連結孔62bを有する。第一連結孔62aは、オープンリンク62における車両下側の端部に設けられている。第一連結孔62aには、アウトサイドレバー69(
図4参照)の連結突起69aが挿入されている。連結突起69aは、板状の突出部であり、アウトサイドレバー69の車両内側の端部に設けられている。オープンリンク62の第一連結孔62aは、連結突起69aに対するオープンリンク62の相対回動を許容する。より具体的には、第一連結孔62aは、
図5に示すアンロック位置から、オープンリンク62が連結突起69aを中心として所定の角度範囲でロック位置まで反時計回り方向に回動することを許容する。
【0033】
オープンリンク62の第二連結孔62bは、車両上下方向に延在するスリット状の貫通孔である。レバーロック63の連結突起63cは、
図5に示すように、第二連結孔62bに挿入されている。つまり、オープンリンク62は、連結突起63cを介してレバーロック63と連結されており、レバーロック63の回動と連動してアウトサイドレバー69の連結突起69aを中心として回動する。第二連結孔62bは、連結突起63cに対するオープンリンク62の車両上下方向への相対移動を許容する。
【0034】
また、オープンリンク62は、押圧部62cを有する。押圧部62cは、車両上側を向く面であり、第一連結孔62aよりも車両上側に設けられている。
図5に示すように、オープンリンク62がアンロック位置にある場合、押圧部62cは車両上下方向において解除レバー44bと対向している。解除レバー44bは、ラチェット44の軸44aによって回動自在に支持され、且つラチェット44に接続されている。オープンリンク62が車両上側に向けて移動することにより押圧部62cが解除レバー44bに当接して解除レバー44bを押し上げると、ラチェット44が
図4の時計回り方向に回動する。これにより、ラッチ43とラチェット44との噛み合いが解除されてラッチ機構4がアンラッチ状態に切り替わる。
【0035】
従って、チャイルドプルーフレバー65がチャイルドアンロック位置にある場合に、インナーハンドルに対する開扉操作がなされると、インサイドレバー61が連結部材70および中間レバー64のアーム64aを車両上側に向けて押し上げる。これにより、中間レバー64の押圧部64c(
図4参照)は、アウトサイドレバー69を回動させ、オープンリンク62を車両上側に向けて移動させる。アンロック位置にあるオープンリンク62は、解除レバー44bを回動させてラッチ機構4をアンラッチ状態に切り替える。
【0036】
一方、チャイルドプルーフレバー65がチャイルドロック位置に向けて回動すると、
図5に矢印Y2で示すように、チャイルドプルーフレバー65における連結孔65cの部分が連結部材70を車両前側に移動させる。この結果、連結部材70の位置は、チャイルドアンロック位置からチャイルドロック位置に切り替わる。連結部材70の位置がチャイルドロック位置となると、インサイドレバー61の押圧部61cが連結部材70に当接不能となる。従って、インナーハンドルに対する開扉操作は、インサイドレバー61からオープンリンク62に伝達されなくなり、当該開扉操作が無効となる。
【0037】
レバーロック63は、開扉操作をラッチ機構4に伝達するか否かを回動位置に応じて切り替える。ユーザによってロックノブに対する解錠操作がなされると、ケーブル16がその解錠操作に応じてアーム63bを車両前側に向けて引っ張る。これにより、レバーロック63は解錠方向に回動する。一方、ユーザによってロックノブに対する施錠操作がなされると、ケーブル16がその施錠操作に応じてアーム63bを車両後側に向けて押圧する。これにより、レバーロック63は施錠方向に回動する。
【0038】
ウォームホイール67は、モータ68の回転をレバーロック63に伝達してレバーロック63を施錠方向および解錠方向に回動させる。
図5に示すように、ウォームホイール67は、第一ケーシング2のホイール軸26によって回転自在に支持されている。ウォームホイール67の外周面には、はす歯のネジ溝が形成されており、このネジ溝がモータ68のウォーム68aと噛み合っている。
図6に示すように、ウォームホイール67は、突起67aを有する。突起67aは、平面視における形状が略三角形状であり、ウォームホイール67の半径方向外側へ向かうに従い幅が狭くなっている。本実施の形態において、ウォームホイール67は、
図6に示すように、周方向に等間隔で配置された3つの突起67aを有する。
【0039】
レバーロック63のサイレンサ63aは、
図6に示すように、噛合溝63eを有する。噛合溝63eは、サイレンサ63aの外周面、すなわちホイール軸26(
図5参照)と対向する面に形成された凹部である。ウォームホイール67の突起67aは、噛合溝63eと噛み合い、サイレンサ63aを施錠方向および解錠方向に押圧する。つまり、モータ68は、ウォームホイール67を介してレバーロック63を施錠方向および解錠方向に駆動する。
【0040】
第二スイッチ14は、
図4または
図5に示すように、ラッチ機構4のボディ41に形成された挿通孔41a内に挿通され、ラッチ43に対して車両上側から隣接するようラッチ43の外周近傍に配置されている。本実施の形態において、第二スイッチ14は、アジャースイッチであり、ラッチ43の回動位置を検出する。具体的には、第二スイッチ14は、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置以外の位置であることを検出する。この際、第二スイッチ14は、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置とハーフラッチ位置との間の位置よりもアンラッチ位置側であるか否かを検出する。第二スイッチ14によってラッチ43の回動位置がフルラッチ位置以外の位置であること(ドアが半ドアあるいは開放されていること)が検出されると、車両のルームランプが点灯される。一方、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置である(ドアが全閉状態である)場合、第二スイッチ14は、車両のルームランプを消灯させる。すなわち、第二スイッチ14は、ラッチ43の回動位置に応じて車両のルームランプのオンオフを切り替えるルームランプスイッチとしての機能を有する。
【0041】
第二スイッチ14は、本体14aと可動子14bとを有する。本体14aは、後述するハーネスプレート8のハーネス保持部83を介して第一ケーシング2に固定されている。可動子14bは、先端部が球面状に湾曲した円柱状の部材である。可動子14bは、本体14aによって可動子14bの軸方向に相対移動自在に支持されている。可動子14bの先端部は、本体14aの下面からラッチ43の外周面に向けて突出している。可動子14bは、スプリング(図示せず)によってラッチ43に向けて付勢されている。
【0042】
ラッチ43がアンラッチ位置にある場合、可動子14bの先端はラッチ43の第一外周面43fに当接する。第一外周面43fは、スプリングの付勢力に抗して可動子14bを本体14aに押し込む。第二スイッチ14は、可動子14bが本体14aに押し込まれている場合に、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置とハーフラッチ位置との間の位置よりもアンラッチ位置側であることを示す開放信号(例えば、ON信号)を出力する。一方、ラッチ43が
図4に示すようにフルラッチ位置にある場合、ラッチ43の第二外周面43gが可動子14bと対向する。ラッチ43において、軸43aから第二外周面43gまでの距離は、軸43aから第一外周面43fまでの距離よりも小さい。ラッチ43がフルラッチ位置にある場合、可動子14bはスプリングの付勢力によって第二外周面43g側に突出した状態となる。第二スイッチ14は、可動子14bが突出している場合に、ラッチ43の回動位置がフルラッチ位置であることを示す係合信号(例えば、OFF信号)を出力する。
【0043】
第一スイッチ13は、
図5および
図6に示すように、レバーロック63に隣接して配置されており、レバーロック63の回動位置を検出する。本実施の形態において、第一スイッチ13は、レバーロック63の回動位置がロック位置であるか否かを検出する。第一スイッチ13は、レバーロック63のサイレンサ63aに対して車両前側に配置されている。第一スイッチ13は、本体13aと可動子13bとを有する。本体13aは、後述するスイッチプレート7の樹脂基材73を介して第一ケーシング2に固定されている。可動子13bは、先端部が球面状に湾曲した円柱状の部材である。可動子13bは、本体13aによって可動子13bの軸方向に相対移動自在に支持されている。可動子13bの先端部は、本体13aの車両後側の側面からサイレンサ63aの側面に向けて突出している。可動子13bは、スプリング(図示せず)によってサイレンサ63aの側面に向けて付勢されている。
【0044】
レバーロック63が
図5に示すようにアンロック位置にある場合、サイレンサ63aの側面は、第一スイッチ13の可動子13bから離間している。このため、第一スイッチ13の可動子13bは、スプリングの付勢力によってサイレンサ63aの側面に向けて本体13aから突出した状態となる。第一スイッチ13は、可動子13bが本体13aから突出している場合に、レバーロック63の回動位置がアンロック位置であることを示すアンロック信号(例えば、OFF信号)を出力する。一方、レバーロック63がロック位置にある場合、サイレンサ63aの側面が可動子13bに当接し、サイレンサ63aはスプリングの付勢力に抗して可動子13bを本体13aに押し込む。第一スイッチ13は、可動子13bが本体13aに押し込まれている場合に、レバーロック63の回動位置がロック位置であることを示すロック信号(例えば、ON信号)を出力する。
【0045】
モータ68は、上述したレバーロック63の回動の駆動源として機能する電動部品である。
図5に示すように、モータ68および第一スイッチ13は、ケーシング10内(詳細には第一ケーシング2内)における車両前後方向の前部に配置されている。より具体的には、モータ68および第一スイッチ13は、レバーロック63に対して相対的に車両前側に配置されている。これにより、モータ68および第一スイッチ13のための配線をケーシング10内の車両前側に集約することが可能となっている。
【0046】
図1に示すように、第二ケーシング3には、車両側に搭載された外部機器との接続用のコネクタが接続される接続部3aが表出している。接続部3aには、ワイヤハーネス等の外部配線のコネクタが接続される。接続部3aに接続される外部配線を介して、車両用ドアロック装置1と、車両側に搭載の外部機器、具体的には、車両用ドアロック装置1を制御する電子制御装置(ECU)等の制御機器や制御回路と、が電気的に接続される。
図1に示すように、接続部3aは、ケーシング10(詳細には第二ケーシング3)の外面における車両前後方向の前部に配置されている。外部配線のコネクタの先端部は、接続部3aの嵌合部に差し込まれる。接続部3aの嵌合部に差し込まれた外部配線のコネクタは、接続部3aに設けられた爪状の係合突起と係合して接続部3aに固定される。これにより、外部配線のコネクタの接続部3aからの抜け止めがなされる。
【0047】
図5に示すように、車両用ドアロック装置1は、上述した接続部3aとモータ68、第一スイッチ13、および第二スイッチ14とを電気的に接続する内部配線として、導通配線部5を備える。導通配線部5は、スイッチプレート7およびハーネスプレート8を有する。スイッチプレート7は、ケーシング10内における車両前後方向の前部に配置され、接続部3a(
図1参照)とモータ68および第一スイッチ13とを電気的に接続する。ハーネスプレート8は、ケーシング10内における車両上下方向の上部に配置され、スイッチプレート7を介して第二スイッチ14と接続部3aとを電気的に接続する。
【0048】
一方、車両用ドアロック装置1は、
図1に示すように、ケーシング10を覆う防水カバー17を備える。防水カバー17は、ケーシング10を構成する第一ケーシング2および第二ケーシング3を一体に覆う被透水性のカバー部材である。防水カバー17は、
図1に示すように、ケーシング10の上部の縁部および車両前側の縁部を一体に覆っている。このような構造の防水カバー17は、ケーシング10内への浸水を抑制して、導通配線部5等の車両用ドアロック装置1の内部部品を保護する。
【0049】
(導通配線部の構成)
つぎに、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置1に内蔵される導通配線部5の構成について詳細に説明する。
図7は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置に内蔵する導通配線部の一構成例を示す車両外側から見た側面図である。
図8は、本発明の実施の形態に係る導通配線部のスイッチプレートの一構成例を示す車両外側から見た側面図である。
図9は、本発明の実施の形態に係る導通配線部のスイッチプレートの一構成例を示す斜視図である。
図10は、本発明の実施の形態に係る導通配線部のハーネスプレートの一構成例を示す車両外側から見た側面図である。
図11は、本発明の実施の形態に係る導通配線部のハーネスプレートの一構成例を示す斜視図である。
【0050】
導通配線部5は、車両用ドアロック装置1のケーシング10内に配置され、上述した接続部3aとモータ68、第一スイッチ13、および第二スイッチ14とを電気的に接続する内部配線である。本実施の形態において、導通配線部5は、
図7に示すように、板状のスイッチプレート7と、可撓性のある電線を用いたハーネスプレート8とを接続して構成される。
【0051】
スイッチプレート7は、導通プレートと該導通プレートが組み付けられる樹脂基材とを有してケーシング10内に配置される板状の内部配線であり、上述したモータ68および第一スイッチ13と接続部3aとを電気的に接続する。具体的には、スイッチプレート7は、
図8および
図9に示すように、モータ用導通プレート71、スイッチ用導通プレート72、および樹脂基材73を有する。
【0052】
モータ用導通プレート71は、接続部3aとモータ68とを電気的に接続する導通プレートである。
図8に示すように、モータ用導通プレート71は、第一導通プレート71aおよび第二導通プレート71bを有する。第一導通プレート71aは、モータ68の一方の入力端子に接続される。第二導通プレート71bは、モータ68の他方の入力端子に接続される。第一導通プレート71aおよび第二導通プレート71bを介して、モータ68の回転方向に応じた向きの電流がモータ68に対して供給される。モータ用導通プレート71は、接続部3aからモータ68に至る領域内で車両上下方向に沿って延在している。第一導通プレート71aおよび第二導通プレート71bは、それぞれ銅等の導電性の板状部材である。第一導通プレート71aおよび第二導通プレート71bは、例えば、プレス加工によって打ち抜かれる等して形成される。
【0053】
第一導通プレート71aにおける車両上側の端部(ターミナル)711aは、
図9に示すように、車両内側に向けて折れ曲がっている。同様に、第二導通プレート71bにおける車両上側の端部(ターミナル)711bは、
図9に示すように、車両内側に向けて折れ曲がっている。ターミナル711a,711bは、それぞれモータ68の異なる端子に接続される。第一導通プレート71aにおける車両下側の端部(ターミナル)712aは、
図9に示すように、車両内側に向けて折れ曲がっている。同様に、第二導通プレート71bにおける車両下側の端部(ターミナル)712bは、
図9に示すように、車両内側に向けて折れ曲がっている。ターミナル712a,712bの先端部は、
図1に示す接続部3aに配置されている。
【0054】
スイッチ用導通プレート72は、接続部3aと第一スイッチ13とを電気的に接続し、且つ接続部3aとハーネスプレート8とを電気的に接続する導通プレートである。
図8に示すように、スイッチ用導通プレート72は、入力プレート74、第一出力プレート75a、および第二出力プレート75bを有する。入力プレート74、第一出力プレート75a、および第二出力プレート75bは、それぞれ銅等の導電性の板状部材であり、例えば、プレス加工によって打ち抜かれる等して形成される。入力プレート74には、外部機器から所定の電圧が供給される。また、
図8に示すように、入力プレート74は、第一入力プレート74aと第二入力プレート74bとに分岐している。
【0055】
第一入力プレート74aの端部(ターミナル)741aは、第一スイッチ13の入力端子13cに抵抗溶接等によって接続される。第二入力プレート74bの端部(ターミナル)741bは、樹脂基材73に設けられたコネクタ部734内に配置される。第二入力プレート74bは、このターミナル741bを介してハーネスプレート8に接続される。第一出力プレート75aの端部(ターミナル)751aは、第一スイッチ13の出力端子13dに抵抗溶接等によって接続される。第二出力プレート75bの端部(ターミナル)751bは、コネクタ部734内に配置される。第二出力プレート75bは、このターミナル751bを介してハーネスプレート8に接続される。
【0056】
図9に示すように、入力プレート74における車両下側の端部(ターミナル)742は、車両内側に向けて折れ曲がっている。第一出力プレート75aにおける車両下側の端部(ターミナル)752aは、車両内側に向けて折れ曲がっている。第二出力プレート75bにおける車両下側の端部(ターミナル)752bは、車両内側に向けて折れ曲がっている。ターミナル742,752a,752bの先端部は、
図1に示す接続部3aに配置されている。
【0057】
上述した構成を有するモータ用導通プレート71およびスイッチ用導通プレート72は、
図8および
図9に示すように、それぞれ樹脂基材73によって保持されている。本実施の形態において、樹脂基材73は、樹脂を用いて一体成型されている。
図8に示すように、樹脂基材73は、モータ用導通プレート71に対応する溝731と、スイッチ用導通プレート72に対応する溝732とを有する。モータ用導通プレート71およびスイッチ用導通プレート72は、例えば、圧入や熱加締め等の手法によって各溝731,732内にそれぞれ嵌め込まれ、これにより、樹脂基材73に組み付けられている。
【0058】
また、樹脂基材73は、
図8および
図9に示すように、第一スイッチ13を保持するスイッチ保持部733を有する。スイッチ保持部733は、第一スイッチ13の本体13aを移動不能に保持して、レバーロック63(
図5参照)に対する本体13aの位置決めを行う。
【0059】
一方、樹脂基材73は、
図8および
図9に示すように、コネクタ部734を有する。コネクタ部734は、
図7に示すようにスイッチプレート7とハーネスプレート8とを連結するものである。コネクタ部734は、モータ68よりも車体下側に位置するように樹脂基材73に設けられる。コネクタ部734は、
図10に示すハーネスプレート8のコネクタ部834に嵌め込み可能な中空の矩形体である。コネクタ部734の内部には、
図8に示すように、スイッチ用導通プレート72のターミナル741b,751bが車両前後方向に並んで配置されている。コネクタ部734は、ハーネスプレート8のコネクタ部834に嵌め込むことにより、スイッチプレート7とハーネスプレート8とを連結するとともに、ターミナル741b,751bをハーネスプレート8の各電線端部(後述するハーネス81,82の各ターミナル81b,82b)にそれぞれ近接させる。この状態において、コネクタ部734内の各ターミナル741b,751bは、それぞれ、ハーネスプレート8の各電線端部と抵抗溶接等によって接続される。これにより、スイッチプレート7のスイッチ用導通プレート72は、ハーネスプレート8と電気的に接続される。
【0060】
また、
図8および
図9に示すように、樹脂基材73は、固定部735,736を有する。固定部735は、樹脂基材73の下端に設けられている。固定部735は、貫通孔735aを有する。固定部736は、樹脂基材73の前端に設けられている。固定部736は、貫通孔736aを有する。樹脂基材73が第一ケーシング2に組み付けられる際に、固定部735の貫通孔735aには、第一ケーシング2の軸27(
図3参照)が挿入され、固定部736の貫通孔736aには軸28(
図3参照)が挿入される。これにより、第一ケーシング2に対する樹脂基材73の位置決めおよび固定(延いては、スイッチプレート7の位置決めおよび固定)がなされる。
【0061】
一方、ハーネスプレート8は、第二スイッチ14とスイッチプレート7とを電気的に接続する内部配線であり、ケーシング10内に配置され、スイッチプレート7を介して第二スイッチ14と接続部3a(
図1参照)とを電気的に接続する。具体的には、ハーネスプレート8は、
図10および
図11に示すように、複数(本実施の形態では2本)のハーネス81,82と、これら2本のハーネス81,82をまとめて保持するハーネス保持部83とを有する。
【0062】
ハーネス81,82は、可撓性のある導通部材であり、銅等の導電性の線状部材に樹脂等の絶縁材を被覆して構成される。一方のハーネス81は、外部機器からスイッチプレート7を介して入力される所定の電圧を第二スイッチ14に供給する入力線である。このハーネス81の長手方向両側の端部(ターミナル)81a,81bは、被覆されておらず、露出している。他方のハーネス82は、第二スイッチ14の出力信号をスイッチプレート7に伝達する出力線である。このハーネス82の長手方向両側の端部(ターミナル)82a,82bは、被覆されておらず、露出している。
【0063】
図10および
図11に示すように、ハーネス保持部83は、ハーネス81,82をまとめて嵌め入れる溝部831を有する。ハーネス保持部83は、車両前後方向の後端部に、第二スイッチ14と電気的に接続するハーネス81,82の各ターミナル81a,82aの近傍を挿通保持する挿通保持部832と、第二スイッチ14を保持するスイッチ保持部833と、を有する。ハーネス保持部83は、車両上下方向の下端部に、スイッチプレート7とハーネスプレート8とを連結して電気的に接続するコネクタ部834を有する。
【0064】
溝部831は、第二スイッチ14とスイッチプレート7とを電気的に接続するハーネス81,82を互いに隣接させた状態で保持可能な空間を有する凹状の部材である。
図10および
図11に示すように、溝部831は、コネクタ部834から車両上側に向けて延在する部分と、ケーシング10の上端に沿って延在する部分とを一体的に有する。
【0065】
ここで、ケーシング10は、
図5および
図6に示すように、車両上下方向の上端部に、車両用ドアロック装置1における車両前後方向の前端から後端に亘って連続する上端側壁部10bを有する。上端側壁部10bは、第一ケーシング2の第一側壁部2bのうち上端の側壁部であり、車両前側から車両後側に向かいラッチ機構4に対応して車両上下方向の上側に傾斜する傾斜部10cを含む。
【0066】
図10および
図11に示すように、溝部831は、コネクタ側溝部831aと、スイッチ側溝部831bと、中間溝部831cとを一体的に有する。コネクタ側溝部831aは、コネクタ834に連続し、コネクタ834から車両上側に向かって延在する。スイッチ側溝部831bは、溝部831のうち第二スイッチ14側の部分であり、ケーシング10の上端側壁部10bにおける傾斜部10cに沿って傾斜するよう延在する。中間溝部831cは、コネクタ側溝部831aとスイッチ側溝部831bとを連続させる中間部分であり、上端側壁部10bのうち傾斜部10c以外の部分に沿って車両前後方向に延在する。溝部831は、スイッチ側溝部831bが傾斜部10cに沿い且つ中間溝部831cが上端側壁部10bのうち傾斜部10c以外の部分に沿うように、上端側壁部10bに沿って配置される。
【0067】
溝部831は、車両外側に向かって開口しており、開口を通じてハーネス81,82をまとめて嵌め入れて組み付けられる。溝部831に嵌め入れたハーネス81,82は、溝部831の開口端部に間隔をあけて設けられた複数の突起部によって抜け止めされる。溝部831は、コネクタ部834からケーシング10の上端側壁部10bに沿って第二スイッチ14に至る配索経路を形成し、この配索経路に沿って、これら2本のハーネス81,82を隣り合わせに並べて保持する。
【0068】
具体的には、
図10および
図11に示すように、コネクタ側溝部831aは、コネクタ部834から車両上側に向かいモータ68(
図7等参照)を通り越して中間溝部831cに至る配索経路に沿って、ハーネス81,82を車両前後方向に並べて保持する。中間溝部831cは、コネクタ側溝部831aの上端から車両後側に向かいスイッチ側溝部831bの下端に至る配索経路に沿って(すなわち上端側壁部10bのうち傾斜部10c以外の部分に沿って)、ハーネス81,82を車両上下方向に並べて保持する。スイッチ側溝部831bは、中間溝部831cから傾斜部10cに合わせて車両上側に傾斜して第二スイッチ14の近傍に至る配索経路に沿って、ハーネス81,82を車両内外方向に並べて保持する。すなわち、溝部831は、上端側壁部10bのうちの傾斜部10cの下部から上部に亘り、2本のハーネス81,82を車両内外方向に並べて保持する。
【0069】
挿通保持部832は、複数のハーネスの各々を車両内外方向に挿通して、これら複数のハーネスの各端部近傍、すなわち、第二スイッチ14と電気的に接続する各ハーネス端部近傍を保持する。スイッチ保持部833は、第二スイッチ14を保持する。
図12は、本発明の実施の形態に係るハーネスプレートの挿通保持部およびスイッチ保持部の一構成例を示す斜視図である。
図13は、本発明の実施の形態に係るハーネスプレートの挿通保持部およびスイッチ保持部の一構成例を示す別視点から見た斜視図である。
【0070】
本実施の形態において、挿通保持部832は、第二スイッチ14と電気的に接続する2本のハーネス81,82の各ターミナル81a,82aの近傍を保持するものであり、
図12および
図13に示すように、一対の挿通孔832a,832bと、一対の嵌合溝832c,832dとを有する。
【0071】
一対の挿通孔832a,832bは、それぞれ、車両内外方向に貫通する貫通孔であり、溝部831の上端側の出口部(スイッチ側溝部831bの出口部)の近傍に、車両前後方向に並べて形成される。挿通孔832aには、車両内外方向の内側から外側に向かってハーネス81のターミナル81aおよびその近傍が挿通される。一方、挿通孔832bには、車両内外方向の内側から外側に向かってハーネス82のターミナル82aおよびその近傍が挿通される。
【0072】
一対の嵌合溝832c,832dは、それぞれ、一対の挿通孔832a,832bに連続する凹形状部であり、
図12に示すように、一対の挿通孔832a,832bとスイッチ保持部833との間に形成される。嵌合溝832cには、一方の挿通孔832aに挿通されたハーネス81のターミナル81aの近傍(被覆された電線部分)が嵌入される。これにより、嵌合溝832cは、
図12に示すように、このハーネス81のターミナル81aを、スイッチ保持部833に保持された状態の第二スイッチ14の入力端子14cに当接可能な位置に保持する。嵌合溝832dには、他方の挿通孔832bに挿通されたハーネス82のターミナル82aの近傍(被覆された電線部分)が嵌入される。これにより、嵌合溝832dは、
図12に示すように、このハーネス82のターミナル82aを、スイッチ保持部833に保持された状態の第二スイッチ14の出力端子14dに当接可能な位置に保持する。
【0073】
上述した挿通保持部832の一方の挿通孔832aおよび嵌合溝832cの作用によって挿通保持されたハーネス81のターミナル81aは、スイッチ保持部833に保持された状態の第二スイッチ14の入力端子14cに抵抗溶接等によって接続される。他方の挿通孔832bおよび嵌合溝832dの作用によって挿通保持されたハーネス82のターミナル82aは、スイッチ保持部833に保持された状態の第二スイッチ14の出力端子14dに抵抗溶接等によって接続される。
【0074】
スイッチ保持部833は、
図12および
図13に示すように、第二スイッチ14の本体14aを移動不能に保持して、ラッチ機構4のラッチ43(
図4参照)に対する本体14aの位置決めを行う。
図14は、本発明の実施の形態に係るハーネスプレートのスイッチ保持部に保持された第二スイッチとラッチ機構との配置状態を示す斜視図である。
図15は、本発明の実施の形態に係る車両用ドアロック装置のケーシング内における第二スイッチの一配置例を示す車両外側から見た側面図である。
【0075】
図14に示すように、スイッチ保持部833は、保持した第二スイッチ14を、ラッチ機構4のボディ41に形成された挿通孔41aに挿通してラッチ43の外周近傍に配置する。これにより、ハーネスプレート8は、スイッチ保持部833で保持した第二スイッチ14の可動子14bを、ラッチ機構4の上端側からボディ41の挿通孔41aを介して、ラッチ43の外周面(
図4に示す第一外周面43f、第二外周面43g)と対向させる。この構造により、スイッチ保持部833による保持状態の第二スイッチ14は、ボディ41の挿通孔41aを通じてラッチ43の回動位置を検出できるようになる。
【0076】
また、上述したようにスイッチ保持部833によって保持された状態の第二スイッチ14は、車両上下方向におけるケーシング10の上端部とラッチ43の上端部との間に配置される。具体的には、
図15に示すように、ハーネス保持部83は、スイッチ保持部833によって保持した第二スイッチ14を、ケーシング10の上端側壁部10bにおける最上端の位置Paと、ラッチ機構4のラッチ43における外周面の最上端の位置Pbとの間の位置Pcに配置する。これにより、ラッチ43に対する相対的な第二スイッチ14の配置は、
図15に示す位置Pcに固定的に設定される。
【0077】
図10および
図11に示すコネクタ部834は、
図7に示すようにスイッチプレート7とハーネスプレート8とを連結するものである。本実施の形態において、コネクタ部834は、モータ68(
図7参照)よりも車体下側に位置するようにハーネス保持部83の下端に設けられる。コネクタ部834は、
図8に示すスイッチプレート7のコネクタ部734を嵌め込み可能な中空の矩形体である。
図10および
図11に示すように、コネクタ部834の車両上側の縁部には、コネクタ側溝部831aに連続する一対の嵌合溝834a,834bが設けられている。嵌合溝834aには、溝部831に組み付けられる一方のハーネス81のターミナル81bの近傍(被覆された電線部分)が嵌入される。これにより、嵌合溝834aは、このハーネス81のターミナル81bを、コネクタ部834の内部に保持する。嵌合溝834bには、溝部831に組み付けられる他方のハーネス82のターミナル82bの近傍(被覆された電線部分)が嵌入される。これにより、嵌合溝834bは、このハーネス82のターミナル82bを、コネクタ部834の内部に保持する。
【0078】
コネクタ部834は、スイッチプレート7のコネクタ部734を嵌め込むことにより、スイッチプレート7とハーネスプレート8とを連結するとともに、ハーネス81,82の各ターミナル81b,82bをスイッチプレート7の各ターミナル741b,751b(
図8参照)にそれぞれ近接させる。この状態において、コネクタ部834内の各ターミナル81b,82bは、それぞれ、スイッチプレート7の各ターミナル741b,751bと抵抗溶接等によって接続される。これにより、ハーネスプレート8は、スイッチプレート7のスイッチ用導通プレート72と電気的に接続される。すなわち、第二スイッチ14は、ハーネスプレート8のハーネス81,82を介してスイッチプレート7のスイッチ用導通プレート72と電気的に接続される。
【0079】
一方、ハーネス保持部83は、
図10および
図11に示すように、固定部835を有する。固定部835は、ハーネス保持部83の上部、具体的には、スイッチ側溝部831bとスイッチ保持部833との間の部分に設けられている。固定部835は、貫通孔835aを有する。ハーネスプレート8が第一ケーシング2に組み付けられる際に、固定部835の貫通孔835aには、第一ケーシング2の軸29(
図3参照)が挿入される。これにより、第一ケーシング2に対するハーネスプレート8の位置決めおよび固定がなされる。
【0080】
ハーネス保持部83は、上述した溝部831、挿通保持部832、スイッチ保持部833、コネクタ部834、および固定部835を一体的に有する。すなわち、溝部831、挿通保持部832、スイッチ保持部833、コネクタ部834、および固定部835は、
図10および
図11に示すようなハーネス保持部83の構造をなすように、樹脂成型によって一体的に形成される。
【0081】
以上、説明したように、本発明の実施の形態では、樹脂基材73に導通プレートを組み付けたスイッチプレート7と、ハーネス保持部83の溝部831内に2本のハーネス81,82をまとめて組み付けたハーネスプレート8とを別体とし、ケーシング10内の一所においてモータ68および第一スイッチ13とケーシング10外面の接続部3aとを電気的に接続するスイッチプレート7と、スイッチプレート7から離れてケーシング10内に配置される第二スイッチ14とハーネス81,82とを電気的に接続しているハーネスプレート8と、をコネクタ接続して、第二スイッチ14とスイッチプレート7とをハーネス81,82を介して電気的に接続し、且つ、モータ68、第一スイッチ13、および第二スイッチ14と接続部3aとをスイッチプレート7およびハーネスプレート8を介して電気的に接続している。
【0082】
このため、導通プレートの打抜き加工や樹脂インサート成形等の高い精度を求められる製造工程が必要なスイッチプレート7を、複数のスイッチプレートをコネクタ接続してなる従来の内部配線に比べて小型化することができる。これに加え、スイッチプレート7の形状を、曲げ構造の少ない直線的で簡素な形状にすることができる。さらには、第二スイッチ14と電気的に接続する第二内部配線を従来のスイッチプレート(第二スイッチプレート)からハーネスプレート8に置き換えることができ、これにより、第二内部配線を従来に比べ極めて小型化するとともに、その配線形状を簡素化することができる。この結果、スイッチプレート7の歩留りが従来に比べて向上することから、車両用ドアロック装置1に内蔵するスイッチプレートを小型化および低コスト化することができる。これに加え、車両用ドアロック装置1の小型化および低コスト化を促進することができる。
【0083】
また、本発明の実施の形態では、ケーシング10における上端側壁部10bのうちの傾斜部10cの下部から上部に亘り、ハーネスプレート8のハーネス81,82を、車両内外方向に並べて保持するようハーネス保持部83の溝部831内に組み付けている。これにより、ハーネス81,82に過度な捩れ負荷を与えることなく、ハーネス81,82の高さ位置を可能な限り低くすることができる。この結果、ハーネスプレート8に沿ったケーシング10の上端側壁部10bの高さ位置を可能な限り低くできることから、ケーシング10の小型化、延いては、車両用ドアロック装置1の小型化を一層促進することができる。
【0084】
また、本発明の実施の形態では、挿通保持部832の挿通孔832a,832bに対し、ハーネス81,82の各ターミナル81a,82aおよびその近傍を車両内外方向にそれぞれ挿通して、第二スイッチ14の各端子に各ターミナル81a,82aを当接可能に保持している。このため、ハーネス保持部83における第二スイッチ14近傍の部分にハーネス81,82の各ターミナル81a,82aの近傍を車両上下方向の上側から圧入して組み付ける工程(ハーネス圧入工程)を廃止することができる。これにより、ハーネス圧入工程に掛かる手間および時間を省略することができ、この結果、ハーネスプレート8の組立時間を短縮できるとともに、ハーネスプレート8の組立に掛かる手間を軽減することができる。
【0085】
また、本発明の実施の形態では、ハーネスプレート8のスイッチ保持部833によって保持した第二スイッチ14を、ラッチ機構4のボディ41に形成された挿通孔41aに挿通してラッチ43の外周近傍に配置している。このため、スイッチ保持部833に組み付けた第二スイッチ14の可動子14bを、ラッチ機構4の上端側からボディ41の挿通孔41aを介してラッチ43の外周面と対向させることができる。この結果、例えばラッチ機構4のボディ41を迂回して第二スイッチ14をラッチ43の外周近傍に配置させる構造等、ハーネスプレート8の構造を複雑化することなく、スイッチ保持部833に組み付けた第二スイッチ14にラッチ43の回動位置の検出を行わせることができる。
【0086】
また、スイッチプレート7とハーネスプレート8とをコネクタ接続してなる車両用ドアロック装置1の内部配線を、ケーシング10内の概ね車両上側の領域に配置している。このため、ケーシング10内への浸水が発生したとしても、スイッチプレート7およびハーネスプレート8に浸水の影響が及び難くすることができる。
【0087】
なお、上述した実施の形態では、ハーネスプレート8に2本のハーネス81,82をまとめて組み付けていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、ハーネスプレート8にまとめて組み付けるハーネスの数は、複数(2本以上)であってもよい。この場合、スイッチプレート7の導通プレートの数は、ハーネスプレート8のハーネスの数に合わせて複数(2本以上)としてもよい。また、ハーネスプレート8にまとめて組み付ける複数のハーネスには、第二スイッチ14以外の電子部品に接続するハーネスが含まれていてもよい。
【0088】
また、上述した実施の形態では、ケーシング10における上端側壁部10bのうちの傾斜部10cの下部から上部に亘り、ハーネスプレート8のハーネス81,82を車両内外方向に並べていたが、本発明は、これに限定されるものではない。本発明において、ハーネスプレート8にまとめて組み付けられる複数のハーネスは、ケーシング10における上端側壁部10bの全域に沿って車両内外方向に並んでいてもよい。すなわち、ハーネス保持部83は、スイッチ側溝部831bおよび中間溝部831cの全域に亘り、複数のハーネスを車両内外方向に並べて保持してもよい。
【0089】
また、上述した実施の形態により本発明が限定されるものではなく、上述した各構成要素を適宜組み合わせて構成したものも本発明に含まれる。その他、上述した実施の形態に基づいて当業者等によりなされる他の実施の形態、実施例および運用技術等は全て本発明の範疇に含まれる。
【解決手段】本発明の一態様である車両用ドアロック装置1は、ケーシングと、外部機器との接続用のコネクタが接続される接続部と、ラッチ43およびラチェット44を有するラッチ機構4と、レバーロック63およびモータ68を有する施解錠機構6と、レバーロック63の回動位置を検出する第一スイッチ13と、ラッチ43の回動位置に応じて車両のルームランプのオンオフを切り替える第二スイッチ14と、ケーシング内における車両前後方向の前部に配置されているモータ68および第一スイッチ13と接続部とを電気的に接続するスイッチプレート7と、複数のハーネスおよびスイッチプレート7を介して第二スイッチ14と接続部とを電気的に接続するハーネスプレート8と、を備える。