(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
電解槽内に層状配置する陰極と陽極と、前記陰極と前記陽極との間に直流電圧を印加する直流電源と、電解液の供給を制御する電解液制御手段と、電気分解にて発生する気体を捕集する気体捕集手段と、で構成する電気分解手段と、
超音波発振子と、前記超音波発振子を電気的手段により超音波振動させる高周波発生器と、で構成する超音波発生手段と、を備えた酸水素発生装置において、
前記超音波振動子と前記電解液を伝搬する超音波振動の反射面との距離を超音波波長の4分の1の整数倍とし、
前記電気分解手段は、
前記陰極と前記陽極を、前記超音波発振子から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上または円筒面上に配置し、超音波振動が前記陰極と前記陽極を通過して伝搬できるように前記陰極と前記陽極をスラット状またはグリッド状とし、
更に、前記超音波発振子の振動面から、超音波波長の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極を、超音波波長の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極を、配置することを特徴とする酸水素発生装置。
二次電池とモータ/発電機を備えた回生手段と、前記回生手段の電気的手段により運転する酸水素発生装置を設け、前記酸水素発生装置で発生する酸水素または水素と酸素を、内燃機関の吸気に供給するハイブリッド車両、または燃料電池に供給する燃料電池車両において、
前記酸水素発生装置は、
電解槽内に層状配置する陰極と陽極と、前記陰極と前記陽極との間に直流電圧を印加する直流電源と、電解液の供給を制御する電解液制御手段と、電気分解にて発生する気体を捕集する気体捕集手段と、で構成する電気分解手段と、
超音波発振子と、前記超音波発振子を電気的手段により超音波振動させる高周波発生器と、で構成する超音波発生手段と、を備え、前記超音波振動子と前記電解液を伝搬する超音波振動の反射面との距離を超音波波長の4分の1の整数倍とし、
前記電気分解手段は、
前記陰極と前記陽極を、前記超音波発振子から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上または円筒面上に配置し、超音波振動が前記陰極と前記陽極を通過して伝搬できるように前記陰極と前記陽極をスラット状またはグリッド状とし、
更に、前記超音波発振子の振動面から超音波波長の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極を、超音波波長の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極を配置することを特徴とするハイブリッド車両、または燃料電池車両。
【発明を実施するための形態】
【0016】
前記図面(
図1〜14)に従って、本願発明の各実施例(実施例1〜6)を、以下に説明する。
以下の説明において、水素ガスは燃焼速度が大きいので、バックファイアの防止等のための逆火防止装置、防爆装置等の安全装置が使用状況により必要であるが、本願発明の下記実施例(実施例1〜6)の作用に直接関連しないので、これらの安全装置の記載と説明は省略する。
【実施例1】
【0017】
図1は、実施例1(請求項1対応)の、超音波発振子651から超音波波長の4分の1の奇数倍の位置に陰極611、偶数倍の位置に陽極612を設けた酸水素発生装置6の構成概念の説明図である。
図1は、電解槽614内に層状配置する陰極611と陽極612と、前記陰極611と前記陽極612との間に直流電圧を印加する直流電源613と、電解液615の供給を制御する電解液制御手段であるポンプ617と、電気分解にて発生する気体を捕集する気体捕集手段である制御弁618と、で構成する電気分解手段61と、超音波発振子651と、前記超音波発振子651を電気的手段により超音波振動させる高周波発生器652と、で構成する超音波発生手段65と、を備えた酸水素発生装置6において、前記電気分解手段61は、前記陰極611と前記陽極612を、前記超音波発振子651から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上に配置し、超音波振動が前記陰極611と前記陽極612を通過して伝搬できるように前記陰極611と前記陽極612をスラット状またはグリッド状とし、更に、前記超音波発振子651の振動面から、超音波波長(λ)の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極611を、超音波波長(λ)の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極612を、配置する酸水素発生装置6である。
図1に示すように、電解層614内の電解液615の液面高さは、超音波発振子651から5(λ/4)、または6(λ/4)に運転状況により切換える。
【0018】
図1の前記酸水素発生装置6の作用は、電解槽614内に層状配置する陰極611と陽極612との間に直流電源613により直流電圧を印加し、電気分解にて発生する気体を気体捕集手段である制御弁618にて流出量を制御する電気分解手段61の電気分解作用と、高周波発生器652の電気的手段により超音波発振子651を超音波振動させ、前記超音波振動は前記電解液615の液面に到達する。
電解液615と捕集気体の音響インピーダンスの差が大きいので、前記超音波振動は電解液615の液面で反射し、前記液面は超音波発振子651からの距離を5(λ/4)、または6(λ/4)とするので、
図3で後述するように5(λ/4)では超音波振動の振幅の節、6(λ/4)では超音波振動の音圧の節となるので、反射された超音波振動と超音波発振子651から発振される超音波振動の位相が同期するので、超音波振動は電解液615の液面と超音波発振子651の振動面で反射を繰り返す定常波(定在波)となる。
電解液の液面高さは、センサ616により液面高さを検知し、目標の高さでない場合はポンプ617を作動して電解液を補給することにより液面高さの調整を行う。
前記目標高さは、次式(数1)で算出した超音波振動の波長(λ)を用いて、5(λ/4)または、6(λ/4)の距離を算出する。
(数1)
λ=C/F
λ:波長 [m]
C:音速 [m/s]
F:周波数[Hz]
周波数(F)は、大きくなると超音波振動の波長(λ)が短くなり、電極の配置間隔が小さくなり、電極の設置空間が制限されるので、周波数(F)は20〜100KHz前後が適当で、周波数(F)が20KHzで電解液が20℃の水の場合は、音速(C)が1483m/sで、超音波振動の波長(λ)は74.15mmとなるので、電極の配置間隔は約18.5mmである。
図1において、電解層614内の電解液615の液面高さは、超音波発振子651からの距離を、水素の漏洩防止、水素脆性の抑制等のために加湿作用が必要な場合は、超音波発振子651からの距離を5(λ/4)に、前記加湿作用が不要な場合は、6(λ/4)に設定する。
図1の陽極612の断面の寸法wとtは、スラット状またはグリッド状の超音波振動を通過させる電極部の断面寸法で、W寸法を小さくして超音波振動を通過しやすくし、t寸法をw寸法より大きくして、電解液との接触面積を大きくし、電極の機械的強度を増大する。陰極611の形状も陽極612と同じ形状でよい。
【0019】
図2は、前記実施例1(
図1)のM矢視図の電極の実施形態例で、スラット状の電極(a)と、グリッド状の電極(b)、(c)の平面図である。
図2は、前記直流電源613との電気的接続部を図示省略した電極の平面図であり、スラット状の電極(a)は、電解液の接触表面積が小さく、電極の機械的強度が小さいが、電極を垂直方向に設置して使用する場合は効率よく気泡の分離上昇ができる。
グリッド状の電極(b)は、電解液の接触表面積が大きく、電極の機械的強度が大きくなり、グリッド状の電極(c)は、電解液の接触表面積と電極の機械的強度が更に大きくでき、酸水素発生装置の目的等により様々な形状が選択できる。
【0020】
図3は、前記実施例1(
図1)の酸水素発生装置6の超音波振動の定常波の振幅と音圧の説明図(C)と、超音波の位相による各作用(d1〜d3)の説明図である。
図3の上図(C)は、超音波発振子651の振動により発生する超音波振動の定常波の振幅67と定常波の音圧68の図で、前記(数1)で求めた波長(λ)に基づいて配置する各電極に作用する超音波振動の挙動を示す。
前記超音波振動の定常波の振幅67は次式(数2)、定常波の音圧68は次式(数3)に従って電解液615を伝搬する。
(数2)
V(t)=VCOS(ωt)
V(t):定常波の振幅 [m]
V:振幅 [m]
ω:角速度 [rad/s]
t:時間 [s]
(数3)
P(t)=P0+PSIN(ωt)
P(t):定常波の音圧 [Pa]
P:音圧 [Pa]
ω:角速度 [rad/s]
t:時間 [s]
P0:静圧 [Pa]
速度を微分すると加速度となるように、定常波の振幅(数2)を微分するとその変化率である定常波の音圧が求まり、電解液の圧力は内圧等による静圧P0があるので、式に反映すると定常波の音圧(数3)となる。
前記(数式2)の振幅Vと(数式3)の音圧Pは、高周波発生器652から音波発振子651に供給する電圧および/または電流を調整することにより制御できる。
前記振幅67と音圧68の発振側の超音波発振子からの発振部は、電解槽614の底板部にて音響インピーダンスが異なるので厳密には前記定常波の振幅67と定常波の音圧68は変形するが、説明を容易にするために前記影響を無視している。
【0021】
図3の上図(C)に示すように、超音波振動の定常波の振幅67は(数2)、定常波の音圧68は(数3)に従って、超音波発振子651からの距離により異なる。
超音波発振子651の振動は、高周波発生器652から印加される交番電圧により超音波発振子651の圧電セラミックが逆圧電効果により膨張伸縮して振動子表面が振動し、電解液に超音波振動が縦波として伝播し、定常波の振幅67に示すように、音波発振子651の振動面では振幅が最大となる振幅の腹675となり、縦波として伝搬する超音波振動は(数2)に従って挙動するので、超音波発振子651から1(λ/4)の距離で振幅の節670となり振動である往復運動は停止するが、この振幅の節670では縦波の運動エネルギは圧力エネルギである音圧に変換して音圧が最大となる音圧の腹685となる。
発振子651からの距離が大きくなると、前記(数2)(数3)に従って前記定常波の振幅67と定常波の音圧68は前記挙動を繰り返す。
前記定常波の音圧68は、超音波振動の伝搬の微小空間について考えると、前記微小空間の超音波発振子651側と反対側の移動速度の差により前記微量空間に発生する圧縮応力または引張応力により音圧が変動するので、前記定常波の振幅67((数2))の前記微小空間の変化率である、傾きを求めたものが前記定常波の音圧68((数3))である。
従って、前記振幅の腹675では、超音波振動の運動エネルギが最大となるが、前記振幅の腹675では、超音波振動の運動エネルギが最大となるが、前記微小空間の両側が同じ速度で高速移動するので音圧は0となり、超音波の伝搬方向への電解液の往復運動が最大となる。
前記音圧の腹685では、超音波振動の運動エネルギが最少の0となるが、前記微小空間の両側の速度差が最大となり音圧は最大となり、超音波の伝搬方向への電解液の往復運動は殆んどないが、音圧の変動によりキャビテーション域691となり、電解液表面の場合はキャピラリ波域692となる。
【0022】
酸水素発生装置6の作用は、(d3)に示すように、超音波発振子651から超音波波長の4分の1の奇数倍の距離の音圧の腹685であるキャビテーション域691に前記陰極611を配置し、前記陰極611に付着した気泡を電極から離し、市販品の洗浄機と同様に、前記陰極611に付着する析出物をキャビテーションの気泡が圧壊して発生するμジェット流により剥離除去する洗浄作用がある。
電解液が大きな静圧P0を受けている場合は、キャビテーション域691に負圧が生じずキャビテーションが発生しない場合があるが、音圧の変化により気泡が膨張収縮を繰り返し、気泡の膨張時に気泡中心が陰極611から遠くなり、収縮時に気泡中心に収縮するので気泡は電極から離れるので気泡の電極からの脱離作用もある。
(d2)に示すように、超音波発振子651から超音波波長の4分の1の偶数倍の距離の振幅の腹675に前記陽極612を配置し、前記陽極612に付着した気泡を超音波振動の伝搬方向への前記電解液の往復運動により、電極から離して上昇する気泡脱離作用(d2)が発生する。
(d1)に示すように、電解液面を超音波発振子651から超音波波長の4分の1の奇数倍の距離の音圧の腹685に設けると、市販品の超音波加湿器と同様にキャピラリ波が発生し、キャピラリ波の先端から液滴が霧散する霧化作用がある。
前記霧化作用により水素脆性の緩和や漏洩性の改善効果があり、前記霧化作用を必要としない場合は、超音波波長の4分の1の偶数倍の距離の音圧の節680に電解液面を設定する。
前記
図1に示す各電極のt寸法により、波長λから算出した所定の距離から前記電極は最大1/2t外れるが、上図(C)に示すように定常波の振幅の腹675と定常波の音圧の腹685では、振幅と音圧の変化率は小さく、t寸法を前記1/2t外れても作用が確保される範囲内に設定する。
以降の説明図(
図4〜)では、定常波の音圧68のみを図示し、定常波の振幅67は図示省略するが、定常波の音圧68と定常波の振幅67との位相関係と作用は本図(
図3)の説明と同じである。
【実施例2】
【0023】
図4は、実施例2(請求項2対応)の陰極611eから超音波波長λの4分の1の偶数倍の距離に第2の超音波発振子651e2を設けた酸水素発生装置6eの構成図である。
図4は、電解槽614e内に層状配置する陰極611eと陽極612eを、超音波発振子651eから発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上に配置し、前記陰極611eと陽極612eをスラット状またはグリッド状とし、更に、前記超音波発振子651eの振動面から、超音波波長(λ)の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極611eを、超音波波長(λ)の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極612eを、配置する酸水素発生装置6eである。
更に、陰極611eから超音波振動の伝搬方向に超音波波長の4分の1の偶数倍の距離に第2の超音波発振子651e2を設ける。
高周波発生器652eと超音波発振子651eの間に無接点継電器653−1、高周波発生器652eと前記第2の超音波発振子651e2の間に無接点継電器653−2を設け、超音波発生器652eにて、どちらか一方の前記超音波発振子を発振させる。
電解槽614eの左右の内幅寸法は超音波波長λの9/4倍とし、電解槽614eの左右の内壁で反射して超音波振動の定常波となり、電解槽614eの底部に設けたポンプ617eに連通する水平空間である蔵は、剥離除去した析出物の滞留空間である。
前記超音波発振子(658e、658e2)の外側を、均一加圧できる発信子固定具654を介して押圧し、電解槽614eに内圧が作用する場合は、各発信子固定具654の外側を押圧する図示しない固定補助具により固定し、前記内圧による前記超音波発振子の平面性を損なう変形を防止する。
【0024】
図4の前記酸水素発生装置6eの作用は、超音波発振子651eの設置方向が垂直であり、前記実施例1(
図3)の超音波発振子651とは設置方向が異なるが、陰極611eと陽極612eの超音波発振子651eからの距離は超音波の波長に対し同じであるので、超音波振動の作用も同じである。
定常波の音圧68eに示すように、陰極611eではキャビテーションによる洗浄作用と音圧の変化による気泡の脱離作用があり、前記陽極612eでは付着した気泡を電極から離す脱離作用があり、前記各作用の説明は実施例1と重複するので省略する。
陰極611eから超音波振動の伝搬方向に超音波波長λの4分の1の偶数倍の距離に設けた前記第2の超音波発振子651e2の定常波の音圧68e2に示すように、音圧の腹685e2には、陰極611eではなく陽極612eが配置されるので、キャビテーションによる洗浄作用と音圧の変化による気泡の脱離作用により、析出物の発生が少ない陽極612eの表面をキャビテーションによるリフレッシュ清掃ができる。
更に、高周波発生器652eの供給電力を小さくしてキャビテーションの発生を抑制し、
前記各無接点継電器(653−1、653−1)で前記超音波発振子(658e、658e2)を交互に発信を切換し、気泡脱離作用の効率がよい音圧の節(振幅の腹)を陰極611eと陽極612eに交互に作用させることもできる。
電解液面の制御と高周波発生器652eによる前記振幅Vと音圧Pの制御は、実施例1と同じである。
本実施例では、前記実施例1のように超音波発振子を水平設置しないので、
図3に示すキャピラリ波域692が無いが、キャビテーションや音圧の変動により作用は小さくなるが発生気体に同様の効果が発生する。
【実施例3】
【0025】
図5は、実施例3(請求項2対応)の高周波発生器652fが、所定の周波数と前記所定の周波数の2倍の周波数に周波数切換えできる酸水素発生装置6fの構成図である。
図5は、陰極611fと陽極612fを前記超音波発振子から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な円筒面上に配置し、前記陰極611fと陽極612fをスラット状またはグリッド状とし、更に、前記超音波発振子651fの振動面から、超音波波長(λ)の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極611fを、超音波波長(λ)の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極612fを、配置する。
更に、前記酸水素発生装置6fの超音波発生手段65fにおいて、前記高周波発生器652fが、前記超音波の周波数と、前記超音波の周波数の2倍の周波数と、に周波数を切換える酸水素発生装置6fである。
前記超音波発生手段65fの超音波発振子651fは直径φDの円筒形で、円筒形の電解槽614fの中心軸と前記超音波発振子651fの中心軸が同軸となる位置に配置する。
前記超音波発振子651fと前記電解槽614fの内壁との距離は5(λ/4)で、前記所定の周波数の2倍の周波数の時は10(λf/4)である。
本実施例は、円筒形の超音波発振子651fで説明を行うが、超音波発振子は平面の超音波発振子であってもよい。
【0026】
図5の前記酸水素発生装置6fの作用は、円筒形の超音波発振子651fの中心軸を中心にして超音波振動の定常波の音圧68fが発生し、陰極611fと陽極612fの超音波発振子651fからの距離は超音波の波長に対し実施例1と同じ配置関係であるので、所定の周波数での超音波振動の作用も同じであり、陰極611fではキャビテーションによる洗浄作用と音圧の変化による気泡の脱離作用があり、陽極612fでは付着した気泡を電極から離す脱離作用がある。
更に、前記高周波発生器652fの周波数切換えにて、前記超音波の2倍の周波数の超音波振動の場合は、超音波振動の定常波の音圧68f2が発生し、陰極611fと陽極612fが超音波の音圧の節680f2である振幅の腹に配置されることにより、全ての電極に対して往復運動による発生した気泡を電極から離す気泡脱離作用となり、キャビテーションによる過剰清掃による電極の毀損の懸念が無いので、高周波発生器652fから超音波発振子651fに大きい電力を供給できる。
また、前記高周波発生器652fから残存定常波と同じ位相になるように超音波振動の位相を合わせた発振を間欠運転することにより、少ない消費電力で高い電解効率での運転ができ、間欠運転のデューティを任意にできるので最適な気泡除去制御ができる。
前記超音波発振子651fの発振面が円筒形であるので、発振面との距離が長くなると超音波振動エネルギが拡散して小さくなるが、超音波発振子651fの直径φDを大きくすることにより前記拡散により小さくなる比率を小さくできる。
前記超音波発振子651fと電解槽614fが円筒形であるので、超音波振動の発振面と反射面の内圧による変形が小さいので、電気分解で発生する気体の内圧を利用して気体の加圧のための圧縮機を省略できる。
電解液を供給するポンプ617fと電解槽614fとの間に逆止弁を設けてポンプの逆流を防止できる。
【0027】
図6は、前記実施例3(
図5)の酸水素発生装置6fの制御フローチャートである。
酸水素発生装置6fは、図示しないECU(電子制御装置)により、センサ616fを含む図示しない各センサの入力情報を基に、高周波発生器652f、ポンプ617fを含む各アクチェータ等を制御する。
まず、ECUは、電解液量が正常であるかを判断する(ステップS0100)。
具体的には、前記(ステップS0100)では、センサ616fの入力により、電解液の液面高さが管理値内であるかを判断する。
ここで、電解液量が正常であると判断した場合は、酸水素発生装置6fを運転する必要があるかを判断する(ステップS0300)。
具体的には、前記(ステップS0300)では、制御弁618fの開度、図示しないセンサにて酸水素の吐出量、センサ616fにて電解槽614fの内圧等の入力情報により、ECUは、酸水素発生装置6fを運転する必要があるかを判断する。
一方、電解液量が正常でないと判断した場合は、ECUは、電解液量調整サブルーチン(ステップS0200)にて、ポンプ617fを運転 して電解液面高さを調整した後、前記(ステップS0300)を実行する。
ここで、酸水素発生装置6fを運転する必要が無いと判断した場合は、ECUは、RETURNを実行し、本制御フローチャートの処理ルーチンを一旦終了する。
一方、酸水素発生装置6fを運転する必要があると判断した場合は、電気分解開始サブルーチン(ステップS0400)にて、直流電源613fをONし、高周波発生器652fを周波数F2にし、所定の出力の超音波振動を発振して、電解制御が正常であるかを判断する(ステップS0500)。
具体的には、前記(ステップS0500)では、直流電源613fの供給する電圧と電流、電極間の抵抗値、発生気体の容積等をセンサにて検知し、入力データと管理値やマップデータとの比較によりCPUは、気泡の除去作用による電解制御が正常であるかを判断する。
ここで、電解制御が正常であると判断した場合は、電極に析出物が析出付着しているかを判断する(ステップS0700)。
具体的には、前記(ステップS0700)では、直流電源613fの供給する電圧、電流、電極間の抵抗値、発生気体の容積等をセンサにて検知し、管理値やマップデータ等との比較、あるいは、前回の析出物除去からの運転時間、積算電力等により、CPUは、電極に析出物が析出付着しているかを判断する。
一方、電解制御が正常でないと判断した場合は、ECUは、電解制御適正化サブルーチン(ステップS0600)にて高周波発生器652fを周波数F2に切り換え、超音波振動の出力調整し、電解効率を向上した後、前記(ステップS0700)に進む。
ここで、電極に析出物が析出付着していると判断した場合は、析出物除去サブルーチン(ステップS0800)を実行した後、酸水素供給サブルーチン(ステップS0900)を実行する。
具体的には、前記析出物除去サブルーチン(ステップS0800)では、高周波発生器652fを周波数Fに切り換えて高周波発生器652fの供給電力を増大し、前記キャビテーションにて陰極611fに付着した析出物を清掃除去する。
一方、電極に析出物が析出付着していないと判断した場合は、前記酸水素供給制御サブルーチン(ステップS0900)を実行する。
具体的には、酸水素供給制御サブルーチン(ステップS0900)では、センサ616fにて電解槽614fの内圧を考慮して制御弁618fの開度を調整して酸水素の供給量を制御した後、RETURNを実行して本制御フローチャートの処理ルーチンを一旦終了する。
運転状況に対応して、以上の制御フローチャートの処理ルーチンに従って酸水素発生装置6fの運転制御を行う。
本制御フローチャートの処理ルーチンは、酸水素発生装置6fの運転中は繰り返し実行される。
【実施例4】
【0028】
図7は、実施例4(請求項3対応)の、発生気体を超音波振動の伝搬する電解液空間に流出するのを防止する気泡誘導手段を設けた酸水素発生装置6gの構成図である。
図7は、酸水素発生装置6gの電気分解手段61gにおいて、電気分解にて陰極611gと陽極612gから発生する気体を、前記超音波振動が伝搬する電解液空間に流出するのを防止する気泡誘導手段である気泡誘導板620を設ける酸水素発生装置6gである。
前記陰極611gと陽極612gから発生する気体を前記超音波振動が伝搬する電解液空間に流出するのを防止するために、前記陰極611gと陽極612gの電極側面に前記気泡誘導板620側を上昇側とする気泡誘導突起GR1、GR2を設ける。
前記気泡誘導板620は、断面が略長円形の薄肉直管を、軸芯に並行に一方の円筒壁を開口し、前記開口部に前記陰極611gと陽極612gの前記気泡誘導突起GR1、GR2を遊嵌する。
前記陰極611gと陽極612gの間に、イオン透過性でガス不透過性の仕切幕619を設け、仕切幕619は超音波振動を透過できる布であってもよい。
各陰極611gから発生する水素が滞留する電解槽614gの上部と気体捕集手段である水素通路623は連通し、各陽極612gから発生する酸素が滞留する電解槽614gの上部と気体捕集手段である酸素通路624は連通し、前記水素通路623には制御弁618g、前記酸素通路624には制御弁618g2、が設けられている。
【0029】
図7の前記酸水素発生装置6gの作用は、前記陰極611gと陽極612gで発生する気体を前記仕切幕619で分離し、それぞれの気体捕集手段である前記酸素通路623と水素通路624にて分離捕集し、それぞれの気体通路に設けた制御弁(618g、618g2)にて気体流出量を制御する。
前記陰極611gと陽極612gの電解水が連通する電解槽614gの構造上、発生する酸素と水素の滞留する電解槽614g上部の圧力を二個のセンサ616gにて同等に調整して電解液面差を調整し、電解液面高さをポンプ617gにて制御する。
電解液が水の場合は酸素と水素が発生し、水素圧力が高い時は酸素の供給量を抑制し、酸素圧力が高い時は酸素を大量供給、または大気放出することで圧力調整できる。
気泡誘導手段である気泡誘導板620と各電極(611g、612g)の、形状詳細(斜視図)は
図8、気泡誘導作用は
図9、にて説明する。
【0030】
図8は、前記実施例4(
図7)の酸水素発生装置6gの気泡誘導手段である、気泡誘導板620と、気泡誘導突起(GR1、GR2)を設けた陰極611gと陽極612gの斜視図である。
前記気泡誘導板620は、イオン透過性樹脂製の断面が略長円形の薄肉直管を、軸芯に並行に一方の円筒壁を開口し、前記開口部に前記陰極611gと陽極612gのスラット状の電極部に前記気泡誘導突起GR1、GR2を遊嵌する。
前記気泡誘導板620の軸芯に並行に設けた前記開口部は、
図8に示すように陰極611gと陽極612gのスラット状の電極部に設けた前記気泡誘導突起(GR1、GR2)に対応する切欠きを設け、発生する気体を効率よく気泡誘導板620に引き込める。
陰極611gと陽極612gは、スラット状の電極部の両面に設けた前記気泡誘導突起(GR1、GR2)を含む加工を、一枚の金属板を塑性加工(プレス)で製作できるので、加工時間が短く、材料歩留りのよい安価な電極となる。
また、前記スラット状の電極部に設けた前記気泡誘導突起(GR1、GR2)は、塑性加工による破断面の表面粗さによる電解液との接触面積の増大と、多数の稜線の形成により、大電流が流れ易くなり電解能力が向上する。
前記気泡誘導突起(GR1、GR2)で十分な気泡脱離作用が得られる場合や、超音波発生手段の超音波周波数が高いので各電極間の距離が小さい場合等は、前記気泡誘導板620を省略できる。
【0031】
図9は、前記実施例4の気泡誘導手段(
図8)の、気泡誘導板620、および気泡誘導突起(GR1、GR2)を設けた各電極の気泡誘導作用の説明図である。
酸水素発生装置6g(
図7)の電気分解手段61gである直流電源613gに印加された電圧により、前記陰極611gと陽極612gから発生する気体は、超音波発生手段65gである高周波発生器652gの電気的手段により前記超音波発振子651gを超音波振動させて手電解液651gに超音波を伝搬する。
前記超音波振動の定常波の振幅による電解液の往復運動、または定常波の音圧の変動による気泡の膨張収縮により気泡脱離する。
図9に示す陽極612gでは、スラット状の電極部の垂直端面や、スラット状の電極部に設けた前記気泡誘導突起GR2の凹凸によりできた稜線は、電気分解による気泡の発生が多く、前記気泡脱離した気泡は前記気泡誘導突起GR2に沿って気泡誘導板620の前記開口部に誘導され、気泡誘導板620の内管部を前記気泡の浮力により上昇して電解槽614gの上部に到達する。
その際、気泡誘導板620の内管部を浮力により上昇する前記気泡が周りの電解液を伴って上昇流となり、気泡誘導板620の内管部に煙突効果による上昇流が発生するので、前記気泡誘導板620の前記円筒壁の開口部に案内される気泡が吸引され、前記超音波振動が伝搬する電解液空間に流出するのを防止する。
樹脂と電解液の音響インピーダンスの差が小さいので、樹脂製の気泡誘導板620は超音波の反射率が小さいので、電解液の超音波振動の伝搬をあまり妨げない。
前記電極部の垂直端面に発生する気泡は浮力により垂直に上昇するので、超音波振動が伝搬する電解液空間への拡散は少ない。
【実施例5】
【0032】
図10は、実施例5(請求項4対応)の、従来の過給式内燃機関を備えたハイブリッド車両8(上図(M))に、酸水素発生装置6nを設けたハイブリッド車両8n(下図(N))の構成概念の説明図である。
本願発明の
図10の下図(N)に示すハイブリッド車両8nは、二次電池81nとモータ/発電機83を備えた回生手段と、前記回生手段の電気的手段により運転する酸水素発生装置6nを設け、前記酸水素発生装置6nで発生する酸水素を内燃機関1の吸気に供給するハイブリッド車両8nにおいて、前記酸水素発生装置6nは
図1に示すように、電解槽614内に層状配置する陰極611と陽極612と、前記陰極611と前記陽極612との間に直流電圧を印加する直流電源613と、電解液の供給を制御する電解液制御手段であるポンプ617と、電気分解にて発生する気体を捕集する気体捕集手段である制御弁618と、で構成する電気分解手段61と、超音波発振子651と、前記超音波発振子651を電気的手段により超音波振動させる高周波発生器652と、で構成する超音波発生手段65と、を備えた酸水素発生装置6において、前記電気分解手段61は、前記陰極611と前記陽極612を、前記超音波発振子651から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上に配置し、超音波振動が前記陰極611と前記陽極612を通過して伝搬できるように前記陰極611と前記陽極612をスラット状またはグリッド状とし、更に、前記超音波発振子651の振動面から、超音波波長(λ)の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極611を、超音波波長(λ)の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極612を配置する。
前記ハイブリッド車両8nは、上図(M)に示す従来の過給手段5と内燃機関1を備えたハイブリッド車両8の構成に、前記酸水素発生装置6nと酸水素発生装置の車両用補器7である酸水素タンク71、酸水素通路72、制御弁73、電解液タンク74、逆止弁(76−1、76−2)、防爆装置79を設け、二次電池81nは前記二次電池81より電気容量が小さい。
従来技術である
図10の上図(M)のパラレル方式のハイブリッド車両8は、二次電池81とモータ/発電機83を備えた回生手段と、過給手段5を備えた内燃機関1と、を備え、車両の減速制動時等にモータ/発電機83で発電することにより運動エネルギを電気エネルギに変換し、前記電気エネルギを二次電池81に貯蔵する。
加速時や電気エネルギのみでの走行時等に、前記二次電池81に貯蔵した電気エネルギにより、前記モータ/発電機83をモータとして走行し、このサイクルにてエネルギ回生を行う。
前記内燃機関1の過給装置は、駆動流で吸気を過給する空気流量増幅器を過給手段とし、前記内燃機関1の排気ガスを駆動流とするEGR方式の過給装置である。
【0033】
図10の酸水素発生装置6nを備えたハイブリッド車両8nの作用は、前記従来のハイブリッド車両8の、過給手段5を備えた内燃機関1による応答性のよい過給運転と前記回生手段による回生運転ができ、更に前記回生手段の電気的手段により運転する酸水素発生装置6nにて前記運動エネルギを電気分解で発生する酸水素に変換し、前記発生する酸水素を過給手段の駆動流に供給することにより、吸気に酸水素燃料を予混合する。
前記回生手段は、二次電池81とモータ/発電機83の間にインバータ82を設け、直流と交流等の電気変換、出力調整等を行う。
エアクリーナ21と過給手段5の間に設けた逆止弁47は、空気流量増幅器50による逆流流量増幅現象を防止し、大量の予混合気が大気放出するのを防止する。
酸水素通路72を通って過給手段5である空気流量増幅器50の駆動流として供給する酸水素は制御弁73にて排気(EGR)との混合比を制御し、空気流量増幅器50にて駆動流である酸水素と吸気の均一な予混合となり、内燃機関1に過給される。
前記予混合により、内燃機関1の燃焼性が向上し、燃料タンク15に貯蔵する燃料の消費燃量を削減して燃費効率を改善する。
前記酸水素発生装置6nにて前記運動エネルギを電気分解で発生する酸水素に変換することにより、電気エネルギに変換するエネルギ量が減少するので、高価な二次電池の電気容量を小さくし、小型で安価にできる。
各運転モードによる動力源とエネルギの挙動は
図11にて、空気流量増幅器50の断面図は
図12にて、前記燃焼性の改善は
図13にて説明する。
【0034】
図11は、前記実施例5(
図10)の各ハイブリッド車両(8、8n)の試算シミュレーションによる動力源とエネルギの各概要特性図(Mp、Np)である。
上図(Mp)は、従来の過給式内燃機関1を備えたハイブリッド車両8の概要特性図で、動力源である電気動力関係と内燃機関関係の各要素が、横軸の時間経過に従い、下記5種類の運転モードで運転した場合の試算シミュレーションによる概要特性図である。
1、高負荷運転時には、モータ/発電機83をモータとして二次電池81に蓄えられた電気エネルギによる出力と、内燃機関1の過給運転による出力とにより駆動し、二次電池81の電気エネルギと燃料タンク15の燃料を消費する。
2、低負荷運転時は、内燃機関1の過給運転による出力だけで駆動し、燃料タンク15の燃料を消費し、前記二次電池81の充電量が少ない場合はモータ/発電機83にて充電を並行して行うこともできる。
3、低騒音運転時は、二次電池81に蓄えた電気エネルギによるモータ/発電機83のモータ出力により駆動し、二次電池81の電気エネルギを消費する。
4、回生運転である減速制動時は、モータ/発電機83にて発電して制動トルクをアシストし、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換し、二次電池8に電気エネルギを蓄積する回生運転を行う。
5、車両の停車時は、走行用の出力が不要であるので、空調等を除くとエネルギを消費しない。
【0035】
下図(Np)は、酸水素発生装置6nを備えたハイブリッド車両8nの概要特性図で、図の構成は上図(Mp)と同じであるが、動力源である内燃機関関係の要素に、酸水素発生装置6nを追加し、前記5種類の運転モードと同じ運転モードで運転した場合の試算シミュレーションによる概要特性図である。
1、高負荷運転時には、モータ/発電機83をモータとして二次電池81nに蓄えられた電気エネルギによる出力と、酸水素発生装置6nからの酸水素を予混合することにより燃焼性を向上した内燃機関1の過給運転による出力により駆動し、二次電池81nの電気エネルギと酸水素タンク71の酸水素と燃料タンク15の燃料を消費する。
2、低負荷運転時は、酸水素発生装置6nからの酸水素を予混合することにより燃焼性を向上した内燃機関1の過給運転による出力だけで駆動し、酸水素タンク71の酸水素と燃料タンク15の燃料を消費するリーンバーンエンジンとし、更に回転数を下げる場合は、燃料タンク15の燃料をカットし、水素燃料のみによる低騒音の運転ができ、前記二次電池81の充電量が少ない場合はモータ/発電機83にて充電を並行して行うこともできる。
3、低騒音運転時は、二次電池81nに蓄えた電気エネルギによるモータ/発電機83のモータ出力により駆動し、二次電池81の電気エネルギを消費する。
4、回生運転である減速制動時は、モータ/発電機83にて発電して制動トルクをアシストし、車両の運動エネルギを電気エネルギに変換して二次電池81nに電気エネルギを蓄積し、並行して前記電気エネルギにより運転する酸水素発生装置6nで電気分解を行い、発生する酸水素を酸水素タンク71に貯蔵して前記2種類の回生運転を行う。
5、車両の停車時は、走行用の出力が不要であるので、空調等を除くとエネルギを消費しないが、充電量が高い場合は、二次電池81nの電気エネルギで酸水素発生装置6nにて電気分解を行い発生する酸水素を酸水素タンク71に貯蔵する。
上記二次電池81nの電気エネルギで電気分解を行い、酸水素を酸水素タンク71に貯蔵すること、および前記運動エネルギを電気分解で発生する酸水素に変換することにより、二次電池81nの電気容量を低減して高価な二次電池の電気容量を小さくし、小型で安価にできる。
図11に示すように、燃料タンク15の燃料消費は、ハイブリッド車両8nの方が少ないので、燃費効率が向上する効果がある。
【0036】
図12は、前記実施例5(
図10)の内燃機関1の過給手段5の空気流量増幅器50である従来技術のトランスベクタ51の断面図である。
図12は、吸気通路である吸気流入通路22と吸気流出通路23の間に設けた前記トランスベクタ51の断面図で、前記トランスベクタ51は、吸気流入通路22に連通するハウジング513と吸気流出通路23に連通するフランジ512から成り、ハウジング513にフランジ512を螺合してできる環状空間である環状チャンバ514を設け、前記環状チャンバ514はハウジング513の外壁に接続する駆動流通路41に連通し、前記環状チャンバ514は吸気流入通路22と吸気流出通路23に連通するリング状の隙間であるノズル511を設け、前記ノズル511のノズル通路は、吸気の下流方向に狭まり、前記ノズル511の吸気通路への流出口の吸気流通路径は、吸気流入通路22、吸気流出通路23の通路径より大きい。
【0037】
空気流量増幅器50であるトランスベクタ51の作用は、駆動流通路41から供給される駆動流を前記環状チャンバ514に一次滞留し、リング状の隙間である前記ノズル511から吸気に流出し、吸気を加速して吸気流出通路23に送り込む空気流量増幅作用により過給を行う。
駆動流が吸気に衝突することにより吸気を加速するので、駆動流が燃料の場合は過給と同時に予混合ができるので、混合性のよい予混合ができる。
前記ノズル511の吸気通路への流出口の吸気流通路径は、吸気流入通路22、吸気流出通路23の通路径より大きいことにより、吸気流入通路22から供給される吸気は通路が拡径するデフューザ効果により流速が低下するので、駆動流による加速が効率よく行われ、前記駆動流により加速された吸気は、縮径して吸気流出通路23に送られるので、前記吸気流の速度は更に上昇する。
【0038】
図13は、前記実施例5の空気流量増幅器50がトランスベクタ51(
図12)の場合の試算による流量増幅比と過給圧の概要特性図で、(T)は流量増幅比、(Ta〜Tb)は燃料濃度を示す。
図13は、前記過給手段5の空気流量増幅器50がトランスベクタ51で、駆動流が前記酸水素発生装置6nで発生する酸水素を混合する場合の試算による横軸の流量増幅比(倍)と左縦軸の過給圧(bar)の概要特性図で、右縦軸は前記流量増幅比(倍)から逆算した燃料濃度(体積%)である。
水素の理論空気量の2.4、爆発限界の上限の75%(体積%、以下の%も同様)、下限の4%を流量増幅比から逆算して図示し、酸水素には酸素の2倍の体積の水素があるので水素混合率を67%とし、影響が小さいので駆動流の排気(EGR)と酸水素の酸素は空気に置き換えた試算にて説明する。
内燃機関1が火花点火機関の場合の過給圧1bar以下と水素の爆発限界を満たす領域を過給運転領域(矩形ハッチング領域)と想定して説明するが、内燃機関1は、圧縮着火機関であってもよい。
図13から分かるように、6barの駆動流を供給すると、トランスベクタ51にて火花点火機関の過給運転領域の最高圧の1barの過給圧が得られ、駆動流の酸水素混合率を100%とすると、トランスベクタ51の流量増幅比から逆算する駆動流濃度である燃料濃度(17%)と前記酸水素の水素混合率(67%)より、実質の燃料濃度である水素濃度は約Ta(11%)となる。
水素の爆発限界内で運転するには、駆動流と酸水素から成る駆動流の酸水素濃度は、図示する(Ta)〜(Tb)となり、駆動流の酸水素混合率は約100%〜53%となる。
空気流量増幅器50がトランスベクタ51の場合の上記説明は、空気流量増幅器50がフロートランスベクタ(F)やエジェクタ(E)の場合も
図13で同様に検証でき、トランスベクタ(T)より燃料濃度が高い領域で運転できるが、大量の酸水素の供給が必要となるので個々の装置のバランスにより空気流量増幅器50の選択は制約される。
【実施例6】
【0039】
図14の、実施例6(請求項4対応)は、上図(P)の従来の燃料電池車両9に、酸水素発生装置6kを設けた燃料電池車両9k(下図(K))の構成概念の説明図である。
本願発明の
図14の下図(K)に示す燃料電池車両9kは,二次電池81kとモータ/発電機83pを備えた回生手段と、前記回生手段の電気的手段により運転する酸水素発生装置6kを設け、前記酸水素発生装置6kで発生する水素と酸素を分離して燃料電池91に供給する燃料電池車両9kにおいて、前記酸水素発生装置6kは
図7に示すように、電解槽614g内に層状配置する陰極611gと陽極612gと、前記陰極611gと前記陽極612gとの間に直流電圧を印加する直流電源613gと、電解液の供給を制御する電解液制御手段であるポンプ617gと、電気分解にて発生する気体を捕集する気体捕集手段である制御弁(618g、618g2)と、で構成する電気分解手段61gと、超音波発振子651gと、前記超音波発振子651gを電気的手段により超音波振動させる高周波発生器652gと、で構成する超音波発生手段65gと、を備え、前記電気分解手段61gは、前記陰極611gと前記陽極612gを、前記超音波発振子651gから発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上に配置し、超音波振動が前記電極を通過して伝搬できるように前記陰極611gと前記陽極612gをスラット状とし、更に、前記超音波発振子651gの振動面から超音波波長λの4分の1の奇数倍の距離に前記陰極611gを、超音波波長の4分の1の偶数倍の距離に前記陽極612gを配置する。
前記燃料電池車両9kは、上図(P)に示す従来の燃料電池車両9の構成に、前記酸水素発生装置6kと前記酸水素発生装置6kの車両用補器7である水素タンク711、酸素タンク712、水素通路721、酸素通路722、制御弁(73k、73k2)、電解液タンク74k、および冷却器77を設け、二次電池81kを前記二次電池81pより電気容量を小さくしている。
従来技術である
図14の上図(P)の燃料電池車両9は、二次電池81pと4個のモータ/発電機83pを備えた回生手段と、燃料電池91と、高圧水素タンク92と水素通路93から成る水素供給手段と、を備え、車両の減速制動時等にモータ/発電機83pで発電することにより運動エネルギを電気エネルギに変換して前記電気エネルギを二次電池81pに貯蔵し、加速時や貯蔵した電気エネルギのみでの走行時等に、前記二次電池81pに貯蔵した電気エネルギにより、前記モータ/発電機83pをモータとして走行してエネルギ回生を行う。
前記燃料電池91は、高圧水素タンク92に連通する減圧弁94で減圧し、制御弁95で流量を制御して供給される水素と、エアクリーナ21pから供給される空気と、を電気分解の逆の燃料電池作用により発電し、パワーユニット97を介して前記二次電池81pとモータ/発電機83pに電気エネルギを供給する。
【0040】
図14の酸水素発生装置6kを備えた燃料電池車両9kの作用は、前記従来の燃料電池車両9の前記二次電池81pとモータ/発電機83pを備えた回生手段によるエネルギ回生が行え、更に前記回生手段の電気的手段により運転する酸水素発生装置6kにより前記運動エネルギを電気分解により発生する水素と酸素に変換し、前記水素と酸素を水素タンク711と酸素タンク712に貯蔵し、電気エネルギを水素燃料に変換して貯蔵するので、高価な燃料電池の小型化ができ、前記高圧水素タンク92の消費量を抑制し、従来の空気の替わりに酸素を燃料電池91に供給するので燃料電池91の発電効率が向上し電気エネルギの出力増大効果がある。
前記燃料電池91で排出する水は、冷却器77にて冷却し、電解液タンク74kに還流し、電解液の補充量を減少できる。
【0041】
前記実施例1〜6は、本願発明の一例を示して説明をしたもので、直接作用に影響しない水素通路に設ける防爆装置等の安全装置は省略して説明している。
内燃機関は制約のない限り火花点火機関でも圧縮着火機関でも、往復動機関でもロータリエンジンでもよく、過給装置に設けられている機器や補助機器(センサ、フィルタ、冷却器、等)は、内燃機関の運転条件等により追加削除ができるので、前記実施例1〜6は、本願発明の一例を示すもので本願発明を制約するものではなく、当業者により変更および改良ができる。
【課題】水の電気分解で電極に付着する気泡や析出物により、電解効率が低下するのを防止するために超音波振動を付加する酸水素発生装置において、超音波振動の問題により電極を層状配置できない問題点がある。
【解決手段】電解槽内に層状配置する陰極と陽極と、前記電極間に直流電圧を印加する直流電源と、電解液制御手段と、気体捕集手段と、で構成する電気分解手段と、超音波発振子と、前記超音波発振子を超音波振動させる高周波発生器と、で構成する超音波発生手段と、を備え、前記電気分解手段は、前記陰極と前記陽極を、前記超音波発振子から発振する超音波振動の伝搬方向に対し垂直な平面上または円筒面上に配置し、電極をスラット状またはグリッド状とし、更に、前記超音波発振子の振動面から、超音波波長の4分の1の奇数倍の距離に前記陰極を、偶数倍の距離に前記陽極を配置する酸水素発生装置とする。