特許第6097988号(P6097988)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6097988超音波センサユニット及びその製造方法、超音波計測装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6097988
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】超音波センサユニット及びその製造方法、超音波計測装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 1/66 20060101AFI20170313BHJP
   H04R 1/00 20060101ALI20170313BHJP
   H04R 31/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G01F1/66 A
   H04R1/00 330A
   H04R31/00 330
【請求項の数】10
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2016-565357(P2016-565357)
(86)(22)【出願日】2016年6月22日
(86)【国際出願番号】JP2016068483
【審査請求日】2016年10月28日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000243364
【氏名又は名称】本多電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114605
【弁理士】
【氏名又は名称】渥美 久彦
(72)【発明者】
【氏名】流田 賢治
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2012/144270(WO,A1)
【文献】 特開2012−115551(JP,A)
【文献】 特開2008−270869(JP,A)
【文献】 特開平9−55997(JP,A)
【文献】 特表2013−509122(JP,A)
【文献】 特開2015−172562(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/66
H04R 1/00
H04R 17/00
H04R 31/00
A61B 8/00
G01S 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
凸曲面状の超音波放射面を先端部に有する超音波センサと、
前端面及び後端面を連通するとともに前記超音波センサが配置される収納穴が形成されたセンサ収納部材と、前記収納穴内の前記超音波センサを基端部側から抑えつけるとともに前記超音波センサの前記先端部を前記前端面から突出させた状態で固定するセンサ抑え部材とを含むセンサホルダと
を備え、前記超音波センサの前記先端部を対象物に押し当てた状態で前記超音波放射面から超音波を放射する超音波センサユニットであって、
前記超音波放射面に沿って引き伸ばされた状態で前記超音波放射面を覆う第1領域と、
前記第1領域の外周側に位置し、前記収納穴の内周面と前記超音波センサの外周面との隙間に挟み込まれることで前記隙間をシールする第2領域と
を有する弾性体シートを備えた
ことを特徴とする超音波センサユニット。
【請求項2】
前記弾性体シートは、前記超音波放射面に対して非接着状態かつ交換可能に設けられていることを特徴とする請求項1に記載の超音波センサユニット。
【請求項3】
前記弾性体シートはゴムシートであり、
前記ゴムシートにおいて、前記第2領域は前記ゴムシートの厚さ方向に圧縮される一方、前記第1領域は前記ゴムシートの面方向に伸張されて前記第2領域よりも薄くなっている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の超音波センサユニット。
【請求項4】
前記弾性体シートは、ゴム製の基材に粘着層を積層してなり、自身の伸縮によって密着する自己融着型のゴムシートであることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の超音波センサユニット。
【請求項5】
前記超音波センサの基端側にはフランジ部が形成されるとともに、
前記収納穴は、小径部と前記小径部よりも前記後端面側に位置する大径部とからなり、
前記小径部と前記大径部との接続部分には、前記フランジ部が前記センサ収納部材の前記後端面側から係止可能な段差面が形成されている
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の超音波センサユニット。
【請求項6】
前記弾性体シートは円形のシートであり、その直径は、前記収納穴における前記小径部の内径よりも大きく、かつ前記大径部の内径よりも小さいことを特徴とする請求項5に記載の超音波センサユニット。
【請求項7】
前記対象物は、液体を流す計測用配管であり、
前記計測用配管を挟んで対向するよう一対の前記超音波センサが配置されており、
前記一対の超音波センサのうちの少なくとも一方の前記超音波放射面を前記計測用配管に押し当てて前記計測用配管をクランプするための付勢力を前記センサホルダに付与する付勢部材をさらに備えた
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の超音波センサユニット。
【請求項8】
前記計測用配管は、前記液体としての輸液を流す輸液チューブの途中に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の超音波センサユニット。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波センサユニットと、
前記超音波センサに電気的に接続され、前記超音波センサの検出信号に基づいて超音波計測のための演算処理を行う演算手段と
を備えたことを特徴とする超音波計測装置。
【請求項10】
請求項6に記載の超音波センサユニットを製造する方法であって、
前記センサ収納部材において、前記収納穴における前記段差面に前記弾性体シートを位置決めしつつ配置するシート配置工程と、
前記センサ収納部材の前記後端面側から前記収納穴内に前記超音波センサを挿入するとともに、前記センサ抑え部材を用いて前記後端面を抑えつけることにより、前記収納穴の前記小径部内に前記弾性体シートを介して前記超音波センサを押し込み、前記弾性体シートの前記第1領域で覆われた前記超音波放射面を前記センサ収納部材の前記前端面から突出させるとともに、前記第2領域で前記収納穴の内周面と前記超音波センサの外周面との隙間をシールするセンサ押込工程と、
前記段差面に前記フランジ部を当接させた状態で、前記センサ収納部材に前記センサ抑え部材を固定することにより、前記センサホルダを形成するホルダ形成工程と
を含むことを特徴とする超音波センサユニットの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波放射面から超音波を伝搬させる超音波センサを備えた超音波センサユニット及びその製造方法、超音波センサユニットを用いて超音波計測を行う超音波計測装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、超音波を用いた計測装置として、液体の流量計測を行う超音波流量計や液体に含まれる気泡の検出を行う気泡検出装置などの超音波計測装置が実用化されている。これら計測装置では、液体を流す配管に超音波センサの超音波放射面を押し当てて配管内の液体中に超音波を伝搬させるように構成されている。
【0003】
配管が硬い樹脂材料等で形成される場合、超音波センサの超音波放射面と配管との密着性が不十分となることがある。このため、超音波放射面と配管との間にゴムシート(音響カプラとして機能する弾性体シート)を設け、配管に対する超音波放射面の密着性を向上させることで超音波の伝搬効率を高めるようにしている(例えば、特許文献1参照)。また、超音波センサに用いるドライカップリング用ゴムとして、ゴムキャップやゴムシートの製品が提供されている(非特許文献1)。ゴムキャップは、超音波センサの超音波放射面を覆うようにセンサ先端側に装着されるキャップ部材であり、超音波センサの外縁部に係止され固定(ホールド)されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2002−520584号公報(図2A等参照)
【非特許文献1】アイ・エス・エル社 ホームページ、[平成28年5月23日検索]、インターネット<URL:http://www1.kcn.ne.jp/~isl/pdf/drycoupj.pdf>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カップリング用ゴムとしてゴムキャップを用いる場合、超音波センサに対するホールド力を確保する必要があるため、ゴムの肉厚が厚くなり成型コストが高くなってしまう。特に、超音波放射面のサイズが小さい超音波センサに適用する場合、ゴムキャップを小型にする必要があるがその成型が困難となりコストがかかる。さらに、ゴムキャップが小型になると、超音波センサに対する十分なホールド力を確保することが困難となる。またこの場合、超音波センサにゴムキャップを装着し難くなるため、位置ズレ等によって超音波放射面とゴムキャップとの間に隙間が生じると、正確な超音波計測ができなくなってしまう。
【0006】
カップリング用ゴムとしてゴムシートを用いる場合、測定部位にゴムシートをその都度手作業で挟み込んで抑えつける必要があり、作業性が悪い。このため、通常は、接着剤や両面テープなどを用いて超音波放射面にゴムシートを接着固定している。しかしながら、ゴムシートを接着する場合、長期間の使用によって接着剥がれ等の故障モードが生じるおそれがある。さらに、長期間の使用によってゴムが摩耗すると、超音波の伝搬効率が下がるため、ゴムシートの交換が必要となる。この場合、接着剤で固定されたゴムシートを超音波放射面からきれいに剥がすことが困難であり、ゴムシートの交換作業には手間やコストがかかってしまう。
【0007】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、超音波放射面に対する弾性体シートの密着性を十分に確保することができるとともに弾性体シートの交換を容易に行うことができる超音波センサユニットを提供することにある。また、別の目的は、上記超音波センサユニットを用いて超音波計測をより確実に行うことができる超音波計測装置を提供することにある。さらに、別の目的は、上記超音波センサユニットを製造するのに好適な製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、凸曲面状の超音波放射面を先端部に有する超音波センサと、前端面及び後端面を連通するとともに前記超音波センサが配置される収納穴が形成されたセンサ収納部材と、前記収納穴内の前記超音波センサを基端部側から抑えつけるとともに前記超音波センサの前記先端部を前記前端面から突出させた状態で固定するセンサ抑え部材とを含むセンサホルダとを備え、前記超音波センサの前記先端部を対象物に押し当てた状態で前記超音波放射面から超音波を放射する超音波センサユニットであって、前記超音波放射面に沿って引き伸ばされた状態で前記超音波放射面を覆う第1領域と、前記第1領域の外周側に位置し、前記収納穴の内周面と前記超音波センサの外周面との隙間に挟み込まれることで前記隙間をシールする第2領域とを有する弾性体シートを備えたことを特徴とする超音波センサユニットをその要旨とする。
【0009】
従って、請求項1に記載の発明によると、弾性体シートは、第1領域とその外周側に位置する第2領域とを有し、弾性体シートの中央部側にある第1領域が超音波放射面に沿って引き伸ばされた状態でその放射面を覆うように設けられている。このように弾性体シートを設けることで、対象物の表面に対して超音波放射面を確実に密着させることができる。特に、本発明では、超音波放射面が凸曲面状に形成されているため、弾性体シートの第1領域を均等に引き伸ばすことができ、超音波放射面に対する弾性体シートの密着状態を良好に維持することができる。この結果、弾性体シートが破れたり、弾性体シートと放射面との間に空気が入り込んだりするといった問題を防止することができ、対象物に超音波を効率よく伝搬させることができる。さらに、弾性体シートの外周側にある第2領域によって、収納穴の内周面と超音波センサの外周面との隙間がシールされるので、超音波センサが収納されているセンサホルダ内の気密性が確保される。この結果、センサホルダ内において、超音波センサの電気端子や接続配線等が腐食したりショートしたりするといった問題を回避できる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記弾性体シートは、前記超音波放射面に対して非接着状態かつ交換可能に設けられていることをその要旨とする。
【0011】
従って、請求項2に記載の発明によると、超音波センサユニットを繰り返し使用して弾性体シートが摩耗した場合、センサホルダをセンサ収納部材とセンサ抑え部材とに分解して超音波センサをセンサホルダから取り外すことにより、弾性体シートを消耗パーツとして容易に交換することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2において、前記弾性体シートはゴムシートであり、前記ゴムシートにおいて、前記第2領域は前記ゴムシートの厚さ方向に圧縮される一方、前記第1領域は前記ゴムシートの面方向に伸張されて前記第2領域よりも薄くなっていることをその要旨とする。
【0013】
従って、請求項3に記載の発明によると、弾性体シートは、比較的安価なゴムシートであるため、部品コストを抑えることができる。また、ゴムシートは十分な伸縮性を有し、収納穴と超音波センサとの間に第2領域が挟み込まれて圧縮されることにより隙間を確実にシールすることができる。また、ゴムシートにおいて超音波放射面を覆う第1領域が伸びて薄くなるため、超音波の伝搬効率をより高めることができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかにおいて、前記弾性体シートは、ゴム製の基材に粘着層を積層してなり、自身の伸縮によって密着する自己融着型のゴムシートであることをその要旨とする。
【0015】
従って、請求項4に記載の発明によると、弾性体シートが自己融着型のゴムシートであるため、ゴムシートの外周側にある第2領域が圧縮されることで密着性が高まり、収納穴の内周面と超音波センサの外周面との隙間を確実にシールすることができる。また、ゴムシートの中央側にある第1領域が伸張されることで、超音波放射面に沿ってゴムシートを確実に密着させることができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかにおいて、前記超音波センサの基端側にはフランジ部が形成されるとともに、前記収納穴は、小径部と前記小径部よりも前記後端面側に位置する大径部とからなり、前記小径部と前記大径部との接続部分には、前記フランジ部が前記センサ収納部材の前記後端面側から係止可能な段差面が形成されていることをその要旨とする。
【0017】
従って、請求項5に記載の発明によると、収納部材において、収納穴の小径部と大径部との接続部分に形成された段差面にフランジ部が後端面側から当接して係止することにより、収納穴における軸線方向の超音波センサの移動を規制することができる。この構成により、センサ収納部材の前端面から超音波センサの先端部を所定量だけ確実に突出させることができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項5において、前記弾性体シートは円形のシートであり、その直径は、前記収納穴における前記小径部の内径よりも大きく、かつ前記大径部の内径よりも小さいことをその要旨とする。
【0019】
従って、請求項6に記載の発明によると、円形の弾性体シートの直径は、収納穴における小径部の内径よりも大きく、かつ大径部の内径よりも小さいため、収納穴の段差面に弾性体シートを確実に配置させることができる。この場合、収納穴に対して円形の弾性体シートの位置決めを正確に行うことができるため、弾性体シートの組み付け精度を高めることができる。この結果、超音波放射面の中心と弾性体シートの中心との位置合わせを正確に行うことができ、超音波放射面に沿って第1領域が均等に伸びた状態で弾性体シートを容易に設置することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかにおいて、前記対象物は、液体を流す計測用配管であり、前記計測用配管を挟んで対向するよう一対の前記超音波センサが配置されており、前記一対の超音波センサのうちの少なくとも一方の前記超音波放射面を前記計測用配管に押し当てて前記計測用配管をクランプするための付勢力を前記センサホルダに付与する付勢部材をさらに備えたことをその要旨とする。
【0021】
従って、請求項7に記載の発明によると、計測用配管を挟んで対向するよう一対の超音波センサが配置されており、少なくとも一方の超音波センサを保持するセンサホルダが付勢部材により付勢される。この結果、超音波センサの超音波放射面が計測用配管に押し当てられ一対の超音波センサによって計測用配管がクランプされる。この場合、超音波センサの超音波放射面から計測用配管内の液体中に超音波を効率よく伝搬させることができ、液体の流量計測や液体に含まれる気泡の検出などの超音波計測を確実に行うことができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、請求項7において、前記計測用配管は、前記液体としての輸液を流す輸液チューブの途中に設けられていることをその要旨とする。
【0023】
従って、請求項8に記載の発明によると、輸液を流す輸液チューブの途中に計測用配管が設けられているため、超音波センサの超音波放射面から計測用配管を介して輸液中に超音波を効率よく伝搬させることができ、輸液の流量計測や輸液に含まれる気泡の検出などの超音波計測を確実に行うことができる。また、輸液チューブは細いため、それに繋がる計測用配管を細く形成することができる。この場合、超音波センサとして、例えば直径が15mm以下の小型センサを用いることができ、超音波センサユニットをコンパクトに形成することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の超音波センサユニットと、前記超音波センサに電気的に接続され、前記超音波センサの検出信号に基づいて超音波計測のための演算処理を行う演算手段とを備えたことを特徴とする超音波計測装置をその要旨とする。
【0025】
従って、請求項9に記載の発明によると、超音波センサユニットにおける超音波センサの検出信号が演算手段に取り込まれ、その検出信号に基づいて超音波計測のための演算処理が行われる。このように、超音波センサユニットを用いて超音波計測装置を構成することにより、超音波センサの超音波放射面における密着性が確保されるため、超音波の伝搬効率を高めることができ、超音波計測をより確実に行うことができる。また、センサホルダ内の気密性が確保されるため、超音波センサの電気端子や接続配線等が腐食したりショートしたりするといった問題を回避することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、請求項6に記載の超音波センサユニットを製造する方法であって、前記センサ収納部材において、前記収納穴における前記段差面に前記弾性体シートを位置決めしつつ配置するシート配置工程と、前記センサ収納部材の前記後端面側から前記収納穴内に前記超音波センサを挿入するとともに、前記センサ抑え部材を用いて前記後端面を抑えつけることにより、前記収納穴の前記小径部内に前記弾性体シートを介して前記超音波センサを押し込み、前記弾性体シートの前記第1領域で覆われた前記超音波放射面を前記センサ収納部材の前記前端面から突出させるとともに、前記第2領域で前記収納穴の内周面と前記超音波センサの外周面との隙間をシールするセンサ押込工程と、前記段差面に前記フランジ部を当接させた状態で、前記センサ収納部材に前記センサ抑え部材を固定することにより、前記センサホルダを形成するホルダ形成工程とを含むことを特徴とする超音波センサユニットの製造方法をその要旨とする。
【0027】
従って、請求項10に記載の発明によると、シート設置工程では、収納穴における段差面に弾性体シートが位置決めされて配置される。具体的には、収納穴の中心に合わせた状態で段差面に円形の弾性体シートが配置される。そして、センサ押込工程では、センサ収納部材の後端面側から収納穴内に超音波センサが挿入されるとともに、センサ抑え部材を用いて後端面が抑えつけられる。これにより、収納穴の小径部内に弾性体シートを介して超音波センサが押し込まれる。このとき、弾性体シートの外周側にある第2領域は、収納穴の内周面と超音波センサの外周面との間に挟み込まれた状態で固定される。また、弾性体シートの中央側にある第1領域は、超音波センサが収納穴内に押し込まれるときの超音波放射面の移動によって引っ張られてその放射面に沿って均一に伸びていく。さらに、弾性体シートにおいて、第1領域が伸びるのに対して外周側にシートの余肉が寄せ集められる。この結果、弾性体シートの第2領域は、収納穴の内周面と超音波センサの外周面との隙間に圧縮された状態で密着される。このようにして、弾性体シートの第1領域により覆われた超音波放射面がセンサ収納部材の前端面から突出されるとともに、第2領域によって収納穴の内周面と超音波センサの外周面との隙間がシールされる。その後、ホルダ形成工程では、段差面にフランジ部が当接された状態で、センサ収納部材にセンサ抑え部材が固定されることにより、センサホルダが形成される。これら工程を経て超音波センサユニットを製造すると、弾性体シートの第1領域によって、超音波センサの超音波放射面における密着性が確保されるため、超音波の伝搬効率を高めることができ、超音波計測をより確実に行うことができる。また、弾性体シートの第2領域によってセンサホルダ内の気密性が確保されるため、超音波センサの電気端子や接続配線等が腐食したりショートしたりするといった問題を回避することができる。
【発明の効果】
【0028】
以上詳述したように、請求項1〜8に記載の発明によると、超音波放射面に対する弾性体シートの密着性を十分に確保することができるとともに弾性体シートの交換を容易に行うことができる超音波センサユニットを提供することができる。また、請求項9に記載の発明によると、上記超音波センサユニットを用いて超音波計測をより確実に行うことができる超音波計測装置を提供することができる。さらに、請求項10に記載の発明によると、上記超音波センサユニットを製造するのに好適な製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】第1の実施の形態の超音波流量計の概略構成を示す斜視図。
図2】第1の実施の形態の超音波センサユニットを示す分解斜視図。
図3】第1の実施の形態の超音波センサユニットを示す断面図。
図4】超音波流量計の電気的構成を示すブロック図。
図5】超音波センサユニットの製造方法を示す説明図。
図6】超音波センサユニットの製造方法を示す説明図。
図7】超音波センサユニットの製造方法を示す説明図。
図8】実験用の超音波センサユニットを示す説明図。
図9】ゴムシートの有無に応じた超音波の送受感度を示すグラフ。
図10】第2の実施の形態の超音波センサユニットを示す斜視図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
[第1の実施の形態]
以下、本発明を超音波計測装置としての超音波流量計に具体化した第1の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0031】
図1に示されるように、超音波流量計1は、超音波センサユニット2と、演算手段としての計測制御装置3とを備える。超音波流量計1は、例えば医療現場において、輸液チューブ4を流れる輸液W1(薬液などの液体)の流量を超音波伝搬時間差方式で測定する。
【0032】
図1図3に示されるように、超音波センサユニット2は、輸液チューブ4に接続される計測用配管10(対象物)と、計測用配管10を介して対向配置される一対の超音波センサ11,12と、各超音波センサ11,12及び計測用配管10が設置されるベース14と、超音波センサ12を計測用配管10に付勢するバネユニット15(付勢手段)とを備える。
【0033】
計測用配管10は、直管部17とそれに繋がる流入口18及び流出口19を有し、流入口18及び流出口19に輸液チューブ4がそれぞれ接続されている。つまり、計測用配管10は、輸液チューブ4の途中に設けられており、直管部17には流入口18から流出口19に向けて輸液W1が流れるようになっている。計測用配管10は、例えばボリカーボネイトなどの樹脂材料を用いて形成されている。
【0034】
図3に示されるように、一対の超音波センサ11,12は、ともに同じ構造を有するセンサである。各超音波センサ11,12は、直径が10mmの小型のセンサであり、凸曲面状の超音波放射面21を先端部に有する。より詳しくは、超音波センサ11,12は、先端側の外縁部がR面状に面取りされた円筒状をなし基端部側にフランジ部25を有するキャップ状のセンサケース26と、センサケース26内に内蔵され、超音波の送受信が可能な超音波振動子27とを備える。超音波振動子27は、例えばPZTなどの圧電セラミックスを用いて円板状に形成された圧電素子である。
【0035】
キャップ状のセンサケース26において、先端部となる頂部の内面側に超音波振動子27の振動面が接着固定されており、その先端部の外面が超音波放射面21となっている。超音波センサ11,12は、先端部の超音波放射面21を計測用配管10に押し当てた状態で超音波放射面21から超音波を放射する。センサケース26内において超音波振動子27に接続された配線28が外部に引き出されており、超音波振動子27を収納した状態でケース26内の隙間が樹脂充填剤29で埋められている。この樹脂充填剤29によってセンサケース26内が密閉されることで超音波センサ11,12が形成されている。そして、超音波センサ11,12において、フランジ部25が形成されている基端部側の端面(基端面)の中央から配線28が引き出されている。
【0036】
図1図3に示されるように、ベース14は、ABS樹脂など樹脂材料を用いて略四角板状に形成されており、その一端には、センサ収納部材となる固定壁部31が突設されている。固定壁部31には前端面33と後端面34とを連通する収納穴35が形成されており、その収納穴35に超音波センサ11が配置される。収納穴35は、小径部37と小径部37よりも後端面34側に位置する大径部38とからなり、小径部37と大径部38との接続部分には、超音波センサ11のフランジ部25が後端面34側から係止可能な段差面39(図3参照)が形成されている。そして、固定壁部31の後端面34にセンサ抑え板41(センサ抑え部材)がネジ止めされている。センサ抑え板41は、収納穴35内に配置されている超音波センサ11をその基端部側から抑えつけるとともに、超音波センサ11の先端部(超音波放射面21)を固定壁部31の前端面33から突出させた状態で固定する。センサ抑え板41もABS樹脂などの樹脂材料からなる。
【0037】
本実施の形態では、ベース14の固定壁部31とセンサ抑え板41とによってセンサホルダ42が構成される。このセンサホルダ42は、ベース14に対して移動不能に設けられた固定型のセンサホルダとなっている。一方、ベース14において固定壁部31と対向する他端側には、可動型のセンサホルダ43がベース14の長手方向に移動可能に配置されている。具体的には、ベース14の他端側に、ホルダ収納溝45(図2参照)がベース14の長手方向に切り欠かれるようにして形成されている。ホルダ収納溝45の対向する側面上部には、センサホルダ43を移動させるためのガイドとして機能する一対のガイド突起46がベース14の長手方向に沿って設けられている。
【0038】
可動型のセンサホルダ43は、超音波センサ12を収納する略円筒状の収納部48と、その収納部48の下方に設けられた台座部49とからなるホルダ本体50(センサ収納部材)と、収納部48に収納された超音波センサ12をその基端部側から抑えつけるセンサ抑え蓋51(センサ抑え部材)とを備える。センサホルダ43のホルダ本体50及びセンサ抑え蓋51もABS樹脂などの樹脂材料からなる。
【0039】
センサホルダ43において、ホルダ本体50の収納部48における外周面には、軸線方向に沿って延びるように形成されたガイド溝53を有するガイド部54が一対設けられている。ガイド部54において、ガイド溝53は2本の凸条部55の間に形成されている。ホルダ本体50におけるガイド部54のガイド溝53をベース14側のガイド突起46に嵌合させた状態で台座部49をホルダ収納溝45に嵌め込むことで、センサホルダ43が軸線方向にスライド可能に設けられている。
【0040】
ホルダ本体50における収納部48には、前端面57と後端面58とを連通する収納穴59が形成されており、その収納穴59に超音波センサ12が配置される。収納穴59は、小径部61と小径部61よりも後端面58側に位置する大径部62とからなり、小径部61と大径部62との接続部分には、超音波センサ12のフランジ部25が後端面58側から係止可能な段差面63(図3参照)が形成されている。そして、センサ抑え蓋51は、収納穴59内に配置されている超音波センサ12をその基端部側から抑えつけるとともに、超音波センサ12の先端部21をホルダ本体50の前端面57から突出させた状態で固定する。ここでは、収納部48においてガイド部54よりも中央寄りの位置には収納穴59に連通する貫通穴65が形成されており、貫通穴65にはスプリングピン66が挿入されている。このスプリングピン66が収納穴59内にてセンサ抑え蓋51に当接することによりセンサ抑え蓋51が収納部48に固定される。
【0041】
バネユニット15は、コイル状の圧縮バネ70と、ベース14の端面にネジ止めされるサイド板71とを備え、超音波センサ12の超音波放射面21を計測用配管10に押し当てて計測用配管10をクランプするための付勢力をセンサホルダ43に付与する。具体的には、バネユニット15のサイド板71には、圧縮バネ70の基端側を収納して固定するための中空円筒状のバネ収納部73が形成されている。このバネユニット15に固定された圧縮バネ70の先端側がセンサ抑え蓋51に当接し、圧縮バネ70の付勢力がセンサ抑え蓋51を介してセンサホルダ43に作用するようになっている。
【0042】
ホルダ本体50の後端側において収納部48と台座部49との接続部分には、引き棒74の先端部を固定するための切欠き部75が形成されるとともに、台座部49の側面にはスプリングピン66を挿入する貫通穴77が形成されている。引き棒74の基端部側は丸棒状をなし、引き棒74の先端部は、切欠き部75に挿入すべく薄板状に形成されている。引き棒74の基端部及び先端部には、スプリングピン66を挿入するための貫通穴78が形成されている。引き棒74の先端部をホルダ本体50の切欠き部75に挿入するとともに、ホルダ本体50の貫通穴77を通して引き棒74の先端部の貫通穴78にスプリングピン66を挿入することにより、引き棒74がホルダ本体50に固定されている。さらに、バネユニット15のサイド板71には、引き棒74の基端部を挿通してユニット外部に突出させる貫通穴79が形成されており、貫通穴79から突出した引き棒74の基端部にグリップ81がスプリングピン66を用いて固定されている。このグリップ81を引っ張ることで引き棒74を介してセンサホルダ43が圧縮バネ70の付勢力に抗して引き戻される。この結果、一対の超音波センサ11,12による計測用配管10のクランプが解除され、ベース14に設置された計測用配管10の取り外しや計測用配管10の再セットが可能となる。
【0043】
ベース14において、固定型のセンサホルダ42と可動型のセンサホルダ43との間(一対の超音波センサ11,12の間)となる位置には、肉厚が若干厚く形成された厚肉部83が設けられており、その厚肉部83の中央部分には凹状に形成された配管配置溝84が形成されている。この配管配置溝84に沿って計測用配管10の直管部17が配置される。この状態において、各センサホルダ42,43に保持されている一対の超音波センサ11,12が直管部17を挟んで対向配置されるようになっている。
【0044】
本実施の形態では、固定型のセンサホルダ42及び可動型のセンサホルダ43において、超音波センサ11,12の超音波放射面21に対して非接着状態かつ交換可能にゴムシート90(弾性体シート)が設けられている。ゴムシート90は、超音波放射面21に沿って引き伸ばされた状態で超音波放射面21を覆う第1領域91と、第1領域91の外周側に位置し、収納穴35,59の内周面と超音波センサ11,12の外周面との隙間に挟み込まれることで隙間をシールする第2領域92とを有する。ゴムシート90は、シリコンゴム製の基材に粘着層を積層してなり、自身の伸縮によって密着する自己融着型のゴムシートである。図7に示されるように、ゴムシート90において、第2領域92はゴムシート90の厚さ方向に圧縮される一方、第1領域91はゴムシート90の面方向に伸張されるため、第1領域91の厚さt1は第2領域92の厚さt2よりも薄くなっている(t1<t2)。本実施の形態において、ゴムシート90として、円形のシートが用いられる。ゴムシート90は、センサホルダ42,43に装着される前の未装着状態(図2参照)での直径は、例えば14mm程度であり、収納穴35,59における小径部37,61の内径(例えば11mm程度)よりも大きく、かつ大径部38,62の内径(例えば15mm)よりも小さくなっている。また、未装着状態でのゴムシート90の厚さは0.5mm程度である。
【0045】
固定型のセンサホルダ42において、超音波センサ11の基端部から延びる配線28は、センサ抑え板41の貫通穴95を通じて超音波センサユニット2の外部に引き出され、計測制御装置3に接続されている。また、可動型のセンサホルダ43において、超音波センサ12の基端部から延びる配線28は、センサ抑え蓋51の中心穴96、圧縮バネ70の内側、サイド板71の貫通穴97を通じて超音波センサユニット2の外部に引き出され、計測制御装置3に接続されている。つまり、超音波センサユニット2の各超音波センサ11,12は、配線28を介して計測制御装置3に電気的に接続されている。
【0046】
計測制御装置3は、超音波センサ11,12で送受信される超音波の伝搬時間差に応じた輸液W1の流量を演算により求める。以下、計測制御装置3の構成について図4を用いて詳述する。
【0047】
図4に示されるように、計測制御装置3は、信号処理部100、演算処理部101、入力装置102、及び表示装置103等を備える。信号処理部100は、各超音波センサ11,12を駆動するための駆動信号を出力する回路や、超音波の伝搬時間を検出する回路などを含む。演算処理部101は、従来周知のCPU105やメモリ106等を含んで構成された処理回路である。演算処理部101において、メモリ106には、制御プログラムやデータが記憶されており、CPU105はそのメモリ106の制御プログラムに従って流量の演算処理や表示処理を行う。
【0048】
より詳しくは、信号処理部100は、各超音波センサ11,12を駆動して、相互に超音波を送受信させる。このとき、信号処理部100は、一対の超音波センサ11,12において上流側の超音波センサ11から送信され下流側の超音波センサ12で受信された超音波の正方向の伝搬時間(輸液W1の流れに対して正方向に伝搬した超音波の伝搬時間)を検出する。また、信号処理部100は、下流側の超音波センサ12から送信され上流側の超音波センサ11で受信された超音波の逆方向の伝搬時間(輸液W1の流れに対して逆方向に伝搬した超音波の伝搬時間)を検出する。そして、信号処理部100は、正方向の伝搬時間と逆方向の伝搬時間とを演算処理部101に出力する。演算処理部101は、信号処理部100から出力された正方向の伝搬時間と逆方向の伝搬時間とを取り込み、伝搬時間に応じた輸液W1の流量を演算により求める。
【0049】
入力装置102は、各種の操作ボタンを含み、測定の開始・終了、表示モードの設定などを行う。表示装置103は、例えば液晶ディスプレイであり、演算処理部101で求められた流量を表示する。
【0050】
次に、各部材を組み付けて超音波センサユニット2を製造する方法について説明する。
【0051】
まず、図5に示されるように、ベース14において、固定壁部31の収納穴35における段差面39にゴムシート90を位置決めしつつ配置する(シート配置工程)。ここでは、収納穴35の中心に合わせた状態で段差面39に円形のゴムシート90を配置する。その後、図6に示されるように、固定壁部31の後端面34側から収納穴35内に超音波センサ11を挿入するとともに、センサ抑え板41を用いて固定壁部31の後端面34を抑えつける。これにより、図7に示されるように、収納穴35の小径部37内にゴムシート90を介して超音波センサ11が押し込まれる(センサ押込工程)。
【0052】
このとき、ゴムシート90の外周側にある第2領域92は、収納穴35の内周面と超音波センサ11の外周面との間に挟み込まれた状態で固定される。また、ゴムシート90の中央側にある第1領域91は、超音波センサ11が収納穴35内に押し込まれるときの超音波放射面21の移動によって矢印A1方向に引っ張られて、その放射面21に沿って均一に伸びていく(図7の矢印A1を参照)。さらに、ゴムシート90において、第1領域91が伸びるのに対して外周側にシートの余肉が寄せ集められる。この結果、ゴムシート90の第2領域92は、収納穴35の内周面と超音波センサ11の外周面との隙間にて、矢印A2の方向から圧縮された状態で密着される(図7の矢印A2を参照)。このようにして、ゴムシート90の第1領域91により覆われた超音波放射面21が固定壁部31の前端面33から突出されるとともに、第2領域92により収納穴35の内周面と超音波センサ11の外周面との隙間がシールされる。また、この状態では、ゴムシート90の第2領域92の外端は、収納穴35の貫通方向の中央部付近に位置している。つまり、第2領域92の幅は、貫通穴35の貫通方向(軸方向)の長さの半分程度である。なお、第2領域92の幅は、シール性を確保できる幅であれば適宜変更してもよい。
【0053】
そして、収納穴35の段差面93に超音波センサ11のフランジ部25を当接させた状態で、固定壁部31の後端面34にセンサ抑え板41をネジ止め固定することにより、センサホルダ42を形成する(ホルダ形成工程)。
【0054】
次に、可動型のセンサホルダ43をベース14に装着する。具体的には、ホルダ本体50の収納部48の収納穴59における段差面63に、ゴムシート90を位置決めしつつ配置する(シート配置工程)。その後、収納部48の後端面58側から収納穴59内に超音波センサ12を挿入するとともに、センサ抑え蓋51を用いて超音波センサ12を抑えつける。これにより、収納穴59の小径部61内にゴムシート90を介して超音波センサ12を押し込み、ゴムシート90の第1領域91で覆われた超音波放射面21を収納部48の前端面57から突出させるとともに、第2領域92で収納穴59の内周面と超音波センサ12の外周面との隙間をシールする(センサ押込工程)。そして、収納穴59の段差面63に超音波センサ12のフランジ部25を当接させた状態で、収納部48にセンサ抑え蓋51をスプリングピン66で固定することにより、センサホルダ43を形成する(ホルダ形成工程)。さらに、引き棒74の先端部をホルダ本体50の切欠き部75に挿入した後、その先端部をスプリングピン66で固定する。この後、ホルダ本体50の収納部48に形成されたガイド溝53をベース14のホルダ収納溝45におけるガイド突起46に嵌め込み、センサホルダ43をガイド突起46に沿ってスライドさせて収納溝45内に配置させる。
【0055】
次に、ベース14の端部にバネユニット15を組み付ける。詳しくは、サイド板71のバネ収納部73に圧縮バネ70の基端側を収納するとともに、圧縮バネ70の先端側を収納穴59内のセンサ抑え蓋51に当接させる。さらに、引き棒74の基端部をサイド板71の貫通穴79に挿入した状態でサイド板71をベース14の端部にネジ止め固定する。そして、バネユニット15の圧縮バネ70の付勢力に抗してセンサホルダ43をサイド板71側に若干押し戻し、サイド板71の貫通穴79から引き棒74の基端部を突出させる。その後、引き棒74の基端部にグリップ81を装着してスプリングピン66を用いて固定する。この結果、超音波センサユニット2が製造される。
【0056】
超音波センサユニット2において、手でグリップ81を引いて圧縮バネ70の付勢力に抗してセンサホルダ43をサイド板71側に移動させた状態でベース14の配管配置溝84に計測用配管10を設置する。その後、グリップ81から手を放すことで圧縮バネ70の付勢力によってセンサホルダ43が押し出され、センサホルダ43に保持されている超音波センサ12の超音波放射面21が計測用配管10の直管部17に押し当てられる。この結果、一対の超音波センサ11,12によって計測用配管10の直管部17がクランプされるため、超音波流量計1によって輸液W1の流量計測が可能となる。
【0057】
本発明者らは、実験用の超音波センサユニット200(図8参照)を作成し、ゴムシート90の有無による一対の超音波センサ11,12の送受信感度の違いを確認した。図8に示されるように、実験用の超音波センサユニット200において、ベース14Aの一端に形成される固定型のセンサホルダ42は、図3に示す本実施の形態のセンサホルダ42と同じ構成である。つまり、センサホルダ42は、収納穴35が形成された固定壁部31と、収納穴35に配置された超音波センサ11を基端側から抑えつけて固定するセンサ抑え板41とからなる。可動型のセンサホルダ43Aは、ベースの長手方向に移動可能に設けられる可動壁部201とセンサ抑え板41とからなる。センサホルダ43Aの可動壁部201には、固定壁部31と同様に収納穴35が形成されており、収納穴35内に超音波センサ12が配置された状態でセンサ抑え板41によって固定されている。さらに、可動壁部201の下端は、ベース14Aに設けられた2本のガイド溝202に嵌め込まれるスライド部(図示略)が設けられている。そして、実験用の超音波センサユニット200では、リニアスライダ203を操作することでセンサホルダ43Aをガイド溝202に沿って移動させるとともに、各センサホルダ42,43Aに保持されている一対の超音波センサ11,12の超音波放射面21同士を当接させることができるようになっている。また、リニアスライダ203の操作量を変化させることにより、各超音波放射面21に加わる荷重も調整できるようになっている。なお、実験用の超音波センサユニット200においても、各センサホルダ42,43Aに対するゴムシート90の装着方法は上記超音波センサユニット2と同じである。
【0058】
図9に示されるように、各センサホルダ42,43Aにおいて超音波センサ11,12の超音波放射面21にゴムシート90を装着した場合の方がゴムシート90を装着しない場合よりも送受感度が10dB程度高くなることが確認された。また、ゴムシート90を装着した場合、荷重が高いほど、ゴムが潰れて密着性が高まるとともに超音波放射面21でのゴムの肉厚が薄くなり超音波の減衰率が減ることから、送受感度が上昇することが確認された。
【0059】
従って、本実施の形態によれば以下の効果を得ることができる。
【0060】
(1)本実施の形態の超音波センサユニット2では、ゴムシート90は、第1領域91とその外周側に位置する第2領域92とを有し、ゴムシート90の中央部側にある第1領域91が超音波センサ11,12の超音波放射面21に沿って引き伸ばされた状態でその放射面21を覆うように設けられている。このようにゴムシート90を設けることで、計測用配管10の表面に対して超音波放射面21を確実に密着させることができる。特に、本実施の形態では、超音波放射面21が凸曲面状に形成されているため、ゴムシート90の第1領域91を均等に引き伸ばすことができ、超音波放射面21に対するゴムシート90の密着状態を良好に維持することができる。この結果、ゴムシート90が破れたり、ゴムシート90と超音波放射面21との間に空気が入り込んだりするといった問題を防止することができ、計測用配管10内の輸液W1に超音波を効率よく伝搬させることができる。さらに、ゴムシート90の外周側にある第2領域92によって、収納穴35,59の内周面と超音波センサ11,12の外周面との隙間がシールされるので、超音波センサ11,12が収納されているセンサホルダ42,43内の気密性が確保される。この結果、センサホルダ42,43内において、超音波センサ11,12の電気端子や接続配線28等が腐食したりショートしたりするといった問題を回避できる。
【0061】
(2)本実施の形態の超音波センサユニット2において、ゴムシート90は、超音波センサ11,12の超音波放射面21に対して非接着状態かつ交換可能に設けられている。従って、超音波センサユニット2を繰り返し使用してゴムシート90が摩耗した場合、センサホルダ42,43を分解して超音波センサ11,12をセンサホルダ42,43から取り外すことにより、ゴムシート90を消耗パーツとして容易に交換することができる。
【0062】
(3)本実施の形態の超音波センサユニット2において、弾性体シートとして比較的安価なゴムシート90を用いているため、部品コストを抑えることができる。また、ゴムシート90は十分な伸縮性を有し、収納穴35,59と超音波センサ11,12との間に第2領域92が挟み込まれて圧縮されることにより隙間を確実にシールすることができる。また、ゴムシート90において超音波放射面21を覆う第1領域91が伸びて薄くなるため、超音波の伝搬効率をより高めることができる。
【0063】
(4)本実施の形態の超音波センサユニット2において、ゴムシート90が自己融着型のシートであるため、ゴムシート90の外周側にある第2領域92が圧縮されることで密着性が高まり、収納穴35,59の内周面と超音波センサ11,12の外周面との隙間を確実にシールすることができる。また、ゴムシート90の中央側にある第1領域91が伸張されることで、超音波放射面21に沿ってゴムシート90を確実に密着させることができる。
【0064】
(5)本実施の形態の超音波センサユニット2では、センサホルダ42の固定壁部31及びセンサホルダ43のホルダ本体50において、収納穴35,59の小径部37,61と大径部38,62との接続部分に段差面39,63が形成されている。そして、段差面39,63に超音波センサ11,12のフランジ部25が後端面34,58側から当接して係止することにより、収納穴35,59における軸線方向の超音波センサ11,12の移動を規制することができる。この構成により、固定壁部31及びホルダ本体50の前端面33,57から超音波センサ11,12の先端部(超音波放射面21)を所定量だけ確実に突出させることができる。
【0065】
(6)本実施の形態の超音波センサユニット2において、円形のゴムシート90の直径は、収納穴35,59における小径部37,61の内径よりも大きく、かつ大径部38,62の内径よりも小さいため、収納穴35,59における段差面39,63にゴムシート90を確実に配置させることができる。この場合、収納穴35,59に対して円形のゴムシート90の位置決めを正確に行うことができるため、ゴムシート90の組み付け精度を高めることができる。この結果、超音波放射面21の中心とゴムシート90の中心との位置合わせを正確に行うことができ、超音波放射面21に沿って第1領域91が均等に伸びた状態でゴムシート90を容易に設置することができる。
【0066】
(7)本実施の形態の超音波流量計1では、バネユニット15によって超音波センサ12を保持する可動型のセンサホルダ43が付勢されることにより、超音波センサ12の超音波放射面21が計測用配管10に押し当てられ、一対の超音波センサ11,12によって計測用配管10がクランプされる。そして、各超音波センサ11,12の超音波放射面21は、ゴムシート90を介して計測用配管10に密着している。このため、超音波センサ11,12の超音波放射面21から計測用配管10内の輸液W1中に超音波を効率よく伝搬させることができ、輸液W1の流量計測を確実に行うことができる。
【0067】
(8)本実施の形態の超音波流量計1では、液体としての輸液W1を流す輸液チューブ4の途中に計測用配管10が設けられている。この場合、輸液チューブ4は細くそれに繋がる計測用配管10を細く形成することができる。このため、超音波センサ11,12として、直径が10mmの小型センサを用いることができ、超音波センサユニット2をコンパクトに形成することができる。
[第2の実施の形態]
【0068】
次に、本発明を具体化した第2の実施の形態を図10に基づき説明する。上記実施の超音波センサユニット2において、一対の超音波センサ11,12は、計測用配管10の直管部17の上流側及び下流側において対向するよう配置されるものであった。これに対して、図10に示されるように、本実施の形態の超音波センサユニット2Aにおける一対の超音波センサ11,12は、計測用配管10Aの側面を挟んで対向するよう配置されている。この超音波センサユニット2Aは、例えば輸液W1に含まれる気泡を検知するための気泡検知装置に用いられる。
【0069】
具体的には、本実施の形態の超音波センサユニット2Aでは、固定型のセンサホルダ42及び可動型のセンサホルダ43の構成は上記第1の実施の形態と同じであり、ベース14における計測用配管10Aの設置が上記第1の実施の形態と異なっている。
【0070】
また、本実施の形態では、超音波センサユニット2Aにおける一方の超音波センサ11を送信用センサとして用いるとともに他方の超音波センサ12を受信用センサとして用い、各超音波センサ11,12の配線28は図示しない制御装置(演算手段)に接続されている。制御装置は、送信用の超音波センサ11から輸液W1中に超音波を伝搬させ受信用の超音波センサ12で受信した超音波の信号強度に基づいて輸液W1に含まれる気泡の有無を検出する。
【0071】
本実施の形態の超音波センサユニット2Aでも、上記第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。また、超音波センサ11,12の超音波放射面21から計測用配管10A内の輸液W1中に超音波を効率よく伝搬させることができるため、輸液W1に含まれる気泡の検出を精度良く確実に行うことができる。
【0072】
なお、本発明の各実施の形態は以下のように変更してもよい。
【0073】
・上記第1の実施の形態の超音波センサユニット2は、輸液W1の流量を計測する超音波流量計1に用いるものであったが、これに限定されるものではなく、例えば液体の濃度を測定するための超音波濃度計などの超音波計測装置に用いてもよい。また、第2の実施の形態の超音波センサユニット2Aは、輸液W1に含まれる気泡を検知するための気泡検知装置に用いるものであったが、これに限定されるものではなく、液体中に存在する異物を検知する異物検知装置や、液体中に存在する物質の濃度を測定する超音波濃度計などの超音波計測装置に用いてもよい。
【0074】
・第2の実施の形態の超音波センサユニット2Aでは、一対の超音波センサ11,12を用いて気泡の有無を検出していたが、例えば送受信兼用の1つの超音波センサを用い超音波の反射を利用することで気泡の有無を検出してもよい。
【0075】
・上記各実施の形態の超音波センサユニット2,2Aでは、可動型のセンサホルダ43を付勢するバネユニット15を用いて一方の超音波センサ12の超音波放射面21を計測用配管10,10Aに押し付ける構成としていたが、バネユニット15以外の他の付勢部材を用いて構成してもよい。また、付勢部材を用いずに作業者の手で超音波センサ11の超音波放射面21を対象物に押し付ける構成の超音波センサユニットに本発明を具体化してもよい。この超音波センサユニットを用いる場合、例えば化粧パネルなどの板材が接着層を介して固定される構造体において、超音波センサ11の超音波放射面21を板材表面に押し当てて超音波を送受信することで、接着層の不均一な部分や剥離部分を検出する。この超音波センサユニットでも、ゴムシート90を介して超音波放射面21を板材表面に確実に密着させることができる。また、ゴムシート90によってセンサホルダ内がシールされるため、超音波センサ11の電気端子や接続配線等が腐食したりショートしたりするといった問題を回避できる。
【0076】
・上記各実施の形態の超音波センサユニット2,2Aでは、センサホルダ43のセンサ抑え蓋51をスプリングピン66により固定するよう構成したが、これに限定されるものではない。例えば、収納穴59内における後端側の内周面に雌ネジを形成するとともにセンサ抑え蓋51の外周面に雄ネジを形成し、ネジ止めによって収納穴59内にセンサ抑え蓋51を固定するように構成してもよい。
【0077】
・上記各実施の形態の超音波センサユニット2,2Aにおいて、ゴムシート90は、シリコンゴム製のシートであったが、弾性を有する弾性体シートであれば、フッ素樹脂やエラストマー樹脂などからなる樹脂製のシートを用いてもよい。
【0078】
・上記各実施の形態において、超音波センサ11,12の超音波放射面21は、先端側の外縁部がR面状に面取りされた円筒状をなす放射面であったが、これに限定されるものではない。超音波センサ11,12の超音波放射面21は、凸曲面状に形成されるものであればよく、例えば半球状に形成されていてもよい。
【0079】
次に、特許請求の範囲に記載された技術的思想のほかに、前述した各実施の形態によって把握される技術的思想を以下に列挙する。
【0080】
(1)請求項7または8において、前記計測用配管は、液体の流量または濃度を測定するための配管であり、前記一対の前記超音波センサは、その配管の上流側及び下流側において対向するよう配置されることを特徴とする超音波センサユニット。
【0081】
(2)請求項9において、一対の前記超音波センサを送受信兼用のセンサとして用い、前記演算手段は、前記一対の超音波センサにより前記液体の流れの正逆方向に超音波を伝搬させてその正方向に伝搬した超音波と逆方向に伝搬した超音波とを受信して該各超音波の伝搬時間差を検出するとともに、前記伝搬時間差に基づいて前記液体の流量を演算により求めることを特徴とする超音波計測装置。
【0082】
(3)請求項7または8において、前記計測用配管は、前記液体内に混在する気泡または異物を検知するための配管であり、前記一対の前記超音波センサは、その配管の側面を挟んで対向するよう配置されることを特徴とする超音波センサユニット。
【0083】
(4)請求項9において、一対の前記超音波センサのうちの一方を送信用センサとして用いるとともに他方を受信用センサとして用い、前記演算手段は、前記送信用センサから前記液体中に超音波を伝搬させ前記受信用センサで受信した前記超音波の信号強度に基づいて前記気泡または異物の有無を検出することを特徴とする超音波流量計。
【0084】
(5)請求項1乃至8のいずれか1項において、前記超音波センサは、直径が15mm以下の小型センサであることを特徴とする超音波センサユニット。
【0085】
(6)請求項1乃至8のいずれか1項において、前記対象物は、前記弾性体シートよりも硬い部材を用いて形成されることを特徴とする超音波センサユニット。
【0086】
(7)請求項1乃至8のいずれか1項において、前記弾性体シートは、0.1mm以上2mm以下の厚さを有するシートであることを特徴とする超音波センサユニット。
【符号の説明】
【0087】
1…超音波計測装置としての超音波流量計
2,2A…超音波センサユニット
3…演算手段としての計測制御装置
4…輸液チューブ
10,10A…対象物としての計測用配管
11,12…超音波センサ
15…付勢手段としてのバネユニット
21…超音波放射面
25…フランジ部
31…センサ収納部材としての固定壁部
33,57…前端面
34,58…後端面
35,59…収納穴
37,61…小径部
38,62…大径部
39,63…段差面
42…固定型のセンサホルダ
43…可動型のセンサホルダ
50…センサ収納部材としてのホルダ本体
51…センサ抑え部材としてのセンサ抑え蓋
90…弾性体シートとしてのゴムシート
91…第1領域
92…第2領域
W1…液体としての輸液
【要約】
超音波放射面に対する弾性体シートの密着性を十分に確保することができるとともに弾性体シートの交換を容易に行うことができる超音波センサユニットを提供する。超音波センサユニット2は、一対の超音波センサ11,12と超音波センサ11,12が配置される収納穴35,59を有するセンサホルダ42,43と弾性体シートとしてのゴムシート90とを備える。超音波センサ11,12は、凸曲面状の超音波放射面21を先端部に有し、その先端部を計測用配管10に押し当てた状態で超音波を放射する。ゴムシート90は、超音波放射面21に沿って引き伸ばされた状態で超音波放射面21を覆う第1領域91と、収納穴35,59の内周面と超音波センサ11,12の外周面との隙間に挟み込まれることで隙間をシールする第2領域92とを有する。
選択図:図3
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