特許第6098023号(P6098023)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6098023コンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6098023
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】コンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法
(51)【国際特許分類】
   B65G 45/22 20060101AFI20170313BHJP
   B65G 45/26 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65G45/22 C
   B65G45/26 Z
【請求項の数】10
【全頁数】23
(21)【出願番号】特願2015-255928(P2015-255928)
(22)【出願日】2015年12月28日
【審査請求日】2015年12月28日
(73)【特許権者】
【識別番号】391061646
【氏名又は名称】株式会社流機エンジニアリング
(74)【代理人】
【識別番号】100082647
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 義久
(72)【発明者】
【氏名】西村 章
(72)【発明者】
【氏名】西村 翔
(72)【発明者】
【氏名】瀬川 倫憲
【審査官】 岡崎 克彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭54−113170(JP,A)
【文献】 特開平10−338931(JP,A)
【文献】 米国特許第05355992(US,A)
【文献】 特開昭51−120573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 45/22
B65G 45/26
B08B 3/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベア上の粉粒体が付着したコンベアリターンベルトを水洗により洗浄するコンベアリターンベルト洗浄装置であって、以下のコンポーネント:
洗浄水高圧噴射ノズルと、;
前記コンベアリターンベルト下方に配置されて前記粉粒体を含む洗浄水の濁水を受ける水受部材と、;
前記水受部材と接続されている管路によって流体連通し、前記水受部材に流下する前記濁水を貯留可能である原水タンクと、;
前記原水タンクと接続されている管路によって流体連通し、前記原水タンク内の原水を浄水化可能な浄水化ユニットと、;
前記浄水化ユニットと接続されている管路によって流体連通し、前記浄水化ユニットで浄水化された浄水を貯留し清水化可能なフィルタユニットと、;
前記フィルタユニットで濾過された清水を前記洗浄水高圧噴射ノズルへ還流可能な管路によって流体連通している洗浄水還流水路と、;
前記浄水化ユニット底部に配設されているスラリー出口と流体連通されているスラリー管路と、;
前記原水タンクの底部に配設されている高濃度スラリー出口と接続されている高濃度スラリー管路によって流体連通されているスラリー脱水乾燥手段と、;
前記スラリー脱水乾燥手段から前記原水タンクと接続されている管路によって流体連通される濾液還流路と、そして;
前記スラリー脱水乾燥手段から中継コンベア上方へ流体連通している、脱水ケークの通路と、
を含むコンベアリターンベルト洗浄装置。
【請求項2】
前記フィルタユニットで濾過された前記清水は、浮遊物質の含有濃度が1mg/L以下である請求項1記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【請求項3】
前記洗浄水高圧噴射ノズルがノズル圧力8〜11MPaの範囲内の高圧水ノズルであって、所定の流量で前記ノズル圧力を供給可能である高圧ポンプを含む請求項1又は2記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【請求項4】
前記浄水化ユニットは、水濾過容器を含み、前記水濾過容器内に以下のコンポーネント:
水濾過フィルタと、;
前記水濾過フィルタに対向して配設されるフィルタ洗浄ノズルと、;
前記水濾過容器底部に配設されるスラリー出口と、;
を含み、前記フィルタ洗浄ノズルからの洗浄液噴射によって洗い落されたフィルタ表面の付着物は前記スラリー出口から前記原水とともにスラリーとして排出可能であり、かつ、前記スラリー出口と流体連通されている前記スラリー管路を通じて前記原水タンクへ移送可能である前記請求項1〜3いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【請求項5】
請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いるコンベアリターンベルトの高圧洗浄方法であって、コンベア速度が毎分160m〜200mの範囲では、以下の前記洗浄水高圧噴射ノズルの噴射条件:
ノズル圧力 8〜11MPa、 ;
1ノズルあたりのノズル水量 20〜23L/min、;
ノズル距離 200〜400mm、;
ノズル角度 50〜60°、そして;
1ノズルあたりの洗浄幅 220mm〜250mm、 ;
を含む噴射条件によって高圧水洗するコンベアリターンベルトの高圧洗浄方法。
【請求項6】
洗浄後のコンベア表面のレーザー・カメラ画像を取得して、コンベア表面に生じた微小裂傷を検査する請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いるコンベアの予防保全方法。
【請求項7】
搬送コンベア上の粉粒体が付着したコンベアリターンベルトを水洗により洗浄するコンベアリターンベルトの洗浄方法であって、以下の:
洗浄水高圧噴射ノズルによってコンベアリターンベルトを高圧水洗浄する高圧水洗浄段階S100と、;
前記コンベアリターンベルト下方で前記粉粒体を含む洗浄水の濁水を受け、流下する前記濁水を貯留し、原水含有物を原水タンクで沈殿させる原水タンク沈殿段階S200と、;
前記原水タンクと管路によって流体連通され、前記原水タンク内の原水を受入れ、前記原水を濾過するフィルタを有する浄水化ユニットで前記原水を浄水化し、合わせて、前記原水を前記フィルタの濾過表面に対して、洗浄流体として噴射し、前記フィルタの濾過表面に蓄積される付着物を浄水化ユニット底部に落下させ前記浄水化ユニット底部でスラリーを生成させる浄水化段階S300と、;
前記浄水化ユニットの浄水を受入れ、フィルタユニットで清水化する清水化段階S400と、;
前記フィルタユニットで濾過された清水を前記洗浄水高圧噴射ノズルへ還流する洗浄水還流段階S500と、;
前記浄水化ユニット底部に配設されているスラリー出口からこれと接続されているスラリー管路によって、前記浄水化段階S300で生成された前記浄水化ユニットの容器の底部の前記スラリーを前記原水タンクへの容器下部に戻す、スラリー移送段階S600段階と、;
前記原水タンクの底部に配設されている高濃度スラリー出口と、これと接続されている高濃度スラリー管路によってスラリー脱水乾燥手段へ、前記原水タンクに沈殿されている高濃度スラリーを圧送する高濃度スラリー圧送段階S700と、;
前記高濃度スラリーを前記スラリー脱水乾燥手段によって脱水乾燥するスラリー脱水乾燥段階S800と、;
前記スラリー脱水乾燥手段から中継コンベア上方へ脱水乾燥ケークの通路を用い中継コンベア上方へ脱水乾燥ケークを搬送する脱水ケーク搬送段階S900と、そして、;
前記スラリー脱水乾燥手段から前記原水タンクと接続されている管路によって前記原水タンクへ濾液を還流する脱水濾液還流段階S1000と、
を含むコンベアリターンベルトの洗浄方法。
【請求項8】
請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いる請求項7記載のコンベアリターンベルトの洗浄方法。
【請求項9】
外部からは前記スラリー脱水乾燥手段で失う水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで持続可能である請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置
【請求項10】
外部からは前記スラリー脱水乾燥手段で失う水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで持続可能である請求項5又は7又は8記載のコンベアリターンベルトの洗浄方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ベルトコンベア輸送において、土砂、石炭、鉱石などによって汚れたベルト面を洗浄する装置に関し、洗浄水の再使用、洗浄水スラリーの回収とスラリーの脱水ケーク乾燥後の粉粒体の搬送ベルトコンベアへの戻し入れにより、持続可能性のあるベルトコンベアの洗浄装置を提供する。
【背景技術】
【0002】
土砂、石炭、鉱石などの粉粒体や粒状物をベルトコンベアで搬送するとき、ベルトコンベアの排出側でベルトコンベアに付着する搬送物を除去する必要がある。ベルト面に付着した異物、砂、泥がベルトを支持、搬送する駆動部品に噛み込み、傷、研摩、ベアリング損焼など故障の原因となったり、長大トンネルおよび鉱山トンネルでの土砂搬送では、坑外で土砂排出後、リターンベルトの坑内への搬送時に、コンベアベルトに付着した泥がキャリア等の摩擦熱で乾燥し大量の粉塵を発生させ、坑内環境を劣悪にする問題が生じたり、あるいは、石炭、コークスの搬送では、乾燥したダストによる発火、粉塵爆発など災害が生ずる危険が生じたりするからである。
【0003】
そのために、ベルトコンベア輸送において、土砂、石炭、鉱石を搬送する際には、土砂、石炭、鉱石などによって汚れたベルト面の洗浄を目的に「ベルトクリーナ」という掻き取り装置がしばしば装着される。例えば、非特許文献1には、ベルトクリーナの一例が記載されている。掻き取り装置は、ベルトコンベアの表面及び裏面の洗浄対象面にスクレーパ等の掻取チップを摺動させ、物理的な作用により土砂、石炭、鉱石等の粉粒体又はこれらの泥状の水和物を掻き取る方式により、ベルト面に付着した異物、砂、泥を下方に落下させ、ベルト面を洗浄する。ところが、この掻き取る方式のみでは、掻取チップの摩耗により不陸が生じ、完全なクリーニングが出来ないという問題が発生する。
【0004】
さらに、より清浄にしたい場合は、掻き取り洗浄/ブラシ洗浄等の接触型洗浄方式に加えて、水洗方式も併用されている。水洗方式洗浄では、洗浄水の後処理が必要となり、化学的処理手段によれば、洗浄水は受皿に受けられたのち、集水槽に回収され、浄化剤の添加により浄化処理され、その場合には浄化剤の消費量も洗浄水使用に比例し、洗浄水の使用量に応じて添加剤コスト増を招く(特許文献1の図1の説明より)。このために『無駄な洗浄水の使用を省くと共に、洗浄水の浄化処理に要するコストを低減させる』(同段落0002、6行目〜)という課題が認識され、ベルトコンベアに粉粒体がないときには、洗浄が停止され、洗浄水の無駄な使用を避ける機構も課題の一解決手段であった(同段落0004、5行目〜)。
【0005】
特許文献2は『石炭などのばら物を輸送するベルトコンベアの乗継部に設けられる散水洗浄装置に関する』(特許文献2の段落0001)。従来、洗浄水はSS(浮遊物質量)が5000ppm程度で排水処理され、凝集剤を多量に必要とし、脱水されたスラッジの輸送費がかさむなど、多大のランニングコスト、排水処理装置の負荷の課題があったことが認識され(同、段落0004)、洗浄水を排水処理するよりもむしろ他用途として『シュート散水シャワ2に使用』(特許文献2の段落0011)して排水処理対象を減ずるアプローチを取る(特許文献2の図1)。そして、排水処理量の削減により、排水処理装置の負荷削減、スラッジ処理の運搬費の削減等のランニングコストを低減させ、きれいな水を節水することができポンプの負荷も減少させるという効果を得ると記載される(同、段落0011)。
【0006】
一方、ベルトコンベアの定期的な洗浄に高圧水洗浄を使用する場合、高圧水に用いる、例えば、プランジャポンプには、濁度、固形分の濃度が1mg/L以下の高度な浄化水レベルが要求される。特許文献2は、段落0002で『従来のコンベア乗継部の散水洗浄装置において、洗浄水はSS(浮遊物質量)が5000ppm程度』であること、『シュート散水には従来SSが300ppm程度の回収水を使用している』(特許文献2の段落0004)と記載する。その『洗浄シャワ』(特許文献2の請求項1)を用い、排水の浮遊物質量濃度が1mg/L以下にまで浄水化して水を再使用する点に纏わる課題は認識されていない。『洗浄水をかけた後さらにスクレーパ11bにより湿った付着物を掻き落としている』(特許文献2、段落0003)ことから、特許文献2に記載のような従来技術による水洗と洗浄水の再使用システムでは、低水圧洗浄が用いられていたと解するのが相当である。
【0007】
高圧水洗浄は、ベルトコンベアの定期洗浄に用いられるものとして有効であっても、特に、トンネル内のような閉塞された構内での定常的な洗浄に用いるには、大量の上水の配水と洗浄濁水の回収が必要であり、水コストが高くなるという問題がある。 高圧水洗浄に洗浄濁水の浄化水を使用しようとしても、高圧水洗浄に使用する水には、濁度:1mg/L(ここでは、泥、粉炭等の固体物の含有率を濁度の単位として用いる)という高度な浄化度レベルが要求され、現実に再使用されることは難しかった。
【0008】
こうして、水洗方式では大量の濁水が発生するため、この方式ではなく、溜水循環方式や小水量で行うブラシ洗浄による場合が多いことが理解される。ノズル洗浄の場合には、実用化できる浄水の濁度(泥、粉炭等の固体物の含有率)との関係で、濁水を含む水噴射流によってベルトが摩耗するリスクを避ける必要がある。それ故に高圧水洗浄では、排水の浄化水は再使用できず、低圧力(0.3〜0.5MPa)水噴射条件によるのが一般的であった。結果として、低圧力のため洗浄力が弱くベルトコンベアのクリーニングが不完全である。低圧洗浄では、特許文献2のとおり『洗浄水をかけた後さらにスクレーパ11bにより湿った付着物を掻き落』とする手段も必要だったのであるが、それでも付着物が完全に除去できるものでない。
【0009】
こうして、高圧洗浄水の常時使用による強力な噴射水のベルトへの衝突は、付着物が完全に除去できるという有利な点を提供するとしても、ベルトの摩耗という問題を顕在化させ、排水の再使用では、固形分の濃度が1mg/L以下の高度な清浄度レベルが要求されるという課題を認識させ、高圧洗浄水の常時使用に纏わるこれらの課題は、特許文献1及び2では認識もされず、示唆もされていなかったことが理解される。
【0010】
1mg/L以下の高度の清浄度の必要性は、高圧プランジャーポンプへのダメージ防止とベルトの摩耗を防止するためのみならず、そもそも清浄度が低い洗浄水によるコンベアベルト表面への粉塵付着を抑えるためでもある(後者の点は、高圧洗浄/低圧洗浄に関わらない)。前者から要求される1mg/L以下の洗浄水の清浄度は、後者の必要性を満たすことは以下の測定例から推定された。
1000mg/Lの洗浄水の濁度によるコンベアに残留する粉塵量を以下の要領で測定した。
(1)1000mg/Lの濁度でコンベアベルト(新品)を均等に濡らす。
(2)当該コンべアベルトを垂直に立て自然乾燥する。
(3)乾燥した表面の粉塵を刷毛で丁寧に回収し精密上皿天秤で質量を計測する。
上記(1)〜(3)の手順を3回行い付着粉塵量を測定すると、平均で140mg/m2であった。安全側にみてコンベアに残留する粉塵がすべて大気に浮遊するとすれば、実機ベースでの毎分当たりの粉塵発生量は、
毎分当たりの粉塵発生量 = コンベア速度×コンベア幅×粉塵付着量
と見積られる。実機稼働条件に相当する、コンベア速度200m/分、コンベア幅1.2mという数値を用い、毎分発生する濡れ面積に粉塵付着量を140mgを乗じて、毎分当たりの粉塵発生量を推定すれば、以下を得る。
毎分当たりの粉塵発生量 =200m x 1.2m x 140mg/m2/分
=33600mg/分
次に、空気中の粉塵濃度をトンネル内の換気量を3000m3として、次式で見積もる。
空気中の粉塵濃度 =33600(mg/分)/3000(m3
=11.2mg/m3
ここで、鉱物性粉塵の大気中の濃度の安全許容値は0.15mg/m3 である。
すなわち、洗浄水の濁度が1000mg/Lの場合、大気中の粉塵濃度は11.2mg/m3となり、安全許容値0.15mg/m3の75倍である。従来の凝集剤による300ppm程度の浄化レベルから少なくとも1桁洗浄度を向上させる必要があることは明らかである。安全許容値に対する余裕度を1桁みても、洗浄水の濁度(粉塵濃度)を1mg/Lとすれば、トンネル内で使用される場合でも安全衛生上十分である。
【0011】
次に、洗浄水から搬送粉粒体を回収する従来技術には、石炭粉の洗浄において、洗浄水は回収ホッパから洗浄水を、凝集攪拌槽、凝集沈澱槽、スラッジ脱水装置等から構成される排水処理装置に送り、スラッジは脱水されて貯炭場に送られ、排水処理水は再使用される(特許文献2の図4及び段落0003)というものがある。この従来技術では、濁水集水後、凝集攪拌槽、凝集沈澱槽での処理を経過後、スラッジ脱水をするに止まり、元の粉粒体を直接、搬送コンベアに戻すには至らず、別途、脱水スラッジの搬送手段及び最終処分処理を必要とする。凝集沈澱ではなく、濾過フィルタを使用して濁水を浄水に再生する構成では、フィルタの表面が目詰まりし、その洗浄を行うか、あるいはフィルタユニットを交換する必要もあり、その間の作業時間によってはコンベアの洗浄は停止せざるを得ない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2001−5871
【特許文献2】特開平9−255131
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】http://www.nodatec.co.jp/pg190.html 「NODTEC社,ホームページ:ベルトクリーナとは」
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
本発明は、高い清浄度を提供可能な高圧洗浄を常時ベルトコンベア乗り継ぎ部へ適用可能とし、かつ、洗浄水を再使用可能とし、かつ、濁水から粉粒体をほぼ回収し元のベルトコンベアに戻す、散逸するのは乾燥過程の蒸気にすぎず、外部からは蒸発を補う補給水と運転電力を供給するだけ済む、持続可能性のある、ベルトコンベア乗り継ぎ部のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法を提供する。
【0015】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、高圧水洗浄に洗浄水を高圧水洗浄としても再使用可能とし、水の外界からの補給量を最小限に、上水の消費及び洗浄濁水の処理に関し、持続可能性のある、コンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法とするべきである。
【0016】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、粉塵発生を防止するだけでなく、ベルトコンベアに付着する搬送粉粒体をほぼ完全に回収し、元のベルトコンベア搬送系に戻すことが可能であり、別途、粉粒体の処分を必要としない、持続可能性のある、コンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法とするべきである。
【0017】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、水を粉粒体の洗浄に使用して、洗浄水の泥水や濁水が大量に発生しても、これら濁水の集水、濁水の浄水化処理を経て、濁水は所定の清浄度の高いレベルの洗浄水として水濾過再生され、高圧水洗浄でも再使用可能であって、トンネル内等の閉じた空間のコンベア搬送の場合に大量濁水のその他の後処分処理の発生を防止可能な、持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法とするべきである。
【0018】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、ベルトコンベア洗浄排水をシュート散水のように他の用途に使用するのではなく、洗浄水として再生し循環再使用可能とし、水の利用に関して、持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法である。補給水が必要とされても、従来の水洗方式よりも少量の補給水の供給で済むコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法である。
【0019】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥はほぼ除去されてベルトコンベアの故障リスクが大幅に低減し、坑内の粉塵発生が無く快適な環境を保全し、粉塵による発火、爆発のリスクが極小化されるべきである。高圧水洗浄に使用可能な所定の清浄度レベルに濁水を浄水化するために、水濾過フィルタを使用可能とし、水濾過フィルタの濾過表面に付着物が蓄積しても、フィルタ性能を回復可能な手段を備え、持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置、及び、フィルタ性能を回復可能な手段を用い、持続可能性のあるコンベアリターンベルトの洗浄方法を提供すべきである。
【0020】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、再使用可能に洗浄水を浄水化する過程で発生するスラリーから元の粉状物を脱水及び乾燥手段によって回収可能とされ、濁水に含まれる粉粒体を実質的に回収し、後続のコンベアで搬送を続け、外部からは乾燥時の水の蒸発を補う補給水と運転電力を供給するのみで足り、かつ、別途のスラッジ・スラリー等の専用の搬送機構を必要としない、設置にも、ランニングにも低コスト、かつ、持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法を実現すべきである。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この課題を解決した本発明は以下のとおりである。
[請求項1記載の発明]
搬送コンベア上の粉粒体が付着したコンベアリターンベルトを水洗により洗浄するコンベアリターンベルト洗浄装置であって、以下のコンポーネント:
洗浄水高圧噴射ノズルと、;
前記コンベアリターンベルト下方に配置されて前記粉粒体を含む洗浄水の濁水を受ける水受部材と、;
前記水受部材と接続されている管路によって流体連通し、前記水受部材に流下する洗浄濁水を貯留可能である原水タンクと、;
前記原水タンクと接続されている管路によって流体連通し、前記原水タンク内の原水を浄水化可能な浄水化ユニットと、;
前記浄水化ユニットと接続されている管路によって流体連通し、前記浄水化ユニットで浄水化された浄水を貯留し清水化可能なフィルタユニットと、;
前記フィルタユニットで濾過された清水を前記洗浄水高圧噴射ノズルへ還流可能な管路によって流体連通している洗浄水還流水路と、;
前記浄水化ユニット底部に配設されているスラリー出口と流体連通されているスラリー管路と、;
前記原水タンクの底部に配設されている高濃度スラリー出口と接続されている高濃度スラリー管路によって流体連通されているスラリー脱水乾燥手段と、;
前記スラリー脱水乾燥手段から前記原水タンクと接続されている管路によって流体連通される濾液還流路と、そして;
前記スラリー脱水乾燥手段から中継コンベア上方へ流体連通している、脱水ケークの通路と、
を含むコンベアリターンベルト洗浄装置。
【0022】
[発明の作用効果]
本発明は、洗浄水高圧噴射ノズルによる洗浄によって高い清浄度を提供可能であり、高圧洗浄をコンベア運転中常時ベルトコンベア乗り継ぎ部へ適用可能とする、ベルトコンベア乗り継ぎ部のコンベアリターンベルト洗浄装置を提供する。洗浄水高圧噴射ノズルによる高圧洗浄方法は、低圧洗浄より洗浄に効率的で水量も少なくできるという効果が得られる。
【0023】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置は、高圧水洗浄に洗浄水を再使用可能とするシステム機構を構成し、外部から新規に供給する水の使用コストが激減するという効果が得られる。濁水を本コンベアリターンベルト洗浄装置内でクローズ処理するため、既設の濁水処理装置の増設も不要であり、また、補給水も少なくて済むという効果がある。
【0024】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置は、高圧水洗浄で洗浄水を使用し、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥をほぼ除去し、その処理液に粉粒体を含み、粉塵発生対策に有効である。
【0025】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置は、水を粉粒体の洗浄に使用して、濁水が大量に発生しても、濁水の集水、濁水の浄水化処理を洗浄水使用後の後処理として構成し、濁水は再使用され、たとえ、トンネル内等の閉じた空間であっても、大量濁水の発生は、問題とならない。
【0026】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置は、ベルトコンベア洗浄排水をシュート散水のように他の用途に使用するのではなく、再度洗浄水を循環再使用し、補給水が必要とされても、少量の補給水の供給で済むという意味で持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置である。
【0027】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置は、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥をほぼ除去するのでベルトコンベアの故障リスクが大幅に低減するし、坑内の粉塵発生を防止し、快適な環境を保全し、粉塵による発火、爆発のリスクが極小化できるという効果が得られる。
【0028】
水濾過装置とスラリー脱水乾燥手段を結合するシステムによって、高圧ノズル洗浄によって発生する濁水を清水化し再使用する。一方で、残渣スラリーを濾液分離後、脱水排出し、この排水も原水タンクへ回収され、水の逸失は蒸発による大気への散逸に絞られ、水利用効率が高いという効果が得られる。
【0029】
脱水ケークは、スラリーポンプまたはエアー搬送によりスラリー脱水乾燥手段から中継コンベア上方へ流体連通している通路を経て、中継コンベア上に戻され元通りコンベア搬送される。追加で脱水ケーク専用の搬送機構を要しないという設備効果が得られ、システム装置の総合製造費用、設置費用の低減化がはかれるという効果が得られる。
【0030】
[請求項2記載の発明]
前記フィルタユニットで濾過された前記清水は、浮遊物質の含有濃度が1mg/L以下である請求項1記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【0031】
[発明の作用効果]
浮遊物質量濃度が1mg/L以下であれば、高圧ポンプの運転にも支障はなく、噴射水によるベルト損耗リスクが十分に低減されているという効果が得られる。
【0032】
[請求項3記載の発明]
前記洗浄水高圧噴射ノズルがノズル圧力8〜11MPaの範囲内の高圧水ノズルであって、所定の流量で前記ノズル圧力を供給可能である高圧ポンプを含む請求項1又は2記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【0033】
[発明の作用効果]
ノズル圧力8〜11MPaの範囲であれば、ベルト損耗リスク、高圧力ポンプの経済性確保をしつつ必要な洗浄力の確保に好適である。
【0034】
[請求項4記載の発明]
前記浄水化ユニットは、水濾過容器を含み、前記水濾過容器内に以下のコンポーネント:
水濾過フィルタと、;
前記水濾過フィルタに対向して配設されるフィルタ洗浄ノズルと、;
前記水濾過容器底部に配設されるスラリー出口と、;
を含み、前記フィルタ洗浄ノズルからの洗浄液噴射によって洗い落されたフィルタ表面の付着物は前記スラリー出口から前記原水とともにスラリーとして排出可能であり、かつ、前記スラリー出口と流体連通されている前記スラリー管路を通じて前記原水タンクへ移送可能である前記請求項1〜3いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置。
【0035】
[発明の作用効果]
水濾過装置とスラリー脱水乾燥手段を結合するシステムによって、高圧ノズル洗浄によって発生する濁水を清水化し再使用する一方で、浄水化ユニットで発生する膜付着物は洗浄ノズルでフィルタ濾過膜表面から脱落させられ、スラリーとして容器底部から排出され、原水タンクを経由して、スラリー脱水乾燥手段へ送られる。フィルタ濾過膜表面の膜付着物はフィルタを交換する必要もなく、フィルタ濾過膜表面から落とされ、フィルタの手入れで、コンベアリターンベルト洗浄装置を保守停止する必要もなく、フィルタの長期間連続使用を可能とする点でも持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置を提供する。スラリー脱水乾燥手段でスラリーを固液分離後、水分を脱水排出し、この排水も原水タンクへ戻され回収され、水の逸失は蒸発による大気への散逸に絞られ、水再使用率が高いという効果が得られ、持続可能性も増している。
【0036】
[請求項5記載の発明]
請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いるコンベアリターンベルトの高圧水洗浄方法であって、コンベア速度が毎分160m〜200mの範囲では、以下の前記洗浄水高圧噴射ノズルの噴射条件:
ノズル圧力 8〜11MPa、 ;
1ノズルあたりのノズル水量 20〜23L/min、;
ノズル距離 200〜400mm、;
ノズル角度 50〜60°、そして;
1ノズルあたりの洗浄幅 220mm〜250mm、 ;
を含む噴射条件によって高圧水洗するコンベアリターンベルトの高圧洗浄方法。
【0037】
[発明の作用効果]
上記の洗浄水高圧噴射ノズルの噴射条件であれば、ベルト損耗リスク、高圧力ポンプの経済性確保をしつつ必要な洗浄力の確保に好適である。
【0038】
[請求項6記載の発明]
洗浄後のコンベア表面のレーザー・カメラ画像を取得して、コンベア表面に生じた微小裂傷を検査する請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いるコンベアの予防保全方法。
【0039】
[発明の作用効果]
高圧水ノズルによる洗浄によってベルトに付着した異物、砂、泥をほぼ除去するので、表面の泥汚損により発見精度のこれら付着物による低下があまりなく、ベルト表面の微小裂傷の発見精度が高まり予防保全に寄与するという効果が得られる。
【0040】
[請求項7記載の発明]
搬送コンベア上の粉粒体が付着したコンベアリターンベルトを水洗により洗浄するコンベアリターンベルトの洗浄方法であって、以下の:
洗浄水高圧噴射ノズルによってコンベアリターンベルトを高圧水洗浄する高圧水洗浄段階S100と、;
前記コンベアリターンベルト下方で前記粉粒体を含む洗浄水の濁水を受け、流下する前記濁水を貯留し、原水含有物を原水タンクで沈殿させる原水タンク沈殿段階S200と、;
前記原水タンクと管路によって流体連通され、前記原水タンク内の原水を受入れ、前記原水を濾過するフィルタを有する浄水化ユニットで前記原水を浄水化し、合わせて、前記原水を前記フィルタの濾過表面に対して、洗浄流体として噴射し、前記フィルタの濾過表面に蓄積される付着物を浄水化ユニット底部に落下させ前記浄水化ユニット底部でスラリーを生成させる浄水化段階S300と、;
前記浄水化ユニットの浄水を受入れ、フィルタユニットで清水化する清水化段階S400と、;
前記フィルタユニットで濾過された清水を前記洗浄水高圧噴射ノズルへ還流する洗浄水還流段階S500と、;
前記浄水化ユニット底部に配設されているスラリー出口からこれと接続されているスラリー管路によって、前記浄水化段階S300で生成された前記浄水化ユニットの容器の底部の前記スラリーを前記原水タンクへの容器下部に戻す、スラリー移送段階S600段階と、;
前記原水タンクの底部に配設されている高濃度スラリー出口と、これと接続されている高濃度スラリー管路によってスラリー脱水乾燥手段へ、前記原水タンクに沈殿されている高濃度スラリーを圧送する高濃度スラリー圧送段階S700と、;
前記高濃度スラリーを前記スラリー脱水乾燥手段によって脱水乾燥するスラリー脱水乾燥段階S800と、;
前記スラリー脱水乾燥手段から中継コンベア上方へ脱水乾燥ケークの通路を用い中継コンベア上方へ脱水乾燥ケークを搬送する脱水ケーク搬送段階S900と、そして、;
前記スラリー脱水乾燥手段から前記原水タンクと接続されている管路によって前記原水タンクへ濾液を還流する脱水濾液還流段階S1000と、
を含むコンベアリターンベルトの洗浄方法。
【0041】
[発明の作用効果]
本発明のコンベアリターンベルトの洗浄方法は、ベルトコンベア洗浄排水をシュート散水のように他の用途に使用するのではなく、再度洗浄水を循環再使用し、水の利用に関して、持続可能性のあるコンベアリターンベルト洗浄装置である。補給水が必要とされても、少量の補給水の供給で済むという意味での持続可能性のあるコンベアリターンベルトの洗浄方法である。
【0042】
本発明のコンベアリターンベルトの洗浄方法は、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥をほぼ除去するのでベルトコンベアの故障リスクが大幅に低減するし、坑内の粉塵発生を防止し、快適な環境を保全し、粉塵による発火、爆発のリスクが極小化できるという効果が得られる。
【0043】
水濾過装置とスラリー脱水乾燥手段を結合するコンベアリターンベルトの洗浄方法によって、高圧ノズル洗浄によって発生する濁水を清水化し再使用する。一方で、残渣スラリーを濾液分離後、脱水排出し、この排水も原水タンクへ回収され、水の逸失は蒸発による大気への散逸に絞られ、水利用効率が高いという効果が得られる。
【0044】
[請求項8記載の発明]
請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置を用いる請求項7記載のコンベアリターンベルトの洗浄方法。
【0045】
[請求項9記載の発明]
外部からは前記スラリー脱水乾燥手段で失う水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで持続可能である請求項1〜4いずれか1項記載のコンベアリターンベルト洗浄装置
【0046】
[発明の作用効果]
水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで実質的に持続可能であるという効果が得られる。
【0047】
[請求項10記載の発明]
外部からは前記スラリー脱水乾燥手段で失う水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで持続可能である請求項5又は7又は8記載のコンベアリターンベルトの洗浄方法
【0048】
[発明の作用効果]
水蒸気の補給及び運転電力の供給のみで実質的に持続可能であるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
図1】本発明の一実施の形態が適用されるコンベアリターンベルト洗浄装置1の全体系統図である。
図2】本発明の一実施の形態が適用されるコンベアリターンベルト洗浄装置1の搬送コンベアと中継コンベアの関係を示す側面概要模式図である。
図3】本発明の他の実施態様である、図1及び図2で示されるコンベアリターンベルト洗浄装置1を使用するコンベアリターンベルト洗浄方法の各ステップ段階を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
以下に、本発明の実施形態によるコンベアリターンベルト洗浄装置1について図1及び図2を用い説明する。図1は、同実施の形態による本発明の一実施の形態が適用されるコンベアリターンベルト洗浄装置1の主要部の系統図であり、構成コンポーネント機器の容器内部も部分的に示す模式図である。図2は搬送コンベア(以下で一次コンベアともいう)とこれと連携する中継コンベア及び本発明に係るコンベアリターンベルト洗浄装置1の関係を示す概要側面模式図である。
【0051】
一実施形態では、本発明に係るコンベアリターンベルト洗浄装置1は、搬送コンベア(以下で一次コンベアともいう)2上の粉粒体4が付着したコンベアリターンベルト9を水洗により洗浄するコンベアリターンベルト洗浄装置1であって、以下の各コンポーネント:洗浄水高圧噴射ノズル;水受部材;原水タンク;浄水化ユニット;フィルタユニット;スラリー脱水乾燥手段;洗浄水還流水路;スラリー管路;濾液還流路;そして、脱水ケークの通路を構成要素とするコンベアリターンベルト洗浄装置である。すなわち、搬送コンベア上の粉粒体が付着したコンベアリターンベルトを水洗により洗浄するコンベアリターンベルト洗浄装置であって、以下のコンポーネント:
洗浄水高圧噴射ノズル11と、;
前記コンベアリターンベルト9下方に配置されて前記粉粒体4を含む洗浄水の濁水を受ける水受部材15と、;
前記水受部材15と接続されている管路39によって流体連通し、前記水受部材15に流下する前記濁水を貯留可能である原水タンク50と、;
前記原水タンク50と接続されている管路90によって流体連通し、前記原水タンク50内の原水を浄水化可能な浄水化ユニット100及び101と、;
前記浄水化ユニット100及び101と接続されている管路190によって流体連通し、前記浄水化ユニット100及び101で浄水化された浄水を貯留し清水化可能なフィルタユニット201と、;
前記フィルタユニット201で濾過された清水を前記洗浄水高圧噴射ノズル11へ還流可能な管路によって流体連通している洗浄水還流水路250と、;
前記原水タンク50と前記浄水化ユニット100及び101の底部に配設されているスラリー出口113と流体連通されているスラリー管路154と、;
前記原水タンク50の底部に配設されている高濃度スラリー出口63と接続されている高濃度スラリー管路204によって流体連通されているスラリー脱水乾燥手段400と、;
前記スラリー脱水乾燥手段400から前記原水タンク50と接続されている管路によって流体連通される濾液還流路470と、そして;
前記スラリー脱水乾燥手段400から中継コンベア3上方へ流体連通している、脱水ケークの通路304と、
を含むコンベアリターンベルト洗浄装置1である。
以下でコンベアリターンベルト洗浄装置1の各コンポーネント構成要素について詳述する。
【0052】
<洗浄水高圧噴射ノズル11>
本実施形態では、コンベアリターンベルト洗浄装置1は、搬送コンベア(一次コンベア)2上の粉粒体4が付着したコンベアリターンベルト9の下方に洗浄水高圧噴射ノズル11を備える。洗浄水高圧噴射ノズル11からは洗浄水が噴射され、コンベアリターンベルト9に付着した水がほぼ洗い落とされる構成となっている。洗浄水高圧噴射ノズル11は、1ノズルあたりの洗浄幅を220mm〜250mmの範囲にベルトの幅方向にほぼ等間隔に配置され、コンベア速度が毎分160m〜200mの範囲の場合には、コンベアリターンベルト9と洗浄水高圧噴射ノズル11とのノズル距離は、200〜400mmの範囲に、ノズルの噴射中心角θを50〜60°の位置に配設されている。
【0053】
上記の洗浄水高圧噴射ノズル11の構成及び配置、ノズル圧力8〜11MPa、1ノズルあたりのノズル水量20〜23L/minの噴射条件によれば、高圧水洗可能とされる洗浄水高圧噴射ノズル11によって、コンベアリターンベルト9の高圧洗浄能力が高く発揮され、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥がほぼ除去されるという、高い洗浄効果を得ることができる。
【0054】
<水受部材15>
本実施形態では、ベルトに付着した異物、砂、泥が含まれる濁水は、水受部材15に受けられ、水受部材15下端に設けられている濁水出口33は管路39によってより下方に配設されている原水タンク50に流体連通されている。濁水は、管路39を流下し原水タンクの入口61から原水タンク容器51内へ流入可能となっている。
<原水タンク50>
本実施形態では、原水タンク50は水受部材15の下方に配設され、水受部材15の上面と管路39によって流体連通されている。濁水は、水受部材15の下部の濁水出口33から下方に流下され、水受部材15と流体連通し、濁水を貯留可能である原水タンク50の上部に設けられている濁水入口61から原水タンク50に流入可能であり、原水タンク容器51内では、濁水は内部旋回流で撹拌されつつ、異物、砂、泥は、原水タンク容器51内中央部に設けられている邪魔板の下方へ沈殿し原水タンク容器51内の底部でスラリーを沈殿生成可能となっている原水タンク容器51の上部には、出口ポンプ62が設置され、浄水化ユニット100,101へ向けて、原水は、原水タンク上澄み水が、出口ポンプ62によって汲み上げられ、前記原水タンク50と管路90によって流体連通している浄水化ユニット100の原水入口120から弁119の開閉制御機構を通って、浄水化ユニット100内へ投入可能とされている。
【0055】
<浄水化ユニット>
本実施形態では、浄水化ユニットは、一つ一つが同じ水濾過機構のもので本実施形態では二つの浄水化ユニット100,101を構成に含む。その浄水化ユニット水濾過容器111(以下で符号は浄水化ユニット100について記載するが、浄水化ユニット101についても同様である)内に設けられ、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタ110は、原水は所定の浄水のレベルに水濾過可能となっている。浄水化ユニット水濾過容器111の内面とフィルタ110の外面との間に原水が供給され、外面から内面に原水が透過し濾過可能である。所定の水準にされたフィルタ110内側に滞留される浄水は、浄水出口121から出口弁122を通り、フィルタユニット201と流体連通する管路190からフィルタユニット201の入口220へポンプ240によって圧送可能とされ、浄水はフィルタユニット201へ投入/貯留される。
【0056】
本実施形態では、浄水化ユニット100の水濾過容器111内には、原水をフィルタ110の濾過表面に対して、洗浄流体として原水を吹き付ける噴射ノズル118が設けられており、濾過表面に蓄積される付着物は、噴射ノズル118から噴射される原水によって洗浄可能とされている。噴射ノズル118からの原水の噴射によって、濾過表面に蓄積される付着物膜は下方に落下可能とされている。浄水化ユニット100,101の水濾過容器111の頂部には、水濾過容器111に回転自在に垂下されている筒形のフィルタ110の中心軸に結合されているモータ130が配設されており、噴射ノズル118からの洗浄流体の吹き付け範囲を濾過表面が通過するように、フィルタ110は水濾過容器111内で回転可能とされており、フィルタ110は所定の回転速度で水濾過容器111内を回転可能である。このようにして、常時、随時又は適時に水濾過容器111内に設けられている噴射ノズル118によって、フィルタ110の濾過表面に蓄積される膜状の付着物が洗浄され、浄水化ユニット100,101の水濾過容器111下部に落下、蓄積される。
【0057】
<フィルタユニット201>
本実施形態では、フィルタユニット201は、一又は複数の浄水化ユニット100,101と管路190によって流体連通され、浄水化ユニット100,101と同様に、一つ一つが水濾過容器211を含み、フィルタユニットの水濾過容器211内に設けられ、外面が濾過表面とされ、かつ内部に濾液通路を有するフィルタ210によって浮遊物質量濃度が1mg/L以下のレベルまで濾過可能とされている。本実施形態では、すでに浄水化ユニット100,101で原水から浄水レベルと洗浄され、さらに、フィルタユニット201で清水化され、浮遊物質量濃度が1mg/L以下のレベルに清水化される。ここで清水と表現するのは、浄水化ユニット100,101での清浄度合いをさらに上げているという意味であり、浄水化ユニット100とフィルタユニット201との相対的な清浄度レベルを示し、一実施形態では、フィルタユニット201の出口水について浮遊物質量濃度が1mg/L以下のレベルである。
【0058】
<洗浄水還流水路250>
本実施形態では、洗浄水の還流水路250は、フィルタユニット201中央部から清水出口231から高圧ポンプ260を介して洗浄水高圧噴射ノズル11へ流体連通されている。元々濁水として流下していた濁水に含まれていた水は、高圧ポンプ260のインバータ261によって圧送調整可能とされ、洗浄水高圧噴射ノズル11で洗浄水として再使用される。洗浄水還流水路250は水受部15を貫通し、各々の洗浄水高圧噴射ノズル11に接続され、フィルタユニット201で清水化された清水を洗浄水として各洗浄水高圧噴射ノズル11へ供給可能とされている。
【0059】
<スラリー管路154>
本実施形態では、スラリー管路154は、原水タンク50と浄水化ユニット100,101の底部に配設されているスラリー出口113とを流体連通し、浄水化ユニット100の底部に落下された付着物をスラリーとして排出し、原水タンク容器51の下部へ移送可能とする。原水と付着物の混合物は、浄水化ユニット100の底部でスラリーを形成し、水濾過容器111下部に設けられているスラリー出口113からスラリーとして排出される。
【0060】
<スラリー脱水乾燥手段400>
本実施形態では、原水タンク50で沈殿され、原水タンク50の沈殿物スラリーとして、浄水化ユニット100,101から移送されたスラリーも混合され、沈殿後、濃度が増した高濃度スラリーは、原水タンク下部のスラリー出口63から排出され、スラリー脱水乾燥手段400に投入可能である。スラリー脱水乾燥手段400は脱水機能と乾燥機能を含むが、脱水機能と乾燥機能は個別の匡体を持つものでもよい。本実施形態のように両機能が一体であれば、脱水機能/乾燥機能と個別の匡体間を連通して脱水ケークを移送する構造も不要で、設置スペースも小さくできる利点がある。本実施形態では、スラリー脱水乾燥手段400は脱水機能と乾燥機能を合わせ持つスラリー脱水乾燥装置400を一つのコンポーネントとして構成する。スラリー脱水乾燥装置400は、脱水乾燥容器411と、前記脱水乾燥容器411内に設けられ、壁面に透過孔が形成され、内部に濾液通路が形成された筒形体410と、 前記筒形体410の壁面の外側に形成された親水性の濾過膜(図示しない)と、前記濾過膜の裏面(図示しない)と前記筒形体の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)と、前記加熱気体通路に加熱気体を供給する加熱気体供給手段413と、を有し、供給した加熱気体によって濾過膜を裏面側から加熱可能とする構成とされる。
【0061】
加熱気体供給手段413には、ブロア495、熱源494を含み、加熱気体は加熱気体手段413内を通り、前記筒形体の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)を通り、上方へ抜け、加熱気体出口482から排気路483を通り、外気へ排出される。高濃度スラリーはスラリー入口420から脱水乾燥容器411内へ投入され、コンプレッサー493によって昇圧された脱水乾燥容器411内から筒形体410内へ高濃度スラリーは濾過される。
【0062】
前記筒形体410の壁面の外側に形成された親水性の濾過膜は、前記筒形体410の外壁面にジグザグ状に形成された複数の襞からなるプリーツフィルタであり、前記加熱気体通路が前記プリーツフィルタの襞内に形成されており(図示しない)、加熱されたプリーツフィルタは濾過膜に付着するケークを脱水乾燥する。濾液は、筒形体410の内部に形成された濾液通路(図示しない)を流下し、脱水乾燥容器411を貫通して筒形体410下部で接続されている加熱気体供給手段413と支持構造を共用する濾液排出管462により、脱水乾燥容器411外へ濾液排出管462から濾液還流路470へ排出される。
【0063】
<スラリー脱水濾液の還流路470>
本実施形態では、スラリー脱水濾液の還流路470は、前記スラリー脱水乾燥手段400と前記原水タンク50を流体連通し、スラリー脱水乾燥装置400から排出された濾液は、濾液還流路470と接続されている濾液入口71から原水タンク50へ還流可能とされる。水濾過装置である浄水化ユニット100,101によって高圧ノズル洗浄によって発生する濁水を浄水化し再使用する一方、スラリー脱水乾燥装置400によって、スラリーの濾過によって固液分離後排出された濾液を原水タンク50へ回収可能とし、回収濾液は再び浄水化ユニット100,101へ還流される。ここで、全体装置系からの水の逸失は蒸発による大気への散逸に絞られ、水利用効率が高いという効果が得られる。
【0064】
<粉粒体還流通路304>
本実施形態では、本発明は、前記スラリー脱水乾燥手段400により生成される脱水ケークの搬送機構である粉粒体還流通路304をさらに備え、前記粉粒体還流通路304は、スラリーポンプ301、又は、エアー搬送機構(図示しない)を含み、前記脱水ケークは中継コンベア3へ搬送可能である。この構成により、脱水ケークは、スラリーポンプ301またはエアー搬送(図示しない)により中継コンベア3上に排出可能となり、他に 脱水ケーク専用の特別な搬送機構を要しないという設備効果が得られ、コンベアリターンベルト洗浄装置1の総合製造費用、設置費用の低減化がはかれるという効果が得られる。
【0065】
上記機構を用いての上記のケークの脱水乾燥、濾液の還流は、より具体的には、以下の構成による。
濾液還流路470には、濾液排出管462との間の管路の開閉を可能とする濾液出口弁471が配設され、加熱気体供給手段413のブロア495及び熱源494側には温風入口弁412が配設され、高濃度スラリーが、原水タンク下部のスラリー出口63から排出され、スラリー脱水乾燥手段400に高濃度スラリーが入口420より投入される。このとき温風入口弁412は閉じられている。高濃度スラリーが脱水乾燥容器411内に満たされ、高濃度スラリーの濾過が開始される。筒形体410の外壁面にジグザグ状に形成された複数の襞からなるプリーツフィルタの表面濾過膜にケーク層が生成される。筒形体410内部に抽出された濾液は、開放されている濾液出口弁471を通り、濾液は脱水乾燥容器411外へ濾液排出管462から濾液還流路470を経て排出され、濾液入口71を通り、原水タンク50へ還流する。膜厚が所定の厚さに達したと判定後、脱水乾燥容器411内のスラリーを排出する。
次に脱水機能を作用させ、高濃度スラリー入口の弁、温風入口弁412は閉じたまま、コンプレッサー493により圧力管492から空気を送り込み、脱水乾燥容器411内の圧力を高め、脱水乾燥容器411内の液体は加圧排出される。前記筒形体410のプリーツフィルタケーク膜も加圧され、脱水される。
脱水後、加熱手段を作用させ、濾液出口弁471が閉じられ、温風入口弁412が開放され、ブロア495及び熱源494によって加熱気体が供給され、加熱気体が加熱気体供給管413内を通り、前記筒形体の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)を通り、上方へ抜け、加熱気体出口482から排気路483を通り、外気へ排出される間にプリーツフィルタ表面のケーク膜は乾燥され、そこで固化される。
乾燥後、温風入口弁412も閉じ、コンプレッサー493からエアパルスを発生させ、圧力の衝撃によって、固化ケーキを粉砕し、固化ケーキはフィルタ表面から払い落され、脱水乾燥容器411内底部に落下される。乾燥ケーク排出弁303が開放され、乾燥ケークは中継コンベア3へ、スラリーポンプ301、又は、エアー搬送機構(図示しない)を含む搬送機構304によって、搬送される。
【0066】
本実施形態によれば、本発明は、前記洗浄水高圧噴射ノズル11がノズル圧力8〜11MPaの範囲内の高圧水ノズル11であって、所定の流量で前記ノズル圧力を保ちつつ洗浄水の供給が可能である高圧ポンプ260を含む請求項1記載のコンベアリターンベルト洗浄装置1である。ノズル圧力8〜11MPaの範囲であれば、コンベアリターンベルト9の損耗リスク、高圧力ポンプ260の経済性確保に好適である。
【0067】
本実施形態では、コンベアリターンベルト洗浄装置1は、コンベア速度が160m〜200メートルの範囲では、以下の前記洗浄水高圧噴射ノズルの噴射条件:
ノズル圧力 8〜11MPa、 ;
1ノズルあたりのノズル水量 20〜23L/min、;
ノズル距離 200〜400mm、;
ノズル角度 θ 50〜60°、そして;
1ノズルあたりの洗浄幅 220mm〜250mm、 ;
を含む噴射条件によって高圧水洗すれば、コンベアリターンベルトの高圧洗浄能力がさらに発揮され、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥を完全に除去し、高い洗浄効果を得ることができると同時に、ベルトの摩耗を低減し、性能の劣化を防止する。水洗方式でも低圧洗浄と異なり、洗浄水をかけた後さらにスクレーパにより湿った付着物を掻き落とす必要もなく、ベルト後方に配置されるスクレーパ17は水切りスクレーパである。水洗方式によってベルトに付着した異物は完全に流され、粉塵発生対策に有効である。
【0068】
ここで、スクレーパ17の後方で洗浄後のコンベア表面のレーザー・カメラ画像を撮影して、コンベア表面の検査をすれば、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥を完全に除去されているから、コンベア表面に生じた微小裂傷が泥に隠蔽されることもなく、認識可能であり、コンベアの予防保全に有利である。
【0069】
図3には、本発明の他の実施態様として、コンベアリターンベルト洗浄方法の一実施形態を示す。この方法は、図1及び図2で示されるコンベアリターンベルト洗浄装置1を使用することも可能である。この場合において、コンベアリターンベルト洗浄装置1の構成及び機能については上述のとおりであり、以下で詳述する実施形態の説明では、本発明の方法の各段階の実施に使用する手段を参照する符号は、図1及び図2に記載する符号を参照している。コンベアリターンベルト洗浄方法の一実施形態であるコンベアリターンベルト洗浄方法S1は、高圧水洗浄段階S100、原水タンク沈殿段階S200,浄水化段階S300,清水化段階S400,洗浄水還流段階S500,スラリー移送段階S600,高濃度スラリー圧送段階S700,スラリー脱水乾燥段階S800,脱水ケーク搬送段階S900及び脱水濾液還流段階S1000を含む。
【0070】
[高圧水洗浄段階S100]
本実施形態で示される、コンベアリターンベルト洗浄方法S1は、最初の段階として、高圧水洗浄段階S100を含み、本段階では、搬送コンベア(一次コンベア)2上の粉粒体4が付着したコンベアリターンベルト9を下方から洗浄水高圧噴射ノズル11から噴射される水によって、ほぼ洗い落とす段階である。洗浄水高圧噴射ノズル11は、1ノズルあたりの洗浄幅を220mm〜250mmの範囲にベルトの幅方向にほぼ等間隔に、コンベア速度が160m〜200メートルの範囲で、コンベアリターンベルト9と洗浄水高圧噴射ノズル11とのノズル距離は、200〜400mmの範囲に、ノズルの噴射中心角θを50〜60°の位置に配置する洗浄水高圧噴射ノズル11の構成及び配置と、1ノズルあたりのノズル水量20〜23L/min及びノズル圧力8〜11MPaの噴射条件によって高圧水洗すれば、コンベアリターンベルト9の高圧洗浄能力が高く発揮され、高圧水洗浄により、ベルトに付着した異物、砂、泥をほぼ完全に除去されるという、より高い洗浄効果を得ることができる。
【0071】
[原水タンク沈殿段階S200]
本実施形態では、高圧水洗浄段階S100の段階の次段階として原水タンク沈殿段階S200を含む。高圧水洗浄段階S100で水洗され、ベルトに付着した異物、砂、泥を含む排水は、コンベアリターンベルト9の下方に設置されている水受部材15によって粉粒体4を含む濁水を受ける。
濁水は、水受部材15の下部の濁水出口33から下方に流下され、水受部材15と流体連通し、濁水を貯留可能である原水タンク50の上部に設けられている濁水入口61から原水タンク50に流入し、原水タンク50に集水され、貯留される。原水タンク50内では、濁水は内部旋回流80で撹拌されつつ、異物、砂、泥は邪魔板53で仕切られた下方へ沈殿し原水タンク容器51内の底部で沈殿物スラリーを形成する段階である。
【0072】
[浄水化段階S300]
本実施形態では、原水タンク沈殿段階S200段階の次段階として浄水化段階S300を含む。この段階で使用される浄水化ユニットは、一つ一つが水濾過装置を構成し、その水濾過容器111(以下で符号は浄水化ユニット100について記載するが、浄水化ユニット101についても同様である)内に設けられ、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタ110によって濾過される。原水タンク容器51の上部に設置された出口ポンプ62によって、上澄み水が浄水化ユニット100,101へ原水入口120から弁119を通って投入される。水濾過容器111の内面とフィルタ110の外面との間に原水が供給され、外面から内面に原水が透過し濾過され、所定のレベルの浄水とされて、フィルタ110の内部側領域に貯留される段階である。
【0073】
浄水化段階S300では、本実施形態で使用する浄水化ユニット100の水濾過容器111内に、原水をフィルタ110の濾過表面に対して、洗浄流体として原水を吹き付ける噴射ノズル118が設けられており、濾過表面に蓄積される付着物は、噴射ノズル118から噴射される原水によって洗浄され、下方に落下する。噴射ノズル118からの洗浄流体の吹き付け範囲を濾過表面が通過するように、フィルタ110はモータ130によって水濾過容器内を回転可能とされ、水濾過容器111内を回転する。このようにして、フィルタ110は、常時、随時又は適時に水濾過容器111内に設けられている噴射ノズル118によって、濾過表面に蓄積される付着物は、洗浄され、下方に落下されている段階である。
【0074】
[清水化段階S400]
本実施形態では、浄水化段階S300の次段階として清水化段階S400を含む。本段階では、フィルタユニットも浄水化ユニットと同様に、一つ一つが水濾過容器211を有する。浄水化ユニットの浄水出口121から出口弁122を通り、水濾過容器211の入口220へポンプ240によって圧送され、フィルタユニット201へ投入/貯留される浄水は、フィルタユニット201の水濾過容器211内に設けられ、外面が濾過表面とされかつ内部に濾液通路を有するフィルタ210によって濾過される。ここでは、すでに浄水化ユニット100,101で原水から浄水レベルと洗浄され、さらに、フィルタユニット201で所定のレベルに清水化され、浮遊物質量濃度が1mg/L以下のレベルに清水化される段階である。
【0075】
[洗浄水還流段階S500]
本実施形態では、清水化段階S400の次段階として洗浄水還流段階S500を含む。本段階は、フィルタユニット中央部から清水出口231から高圧ポンプ260によって、清水が洗浄水高圧噴射ノズルへ圧送され、以前濁水として流下していた濁水に含まれていた水は再生水として再使用される可能とされる段階である。
【0076】
[スラリー移送段階S600]
本実施形態では、浄水化段階S300の次段階としてスラリー移送段階S600を含む。浄水化段階S300で原水をフィルタ12の濾過表面に対して、洗浄流体として原水を吹き付け濾過表面に蓄積される付着物は、噴射ノズル20から噴射される原水によって洗浄され原水と下方に落下された付着物の混合物は、水濾過容器111底部でスラリーを形成され、本段階で、水濾過容器111下部に設けられているスラリー出口113からスラリーとして排出される。スラリーがスラリー出口113に流体連通している配管154を通り、原水タンク容器51の下部に戻される段階である。
【0077】
[高濃度スラリー圧送段階S700]
本実施形態では、スラリー移送段階S600の次段階として高濃度スラリー圧送段階S700を含む。本段階は、原水タンク50で沈殿され、原水タンク50の沈殿物スラリーとして、浄水化ユニット100のスラリー沈殿物も混合され、原水タンク50内で沈殿後に濃度が増した高濃度スラリーは、原水タンク容器51の下部の高濃度スラリー出口63から排出され、スラリー脱水乾燥手段400へ圧送ポンプ221によって圧送される段階である。
【0078】
[スラリー脱水乾燥段階S800]
本実施形態では、高濃度スラリー圧送段階S700の次段階としてスラリー脱水乾燥段階S800を含む。本段階は、スラリー脱水乾燥手段400を用い、脱水サブ段階と乾燥サブ段階を含むが、脱水サブ段階と乾燥サブ段階では個別の匡体を持つ脱水手段及び乾燥手段を用いてもよい。両手段が一体であれば、二種の匡体間を連通して脱水ケークを移送する手段も不要になり、設置スペースも小さくできる利点がある。本段階で用いるスラリー脱水乾燥手段400は、脱水乾燥容器411と、前記脱水乾燥容器411内に設けられ、壁面に透過孔が形成され、内部に濾液通路が形成された筒形体410と、前記筒形体410の壁面の外側に形成された親水性の濾過膜と、前記濾過膜の裏面と前記筒形体410の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)と、前記加熱気体通路(図示しない)に加熱気体を供給する加熱気体供給手段413と、を有し、供給した加熱気体によって濾過膜を裏面側から加熱し高濃度スラリーを脱水乾燥する段階である。
【0079】
加熱気体供給手段413には、ブロア495、熱源494を含み、本段階で、加熱気体は加熱気体供給管462内を通り、前記筒形体の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)を通り、上方へ抜け、加熱気体出口482から排気路483を通り、外気へ排出される。高濃度スラリーはスラリー入口420から脱水乾燥容器411内へ投入され、コンプレッサ493によって昇圧された脱水乾燥容器411内から筒形体410内側の領域へ高濃度スラリーは濾過される段階である。
【0080】
前記筒形体410の壁面の外側に形成された親水性の濾過膜は、前記筒形体410の外壁面にジグザグ状に形成された複数の襞からなるプリーツフィルタ(図示しない)であり、前記加熱気体通路が前記プリーツフィルタの襞内に形成されており、加熱されたプリーツフィルタは濾過膜に付着するケークを脱水乾燥する。濾液は、筒形体410の内部に形成された濾液通路(図示しない)を流下し、脱水乾燥容器411を貫通して筒形体410下部で接続されている加熱気体供給手段413と支持構造を共用する濾液排出管462により、脱水乾燥容器411外へ濾液排出管462から濾液還流路470へ排出される段階である。
本段階では、より具体的には、スラリーは以下のように脱水乾燥される。
濾液還流路470に濾液排出管462との間の管路の開閉を可能とするために配設されている濾液出口弁471と、加熱気体供給手段413のブロア495及び熱源494側に配設されている温風入口弁412を用い、最初に温風入口弁412は閉じられ、原水タンクから高濃度スラリーがスラリー入口420を経由して投入され高濃度スラリーが脱水乾燥容器411内に満たされ、高濃度スラリーの濾過が開始される。筒形体410の外壁面にジグザグ状に形成された複数の襞からなるプリーツフィルタの表面濾過膜としてケーク層が生成される。筒形体410内部に抽出された濾液は、開放されている濾液出口弁471を通り、濾液は脱水乾燥容器411外へ濾液排出管462から濾液還流路470へ排出され、濾液入口71を通り、原水タンク50へ還流する。膜厚が所定の厚さに達したと判定後、脱水乾燥容器411内のスラリーを排出する。
次に脱水機能を作用させ、高濃度スラリー入口弁420、温風入口弁412は閉じたまま、コンプレッサー493によりエアー圧力管492から脱水乾燥容器411内に空気を送り込み、脱水乾燥容器411内の圧力を高め、脱水乾燥容器411内の液体は加圧排出される。前記筒形体のプリーツフィルタケーク膜も加圧され、脱水される。
脱水後、加熱手段を作用させる。濾液出口弁471が閉じられ、温風入口弁412が開放され、ブロア495及び熱源494によって加熱気体が供給され、加熱気体が加熱気体供給手段413内を通り、前記筒形体の表面の間に形成された加熱気体通路(図示しない)を通り、上方へ抜け、加熱気体出口482から排気路483を通り、外気へ排出される間にプリーツフィルタ表面のケーク膜は乾燥され、そこで固化される。
ケーク乾燥後、温風入口弁412も閉じ、コンプレッサー493からエアパルスを発生させ、衝撃圧力によって、固化ケーキを粉砕し、固化ケーキはフィルタ表面から払い落され、脱水乾燥容器411内底部に落下される。
【0081】
[脱水ケーク搬送段階S900]
本実施形態では、スラリー脱水乾燥段階S800の次段階として脱水ケーク搬送段階S900を含む。本段階は、脱水ケークを中継コンベア3へ搬送する段階である。本段階では、スラリー脱水乾燥手段400により生成される脱水ケークは中継コンベア3へ、スラリーポンプ301、又は、エアー搬送機構(図示しない)を含む搬送機構304によって、搬送される。この段階で、脱水ケーク/乾燥ケークは、排出弁303が開放され、スラリーポンプ301またはエアー搬送(図示しない)により中継コンベア3上に排出され処理され、他に 脱水ケーク専用の特別な搬送機構を要しないという設備効果が得られ、コンベアリターンベルト洗浄系の総合製造費用、設置費用の低減化がはかれるという効果が得られる。
【0082】
[脱水濾液還流段階S1000]
本実施形態では、スラリー脱水乾燥段階S800の次段階として脱水濾液還流段階S1000を含む。本段階は、スラリー脱水乾燥装置400から排出された濾液が、濾液還流路470を通り、濾液入口71から原水タンク50へ還流される段階である。水濾過装置である浄水化ユニット100,101とスラリー脱水乾燥装置400を組み合わせる洗浄系によって、高圧ノズル洗浄によって発生する濁水を清水化し再使用する一方、スラリーを濾過によって固液分離後、濾液を排出し、この濾液も原水タンク50へ回収され、再び浄水化ユニット100,101へ還流される段階である。この場合、水の逸失は蒸発による大気への散逸に絞られ、水利用効率が高いという効果が得られる。
【0083】
以上、本発明に係る実施の形態を説明したが、本発明は係る実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。浄水化ユニットは、一又は複数の浄水化ユニットを処理能力に応じて増設すればよく、あるいは、二以上の浄水化ユニットを設置し、並列化によって一方をスタンバイ用として、フィルタのメンテナンス時も一方が稼働可能な構成も取ることも、コンベアリターンベルト洗浄装置の連続運転に有利な構成である。
【0084】
スラリー脱水乾燥手段は、本発明の一実施形態が呈するように脱水と乾燥手段が一体のものでなくとも、これら機能が分離され、個別の匡体から構成されるものでもよい。
【0085】
ここで取り上げた発明の効果はすべてが同時に一つの実施形態に現れるものと限定されず、その一部が一つでも発現して発明製品の目的を達成すれば十分であり、当業者であれば、容易に判断できることであろう。
【産業上の利用可能性】
【0086】
本発明は、ベルトコンベア輸送において、土砂、石炭、鉱石などの粉粒体の付着物があるリターンベルト面の洗浄装置系に利用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 コンベアリターンベルト洗浄装置
2 搬送コンベア
3 中継コンベア
4 粉粒体
9 コンベアリターンベルト
11 洗浄水高圧噴射ノズル
15 水受部材
17 スクレーパ
33 濁水出口
39 管路
50 原水タンク
51 原水タンク容器
61 原水タンクの入口
62 原水タンクの出口ポンプ
63 高濃度スラリー出口
71 濾液入口
100,101 浄水化ユニット
110 フィルタ
111 浄水化ユニットの水濾過容器
113 スラリー出口
118 噴射ノズル
119 原水入口
120 弁
121 浄水出口
122 出口弁
130 モータ
154 スラリー管路
190 管路
201 フィルタユニット
204 高濃度スラリー管路
210 フィルタ
211 フィルタユニットの水濾過容器
220 フィルタユニット入口
231 清水出口
240 ポンプ
250 洗浄水還流水路
260 高圧ポンプ
261 インバータ
301 スラリーポンプ
304 脱水ケークの通路/粉粒体還流通路
400 スラリー脱水乾燥手段
410 筒形体
411 脱水乾燥容器
412 温風入口弁
413 加熱気体供給手段
420 スラリー入口
462 濾液排出管
470 濾液還流路
471 濾液出口弁
482 加熱気体出口
483 排気路
492 エアー圧力管
493 コンプレッサー
494 熱源
495 ブロア
S1 コンベアリターンベルト洗浄方法
S100 高圧水洗浄段階
S200 原水タンク沈殿段階
S300 浄水化段階
S400 清水化段階
S500 洗浄水還流段階
S600 スラリー移送段階
S700 高濃度スラリー圧送段階
S800 スラリー脱水乾燥段階
S900 脱水ケーク搬送段階
S1000 脱水濾液還流段階
【要約】
【課題】
コンベアリターンベルト洗浄装置及びこれを用いた洗浄方法は、高圧水洗浄方式を使用しつつ、水の補給を最小限とし、合わせてコンベアに付着している搬送粉粒体を回収する。
【課題解決手段】
本発明のコンベアリターンベルト洗浄装置及びコンベアリターンベルトの洗浄方法は、高圧洗浄に必要な洗浄水を濁水の清水化により再生し、使用する水をコンベアリターンベルト洗浄装置内で循環させる。洗浄水を浄水する過程で発生するスラッジ・スラリーから脱水ケークとして元の粉状物を脱水/乾燥し、濁水に含まれる粉粒体を後続の中継コンベアへ搬送する。別途のスラッジ/スラリー専用の遠方への搬送設備を必要とせず、電力と補給水の供給で持続的に運転され得る、持続可能性のある装置及び方法を提供する。
【選択図】図1
図1
図2
図3