(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、車両の走行においては、エンジンブレーキ作動時等の減速時に、運転者が速度調整のために微小なアクセル操作を行うことがある。特に、エンジン回転数が高く燃料噴射量が少ない場合、エンジンはエンジン効率の低い運転領域で駆動されるため、燃費が悪化することになる。
【0007】
また、車両がモータジェネレータの駆動力で走行している時に、補機類の駆動を維持するためにエンジンのアイドル運転を行う場合は、このアイドル燃料噴射分だけ燃費が悪化する。さらに、上述の従来技術のように、エンジン停止時に補機類の駆動を維持するために、モータジェネレータの駆動力でエンジンを回転させた場合は、エンジンフリクションにより効率の低下を招く可能性がある。
【0008】
本発明はこのような点に鑑みてなされたもので、その目的は、車両の減速時において、補機類の駆動を停止させることなく燃費の悪化や効率の低下を効果的に抑止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明のハイブリッド車両は、車両の走行用駆動源としてエンジン及び電動機を備えたハイブリッド車両であって、前記エンジンにより駆動される発電機と、前記車両の走行状態から該車両が減速中か否かを判定する減速判定手段と、前記走行用駆動源に対する要求負荷が、駆動源として前記エンジンを用いるよりも前記電動機を用いた方が高効率となる所定の低負荷領域にあるか否かを判定する要求負荷判定手段と、前記エンジンの燃料噴射、前記電動機の駆動及び、前記発電機の駆動を制御する制御手段とを備え、前記減速判定手段が減速中と判定し、かつ、前記要求負荷判定手段が要求負荷を所定の低負荷領域にあると判定した場合に、前記制御手段が、前記エンジンの燃料噴射と前記発電機の発電駆動とを停止させると共に、前記電動機を走行用駆動源として駆動させることを特徴とする。
【0010】
また、前記要求負荷は、操作者により操作されるアクセルペダルの踏み込み量から換算される前記エンジンへの指示燃料噴射量であり、前記要求負荷判定手段は、駆動源として前記エンジンを用いるよりも前記電動機を用いた方が高効率となる燃料噴射量の閾値を前記エンジンの回転数毎に設定すると共に、換算された前記指示噴射量が前記閾値以下の場合に、要求負荷を所定の低負荷領域にあると判定するものであってもよい。
【0011】
また、前記エンジンの排気により駆動されるタービンに設けられた可変翼を含む可変容量型の過給機をさらに備え、前記制御手段は、さらに前記可変翼の開度を制御し、前記減速判定手段が減速中と判定し、かつ、前記要求負荷判定手段が要求負荷を所定の低負荷領域にあると判定した場合に、前記制御手段が、さらに前記可変翼の開度を前記エンジンのフリクションが低減される所定開度に制御してもよい。
【0012】
また、前記エンジンのフリクションが低減される前記可変翼の所定開度は、前記エンジンの回転数の上昇に従い大きくなるように設定されてもよい。
【0013】
また、前記エンジンの排気系と吸気系とを接続する流路に設けられた流量調整バルブを含む排気環流装置をさらに備え、前記制御手段は、さらに前記流量調整バルブの開度を制御し、前記減速判定手段が減速中と判定し、かつ、前記要求負荷判定手段が要求負荷を所定の低負荷領域にあると判定した場合に、前記制御手段が、さらに前記流量調整バルブの開度を前記エンジンのフリクションが低減される所定開度に制御してもよい。
【0014】
また、前記エンジンのフリクションが低減される前記流量調整バルブの所定開度は、前記エンジンの回転数の上昇に従い小さくなるように設定されてもよい。
【発明の効果】
【0015】
本発明のハイブリッド車両によれば、車両の減速時において、補機類の駆動を停止させることなく燃費の悪化や効率の低下を効果的に抑止することができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面により、本発明に係るハイブリッド車両の各実施形態について説明する。
【0018】
[第一実施形態]
図1〜4に基づいて、本発明の第一実施形態に係るハイブリッド車両を説明する。同一の部品には同一の符号を付してあり、それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1に示すように、本実施形態に係るハイブリッド車両1は、複数の気筒を有するディーゼルエンジン(以下、単にエンジンという)10と、エンジン10にメインクラッチ11を介して接続された変速機12と、電動機もしくは発電機として駆動するモータジェネレータ13と、モータジェネレータ13に電気的に接続されたインバータ14と、インバータ14に電気的に接続されたメインバッテリ15と、これら機器類10〜15を制御する電子制御ユニット(以下、ECUという)40と、変速機12に接続されたプロペラシャフト17と、プロペラシャフト17に接続された差動装置18と、差動装置18に駆動軸19を介して接続された左右の駆動輪31L,31Rと、車両1の速度を検出する車速センサ61と、エンジン10の回転数を検出するエンジン回転数センサ62と、操作者によるアクセルペダル30の踏み込み量を検出するアクセルポジションセンサ63とを備えている。
【0020】
エンジン10の吸気マニホールド20には吸気通路22が接続されている。また、エンジン10の排気マニホールド21には排気通路23が接続されている。さらに、エンジン10は、可変容量型のターボチャージャ(過給機)24と、排気の一部を吸気系に環流するEGR装置(排気環流装置)25と、エンジン10により駆動されるオルタネータ(発電機)26とを備えている。
【0021】
ターボチャージャ24は公知のVGT(Variable Geometry Turbo)であって、吸気通路22に設けられたコンプレッサ24aと、排気通路23に設けられたタービン24bと、タービン24bに設けられた可変翼24cとを備えている。これらコンプレッサ24aとタービン24bとは、回転軸を介して連結されている。また、ターボチャージャ24には、ECU40から入力される指示信号に応じて可変翼24cを開閉動作させる図示しないアクチュエータが設けられている。
【0022】
EGR装置25は、排気通路23と吸気マニホールド20とを接続するEGR通路25aと、EGR通路25aに設けられたEGRバルブ(流量調整バルブ)25bと、EGR通路25aに設けられた図示しないEGRクーラとを備えている。このEGR装置25による排気の環流量は、ECU40から入力される指示信号に応じてEGRバルブ25bの開度が制御されることで調整される。
【0023】
オルタネータ26には、クランクシャフト10aに連結されたクランクプーリ10bの回転力がベルト26aを介して伝達される。このオルタネータ26で発電される電力は、図示しないエンジン10の補機類の駆動に用いられると共に、余剰電力はサブバッテリ27に蓄電される。また、オルタネータ26は、何れも図示しないロータコイルとステータコイルとを備えており、ECU40から入力される指示信号に応じてロータコイルへの励磁電流の供給がON/OFFに制御されることにより、発電駆動状態又は発電停止状態に切り替えられる。
【0024】
メインクラッチ11は、例えば湿式多板クラッチであって、エンジン10のクランクシャフト10aと変速機12のインプットシャフト12aとを断接制御する。このメインクラッチ11による断接制御は、ECU40から入力される指示信号に応じて図示しないクラッチアクチュエータが作動することにより行われる。
【0025】
変速機12は、メインクラッチ11に接続されたインプットシャフト12aと、プロペラシャフト17に接続された図示しないアウトプットシャフトと、インプットシャフト12a及びアウトプットシャフトに平行な図示しないカウンタシャフトと、これらのシャフトに設けられた図示しない複数のギヤとを備えている。また、変速機12のアウトプットシャフトには、動力取り出し装置(以下、PTO装置という)の一部を構成するPTO軸30が、図示しないギヤを介し連結されている。この変速機12の変速作動は、ECU40から入力される指示信号に応じて自動制御される。
【0026】
モータジェネレータ13の図示しない回転軸は、PTO装置のPTO軸30に接続されている。このモータジェネレータ13は、メインバッテリ15に蓄電された直流電力がインバータ14によって交流電力に変換されて供給されることでモータとして駆動される。また、モータジェネレータ13は、回生制動時に変速機12のアウトプットシャフト(不図示)と連動して回転されることで発電機として駆動される。なお、PTO軸30には、ECU40から入力される指示信号に応じて断接制御されるPTOクラッチ(不図示)を設けてもよい。
【0027】
インバータ14は、ECU40から入力される指示信号に応じて、モータジェネレータ13とメインバッテリ15との間の電力を制御する。例えば、インバータ14は、モータジェネレータ13をモータとして駆動させるときは、メインバッテリ15に蓄電された直流電力を所定の交流電力に変換してモータジェネレータ13に供給する。また、インバータ14は、モータジェネレータ13を発電機として駆動させるときは、モータジェネレータ13により回生発電された交流電力を直流電力に変換した後にメインバッテリ15へ供給する。
【0028】
ECU40は、エンジン10や変速機12等、車両1に搭載された機器類の各種制御を行うもので、公知のCPUやROM、RAM、入力ポート、出力ポート等を備え構成されている。この各種制御を行うため、ECU40には、車速センサ61やエンジン回転数センサ62、アクセルポジションセンサ63等の各種センサの出力信号がA/D変換された後に入力される。
【0029】
また、ECU40は、
図2に示すように、減速判定部41と、微小噴射判定部42と、要求負荷判定部43と、エンジン制御部45と、ACG制御部46と、走行モータ駆動制御部49とを一部の機能要素として有する。これら各機能要素は、本実施形態では一体のハードウェアであるECU40に含まれるものとして説明するが、これらのいずれか一部を別体のハードウェアに設けることもできる。
【0030】
減速判定部41は、車速センサ61により検出される車速Vに基づいて、車両1の走行状態が減速中か否かを判定する。例えば、車速Vの変化量ΔVがマイナスであれば車両1の走行状態は減速中と判定され、車速Vの変化量ΔVがプラスであれば車両1の走行状態は加速中と判定される。なお、本実施形態において、この減速判定部41と車速センサ61とは、本発明の減速判定手段に相当する。
【0031】
微小噴射判定部42は、アクセルポジションセンサ63により検出されるアクセルペダル30の踏み込み量から換算した燃料噴射量(以下、指示噴射量という)Qに基づいて、この指示噴射量Qが減少傾向にあるか否かを判定する。例えば、指示噴射量Qの変化量ΔQがマイナスであれば指示噴射量Qは減少傾向と判定され、指示噴射量Qの変化量ΔQがプラスであれば指示噴射量Qは増加傾向と判定される。
【0032】
要求負荷判定部43は、微小噴射判定部42により算出された直近の指示噴射量Qが、車両1の走行用駆動源としてエンジン10を用いるよりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあるか否かを判定する。より詳しくは、ECU40には、予め実験等により作成したエンジン回転数Nと指示噴射量Qとをパラメータとする噴射量閾値マップ(
図3参照)が記憶されている。この噴射量閾値マップ上には、エンジン回転数Nの上昇に従い指示噴射量Qを増加させた噴射量閾値Q
THが設定されている。噴射量閾値マップ上において、指示噴射量Qが噴射量閾値Q
TH以下になる領域Aは、走行用駆動源としてエンジン10を用いるよりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域を示している。また、噴射量閾値マップ上において、指示噴射量Qが噴射量閾値Q
THよりも大きくなる領域Bは、走行用駆動源としてモータジェネレータ13を用いるよりもエンジン10を用いる方が高効率となる所定の高負荷領域を示している。
【0033】
要求負荷判定部43は、噴射量閾値マップからエンジン回転数センサ62で検出されたエンジン回転数Nに対応する噴射量閾値Q
THを読み取ると共に、この噴射量閾値Q
THと微小噴射判定部42により算出された直近の指示噴射量Qとを比較する。そして、直近の指示噴射量Qが噴射量閾値Q
TH以下の場合(Q≦Q
TH)、要求負荷判定部43はこの指示噴射量Qをエンジン10よりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあると判定する。一方、直近の指示噴射量Qが噴射量閾値Q
THよりも大きい場合(Q>Q
TH)、要求負荷判定部43はこの指示噴射量Qをモータジェネレータ13よりもエンジン10を用いる方が高効率となる所定の高負荷領域にあると判定する。なお、本実施形態において、微小噴射判定部42、要求負荷判定部43、エンジン回転数センサ62及び、アクセルポジションセンサ63は、本発明の要求負荷判定手段に相当する。
【0034】
エンジン制御部45は、アクセルポジションセンサ63により検出されるアクセルペダル30の踏み込み量に応じて、エンジン10の図示しないインジェクタによる燃料噴射を制御する。また、エンジン制御部45は、減速判定部41が走行状態を減速中と判定し、かつ、微小噴射判定部42が指示噴射量Qを減少傾向と判定し、かつ、要求負荷判定部43が直近の指示噴射量Qを所定の低負荷領域にあると判定した場合に、インジェクタによる燃料噴射を停止させる。
【0035】
ACG制御部46は、減速判定部41が走行状態を減速中と判定し、かつ、微小噴射判定部42が指示噴射量Qを減少傾向と判定し、かつ、要求負荷判定部43が直近の指示噴射量Qを所定の低負荷領域にあると判定した場合に、オルタネータ26の図示しないロータコイルへの励磁電流の供給をONからOFFに制御する。すなわち、エンジン10のフリクションが低減されるように、オルタネータ26は発電駆動状態から発電停止状態に切り替えられる。
【0036】
走行モータ駆動制御部49は、電動機もしくは発電機としてのモータジェネレータ13の駆動を制御する。また、走行モータ駆動制御部49は、微小噴射判定部42が指示噴射量Qを減少傾向と判定し、かつ、要求負荷判定部43が直近の指示噴射量Qを所定の低負荷領域にあると判定した場合に、メインバッテリ15からインバータ14を介してモータジェネレータ13に要求負荷に応じた所定の電力を供給させる。これにより、モータジェネレータ13が走行用の電動機として駆動されて、その駆動力は変速機12からプロペラシャフト17、差動装置18及び、駆動軸19を介して左右の駆動輪31L,31Rに伝達される。
【0037】
次に、
図4に基づいて、本実施形態に係るハイブリッド車両1のECU40による制御フローを説明する。本制御はエンジン10の始動(イグニッションスイッチのキースイッチON)と同時にスタートする。
【0038】
ステップ(以下、ステップを単にSと記載する)100では、減速判定部41により、車速Vの変化量ΔVに基づいて車両1の走行状態が減速中か否かが判定される。変化量ΔVがマイナスであれば、車両1の走行状態は減速中と判定されてS110に進む。一方、車両1の走行状態が減速中でない場合は、再びS100の減速判定に戻される。
【0039】
S110では、微小噴射判定部42により、アクセルペダル30の踏み込み量から換算した指示噴射量Qに基づいて、この指示噴射量Qが減少傾向にあるか否かが判定される。指示噴射量Qの変化量ΔQがマイナスであれば、指示噴射量Qは減少傾向と判定されてS120に進む。一方、指示噴射量Qが増加傾向の場合はS100に戻される。
【0040】
S120では、要求負荷判定部43により、直近の指示噴射量Qが駆動源としてエンジン10を用いるよりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあるか否かが判定される。直近の指示噴射量Qが噴射量閾値マップから読み取られた噴射量閾値Q
TH以下(Q≦Q
TH)であれば、指示噴射量Qは所定の低負荷領域にあると判定されてS130に進む。一方、直近の指示噴射量Qが噴射量閾値Q
THよりも大きい場合(Q>Q
TH)はS110に戻される。
【0041】
S130では、メインクラッチ11を接続状態に維持しつつ、走行モータ駆動制御部49により、モータジェネレータ13が車両走行用の電動機として駆動される。また、燃費の悪化を抑止するために、エンジン制御部45によりエンジン10(インジェクタ)の燃料噴射が停止される。また、エンジン10のフリクションを低減するために、ACG制御部46によりオルタネータ26が発電停止状態に切り替えられる。
【0042】
S140では、アクセルポジションセンサ63の検出値から換算した指示噴射量Qがゼロか否かが確認される。指示噴射量Qがゼロの場合(Q=0)、本制御はリターンされる。一方、指示噴射量Qがゼロでない場合(Q≠0)は、S120に戻される。その後、S100〜140の制御フローは、エンジン10が停止(イグニッションスイッチのキースイッチOFF)するまで繰り返し行われる。
【0043】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両1による作用効果を説明する。
【0044】
車両1の走行状態が減速中と判定されて、かつ、指示噴射量Qが減少傾向と判定され、かつ、この指示噴射量Qが走行用駆動源としてエンジン10よりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあると判定された場合、走行用駆動源がエンジン10からモータジェネレータ13に切り替えられると共に、エンジン10の燃料噴射は停止される。
【0045】
したがって、減速時に運転者が速度調整のために微小なアクセル操作を行った場合など、エンジン効率が低下する運転領域においては、エンジン10の燃料噴射は停止されることになり、燃費の悪化を効果的に抑止することができる。
【0046】
また、モータジェネレータ13が車両走行用の電動機として駆動されると、補機類の駆動を維持するために、メインクラッチ11は接続状態に維持される。この時、エンジン10のフリクションが低減されるように、オルタネータ26は発電停止状態に切り替えられる。
【0047】
したがって、モータジェネレータ13の駆動力でエンジン10を回転させて補機類の駆動を維持する際に、オルタネータ26を発電停止状態に切り替えることで、エンジンフリクションによる効率の悪化を効果的に抑制することが可能となり、結果として、モータ駆動による走行の効率を向上することができる。
【0048】
[第二実施形態]
以下、
図5〜7に基づき、本願発明の第二実施形態について説明する。
【0049】
本願発明の第二実施形態は、上述の第一実施形態において、
図5に示すように、ECU40の機能要素として、開度設定制御部47を追加したものである。したがって、第一実施形態と同一の構成要素については同一の符号を用いてそれらの説明は省略する。
【0050】
開度設定制御部47は、エンジン10のフリクションが低減されるように可変翼24cの開度とEGRバルブ25bの開度とを制御する。より詳しくは、ECU40には予め実験等により作成したエンジン回転数Nと可変翼24c及びEGRバルブ25bの開度との関係を示す開度設定マップ(
図6参照)が記憶されている。この開度設定マップ上において、可変翼24cの開度はエンジン回転数Nの上昇に従い増加する一方、EGRバルブ25bの開度はエンジン回転数Nの上昇に従い減少するように設定されている。
【0051】
開度設定制御部47は、減速判定部41が走行状態を減速中と判定し、かつ、微小噴射判定部42が指示噴射量Qを減少傾向と判定し、かつ、要求負荷判定部43が直近の指示噴射量Qを所定の低負荷領域にあると判定した場合に、開度設定マップからエンジン回転数Nに対応する可変翼24cの開度とEGRバルブ25bの開度とをそれぞれ読み取ると共に、可変翼24cとEGRバルブ25bとを読み取った開度となるように制御する。
【0052】
次に、
図7に基づいて、本実施形態に係るハイブリッド車両1のECU40による制御フローを説明する。本制御はエンジン10の始動(イグニッションスイッチのキースイッチON)と同時にスタートする。
【0053】
S200では、減速判定部41により、車速Vの変化量ΔVに基づいて車両1の走行状態が減速中か否かが判定される。変化量ΔVがマイナスであれば、車両1の走行状態は減速中と判定されてS210に進む。一方、車両1の走行状態が減速中でない場合は、再びS200の減速判定に戻される。
【0054】
S210では、微小噴射判定部42により、アクセルペダル30の踏み込み量から換算した指示噴射量Qに基づいて、この指示噴射量Qが減少傾向にあるか否かが判定される。指示噴射量Qの変化量ΔQがマイナスであれば、指示噴射量Qは減少傾向と判定されてS220に進む。一方、指示噴射量Qが増加傾向の場合はS200に戻される。
【0055】
S220では、要求負荷判定部43により、直近の指示噴射量Qが駆動源としてエンジン10を用いるよりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあるか否かが判定される。直近の指示噴射量Qが噴射量閾値マップから読み取られた噴射量閾値Q
TH以下(Q≦Q
TH)であれば、指示噴射量Qは所定の低負荷領域にあると判定されてS230に進む。一方、直近の指示噴射量Qが噴射量閾値Q
THよりも大きい場合(Q>Q
TH)はS210に戻される。
【0056】
S230では、メインクラッチ11を接続状態に維持しつつ、走行モータ駆動制御部49により、モータジェネレータ13が車両走行用の電動機として駆動される。また、燃費の悪化を抑止するために、エンジン制御部45によりエンジン10(インジェクタ)の燃料噴射が停止される。また、エンジン10のフリクションを低減するために、ACG制御部46によりオルタネータ26が発電停止状態に切り替えられる。また、エンジン10のフリクションをさらに低減するために、開度設定制御部47により可変翼24cの開度とEGRバルブ25bの開度とが所定の開度に制御される。
【0057】
S240では、アクセルポジションセンサ63の検出値から換算した指示噴射量Qがゼロか否かが確認される。指示噴射量Qがゼロの場合(Q=0)、本制御はリターンされる。一方、指示噴射量Qがゼロでない場合(Q≠0)は、S120に戻される。その後、S200〜240の制御フローは、エンジン10が停止(イグニッションスイッチのキースイッチOFF)するまで繰り返し行われる。
【0058】
次に、本実施形態に係るハイブリッド車両1による作用効果を説明する。
【0059】
車両1の走行状態が減速中と判定されて、かつ、指示噴射量Qが減少傾向と判定され、かつ、この指示噴射量Qが走行用駆動源としてエンジン10よりもモータジェネレータ13を用いる方が高効率となる所定の低負荷領域にあると判定された場合、走行用駆動源がエンジン10からモータジェネレータ13に切り替えられると共に、エンジン10の燃料噴射は停止される。
【0060】
したがって、減速時に運転者が速度調整のために微小なアクセル操作を行った場合など、エンジン効率が低下する運転領域においては、エンジン10の燃料噴射は停止されることになり、燃費の悪化を効果的に抑止することができる。
【0061】
また、モータジェネレータ13が車両走行用の電動機として駆動されると、補機類の駆動を維持するために、メインクラッチ11は接続状態に維持される。この時、エンジン10のフリクションが低減されるように、オルタネータ26は発電停止状態に切り替えられる。さらに、可変翼24cとEGRバルブ25bとの開度は、エンジン10のフリクションを低減することができる所定の開度に制御される。
【0062】
したがって、モータジェネレータ13の駆動力でエンジン10を回転させて補機類の駆動を維持する際に、オルタネータ26を発電停止状態に切り替え、さらに可変翼24cとEGRバルブ25bとをエンジンフリクションを低減できる所定の開度に制御することで、エンジンフリクションによる効率の悪化を確実に抑止することが可能となり、結果として、モータ駆動による走行の効率を確実に向上することができる。
【0063】
なお、本発明は、上述の各実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変形して実施することが可能である。
【0064】
例えば、モータジェネレータ13は、その回転軸がPTO装置のPTO軸30を介して変速機12のアウトプットシャフトに連結されるものとして説明したが、メインクラッチ11と変速機12との間に介装されてもよい。
【0065】
また、エンジン10はディーゼルエンジンに限られず、ガソリンエンジン等にも広く適用することが可能である。