特許第6098106号(P6098106)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098106
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】センサシステムおよび通信装置
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/30 20060101AFI20170313BHJP
   H04L 12/40 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   G08C19/30
   H04L12/40 Z
【請求項の数】9
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2012-234200(P2012-234200)
(22)【出願日】2012年10月23日
(65)【公開番号】特開2014-85833(P2014-85833A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年9月4日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】特許業務法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岸塲 秀行
(72)【発明者】
【氏名】井口 康二
(72)【発明者】
【氏名】川井 拓摩
(72)【発明者】
【氏名】生雲 公啓
(72)【発明者】
【氏名】米田 光宏
(72)【発明者】
【氏名】野坂 哲也
(72)【発明者】
【氏名】尾▲崎▼ 公洋
(72)【発明者】
【氏名】岩本 淳
(72)【発明者】
【氏名】飯田 雄介
【審査官】 吉田 久
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−260867(JP,A)
【文献】 特開2007−316770(JP,A)
【文献】 特開2011−118536(JP,A)
【文献】 特開2006−62516(JP,A)
【文献】 特開2004−295276(JP,A)
【文献】 特開2008−250997(JP,A)
【文献】 特開平9−128020(JP,A)
【文献】 特開2002−278787(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/078585(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08C 13/00−25/04
H04L 7/00−7/10、
12/28−12/46
H04Q 9/00−9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置ならびに複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報を前記制御装置に向けて送信するマスタ通信装置と、
複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報を前記マスタ通信装置に向けて送信する複数のスレーブ通信装置とを備え、
前記複数のスレーブ通信装置は、前記マスタ通信装置に対してバス形式で接続され、
各前記スレーブ通信装置と前記センサとの間において、センサ判別信号および前記センサの検出情報が伝送され、
前記マスタ通信装置と各前記スレーブ通信装置との間において、前記センサ判別信号および前記検出情報が伝送され、
前記制御装置と前記マスタ通信装置との間において、前記センサ判別信号および前記検出情報が伝送され
前記マスタ通信装置は、前記スレーブ通信装置が起動したかどうかを定期的に確認し、起動済みのスレーブ通信装置と通信するための確認手段を含む、センサシステム。
【請求項2】
前記複数のスレーブ通信装置は、前記マスタ通信装置とシリアル伝送路で接続される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項3】
前記マスタ通信装置および前記複数のスレーブ通信装置は、前記センサとシリアル伝送路およびパラレル伝送路で接続される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項4】
前記複数のスレーブ通信装置は、前記センサとシリアル伝送路およびパラレル伝送路のうちの少なくともいずれか一方で接続される、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項5】
前記確認手段は、
前記スレーブ通信装置に対して起動確認通信コマンドを送信するための送信手段と、
起動済みのスレーブ通信装置を記憶するための記憶手段と、
前記起動確認通信コマンドを定期的に送信させるための定期確認手段とを有する、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項6】
前記複数のスレーブ通信装置は、前記マスタ通信装置からコマンドを受け取ると、前記スレーブ通信装置に予め登録された順番で前記マスタ通信装置に信号を送信するための信号送信手段を含む、請求項1に記載のセンサシステム。
【請求項7】
前記マスタ通信装置は、前記複数のスレーブ通信装置に同期信号を送信するための手段を含む、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項8】
前記信号送信手段は、前記スレーブ通信装置に予め登録された順番により夫々算出された待機時間経過後に前記マスタ通信装置に信号を送信するための手段を有する、請求項に記載のセンサシステム。
【請求項9】
制御装置ならびに複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、前記メモリに保存された情報を前記制御装置に向けて送信する通信装置であって、
前記センサと通信する第1の通信部と、
前記制御装置と通信する第2の通信部と、
前記通信装置に接続されるセンサとは別の複数センサが物理的かつ電気的に各々に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、前記メモリに保存された情報を前記通信装置に向けて送信するとともに、前記通信装置に対してバス形式で接続される複数のスレーブ通信装置と通信する第3の通信部と
前記スレーブ通信装置が起動したかどうかを定期的に確認し、起動済みのスレーブ通信装置と通信するための確認手段とを備える、通信装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサシステムおよび通信装置に関し、特に、複数のセンサを分散して配置するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、生産ラインには、複数のセンサが設けられる。制御装置としてのPLC(Programmable Logic Controller)は、種々のセンサから入力された信号に応答して、製造機械を制御する。このような製造システムにおいては、システム構成を簡素にすべく、センサからの入力系統を一元化したいというニーズがある。
【0003】
このようなニーズに対し、特許第4294985号(特許文献1)は、マスタユニットにセンサユニットとセンサ中継ユニットとを接続し、センサから制御装置への入力系統をマスタユニットにより一元化した技術を開示する。特許第3852067号(特許文献2)は、マスタユニットと、マスタユニットにカスケード接続された複数のスレーブユニットとを備えた通信システムを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4294985号明細書
【特許文献2】特許第3852067号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許第4294985号ならびに特許第3852067号においては、センサ中継ユニットあるいはスレーブユニットが互いに直列的に接続されているため、例えば最下層のセンサの検出結果をマスタユニットに送信するためには、多くのユニットにおいて信号の中継処理がなされる。その結果、センサからマスタユニットまで信号を伝達するのに要する時間が長くなり得る。
【0006】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、その目的は、センサの増設に伴う信号の伝達所要時間の増大を抑えることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
ある実施例において、センサシステムは、制御装置ならびに複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報を制御装置に向けて送信するマスタ通信装置と、複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報をマスタ通信装置に向けて送信する複数のスレーブ通信装置とを備える。複数のスレーブ通信装置は、マスタ通信装置に対してバス形式で接続される。各スレーブ通信装置とセンサとの間において、センサ判別信号およびセンサの検出情報が伝送される。マスタ通信装置と各スレーブ通信装置との間において、センサ判別信号および検出情報が伝送される。制御装置とマスタ通信装置との間において、センサ判別信号および検出情報が伝送される。
【0008】
この構成によれば、スレーブ通信装置を増設することにより、センサシステム内のセンサを増設することができる。複数のスレーブ通信装置はマスタ通信装置に対してバス形式で接続されるため、スレーブ通信装置を増設したとしても、既存のスレーブ通信装置は通信を中継せずに、マスタ通信装置と増設されたスレーブ通信装置との間の通信を確立することができる。したがって、センサの増設に伴う信号の伝達所要時間の増大を抑えることができる。
【0009】
複数のスレーブ通信装置は、マスタ通信装置とシリアル伝送路で接続されてもよい。マスタ通信装置および複数のスレーブ通信装置は、夫々1または2以上のセンサとシリアル伝送路およびパラレル伝送路で接続されてもよい。複数のスレーブ通信装置は、夫々1または2以上のセンサとシリアル伝送路もしくはパラレル伝送路で接続されてもよい。
【0010】
マスタ通信装置は、スレーブ通信装置が起動したかどうかを定期的に確認し、起動済みのスレーブ通信装置と通信してもよい。この場合、確認手段は、スレーブ通信装置に対して起動確認通信コマンドを定期的に送信するとともに、起動済みのスレーブ通信装置を記憶してもよい。起動確認通信コマンドとは、スレーブ通信装置が起動したかどうかを確認するためのコマンドであり、スレーブ通信装置に対して所定の信号を返信させる指令を含む。したがって、スレーブ通信装置は起動確認通信コマンドを受信すると所定の信号を返信する。
【0011】
スレーブ通信装置が起動したかどうかを定期的に確認することにより、マスタ通信装置は、マスタ通信装置よりも先に起動したスレーブ通信装置のみならず、マスタ通信装置よりも後に起動したスレーブ通信装置をも認識し、通信することができる。
【0012】
複数のスレーブ通信装置は、マスタ通信装置からコマンドを受け取ると、スレーブ通信装置に予め登録された順番でマスタ通信装置に信号を送信してもよい。この場合、マスタ通信装置は、複数のスレーブ通信装置に同期信号を送信してもよい。また、スレーブ通信装置は、スレーブ通信装置に予め登録された順番により夫々算出された待機時間経過後にマスタ通信装置に信号を送信してもよい。
【0013】
スレーブ通信装置が異なる時期に、順番に信号を返信することにより、互いに並列に接続された複数のスレーブ通信装置からマスタ通信装置に対して効率よく信号を送信することができる。
【0014】
別の実施例において、通信装置は、制御装置ならびに複数のセンサに物理的かつ電気的に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、メモリに保存された情報を制御装置に向けて送信する。通信装置は、センサと通信する第1の通信部と、制御装置と通信する第2の通信部と、通信装置に接続されるセンサとは別の複数センサが物理的かつ電気的に各々に接続され、各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、メモリに保存された情報をマスタ通信装置に向けて送信するとともに、通信装置に対してバス形式で接続される複数のスレーブ通信装置と通信する第3の通信部とを備える。
【0015】
この構成によれば、スレーブ通信装置を増設することによりセンサを増設することができる。複数のスレーブ通信装置はマスタ通信装置に対してバス形式で接続されるため、スレーブ通信装置を増設したとしても、既存のスレーブ通信装置は通信を中継せずに、マスタ通信装置と増設されたスレーブ通信装置との間の通信を確立することができる。したがって、センサの増設に伴う信号の伝達所要時間の増大を抑えることができる。
【発明の効果】
【0016】
スレーブ通信装置を増設することによりセンサを増設することができる。複数のスレーブ通信装置は、マスタ通信装置に対してバス形式で接続されるため、スレーブ通信装置を増設したとしても、既存のスレーブ通信装置は通信を中継せずに、マスタ通信装置と増設されたスレーブ通信装置との間の通信を確立することができる。したがって、センサの増設に伴う信号の伝達所要時間の増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】光電センサシステムを示す概略図である。
図2】通信ユニットの外観を示す斜視図である。
図3】通信ユニットの機能ブロック図である。
図4】分散ユニットの外観を示す斜視図である。
図5】分散ユニットの機能ブロック図である。
図6】センサを示す斜視図である。
図7】通信ユニットが実行する処理を示すフローチャート(その1)である。
図8】通信ユニットが実行する処理を示すフローチャート(その2)である。
図9】通信ユニットからの同期信号と、分散ユニットからの応答信号とを示すタイミングチャート(その1)である。
図10】通信ユニットからの同期信号と、分散ユニットからの応答信号とを示すタイミングチャート(その2)である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0019】
図1を参照して、センサシステムの一例としての光電センサシステム1について説明する。なお、光電センサシステム以外のセンサシステムを用いてもよい。光電センサシステム1は、通信ユニット10と、複数の分散ユニット20(20A,20B)と、複数のセンサ30(30A〜30N)とを備える。
【0020】
通信ユニット10は、LAN(Local Area Network)などのネットワークを介してPLC2に接続される。一例として、通信ユニット10は、EtherCAT(登録商標)、CC−LINK(登録商標)、DeviceNET、CompoNETなどを利用してPLC2と通信するように構成される。
【0021】
分散ユニット20A,20Bは、通信ユニット10に対して互いに並列に接続される。すなわち、分散ユニット20A,20Bは、通信ユニット10に対してバス形式で接続される。本実施の形態においては2つの分散ユニット20A,20Bが用いられるが、分散ユニットの数は2つに限定されず、複数であればいくつであってもよい。
【0022】
本実施の形態において、各分散ユニット20A,20Bは、通信ユニット10とシリアル通信するように構成される。すなわち、各分散ユニット20A,20Bは、通信ユニット10とシリアル伝送路で物理的に接続される。なお、シリアル通信の代わりにもしくは加えて、パラレル通信を利用してもよい。すなわち、各分散ユニット20A,20Bは、通信ユニット10とパラレル伝送路で物理的に接続されてもよい。
【0023】
本実施の形態において、通信ユニット10はマスタユニットとしての機能を有し、分散ユニット20A,20Bはスレーブユニットとしての機能を有する。したがって、通信ユニット10は、起動すると、各分散ユニット20A,20Bが起動しているかどうかを確認する。また、本実施の形態においては、通信ユニット10の起動後に分散ユニットが起動した場合でも分散ユニットの起動を認識すべく、通信ユニット10は、定期的に分散ユニット20A,20Bが起動したかどうかを確認する。
【0024】
通信ユニット10および分散ユニット20A,20Bには、夫々異なるセンサ30が接続される。すなわち、センサ30A〜30Nは、光電センサシステム1において、分散して設置される。一例として、本実施の形態においては、センサ30A〜30Fは、通信ユニット10に物理的かつ電気的に接続される。センサ30G〜30Iは、分散ユニット20Aに物理的かつ電気的に接続される。センサ30J〜30Nは、分散ユニット20Bに物理的かつ電気的に接続される。なお、センサ30の総数ならびに、通信ユニット10および分散ユニット20の各々に接続されるセンサ30の数は図1に示される数に限定されない。一例として、通信ユニット10にセンサが接続されなくてもよい。
【0025】
本実施の形態において、通信ユニット10は、センサ30A〜30Fの各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報をPLC2に向けて送信する。分散ユニット20Aは、センサ30G〜30Iの各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報を通信ユニット10に向けて送信し、通信ユニット10が、分散ユニット20Aからの信号をPLC2に伝達する。分散ユニット20Bは、センサ30J〜30Nの各々のセンサから受信した情報をメモリに保存し、保存された情報を通信ユニット10に向けて送信し、通信ユニット10が、分散ユニット20Bからの信号をPLC2に伝達する。したがって、各センサ30A〜30Nからの信号は、通信ユニット10によって一元化されてPLC2に伝えられる。
【0026】
一例として、通信ユニット10と各センサ30との間において、各センサ30のセンサ判別信号および検出情報が伝送される。センサ判別信号とは、センサ30が起動しているか停止しているかを示すオン信号またはオフ信号である。一例として、センサ30が起動していると、センサ判別信号がオンを示す。逆にセンサ30が停止していると、センサ判別信号がオフを示す。光電システム1を用いた本実施の形態において、センサ30の検出情報は、一例として受光量、しきい値等である。
【0027】
同様に、各分散ユニット20と各センサ30との間において、各センサ30のセンサ判別信号および検出情報が伝送される。さらに、通信ユニット10と各分散ユニット20との間において、各センサ30のセンサ判別信号および検出情報が伝送される。さらに、PLC2と通信ユニット10との間において、各センサ30のセンサ判別信号および検出情報が伝送される。
【0028】
また、通信ユニット10から各分散ユニット20へ信号を送信するに当たり、各分散ユニット20は、別の分散ユニットを介さずに、通信ユニット10から直接信号を受信する。すなわち、分散ユニット20Aが通信ユニット10から信号を受信するに当たり、他の分散ユニット20Bは信号を何等処理しない。同様に、分散ユニット20Bが通信ユニット10から信号を受信するに当たり、他の分散ユニット20Aは信号を何等処理しない。
【0029】
なお、各分散ユニット20と通信ユニット10とが直接通信する実施形態は、一方の分散ユニットと通信ユニット10とを繋ぐ通信線が他方の分散ユニットを物理的に通過するものの、一方の分散ユニットと通信ユニット10との通信において他方の分散ユニットは何も処理をしない実施形態を含む。すなわち、一方の分散ユニットと通信ユニット10とを繋ぐ通信線が他方の分散ユニットを物理的に通過するものの、一方の分散ユニットと通信ユニット10との通信において他方の分散ユニットは何も処理をしない実施形態は、各分散ユニット20が通信ユニット10に並列に接続された(バス形式で接続された)実施形態の1つである。
【0030】
図2、3を参照して通信ユニット10についてさらに説明する。図2に示すように、通信ユニット10は、PLC2との接続に用いられる入力コネクタ101および出力コネクタ102、分散ユニット20との接続に用いられる接続コネクタ104、センサ30との接続に用いられる接続コネクタ106、電源入力コネクタ108を備える。
【0031】
さらに、図3に示すように、通信ユニット10は、MPU(Micro Processing Unit)110、通信ASIC(Application Specific Integrated Circuit)112、シリアル通信回路114、パラレル通信回路116、シリアル通信回路118、電源回路120を備える。
【0032】
MPU110は、通信ユニット10における全ての処理を統括して実行するように動作する。通信ASIC112は、PLC2との通信を管理する。上述したように、通信ユニット10は、EtherCAT、CC−LINK、DeviceNET、CompoNETなどを利用してPLC2と通信する。
【0033】
一方、通信ユニット10と分散ユニット20A,20Bとはバス形式で接続される。また、通信ユニット10と分散ユニット20との通信にはシリアル通信が用いられる。なお、パラレル通信を用いてもよい。通信ユニット10と分散ユニット20との接続に用いられる通信線は、一例として送信用と受信用の2本である。
【0034】
センサ30は、たとえば通信ユニット10の側面に取り付けられる。通信ユニット10とセンサ30との通信には、パラレル通信あるいはシリアル通信が用いられる。すなわち、通信ユニット10とセンサ30とがシリアル伝送路およびパラレル伝送路で物理的に接続される。なお、通信ユニット10とセンサ30とを、シリアル伝送路およびパラレル伝送路のうちのいずれか一方で接続してもよい。
【0035】
図4、5を参照して分散ユニット20についてさらに説明する。図4に示すように、分散ユニット20は、通信ユニット10との接続に用いられる接続コネクタ202、センサ30との接続に用いられる接続コネクタ204、電源入力コネクタ206、ロータリースイッチ208を備える。
【0036】
さらに、図5に示すように、分散ユニット20は、MPU210、通信ユニット10との通信のためのシリアル通信回路212、センサ30との通信のためのシリアル通信回路214、電源回路216を備える。
【0037】
MPU210は、分散ユニット20における全ての処理を統括して実行するように動作する。上述したように、通信ユニット10と分散ユニット20とはバス形式で接続され、シリアル通信が利用される。
【0038】
センサ30は、たとえば分散ユニット20の側面に取り付けられる。分散ユニット20とセンサ30との通信には、シリアル通信が用いられるが、パラレル通信を用いてもよい。一方、分散ユニット20とセンサ30とは、シリアル伝送路およびパラレル伝送路のうちの少なくともいずれか一方で物理的に接続される。分散ユニット20とセンサ30とを、シリアル伝送路およびパラレル伝送路で接続してもよい。
【0039】
本実施の形態において、分散ユニット20は光電センサシステム1内において複数設けられることから、各々の分散ユニット20を区別して通信ユニット10と通信するためには、各々の分散ユニット20の識別番号を特定する必要がある。この目的のため、ユーザは、ロータリースイッチ208を用いて各分散ユニット20の識別番号を設定することができる。通信ユニット10は、受信したデータに含まれる識別番号から、データの送信元の分散ユニット20を特定することができる。また、通信ユニット10から発信されるデータに識別番号を含ませることにより、所望の分散ユニット20に対してコマンドを与えることができる。
【0040】
図6を参照して、センサ30についてさらに説明する。センサ30は、アンプユニット301と、ファイバユニット302とを備える。アンプユニット301は、ケーシングに回動自在に取付けられた開閉カバーと、本体ケーシングの内部に収容されたフレームとを有している。開閉カバーの開状態において露出するフレームの上面に表示部および操作部を有している。
【0041】
アンプユニット301の両側壁部分に、通信ユニット10、分散ユニット20または他のアンプユニット301との接続コネクタ304,306が設けられている。したがって、アンプユニット301は、通信ユニット10または分散ユニット20に対して直列的に複数接続することが可能である。よって、他のアンプユニット301に接続されたアンプユニット301からの信号は、他のアンプユニット301を介して通信ユニット10または分散ユニット20に伝達される。
【0042】
アンプユニット301の前壁部分には、ファイバユニット302が接続される。ファイバユニット302は、ヘッド部と、投光側光ファイバおよび受光側光ファイバとを備える。
【0043】
図7を参照して、本実施の形態において分散ユニット20が起動しているかどうかを確認するために通信ユニット10が実行する処理について説明する。
【0044】
通信ユニット10が起動すると、ステップ(以下、ステップをSと略す)100にて、分散ユニット20に対して起動確認通信コマンドが送信される。起動確認通信コマンドは、各分散ユニット20に対して順次送信される。なお、光電センサシステム1に含まれる分散ユニット20の数およびそれらの識別番号は、パーソナルコンピュータなどを利用して予め通信ユニット10あるいはPLC2に登録される。
【0045】
本実施の形態において、分散ユニット20は、通信ユニット10から起動確認通信コマンドを受信すると、識別番号を通信ユニット10に返信するように構成される。したがって、通信ユニット10は、起動確認通信コマンドを発信した後に受信した識別番号から、起動している分散ユニット20を特定することができる。
【0046】
よって、S102にて、通信ユニット10は、識別番号を返信した分散ユニット20の識別番号を、起動している分散ユニット20の識別番号として記憶する。全ての分散ユニット20について、起動しているかどうかの確認が完了すると(S104にてYES)、S106にて、通信ユニット10は、起動している分散ユニット20との間で通信を開始する。
【0047】
未起動の分散ユニット20がある場合は(S108にてNO)、所定の期間が経過すると(S110にてYES)、S100にて、再び起動確認通信コマンドが送信される。一方、全ての分散ユニット20が起動すれば(S108にてYES)、この処理は終了する。
【0048】
なお、図7に示す処理の代わりに、図8を用いて以下に説明する処理を実行するようにしてもよい。
【0049】
通信ユニット10が起動すると、S200にて、識別番号が「1」の分散ユニット20に対して起動確認通信コマンドが送信される。通信ユニット10が分散ユニット20から識別番号として「1」を受信すると(S202にてYES)、S114にて、通信ユニット10は、受信した識別番号「1」を、起動している分散ユニット20の識別番号「N」として保存する。
【0050】
その後、S206にて、通信ユニット10は、起動している分散ユニット20と通信する。起動確認通信コマンドを前回送信してから所定の期間が経過すると(S208にてYES)、S210にて、識別番号が「N+1」の分散ユニット20に対して起動確認通信コマンドが送信される。
【0051】
通信ユニット10が分散ユニット20から識別番号として「N+1」を受信すると(S212にてYES)、S214にて、通信ユニット10は、起動している分散ユニット20の識別番号「N」を「1」だけインクリメントする。要するに、受信した識別番号「N+1」が、起動している分散ユニット20の識別番号「N」として保存される。このようにして、識別番号が「1」の分散ユニット20から順番に起動確認が実施される。
【0052】
図9を参照して、通信ユニット10から各分散ユニット20に送られる同期信号(コマンド)と、同期信号に応答して各分散ユニット20から通信ユニット10に送られる信号(コマンド)とについて説明する。図9では、「1」〜「3」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20が設けられた例について説明する。
【0053】
本実施の形態において、通信ユニット10は、所定の時期に(例えば所定の周期で)同期信号を全ての分散ユニットに対して送信する。各分散ユニット20は、同期信号を受信してから、センサ30の検出結果を表す信号を所定の順番で返信する。一例として、各分散ユニット20は、いつ信号を返信するかを識別番号から判断する。本実施の形態においては、識別番号が小さい分散ユニット20から順番に信号を返信する。同期信号を受信してから信号を返信するまでの待機時間TWは、分散ユニット20の識別番号を「N」、所定の定数を「α」とすると、下式を用いて計算される。
【0054】
TW=(N−1)×α
上式において、定数αには、分散ユニット20が信号の返信に要する時間TRよりも長い時間が用いられる。
【0055】
このようにして各分散ユニット20が異なる時期に、順番に信号を返信することにより、互いに並列に接続された複数の分散ユニット20から通信ユニット10に対して効率よく信号を送信することができる。
【0056】
図10を参照して、「1」〜「9」までの識別番号が割り当てられた9つの分散ユニット20が設けられた例について説明する。
【0057】
図10に示す例では、通信ユニット10は、所定(例えば100μs)周期で同期信号を分散ユニット20に対して送信する。一例として、通信ユニット10は、「1」〜「3」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20に対して同期信号を送信した後、「4」〜「6」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20に対して同期信号を送信する。さらにその後、通信ユニット10は、「7」〜「9」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20に対して同期信号を送信する。
【0058】
したがって、「1」〜「3」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20は、各々、1回目の同期信号を受信してから順番に信号を返信する。
【0059】
「4」〜「6」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20は、各々、2回目の同期信号を受信してから順番に信号を返信する。
【0060】
「7」〜「9」までの識別番号が割り当てられた3つの分散ユニット20は、各々、3回目の同期信号を受信してから順番に信号を返信する。
【0061】
したがって、全ての分散ユニット20から応答信号を得るために、1サイクルあたり同期信号が3回送信される。同期信号を送信する回数は、3回に限定されず、分散ユニット20の数、ならびに分散ユニット20が信号の送信に要する時間TRに応じて変更されてもよい。
【0062】
なお、図10は、シリアル通信にRS−422プロトコルを用いたときの例を示す。シリアル通信にRS−485プロトコルを利用する場合には、通信ユニット10の同期信号の送信が終了した後に、分散ユニット20から信号が返信される。すなわち、同期信号の発信期間と分散ユニット20からの信号返信期間とは重複しない。
【0063】
以上のように、本実施の形態において、通信ユニット10および複数の分散ユニット20には、夫々異なるセンサ30が接続されるため、分散ユニット20を増設することにより、光電センサシステム1内のセンサ30を増設することができる。複数の分散ユニット20は、通信ユニット10に対してバス形式で接続されるため、分散ユニット20を増設したとしても、既存の分散ユニット20は通信を中継せずに、通信ユニット10と増設された分散ユニット20との間の通信を確立することができる。したがって、センサ30の増設に伴う信号の伝達所要時間の増大を抑えることができる。
【0064】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0065】
1 光電センサシステム、2 PLC、10 通信ユニット、20,20A,20B 分散ユニット、30,30A,30B,30C,30D,30E,30F,30G,30H,30I,30J,30K,30L,30M,30N センサ、101 入力コネクタ、102 出力コネクタ、104,106,202,204,304,306 接続コネクタ、108,206 電源入力コネクタ、112 通信ASIC、114,118,212,214 シリアル通信回路、116 パラレル通信回路、120,216 電源回路、208 ロータリースイッチ、301 アンプユニット、302 ファイバユニット。
図1
図2
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図8
図9
図10