特許第6098114号(P6098114)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098114
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】中継装置および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04M 3/56 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   H04M3/56
【請求項の数】7
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2012-237252(P2012-237252)
(22)【出願日】2012年10月26日
(65)【公開番号】特開2014-87027(P2014-87027A)
(43)【公開日】2014年5月12日
【審査請求日】2015年4月9日
(73)【特許権者】
【識別番号】000100746
【氏名又は名称】アイコム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100123940
【弁理士】
【氏名又は名称】村上 辰一
(72)【発明者】
【氏名】上森 啓志郎
【審査官】 永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−135291(JP,A)
【文献】 特開2011−135292(JP,A)
【文献】 特開2001−136206(JP,A)
【文献】 特開2010−087765(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24−7/26
H04L12/28
12/44−12/46
H04M1/00
1/24−3/00
3/16−3/20
3/38−3/58
7/00−7/16
11/00−11/10
99/00
H04W4/00−99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中継用無線機が接続され、該中継用無線機を介して、該中継用無線機と通信する子機から音声信号を受信する無線機インタフェースと、
該無線機インタフェースに接続された信号処理部と、
データ通信網であるネットワークに接続され、該ネットワークに接続されている他のネットワーク機器との間でパケットの送受信を行うネットワークインタフェースと、
該ネットワークインタフェースに接続されたパケット処理部と、
を備え、
前記信号処理部は、前記無線機インタフェースから入力された音声信号を上り音声信号として前記パケット処理部に向けて出力するとともに、前記パケット処理部から入力された下り音声信号を前記無線機インタフェースに出力し、
前記パケット処理部は、前記ネットワークインタフェースから入力されたパケットから音声信号を読み出し、この音声信号を下り音声信号として前記信号処理部に向けて出力するとともに、前記信号処理部から入力された上り音声信号でパケットを作成して前記ネットワークインタフェースに出力する
中継装置であって、
前記無線機インタフェース、前記信号処理部、および、前記パケット処理部を含む通信系統を複数備え、
各通信系統に、前記上り音声信号に、他の通信系統の上り音声信号および下り音声信号を加算合成して前記パケット処理部に入力するとともに、前記下り音声信号に、前記他の通信系統の上り音声信号および下り音声信号を加算合成して前記信号処理部に入力するミキシング部を備えた中継装置。
【請求項2】
前記信号処理部は、上り音声信号の出力と並行して、上り音声検出信号を前記パケット処理部に向けて出力し、
前記パケット処理部は、下り音声信号の出力と並行して、下り音声検出信号を前記信号処理部に向けて出力し、
前記ミキシング部は、前記上り音声検出信号に、他の通信系統の上り音声検出信号および下り音声検出信号を論理和した信号を前記パケット処理部に入力するとともに、前記下り音声検出信号に、他の通信系統の上り音声検出信号および下り音声検出信号を論理和した信号を入力する
請求項1に記載の中継装置。
【請求項3】
前記ミキシング部を用いて相互に前記音声信号の加算合成または前記音声検出信号の論理和を行わせるか否かの選択、または、前記複数の通信系統のうち前記ミキシング部を用いて相互に前記音声信号の加算合成または前記音声検出信号の論理和を行う通信系統の選択、を行う選択部を、さらに備えた請求項2に記載の中継装置。
【請求項4】
前記選択部は、前記無線機インタフェースを介して入力される前記子機からの信号によって前記選択を行う請求項に記載の中継装置。
【請求項5】
前記複数の通信系統の無線機インタフェースのうち一部に、複数種類のそれぞれ異なる通信方式の中継用無線機が接続される請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の中継装置。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の中継装置と、
前記複数の通信系統に接続された複数の中継用無線機と、
それぞれ前記複数の中継用無線機のいずれかと通信する複数の子機と、
を有し、
前記複数の子機のうち何れかの子機によって送信された音声信号が、前記中継装置を経由して、前記何れかの子機を除く前記複数の子機に伝達される通信システム。
【請求項7】
請求項6に記載の通信システムを複数設け、各通信システムの中継装置をネットワークに接続し、各中継装置が、前記ネットワークインタフェースを介して、前記パケットの送受信を行う通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、複数の無線機相互の通信をネットワークを介して中継する中継装置および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
トランシーバなどの音声通信をネットワークで中継し、互いに電波の届かない通信エリアにある複数のトランシーバ同士が相互に通信できるようにした中継装置、通信システムが提案されている(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−135291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の中継装置、通信システムは、異なる通信エリアのトランシーバ同士を通信可能にするものであるが、両者が同じ通信方式(たとえばアナログの半二重通信)で通信する機器であることが条件であった。また、同じ通信エリアであっても、たとえば全二重通信方式と半二重通信方式、アナログ通信方式とデジタル通信方式など異なる通信方式のトランシーバ同士が直接通信することは不可能であった。
【0005】
この発明は、通信方式の異なる複数種類の無線機による相互通信を可能にした中継装置および通信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の中継装置は、中継用無線機が接続され、中継用無線機を介して該中継用無線機と通信する子機から音声信号を受信する無線機インタフェースと、無線機インタフェースに接続された信号処理部と、データ通信網であるネットワークに接続されネットワークに接続されている他のネットワーク機器との間でパケットの送受信を行うネットワークインタフェースと、ネットワークインタフェースに接続されたパケット処理部と、備える。信号処理部は、無線機インタフェースから入力された音声信号を上り音声信号としてパケット処理部に向けて出力するとともに、パケット処理部から入力された下り音声信号を無線機インタフェースに出力する。パケット処理部は、ネットワークインタフェースから入力されたパケットから音声信号を読み出し、この音声信号を下り音声信号として信号処理部に向けて出力するとともに、信号処理部から入力された上り音声信号でパケットを作成してネットワークインタフェースに出力する。これら無線機インタフェース、信号処理部、および、パケット処理部を含む通信系統を複数備え、各通信系統に、上り音声信号に、他の通信系統の上り音声信号および下り音声信号を加算合成してパケット処理部に入力するとともに、下り音声信号に、他の通信系統の上り音声信号および下り音声信号を加算合成して信号処理部に入力するミキシング部を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記発明において、信号処理部が、上り音声信号の出力と並行して、上り音声検出信号を前記パケット処理部に向けて出力し、パケット処理部が、下り音声信号の出力と並行して、下り音声検出信号を前記信号処理部に向けて出力し、ミキシング部が、上り音声検出信号に他の通信系統の上り音声検出信号および下り音声検出信号を論理和した信号をパケット処理部に入力するとともに、下り音声検出信号に他の通信系統の上り音声検出信号および下り音声検出信号を論理和した信号を入力するようにしてもよい。
【0008】
上記発明において、複数の通信系統の無線機インタフェースに、複数種類のそれぞれ異なる通信方式の中継用無線機が接続されてもよい。
【0009】
上記発明において、ミキシング部を用いて相互に音声信号の加算合成または音声検出信号の論理和を行わせるか否かの選択、または、複数の通信系統のうちミキシング部を用いて相互に音声信号の加算合成または音声検出信号の論理和を行う通信系統の選択を行う選択部を、さらに備えてもよい。
【0010】
また、この選択部が、無線機インタフェースを介して入力される子機からの信号によってその選択を行うものであってもよい。
【0011】
この発明の通信システムは、上記中継装置と、複数の通信系統に接続された複数の中継用無線機と、それぞれ複数の中継用無線機のいずれかと通信する複数の子機と、を有し、複数の子機のうち何れかの子機によって送信された音声信号が、中継装置を経由して何れかの子機を除く複数の子機に伝達されることを特徴とする。
【0012】
さらにこの発明の通信システムは、上記通信システムを複数設け、各通信システムの中継装置をネットワークに接続し、各中継装置が、ネットワークインタフェースを介してパケットの送受信を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
この発明によれば、通信方式の異なる無線機(子機)同士であっても、無線機インタフェースおよびミキシング部を介して相互に通信することが可能になり、同時にネットワークインタフェースを介してネットワークを経由した通信も可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】この発明の実施形態である通信システムの構成図である。
図2】通信システムの中継装置のブロック図である。
図3】中継装置のミキシング機能がオフされているときの信号処理部、ミキシング部およびパケット処理部の構成を示す図である。
図4】中継装置のミキシング機能がオンされているときの信号処理部、ミキシング部およびパケット処理部の構成を示す図である。
図5】ミキシンググループの設定画面の表示例を示す図である。
図6】複数の通信システムの連携の形態を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面を参照してこの発明の実施形態である中継装置および通信システムについて説明する。図1は、この発明の実施形態である通信システム10の構成図である。図2は、この発明の実施形態である中継装置2のブロック図である。また、図3は、中継装置2の信号処理部21、ミキシング部22およびパケット処理部23の構成を示す図である。
【0016】
通信システム10の中継装置2は、トランシーバ4(41,42,43)の無線通信をネットワーク1を介して中継する。たとえば、図中のトランシーバ41と他の通信システム10−2の中継装置2−2の配下にある他のトランシーバ4−2との間の通信を中継する。
【0017】
中継装置2は、図2に示すように、1つのネットワークインタフェース24と複数の無線機インタフェース20(201,202,203,204)を有している。無線機インタフェース201,202は、アナログ無線機インタフェースであり、それぞれ半二重(シンプレックス)の中継用トランシーバ31、全二重(フルデュープレックス)の中継用トランシーバ32が接続される。半二重の中継用トランシーバ31は、ユーザが用いる同じく半二重のユーザ用トランシーバ41と通信する。全二重の中継用トランシーバ32は、ユーザが用いる同じく全二重のユーザ用トランシーバ42と通信する。
【0018】
半二重のトランシーバとは、ユーザにより送信モード/受信モードのいずれかに適宜切り換えられるトランシーバである。半二重トランシーバは、プッシュ・トゥ・トーク(Push to Talk:PTT)スイッチやVOX回路を備え、PTTスイッチがオンされたとき、VOX回路によりユーザの音声を検出したとき、または、外部からPTT信号が入力されたとき送信モードに切り換わる。また、全二重のトランシーバとは、送信回路、受信回路を異なるチャンネル(周波数)で並行して動作させることにより、送信と受信を並行して行えるようにされたトランシーバである。このように、半二重のトランシーバと全二重のトランシーバは通信方式が異なるため、無線で相互に通信することはできない。
【0019】
無線機インタフェース203は、デジタル無線機インタフェースであり、デジタルの中継用トランシーバ33が接続される。デジタルの中継用トランシーバ33は、ユーザが用いるデジタルのユーザ用トランシーバ43と通信する。無線機インタフェース204は、オーディオ入出力端子であり、無線機ではない呼出装置5が接続される。呼出装置5は、マイク51およびスピーカ52を備え、直接オペレータによって操作される。
【0020】
デジタルトランシーバ43は、音声信号をデジタル化し、PSK(位相偏位変調)などの変調方式で送信/受信するトランシーバである。当然、アナログ方式のトランシーバとは相互に無線通信することはできない。
【0021】
無線機インタフェース20を介してトランシーバ4や呼出装置5から入力された音声信号は、後述の信号処理部21、ミキシング部22、パケット処理部23によってRTPパケットに変換され、ネットワークインタフェース24からネットワーク1に送出される。また、ネットワークインタフェース24は、ネットワーク1上の通信相手からRTPパケットを受信する。ネットワークインタフェース24によって受信されたRTPパケットは、上述のパケット処理部23、ミキシング部22、信号処理部21によって音声信号に変換され、各無線機インタフェース20に入力される。
【0022】
ネットワーク1には、通信システム10の他に、1または複数の通信システム10−2が接続されており、各通信システムの10,10−2の中継装置2,2−2同士が相互に通信し、トランシーバ4,4−2の音声通話信号を乗せたRTP(Real-time Transport Protocol)パケットを交換する。ネットワーク1は、たとえばEthernet(登録商標)で構成されるLANやインターネットが適用可能である。
【0023】
なお、この実施形態では、無線機インタフェース20をアナログ無線機インタフェース201,202、デジタル無線機インタフェース203、および、オーディオ入出力端子204の4系統設けているが、無線機インタフェース20の数は任意である。また、アナログ無線機インタフェース、デジタル無線機インタフェース、オーディオ入出力端子のそれぞれの数の組み合わせも任意である。たとえば、アナログ無線機インタフェースを2系統、デジタル無線機インタフェースを4系統、オーディオ入出力端子を2系統設けてもよい。
【0024】
図3図4は、中継装置2の信号処理部21、ミキシング部22およびパケット処理部23の構成を示す図である。図3は、ミキシング機能がオフされているときの接続形態を示し、図4は、ミキシング機能がオンされているときの接続形態の一例を示している。
【0025】
信号処理部21は、4つの無線機インタフェース201,202,203,204に対応づけられた信号処理部211,212,213,214を有している。ミキシング部22は、4つの無線機インタフェース201,202,203,204に対応づけられたミキシング部221,222,223,224を有している。また、パケット処理部23も、4つの無線機インタフェース201,202,203,204に対応づけられたパケット処理部231,232,233,234を有している。
【0026】
信号処理部21(211,212,213,214)は、図3(A)、図4(A)に示すように、音声通信の音声信号を処理するとともに、図3(B)図4(B)に示すように、無線機の送信/受信を切り換えるための制御信号を処理する。
【0027】
アナログ無線機インタフェース201、アナログ信号処理部211、ミキシング部221、および、パケット処理部231で第1通信系統が構成され、アナログ無線機インタフェース202、アナログ信号処理部212、ミキシング部222、および、パケット処理部232で第2通信系統が構成される。デジタル無線機インタフェース203、デジタル信号処理部213、ミキシング部223、および、パケット処理部233で第3通信系統が構成される。さらに、オーディオ入出力端子204、アナログ信号処理部214、ミキシング部224、および、パケット処理部234で第4通信系統が構成される。
【0028】
ミキシング機能がオフされているときは、図3に示すように、各通信系統は独立して動作する。一方、ミキシング機能がオンされているときは、図4に示すように、各通信系統の音声信号および制御信号(音声検出信号)は相互に加算合成されて各系統から出力される。なお、図4は、第1通信系統のミキシング部221の接続形態のみを示しているが、ミキシング部222,223,224も同様の接続形態で各系統の音声信号、制御信号(音声検出信号)をミキシング出力する。
【0029】
アナログ信号処理部211には、アナログ無線機インタフェース201を介して、半二重の中継用アナログトランシーバ31が接続される。アナログ信号処理部211は、中継用アナログトランシーバ31から入力されたアナログの音声信号をRTPパケット用のデジタル信号に変換するA/Dコンバータ2111、および、中継用アナログトランシーバ31に出力する音声信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ2112を備える。また、中継用アナログトランシーバ31からスケルチ信号(SQL)が入力されたとき、音声信号ありを意味する制御信号(音声検出信号)を発生するSQL検出部2113、および、他の処理部から音声検出信号が入力されたとき、中継用アナログトランシーバ31に対してPTT信号を出力するPTT処理部2114を備える。
【0030】
アナログ信号処理部212には、アナログ無線機インタフェース202を介して、全二重の中継用アナログトランシーバ32が接続される。アナログ信号処理部212は、中継用アナログトランシーバ32から入力されたアナログの音声信号をRTPパケット用のデジタル信号に変換するA/Dコンバータ2121、および、中継用アナログトランシーバ32に出力する音声信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ2122を備える。また、スケルチ信号を発生しない全二重の中継用アナログトランシーバ32から音声信号が入力されたことを検出し、音声信号の入力を検出したとき音声検出信号を発生するVOX検出部2123、および、PTT信号を常時オンしてD/Aコンバータ2022に対して音声信号の出力を常時許可するPTT処理部2124を備える。
【0031】
デジタル信号処理部213には、デジタル無線機インタフェース203を介して、(半二重の)中継用デジタルトランシーバ33が接続される。デジタル信号処理部213は、中継用デジタルトランシーバ33から入力されたデジタルの音声信号をRTPパケット用のデジタル信号に変換する復調部2131、および、他の処理部から入力されたRTPパケット用のデジタル信号を中継用デジタルトランシーバ33に出力する圧縮形式のデジタル音声信号に変換する変調部2132を備える。また、中継用デジタルトランシーバ33から音声信号を伝送するパケットが入力されたとき、音声検出信号を発生するパケット検出部2133、および、他の処理部から音声検出信号が入力されたとき、中継用デジタルトランシーバ33に対してPTT信号を出力するPTT処理部2134を備える。
【0032】
アナログ信号処理部214には、オーディオ入出力端子204を介して、呼出装置5が接続される。アナログ信号処理部214は、呼出装置5から入力されたアナログの音声信号をRTPパケット用のデジタル信号に変換するA/Dコンバータ2141、および、呼出装置5に出力する音声信号をアナログ信号に変換するD/Aコンバータ2142を備える。また、マイクから入力された51から音声信号が入力されたことを検出し、音声検出信号を発生するVOX検出部2143、および、他の処理部から音声検出信号が入力されたとき、マイク51をオフしてスピーカ52をオンするリレー処理部2144を備える。
【0033】
パケット処理部23(231,232,233,234)は、音声検出信号が入力されると、そのとき入力されている音声信号に基づきRTPパケットを作成して送信する。また、ネットワーク1からRTPパケットを受信したとき、音声検出信号を発生するとともに、そのRTPパケットに含まれている音声信号を出力する。パケット処理部231,232,233,234は、ネットワークインタフェース24を介して、それぞれ、予め定められている、または、ユーザによって選択・設定されたネットワーク1上の通信相手との間で、RTPパケットを送受信する。
【0034】
図4は、ミキシング機能がオンされているときのミキシング部21の接続形態を示す図である。なお、この図では、第1通信系統のミキシング部221の接続形態のみを示しているが、ミキシング部222,223,224も同様の接続形態で各系統の音声信号、音声検出信号をミキシング出力する。
【0035】
ミキシング部221は、音声信号を加算合成する加算器2211,2212、および、音声検出信号を論理和する加算器2213,2214を有している。
【0036】
加算器2211は、A/Dコンバータ2111,A/Dコンバータ2121,復調部2131,A/Dコンバータ2141およびRTPパケット読取部2322,2332,2342から入力される音声信号を加算合成する。この音声信号を上りの音声信号としてパケット処理部231のRTPパケット作成部2311へ入力する。すなわち、音声信号の入力先であるパケット処理部231(RTPパケット読取部2312)以外から出力される全ての音声信号を加算合成して上りの音声信号を生成する。入力先のパケット処理部231から出力される音声信号を加算しないのは、エコーやハウリングを防止するためである。
【0037】
加算器2212は、A/Dコンバータ2121,復調部2131,A/Dコンバータ2141およびRTPパケット読取部2312,2322,2332,2342から入力される音声信号を加算合成する。この音声信号を下りの音声信号として信号処理部211のD/Aコンバータ2112へ入力する。すなわち、音声信号の入力先である信号処理部211(A/Dコンバータ2111)以外から出力される全ての音声信号を加算合成して上りの音声信号を生成する。入力先の信号処理部211から出力される音声信号を加算しないのは、エコーやハウリングを防止するためである。
【0038】
音声検出信号を論理和する加算器2213は、SQL検出部2113,VOX検出部2123,パケット検出部2133,VOX検出部2143およびRTPパケット受信検出部2324,2334,2344から入力される音声検出信号を論理和する。そして、論理和された音声検出信号をパケット処理部231のRTPパケット送信指示部2313へ入力する。これにより、上に述べた加算器2211によって作成された上り音声信号がRTPパケット作成部2311からネットワークインタフェース24に出力される。
【0039】
加算器2214は、VOX検出部2123,パケット検出部2133,VOX検出部2143およびRTPパケット受信検出部2314,2324,2334,2344から入力される音声検出信号を論理和する。そして、論理和された音声検出信号を信号処理部211のPTT処理部2114へ入力する。これにより、上に述べた加算器2212によって作成された下り音声信号がRTPパケット作成部2311から無線機インタフェース201を介して中継用トランシーバ31に入力され、ユーザ用トランシーバ41に送信される。
【0040】
以上のミキシング部22の処理により、ミキシング対象の全ての系統の上り,下り音声音声が加算合成されて各系統のトランシーバ4に送信されるため、機種の相違を超えた複数台の相互通信が可能になる。
【0041】
なお、中継装置2において、ミキシング機能をオンすると、全ての通信系統がミキシング対象となるようにしてもよいが、どの通信系統をミキシング対象とするかをユーザが選択できるようにしてもよい。
【0042】
ここで、図2において、信号処理部21、ミキシング部22には制御部25が接続されている。制御部25には、記憶部26、表示部27、操作部28が接続されている。記憶部26には、ミキシング機能がオンされたとき、複数の信号処理系統のうち相互にミキシングを行う信号処理系統(ミキシンググループ)の選択情報が記憶されている。ユーザは、表示部27の表示に基づき、操作部28を操作してミキシンググループの設定をすることができる。
【0043】
ミキシンググループ設定モード時には、表示部27に図5に示すような設定画面が表示され、ユーザは操作部28を操作してラジオボタンをオン/オフすることにより、各通信系統が所属するミキシンググループを選択することができる。そして、この設定内容が記憶部26に記憶される。運用モードにおいて、ユーザは、ミキシング機能をオンするとともに、ミキシンググループを選択してミキシング機能を動作させる。
【0044】
またさらに、トランシーバ4(41,42,43)から、DTMF信号や5トーン信号などのトーン信号を入力し、このトーン信号によって、ミキシング機能のオン/オフ、ミキシンググループの選択、または、ミキシンググループの設定を行えるようにしてもよい。
【0045】
また、図6(A)に示すように、上記構成の通信システム10をネットワーク1を介して複数相互に接続することにより、通信システム10の所謂タコ足接続やディジーチェーン接続が可能になり、通信エリアを超えた広範囲の相互通信も可能になる。
【0046】
また、図6(B)に示すように、ネットワーク1上に無線アクセスポイント6を配置して、RTPパケットの送受信を可能にした多機能携帯電話(スマートフォン)7がネットワーク1にアクセスできるようにし、中継装置2のいずれかの通信系統の通信相手をこの多機能携帯電話機7に設定することにより、多機能携帯電話機7を相互通信のグループに入れることができ、多機能携帯電話機7を所謂インカムとして使用することも可能になる。
【0047】
上記実施形態では、信号処理部21およびパケット処理部24が、音声信号を出力するとき並行して音声検出信号も出力するようにしているが、音声信号を出力する側が音声検出信号を出力するのではなく、音声信号を入力する側が入力される信号レベルを見てVOX処理(PTT信号の発生)をするようにしてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1 ネットワーク
2 中継装置
3(31,32,33) 中継用トランシーバ
4(41,42,43) ユーザ用トランシーバ(子機)
6 無線アクセスポイント
7 多機能携帯電話機(スマートフォン)
20 無線機インタフェース
21 信号処理部
22 ミキシング部
23 パケット処理部
24 ネットワークインタフェース
25 制御部
26 記憶部
27 表示部
28 操作部
図1
図2
図3
図4
図5
図6