(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記停止手段は、前記駆動制御装置の停止時から前記第一所定時間以内に取得した前記相関温度が前記所定温度よりも高い場合に、前記駆動制御装置が再び作動するまでの間、前記第一所定時間経過時から一定時間経過ごとに前記相関温度を取得し、該相関温度が前記所定温度以下であるときに前記無線通信を停止させる
ことを特徴とする、請求項1〜3の何れか1項に記載の車両。
前記停止手段により前記モバイル通信機器との前記無線通信が停止された場合に、前記駆動制御装置の作動状態が第二所定時間以上継続したら前記無線通信を復帰させる復帰手段を有する
ことを特徴とする、請求項1〜4の何れか1項に記載の車両。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、図面を用いて実施の形態を説明する。
なお、本実施形態では、家庭用コンセント等の一般的な車外電源(100V電源)を利用して走行用バッテリへの充電を行なうことができるプラグインハイブリッド車(PHV)を例に説明する。車両に搭載される機器(車載機器)には、高電圧電源自体である走行用バッテリ,走行用バッテリの電力により充電される補機バッテリ及び補機バッテリを充電する補機バッテリ充電装置が含まれる。
【0025】
[1.システム全体構成]
図2は本実施形態にかかる通信制御装置及び車載機器の遠隔操作システムを示す概略構成図である。
図2に示すように、この遠隔操作システムは、車両1に装備され、車載機器を制御する各制御装置(車載機器制御装置)を含んだ車両ネットワーク2と、車載機器を遠隔操作するためのモバイル通信機器としての多機能携帯端末(スマートフォン)3と、車両1に装備され、車両ネットワーク2の各制御装置とスマートフォン3との間に介在する通信ECU(Electronic Control Unit,通信制御装置)4とを備えている。通信ECU4は、スマートフォン3との無線通信を制御する無線ルータとして機能し、無線通信機器やEVリモートECUとも呼ばれる。
【0026】
車両ネットワーク2には、ノイズに強く、通信線の1本が断線しても残る線で通信が可能である特性から、CANが広く使われており、車載の通信ECU4と車両ネットワーク2との間にもCANを用いている。
【0027】
通信ECU4と車両ネットワーク2との通信には、有線のCAN(Controller Area Network)が用いられ、通信ECU4とスマートフォン3との通信には、種々の無線通信網〔例えば、Wi−Fi(wireless fidelity、登録商標),3G(3rd Generation),個人無線通信網(PAN),無線周波数認証通信網(RF)等〕が用いられる。ここでは、通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiが用いられるものとする。
【0028】
通信ECU4とスマートフォン3との通信にWi−Fiを用いるのは、市販されているスマートフォンやその他のモバイル通信機器にWi−Fiを利用可能なものが多く、比較的通信速度が速く、比較的長い無線通信距離(車両との通信可能距離は見通し最大距離約200m程度)を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備をすることなく通信ができ、ランニングコストも低く抑えることができるためである。
【0029】
なお、本実施形態ではWi−Fiを用いるモバイル通信機器としてスマートフォンを例示するが、Wi−Fi通信を用いる場合、スマートフォンだけでなく、Wi−Fi通信を採用し、本遠隔操作システムのアプリケーションプログラム(以下、アプリケーションソフトともいう)のダウンロードが可能であれば、携帯ゲーム機やノートパソコン等を含む種々のモバイル通信機器(Wi−Fiデバイス)が使用できる。
【0030】
図3はこの遠隔操作システムを更に詳細に示す構成図である。
図3に示すように、車両1側には、車載機器として、走行用バッテリ5Aを充電する走行用バッテリ充電装置6A,補機バッテリ5Bを充電する補機バッテリ充電装置6B,エアコン装置(A/C)12及びオーディオ及びカーナビシステム13が搭載されるほか、更に、リアデフォッガ14,ランプ類15,ドアミラー16及びワイパー(図示略)等の電装品や、パワースイッチ17,ドア開閉スイッチ18等が搭載されている。
【0031】
さらに、車両1側には、車載機器を制御する車載機器制御装置として、車両1の駆動を制御する車両ECU(駆動制御装置)21,走行用バッテリ5A及び補機バッテリ5Bの充電を制御する車載充電ECU(充電器)22,エアコン装置12を制御する空調制御装置としてのエアコンECU23,リアデフォッガ14やランプ類15等の電装品の作動を制御する電装品トータル制御ECU24及びパワースイッチ17を制御するパワースイッチECU25が搭載されている。これら車載機器制御装置は、補機バッテリ5Bを電力源とし、補機バッテリ5Bによって作動する。
【0032】
なお、車載機器制御装置としての各ECU21〜25,スマートフォン3及び通信ECU4は、入出力装置,記憶装置(ROM、RAM、不揮発性RAM等のメモリ)、中央処理装置(CPU)及びタイマカウンタ等を含んで構成される。
【0033】
車両ECU21,車載充電ECU22及びパワースイッチECU25は電気自動車CAN(EV−CAN)51によって接続され、エアコンECU23,電装品トータル制御ECU24及びオーディオ及びカーナビシステム13は電装品CAN(SUB−CAN)52によって接続されている。電気自動車CAN51及び電装品CAN52は、通信品質や信頼性,通信速度等に応じて分離形式されたサブネットワークであり、例えば図示しないゲートウェイやブリッジ,リピータ等の接続手段を介して、互いに通信可能に接続されている。
【0034】
車両ECU21には、ブレーキスイッチ19及び温度センサ20が接続されている。また、パワースイッチECU25は、スマートフォン3によって遠隔操作されたときにパワースイッチ17の駆動機構(パワースイッチ駆動機構)を操作しパワースイッチ17をオンオフ操作する機能(パワースイッチ制御手段,図示略)を備えている。
【0035】
パワースイッチ17は、運転席近傍に装備されたプッシュスイッチであり、ドライバによるプッシュ操作に加え、上記のパワースイッチ制御手段によっても操作される。開閉スイッチ18は、車両1の各ドアの開閉状態を取得するセンサである。ブレーキスイッチ19は、ドライバによるブレーキペダルの踏み込み操作を検出するセンサである。温度センサ20は、車両1の外部(車外)の外気温ATを検出するものである。
【0036】
車両ECU21には、ブレーキスイッチ19のオンオフ状態(ブレーキ踏み込み状態)の情報及び温度センサ20で検出された温度情報が入力されるようになっている。また、パワースイッチECU25には、パワースイッチ17のオンオフ状態の情報が入力され、電装品トータルECU24には各ドアの開閉スイッチ18のオンオフ状態(開閉状態)の情報が入力される。これら各情報は、電気自動車CAN51や電装品CAN52を介して車両ECU21等の他のECUに伝達される。
【0037】
パワースイッチ17の操作状態は、ACC(アクセサリーポジション),IG_ON(イグニッションオン),READYオン及びREADYオフの四つの状態がある。
ACCは、オーディオ及びカーナビシステム13のみが作動する状態(オン状態)であり、エアコン装置12及び高電圧系(走行用バッテリ充電装置6Aや補機バッテリ充電装置6B等の高電圧電源を作動させる車載機器)は作動しない状態(オフ状態)である。つまり、車両1は、ACCではバッテリ充電も走行もできない。パワースイッチECU25は、パワースイッチ17が一回プッシュ操作されたという情報が伝達されると、ACCを選択する。
【0038】
IG_ONは、オーディオ及びカーナビシステム13に加え、エアコン装置12が作動する状態であり、高電圧系はオフ状態である。つまり、車両1はIG_ONではACCと同様、バッテリ充電も走行もできない。パワースイッチECU25は、パワースイッチ17が二回プッシュ操作されたという情報が伝達されると、IG_ONを選択し、エアコンECU23にその情報を伝達する。
【0039】
READYオンは、高電圧系を含めた全ての車載機器が作動する状態であり、この状態では車両1は走行することができ、走行用バッテリ5Aや補機バッテリ5Bを充電することもできる。車両ECU21は、ブレーキスイッチ19からブレーキペダルが踏み込まれているという情報が伝達されたときにパワースイッチECU25からパワースイッチ17が長押し操作されたという情報が伝達されると、READYオンを選択する。
【0040】
READYオフは、車両ECU21と駆動系とが切断された状態(この状態を車両ECU21が停止された状態ともいう)であり、IG_OFFとも呼ばれる。READYオフでは、車両1は走行することはできないが、後述のタイマー空調やタイマー充電等の指令が入力されるとエアコン装置12や走行用バッテリ充電装置6Aを作動させることはできる。パワースイッチECU25は、パワースイッチ17が三回プッシュ操作されたという情報が伝達されると、READYオフを選択する。
【0041】
なお、車両ECU21に伝達されたブレーキスイッチ19のオンオフ状態(ブレーキ踏み込み状態)の情報及び温度センサ20で検出された温度情報と、パワースイッチECU25に伝達されたパワースイッチ17のオンオフ状態の情報は、電気自動車CAN51及び電装品CAN52を通じて通信ECU4に入力される。
【0042】
車載充電ECU22は、走行用バッテリ5Aの充電を制御する走行用バッテリ充電制御部22aとしての機能と、補機バッテリ5Bの充電を制御する補機バッテリ充電制御部22bとしての機能とを有する。
図1に示すように、走行用バッテリ充電制御部22aは、走行用バッテリ充電装置6Aを制御して、車外電源から走行用バッテリ5Aに電力を供給し、走行用バッテリ5Aを充電するものである。走行用バッテリ充電装置6Aは、充電ステーション等に設備された専用充電コンセントだけでなく、家庭用コンセント等の一般電源を利用して走行用バッテリ5Aを充電することができる。
【0043】
走行用バッテリ充電制御部22aの制御による走行用バッテリ5Aの充電モードとしては、専用の外部急速充電器を用いる「急速充電」と、専用の200Vの外部充電器を用いる「普通充電,200V」と、家庭用コンセント等の100Vの一般電源を用いる「普通充電,100V」との各モードが設けられている。また、走行用バッテリ充電制御部22aは、例えば家庭用コンセントと車両1とを充電ケーブルで接続する充電操作によって、リアルタイムに充電制御を実施する。
【0044】
また、走行用バッテリ充電制御部22aは、リアルタイムの充電制御のほかに、予めタイマー22a1で充電スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて走行用バッテリ5Aの充電を自動で行なう機能(走行用バッテリ充電タイマー稼動制御手段)22a2を備えている。例えば、予めタイマー22a1で深夜(23時以降)になってから充電するという充電スケジュールを設定し、充電ケーブルを接続したままにしておく。そうすると、走行用バッテリ充電タイマー稼働制御手段22a2は、設定されたスケジュールに応じて(23時以降に)自動的に走行用バッテリ5Aの充電を実施する。この機能を利用することで、電気代の安い深夜に自動的に充電を実施することができる。
【0045】
補機バッテリ充電制御部22bは、補機バッテリ充電装置6Bを制御して、走行用バッテリ5Aから補機バッテリ5Bに電力を供給することにより補機バッテリ5Bを充電するものである。補機バッテリ充電装置6Bは、DC−DCコンバータを含み、走行用バッテリ5Aに充電された高電圧を降圧して、補機バッテリ5Bを充電することができる。
【0046】
補機バッテリ充電制御部22bは、予めタイマー22b1で充電スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて補機バッテリ5Bの充電を自動で行なう機能(補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段)22b2を備えている。補機バッテリの充電スケジュールは、操作者がスマートフォンを用いてタイマー22b1を設定してもよく、操作者の設定によらずに予めタイマー22b1が固定値に設定されていてもよい。
【0047】
なお、補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段22b2が充電スケジュールによって行なう自動充電を「タイマー充電」とも称する。タイマー充電は、予め設定された時刻から、予め設定された充電時間T
CHだけ実施されるようになっている。この充電時間T
CHは、補機バッテリ5Bが一日に消費する電力を充電できる時間であり、例えば10分間に予め設定されている。
【0048】
補機バッテリ充電制御部22bは、さらに判定手段22b3としての機能と、充電停止手段22b4としての機能とを備えている。判定手段22b3は、タイマー充電を行なうことができるか否かを判定するものである。タイマー充電を行なうことができない状態は、車両1を整備しているときである。タイマー充電は、走行用バッテリ5Aから補機バッテリ5Bへの充電が自動的に行われるものであり、充電ガンが差し込まれる通常の充電とは異なり、充電が実施されるタイミングが車両外部からは判別できない。そのため、車両1が整備中の場合に突然高電圧系が作動してタイマー充電が実施されると、予期せぬ事態を招くおそれが生じうる。
【0049】
そこで、判定手段22b3は、車両1が整備中の可能性があるか否かを判定する。この判定には、例えば各ドアの開閉スイッチ18の情報や図示しないハイトセンサの情報が用いられる。つまり、車両1のドアが開放されていたり、車両1がリフトアップ状態であれば、車両1が整備中の可能性があるため、判定手段22b3はタイマー充電を行なうことができないと判定する。判定手段22b3による判定結果は充電停止手段22b4に伝達される。
【0050】
充電停止手段22b4は、判定手段22b3によりタイマー充電を行なうことができないと判定された場合に、補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段22b2によるタイマー充電を無効化し、補機バッテリ充電装置6Bの制御又は稼動を中止するものである。つまり、充電停止手段22b4は、判定手段22b3の判定結果に応じて走行用バッテリ5Aから補機バッテリ5Bへのタイマー充電を停止させる。
【0051】
例えば、補機バッテリ5Bのタイマー22b1が14時に設定されている場合、補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段22b2は、毎日14時になったら補機バッテリ充電装置6Bを制御して補機バッテリ5Bを充電する。しかし、車両1が14時の時点で整備中である場合は、タイマー充電が停止され、この日はタイマー充電が実施されないことになる。
【0052】
補機バッテリ充電装置6Bは、この補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段22b2によるタイマー充電のほかに、自動的に走行用バッテリ5Aから補機バッテリ5Bへ電力供給を実施し、補機バッテリ5Bを充電する。この充電は、作動状態が所定の時間(例えば10分間)継続されると、補機バッテリ5Bに十分電力が蓄えられたとして自動的に充電が停止される。
なお、補機バッテリ5Bは、走行用バッテリ5Aから供給される電力により充電されるものに限られず、走行用バッテリ5Aと同様、車外電源から供給される電力により充電されるものであってもよい。
【0053】
図3に示すように、エアコンECU23は、車両ECU21及び通信ECU4からの情報に基づき、エアコン装置12を制御するものである。エアコン装置12は室内の空調(冷房,暖房)のほかフロントガラスへの送風も行なう。また、予めタイマーでこれらの空調スケジュールを設定して、設定したスケジュールに応じて室内空調及びフロントガラスへの送風を行なう「タイマー空調」の作動モードが設けられている。エアコンECU23は、リアルタイムの空調制御と、タイマー空調制御とを行なうようになっている。
【0054】
タイマー空調制御は、車両1に乗車する前に車室内の空調を整えておきたい(エアコンが効いた状態にしたい)と考えた場合に利用され、プレ空調とも呼ばれる。例えばマイカー通勤をしている人であって平日は毎日略同じ時間に車両1に乗車する場合、乗車時刻の少し前にエアコン装置12が作動するようにタイマーを設定しておくことが可能である。タイマーは、曜日や作動開始時刻を設定することができる。
【0055】
エアコン装置12による空調モードとしては、室内空調に関する「空調待機中(冷房)」,「空調作動中(冷房)」,「空調待機中(暖房)」,「空調作動中(暖房)」の各モードと、フロントガラス送風に関する「空調待機中(フロントガラスへ送風)」,「空調作動中(フロントガラスへ送風)」の各モードとが設けられる。各空調待機中モードは空調スケジュールが設定されているが空調が開始されていない状態に相当する。
【0056】
電装品トータル制御ECU24は、リアデフォッガ14,ヘッドライトやポジションランプ等のランプ類15,ドアミラー16及びワイパーなどの電装品の作動を制御すると共に、これらの電装品の作動状況を把握する。
【0057】
[2.通信制御装置]
通信ECU4は、
図3に示すように、送受信アンテナ部41と、パワースイッチ17がIG_ONの位置に操作されているときにイグニッション電源が接続されるIG端子42と、バッテリ電源と常時接続する+B端子43と、アース接続される接地アース端子44と、電装品CAN52と接続されるCAN接続端子45とを備えている。さらに通信ECU4は、充電機能を一時的に待機させるための信号WUCIを出力する充電待機信号出力部46と、電気自動車のシステムを起動させるためのWake Up信号WUCOを出力するシステム起動信号出力部47とを備えている。
【0058】
通信ECU4は、
図1に示すように通信手段4aとしての機能を有している。通信手段4aは、スマートフォン3による遠隔操作を受信してその情報を車両ECU21や車載充電ECU22等に伝達するとともに、走行用バッテリ5Aの充電状態や車両ECU21等の制御状態等をスマートフォン3に送信するものであり、無線による通信制御を実施する。スマートフォン3には、遠隔操作システムのアプリケーションソフトがダウンロードされており、このアプリケーションソフトを起動させることで、スマートフォン3のタッチパネルディスプレイ30の画面に、様々な画像が表示される。なお、ここではタッチパネルディスプレイ30の画面に表示される画像については説明を省略する。
【0059】
通信ECU4は、補機バッテリ5Bを電力源とし、補機バッテリ5Bによって作動される。通信ECU4は、走行用バッテリ5Aの作動状態に関わらず、常にスマートフォン3からの発信を受信できるように通信待機状態となっている。つまり、補機バッテリ5Bは通信ECU4の待機電流により常時通電状態とされる。特にWi−Fi等を利用した無線通信の場合は、通信ECU4の待機電流が大きいため、補機バッテリ5Bの充電容量は低下しやすい。そこで、一日中(24時間)通信ECU4を待機状態とさせた場合に消費される電力を予め求めておき、通信ECU4が一日に消費する補機バッテリ5Bの電力を高電圧系の作動時(すなわちREADYオン状態のとき)又はタイマー充電により充電する。これにより補機バッテリ5Bのバッテリ上がりを防止している。
【0060】
しかしながら、上記したように補機バッテリ5Bのタイマー充電が充電停止手段22b4により停止された場合、その日はタイマー充電が実施されない。さらにこのとき、高電圧系が作動状態にされなければ(例えば車両1がREADYオンにならなかった場合)、補機バッテリ5Bの充電は行なわれない。そのため、この場合に通信ECU4が常時通信待機状態であると、補機バッテリ5Bの電力を消費し続け、補機バッテリ5Bの電力が不足してバッテリ上がりを生じてしまう。あるいは、補機バッテリ5Bのタイマー充電が行なわれた場合であっても、補機バッテリ5Bの温度が低く、充電受入性が低下している場合は、所望の充電量が充電されず、バッテリ上がりが生じるおそれがある。
【0061】
そこで、本実施形態では、通信ECU4において、補機バッテリ5Bの電力不足によるバッテリ上がりを防止する通信制限制御が実施される。通信ECU4はこの通信制限制御を実施するために、
図1に示すように、停止手段4bとしての機能と、復帰手段4cとしての機能と、補正手段4dとしての機能とを有する。
【0062】
停止手段4bは、次の三つの条件のうち、いずれか一つの条件が成立した場合に、通信手段4aによる通信待機状態をオフにする(言い換えると、スマートフォン3と通信ECU4との無線通信を停止する)ものである。
【0063】
第一の条件は、READYオフ時から第一所定時間T1が経過する間に一度もREADYオンにならず、且つタイマー充電が実施されないことである。タイマー充電は通常であれば充電スケジュールに従って毎日決まった時間に行なわれるものであるが、上記したように充電停止手段22b4により停止されることもある。この場合にREADYオンにもなっていない場合は、補機バッテリ5Bの充電容量が低下したまま充電されないため、停止手段4bは通信ECU4の通信待機状態をオフにする。なお、ここでいう第一所定時間T1は、24時間よりも長い時間であり、補機バッテリ5Bの容量に応じて、例えば36時間に設定されている。
【0064】
第二の条件は、READYオフ時から第一所定時間T1が経過する間に一度もREADYオンにならず、且つ第一所定時間T1が経過した時刻に取得された外気温ATが所定温度AT
0以下のときである。第一所定時間T1は前述の第一の条件と同じ時間である。また、外気温ATは、補機バッテリ5Bの温度に相関する相関温度として、温度センサ20により取得される。言い換えると、補機バッテリ5Bの温度を直接検出するのではなく、外気温ATで代用することで、補機バッテリ5Bの充電受入性に影響を与える温度を容易に検出することができる。また、所定温度AT
0は、補機バッテリ5Bの充電受入性が低下し、予め設定された充電時間T
CHだけタイマー充電が実施されても、所望の電力(すなわち補機バッテリ5Bが一日に消費する電力)が補機バッテリ5Bに充電されない温度であり、例えば-15℃に設定されている。
【0065】
つまり、停止手段4bは、READYオフ時から第一所定時間T1が経過する間に一度もREADYオンにならず、さらにその時(第一所定時間T1が経過した時刻)に温度センサ20で検出された外気温ATが所定温度AT
0以下であれば、タイマー充電が実施されていても補機バッテリ5Bに十分に電力が充電されていないものとみなして、通信ECU4の通信待機状態をオフにする。これにより、通信手段4aによるスマートフォン3との無線通信が停止され、通信ECU4の通信待機状態による補機バッテリ5Bの電力低下が防止される。
【0066】
なお、外気温ATを取得するタイミングは上記したもの限られず、READYオフ時から第一所定時間T1が経過する間であればよく、例えばタイマー充電が行われる時刻の前後や、外気温ATが低くなる夜間であってもよい。また、相関温度は外気温ATに限られず、補機バッテリ5Bの周辺温度や走行用バッテリ5Aの温度であってもよい。また、補機バッテリ5Bの温度を直接検出してもよい。
【0067】
第三の条件は、第二の条件が成立しなかった場合であっても、さらにその後READYオンになるまでの間に外気温ATが所定温度AT
0以下になることである。つまり、READYオフ時から第一所定時間T1が経過した時の外気温ATが所定温度AT
0よりも高い場合は第二の条件が成立しないため、このときは通信手段4aによる通信待機状態が継続される。しかしながら、その後もREADYオンにならなければ、補機バッテリ5Bの電力消費量は増大していく。このとき仮に、外気温ATが所定温度AT
0よりも僅かに高い程度の温度(この場合でいうと、例えば-12℃)であり、補機バッテリ5Bの充電受入性が常温時と比較して低下しているとすると、タイマー充電によって補機バッテリ5Bに所望の電力が充電されていない可能性が高い。
【0068】
そこで、第二の条件が不成立であり、その後READYオンになるまでの間に外気温ATが所定温度AT
0以下になった場合は、停止手段4bは、その時点で通信ECU4の通信待機状態をオフにする。これにより、スマートフォン3との無線通信が停止され、通信ECU4の通信待機状態による補機バッテリ5Bの電力低下が防止される。なおここでは、停止手段4bは、READYオフから第一所定時間T1が経過した時刻(外気温ATと所定温度AT
0とを比較した時)から一定時間T
Sが経過するごとに外気温ATと所定温度AT
0とを比較する。これにより、常時外気温ATの変化を監視する必要がなくなり、制御負担が軽減される。なお、外気温ATは日中と夜間とで大きな差があり、一定時間T
Sを例えば6時間に設定することで、制御負担を軽減しながら、外気温ATの変化を適切に監視することが可能である。
【0069】
復帰手段4cは、停止手段4bにより通信ECU4の通信待機状態がオフにされた状態で所定の復帰条件が成立した場合に、通信ECU4を通信待機状態に復帰させるものである。言い換えると、停止手段4bによってスマートフォン3との無線通信が停止された後、復帰条件が成立すれば通信手段4aによる無線通信を復帰させるものである。このときの復帰条件は、READYオン状態が第二所定時間T2以上継続することである。
【0070】
ここでいう第二所定時間T2は、通信ECU4を一日通信待機状態にした場合に補機バッテリ5Bが消費する電力を補う(充電する)ことができる時間の最小値であり、例えば10分間に設定されている。第二所定時間T2が最小値に設定されている理由は、走行用バッテリ5Aの電力を必要以上に補機バッテリ5Bへ供給することで航続距離が短くなることを防止するためである。
【0071】
つまり、復帰手段4cは、車両ECU21の作動状態が第二所定時間T2以上継続した場合は、スマートフォン3との無線通信を復帰させることができるだけの電力が補機バッテリ5Bに充電されたとみなして、通信ECU4を通信待機状態とする。この復帰条件により、一瞬READYオンになっただけでは無線通信が復帰されないため、補機バッテリ5Bのバッテリ上がりが確実に防止される。
【0072】
補正手段4dは、復帰手段4cが復帰条件の判断に用いる第二所定時間T2を補正するものである。ここでは補正手段4dは、温度センサ20で検出された外気温ATに応じて第二所定時間T2を補正する。補機バッテリ5Bは、外気温ATがある閾値温度AT
1よりも低くなると充電受入性が低下し始めるという特性を有する。そのため、補正手段4dは、外気温ATが閾値温度AT
1以下の場合に、外気温ATが低いほど第二所定時間T2を長くするように補正する。なお、この閾値温度AT
1は採用する電池の特性や車両システムによって異なるが、-8℃〜10℃程度である。つまり閾値温度AT
1は上記の所定温度AT
0よりも高い温度である。言い換えると、上記の所定温度AT
0は、この閾値温度AT
1よりも低い温度に設定されている。
【0073】
また、補正手段4dは、外気温ATに代えて、補機バッテリ5Bの充電率SOCに応じて第二所定時間T2を補正してもよい。この場合は、補機バッテリ5Bの充電率SOCを取得する手段を設ける必要がある。例えば、補機バッテリ5Bの電圧や電流等を検出し、この情報から補機バッテリ5Bの充電率SOCを推定する。この推定手法としては、補機バッテリ5Bの初期の充電量に対し、充電された電力量を加算していく一方、放電された電力量を減算し、補機バッテリ5Bから充放電される電力量を追跡計算していく方法が挙げられる。
【0074】
つまり、補正手段4dは、実際に補機バッテリ5Bの充電率SOCを把握し、復帰条件である第二所定時間T2の間READYオン状態になって補機バッテリ5Bが充電されても、一日消費した分を補うことができない(補機バッテリ5Bの充電量が不足する)場合は、第二所定時間T2を長くするように補正する。
なお、補正手段4dは、外気温AT及び補機バッテリ5Bの充電率SOCに応じて、第二所定時間T2を補正してもよい。また、補正手段4dを省略し、第二所定時間T2を固定値(例えば10分間)としてもよい。この場合は制御負荷を軽減させることができる。
【0075】
[3.フローチャート]
次に、
図4のフローチャートを用いて、本実施形態に係る通信ECU4で実行される通信制限制御の例を説明する。なお、ここでは補正手段4dによる第二所定時間T2の補正は行われないものを例示する。つまり、復帰条件の判断に用いる第二所定時間T2は予め設定された固定値であるとする。このフローチャートは、通信ECU4の内部において所定周期で繰り返し実施される。
【0076】
図4に示すように、まずステップS10において通信ECU4が通信待機状態であるか否かが判定される。通信手段4aによる通信待機中(すなわち、通信中)であればステップS20へ進み、無線通信の停止条件の判定が実施される。一方、通信待機中でなければ(すなわち、通信手段4aによる無線通信停止中であれば)、ステップS130へ進み、無線通信の復帰条件の判定が実施される。
【0077】
まず停止条件の判定について説明する。ステップS20では、READYオフ状態であるか否かが判定され、READYオフ状態であればステップS30へ進み、READYオン状態であればこの制御周期を終了する。ステップS30では、READYオフ状態が第一所定時間T1以上継続したか否かが判定され、第一所定時間T1以上継続していればステップS40へ進み、第一所定時間T1未満であればこの制御周期を終了する。
【0078】
ステップS40では、第一所定時間T1の間に補機バッテリ充電タイマー稼動制御手段22b2によるタイマー充電が実施されたか否かが判定される。なおステップS40の判定には、この他に第一所定時間T1の間にプレ空調や走行用バッテリ5Aの充電が実施され、DC−DCコンバータが10分間作動されたか否かの判定を含む。ステップS40の判定がYESであればステップS50へ進み、フラグFがF=0であるか否かが判定される。一方、ステップS40の判定がNOの場合は、上記の第一の条件が成立するためステップS110へ進み、停止手段4bにより通信待機状態がオフにされる(スマートフォン3と通信ECU4との無線通信が停止される)。そして、ステップS120においてフラグFがF=0にリセットされ、この制御周期を終了する。
【0079】
ここで、フラグFは外気温ATと所定温度AT
0とを比較した結果AT>AT
0と判定されたか否かをチェックするための変数(外気温ATを再判定するか否かをチェックするための変数)であり、フラグF=1は外気温ATと所定温度AT
0とを比較した結果AT>AT
0と判定された場合(再判定が不要な場合)に対応し、フラグF=0はそれ以外の場合に対応する。なお、初期値はF=0に設定されている。そのため、最初のステップS50の判定ではステップS60へ進み、温度センサ20により外気温ATが検出される。
【0080】
ステップS70では、外気温ATが所定温度AT
0よりも高いか否かが判定され、AT>AT
0であればステップS80へ進み、フラグFがF=1に設定され、ステップS90へ進む。一方、AT≦AT
0であれば上記の第二の条件が成立するためステップS110へ進み、停止手段4bにより通信待機状態がオフにされる(スマートフォン3と通信ECU4との無線通信が停止される)。そして、ステップS120においてフラグFがF=0にリセットされ、この制御周期を終了する。
【0081】
ステップS90では、フラグFをF=1に設定した時(すなわち、外気温ATと所定温度AT
0とを比較した時)から一定時間T
Sが経過したか否かが判定され、一定時間T
Sが経過していなければこの制御周期を終了する。そして、一定時間T
Sが経過するまでの間にREADYオフ状態が続けば、これ以降の制御周期ではステップS50からステップS90へ進み、ステップS90の判定が繰り返し実施される。
【0082】
なお、ステップS40の判定条件中の所定時間T1は、最初の制御周期ではREADYオフからカウントした時間(すなわち、ステップS30の第一所定時間T1と同一)であり、タイマー充電が実施された後は、前回のタイマー充電時刻からカウントした時間とする。つまり、ステップS30のT1とステップS40のT1とが別の時間であってもよい。
【0083】
ステップS90において一定時間T
Sが経過したと判定されると、ステップS100へ進み、フラグFがF=0にリセットされてこの制御周期を終了する。そして、次周期では再びステップS60へ進み、外気温ATが検出されてステップS70の判定が行われる。このときAT≦AT
0であれば上記の第三の条件が成立するためステップS110へ進み、停止手段4bにより通信待機状態がオフにされる(スマートフォン3と通信ECU4との無線通信が停止される)。そして、ステップS120においてフラグFがF=0にリセットされ、この制御周期を終了する。このようにして停止条件の判定が実施される。
【0084】
次に復帰条件の判定について説明する。ステップS10において通信待機中でないと判定された場合は、スマートフォン3と通信ECU4との無線通信が停止された状態であるため、ステップS130へ進み、READYオン状態であるか否かが判定される。READYオンでない場合は、この制御周期を終了し、無線通信は復帰されない。一方、READYオンである場合は、このREADYオン状態が第二所定時間T2以上継続されたか否かが判定される。つまり、補機バッテリ5Bに対して、通信ECU4の待機電流により消費された電力が充電されたか否かが判定される。
【0085】
READYオン状態が第二所定時間T2以上継続された場合はステップS150へ進み、復帰手段4cによって通信ECU4が通信待機状態に復帰される(スマートフォン3と通信ECU4との無線通信が再開される)。そして、ステップS160においてフラグFがF=0にリセットされ、この制御周期を終了する。一方、READYオン状態が第二所定時間T2未満である場合は、この制御周期を終了する。つまり、READYオン状態が第二所定時間T2の間継続された場合のみ、無線通信が復帰される。
【0086】
[4.作用・効果]
次に、
図5及び
図6を用いて通信制限制御の作用を説明する。
図5及び
図6は、通信ECU4の通信待機オン又は通信待機オフ,READYオン又はREADYオフ,及びタイマー充電のオンオフの状態を時間の経過とともに示したタイムチャートである。なお、
図5及び
図6に示す例では、タイマー充電は毎日14時に通常通り実施されるものとする。
【0087】
図5及び
図6に示すように、日曜日の22時にREADYオンからREADYオフへ切り替えられると、この時から通信ECU4内のタイマーによるカウントが開始される。なお、READYオフになった場合であっても、通信手段4aによって通信待機状態はオンのままにされる。READYオフ時から第一所定時間T1(36時間)が経過するまでの間に一度もREADYオンにならなければ、第一所定時間T1が経過した時(火曜日の10時)に外気温ATが取得され、この時の外気温ATと所定温度AT
0とが比較される。
【0088】
図5では、火曜日の10時の段階でAT≦AT
0が成立した場合を例示している。つまりこの場合は、READYオフになった時(日曜日の22時)から第一所定時間T1が経過した時(火曜日の10時)に取得された外気温ATが所定温度AT
0以下であるため、停止手段4bはこの時(火曜日の10時)に通信ECU4の通信待機状態をオンからオフに切り替える。
【0089】
一方、
図6では、火曜日の10時の段階でAT≦AT
0が成立しない場合を例示している。つまりこの場合は、READYオフになった時(日曜日の22時)から第一所定時間T1が経過した時(火曜日の10時)に取得された外気温ATが所定温度AT
0よりも高いため、この時点ではスマートフォン3との無線通信は停止されない。この後もREADYオフの状態が続くと、外気温ATと所定温度AT
0とを比較した時(火曜日の10時)から一定時間T
S(6時間)が経過した時(火曜日の16時)に、再び外気温ATが取得される。つまり、火曜日の16時に再び外気温ATと所定温度AT
0とが比較される。
【0090】
ここでもAT>AT
0であれば、通信ECU4の待機状態はオンのままとされ、さらに一定時間T
S(6時間)が経過した時(火曜日の22時)に外気温ATが取得される。そして、AT≦AT
0が成立した時に、停止手段4bによって通信ECU4の通信待機状態がオンからオフに切り替えられる。
通信待機状態がオフにされた後は、
図5及び
図6に示すように、READYオフからREADYオンに切り替えられた時からREADYオン状態が第二所定時間T2以上継続したら、通信待機状態がオンに切り替えられる(無線通信が復帰される)。
【0091】
したがって、本実施形態にかかる通信ECU4を搭載した車両1によれば、車両ECU21の停止時(すなわちREADYオフ時)から第一所定時間T1以内に取得された補機バッテリ5Bの温度に相関する相関温度ATが所定温度AT
0以下であれば、スマートフォン3との無線通信を停止させるため、通信ECU4の電力源となる補機バッテリ5Bの電力不足を回避し、バッテリ上がりを確実に防止することができる。
【0092】
つまり、相関温度ATが低い場合は、補機バッテリ5Bの充電受入性が低下し、通常のタイマー充電を行なったとしても、所望の充電量が得られない可能性が高い。この状態のまま無線通信待機状態としておくと、補機バッテリ5Bの電力が不足しバッテリ上がりが生じてしまう。補機バッテリ5Bが上がってしまうと、他の車載機器や走行用バッテリ5A等に異常がなくても車両1は走行することができなくなってしまうが、このような事態を回避することができる。
【0093】
また、ここでは相関温度として外気温ATが取得されるため、温度センサ20によって容易に補機バッテリ5Bの温度に相関する温度を取得することができる。さらに外気温ATを相関温度とすることで、補機バッテリ5Bに温度センサを設ける必要がないため、コストを低減することができる。
また、停止手段4bがREADYオフ(車両ECU21の停止時)から第一所定時間T1が経過した時に外気温ATを取得して所定温度AT
0と比較するため、温度の判定と無線通信を停止させる制御とを同時に行うことができ、制御負担を低減することができる。
【0094】
また、停止手段4bは、READYオフ(車両ECU21の停止時)から第一所定時間T1以内に取得した外気温ATが所定温度AT
0より高い場合であっても、次にREADYオンにされるまでの間、第一所定時間T1の経過時から一定時間T
Sが経過するごとに外気温ATを取得し、外気温ATが所定温度AT
0以下であるときに通信手段4aによる無線通信を停止させる。これにより、補機バッテリ5Bのバッテリ上がりを確実に防止することができる。また、一定時間T
S経過ごと外気温ATを取得するので、常に外気温ATの変化を監視する必要がなく、制御負担を軽減することができる。
【0095】
また、READYオンの状態(すなわち、車両ECU21の作動状態)が第二所定時間T2以上継続したらスマートフォン3との無線通信を復帰させるため、補機バッテリ5Bのバッテリ上がりを確実に防止することができる。つまり、一瞬READYオンになっただけでは無線通信を復帰させず、READYオンの状態が第二所定時間T2継続することを復帰条件とすることで、補機バッテリ5Bの充電量を確保することができる。
【0096】
なお、この第二所定時間T2が、通信ECU4を一日通信待機状態にした場合に補機バッテリ5Bが消費する電力を補う(充電する)ことができる時間の最小値に設定されているため、走行用バッテリ5Aの電力を必要以上に補機バッテリ5Bへ供給することで航続距離が短くなることを防止することができる。さらにこの場合は、第二所定時間T2を補正する処理が不要なため、演算負荷を低減することができ、補機バッテリ5Bの充電率SOCを推定又は検出する手段も不要である。
【0097】
また、この第二所定時間T2を補正する補正手段4dを有しているため、無線通信を復帰させる復帰条件を最適なものにすることができる。
例えば、補正手段4dが外気温ATに応じて第二所定時間T2を補正する場合は、温度の影響を考慮した上で補機バッテリ5Bの充電量を適切に確保することができる。すなわち、外気温ATが閾値温度AT
1よりも低い場合は補機バッテリ5Bの充電受入性が低下し始めるため、外気温ATが閾値温度AT
1以下の場合に、外気温ATが低いほど第二所定時間T2を長くするように補正することで、補機バッテリ5Bの充電量を適切に確保することができる。
【0098】
また、補正手段4dが補機バッテリ5Bの充電率SOCに応じて第二所定時間T2を補正する場合は、実際の補機バッテリ5Bの充電率SOCを把握することができるため、より適切に補機バッテリ5Bの充電量を確保することができる。
【0099】
[5.その他]
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形することが可能である。
上記した第一所定時間T1,第二所定時間T2,一定時間T
S,充電時間T
CHは一例であって、上記した時間に限られない。例えば第一所定時間T1や一定時間T
Sを上記した時間よりも短く設定することで、外気温ATと所定温度AT
0とを比較する時間間隔が短くなるため、補機バッテリ5Bの電力不足をより確実に防止することができるようになる。また、第二所定時間T2や充電時間T
CHを上記した時間よりも長く設定することで、補機バッテリ5Bの充電率を高い状態で維持することができる。
【0100】
また、復帰条件は上記した「READYオン状態が第二所定時間T2継続した」ことに限られない。例えば、この復帰条件に代えて、「一瞬でもREADYオン状態になった」ことを仮復帰条件とし、「無線通信復帰後、READYオン状態が第二所定時間T2継続しなかった」ことを仮復帰取消条件とする。これによれば、仮復帰条件が成立したらスマートフォン3との無線通信は復帰されるが、その後仮復帰取消条件が成立した場合は再度無線通信が停止されるため、補機バッテリ5Bのバッテリ上がりを防止することができる。
【0101】
また、上記の実施形態では、Wi−Fi通信を利用する例を説明したが、利用しうる通信規格はこれに限らない。近くにある接続可能な無線LANの受信機に対して自動的に接続する機能を有するモバイル通信機器の場合、有効に適用できる。もちろん、Wi−Fi通信のように、通信速度が速く、比較的長い無線通信距離を確保でき、しかも、汎用性が高くインフラの整備が不要であり、ランニングコストも低く抑えることができるものが好ましい。