特許第6098191号(P6098191)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098191
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】撮影装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/225 20060101AFI20170313BHJP
   H04N 5/232 20060101ALI20170313BHJP
   G03B 15/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H04N5/225 C
   H04N5/232 Z
   G03B15/00 V
   G03B15/00 H
【請求項の数】6
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-17138(P2013-17138)
(22)【出願日】2013年1月31日
(65)【公開番号】特開2014-150358(P2014-150358A)
(43)【公開日】2014年8月21日
【審査請求日】2016年1月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】304020498
【氏名又は名称】サクサ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(72)【発明者】
【氏名】寺谷 章
(72)【発明者】
【氏名】瀧川 修一
【審査官】 鹿野 博嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2001−358984(JP,A)
【文献】 特開2003−030776(JP,A)
【文献】 特開2002−199382(JP,A)
【文献】 特開2007−134991(JP,A)
【文献】 特開2008−298532(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/225
G03B 15/00
H04N 5/232
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
路上を走行する車両の速度の測定に用いる第1のフレームレートと、異物の検出に用いる第2のフレームレートとを切り替えて撮影して画像データを生成する撮影部と、
前記撮影部が前記第1のフレームレートで撮影して生成した前記画像データを解析して、当該画像データに含まれている車両の速度を測定する測定部と、
前記撮影部が前記第2のフレームレートで撮影して生成した前記画像データを解析して、前記路上に存在する異物を検出する検出部と、
前記測定部により測定された前記車両の速度に基づいて、前記測定部が前記車両の速度の測定に用いる前記画像データを前記撮影部が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを調整する調整部と、
を備える撮影装置。
【請求項2】
前記調整部は、前記測定部が前記車両の速度を測定できなかった場合に、前記第1のフレームレートを高くする、
請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
前記調整部は、前記車両の速度が所定の速度より小さい場合に、前記第1のフレームレートとともに、前記第2のフレームレートを調整する、
請求項1又は2に記載の撮影装置。
【請求項4】
前記撮影部は、それぞれ異なる位置から同時に撮影することで、同一のタイミングにおいて撮影された複数の画像データからなる複眼画像データを生成し、
前記検出部は、前記複眼画像データを解析して前記異物を検出する、
請求項1からのいずれか1項に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記測定部は、前記第1のフレームレートが所定値以下の場合、前記複眼画像データを解析して前記車両の速度を測定し、前記第1のフレームレートが前記所定値より高い場合、前記複眼画像データに含まれる一の画像データを解析して前記車両の速度を測定する、
請求項に記載の撮影装置。
【請求項6】
複数の撮影装置とデイジーチェーン接続された撮影装置であって、
路上を走行する車両の速度の測定に用いる第1のフレームレートと、異物の検出に用いる第2のフレームレートとを切り替えて撮影して画像データを生成する撮影部と、
前記撮影部が前記第1のフレームレートで撮影して生成した前記画像データを解析して、当該画像データに含まれている車両の速度を測定する測定部と、
前記撮影部が前記第2のフレームレートで撮影して生成した前記画像データを解析して、前記路上に存在する異物を検出する検出部と、
前記測定部により測定された前記車両の速度に基づいて、前記測定部が前記車両の速度の測定に用いる前記画像データを前記撮影部が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを調整する調整部と、
を備える撮影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路上を走行する車両を撮影する撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、道路に沿って設置された撮影装置により、路上を走行する車両の速度等を計測し、計測結果に基づいて生成される統計的パラメータに基づいて交通状態の異常を検出する監視装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、道路に沿って設置された撮影装置を用いて、落下物を検出するシステムが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−320686号公報
【特許文献2】特開2002−99903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の撮影装置においては、常に同じフレームレートで撮影していた。したがって、最も速く走行する車両の速度を測定できるように、十分に高いフレームレートで撮影しなければならなかった。ところが、撮影時のフレームレートが高いと、撮影時の消費電力が大きくなるとともに、撮影された画像を解析して車両速度を検出する画像処理においても消費電力が大きくなるという問題があった。さらに、高速車両の速度を測定するために撮影のフレームレートを大きくすると、小さな異物の検出に必要な露出量を確保できないという問題も生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点を鑑みてなされたものであり、電力消費量を調整しつつ、走行車両の監視及び異物の検出を行うことができる撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様に係る撮影装置は、路上を走行する車両を撮影して画像データを生成する撮影部と、前記撮影部が生成した前記画像データを解析して、当該画像データに含まれている車両の速度を測定する測定部と、前記撮影部が生成した前記画像データを解析して、前記路上に存在する異物を検出する検出部と、前記測定部により測定された前記車両の速度に基づいて、前記測定部が前記車両の速度の測定に用いる前記画像データを前記撮影部が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを調整する調整部と、を備える。
【0007】
前記調整部は、例えば、前記測定部が前記車両の速度を測定できなかった場合に、前記第1のフレームレートを高くする。前記撮影部は、前記測定部が前記車両の速度の測定に用いる前記第1のフレームレートと、前記検出部が前記異物の検出に用いる第2のフレームレートとを切り替えて撮影し、前記測定部は、前記撮影部が前記第1のフレームレートで撮影して生成された前記画像データを解析して前記車両の速度を測定し、前記検出部は、前記撮影部が前記第2のフレームレートで撮影して生成された前記画像データを解析して前記異物を検出してもよい。前記調整部は、前記車両の速度が所定の速度より小さい場合に、前記第1のフレームレートとともに、前記第2のフレームレートを調整してもよい。
【0008】
また、前記撮影部は、それぞれ異なる位置から同時に撮影することで、同一のタイミングにおいて撮影された複数の画像データからなる複眼画像データを生成し、前記検出部は、前記複眼画像データを解析して前記異物を検出してもよい。前記測定部は、前記第1のフレームレートが所定値以下の場合、前記複眼画像データを解析して前記車両の速度を測定し、前記第1のフレームレートが前記所定値より高い場合、前記複眼画像データに含まれる一の画像データを解析して前記車両の速度を測定してもよい。
【0009】
本発明の第2の態様に係る撮影装置は、複数の撮影装置とデイジーチェーン接続された撮影装置であって、路上を走行する車両を撮影して画像データを生成する撮影部と、前記撮影部が生成した前記画像データを解析して、当該画像データに含まれている車両の速度を測定する測定部と、前記撮影部が生成した前記画像データを解析して、前記路上に存在する異物を検出する検出部と、前記複数の撮影装置のうち、少なくともいずれか1台の撮影装置から、当該撮影装置において測定された速度を示す情報を受信する通信部と、前記通信部が受信した前記車両の速度を示す情報に基づいて、前記測定部が前記車両の速度の測定に用いる前記画像データを前記撮影部が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを調整する調整部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、電力消費量を抑制しつつ、走行車両の監視及び異物の検出を行うことができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態の撮影システムの構成例を示す図である。
図2】第1の実施形態の撮影システムの使用態様の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る撮影装置のトンネルへの設置例を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る撮影装置の機能構成図である。
図5】第1の実施形態に係る調整用情報を示すテーブルである。
図6】第1の実施形態に係るデータ処理装置の機能構成図である。
図7A】第1のフレームレート及び第2フレームレートと車両の速度との関係の一例を示す。
図7B】第1のフレームレート及び第2フレームレートと車両の速度との関係の一例を示す。
図8】第3の実施形態に係る調整用情報を示すテーブルである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
<第1の実施形態>
[撮影システム1の基本構成]
図1は、第1の実施形態に係る撮影システム1の構成例を示す図である。図2は、第1の実施形態に係る撮影システム1の使用態様の一例を示す図である。図3は、第1の実施形態に係る撮影装置10のトンネルTへの設置例を示す図である。
【0013】
撮影システム1は、複数の撮影装置10(撮影装置10−1、10−2、・・・、10−n、ただしnは3以上の自然数)と、データ処理装置20と、モニタ30と、ハブ40と、通信線50とを備える。
【0014】
複数の撮影装置10は、複数の群を構成し、この複数の群それぞれでデイジーチェーン接続されている。例えば、撮影装置10−1、10−2、・・・、10−i(ただし、iはn以下)は、通信線50(通信線50−1、50−2、・・・、50−i)により、デイジーチェーン接続されており、一の群を構成している。ここで、通信線50は、例えばLAN(ローカルエリアネットワーク)用の8芯ケーブルである。以下、複数の撮影装置10のそれぞれを区別しないとき、単に撮影装置10という。
【0015】
データ処理装置20は、例えばサーバである。データ処理装置20は、データ処理装置20が受信した情報を表示するモニタ30と接続されている。データ処理装置20は、ハブ40及び通信線50を介して、複数の撮影装置10から構成される複数の群それぞれと接続されている。データ処理装置20は、撮影装置10から、速度の低下や異物の検出を示すアラーム情報を受信する。なお、データ処理装置20は、撮影装置10から、撮影された画像を受信してもよい。
【0016】
撮影システム1において、撮影装置10は、路上を走行する車両を含む画像を撮影して画像データを生成し、撮影した画像データに基づいて車両の速度を検出することにより走行車両の監視を行う。そして、撮影装置10は、検出した速度に基づいて、撮影するフレームレートを変更する。さらに、撮影装置10は、車両の速度の低下や落下物等の異物を検出すると、データ処理装置20にアラーム情報を送信する。
【0017】
一例として、複数の撮影装置10は、図3に示すように、トンネルTの内部に設置されている。複数の撮影装置10は、トンネルTの内部を走行する車両を撮影した画像データに基づいて車両の速度の低下や落下物等の異物を検出すると、検出した旨を示すアラーム情報をデータ処理装置20に送信する。以下、図3に示すように、車両の進行方向を下流と称し、進行方向とは逆方向を上流と称する。
【0018】
[撮影装置10の構成例]
続いて、第1の実施形態に係る撮影装置10の機能の詳細を説明する。
図4は、第1の実施形態に係る撮影装置10の機能構成図である。撮影装置10は、撮影部11と、記憶部12と、通信部13と、制御部14とを備える。
【0019】
撮影部11は、レンズ及び複数のCCD(電荷結合素子)等により構成される。撮影部11は、撮影装置10が設置された周辺の所定領域を撮影することにより路上を走行する車両を撮影して、画像データを生成する。具体的には、撮影部11は、CCDから出力される信号をアナログ/デジタル変換して画像データを生成する。
【0020】
記憶部12は、例えば、RAMやROM等により構成される。記憶部12は、撮影装置10を機能させるための各種プログラムを記憶する。記憶部12は、通信線50を介してデータ処理装置20等から取得したプログラムを記憶してもよい。記憶部12は、撮影部11によって撮影される範囲の背景を示す背景画像データも記憶する。記憶部12は、車両の速度と、当該速度を測定するのに必要となるフレームレートとを関連付けて、調整用情報として記憶する。図5は、第1の実施形態に係る調整用情報を示すテーブルである。図5に示されているように、調整用情報は、速度が高いほど、フレームレートも高くなるように設定されている。
【0021】
通信部13は、通信線50を介してデータ処理装置20とデータの送受信を行う。例えば、通信部13は、制御部14の制御によって、データ処理装置20に、撮影装置10の周辺における異物の検出又は車両の速度低下を通知するアラーム情報を出力する。
【0022】
制御部14は、例えば、CPUにより構成される。制御部14は、記憶部12に記憶されている各種プログラムを実行することにより、撮影装置10に係る機能を統括的に制御する。制御部14は、測定部141と、検出部142と、調整部143と、出力部144とを備える。
【0023】
測定部141は、撮影部11が生成した画像データを解析して、当該画像データに含まれている車両の速度を測定する。具体的には、まず、測定部141は、撮影部11が生成した画像データと、記憶部12に記憶されている背景画像データとの差分画像を抽出し、この差分画像において、第1の特徴を有する画像を、車両を示す画像と判定する。第1の特徴とは、例えば、第1の大きさ以上、第1形状、かつ、第1の色を有することである。そして、測定部141は、撮影された複数の画像間での車両を示す画像の移動量と、当該複数の画像の撮影間隔とに基づいて、車両の速度を算出する。測定部141は、複数の隣接する画像において同一の車両を示す画像が見つからない場合、当該車両の速度が測定できないと判定する。
【0024】
検出部142は、撮影部11が生成した画像データを解析して、路上に存在する異物を検出する。具体的には、まず、検出部142は、撮影部11が生成した画像データからと、記憶部12に記憶されている背景画像データとの比較を行い、第2の特徴を有する画像を、物体を示す画像と判定する。第2の特徴とは、第2の大きさ未満であることである。そして、検出部142は、撮影された複数の画像間での物体を示す画像の移動量と、当該複数の画像の撮影間隔とに基づいて、物体の速度を算出する。そして、物体の速度が所定速度未満の場合に、路上に異物が存在すると検出する。
【0025】
調整部143は、測定部141により測定された車両の速度に基づいて、測定部141が車両の速度の測定に用いる画像データを撮影部11が撮影する際に用いられるフレームレート(以下、第1のフレームレート)を調整する。具体的には、調整部143は、記憶部12に記憶されている調整用情報を参照し、測定部141が車両の速度の測定に用いる画像データを撮影部11が撮影する場合に用いられる第1のフレームレートとして、測定部141により測定された速度に対応するフレームレートを選択する。そして、調整部143は、撮影部11が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを、選択したフレームレートに調整する。
【0026】
また、調整部143は、測定部141が、第1のフレームレートで撮影された画像データに含まれている車両の速度を測定できなかった場合に、第1のフレームレートを増加させる。例えば、調整部143は、調整用情報に含まれている速度範囲のうち、速度を測定できなかった時点で第1のフレームレートとして使用されていたフレームレートに対応する速度よりも大きな速度に対応するフレームレートまで、第1のフレームレートを高くする。例えば、測定部141が最後に測定した車両の速度が時速50kmであった場合、調整部143は、調整用情報を参照して、第1のフレームレートを10(fps)に調整する。その後、測定部141により車両の速度が測定できなくなった場合、調整部143は、第1のフレームレートを12(fps)に調整する。
【0027】
出力部144は、測定部141により測定された速度が所定値以下の場合、速度の低下を示す第1のアラーム情報を、通信線50を介してデータ処理装置20に出力する。また、出力部144は、検出部142により、路上に存在する異物を検出した場合、異物の存在を示す第2のアラーム情報を、通信線50を介してデータ処理装置20に出力する。出力部144は、第1のアラーム情報又は第2のアラーム情報をデータ処理装置20に出力する場合に、撮影装置10の識別情報を合わせて出力する。
【0028】
[データ処理装置20]
続いて、データ処理装置20について説明を行う。図6は、第1の実施形態に係るデータ処理装置20の機能構成図である。データ処理装置20は、処理装置側記憶部22と、処理装置側通信部23と、処理装置側制御部24とを備える。
【0029】
処理装置側記憶部22は、例えば、RAM、ROM、及びハードディスク等により構成される。処理装置側記憶部22は、撮影装置10の識別情報と、撮影装置10の位置を示す位置情報とを関連付けて記憶する。
【0030】
処理装置側通信部23は、通信線50を介して、撮影装置10とデータの送受信を行う。例えば、処理装置側通信部23は、撮影装置10から、撮影装置10の識別情報と、第1アラーム情報又は第2アラーム情報とを受信する。
【0031】
処理装置側制御部24は、例えば、CPUにより構成される。処理装置側制御部24は、処理装置側通信部23が第1アラーム情報又は第2アラーム情報を受信したことに応じて、処理装置側記憶部22を参照し、第1アラーム情報又は第2アラーム情報を出力した撮影装置10の位置を特定する。処理装置側制御部24は、第1アラーム情報を受信した場合、撮影装置10が配置されている位置において走行する車両の速度が低下している旨をモニタ30に表示させる。処理装置側制御部24は、第2アラーム情報を受信した場合、撮影装置10が配置されている位置において路上に異物が存在している旨をモニタ30に表示させる。
【0032】
[第1の実施形態の効果]
以上、本実施形態によれば、撮影装置10は、撮影部11により画像データを生成する。そして、撮影装置10は、測定部141において、撮影部11が生成した画像データを解析して、当該画像データに含まれる車両の速度を測定し、測定部141により測定された速度に基づいて、測定部141が車両の速度の測定に用いる画像データを撮影部11が撮影する際に用いられる第1のフレームレートを調整する。
【0033】
このようにすることで、撮影装置10は、車両の速度に応じて、速度測定に用いる第1のフレームレートを適切なフレームレートに調整することができる。したがって、車両速度が遅い場合には第1のフレームレートを低くすることで不要な画像処理を削減して電力消費量を抑制しつつ、車両速度が速い場合には第1のフレームレートを高くすることで、速い車両の速度も測定することができる。
【0034】
<第2の実施形態>
[フレームレートを交互に切り替える]
本実施形態においては、撮影部11が、測定部141が車両の速度の測定に用いる第1のフレームレートと、検出部142が異物の検出に用いる第2のフレームレートとを切り替えて撮影する点で、第1の実施形態と異なる。すなわち、撮影部11は、時分割で、第1のフレームレートでの撮影と第2のフレームレートでの撮影とを交互に繰り返す。撮影部11は、例えば、第1の数量のフレーム数だけ連続して第1のフレームレートで撮影し、第2の数量のフレーム数だけ連続して第2のフレームレートで撮影する。
【0035】
測定部141は、撮影部11が第1のフレームレートで撮影して生成された画像データを解析して車両の速度を測定し、検出部142は、撮影部11が第2のフレームレートで撮影して生成された画像データを解析して異物を検出する。調整部143は、例えば、測定部141が測定した車両の速度に基づいて、第1のフレームレートを調整し、第2のフレームレートを調整しない。調整部143は、測定部141が測定した車両の速度に基づいて、第1のフレームレートとともに、第2のフレームレートを調整してもよい。
【0036】
図7A及び図7Bは、第1のフレームレート及び第2フレームレートと車両の速度との関係の一例を示す。実線は第1のフレームレートを示し、1点鎖線は第2のフレームレートを示している。図7Aにおいては、速度が大きいほど第1のフレームレートが高く、速度が小さいほど第1のフレームレートが低いのに対して、第2のフレームレートは速度によらず一定値を示している。
【0037】
図7Bにおいては、調整部143が、車両の速度が所定の速度より小さい場合に、第1のフレームレートとともに、第2のフレームレートを調整している。具体的には、車両の速度が時速20kmまでの間は、速度が小さくなるにつれて第1のフレームレートが低くなり、かつ、第2のフレームレートは一定値を示している。車両の速度が時速20kmより小さくなると、第2のフレームレートは第1のフレームレートと同じフレームレートになり、速度の低下に伴ってフレームレートが低下している。
【0038】
調整部143は、車両の速度が所定の速度より小さい場合に、速度の低下に伴って第2のフレームレートを高くするように調整してもよい。このようにすることで、検出部142は、車両の速度が低下して車両間隔が短くなった状態においても、車両と車両の間で異物の検出をしやすくなる。
【0039】
[第2の実施形態における効果]
以上のとおり、本実施形態によれば、撮影部11が、第1のフレームレートと第2のフレームレートとを切り替えて撮影することで、測定部141が消費電力を抑制しつつ車両の速度を確実に測定できるようにするとともに、検出部142が低いフレームレートで撮影された画像データを用いて異物を検出することで、高い精度で異物を検出することができる。
【0040】
<第3の実施形態>
上記の実施形態において、調整部143は、測定部141が測定した車両の速度に応じて、測定部141が車両の測定に用いる第1のフレームレートを調整した。これに対して、本実施形態においては、調整部143が、第1のフレームレートを調整することなく、撮影部11によって単位時間あたりに生成された所定数量の画像データのうち、測定部141が車両の速度の測定に用いる画像データの数量を示す第1数量と、検出部142が異物の検出に用いる画像データの数量を示す第2数量とを調整する点で上記の実施形態と異なる。
【0041】
図8は、本実施形態に係る記憶部12が記憶する調整用情報を示すテーブルである。
測定部141は、単位時間あたりに生成された所定数量の画像データのうち、当該所定数量以下の第1数量の画像データを解析して、当該画像データに含まれる車両の速度を測定する。具体的には、まず、測定部141は、単位時間あたりに生成された所定数量の画像データから、時間的に均等になるように第1数量の画像データを抽出する。測定部141は、抽出した画像データに基づいて、第1の実施形態と同様の手順で車両の速度を算出する。
【0042】
検出部142は、単位時間あたりに生成された所定数量の画像データのうち、所定数量以下の第2数量の画像データを解析して、路上に存在する異物を検出する。具体的には、まず、検出部142は、単位時間あたりに生成された所定数量の画像データから、時間的に均等になるように第2数量の画像データを抽出する。検出部142は、抽出した画像データに基づいて、第1の実施形態と同様の手順で異物を検出する。
【0043】
調整部143は、測定部141により測定された速度に基づいて、第1数量及び第2数量の少なくともいずれかを調整する。具体的には、調整部143は、記憶部12に記憶されている調整用情報を参照し、測定部141により測定された速度に対応する単位時間あたりの画像データの数量を特定する。そして、調整部143は、第1数量を、この特定した画像データの数量に調整する。同様に、調整部143は、第2数量を、この特定した画像データの数量に調整する。
【0044】
また、調整部143は、測定部141が、第1数量の画像データに含まれている車両の速度を測定できなかった場合に、第1数量を増加させる。例えば、調整部143は、第1数量が上昇できる最小単位の数量を増加させる。
【0045】
例えば、測定部141が最後に測定した車両の速度が時速50kmであった場合、調整部143は、調整用情報を参照して、第1数量の値を10、第2数量の値を4に調整する。その後、測定部141により車両の速度が測定できなくなった場合、調整部143は、第1の数量を12に調整する。また、調整部143は、第2の数量を3に調整する。
【0046】
[第3の実施形態における効果]
以上のとおり、本実施形態によれば、調整部143が、撮影部11によって単位時間あたりに生成された所定数量の画像データのうち、測定部141が車両の速度の測定に用いる画像データの数量を示す第1数量と、検出部142が異物の検出に用いる画像データの数量を示す第2数量とを調整する。したがって、調整部143が、撮影部11が撮影する際に用いられるフレームレートを切り替えることなく、測定部141が、車両の速度が小さい場合に画像処理に要する消費電力を削減しつつ、車両の速度が大きくなった場合に、速やかに速度を測定することができる。
【0047】
<第4の実施形態>
[同一のタイミングで撮影された画像データを用いて速度測定及び異物検出を行う]
続いて、第4の実施形態について説明を行う。
第4の実施形態では、撮影装置10が、同一のタイミングで撮影された複数の画像データからなる複眼画像データを解析して車両の速度の測定と異物の検出とを行う点で、上記の実施形態と異なり、他の点で同じである。
【0048】
[第4の実施形態に係る撮影装置10]
本実施形態における撮影装置10の撮影部11は、レンズ及びCCD等をそれぞれ複数備えている。これら複数のレンズ及びCCD等は、それぞれ異なる位置に配置されており、撮影部11は、それぞれ異なる位置から所定領域を同時に撮影することで、すなわち、ステレオ撮影することで、同一のタイミングにおいて撮影された複数の画像データからなる複眼画像データを生成する。
【0049】
測定部141は、直前に測定した車両の速度に基づいて、複眼画像データを用いて速度を測定するか、複眼画像データに含まれる1つの画像データを用いて速度を測定するかを決定する。具体的には、測定部141は、直前に測定した車両の速度が第1の速度以下の場合、複眼画像データに含まれる2つの画像データを解析して車両の速度を測定する。また、測定部141は、直前に測定した車両の速度が第1の速度より大きい場合、複眼画像データに含まれる1つの画像データを解析して車両の速度を測定する。
【0050】
測定部141は、複眼画像データに含まれる複数の画像データのいずれか1つを解析して車両の速度を測定する場合、第1の実施形態の測定部141と同様に、記憶部12に記憶されている背景画像データに基づいて車両の速度を測定する。
【0051】
測定部141は、複眼画像データに含まれる複数の画像データを解析して車両の速度を測定する場合、以下の手順で速度を測定する。すなわち、測定部141は、同一のタイミングで撮影された2つの画像データに基づいて、これら2つの画像データにおける視差を算出する。続いて、測定部141は、この視差に基づいて、物体と、当該物体の中心位置とを特定する。測定部141は、当該物体が第1の実施形態に示した第1の特徴を有している場合、車両と判定する。測定部141は、このような車両の判定を、撮影タイミングが異なる画像データのそれぞれにおいて行う。続いて、測定部141は、撮影タイミングが異なる画像データにおける物体の中心位置の移動量と、これらの画像データの撮影間隔とに基づいて車両の速度を測定する。このようにすることで、測定部141は、背景画像データを用いることなく車両の速度を測定することができる。
【0052】
検出部142は、撮影部11によって同一のタイミングで撮影された複眼画像データを解析して異物を検出する。具体的には、検出部142は、同一のタイミングで撮影された2つの画像データに基づいて、これら2つの画像データにおける視差を算出する。そして、検出部142は、この視差に基づいて、物体と、当該物体の中心位置とを特定する。検出部142は、この物体が第1の実施形態に示した第2の特徴を有しているか否かを判定する。検出部142は、当該物体が第2の特徴を有していると判定した場合において、撮影タイミングが異なる画像データにおける当該物体の中心位置の移動量を算出する。そして、検出部142は、算出した移動量が所定値よりも小さい場合、当該物体を異物と判定し、路上に異物が存在していることを検出する。このようにすることで、検出部142は、背景画像データを用いることなく路上に存在する異物を検出することができる。
【0053】
[第4の実施形態の効果]
以上のとおり、本実施形態によれば、検出部142は、複眼画像データに含まれる複数の画像データを解析して異物を検出するので、複眼画像データに含まれるいずれか1つの画像データと背景画像データとを用いて異物を検出する場合に比べて、異物の検出精度を向上させることができる。
【0054】
また、本実施形態によれば、測定部141は、車両の速度が第1の速度以下の場合、複眼画像データに含まれる複数の画像データを解析して車両の速度を測定し、車両の速度が第1の速度より大きい場合、複眼画像データに含まれる複数の画像データのいずれか1つを解析して車両の速度を測定する。
【0055】
複眼画像データに含まれる複数の画像データを解析して速度を測定する場合、背景画像データを用いて速度を測定する場合に比べて処理量が大きい。第4の実施形態の撮影装置10は、車両の速度が第1の速度以下の場合、すなわち速度を検出する際に用いる画像の数が少ない場合に限定して、複眼画像データに含まれる複数の画像データを解析した速度の測定を行う。よって、撮影装置10は、過負荷とならない範囲で車両の速度を精度よく検出することができる。
【0056】
<第5の実施形態>
[他の撮影装置10から受信した速度情報に基づいて調整する]
続いて、第5の実施形態について説明を行う。
第5の実施形態では、撮影装置10が、他の撮影装置10から受信した速度情報に基づいて第1のフレームレート、第2のフレームレート、第1数量及び第2数量の少なくともいずれかを調整する点で、上記の実施形態と異なる。
【0057】
[第5の実施形態に係る撮影装置10]
本実施形態における撮影装置10の通信部13は、他の複数の撮影装置10のうち、少なくともいずれか1台の撮影装置10から、当該撮影装置10において測定された速度を示す情報を受信する。通信部13は、他の複数の撮影装置10のうち、例えば上流に位置し、かつ、所定距離以内に位置する他の撮影装置10から速度を示す情報を受信する。具体的には、複数の撮影装置10が図3に示すように配置されている場合、撮影装置10−1の通信部13は、撮影装置10−2から速度を示す情報を受信する。通信部13は、他の複数の撮影装置10のうち、下流に位置し、かつ、所定距離以内に位置する他の撮影装置10から速度を示す情報を受信してもよい。
【0058】
調整部143は、通信部13が受信した速度を示す情報に基づいて、第1のフレームレート、第2のフレームレート、第1数量及び第2数量の少なくともいずれかを調整する。具体的には、調整部143は、記憶部12に記憶されている調整用情報を参照し、受信した情報が示す速度に対応するフレームレートを特定する。そして、調整部143は、特定したフレームレートに第1のフレームレートを調整する。
【0059】
また、調整部143は、例えば、下流に位置し、かつ、所定距離以内に位置する他の撮影装置10に対して測定部141が測定した速度を示す情報を、通信部13を介して送信する。調整部143は、上流に位置し、かつ、所定距離以内に位置する他の撮影装置10に対して測定部141が測定した速度を示す情報を、通信部13を介して送信してもよい。
【0060】
[第5の実施形態の効果]
以上のとおり、本実施形態によれば、撮影装置10の調整部143は、通信部13が受信した速度を示す情報に基づいて、第1のフレームレート、第2のフレームレート、第1数量及び第2数量の少なくともいずれかを調整する。したがって、撮影装置10は、上流の撮影装置から速度を示す情報を受信することによって、撮影装置10が設置されている位置に到着する予定の車両の速度に適した第1のフレームレート、第2のフレームレート、第1数量及び第2数量に予め調整して、車両の速度を測定することができる。
【0061】
また、撮影装置10は、下流の撮影装置から速度を示す情報を受信することによって、下流において渋滞が発生し始めたり渋滞が解消し始めたりした場合に、撮影装置10が設置されている位置の車両の速度が変化することを想定して、変化後の速度に適した第1のフレームレート、第2のフレームレート、第1数量及び第2数量に調整して、車両の速度を測定することができる。
【0062】
<第6の実施形態>
[異物を検出した場合に、撮影時の露出を上昇させる]
続いて、第6の実施形態について説明を行う。
第6の実施形態では、撮影装置10が、異物を検出した場合に、撮影部11の撮影時の露出を上昇させる点で、上記の実施形態と異なり、他の点で同じである。
【0063】
[第6の実施形態に係る撮影装置10]
本実施形態における撮影装置10の調整部143は、検出部142が異物を検出した場合に、撮影部11の撮影時の露出を上昇させる。例えば、調整部143は、フレームレートを低くしてシャッター速度を遅くすることにより撮影時の露出を上昇させる。調整部143は、フレームレートを変化させることなく、単位時間あたりにフレームレートに応じた画像データを生成できる範囲で撮影部11のシャッター速度を遅くすることにより撮影時の露出を上昇させてもよい。
【0064】
[第6の実施形態の効果]
以上のとおり、本実施形態によれば、調整部143は、検出部142が異物を検出した場合に、撮影部11の撮影時の露出を上昇させて、異物の詳細画像を得ることができる。
【0065】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。例えば、複数の撮影装置10のそれぞれは、異なるフレームレートで撮影し、車両の速度を検出してもよい。すなわち、サグ等、渋滞が発生しやすいポイントに配置されている場合にフレームレートを高く設定し、平坦な道等の渋滞が発生しにくいポイントに配置されている場合にフレームレートを低く設定してもよい。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0066】
1・・・撮影システム、10・・・撮影装置、11・・・撮影部、12・・・記憶部、13・・・通信部、14・・・制御部、20・・・データ処理装置、21・・・処理装置側撮影部、22・・・処理装置側記憶部、23・・・処理装置側通信部、24・・・処理装置側制御部、30・・・モニタ、40・・・ハブ、50・・・通信線、141・・・測定部、142・・・検出部、143・・・調整部、144・・・出力部、T・・・トンネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8