(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【背景技術】
【0002】
低温液化ガスであるLNG(液化天然ガス)を貯留する低温液化ガス貯槽では、LNGを約−160℃に保持した状態で貯留するようにしてあるが、壁面及び床面を通して入熱が生じるため、貯留してあるLNGの一部が昇温させられて蒸発し、ボイルオフガス(以下、BOGと略す)となって液面に浮上する。
【0003】
上記低温液化ガス貯槽では、上記BOGが常時発生しているため、通常、貯槽内における液面上の上部空間には、上記BOGが満たされている。
【0004】
上記低温液化ガス貯槽では、一般に、液受入れは、貯槽上部に設けられている受入管より受入液を受け入れるようにしてある。この際、従来は、上記受入管より受入液を直接落下投入させるようにしたり、上記受入管より落下投入される受入液を、スプラッシュプレートに一旦当ててから液面まで落下させるようにしたり、あるいは、受入管の下方に設けた受入リード管により貯槽底部まで導いたりするようにしていた。
【0005】
ところで、上記受入リード管では、上記受入管より供給される受入液が内部を流れる際に急速にガス化する。そのため、上記受入リード管は、該受入リード管の上端と、上記受入管の下端との間に管外に連通する開口を設けることにより、上記受入液のガス化したガスを逃がすことができるようにしてある。
【0006】
そのために、上記受入管より受入リード管を通して受入液を貯槽底部へ導くときには、上記受入液の流速に応じて上記開口よりBOGが巻き込まれ、この受入液に巻き込まれたBOGの気泡が、受入液と共に貯槽底部まで送られてしまう。
【0007】
上記受入液に巻き込まれたBOGの気泡は、上記受入液の流れに搬送されて貯槽内に貯留されているLNGの或る深さまで達すると、液圧の上昇により押し潰されてBOGの再液化現象が生じる。
【0008】
しかし、上記BOGは、元々貯留されているLNGよりも温度が高いガスであるため、上記のようなBOGの再液化現象が貯槽底部で生じると、熱エネルギーが貯槽底部のLNGに蓄積されてしまい、ロールオーバー事象の原因となる虞が懸念される。
【0009】
そこで、上記受入リード管内に、種々の管内構造物を設けて、上記受入液によるBOGの巻き込みを抑制するようにした対策が採られてきている(たとえば、特許文献1参照)。
【0010】
なお、上記受入管より受入液を直接投入する場合は、落下する受入液が槽内に貯留されているLNGの液面に当たるときにBOGの巻き込みによる気泡が生じると共に、このBOGの気泡が落下した受入液の液中での流れに伴われて液中深く引きこまれるようになる。又、受入液をスプラッシュプレートに一旦当ててから落下させる場合は、受入液の液面に対する衝突速度は多少軽減されるが、該受入液による液面でのBOGの巻き込みと、発生したBOGの気泡が液中深くへ引き込まれることを防止することはできない。そのため、上記受入管より受入液を液面に直接投入する場合、及び、スプラッシュプレートを用いる場合のいずれの場合であっても、上記受入リード管を用いる場合と同様に、受入液投入時に気泡となって巻き込まれたBOGの再液化現象が、液中深くで生じてしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ところが、上記特許文献1に示されたような受入リード管内に管内構造物を設ける手法は、落下する受入液の液面に対する衝突速度を減殺することに主眼が置かれているものである。そのため、上記特許文献1に示されたものでは、上記衝突速度の減少に伴って、受入液に巻き込まれるBOGの気泡の量は低減できるとしても、液中深くに向かう受入液の流れ自体はなくならないために、BOGの気泡が液中深くに引きこまれて再液化することを防止することはできない。
【0013】
そこで、本発明は、低温液化ガス貯槽における受入液の受け入れの際に、たとえBOGの気泡が発生しても、該気泡が液中深くに引きこまれて再液化することを防止することができる低温液化ガス貯槽のボイルオフガス巻込防止装置を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上記課題を解決するために、請求項1に対応して、貯槽天井部に設けてある受入管の下方位置の貯槽内の液面で該受入管より落下投入される受入液を受けて、該受けた受入液を下向きから
上記貯槽内の液面に沿わせる方向に変更させてから吐出させるようにする浮体式の受入液移動方向転向装置を、
上記貯槽内の液面に浮かべ、
上記受入液移動方向転向装置は、上端部に上記受入液を受けるための上向きに開口した液入口を備えると共に、該液入口よりも下方位置の外周に、該受入液移動方向転向装置を上記貯槽内の液面に浮かべた状態で該液面に沿う方向に向く液出口を備え、且つ上記液入口と液出口の間に、上記液入口に繋がる上端側から下方に行くにしたがって、周方向に分散して下端側で上記液出口に繋がる流路を備える構成とし、更に、上記受入液移動方向転向装置を、ガイド装置により水平方向の変位は拘束した状態で上下方向の移動をガイドするように支持してなる構成とする。
【0016】
更に、請求項
2に対応して、上記各構成において、ガイド装置は、
上記貯槽天井部における受入管の付近に、上下方向に延びる案内部材の上端部を取り付け、該案内部材に沿って上下方向に移動可能なスライド部材を、
上記受入液移動方向転向装置に取り付けてなる構成とする。
【0017】
更に又、請求項
3に対応して、上述の各構成において、
上記受入液移動方向転向装置は、
上記液入口の上側に、下端部に下端側開口を備え且つ上端部に上記下端側開口よりも大径の上端側開口を有する逆円錐台面形状の液受けガイドを取り付けた構成とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明の低温液化ガス貯槽のボイルオフガス巻込防止装置によれば、受入管からの受入液の落下投入時に、受入液は、受入液移動方向転向装置に受けてから、貯槽内の液面に沿う方向に向けて吐出させることができるため、受入液に巻き込まれるボイルオフガスの気泡が液中深く引きこまれて再液化する虞を防止することができる、という優れた効果を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1乃至
図3は本発明の低温液化ガス貯槽のボイルオフガス巻込防止装置の実施の一形態を示すものである。
【0022】
すなわち、本発明の低温液化ガス貯槽のボイルオフガス巻込防止装置(以下、本発明のBOG巻込防止装置と略記する)は、
図1乃至
図3に符号1で示すもので、低温液化ガス貯槽(以下、単に貯槽と云う)Tの天井部に設けられている受入管Pの下方位置に、浮体式の受入液移動方向転向装置2が、上記貯槽Tに貯留された低温液化ガスとしてのLNG3の液面Lに浮かべて配置されている。
【0023】
上記受入液移動方向転向装置2は、平面形状が円形としてあり、軸心部の上端部には、軸心方向上向きに開口した液入口4が設けられている。上記液入口4は、上記受入管Pの口径よりも大きい径寸法を有するようにしてある。更に、上記液入口4の上端寄りには、上側に行くにしたがって拡径する液導入用のテーパ面部5を備える構成として、上記受入管Pより落下投入されるLNGの受入液3aを、上記テーパ面部5で案内しながら液入口4に受けることができるようにしてある。
【0024】
上記受入液移動方向転向装置2の外周面には、上記液入口4よりも或る寸法下方となる位置に、軸心方向と直交する面に沿って外向きとなる液出口6が、周方向の全周に亘り設けてある。
【0025】
更に、上記液入口4から上記液出口6までの間には、上記液入口4に繋がる上端側から下方に行くにしたがって、軸心方向に沿う方向から周方向に分散しつつ軸心と直交する方向へ向けて滑らかに向きが変わり、下端側で上記液出口6に繋がるようにした流路7が設けられている。なお、上記流路7の天井面を形成すると共に中央部に上記液入口4が設けられている天井部材8は、上記流路7の底面を形成している底部材9に対し、周方向にある間隔の複数個所(図では周方向60度間隔6個所)に配置された柱状の連結部材10を介して連結されている。なお、上記連結部材10の形状は、上記流路7を流れる上記受入液3aの流れに対する抵抗を小さくするという観点から考えると、
図2に示すように、半径方向に沿う平板状とすることが望ましいが、必ずしもこの形状に限定されない。又、上記受入液移動方向転向装置2のサイズに応じて、上記連結部材10は、サイズや設置数や配置を適宜変更してよいことは勿論である
【0026】
上記底部材9は、上記受入液移動方向転向装置2の全体の浮力を得るために、上下方向に或る厚み寸法を有し、且つ図示してないが中空構造としてある。なお、上記底部材9は、中空の外殻にパーライトやその他のLNG3に比して比重が小さく、且つLNG3の低温に耐え得る材料を充填した構成として、万一、なんらかの要因により外殻に損傷が生じても浮力が損なわれない不沈構造としてもよい。
【0027】
ここで、上記受入液移動方向転向装置2の浮力について述べる。
【0028】
浮体としての受入液移動方向転向装置2が、落下する受入液3aより受ける力Fi[N]は、次式で表される。
Fi=ρQV
ここで、ρ:LNGの密度、約400[kg/m
3]、Q:受入液3aの流量[m
3/s]、v:受入液3aの落下速度[m/s]である。
【0029】
したがって、たとえば、上記受入液3aの流量Qが毎時5000m
3(=1.39m
3/s)、受入液3aの落下速度vが10m/sであるとすると、上記力Fiは、
Fi=400×1.39×10=5560[N]
となる。
【0030】
一方、浮体に働く浮力Fb[N]は、次式で表される。
Fb=ρV
ここで、ρは密度[kg/m
3]、Vは浮体の体積[m
3]である。
【0031】
したがって、たとえば、上記底部材9が、直径D=5m、厚み寸法H=2mの中空円柱であると仮定すると、その体積Vは、
V=π×(D/2)
2×H=39.3[m
3]
となり、この底部材9全体がLNG3の液面L下に没しているとすれば、その浮力Fbは、
Fb=400×39.3=15720[N]
となる。
【0032】
よって、上記受入液移動方向転向装置2は、該受入液移動方向転向装置2全体の自重を考慮しても、上記底部材9の浮力により、上記受入管Pより落下する受入液3aより受ける力に抗して液面に浮いた状態に保持させることが十分に可能であることが分かる。
【0033】
ところで、上記受入液移動方向転向装置2は、貯槽TにおけるLNG3の液面Lの位置が高い場合には、上記受入管Pとの落差が小さいため、落下投入される受入液3aより受ける下向きの力が小さい一方、上記液面Lの位置が低い場合には、上記落差が大きくなることで、落下投入される受入液3aより受ける下向きの力が大きくなる。
【0034】
以上の点に鑑みて、上記受入液移動方向転向装置2の浮力は、落下する受入液3aより受ける力が最大となる状態であっても、上記液入口4が上記液面Lに没する虞がなく、且つ上記落下する受入液3aより受ける力が最小となるときに、上記液出口6を、LNG3の液面L又はその付近、好ましくは、上記液面Lの下側近傍位置に保持できるように調整してあるものとする。
【0035】
これにより、上記受入液移動方向転向装置2では、上記受入管Pより落下投入される受入液3aが液入口4に受けられると、該受入液3aが、流路7を流れる間に液出口6に向けて滑らかに転向させられた後、該液出口6より、貯槽Tに貯留されているLNG3の液面に沿う方向に外向きに吐出されるようにしてある。
【0036】
更に、上記受入液移動方向転向装置2には、該受入液移動方向転向装置2の上下方向の移動をガイドするためのガイド装置11が付設されている。
【0037】
上記ガイド装置11は、たとえば、上記貯槽Tの天井部における上記受入管Pを中心とする正三角形の各頂点となる3個所に、上下方向に延びるパイプ状の案内部材12の上端部がそれぞれ取り付けられている。
【0038】
上記各案内部材12は、隣接する案内部材12同士の上下方向複数個所が、連結部材13を介して相互に連結してあり、これにより、上記各案内部材12と各連結部材13により囲まれた内側に上下方向に連続する空間を備えた枠構造が形成してある。
【0039】
更に、単数又は複数の案内部材12は、上下方向複数個所が、上記貯槽Tの側壁に保持部材14を介して取り付けられている。これにより、上記各案内部材12と各連結部材13からなる枠構造は、地震時等に貯槽Tに貯留されているLNG3に揺動が生じる場合であっても、貯槽Tの側壁に当たる虞がないようにしてある。
【0040】
上記受入液移動方向転向装置2は、上記各案内部材12と各連結部材13からなる枠構造の内側空間に配置してある。上記底部材9の周方向における上記各案内部材12に臨む3個所には、上記各案内部材12の外面に沿わせて近接配置した水平断面円弧形状のスライド部材15が、取付部材16を介して取り付けてある。なお、上記各スライド部材15は、上下方向に或る寸法延びる形状として、上記受入液移動方向転向装置2の傾斜を防止できるようにしてあるものとする。
【0041】
かかる構成のガイド装置11によれば、3本の案内部材12により上記各スライド部材15の水平方向の位置が定まるため、上記受入液移動方向転向装置2の水平方向の配置を、受入管Pの真下に保持することができる。且つ、上記各スライド部材15は、それぞれ対応する案内部材12の外面に沿って上下方向に移動することができるため、貯槽Tに貯留されたLNG3の液面Lの変位に追従する上記受入液移動方向転向装置2の上下動は、自在に行わせることができるようにしてある。
【0042】
なお、上記受入管Pは、出口側に、受入液3aを整流して流下させるための整流手段を備える構成としてあることが望ましい。
【0043】
以上の構成としてある本発明のBOG巻込防止装置1を装備した貯槽Tでは、受入管Pより受入液3aが落下投入されると、該受入液3aは、LNG3の液面に浮いた状態に保持されている上記受入液移動方向転向装置2に液入口4より受けられる。
【0044】
上記受入液移動方向転向装置2の液入口4に受けられた受入液3aは、その後、流路7を通して流れ方向が転向させられた後、液出口6より上記LNG3の液面Lに沿う方向に吐出されるようになる。
【0045】
この際、上記受入液3aにBOGの気泡が巻き込まれたとしても、該受入液3aは液面Lに沿う方向にしか流れないため、上記BOGの気泡が液中深く引きこまれることはない。よって、上記BOGの気泡は、液圧が高まって再液化する現象が生じることはないため、その後、液面Lに浮上して消えるようになる。
【0046】
このように、本発明のBOG巻込防止装置によれば、受入管Pからの受入液3aの落下投入時に、受入液3aに巻き込まれるBOGの気泡が液中深く引きこまれて再液化する虞を防止することができる。
【0047】
上記実施の形態では、受入液移動方向転向装置2は、液入口4の上端寄りに、テーパ面部5を備える構成として示したが、上記液入口4の上側に、更に、
図1に二点鎖線で示すように、下端部に上記液入口4の径に対応する径の下端側開口を備え、且つ上端部に上記下端側開口よりも大径の上端側開口を有する逆円錐台面形状の液受けガイド17を取り付けた構成としてもよい。
【0048】
上記液受けガイド17を備えた構成によれば、上記液入口4に受入液3aが受けられる際の液跳ねによる受入液3aの周辺への飛散を抑えることができる。
【0049】
更に、上記受入液移動方向転向装置2では、受入液3aの投入初期に、流路7での受入液3aの流れが安定しないことに起因して、液入口4から受入液3aが溢れる現象が懸念される場合があるが、上記液受けガイド17を備えた構成では、万一、上記液入口4からの受入液3aの溢れが生じても、溢れた受入液3aを、その後、液入口4へ戻すことができるようになる。
【0050】
次に、
図4(a)(b)は本発明の実施の他の形態として、
図1乃至
図3に示した実施の形態におけるガイド装置11の変形例をそれぞれ示すものである。
【0051】
すなわち、
図4(a)に示すガイド装置11は、
図1乃至
図3に示したガイド装置11と同様の構成において、各案内部材12の外面における受入液移動方向転向装置2寄りの個所に、上下方向に延びる板状の溝形成部材18を、二枚一組で平行に取り付けて、該一対の溝形成部材18の間に、上記受入液移動方向転向装置2に臨んで上下方向に延びるガイド溝19を形成する。
【0052】
一方、上記受入液移動方向転向装置2には、底部材9の周方向における上記各案内部材12に臨む3個所に、上記ガイド溝19の内側に配置した板状のスライド部材20が、取付部材16を介して取り付けてある。なお、上記各スライド部材20は、上下方向に或る寸法延びる形状として、上記受入液移動方向転向装置2が傾斜することを防止できるようにしてあるものとする。
【0053】
その他の構成は
図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0054】
かかる構成のガイド装置11によれば、3本の案内部材12に設けてある各ガイド溝19により上記各スライド部材20の水平方向の位置が定まるため、上記受入液移動方向転向装置2の水平方向の配置を、受入管Pの真下に保持することができる。且つ、上記各スライド部材20は、それぞれ対応するガイド溝19に沿って上下方向に移動することができるため、貯槽Tに貯留されたLNG3の液面Lの変位に追従する上記受入液移動方向転向装置2の上下動は、自在に行わせることができる。
【0055】
又、
図4(b)に示すガイド装置11は、
図1乃至
図3に示したガイド装置11と同様の構成において、パイプ状の各案内部材12の周壁における受入液移動方向転向装置2寄りの個所に、上下方向に延びるスリット状のガイド溝21を形成する。
【0056】
一方、上記受入液移動方向転向装置2には、底部材9の周方向における上記各案内部材12に臨む3個所に、上記各案内部材12のガイド溝21の間に内外方向に挿通させて配置した板状のスライド部材22が、取付部材16を介して取り付けてある。なお、上記各スライド部材22は、外側端部が上記各案内部材の上下方向に或る寸法延びる形状として、上記受入液移動方向転向装置2の傾斜を防止できるようにしてあるものとする。
【0057】
その他の構成は
図2に示したものと同様であり、同一のものには同一の符号が付してある。
【0058】
かかる構成のガイド装置11によれば、3本の案内部材12に設けてある各ガイド溝21により上記各スライド部材22の水平方向の位置が定まるため、上記受入液移動方向転向装置2の水平方向の配置を、受入管Pの真下に保持することができる。且つ、上記各スライド部材22は、それぞれ対応するガイド溝21に沿って上下方向に移動することができるため、貯槽Tに貯留されたLNG3の液面Lの変位に追従する上記受入液移動方向転向装置2の上下動は、自在に行わせることができる。
【0059】
なお、本発明は上記実施の形態のみに限定されるものではなく、受入液移動方向転向装置2の流路7は、受入液3aの流通を円滑に行わせて落下投入される受入液3aより受ける力の低減化を図るという観点から考えると、液入口4より液出口6までが滑らかに連続する曲面で繋がる構成とすることが望ましいが、液入口4を通して受け入れる受入液3aの下向きの流れを、外周に向く方向に転向させて、液出口6より液面Lに沿う方向に吐出させることができるようにしてあれば、たとえば、下向きの流路と円錐面に沿う形状の流路と周方向外向きの流路を繋いだ形状等、
図1に示した以外の鉛直断面形状を備えた流路7としてもよい。
【0060】
液入口4は、受入液3aを受入れやすくするという観点から考えると、該液入口4の上端部にはテーパ面部5を備えることが望ましいが、受入管Pより落下投入される受入液3aの水平断面のサイズに比して、上記液入口4の径が十分に大きいサイズとしてあれば、上記テーパ面部5は省略した構成としてもよい。
【0061】
天井部材8は、重量を軽減するという観点から考えると、
図1に示すように、上記流路7の天井面に沿って湾曲する均一な厚み寸法を有するものとすることが望ましいが、厚み寸法は必ずしも均一でなくてもよく、よって、その断面形状は、
図1に示した形状に限定されるものではない。
【0062】
図1乃至
図3の実施の形態、及び、
図4(a)の実施の形態では、ガイド装置11における3本のパイプ状の案内部材12のうちの1本又は複数本を、ポンプバレルの配管を兼ねる構成としてもよい。
【0063】
ガイド装置11は、受入液移動方向転向装置2の水平方向の変位と、傾くことを拘束することができ、且つ上記受入液移動方向転向装置2の上下方向の変位は自在に行わせることができるようにしてあれば、案内部材12の数や配置を変更したり、パイプ状以外の断面形状の案内部材を用いたりするようにしてもよい。これに伴い、上記案内部材により水平方向の動きは拘束されるが、上下方向には移動可能とするためのスライド部材の数や形状やサイズは、上記案内部材に合わせて適宜変更すればよい。
【0064】
受入液移動方向転向装置2は、受入液3aを外周方向に平均して吐出させるという観点から考えると、平面形状を円形とすることが望ましいが、円形以外の平面形状を採用してもよい。
【0065】
本発明は、LPG、液体酸素、液体水素等、LNG以外の低温液化ガスの貯槽に適用してもよい。
【0066】
その他本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更を加え得ることは勿論である。