(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記昇降ユニットとして、前記スタッカクレーンの前記収容物の載置領域を水平方向から挟んで配置されると共に前記アームが同期して回動される第1昇降ユニットと第2昇降ユニットとを有し、
前記第1昇降ユニットのアームと前記第2昇降ユニットのアームとの同期ずれを検知するセンサと、前記センサから同期ずれを示す信号が入力されると前記昇降ユニットを停止する制御部とを有する
ことを特徴とする請求項1または2記載の自動倉庫。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近年は、倉庫の自動化が進んでいる。例えば、上述のような樽を収容する倉庫においても、スタッカクレーンに対する台車の乗り入れを可能とし、作業者が作業することなく収容物の出し入れを行うことが提案されている。このような自動倉庫に対して、作業者でなければ取り外すことができないストッパは適していない。自動倉庫におけるさらなる自動化を進めるためには、作業者による直接の作業を必要としないストッパが必須となる。
【0006】
最も単純な方法としては、各収容部に対して、棒状ストッパとこれを昇降する昇降ユニットとを設置し、昇降ユニットによって棒状ストッパを昇降させることで収容物を出し入れ可能とする構成が考えられる。しかしながら、このような構成の場合には、各収容部に対して昇降ユニットを設置する必要が生じることから、多数の昇降ユニットを設置する必要があり、メンテナンス作業等が膨大となると共に設置コストが嵩む。
【0007】
本発明は、上述する問題点に鑑みてなされたもので、自動倉庫において、ラックの収容部ごとに昇降ユニットを設けることなく、自動で各収容部のストッパの取り外しを可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、以下の構成を採用する。
【0009】
第1の発明は、収容物が載置される収容部を複数有するラックと、上記収容部の出入口に対して上記収容物を搬送するスタッカクレーンとを備える自動倉庫であって、水平方向から上記出入口を挟んで配置されると共に各々が上記ラックに固定されるストッパ支持部と、上記ストッパ支持部に両端部が支持される棒状ストッパと、上記スタッカクレーンに設けられると共に上記棒状ストッパを昇降する昇降ユニットとを備えるという構成を採用する。
【0010】
第2の発明は、上記第1の発明において、上記昇降ユニットが、上記棒状ストッパの軸方向と平行な回動軸を中心として回動されると共に先端部に上記棒状ストッパを受ける溝部を有するアームと、上記アームを駆動する駆動部とを備えるという構成を採用する。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、上記アームが、上記溝部の回動軸側の端部から上記回動軸と反対側に突出し、上記溝部からの上記棒状ストッパの落下を抑止する突起部を有するという構成を採用する。
【0012】
第4の発明は、上記第2または第3の発明において、上記昇降ユニットとして、上記スタッカクレーンの上記収容物の載置領域を水平方向から挟んで配置されると共に上記アームが同期して回動される第1昇降ユニットと第2昇降ユニットとを有し、上記第1昇降ユニットのアームと上記第2昇降ユニットのアームとの同期ずれを検知するセンサと、上記センサから同期ずれを示す信号が入力されると上記昇降ユニットを停止する制御部とを有するという構成を採用する。
【0013】
第5の発明は、上記第2〜第4いずれかの発明において、上記アームとの当接位置を避けて上記棒状ストッパの両端部に鍔が設けられているという構成を採用する。
【0014】
第6の発明は、上記第1〜第5いずれかの発明において、上記ストッパ支持部が、上記棒状ストッパを受ける受部と、上記受部から上記棒状ストッパの直径距離より大きく離間されかつ上記受部よりも高い位置に配置される先端部と、上記受部と上記先端部とを繋ぐ中間部とを備えるという構成を採用する。
【0015】
第7の発明は、上記第1〜第6いずれかの発明において、上記ストッパ支持部に固定され、上記棒状ストッパの軸方向の移動を規制すると共に当該軸方向における上記棒状ストッパの位置を規定するサイドガイドを備えるという構成を採用する。
【0016】
第8の発明は、上記第1〜第7いずれかの発明において、上記収容物が円筒形または円柱形であるという構成を採用する。
【0017】
第9の発明は、上記第1〜第7いずれかの発明において、上記収容物が樽であるという構成を採用する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、ラックの各収容部に対して設けられる棒状ストッパが、スタッカクレーンに設置された昇降ユニットによって昇降される。このため、棒状ストッパを作業者の直接の作業によらないで取り外すことができる。また、本発明においては、スタッカクレーンのみに昇降ユニットが設けられている。したがって、本発明によれば、自動倉庫において、ラックの収容部ごとに昇降ユニットを設けることなく、自動で各収容部のストッパの取り外しを行うことができる。このような本発明によれば、ラックの各収容部に対して昇降ユニットを設置する場合と比較すると、昇降ユニットの設置数を大幅に減少させることができるため、自動化に伴うメンテナンス作業の増加や設置コストの増加を抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照して、本発明に係る自動倉庫の一実施形態について説明する。なお、以下の図面において、各部材を認識可能な大きさとするために、各部材の縮尺を適宜変更している。
【0021】
図1は、本実施形態の自動倉庫1の概略構成を示す図であり、(a)が平面図であり、(b)が(a)のA−A断面図である。これらの図に示すように、本実施形態の自動倉庫1は、ラック2と、クレーン軌道3と、スタッカクレーン4と、搬送台車5と、搬送台車充電ステーション6と、入出庫装置7と、ストッパユニット8と、制御部9とを備えている。
【0022】
なお、
図1を用いた自動倉庫1の全体説明では、鉛直方向を上下方向とし、スタッカクレーン4の走行方向を前後方向とし、スタッカクレーン4の走行方向と直交する水平方向を左右方向とする。
【0023】
ラック2は、クレーン軌道3を挟むように、当該クレーン軌道3の左側と右側とに設定されている。各ラック2は、前後上下に格子状に配列された複数の収容部2aを有している。各収容部2aは、左右方向に長く形成され、寝かされた状態の樽X(収容物)の高さよりも高く、また搬送台車5よりも幅広とされている。各収容部2aには、一対のレール2bが左右方向に敷設されており、当該レール2b上に樽Xが載置されると共に当該レール2bに沿って搬送台車5が走行する。このような収容部2aには、
図1(a)に示すように、左右方向に複数の樽Xが並んで収容される。
【0024】
クレーン軌道3は、
図1(a)に示すように、ラック2の後側脇に配置された搬送台車充電ステーション6及び入出庫装置7の配置箇所からラック2の前端に至るまで、ラック2に沿って敷設されている。このようなクレーン軌道3は、スタッカクレーン4の案内を行う。
【0025】
スタッカクレーン4は、クレーン軌道3に沿って走行する台車、台車上に立設されるマスト、マストに沿って走行する昇降台、昇降台を昇降させる駆動部、ストッパユニット8の後述する棒状ストッパ8bを移動させる操作ユニット4b(
図2〜
図4参照)等を備えている。
【0026】
図2〜
図4は、スタッカクレーン4が備える昇降台4a及び操作ユニット4b(昇降ユニット)等の概略構成図であり、
図2が平面図であり、
図3が正面図であり、
図4が側面図である。
【0027】
昇降台4aは、ベースフレーム4a1と、架台4a2と、レール4a3と、支柱4a4とを備えている。ベースフレーム4a1は、架台4a2等を支持するフレームであり、昇降台4aの底部を形成している。
【0028】
架台4a2は、ベースフレーム4a1上に設けられており、昇降台4aの2階部分を形成している。この架台4a2は、ベースフレーム4a1上に昇降台4aの樽Xが載置可能な1階部分が形成されるように、1階部分の左右側が開口された枠体状に形状設定されている。この架台4a2の上部が2階部分の底部を形成しており、当該2階部分にも樽Xが載置可能とされている。なお、昇降台4aの1階部分と2階部分とには、各々2つ樽が並列して載置可能なスペースが確保されている。
【0029】
レール4a3は、収容部2aに設置されたレール2bと同一幅にて、ベースフレーム4a1上と、架台4a2上に設けられている。これらのレール4a3は、収容部2aに設置されたレール2bと同様に、樽Xが載置されると共に搬送台車5を案内する。
【0030】
支柱4a4は、架台4a2に固定されており、
図2に示すように、昇降台4aの4隅の各々に設置されている。各支柱4a4は、上下方向に向けられた柱状部材であり、左右方向から見て、樽Xの載置領域に被らないように配置されている。これらの支柱4a4は、操作ユニット4bを支持する。
【0031】
操作ユニット4bは、各支柱4a4の上端部と下端部とに固定されており、合計で8つ設けられている。これらの操作ユニット4bは、前後方向に水平に配列された2つの操作ユニット4bが対をなしている。つまり、本実施形態においては、昇降台4aの1階部分右側と、昇降台4aの1階部分左側と、昇降台4aの2階部分右側と、昇降台4aの2階部分左側とに、操作ユニット4bが対で配置されており、合計4対の操作ユニット4bが設けられている。
【0032】
対をなす2つの操作ユニット4bの一方を第1操作ユニット4b1(第1昇降ユニット)と称し、他方を第2操作ユニット4b2(第2昇降ユニット)と称する。これらの対をなす第1操作ユニット4b1と第2操作ユニット4b2とは、
図4に示すように、スタッカクレーン4の樽Xの載置領域を水平方向から挟んで配置されている。
図5は、第1操作ユニット4b1の拡大側面図である。この図に示すように、第1操作ユニット4b1は、インバータモータ10(駆動部)と、変速機11と、アーム12と、光学式センサ13(センサ)とを備えている。
【0033】
インバータモータ10は、アーム12を回動するための回転動力を生成する回転制御が可能なモータである。変速機11は、インバータモータ10の出力軸とアーム12とを接続しており、インバータモータ10から伝達される回転動力の回転数を変更してアーム12に伝達する。
【0034】
アーム12は、根元部が変速機11に接続され、先端部に溝部12aが形成された棒状部材である。このアーム12は、変速機11から回転動力が伝達されることによって、後述の棒状ストッパ8b(例えば、
図2参照)の軸方向と平行な回動軸を中心として回動される。このアーム12は、
図5に示すように、先端部が根元部よりも上方に位置する上昇姿勢(二点鎖線で示す姿勢)と、先端部が根元部よりも下方に位置する下降姿勢(実線で示す姿勢)との間で回動される。なお、このアーム12は、昇降台4aが、昇降台4aに設けられるレール4a3と収容部2aに設けられたレール2bとが同じ高さとなりかつ根元部と先端部とを結ぶ方向が略水平となったときに後述の棒状ストッパ8bに当接する位置(高さ方向)に設けられている。
【0035】
溝部12aは、上昇姿勢と下降姿勢との間で回動されるアーム12の上辺側の先端部寄りに設けられている。この溝部12aによって、アーム12の先端部は、上方に向けて開口するフック形状となっている。このような溝部12aは、アーム12が水平姿勢よりも上昇姿勢側の姿勢において、入り込んだ棒状ストッパ8bを保持することができる。
【0036】
また、溝部12aの長さ距離(アームの根元部と先端部との結ぶ方向の大きさ)は、棒状ストッパ8bの直径よりも十分に大きく設定されており、例えば、棒状ストッパ8bの直径距離よりも20cm程度大きく設定されている。これによって、制御誤差によってスタッカクレーン4のラック2に対する位置がわずかにずれた場合であっても、アーム12を回動させたときに確実に溝部12a内に棒状ストッパ8bが入り込む。
【0037】
また、溝部12aの深さ距離は、アーム12を上昇姿勢から下降姿勢に向けて回動させたときに、溝部12a内を転がる棒状ストッパ8bが溝部12aの端部を乗り越えることがないように設定されている。なお、この溝部12aの深さ距離は、実験やシミュレーションを行って、棒状ストッパ8bが転がり出ない深さを求めることによって決定される。
【0038】
また、アーム12は、溝部12aの端部のうちアーム12の根元側(回動軸側)の端部から、アーム12の先端部側(回動軸と反対側)に突出する突起部12bを有している。この突起部12bは、アーム12が上昇姿勢であるときに、溝部12aから棒状ストッパ8bが脱落することを防止する。
【0039】
光学式センサ13は、アーム12の第1操作ユニット4b1側の側面内側に取り付けられており、第2操作ユニット4b2に向けて測定光を射出すると共に第2操作ユニット4b2からの反射光を受光することで、第1操作ユニット4b1のアーム12と、第2操作ユニット4b2のアーム12とが同期して回動しているかを検知する。つまり、光学式センサ13は、第1操作ユニット4b1のアーム12と第2操作ユニット4b2のアーム12との同期ずれを検知する。この光学式センサ13は、制御部9と電気的に接続されている。このため、制御部9は、第2操作ユニット4b2側からの反射光を受光しなかった(すなわち同期ずれが発生した)ことを示す信号が入力されることで、第1操作ユニット4b1のアーム12と第2操作ユニット4b2のアーム12とが同期していないことを知ることができる。
【0040】
また、
図5に示すように、アーム12には、溝部12aに棒状ストッパ8bが存在しているかを検出するための棒検知センサ14が設けられている。この棒検知センサ14の出力によって、アーム12に棒状ストッパ8bが把持されているかの判定を行うことができる。
【0041】
なお、第2操作ユニット4b2は、第1操作ユニット4b1のアーム12に設けられた光学式センサ13の換わりに光学式センサの測定光を反射する反射板が設けられている点以外は第1操作ユニット4b1と同一の構成を有している。
【0042】
図1に戻り、搬送台車5は、収容部2aに敷設されたレール2bや、スタッカクレーン4に設けられたレール4a3に沿って移動して樽Xを搬送するものであり、複数台設置されている。これらの搬送台車5は、制御部9の制御の下で移動し、搬送台車充電ステーション6及び入出庫装置7にも出入り可能とされている。また、これらの搬送台車5は、不図示のターン機構によって、左右方向の向きを入れ替えることが可能とされており、これによって、クレーン軌道3の左側のラック2と右側のラック2とのどちらにでもアクセス可能とされている。
【0043】
搬送台車充電ステーション6は、ラック2の後側脇に配置されており、クレーン軌道3に併設されている。この搬送台車充電ステーション6は、搬送台車5の6台分の駐車スペースが設けられており、各駐車スペースにおいて搬送台車5に対して充電を行う。入出庫装置7は、搬送台車充電ステーション6に対向する位置に配置されており、クレーン軌道3に併設されている。この入出庫装置7は、運搬用トラックTと搬送台車5との間で樽Xの受け渡しを行う。なお、搬送台車充電ステーション6及び入出庫装置7にも、搬送台車5が走行可能なようにレールが敷設されている。
【0044】
ストッパユニット8は、ストッパ支持部8aと、棒状ストッパ8bと、サイドガイド8cとから構成されている。ストッパ支持部8aは、ラック2に対して固定されている。このストッパ支持部8aは、
図6(a)に示すように、ストッパ支持部8aのラック2側に位置する部位であると共に棒状ストッパ8bを受ける受部8a1と、受部8a1から棒状ストッパ8bの直径より大きく離間されかつ受部8a1よりも高い位置に配置される先端部8a2と、受部8a1と先端部8a2とを繋ぐ中間部8a3とを有する形状とされている。例えば、受部8a1から先端部8a2までの離間距離は、棒状ストッパ8bの直径距離よりも20cm程度大きく設定されている。これによって、制御誤差によってスタッカクレーン4のラック2に対する位置がわずかにずれた場合であっても、アーム12を回動させたときに確実に棒状ストッパ8bをストッパ支持部8aに支持させることができる。
【0045】
このようなストッパ支持部8aは、収容部2aの出入口を挟むように水平に複数設置されている。このようなストッパ支持部8aが2つあるいは3つで1つの棒状ストッパ8bを支持する。なお、2つのストッパ支持部8aで棒状ストッパ8bを支持するときには、棒状ストッパ8bの両端部がストッパ支持部8aに支持される。また、3つのストッパ支持部8aで棒状ストッパ8bを支持するときには、棒状ストッパ8bの両端部及び中央部がストッパ支持部8aによって支持される。
【0046】
棒状ストッパ8bは、2つの収容部2aを水平方向に跨ぐ長さとされており、ストッパ支持部8aに支持されたときに、収容部2aから樽Xが落下することを防止できるよう、収容部2aの高さの半分程度の位置に配置される。これは地震発生時に樽Xが棒状ストッパ8bを下から持ち上げ、これによって棒状ストッパ8bが外れないようにするためである。この棒状ストッパ8bは、スタッカクレーン4に設けられた上述の操作ユニット4bのアーム12によって昇降可能とされており、アーム12によって持ち上げられることによりストッパ支持部8aから取り外される。また、棒状ストッパ8bは、
図6(b)に示すように、ストッパ支持部8aとの当接位置及びアーム12との当接位置を避けて両端部に対して鍔8b1が設けられている。
【0047】
サイドガイド8cは、
図6(c)に示すように、ストッパ支持部8aの下部に固定されており、上端が斜め上方に向くように傾斜して設けられている。このサイドガイド8cは、ストッパ支持部8aから側方に突出するように設けられており、棒状ストッパ8bの端部8b2がガイド面8c1と当接するように配置されている。なお、棒状ストッパ8bは、
図6(c)に示すアーム12と鍔8b1との隙間の分だけ軸方向の位置変動が許容される。このため、アーム12によって持ち上げられた棒状ストッパ8bがストッパ支持部8cに置かれるときに、棒状ストッパ8bの端部8b2がサイドガイド8cの外側に飛び出さないよう、サイドガイド8cの上端位置とストッパ支持部8aとの隙間が十分に広く設定されている。これによって、確実にサイドガイド8cによって棒状ストッパ8bを案内することができる。
【0048】
なお、
図6(c)においては、同一の棒状ストッパ8bを支持する3つのストッパ支持部8aのうち、後側に位置するストッパ支持部8aを図示している。この
図6(c)に図示されたストッパ支持部8aの反対側(前側)に位置するストッパ支持部8aには、
図6(c)に示すサイドガイド8cと対称とされたサイドガイド8cが設けられる。
【0049】
このようなサイドガイド8cは、ストッパ支持部8aに棒状ストッパ8bが載置されるときに、ガイド面8c1に棒状ストッパ8bの端部8b2が当接され、下降する棒状ストッパ8bを案内する。これによって、棒状ストッパ8bの軸方向の位置が調整される。また、サイドガイド8cは、ストッパ支持部8aに支持された棒状ストッパ8bの軸方向の移動を規制する。つまり、サイドガイド8cは、ストッパ支持部8aに固定され、棒状ストッパ8bの軸方向の移動を規制すると共に当該軸方向における棒状ストッパ8bの位置を規定する。このようなサイドガイド8cを設けることにより、棒状ストッパ8bの軸方向の位置を、アーム12に対して最適な位置に合わせることが可能となる。
【0050】
制御部9は、本実施形態の自動倉庫1の全体を制御するものであり、スタッカクレーン4や搬送台車5を制御する。このような制御部9は、本実施形態においては、アーム12に取り付けられた光学式センサ13と接続されており、光学式センサ13から第1操作ユニット4b1のアーム12と第2操作ユニット4b2のアーム12との同期ずれを示す信号が入力されると、第1操作ユニット4b1と第2操作ユニット4b2とを含め自動倉庫1の全体の動作を停止する。なお、制御部9は、自動倉庫1の動作を停止すると、例えば、その旨を示す警告を作業者に対して通知し、作業者による復旧作業が行われるまで自動倉庫1の全体を待機状態とする。
【0051】
このような構成を有する本実施形態の自動倉庫1において、スタッカクレーン4で搬送台車5ごと搬送された樽Xを収容部2aに収容する場合には、まず制御部9の制御の下、スタッカクレーン4が樽Xを指定された列の収容部2aまで移動し、その後、昇降台4aが目的の収容部2aに対向する位置まで引き上げられる。このように昇降台4aが引き上げられると、第1操作ユニット4b1のアーム12と第2操作ユニット4b2のアーム12とが同期して、下降姿勢から上昇姿勢まで回動される。そして、
図7に示すように、アーム12が水平になる少し手前となったときに、アーム12の先端部に設けられた溝部12aに棒状ストッパ8bが入り込む。さらに、アーム12を上昇姿勢まで回動させると、棒状ストッパ8bは持ち上げられる。なお、溝部12aのアーム12の根元側の端部には突起部12bが設けられているため、溝部12a内を転がる棒状ストッパ8bが溝部12aから脱落することはない。このようにして棒状ストッパ8bが持ち上げられてストッパ支持部8aから取り外されると、搬送台車5が、収容部2aに入って樽Xを載置し、再びスタッカクレーン4の昇降台4aに戻る。その後、アーム12を下降姿勢まで回動して棒状ストッパ8bを戻す。
【0052】
なお、収容部2aから樽Xを取り出す動作も、アーム12を回動させることによって棒状ストッパ8bをストッパ支持部8aから取り外し、搬送台車5を収容部2aに入れることによって行われる。
【0053】
また、上述のように、昇降台4aには複数の搬送台車5及び樽Xを載せることが可能となっている。このため、サイクルタイムを短くすることを優先する場合には、例えば、アーム12で棒状ストッパ8bを持ち上げたまま、スタッカクレーン4を走行させたり、昇降台4aを昇降させたりしても良い。これによって、持ち上げた棒状ストッパ8bを戻す工程を設けることなく、次の樽Xの搬送に移行することができる。なお、持ち上げた棒状ストッパ8bは、樽X等の搬送を行わないスタッカクレーン4の空き時間に戻せば良い。
【0054】
また、棒状ストッパ8bを持ち上げたままスタッカクレーン4や昇降台4aを移動させることがない、すなわち、持ち上げた棒状ストッパ8bをその都度戻す場合には、棒状ストッパ8bを持ち上げることが可能な範囲で移動させることができる留具等によって棒状ストッパ8bとラック2とを繋げておいても良い。これによって、棒状ストッパ8bがラック2から落下することを防止することができる。
【0055】
以上のような本実施形態の自動倉庫1によれば、ラック2の収容部2aに対して設けられる棒状ストッパ8bが、スタッカクレーン4に設置された操作ユニット4bによって昇降される。このため、棒状ストッパ8bを作業者の直接の作業によらないで取り外すことができる。また、本実施形態の自動倉庫1においては、スタッカクレーン4のみに操作ユニット4bが設けられている。したがって、本実施形態の自動倉庫1によれば、ラック2の収容部2aごとに棒状ストッパ8bを昇降する機構を設けることなく、自動で各収容部2aの棒状ストッパ8bの取り外しを行うことができる。このような本実施形態の自動倉庫1によれば、ラック2の各収容部2aに対して棒状ストッパ8bを昇降する機構(操作ユニット)を設置する場合と比較すると、操作ユニット4bの設置数を大幅に減少させることができるため、自動化に伴うメンテナンス作業の増加や設置コストの増加を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態の自動倉庫1においては、棒状ストッパ8bの軸方向と平行な回動軸を中心として回動されると共に先端部に棒状ストッパ8bを受ける溝部12aを有するアーム12と、アーム12を駆動するインバータモータ10とを備える。このため、インバータモータ10によってアーム12を回動させる動作のみで棒状ストッパ8bを昇降させることができる。よって、簡単な制御で棒状ストッパ8bの取り外しを行うことができる。
【0057】
また、本実施形態の自動倉庫1においては、アーム12は、溝部12aの回動軸(アーム12の根元側)側の端部から回動軸と反対側(アーム12の先端部側)に突出し、溝部12aからの棒状ストッパ8bの落下を抑止する突起部12bを有する。このため、アーム12を下降姿勢から上昇姿勢に回動させたときに、溝部12a内を棒状ストッパ8bがアーム12の先端部側から根元側に転がっても、突起部12bによって棒状ストッパ8bが抑えられ、棒状ストッパ8bが脱落することを防止することができる。
【0058】
また、本実施形態の自動倉庫1においては、操作ユニット4bとして、スタッカクレーン4の樽Xの載置領域を水平方向から挟んで配置されると共にアーム12が同期して回動される第1操作ユニット4b1と第2操作ユニット4b2とを有し、これらのアーム12の同期ずれを検知する光学式センサ13と、光学式センサ13の同期ずれを示す信号が入力されると操作ユニット4bを停止する制御部9とを有している。このため、対をなす2つのアーム12の姿勢が異なり、これによって棒状ストッパ8bの姿勢が不安定となることを防止することができる。
【0059】
また、本実施形態の自動倉庫1においては、アーム12との当接位置を避けて棒状ストッパ8bの両端部に鍔8b1が設けられている。このため、万が一棒状ストッパ8bの姿勢が不安定となったときであっても、鍔8b1がストッパ支持部8aあるいはアーム12と当接することによって棒状ストッパ8bが脱落することを防止することができる。
【0060】
また、本実施形態の自動倉庫1においては、ストッパ支持部8aは、ラック2側の根元部分(スタッカクレーン側)を構成すると共に棒状ストッパ8bを受ける受部8a1と、受部8a1から棒状ストッパ8bの直径距離より大きく離間されかつ受部8a1よりも高い位置に配置される先端部8a2と、受部8a1と先端部8a2とを繋ぐ中間部8a3とを有する形状とされている。このため、制御誤差等によってスタッカクレーン4のラック2に対する位置がわずかにずれた場合であっても、アーム12を回動させたときに確実に棒状ストッパ8bをストッパ支持部8aに支持させることができる。また、先端部8a2が受部8a1よりも高い位置にあることから、地震等のときに棒状ストッパ8bがストッパ支持部8aから飛び出すことを防止することが可能となる。
【0061】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されないことは言うまでもない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の趣旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0062】
例えば、上記実施形態においては、2つの操作ユニット4b(第1操作ユニット4b1及び第2操作ユニット4b2)を有する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、2つのアームを有する1つの操作ユニットによって棒状ストッパを昇降する構成を採用することもできる。このような構成を採用する場合には、1つのインバータモータと1つの変速機とを備え、変速機の出力端と2つのアームとをリンク部材等によって物理的に繋ぐ構成が考えられる。このときには、2つのアームが確実に同期されることになるため、上述した光学式センサ13をなくしても良い。
【0063】
また、上記実施形態においては、搬送台車5によって樽Xを搬送する構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、作業者によって樽Xを搬送しても良い。なお、作業者がレール2b及びレール4a3上を転がしながら樽Xを搬送する。また、作業者によって樽Xを搬送する場合には、スタッカクレーン4において搬送台車5の載置スペースにさらに樽Xを載置して搬送することが可能となる。このような場合であっても、本発明によれば、棒状ストッパ8bの取り外しを操作ユニット4bによって行うことができるため、作業者の作業負担を軽減することができる。
【0064】
また、本実施形態においては、収容物が樽Xである構成について説明した。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、円筒形や円柱形等の収容物を収容する場合に適したものである。