(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記区間特定画像表示手段は、前記アイコンをユーザが選択する操作を受け付けた場合に、該操作を受け付けてから所定時間が経過するまでの間、前記区間特定画像を表示することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれかに記載の交通情報案内システム。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る交通情報案内システム及び交通情報案内装置についてナビゲーション装置1に具体化した一実施形態に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。先ず、本実施形態に係るナビゲーション装置1の概略構成について
図1を用いて説明する。
図1は本実施形態に係るナビゲーション装置1を示したブロック図である。
【0012】
図1に示すように本実施形態に係るナビゲーション装置1は、ナビゲーション装置1が搭載された車両の現在位置を検出する現在位置検出部11と、各種のデータが記録されたデータ記録部12と、入力された情報に基づいて、各種の演算処理を行うナビゲーションECU13と、ユーザからの操作を受け付ける操作部14と、ユーザに対して車両周辺の地図や施設の関する施設情報を表示する液晶ディスプレイ15と、経路案内に関する音声ガイダンスを出力するスピーカ16と、記憶媒体であるDVDを読み取るDVDドライブ17と、プローブセンタやVICS(登録商標:Vehicle Information and Communication System)センタ等の情報センタとの間で通信を行う通信モジュール18と、から構成されている。
【0013】
以下に、ナビゲーション装置1を構成する各構成要素について順に説明する。
現在位置検出部11は、GPS21、車速センサ22、ステアリングセンサ23、ジャイロセンサ24等からなり、現在の車両の位置、方位、車両の走行速度、現在時刻等を検出することが可能となっている。ここで、特に車速センサ22は、車両の移動距離や車速を検出する為のセンサであり、車両の駆動輪の回転に応じてパルスを発生させ、パルス信号をナビゲーションECU13に出力する。そして、ナビゲーションECU13は発生するパルスを計数することにより駆動輪の回転速度や移動距離を算出する。尚、上記4種類のセンサをナビゲーション装置1が全て備える必要はなく、これらの内の1又は複数種類のセンサのみをナビゲーション装置1が備える構成としても良い。
【0014】
また、データ記録部12は、外部記憶装置及び記録媒体としてのハードディスク(図示せず)と、ハードディスクに記録された地図情報DB31や交通情報DB32や所定のプログラム等を読み出すとともにハードディスクに所定のデータを書き込む為のドライバである記録ヘッド(図示せず)とを備えている。尚、データ記録部12をハードディスクの代わりにメモリーカードやCDやDVD等の光ディスクにより構成しても良い。また、地図情報DB31は外部のサーバに格納させ、ナビゲーション装置1が通信により取得する構成としても良い。
【0015】
ここで、地図情報DB31は、例えば、道路(リンク)に関するリンクデータ、ノード点に関するノードデータ、施設等の地点に関する地点データ、各交差点に関する交差点データ、地図を表示するための地図表示データ、経路を探索するための探索データ、地点を検索するための検索データ等が記憶された記憶手段である。
【0016】
また、交通情報DB32は、VICSセンタ等の外部の交通情報センタから受信した交通情報が格納されるDBである。尚、交通情報としてはVICS情報以外に、TPEG(Transport Protocol Expert Group)やプローブ情報であっても良い。
【0017】
例えば交通情報センタは、路上に設置された感知器を用いて、路上を走行する車両を検出した検出結果や特定の機関(例えば警察庁)等から提供された情報を収集するとともに、その検出結果や提供情報に基づいて交通情報を生成し、生成した交通情報をFM多重放送、光ビーコン、電波ビーコン等によりナビゲーション装置1に提供する情報提供センタである。尚、提供される交通情報としては、“渋滞の区間と渋滞の度合いを特定する渋滞情報”の他に、“通行止め、車線規制、チェーン規制等の交通規制情報”や、“故障車、事故、工事等の交通障害情報”等がある。交通情報センタは、例えば渋滞に関する交通情報を生成する場合には、路上に設置された感知器を用いて車両の平均車速を取得し、道路種別毎に規定された判定条件に基づいて渋滞度を決定する。また、交通情報センタは所定時間毎(例えば5分毎)に最新の交通情報をナビゲーション装置1へと送信する。
【0018】
ここで、
図2は交通情報センタからナビゲーション装置1へと配信される交通情報の一例を示した図である。
図2に示す交通情報は、2013年7月6日の13時56分から14時1分までの5分間に生成され14時1分に配信される情報であり、交通事象の内容と該交通事象が生じている区間を特定する情報をそれぞれ含む。交通事象としては、渋滞、通行止め、車線規制、チェーン規制、故障車、事故、工事等がある。例えば、
図2に示す交通情報では、地点Aから地点Bまでの区間において車線規制が生じていることを示し、地点Cから地点Dまでの区間において渋滞が生じていることを示している。また、
図2に示す例では、交通事象の生じている区間を、区間の開始点と終点により特定しているが、リンクにより特定しても良い。また、開始点と区間の長さにより特定しても良い。
そして、ナビゲーションECU13は、交通情報DB32に記憶された交通情報に基づいて、後述のように液晶ディスプレイ15やスピーカ16を介してユーザに対して交通情報の提供を行う。
【0019】
一方、ナビゲーションECU(エレクトロニック・コントロール・ユニット)13は、ナビゲーション装置1の全体の制御を行う電子制御ユニットであり、演算装置及び制御装置としてのCPU41、並びにCPU41が各種の演算処理を行うにあたってワーキングメモリとして使用されるとともに、経路が探索されたときの経路データ等が記憶されるRAM42、制御用のプログラムのほか、後述の交通情報案内処理プログラム(
図3)等が記録されたROM43、ROM43から読み出したプログラムを記憶するフラッシュメモリ44等の内部記憶装置を備えている。尚、ナビゲーションECU13は、処理アルゴリズムとしての各種手段を構成する。例えば、交通情報取得手段は、交通事象の内容と該交通事象が生じている区間を特定する情報を含む交通情報を取得する。地図画像表示手段は、液晶ディスプレイ15に地図画像を表示する。アイコン表示手段は、取得した交通情報に基づいて、交通情報によって特定される交通事象の内容を示したアイコンを、地図画像の交通情報によって特定される区間内に表示する。区間特定画像表示手段は、アイコンをユーザが選択する操作を受け付けた場合に、交通情報によって特定される区間の開始点から終点までを結ぶ区間特定画像を地図画像上に表示する。
【0020】
操作部14は、走行開始地点としての出発地及び走行終了地点としての目的地を入力する際等に操作され、各種のキー、ボタン等の複数の操作スイッチ(図示せず)から構成される。そして、ナビゲーションECU13は、各スイッチの押下等により出力されるスイッチ信号に基づき、対応する各種の動作を実行すべく制御を行う。尚、操作部14は液晶ディスプレイ15の前面に設けたタッチパネルによって構成することもできる。また、マイクと音声認識装置によって構成することもできる。特に本実施形態では、地図画像上に表示された交通情報を示すアイコンを選択する際にも用いられる。
【0021】
また、液晶ディスプレイ15には、道路を含む地図画像、交通情報、操作案内、操作メニュー、キーの案内、出発地から目的地までの走行予定経路、走行予定経路に沿った案内情報、ニュース、天気予報、時刻、メール、テレビ番組等が表示される。尚、液晶ディスプレイ15の代わりに、HUDやHMDを用いても良い。特に本実施形態では、交通情報を表示する際には、交通事象の内容を示したアイコンを、地図画像の交通情報によって特定される区間内に表示する。また、交通情報によって特定される区間(即ち、交通事象が生じている区間)の開始点から終点までを結ぶ区間特定画像(例えば矢印の画像)を地図画像上に表示する。
【0022】
また、スピーカ16は、ナビゲーションECU13からの指示に基づいて走行予定経路に沿った走行を案内する音声ガイダンスや、交通情報の案内を出力する。
【0023】
また、DVDドライブ17は、DVDやCD等の記録媒体に記録されたデータを読み取り可能なドライブである。そして、読み取ったデータに基づいて音楽や映像の再生、地図情報DB31の更新等が行われる。
【0024】
また、通信モジュール18は、上述した交通情報センタ、例えば、VICSセンタやプローブセンタ等から送信された交通情報を受信する為の通信装置であり、例えば携帯電話機やDCMが該当する。
【0025】
次に、前記構成を有するナビゲーション装置1において実行する交通情報案内処理プログラムについて
図3に基づき説明する。
図3は本実施形態に係る交通情報案内処理プログラムのフローチャートである。ここで、交通情報案内処理プログラムは車両のACCがONされた後に実行され、交通情報センタから取得した交通情報の案内を行うプログラムである。尚、以下の
図3にフローチャートで示されるプログラムは、ナビゲーション装置1が備えているRAM42やROM43に記憶されており、CPU41により実行される。
【0026】
交通情報案内処理プログラムではステップ(以下、Sと略記する)1において、CPU41は、VICSセンタ等の外部の交通情報センタから送信された交通情報を取得する。尚、前記したように交通情報は、交通事象(渋滞、通行止め、車線規制、チェーン規制、故障車、事故、工事等)の内容と該交通事象が生じている区間を特定する情報をそれぞれ含む(
図2参照)。尚、交通情報センタは、所定時間毎(例えば5分毎)に最新の交通情報をナビゲーション装置1へと送信する。また、前記S1で取得した交通情報は交通情報DB32に格納される。
【0027】
次に、S2においてCPU41は、交通情報において特定される区間(即ち、交通事象が生じている区間)を、前記S1で取得した交通情報毎に比較し、前記S1で取得した交通情報が複数種類あって、且つ各交通情報において特定される区間の少なくとも一部が重複するか否か判定する。尚、区間が重複するか否かの判定は異なる種類の交通情報間で比較して行われる。ここで、交通情報の種類は、交通事象の種類であり、例えば同じ交通事象に関する交通情報であれば同じ種類の交通情報とする。即ち、同じ交通事象(例えば渋滞)に関する交通情報は、複数あったとしても基本的に区間が重複することはないので、前記S2では異なる交通事象(例えば渋滞と工事)に関する交通情報間で区間が重複するか否か判定されることとなる。また、前記S1で1種類の交通情報のみしか取得できなかった場合には、交通情報において特定される区間が重複することはないので、S3へと移行することとなる。
【0028】
そして、前記S1で取得した交通情報が複数種類あって、各交通情報において特定される区間の少なくとも一部が重複すると判定された場合(S2:YES)には、S4へと移行する。それに対して、前記S1で取得した交通情報が1種類のみである、又は複数種類あっても各交通情報において特定される区間が重複しないと判定された場合(S2:NO)には、S3へと移行する。
【0029】
S3においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に対して地図画像とともに前記S1で取得した交通情報を表示する。尚、表示対象となる地図画像は車両の現在位置周辺の地図画像でも良いし、ユーザによって指定された任意のエリアの地図画像でも良い。また、交通情報を表示する場合にCPU41は、先ず交通事象と描画データ(アイコンや矢印)とを対応付けたテーブル(図示せず)を用いて表示対象となる交通情報を示すアイコンと矢印(区間特定画像)を決定する。そして、決定されたアイコンと矢印に対応する描画データをメモリから読み出して、地図画像上の該当する箇所に重畳して描画する。具体的には交通情報によって特定される区間の開始点から終点までに矢印を描画し、区間の開始点にアイコンを描画する。尚、矢印の色は交通事象の種類毎に変更することが望ましい。また、アイコンの色は対応する矢印の色と同色とすることが望ましい。それによって、ユーザは表示されたアイコンがどの矢印と対応するのかを容易に把握することが可能となる。
【0030】
また、交通情報は、基本的に液晶ディスプレイ15に表示される地図画像内に含まれる交通情報を表示対象とする。また、表示される地図画像の縮尺によっても表示対象となる交通情報を変化させるのが望ましい。例えば、より広いエリアを表示対象とする縮尺(例えば1/10万)では、高速道路や国道等の主要道路に関する交通情報のみを表示対象とし、より狭いエリアを表示対象とする縮尺(例えば1/1万)では、高速道路や国道等の主要道路に加えて他の一般道に関する交通情報についても表示対象とする。
【0031】
ここで、
図4は前記S3においてナビゲーション装置1の液晶ディスプレイ15に表示される案内画面51を示した図である。尚、
図4に示す例では交通情報として、渋滞に関する交通情報と工事に関する交通情報をそれぞれ表示する例について説明する。
図4に示すように、案内画面51には、車両周辺の地図画像52とともに、自車の現在位置を示す自車マーク53と、渋滞を示すアイコン54と、渋滞の区間を示す矢印55と、工事を示すアイコン56と、工事の区間を示す矢印57とが表示される。その結果、ユーザは、案内画面51を視認することによって矢印55が表示された区間で渋滞が生じており、矢印57が表示された区間で工事が行われていることを容易且つ迅速に把握することが可能となる。
【0032】
一方、S4においてCPU41は、前記S2において区間が重複すると判定された各交通情報の優先度を特定する。ここで、交通情報の優先度は、交通事象の種類によって特定される。
図5は交通事象の種類と優先度の対応関係を示した図である。
図5に示すように、優先度はユーザの走行により大きく影響を与える交通事象程、高く設定される。具体的には、“通行止め”が最も優先度が高く、“渋滞”、“車線規制”、“事故”、“チェーン規制”、“工事”、“その他”の順となる。尚、
図5に示す交通事象の種類と優先度の対応関係は予め装置側で設定され、ROM43等に記憶される。また、
図5に示す交通事象の種類と優先度の対応関係は一例であり、適宜変更しても良い。例えば、“渋滞”を最も優先度を高くなるように設定しても良い。
【0033】
次に、S5においてCPU41は、液晶ディスプレイ15に対して地図画像とともに前記S1で取得した交通情報を表示する。但し、区間が重複する交通情報については、前記S4で特定した優先度を考慮して表示する。具体的には、最も優先度が高い交通情報については、交通情報によって特定される区間の開始点にアイコンを表示するとともに、交通情報によって特定される区間の開始点から終点までの全区間に対して矢印を表示する。一方、他の交通情報については、アイコンは表示する一方で、矢印については自分より優先度が高い交通情報と重複する区間については表示せず、重複しない区間のみを対象として表示する。
【0034】
例えば、
図6に示すように車線規制の交通情報と工事の交通情報の区間が重複する場合であって、且つ優先度が低い工事の交通情報の全区間が優先度の高い車線規制の交通情報の区間に含まれる場合には、車線規制を示すアイコン60を表示するとともに車線規制の交通情報の区間を示す矢印61については区間の開始点から終点までの全区間に対して表示する。一方、工事の交通情報の区間を示す矢印57については表示されず、工事を示すアイコン56のみが表示されることとなる。
【0035】
また、
図7に示すように車線規制の交通情報と工事の交通情報の区間が重複する場合であって、且つ優先度が低い工事の交通情報の一部区間のみが優先度の高い車線規制の交通情報の区間に含まれる場合には、車線規制を示すアイコン60を表示するとともに車線規制の交通情報の区間を示す矢印61については区間の開始点から終点までの全区間に対して表示する。一方、工事の交通情報の区間を示す矢印57については車線規制の交通情報の区間と重複する区間については表示されず、重複しない区間についてのみ表示されることとなる。
【0036】
また、
図8は前記S5においてナビゲーション装置1の液晶ディスプレイ15に表示される案内画面51を示した図である。尚、
図8に示す例では交通情報として、渋滞に関する交通情報と車線規制に関する交通情報と工事に関する交通情報をそれぞれ表示し、且つ車線規制に関する交通情報によって特定される区間と工事に関する交通情報によって特定される区間とが重複する例について説明する。
図8に示すように、案内画面51には、車両周辺の地図画像52とともに、自車の現在位置を示す自車マーク53と、渋滞を示すアイコン54と、渋滞の区間を示す矢印55が表示される。一方で、重複する交通情報の内、優先度が高い車線規制に関する交通情報については、車線規制を示すアイコン60と、車線規制の区間を示す矢印61が表示される。一方で、優先度が低い工事に関する交通情報については、全区間が優先度の高い車線規制の交通情報の区間に含まれるので、工事を示すアイコン56は表示されるが、工事の区間を示す矢印については表示されない。その結果、ユーザは、案内画面51を視認することによって矢印55が表示された区間で渋滞が生じていることや矢印61が表示された区間で車線規制が生じていることを容易且つ迅速に把握することが可能となる。また、工事の区間の詳細については把握できないものの、アイコンの位置から工事の区間の開始位置は特定でき、少なくとも車線規制が生じている区間内において工事の区間が存在することについては把握することが可能となる。また、矢印が重複して表示されないので、ユーザにとって重要な交通情報を明確に把握することが可能となる。
【0037】
次に、S6においてCPU41は、操作部14から送信された操作信号に基づいて、前記S5において地図画像上に表示されたアイコンのいずれかをユーザが選択する操作を受け付けたか否か判定する。例えば、操作部14がタッチパネルである場合には、タッチパネルから送信されたタッチ座標とアイコンの表示領域とが一致した場合に、アイコンをユーザが選択する操作を受け付けたと判定する。
【0038】
そして、前記S5において地図画像上に表示されたアイコンのいずれかをユーザが選択する操作を受け付けたと判定された場合(S6:YES)には、S7へと移行する。それに対して、前記S5において地図画像上に表示されたアイコンのいずれかをユーザが選択する操作を受け付けていないと判定された場合(S6:NO)には、当該交通情報案内処理プログラムを終了する。
【0039】
S7においてCPU41は、ユーザが選択したアイコンが、矢印の少なくとも一部が非表示となっている交通情報(即ち、区間が重複する交通情報であって優先度が低い方の交通情報)に対応するアイコンであるか否か判定する。
【0040】
そして、ユーザが選択したアイコンが、矢印の少なくとも一部が非表示となっている交通情報に対応するアイコンであると判定された場合(S7:YES)には、S8へと移行する。それに対して、ユーザが選択したアイコンが、矢印の少なくとも一部が非表示となっている交通情報に対応するアイコンでないと判定された場合(S7:NO)には、当該交通情報案内処理プログラムを終了する。
【0041】
S8においてCPU41は、ユーザによって選択されたアイコンを強調表示するとともに、選択されたアイコンの交通情報に対応する矢印を、区間の開始点から終点までの全区間を対象として表示する。但し、選択されてから所定時間(例えば5sec)経過すると、アイコンの強調表示を解除し、矢印の表示態様も選択前の状態に戻す。尚、アイコンの強調表示は、例えば、アイコンの枠を太くすることや、アイコンの色を変更することにより行う。その結果、通常時において矢印が非表示となっている交通情報についても、必要時には正確な交通情報をユーザに提供することが可能となる一方で、ユーザに交通情報を把握させた後には再度矢印が非表示となるので、交通情報に係る画像の重複を可能な限り抑えることが可能となる。
【0042】
尚、上記アイコンの強調表示及び矢印の全区間表示を行う期間は適宜設定することが可能である。例えば、アイコンの選択を継続する状態(タッチパネルではアイコンをタッチした状態)において、アイコンの強調表示及び矢印の全区間表示を継続して行い、選択が解除された時点(例えばアイコンをタッチオフした時点)で、アイコンの強調表示を解除し、矢印の表示態様も選択前の状態に戻すように構成しても良い。
【0043】
例えば、
図9は、車線規制の交通情報と工事の交通情報の区間が重複し、且つ優先度が低い工事の交通情報の全区間が優先度の高い車線規制の交通情報の区間に含まれる場合であって、工事を示すアイコン56が選択された場合について示す。
図9に示すように、工事を示すアイコン56が選択されると、工事を示すアイコン56が強調表示される。また、非表示となっていた工事の交通情報の区間を示す矢印57が区間の開始点から終点までの全区間に対して表示される。その結果、ユーザは工事が行われている区間の詳細について把握することが可能となる。
【0044】
また、
図10は、車線規制の交通情報と工事の交通情報の区間が重複し、且つ優先度が低い工事の交通情報の一部区間のみが優先度の高い車線規制の交通情報の区間に含まれる場合であって、工事を示すアイコン56が選択された場合について示す。
図10に示すように、工事を示すアイコン56が選択されると、工事を示すアイコン56が強調表示される。また、一部のみ表示されていた工事の交通情報の区間を示す矢印57が区間の開始点から終点までの全区間に対して表示される。その結果、ユーザは工事が行われている区間の詳細について把握することが可能となる。尚、
図10に示す例では矢印61と矢印57の重複区間において矢印61の一部についても表示しているが、矢印57のみを表示する構成としても良い。
【0045】
以上詳細に説明した通り、本実施形態に係るナビゲーション装置1、ナビゲーション装置1による交通情報案内方法及びナビゲーション装置1で実行されるコンピュータプログラムでは、交通情報センタから取得した交通情報を案内する場合において、取得した交通情報によって特定される交通事象の内容を示したアイコンを、地図画像の交通情報によって特定される区間内に表示し(S3、S5)、表示されたアイコンをユーザが選択する操作を受け付けた場合に、交通情報によって特定される区間の開始点から終点までを結ぶ矢印を地図画像上に表示する(S8)ので、交通事象の内容を示したアイコンと交通事象が生じている区間の開始点から終点までを結ぶ矢印をそれぞれ地図画像上に表示することによって、ユーザに対して容易且つ迅速に交通情報を理解させることが可能となる。また、矢印についてはアイコンがユーザに選択された場合に表示するので、同一地点付近に複数の交通情報が集中した場合であっても、交通情報に係る画像の重複を抑えることが可能であり、必要な交通情報を分かりやすく案内することが可能となる。更に、ユーザが必要とする状況では矢印を表示することができるので、正確な交通情報をユーザに提供することも可能となる。
【0046】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは勿論である。
例えば、本実施形態では交通情報によって特定される区間の開始点から終点までを結ぶ区間特定画像として、矢印の画像を表示しているが矢印以外の画像としても良い。例えば、区間の開始点から終点までを結ぶ線分の画像としても良い。
【0047】
また、本実施形態では、交通情報によって特定される区間の開始点に、該交通情報の交通事象を示すアイコンを表示することとしているが、アイコンを表示する位置は交通情報によって特定される区間内であればどの位置でも良い。例えば、区間の中点に表示するように構成しても良い。
【0048】
また、本実施形態では、優先度が低い交通情報の一部区間のみが優先度の高い交通情報の区間に含まれる場合には、優先度の低い交通情報の区間を示す矢印については、優先度の高い交通情報と重複する区間については表示せず、重複しない区間についてのみ表示することとしているが、重複しない区間についても表示しない構成としても良い。
【0049】
また、本発明はナビゲーション装置以外に、地図画像や交通情報を表示する機能を有する各種装置に対して適用することが可能である。例えば、携帯電話機、スマートフォン、タブレット型端末、パーソナルコンピュータ等(以下、携帯端末等という)に適用することも可能である。また、サーバと携帯端末等から構成されるシステムに対しても適用することが可能となる。その場合には、上述した交通情報案内処理プログラム(
図3)の各ステップは、サーバと携帯端末等のいずれが実施する構成としても良い。
【0050】
また、本発明に係る交通情報案内システムを具体化した実施例について上記に説明したが、交通情報案内システムは以下の構成を有することも可能であり、その場合には以下の効果を奏する。
【0051】
例えば、第1の構成は以下のとおりである。
交通事象
は内容によって優先度
が設定
され、
前記区間特定画像表示手段は、交通情報取得手段によって取得された交通情報が複数種類あって、且つ各交通情報において特定される区間の少なくとも一部が重複する場合に、区間が重複する前記複数種類の交通情報の内、最も優先度が高い前記交通事象に関する交通情報については、前記アイコンをユーザが選択する操作を受け付けたか否かに関わらず、前記区間特定画像を前記地図画像上に表示し、他の前記交通情報については、前記アイコンをユーザが選択する操作を受け付けた場合に
、前記区間特定画像を前記地図画像上に表示する。
尚、「交通情報の種類」とは、交通情報によって特定される交通事象の種類であり、例えば同じ交通事象に関する交通情報であれば同じ種類の交通情報とする。
上記構成を有する交通情報案内システムによれば、優先度が高いユーザにとって重要な交通情報については区間特定画像により正確な情報を案内することが可能となる一方、それ以外の交通情報についてもユーザの要求に応じて正確な交通情報をユーザに提供することが可能となる。また、区間特定画像を表示しない状況においても、アイコンについてはユーザの操作に関わらず表示されるので、少なくとも交通事象が生じているおよその位置についてはユーザに把握させることが可能となる。
【0052】
また、第2の構成は以下のとおりである。
前記区間特定画像表示手段は、交通情報取得手段によって取得された交通情報が複数種類あって、一方の交通情報によって特定される区間に他方の交通情報によって特定される全区間が含まれるとともに、前記一方の交通情報が特定する交通事象よりも前記他方の交通情報が特定する交通事象の優先度が低い場合に、他方の交通情報については、アイコンをユーザが選択する操作を受け付ける前は、他方の交通情報によって特定される全区間において区間特定画像を表示しない。
上記構成を有する交通情報案内システムによれば、より優先度の高い交通情報に他方の交通情報が完全に被覆される場合には、通常時は他方の交通情報の区間特定画像を非表示とすることによって、優先度が高いユーザにとって重要な交通情報については正確な情報を案内することが可能となる。一方で、他方の交通情報についてもユーザの要求に応じて区間特定画像を表示させることにより、必要時には正確な交通情報をユーザに提供することが可能となる。
【0053】
また、第3の構成は以下のとおりである。
前記区間特定画像表示手段は、交通情報取得手段によって取得された交通情報が複数種類あって、一方の交通情報によって特定される区間に他方の交通情報によって特定される区間の一部が含まれるとともに、前記一方の交通情報が特定する交通事象よりも前記他方の交通情報が特定する交通事象の優先度が低い場合に、他方の交通情報については、アイコンをユーザが選択する操作を受け付ける前は、他方の交通情報によって特定される区間の内、一方の交通情報によって特定される区間と重複しない区間のみを対象として区間特定画像を表示する。
上記構成を有する交通情報案内システムによれば、より優先度の高い交通情報に他方の交通情報の一部が被覆される場合には、通常時は他方の交通情報の区間特定画像を重複区間において非表示とすることによって、優先度が高いユーザにとって重要な交通情報については正確な情報を案内することが可能となる。一方で、他方の交通情報についてもユーザの要求に応じて非表示となっている区間の区間特定画像を表示させることにより、必要時には正確な交通情報をユーザに提供することが可能となる。また、通常時においても他方の交通情報は、優先度の高い交通情報と重複しない区間については区間特定画像を表示することにより、優先度の高い交通情報の案内を阻害しない範囲で、より正確な交通情報を提供することが可能となる。
【0054】
また、第4の構成は以下のとおりである。
前記交通事象のユーザの走行に与える影響によって優先度が設定され、ユーザの走行に与える影響の大きい交通事象は、与える影響の小さい交通事象よりも優先度が高く設定される。
上記構成を有する交通情報案内システムによれば、ユーザに対して案内を行うことがより重要と予測される交通情報について、優先的に区間特定画像を表示するので、ユーザに行わせる操作を最小限として必要な交通情報をユーザに提供することが可能となる。
【0055】
また、第5の構成は以下のとおりである。
区間特定画像表示手段は、アイコンをユーザが選択する操作を受け付けた場合に、該操作を受け付けてから所定時間が経過するまでの間、区間特定画像を表示する。
上記構成を有する交通情報案内システムによれば、通常時において区間特定画像が非表示となっている交通情報についても、必要時には正確な交通情報をユーザに提供することが可能となる一方で、ユーザに交通情報を把握させた後には再度区間特定画像が非表示となるので、交通情報に係る画像の重複を可能な限り抑えることが可能となる。