特許第6098511号(P6098511)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6098511ベルトコンベアの運転方法及びベルトコンベアの運転装置、並びに搬送装置の制御方法及び搬送装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098511
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ベルトコンベアの運転方法及びベルトコンベアの運転装置、並びに搬送装置の制御方法及び搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 43/00 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   B65G43/00 K
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2013-523953(P2013-523953)
(86)(22)【出願日】2012年7月10日
(86)【国際出願番号】JP2012067603
(87)【国際公開番号】WO2013008820
(87)【国際公開日】20130117
【審査請求日】2015年6月30日
(31)【優先権主張番号】特願2011-153824(P2011-153824)
(32)【優先日】2011年7月12日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(72)【発明者】
【氏名】登美 晶
(72)【発明者】
【氏名】竹川 哲也
(72)【発明者】
【氏名】岡本 丈弘
(72)【発明者】
【氏名】大野 泰嗣
【審査官】 八板 直人
(56)【参考文献】
【文献】 特開昭57−121513(JP,A)
【文献】 特開平2−233427(JP,A)
【文献】 特開平5−338779(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 43/00−43/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドプーリとテールプーリとの間に張設され、搬送物をピッチ送りするためのベルトコンベアの運転方法であって、
選択された搬送物が各搬送サイクル毎に停止する目標位置を、前記テールプーリ回転軸の回転角度を検出するエンコーダで前記ベルトコンベア全長にわたって制御し、ピッチ送り量を制御する工程を含み、
前記工程では、(A)前記選択された搬送物が搬出位置から搬出された後に、続いて搬入位置に搬入された搬送物を、新たな前記選択された搬送物として選択しなおすか、又は、(B)任意の時間的又は距離的な周期ごとに、前記ベルトコンベア上のいずれか一つの搬送物を新たな前記選択された搬送物として選択しなおすことを特徴とするベルトコンベアの運転方法。
【請求項2】
n(nは2以上の整数)個の搬送物が載置されるコンベアと、前記コンベアを駆動する駆動手段とを備える搬送装置を制御する方法であって、
前記コンベアにおける搬入部から搬出部までの前記搬送物の搬送距離をLTとしたときに、前記コンベアの1回のピッチ送り量Lpが式(1)で算出される大きさとなるように、前記駆動手段を制御する工程を含む、搬送装置の制御方法。
Lp=LT/(n−1) ・・・(1)
【請求項3】
前記搬送装置は、前記コンベアの移動を一定距離ごとに検出する検出手段をさらに備え、
前記駆動手段を制御する工程では、前記コンベアが前記搬送距離LTを移動したときの前記検出手段によるカウント数をCTとしたときに、前記コンベアの1回のピッチ送りの際の前記検出手段におけるカウント数Cpが式(2)で算出される大きさとなるように、前記駆動手段を制御する、請求項に記載の搬送装置の制御方法。
Cp=CT/(n−1) ・・・(2)
【請求項4】
前記駆動手段を制御する工程は、
前記コンベア上の前記搬送物のうちの一の搬送物の位置を、前記検出手段によるカウント数に基づいて取得することと、
取得した前記一の搬送物の位置と停止位置目標値とを比較して両者が一致しない場合に、そのずれ量を解消するように前記駆動手段を制御して前記コンベアを前進又は後進させることとを含む、請求項に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項5】
前記駆動手段を制御する工程は、前記一の搬送物を所定の周期ごとに前記コンベア上の前記搬送物のうちから選択しなおす、請求項に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項6】
前記コンベアは、コンベアベルトと、前記コンベアベルトが架け渡された一対のプーリとを有し、
前記検出手段は、前記プーリの回転量を一定角度ごとに検出する、請求項のいずれか一項に記載の搬送装置の制御方法。
【請求項7】
n(nは2以上の整数)個の搬送物が載置されるコンベアと、
前記コンベアを駆動する駆動手段と、
前記コンベアにおける搬入部から搬出部までの前記搬送物の搬送距離をLTとしたときに、前記コンベアの1回のピッチ送り量Lpが式(3)で算出される大きさとなるように、前記駆動手段を制御する制御手段とを備える、搬送装置。
Lp=LT/(n−1) ・・・(3)
【請求項8】
前記コンベアの移動を一定距離ごとに検出する検出手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記コンベアが前記搬送距離LTを移動したときの前記検出手段によるカウント数をCTとしたときに、前記コンベアの1回のピッチ送りの際の前記検出手段におけるカウント数Cpが式(4)で算出される大きさとなるように、前記駆動手段を制御する、請求項に記載の搬送装置。
Cp=CT/(n−1) ・・・(4)
【請求項9】
前記制御手段は、
前記コンベア上の前記搬送物のうちの一の搬送物の位置を、前記検出手段によるカウント数に基づいて取得し、
取得した前記一の搬送物の位置と停止位置目標値とを比較して両者が一致しない場合に、そのずれ量を解消するように前記駆動手段を制御して前記コンベアを前進又は後進させる、請求項に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記制御手段は、前記一の搬送物を所定の周期ごとに前記コンベア上の前記搬送物のうちから選択しなおす、請求項に記載の搬送装置。
【請求項11】
前記コンベアは、コンベアベルトと、前記コンベアベルトが架け渡された一対のプーリとを有し、
前記検出手段は、前記プーリの回転量を一定角度ごとに検出する、請求項10のいずれか一項に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送物をピッチ送りにより搬送するベルトコンベアの運転方法及びベルトコンベアの運転装置、並びに搬送装置の制御方法及び搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、複数の搬送物をピッチ送りにより搬送する搬送装置を開示している。当該搬送装置は、載置された複数の搬送物を一定方向に搬送するコンベアと、コンベアの搬送方向に沿って一定間隔で配置された複数のストッパとを備える。当該搬送装置では、コンベアを駆動しつつ、ストッパを突出位置と引き込み位置との間で駆動することで、搬送物を確実且つ高精度にピッチ送りにより搬送できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−213515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、当該搬送装置では、搬送物の移動をストッパで止めて搬送物をピッチ送りしているので、搬送物が重量物(例えば鋳型)である場合にはストッパにかかる負荷が大きくなってしまい、当該搬送装置を適用できなかった。
【0005】
そのため、本技術分野では、搬送物が重量物であっても確実且つ高精度にピッチ送りできるベルトコンベアの運転方法及びベルトコンベアの運転装置、並びに搬送装置の制御方法及び搬送装置が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係るベルトコンベアの運転方法は、ヘッドプーリとテールプーリとの間に張設され、搬送物をピッチ送りするためのベルトコンベアの運転方法であって、選択された搬送物が各搬送サイクル毎に停止する目標位置を、テールプーリ回転軸の回転角度を検出するエンコーダでベルトコンベア全長にわたり制御し、ピッチ送り量を制御する。
【0007】
本発明の一側面に係るベルトコンベアの運転方法は、任意の搬送物を選択し、その搬送物が各搬送サイクル毎に停止する目標位置を、常に搬入位置から目標位置までのエンコーダカウント数で制御し、選択した搬送物が搬出されるタイミング、または、制御的に任意に決めたサイクル後に搬入される搬送物を、次の停止位置を制御する搬送物に変更する制御を繰り返す。
【0008】
本発明の一側面に係る搬送装置の制御方法は、n(nは2以上の整数)個の搬送物が載置されるコンベアと、コンベアを駆動する駆動手段とを備える搬送装置を制御する方法であって、コンベアにおける搬入部から搬出部までの搬送物の搬送距離をLTとしたときに、コンベアの1回のピッチ送り量Lpが式(1)で算出される大きさとなるように、駆動手段を制御する工程を含む。
Lp=LT/(n−1) ・・・(1)
【0009】
本発明の一側面に係る搬送装置の制御方法では、搬送距離LT及び搬送物の数nに基づいて、コンベアの1回のピッチ送り量Lpを算出している。搬送距離LTの大きさは変動しない固定値であるので、算出されるピッチ送り量Lpに搬送物の位置ずれ量が含まれない。そのため、ピッチ送り量Lpが正確となる。従って、搬送物が重量物であっても確実且つ高精度にピッチ送りできる。
【0010】
搬送装置は、コンベアの移動を一定距離ごとに検出する検出手段をさらに備え、駆動手段を制御する工程では、コンベアが搬送距離LTを移動したときの検出手段によるカウント数をCTとしたときに、コンベアの1回のピッチ送りの際の検出手段におけるカウント数Cpが式(2)で算出される大きさとなるように、駆動手段を制御してもよい。
Cp=CT/(n−1) ・・・(2)
この場合、1カウントあたりのコンベアの移動量をαとすると、ピッチ送り量Lp及び搬送距離LTはそれぞれ式(3)及び式(4)にて表される。
Lp=α×Cp ・・・(3)
LT=α×CT ・・・(4)
式(3)及び式(4)を式(2)に代入すると、式(1)が得られる。すなわち、1カウントあたりのコンベアの移動量αと、検出手段によるカウント数CTとを予め把握しておくだけで、ピッチ送り量Lpを設定できる。
【0011】
駆動手段を制御する工程は、コンベア上の搬送物のうちの一の搬送物の位置を、検出手段によるカウント数に基づいて取得することと、取得した一の搬送物の位置と停止位置目標値とを比較して両者が一致しない場合に、そのずれ量を解消するように駆動手段を制御してコンベアを前進又は後進させることとを含んでもよい。この場合、搬送物の停止位置と停止位置目標値との間にずれが生じたとしても、そのずれ量が解消される。そのため、搬送物の停止精度のさらなる向上が図られる。
【0012】
制御手段は、一の搬送物を所定の周期ごとにコンベア上の搬送物のうちから選択しなおしてもよい。この場合、所定の周期ごとにずれ量が解消されるので、搬送物の停止精度のより一層の向上が図られる。
【0013】
コンベアは、コンベアベルトと、コンベアベルトが架け渡された一対のプーリとを有し、検出手段は、プーリの回転量を一定角度ごとに検出してもよい。
【0014】
本発明の他の側面に係るベルトコンベアの運転装置は、ヘッドプーリとテールプーリとの間に張設され、搬送物をピッチ送りするためのベルトコンベアの運転装置であって、ヘッドプーリを間欠回転させるモータと、テールプーリ回転軸の回転角度を検出するエンコーダと、選択された搬送物が各搬送サイクル毎に停止する目標位置を上記エンコーダのカウント数で制御する制御装置とを備える。
【0015】
本発明の他の側面に係る搬送装置は、n(nは2以上の整数)個の搬送物が載置されるコンベアと、コンベアを駆動する駆動手段と、コンベアにおける搬入部から搬出部までの搬送物の搬送距離をLTとしたときに、コンベアの1回のピッチ送り量Lpが式(5)で算出される大きさとなるように、駆動手段を制御する制御手段とを備える。
Lp=LT/(n−1) ・・・(5)
【0016】
本発明の他の一側面に係る搬送装置では、搬送距離LT及び搬送物の数nに基づいて、コンベアの1回のピッチ送り量Lpを算出している。搬送距離LTの大きさは変動しない固定値であるので、算出されるピッチ送り量Lpに搬送物の位置ずれ量が含まれない。そのため、ピッチ送り量Lpが正確となる。従って、搬送物が重量物であっても確実且つ高精度にピッチ送りできる。
【0017】
コンベアの移動を一定距離ごとに検出する検出手段をさらに備え、制御手段は、コンベアが搬送距離LTを移動したときの検出手段によるカウント数をCTとしたときに、コンベアの1回のピッチ送りの際の検出手段におけるカウント数Cpが式(6)で算出される大きさとなるように、駆動手段を制御してもよい。
Cp=CT/(n−1) ・・・(6)
この場合、1カウントあたりのコンベアの移動量をαとすると、ピッチ送り量Lp及び搬送距離LTはそれぞれ式(7)及び式(8)にて表される。
Lp=α×Cp ・・・(7)
LT=α×CT ・・・(8)
式(7)及び式(8)を式(6)に代入すると、式(5)が得られる。すなわち、1カウントあたりのコンベアの移動量αと、検出手段によるカウント数CTとを予め把握しておくだけで、ピッチ送り量Lpを設定できる。
【0018】
制御手段は、コンベア上の搬送物のうちの一の搬送物の位置を、検出手段によるカウント数に基づいて取得し、取得した一の搬送物の位置と停止位置目標値とを比較して両者が一致しない場合に、そのずれ量を解消するように駆動手段を制御してコンベアを前進又は後進させてもよい。この場合、搬送物の停止位置と停止位置目標値との間にずれが生じたとしても、そのずれ量が解消される。そのため、搬送物の停止精度のさらなる向上が図られる。
【0019】
制御手段は、一の搬送物を所定の周期ごとにコンベア上の搬送物のうちから選択しなおしてもよい。この場合、所定の周期ごとにずれ量が解消されるので、搬送物の停止精度のより一層の向上が図られる。
【0020】
コンベアは、コンベアベルトと、コンベアベルトが架け渡された一対のプーリとを有し、検出手段は、プーリの回転量を一定角度ごとに検出してもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明の種々の側面によれば、搬送物が重量物であっても確実且つ高精度にピッチ送りできる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、搬送装置の上面図である。
図2図2は、搬送装置の側面図である。
図3図3は、搬出部を示す上面図である。
図4図4(A)は搬出部を示す側面図であり、図4(B)は搬出部を示す正面図である。
図5図5(A)はエンコーダの近傍を示す側面図であり、図5(B)はエンコーダの近傍を示す正面図である。
図6図6は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図7図7は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図8図8は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図9図9は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図10図10は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図11図11は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図12図12は、搬送物が搬送される様子を示す図である。
図13図13は、搬送装置の他の例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本実施形態に係る搬送装置100について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0024】
搬送装置100は、図1及び図2に示されるように、コンベア1と、搬入装置8と、搬出装置10と、エンコーダ14と、制御部30とを備える。コンベア1は、コンベアベルト4と、ヘッドプーリ2と、テールプーリ3と、ヘッドプーリ2及びテールプーリ3を支持する支持部材1aと、複数の従動ローラ1bと、モータ6とを有する。
【0025】
コンベアベルト4は、ヘッドプーリ2及びテールプーリ3に架け渡された無端状のベルトである。コンベアベルト4のうち上方に位置する部分の上面には、n(nは2以上の整数)個の搬送物7が載置される。
【0026】
ヘッドプーリ2は、図3に示されるように、回転軸2aを介して支持部材1aに対して回転可能に取り付けられている。ヘッドプーリ2には、図2に示されるように、チェーン5を介してモータ6の回転が伝達される。これにより、モータ6の回転は、チェーン5、ヘッドプーリ2及びコンベアベルト4の順に伝達され、コンベアベルト4に載置された搬送物がコンベアベルト4の延在方向に沿って移動する。このとき、コンベアベルト4上における搬送物7の間隔を一定に維持するために、コンベアベルト4を所定の送り量でピッチ送りするようモータ6が制御部30により制御される。
【0027】
テールプーリ3は、図4に示されるように、回転軸13を介して支持部材1aに対して回転可能に取り付けられている。テールプーリ3は、コンベアベルト4の回転に伴って回転する従動プーリである。複数の従動ローラ1bは、図1に示されるように、ヘッドプーリ2とテールプーリ3との間に配置されており、支持部材1aに対して回転可能に取り付けられている。
【0028】
搬入装置8は、図1及び図2に示されるように、コンベア1の側方において、ヘッドプーリ2とテールプーリ3との間で且つテールプーリ3の近傍に配置されている。搬入装置8は、搬入路8aと、押出板9とを有する。搬入路8aは、上方から見て、コンベア1と直交している。押出板9は、制御部30から出力された信号により動作して、搬入路8a上の搬送物7をコンベアベルト4に押し出す。
【0029】
搬出装置10は、図1図2に示されるように、コンベア1の側方において、ヘッドプーリ2とテールプーリ3との間で且つヘッドプーリ2の近傍に配置されている。搬出装置10は、搬出路10aと、押出板11とを有する。搬出路10aは、上方から見て、コンベア1と直交している。押出板11は、制御部30から出力された信号により動作して、コンベアベルト4上の搬送物7を搬出路10aに押し出す。搬出物7の搬出路10aへの押し出しの際に、搬送物7が搬出路10aからはみ出すことを防止するため、搬出路10aには固定ガイド12が取り付けられている。
【0030】
エンコーダ14は、図1図2図4及び図5に示されるように、テールプーリ3の回転軸13に取り付けられている。エンコーダ14は、テールプーリ3が所定角度回転するごとにパルスを出力するロータリエンコーダである。エンコーダ14から出力されたパルスは制御部30に送信される。
【0031】
制御部30は、図2に示されるように、エンコーダ14、搬入装置8、搬出装置10及びモータ6に接続されている。制御部30は、エンコーダ14から入力されたパルスをカウントすることでテールプーリ3の回転量を検出する。制御部30は、カウント数に応じて搬入装置8、搬出装置10及びモータ6に信号を出力し、搬入装置8の押出板9、搬出装置10の押出板11及びモータ6の動作を制御する。
【0032】
次に、制御部30による搬入装置8、搬出装置10及びモータ6の制御について、具体的に説明する。ここでは、搬入路8aとコンベアベルト4との交差部C1(図1参照)から、搬出路10aとコンベアベルト4との交差部C2(図1参照)との間まで、n個の搬送物7が一定間隔でコンベアベルト4上に載置されている状態を考える。なお、搬送物7がコンベアベルト4上に載置される数nは、通常、搬送装置100の設計時に決定されるため、nは固定値である。
【0033】
各搬送物7は、コンベアベルト4により順次ピッチ送りされ、交差部C1の搬入位置から交差部C2の搬出位置までn−1回停止する。すなわち、搬送中における位置ずれがないと仮定すると、搬送物7のm(mは1から(n−1)までの整数)回目の停止位置目標値Lmは式(9)で表され、n−1回目の停止位置目標値L(m−1)が搬出位置となる。
Lm=m/(n−1)×LT ・・・(9)
ここで、LTは、コンベアベルト4における交差部C1から交差部C2までの搬送物7の搬送距離であり、搬送装置100の設計時に決定される固定値である。
【0034】
まず、制御部30は、搬出装置10を制御して、交差部C2(搬出位置)に位置する搬送物7を押出板11で搬出路10aに押し出す。これにより、コンベアベルト4上には、交差部C1(搬入位置)から、交差部C2の一つ手前の位置(n−2回目の停止位置)まで、n−1個の搬送物7が存在する。
【0035】
続いて、制御部30は、コンベアベルト4を1回のピッチ送り量Lpでピッチ送りするようモータ6を制御する。これにより、コンベアベルト4上には、交差部C1の一つ次の位置(1回目の停止位置目標値)から、交差部C2(搬出位置、すなわちn−1回目の停止位置目標値)まで、n−1個の搬送物7が存在する。
【0036】
続いて、制御部30は、搬入装置8を制御して、搬入路8aに位置する搬送物7を押出板9で交差部C1に向けて押し出す。これにより、コンベアベルト4上には、交差部C1(搬入位置)から交差部C2(搬出位置、すなわちn−1回目の停止位置目標値)まで、n個の搬送物7が存在する。搬送装置100においては以上の動作が繰り返され、搬送物7がコンベアベルト4上を順次ピッチ送りされる。
【0037】
図10は、コンベアベルト4上の搬送物7のうちの一の搬送物7aが2回目の停止位置目標値L2=2/(n−1)×LTに位置している状態を示す。図11は、コンベアベルト4の搬送物7のうちの一の搬送物7aが10回目の停止位置目標値L10=10/(n−1)×LTに位置している状態を示す。図12は、コンベアベルト4の搬送物7のうちの一の搬送物7aがn−1回目の停止位置目標値(搬出位置)L(n−1)=(n−1)/(n−1)×LTに位置すると共に、次のサイクルの搬送物7bが搬入位置に位置している状態を示す。
【0038】
ここで、ピッチ送り量Lpについてより詳しく説明する。本実施形態では、コンベアベルト4の1回のピッチ送りの際のエンコーダ14によるカウント数Cpが式(10)で算出される大きさとなるように、制御部30がモータ6を制御する。
Cp=CT/(n−1) ・・・(10)
ここで、CTは、コンベアベルト4が搬送距離LTを移動したときのエンコーダ14によるカウント数であり、予め測定することで得られる実測値である。
【0039】
エンコーダ14の1カウントあたりのコンベアベルト4の移動量をαとすると、ピッチ送り量Lp及び搬送距離LTはそれぞれ式(10)及び式(11)にて表される。
Lp=α×Cp ・・・(11)
LT=α×CT ・・・(12)
式(11)及び式(12)を式(10)に代入すると、式(13)が得られる。
Lp=LT/(n−1) ・・・(13)
従って、1カウントあたりのコンベアの移動量αと、検出手段によるカウント数CTとを予め把握しておくだけで、ピッチ送り量Lpを設定できる。これにより、本実施形態においては、ピッチ送り量Lpが式(10)で算出される大きさとなるように、制御部30がモータ6を制御する。
【0040】
ところで、搬送物7をコンベア1で搬送するにあたり、タイマーを利用してコンベアベルト4を制御することも考えられる。すなわち、制御部30により、モータ6を一定時間ごとに動作及び停止させること(間欠動作させること)が考えられる。ところが、ブレーキ遅れ等で搬送物7の実際の停止位置が停止位置目標値から微妙にずれることがある。つまり、ピッチ送り量Lpと、実際の移動量(実測値)Lx1、Lx2、Lx3、・・・、Lx(n−1)とが一致しないことがある(図6参照)。タイマー制御の場合、位置ずれがいったん生ずると、そのずれを解消することが困難である。しかも、本実施形態のように、搬送物7の搬送方向と直交する方向に搬送物7を搬出する場合、ずれ量の大きさによっては搬送物7を搬出できない事態が起こりうる。
【0041】
具体的には、位置ずれが発生して搬送物7が目標の搬出位置に到達せず、ずれ量Lzが送り足らず側の位置ずれ許容量La(図3参照)よりも大きくなった場合、搬出時に搬送物7が固定ガイド12と干渉してしまう。また、位置ずれが発生して搬送物7が目標の搬出位置を超えてしまい、ずれ量Lzが送り過ぎ側の位置ずれ許容量Lb(図3参照)よりも大きくなった場合、搬出時に押出板11が2つの搬送物7を押し出してしまう。
【0042】
このような停止位置のずれを防止するために、エンコーダを利用してコンベアベルト4を制御することも考えられる。具体的には、搬出位置の一つ手前に位置する搬送物7を搬出位置へと送るピッチ送り量Lpを、式(14)により調整して、当該搬送物7が搬出位置に精度よく停止させることが考えられる。
Lp=LT−Ls ・・・(14)
ここで、Lsは、ある搬送物7が搬入位置から搬出位置の一つ手前まで搬送されたときの搬送距離を示し、エンコーダによって得られる実測値である。
【0043】
式(14)を用いて搬送物7を搬送する様子を、図7図9に基づいて具体的に説明する。まず、図7に示されるように、搬出位置の一つ手前に位置する搬送物7を1ピッチ分搬送する。このときのピッチ送り量LpをLp1とする(Lp=Lp1)。このとき同時に、搬入位置に位置する搬送物7がLp1だけ搬送される(図8参照)。
【0044】
続いて、図8に示されるように、搬出位置の一つ手前に位置する搬送物7を1ピッチ分搬送する。このときのピッチ送り量LpをLp2とする(Lp=Lp2)。このとき同時に、搬入位置に位置する搬送物7がLp2だけ搬送される(図9参照)。こうして、搬入位置に位置する搬送物7は、式(14)で算出されたピッチ送り量Lp(Lp3,Lp4,・・・,Lp(n−1))にて順次搬送される。
【0045】
式(14)によれば、実測値であるLsを用いてピッチ送り量Lpを算出している。そのため、搬送物7の位置ずれにより、値Lsと搬送物7の実際の搬送距離とが異なっている場合がありうる。従って、ピッチ送り量Lpにばらつきが生じることがある。
【0046】
このばらつきは、補正制御をしない限り自然に収束することはなく、拡散していく傾向を有する。そのため、搬送物7が送り過ぎの状態にある場合には、搬送物7の搬送を繰り返すごとにピッチ送り量Lpが小さくなり、搬入位置において搬送物7を搬入するためのスペースが確保できなくなってしまう。一方、搬送物7が送り足らずの状態にある場合には、搬送物7の搬送を繰り返すごとにピッチ送り量Lpが大きくなり、コンベアベルト4上に所定数の搬送物7を載置できなくなってしまう。
【0047】
そこで、本実施形態では、搬送物7の搬送方向と直交する方向に搬送物7を搬出する場合であっても、ピッチ送り量Lpのばらつきを抑制できるよう、搬送装置を制御している。具体的には、制御部30は、コンベアベルト4上の搬送物7のうちの一の搬送物7の位置を、エンコーダ14のカウント数に基づいて取得する。続いて、制御部30は、取得した一の搬送物7の位置と停止位置目標値とが一致しているか否かを比較する。
【0048】
制御部30は、比較の結果一致していると判断した場合、特に追加の制御を行わない。一方、制御部30は、比較の結果一致していないと判断した場合、そのずれ量を解消するようにモータ6を制御する。具体的には、一の搬送物7の位置が停止位置目標値よりも進んでいる場合、制御部30は、モータ6を制御してコンベアベルト4を後進させる。一方、一の搬送物7の位置が停止位置目標値よりも手前である場合、制御部30は、モータ6を制御してコンベアベルト4を前進させる。
【0049】
本実施形態において、制御部30は、一の搬送物7を所定の周期ごとにコンベアベルト4上の搬送物7のうちから選択しなおしている。例えば、図12に示されるように、一の搬送物7aが搬出位置から搬出されたとき、続くタイミングで搬入位置に搬入された搬送物7bを、新たな一の搬送物7として選択してもよい。または、任意の時間的又は距離的な周期ごとに、コンベアベルト4上の搬送物7から新たな一の搬送物7を選択してもよい。
【0050】
以上のような本実施形態では、搬送距離LT及び搬送物の数nに基づいて、コンベアの1回のピッチ送り量Lpを算出している。搬送距離LTの大きさは変動しない固定値であるので、算出されるピッチ送り量Lpに搬送物7の位置ずれ量が含まれない。そのため、ピッチ送り量Lpが正確となる。従って、搬送物7が重量物であっても確実且つ高精度にピッチ送りできる。また、本実施形態では、コンベアベルト4上への搬送物7の積載量が増加(コンベアベルト4の長さを延長)したり、搬送物7の積載密度が増加(搬送物7同士の間隙の狭隘化)した場合でも、搬送物7を確実且つ高精度にピッチ送りできる。さらに、本実施形態では、搬送物7の形状が不定形であったり、搬送物7の形状が時間の経過と共に変化したりして、搬送物7の位置を検出することが困難な場合でも、搬送物7を確実且つ高精度にピッチ送りできる。
【0051】
本実施形態では、コンベアベルト4の1回のピッチ送りの際のエンコーダ14によるカウント数Cpが式(10)で算出される大きさとなるように、制御部30がモータ6を制御している。この場合、エンコーダ14の1カウントあたりのコンベアベルト4の移動量をαとすると、ピッチ送り量Lp及び搬送距離LTはそれぞれ式(10)及び式(11)にて表され、式(11)及び式(12)を式(10)に代入すると、式(13)が得られる。従って、本実施形態では、1カウントあたりのコンベアの移動量αと、検出手段によるカウント数CTとを予め把握しておくだけで、ピッチ送り量Lpを設定できるようになる。
【0052】
本実施形態では、制御部30が、コンベアベルト4上の搬送物7のうちの一の搬送物7の位置を、エンコーダ14のカウント数に基づいて取得する。そして、取得した一の搬送物7の位置と停止位置目標値とを比較して両者が一致しない場合に、そのずれ量を解消するように制御部30がモータ6を制御してコンベアベルト4を前進又は後進させる。そのため、搬送物7の停止位置と停止位置目標値との間にずれが生じたとしても、そのずれ量が解消される。その結果、搬送物7の停止精度のさらなる向上が図られる。このような制御部30によるモータ6の制御は、搬送方向と異なる方向に搬送物7を搬出する場合に特に好適である。
【0053】
本実施形態では、一の搬送物7を所定の周期ごとにコンベアベルト4上の搬送物7のうちから選択しなおしている。そのため、所定の周期ごとにずれ量が解消されるので、搬送物7の停止精度のより一層の向上が図られる。
【0054】
以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、エンコーダ14をヘッドプーリ2に取り付けてもよい。
【0055】
エンコーダ14(ロータリエンコーダ)に代えて、コンベアベルト4の移動を一定間隔ごとに検出できるような検出手段を用いてもよい。
【0056】
コンベアベルト4は、図13に示されるように、屈曲及び/又は傾斜していてもよい。
【符号の説明】
【0057】
1…コンベア、2…ヘッドプーリ、3…テールプーリ、4…コンベアベルト、6…モータ、7,7a,7b…搬送物、8…搬入装置、10…搬出装置、14…エンコーダ、30…制御部、100…搬送装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13