(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2のステップにおいて、前記パラメータの平均値を算出し、前記パラメータの平均値とあらかじめ設定されている前記パラメータの標準値との差から前記学習値を算出する、請求項1〜6のいずれか一項に記載の充電方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の充電制御方法では、充放電電流の値に応じて、蓄電装置の安全確保のために充放電電流を停止する閾値温度を一つに設定し、蓄電装置における温度マージンを確保する。しかし、充電後の車両の走行状況によって、実際に確保しなくてはいけない蓄電装置の温度マージンは変動する。このため、車両の使用状況に対して、過剰に蓄電装置の温度マージンを確保する閾値温度になってしまう場合がある。それゆえ、時間当たりの充電電力が過剰に小さくなり、充電に必要な時間が長くなり、実際の充電完了時刻が充電完了予定時刻に対して遅れる場合があるという問題点があった。
【0006】
この発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、特別な装置の追加及び変更をすることなく、実際の充電完了時刻が充電完了予定時刻に対して遅れる事態の発生頻度を抑えるタイマ充電時の充電システムの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る充電方法は、車両と、車両に設けられた蓄電装置と、車両に設けられ、蓄電装置に充電を行う充電装置と、充電装置は、充電装置による蓄電装置への充電時間を管理する充電タイマとを備え、充電装置による蓄電装置への充電を、あらかじめ設定された充電完了時刻に完了するタイマ充電を行う充電方法であって、充電装置は、蓄電装置への充電中における蓄電装置の温度の上限である充電時温度許容値を保持し、蓄電装置の温度が充電時温度許容値以下となるように、充電装置が蓄電装置への充電を行う第1のステップと、タイマ充電完了後毎に、蓄電装置へのタイマ充電完了時から車両を使用するまでの車両の状況から得られるパラメータを取得して、パラメータのあらかじめ設定されている標準値とから求められる学習値を計算する第2のステップと、学習値に基づいて新しい充電時温度許容値が決定される第3のステップと、蓄電装置の温度が新しい充電時温度許容値以下になるように充電装置が蓄電装置への充電を行う第4のステップと、第2のステップから第4のステップを繰り返す第5のステップとを含む。
学習値から充電時温度許容値を決定できるマップをさらに備えてもよい。
【0008】
この発明に係る充電方法は、車両と、車両に設けられた蓄電装置と、車両に設けられ、蓄電装置に充電を行う充電装置と、充電装置による蓄電装置への充電時間を管理する充電タイマとを備え、充電装置による蓄電装置への充電を、あらかじめ設定された充電完了時刻に完了するタイマ充電を行う充電方法であって、充電装置は、蓄電装置への充電中における蓄電装置へ入力される電力の上限である充電電力許容値を保持し、蓄電装置の充電電力が充電電力許容値以下となるように、充電装置が蓄電装置への充電を充電電力許容値以下の電力で行う第1のステップと、タイマ充電完了後毎に蓄電装置へのタイマ充電完了時から車両を使用するまでの車両の状況から得られるパラメータを取得して、パラメータのあらかじめ設定されている標準値とから求められる学習値を計算する第2のステップと、学習値に基づいて新しい充電電力許容値が決定される第3のステップと、蓄電装置の充電電力が新しい充電電力許容値以下となるように、充電装置が蓄電装置への充電を行う第4のステップと、第2のステップから第4のステップを繰り返す第5のステップとを含む。
蓄電装置の電力残量に対して充電電力許容値を決定するマップと、充電電力許容値を決定するマップを補正するための、学習値から充電電力補正係数を決定するマップとをさらに備え、第3のステップにおいて、学習値から充電電力補正係数を決定するマップに基づいて係数を求め、充電電力許容値を決定するためのマップを前記係数で乗算して補正し、補正された充電電力許容値を決定するためのマップに基づいて新しい充電電力許容値を決定してもよい。
パラメータは、車両のタイマ充電完了時から車両の走行開始までの時間であってもよい。
パラメータは、車両のタイマ充電完了時から車両の走行開始までの蓄電装置の温度変化であってもよい。
第2のステップにおいて、パラメータの平均値を算出し、パラメータの平均値とあらかじめ設定されているパラメータの標準値との差から前記学習値を算出してもよい。
【発明の効果】
【0009】
この発明によれば、蓄電装置の温度が充電時温度許容値以下となるように、充電装置が蓄電装置への充電を行い、タイマ充電完了後毎にパラメータを取得して、パラメータの標準値と実際の使用状況から得られる値とから求められる学習値を計算し、学習値に基づいて新しい充電時温度許容値が決定され、蓄電装置の温度が新しい充電時温度許容値以下になるように充電装置が蓄電装置への充電を行い、蓄電装置の温度が新しい充電時温度許容値以下になるように充電装置が蓄電装置への充電を行うことを繰り返すことで、実際の充電完了時刻が充電完了予定時刻に対して遅れる事態の発生頻度を抑えることができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施の形態1
以下、この発明の実施の形態1を添付図面に基づいて説明する。
この発明の実施の形態1に係る充電システムの制御方法を説明する。
図1に示すように、この実施の形態1で使用する充電システムは、PHV又はEVのようなモータ駆動可能な車両2に設けられた蓄電装置である例えばリチウムイオン二次電池等のバッテリ3と、バッテリ3を充電するための電力供給を行う給電装置4と、給電装置4から供給された電力をバッテリ3へ充電するための充電装置5とを備えている。
【0012】
車両2にはバッテリ3を充電するための充電装置5が設けられ、バッテリ3は充電装置5に電気的に接続されている。充電装置5には、バッテリ3の充電制御を行うための充電ECU6が設けられている。タイマ充電の時間管理を行うための充電タイマ7が充電装置5の内部に設けられ、充電ECU6と電気的に接続されている。また、バッテリ3の充電状態(SOC)すなわち電力残量を検出するSOCセンサ15が充電装置5の内部に設けられ、充電ECU6とバッテリ3とに電気的に接続されている。バッテリ3の近傍には、バッテリ温度Tを測定するための温度センサ14が設けられている。温度センサ14は充電装置5に電気的に接続されている。バッテリ3には、電力変換器9が電気的に接続されている。電力変換器9には、車両2を駆動させるためのモータ10が電気的に接続されている。電力変換器9は、モータ10の駆動時はバッテリ3から供給される電力を変換及び制御してモータ10に供給し、モータ10の回生運転によるモータ10の発電時には、モータ10から供給される電力を変換及び制御してバッテリ3に供給する。バッテリ3と、充電装置5と、電力変換器9と、モータ10とに、車両2の制御を行う車両ECU11が電気的に接続されている。
【0013】
車両2に、車両2の外部に向けて開口したソケット状の受電口8が設けられており、受電口8は充電装置5に電気的に接続されている。また、給電装置4は、図示しない商用交流電源等の外部電源に接続されている。さらに、給電装置4には、先端にプラグ12を備えるコード13が設けられている。給電装置4からの電力供給により充電装置5がバッテリ3に対して充電を実施するために、プラグ12は車両2の受電口8に挿入されて接続されている。これにより、車両2と給電装置4がコード13によって接続されている。コード13は、給電装置4から供給される充電電力と、給電装置4と充電装置5との間でやり取りされる各種情報とを伝送することができる。
【0014】
次に、この発明の実施の形態1に係る充電システムの制御方法を説明する。
駐車されている車両2と給電装置4がコード13によって接続されている状態で、車両2の使用者が例えば車両2に設けられたタッチパネル等の図示しない入力装置で充電完了予定時刻をセットし、車両2のタイマ充電開始を指示すると、充電ECU6にタイマ充電開始の指示が充電完了予定時刻と共に入力される。充電ECU6は、充電タイマ7に充電完了時刻を送信する。充電ECU6は、SOCセンサ15を介してバッテリ3のSOCや、充電装置5とコード13を介して給電装置4から受信する給電装置4の充電電力供給能力の情報等を取得する。
【0015】
実施の形態1の充電システムにおいては、
図2に示すように、充電開始後、バッテリ3の温度であるバッテリ温度Tが上昇するが、充電中のバッテリ温度Tの上限値としてTIが設定されており、充電開始後にバッテリ温度Tが充電時温度許容値初期値TIに達するまでは、バッテリ3への充電電力Wの値が給電装置4の充電電力供給能力に基づいた充電電力WAになるように充電制御を行う。バッテリ温度Tが充電時温度許容値初期値TIに達したら、給電装置4による充電電力を充電電力WAよりも低い充電電力制限値WCに変更する。ここで、充電電力制限値WCは、バッテリ温度Tが充電時温度許容値初期値TIに達した場合に、それ以上にバッテリ温度Tの上昇を防ぐための充電電力の値である。
【0016】
充電時温度許容値初期値TIは、実施の形態1の充電システム又は類似のシステムにおいて、充電中にバッテリ3を損傷させることがなく、さらに充電完了後に車両2を走行させた場合にすぐにバッテリ温度Tが走行時温度許容値TAに達しないように、走行時温度許容値TAに対して低い温度としている。続いて、
図1に示すように、充電ECU6は充電電力WA(
図2参照)と、バッテリ3のSOCと、現在のバッテリ温度T等の情報から、充電電力WAで充電を開始した後バッテリ3が満充電状態になるまで、すなわち充電開始から充電完了までの必要充電時間を計算する。充電タイマ7は、充電完了予定時刻と、必要充電時間から、充電開始予定時刻SC(
図2参照)を計算して保持する。
【0017】
充電タイマ7は、現在時刻と充電開始予定時刻SCとの照合を所定の周期で繰り返し、現在時刻が充電開始予定時刻SCに到達したら、充電ECU6に充電開始予定時刻到達通知を送信する。充電開始予定時刻到達通知を受信した充電ECU6は、給電装置4に充電電力WA(
図2参照)の送出要求を送信する。充電電力WAの送出要求を受信した給電装置4は、充電装置5に対して充電電力WAを送出する。充電装置5は、充電電力WAでバッテリ3へ充電を行う。充電中に充電ECU6は、温度センサ14によってバッテリ温度Tをモニタし、SOCセンサ15によりバッテリ3のSOCをモニタする。
図2に示すように、バッテリ3の温度が充電時温度許容値初期値TIに達した場合は、充電ECU6(
図1参照)はバッテリ3を保護するために、給電装置4(
図1参照)に充電電力制限値WCの送出要求を送信する。充電電力制限値WCの送出要求を受信した給電装置4は、充電装置5(
図1参照)に対して充電電力制限値WCを送出する。充電装置5は、充電電力制限値WCでバッテリ3へ充電を行う。充電ECU6は、バッテリ3のSOCが満充電になれば、充電を停止する。さらに充電ECU6は給電装置4へ電力供給停止指示を送信する。電力供給停止指示を受信した給電装置4は、充電電力の供給を停止する。充電ECU6は充電電力の供給停止を確認したら、車両ECU11(
図1参照)にタイマ充電終了の指示を送信することでタイマ充電が終了する。
【0018】
タイマ充電終了後、充電タイマ7(
図1参照)は今回の充電完了時刻SDを記録する。また、車両ECU11は、今回の充電完了時刻SD以降に車両2(
図1参照)を走行開始した時に、充電タイマ7に車両走行開始通知を送信する。車両走行開始通知を受信した充電タイマ7は、その時の時刻である車両走行開始時刻SEと、充電完了時刻SDとの差を計算し、充電完了時刻SDから車両走行開始時刻SEまでの経過時間であり、充電システムのパラメータである充電完了後走行時間SFを計算して充電ECU6に送信する。充電ECU6は受信した充電完了後走行時間SFを記憶する。この車両2の走行時のバッテリ3の温度許容値は、充電時の充電時温度許容値初期値TIよりも高い走行時温度許容値TAである。ここまでで、初回のタイマ充電の充電制御を終了する。
【0019】
次に、少なくとも二回目以降のタイマ充電の充電制御について説明する。少なくとも二回目以降のタイマ充電において、充電ECU6はこれまでの充電制御にて記憶している充電完了後走行時間SFの値を合計し、充電完了後走行時間SFの合計値をこれまでに充電完了後走行時間SFを取得した回数で割る。これにより、充電ECU6はこれまでに取得した充電完了後走行時間SFの平均値である充電完了後走行時間平均値SG(
図3参照)を得られる。
【0020】
図3に示すように、充電ECU6(
図1参照)は、あらかじめ、充電完了後走行時間SFの標準値である充電完了後走行時間標準値SHを記憶している。ここで、充電完了後走行時間標準値SHは、実施の形態1と同一の、或いは類似した充電システムにおいての過去の実績から求められた値である。充電ECU6は、充電完了後走行時間標準値SHと充電完了後走行時間平均値SGとの差を計算し、充電完了後走行時間学習値SJとして記憶する。充電ECU6は、充電完了後走行時間学習値SJと、タイマ充電中のバッテリ3の上限温度である充電時温度許容値TLimとの関係を示した温度許容値曲線をあらかじめ保持しており、この温度許容値曲線をもとに、新たな充電時温度許容値TLimとして使用する補正後充電時温度許容値TBを決定する。すなわち、TLimを変更する。その後は、
図2に示すように、補正後充電時温度許容値TBを使用して、一回目の充電と同様の充電制御を実施する。充電時温度許容値初期値TIとは異なる補正後充電時温度許容値TBを使用して充電制御を実施することで、車両2(
図1参照)の使用状況に合わせた充電制御が行えるので充電効率が向上する。
【0021】
このように、充電装置5は、バッテリ温度Tが充電時温度許容値TLim以下となるように充電装置5がバッテリ3へのタイマ充電を行い、タイマ充電完了後毎にバッテリ3へのタイマ充電完了時から車両2を使用するまでの車両2の状況から得られる充電完了後走行時間平均値SGを取得して、充電完了後走行時間標準値SHと、充電完了後走行時間平均値SGより充電完了後走行時間学習値SJを計算し、充電完了後走行時間学習値SJに基づいて新しい充電時温度許容値TLim以下になるように充電装置5がバッテリ3への充電を行い、充電完了後走行時間平均値SGより充電完了後走行時間学習値SJを計算することから蓄電装置5の温度が補正後充電時温度許容値TB以下になるように充電装置5がバッテリ3への充電を行うことを繰り返すことで、実際の充電完了時刻が充電完了予定時刻に対して遅れる事態の発生頻度を抑えることができる。
【0022】
実施の形態1では、車両2への充電完了後走行時間平均値SGと充電完了後走行時間標準値SHとの差を計算して計算結果を充電完了後走行時間学習値SJとして、補正後充電時温度許容値TBを求めていたが、充電完了後のバッテリ温度Tの変化を使用して、補正後充電時温度許容値TBを求めてもよい。
【0023】
具体的に説明すると、実施の形態1において、
図2に示すように充電ECU6がバッテリ3への初回のタイマ充電終了時のバッテリ温度Tである充電完了時バッテリ温度TCを記録する。また、車両ECU11(
図1参照)は、初回の充電完了時以降に車両2を走行開始した時に、充電ECU6(
図1参照)に車両走行開始通知を送信する。車両走行開始通知を受信した充電ECU6は、その時のバッテリ温度Tである車両走行開始時バッテリ温度TDと、充電完了時バッテリ温度TCとの差を計算し、充電完了時から車両走行開始時までの温度変化であり、充電システムのパラメータである充電完了後バッテリ温度変化TEとして記憶する。ここまでで、初回のタイマ充電の充電制御を終了する。
【0024】
次に、少なくとも二回目以降のタイマ充電の充電制御について説明する。少なくとも二回目以降のタイマ充電において、充電ECU6はこれまでの充電制御にて記憶している充電完了後バッテリ温度変化TEの値を合計し、充電完了後バッテリ温度変化TEの合計値をこれまでに充電完了後バッテリ温度変化TEを取得した回数で割る。これにより、充電ECU6はこれまでに取得した充電完了後バッテリ温度変化TEの平均値である充電完了後バッテリ温度変化平均値TF(
図4参照)を得られる。
図4に示すように、充電ECU6は、あらかじめ、充電完了後バッテリ温度変化TEの標準値である充電完了後バッテリ温度変化標準値TGを記憶している。ここで、充電完了後バッテリ温度変化標準値TGは、実施の形態1と同一の、或いは類似した充電システムにおいての過去の実績から求められた値である。充電ECU6は、充電完了後バッテリ温度変化標準値TGと充電完了後バッテリ温度変化平均値TFとの差を計算し、充電完了後バッテリ温度変化学習値TJとして記憶する。続いて、充電ECU6があらかじめ保持している、充電完了後バッテリ温度変化学習値TJと充電時温度許容値TLimとの関係を示した温度許容値曲線を基に、充電時温度許容値TLimの値である補正後充電時温度許容値TBを算出する。
図2に示すように、その後は、補正後充電時温度許容値TBを使用して、一回目の充電と同様の充電制御を実施する。これにより、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0025】
実施の形態2
次に、この発明の実施の形態2に係る充電システムについて
図1,
図5〜
図9を参照して説明する。この発明の実施の形態2に係る充電システムは、実施の形態1に対して電力制御の値をマップにより補正するものである。充電システムの構成は実施の形態1と同じである。
【0026】
図1に示すように、充電ECU6は、SOCセンサ15を介してバッテリ3のSOCや、充電装置5とコード13とを介して給電装置4から受信する給電装置4の充電電力供給能力の情報等を取得するまでの動作は実施の形態1と同じである。
【0027】
充電ECU6は、充電時のバッテリ3への入力電力の許容値(上限)である充電電力許容値WDを保持している。充電電力許容値WDは、充電時のSOCとバッテリ温度Tとによって決定され、充電ECU6は
図5に示すように、バッテリ3(
図1参照)のSOCと、充電電力許容値WDとの関係を、バッテリ温度T毎に示した充電電力許容値曲線のマップとして有している。バッテリ3への充電は、現在のバッテリ温度Tに対応する充電電力許容値曲線において、SOCに対応する充電電力許容値WD以下の充電電力で充電する制御を行う。例えば、T=10℃且つSOC=10%とすると、充電電力許容値WDは、WEとなる。この実施の形態2の以下の説明における例では、充電電力許容値曲線としてT=10℃の場合の充電電力許容値曲線を使用する。また、この実施の形態2では充電電力として充電電力許容値WDと同じ電力を用いているが、実際には一般的に充電電力は充電電力許容値WD以下であればよく、充電電力許容値WDと同じ電力である必要はない。
【0028】
図1に示すように、充電ECU6は、充電電力許容値曲線と、バッテリ3のSOCと、現在のバッテリ温度Tとから、バッテリ3があらかじめ決められた充電終了時のSOCであるSOC−Aになるまでの必要充電時間を計算する。ここでSOC−Aは、バッテリ3の満充電のSOCである。充電タイマ7は、充電完了予定時刻と、必要充電時間とから、充電開始予定時刻SCを計算して保持する。その後、充電ECU6が充電開始予定時刻到達通知を受信するまでは実施の形態1と同じである。充電ECU6が充電開始予定時刻到達通知を受信したら、充電ECU6は、給電装置4に一回目の充電の充電電力を送出する送出要求を送信する。充電装置5は、充電電力許容値WE(
図5参照)に等しい充電電力でバッテリ3へ一回目のタイマ充電を開始する。
【0029】
図6に示すように、充電開始からの時間Sの経過によりSOCが増加していく。一般的に充電ECU6は、充電電力許容値曲線においてSOCに対応する充電電力許容値WD以下の充電電力で充電する制御を行うので、SOCが増加するにつれ充電電力許容値WDが減少し(
図5参照)、その結果充電電力が減少する。この実施の形態2ではSOCが増加するにつれ充電電力許容値WEが減少する。充電が進みSOCがSOC−Aになったら充電ECU6は、充電を停止する。充電ECU6は、充電電力の供給停止を確認したら、車両ECU11(
図1参照)にタイマ充電終了の指示を送信することで一回目のタイマ充電が終了する。
【0030】
一回目のタイマ充電終了後、充電タイマ7(
図1参照)は、一回目のタイマ充電の充電完了時刻SDを記録する。また、車両ECU11は、一回目のタイマ充電の充電完了時刻SD以降に車両2(
図1参照)を走行開始した時に、充電タイマ7に車両走行開始通知を送信する。車両走行開始通知を受信した充電タイマ7は、その時の時刻である車両走行開始時刻SEと、充電完了時刻SDとの差を計算し、充電完了時刻SDから車両走行開始時刻SEまでの経過時間であり充電システムのパラメータである充電完了後走行時間SFを計算して充電ECU6に送信する。充電ECU6は、受信した充電完了後走行時間SFを記憶する。ここまでで、一回目のタイマ充電の充電制御を終了する。車両2が走行すると、SOCは減少する。
【0031】
次に、少なくとも二回目以降のタイマ充電の充電制御について説明する。少なくとも二回目以降のタイマ充電において、
図7に示すように、充電ECU6は、実施の形態1と同様に、充電完了後走行時間標準値SHと充電完了後走行時間平均値SGとから充電完了後走行時間学習値SJを得る。充電ECU6は、充電電力許容値WD(
図5参照)を車両2(
図1参照)の使用状況に応じて補正するための充電完了後走行時間学習値SJと、充電電力補正係数WLimとの間の関係を示す電力補正値係数曲線のマップを保持している。実施の形態2では、充電完了後走行時間学習値SJに対するWLimはWF倍である。充電ECU6は、
図6に示すように、SOCに対する充電電力許容値曲線上の充電電力許容値WEの値を縦軸方向にWF倍して新たな充電電力許容値曲線を作り、新たな充電電力許容値曲線でSOCに対する充電電力許容値曲線のマップを更新する。以降は、当該更新したマップを用いて、一回目の充電と同様の充電制御を実施することで、実施の形態2と同様に充電効率が向上する。
【0032】
このように、充電開始時のバッテリ温度Tに対応する充電電力許容値曲線のマップを参照し、該充電電力許容値曲線においてSOCに対応する充電電力許容値WD以下の充電電力Wで充電する制御を行い、タイマ充電完了後毎に充電完了後走行時間SFを取得して、充電完了後走行時間SFの充電完了後走行時間平均値SGを算出し、充電完了後走行時間平均値SGより充電完了後走行時間学習値SJを計算し、充電完了後走行時間学習値SJに基づいてマップから、充電装置5が充電電力許容値WDをWF倍してSOCに対する充電電力許容値曲線のマップを新たな充電電力許容値曲線のマップに更新し、充電装置5がバッテリ3への充電を行うことを繰り返すことで、実施の形態1と同様の効果を得ることができる。
【0033】
実施の形態2では、車両2への充電完了後走行時間平均値SGと充電完了後走行時間標準値SHとの差を計算して計算結果を充電完了後走行時間学習値SJとして、充電電力補正係数WLimを求めていたが、充電完了後のバッテリ温度Tの変化を使用して、充電電力補正係数WLimを求めてもよい。
【0034】
具体的に説明すると、
図8に示すように、実施の形態2において、実施の形態1の変形例と同様に、充電ECU6(
図1参照)が充電完了時バッテリ温度TCを記録する。また、車両ECU11(
図1参照)は、初回の充電完了時以降に車両2(
図1参照)を走行開始した時に、充電ECU6に車両走行開始通知を送信する。車両走行開始通知を受信した充電ECU6は、その時のバッテリ温度Tである車両走行開始時バッテリ温度TDと、充電完了時バッテリ温度TCとの差を計算し、充電完了後バッテリ温度変化TEとして記憶する。ここまでで、初回のタイマ充電の充電制御を終了する。
【0035】
次に、少なくとも二回目以降のタイマ充電の充電制御について説明する。実施の形態1の変形例と同様に、少なくとも二回目以降のタイマ充電において、
図9に示すように、実施の形態1と同様に、これまでに取得した充電完了後バッテリ温度変化TEの平均値である充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを得る。そして充電ECU6は、充電完了後バッテリ温度変化標準値TGと充電完了後バッテリ温度変化平均値TFとの差を計算し、充電完了後バッテリ温度変化学習値TJとして記憶する。続いて、充電ECU6(
図1参照)は、保持している充電電力許容値WDを車両2(
図1参照)の使用状況に応じて補正するための充電完了後バッテリ温度変化学習値TJと、充電電力補正係数WLimとの間の関係を示す電力補正係数曲線を基に、充電完了後バッテリ温度変化学習値TJに対する新たな充電電力補正係数WLimを得、その値はWF倍である。充電ECU6(
図1参照)が、充電電力許容値WDをWF倍して、SOCに対する充電電力許容値曲線のマップを更新する。以降は、当該更新したマップを用いて、一回目の充電と同様の充電制御を実施することで、実施の形態1と同様に充電効率が向上する。
【0036】
実施の形態1及び2では、二回目以降のタイマ充電について、充電ECU6はこれまでの充電制御にて記憶している充電完了後走行時間SFから充電完了後走行時間平均値SGを求めていたが、例えば五回目以降など、一回目以外の任意のタイマ充電回数以降から、充電完了後走行時間平均値SGを求めるようにしてもよい。また、充電ECU6は毎回充電毎など任意の回数毎に充電完了後走行時間平均値SGを求めるのではなく、例えば充電五回毎に充電完了後走行時間平均値SGを求めるようにしてもよい。さらに、充電ECU6は毎回充電毎の充電完了後走行時間SFを全て記憶するのではなく、例えば最近の充電五回などの任意の回数の充電完了後走行時間SFを記憶し、それより古い充電時の充電完了後走行時間SFの記憶情報を破棄するようにしてもよい。同様に、実施の形態1の変形例及び2の変形例では、充電ECU6はこれまでの充電制御にて記憶している充電完了後バッテリ温度変化TEから充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを求めていたが、例えば五回目以降など、一回目以外の任意のタイマ充電回数以降から、充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを求めるようにしてもよい。また、充電ECU6は毎回充電毎に充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを求めるのではなく、例えば充電五回毎など任意の回数毎に充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを求めるようにしてもよい。さらに、充電ECU6は毎回充電毎の充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを全て記憶するのではなく、例えば最近の充電五回などの任意の回数の充電完了後バッテリ温度変化平均値TFを記憶し、それより古い充電時の充電完了後バッテリ温度変化平均値TFの記憶情報を破棄するようにしてもよい。
【0037】
実施の形態1及び2では、充電完了後走行時間標準値SHと充電完了後走行時間平均値SGとの差を計算して(SH−SG)を充電完了後走行時間学習値SJとしていたが、充電完了後走行時間平均値SGの値をそのまま充電完了後走行時間学習値SJとして使用してもよい(つまり、充電完了後走行時間標準値SH=0に相当する)。この場合、
図3及び
図7における横軸である充電完了後走行時間学習値SJは、左端が0となり常に正の値をとる。同様に、実施の形態1の変形例及び2の変形例では、充電完了後バッテリ温度変化標準値TGと充電完了後バッテリ温度変化平均値TFとの差を計算して充電完了後バッテリ温度変化学習値TJとしていたが、充電完了後バッテリ温度変化平均値TFの値をそのまま充電完了後バッテリ温度変化学習値TJとして使用してもよい(つまり、充電完了後バッテリ温度変化標準値TG=0に相当する)。この場合、
図4及び
図9における横軸である充電完了後バッテリ温度変化学習値TJは左端が0となり常に正の値をとる。
【0038】
実施の形態1及び2では、充電システムはコード13を介した有線での充電及び給電装置4と充電装置5との情報の通信を行うシステムであるが、非接触充電や非接触通信を利用した充電システムであってもよい。また、使用者が充電開始を充電システムに指示するときに例えば車両2に設けられたタッチパネル等の図示しない入力装置を使用したが、例えば車両2に設けられた音声入力装置や、車両2の外部に設けられた携帯端末等の任意の入力装置を使用してもよい。また、入力装置は車両2に設けられたが、給電装置4に設けてもよく、或いは、屋内等に設置される遠隔操作装置に設けられてもよい。
【0039】
実施の形態1及び2では、バッテリ3へのタイマ充電完了は満充電になった時であったが、満充電以外の任意のSOCであってもよい。
【0040】
実施の形態1及び2では、充電完了後走行時間平均値SGと充電完了後走行時間標準値SHとの差をとって充電完了後走行時間学習値SJを算出していたが、充電完了後走行時間を一回だけ取得して平均せずに充電完了後走行時間標準値SHとの差をとって充電完了後走行時間学習値SJを求めてもよい。同様に実施の形態1及び2では、充電完了後バッテリ温度変化平均値TFと充電完了後バッテリ温度変化標準値TGとの差をとって充電完了後バッテリ温度変化学習値TJを算出していたが、充電完了後バッテリ温度を一回だけ取得して平均せずに充電完了後バッテリ温度変化標準値TGとの差をとって充電完了後バッテリ温度変化学習値TJを算出してもよい。
【0041】
実施の形態1及び2では、充電タイマ7は充電装置5に設けられたが、給電装置4に設けられてもよく、或いは、屋内等に設置される遠隔操作装置に設けられてもよい。充電装置5に充電タイマ7が無い場合は、代わりに、充電完了時刻SD、車両走行開始時刻SEを取得するタイマ部が充電装置5に設けられるのが好ましい。また、充電タイマ7又はタイマ部が取得した充電完了時刻SD、車両走行開始時刻SEを充電ECU6へ送信し、充電ECUが充電完了後走行時間SFを計算してもよい。また、充電ECU6が充電タイマ7又はタイマ部の機能を備えてもよい。