(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路がエア抜きされた状態において、前記貯留側バルブを連通させ前記吐出側バルブを遮断した状態で前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に後退させ、その後、前記貯留側バルブを遮断し前記吐出側バルブを連通させた状態で前記プランジャを前記中間液路内に突出する方向に前進させ、前記中間液路内の前記液体の体積変化を利用して前記先端吐出口から所定量の液滴を吐出させる吐出動作を実行可能である、請求項1に記載の塗布ヘッド。
前記吐出動作の後に、前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に微少量後退させることにより、前記先端吐出口の液体を僅かに吸引方向へ移動させることが可能である、請求項2に記載の塗布ヘッド。
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの双方を連通させた状態で移動しながら前記液体貯留部内の液体に吐出用圧力を付加することで連続塗布が可能である請求項1乃至4のいずれか一項に記載の塗布ヘッド。
前記連続塗布における前記吐出用圧力を開放した後に、前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に微少量後退させることにより、前記先端吐出口の液体を僅かに吸引方向へ移動させることが可能である、請求項5に記載の塗布ヘッド。
前記第1の嵌合部は矩形形状の嵌合凸部であり、前記第2の嵌合部は嵌合溝であり、請求項8の前記着脱時には前記嵌合溝が略水平方向となることで、前記嵌合凸部が水平方向に引き抜き可能であることを特徴とする、請求項10に記載の塗布ヘッド。
前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々と前記2つのブシュ挿入穴の各々との間に接着剤が隙間なく充填されていることを特徴とする請求項16に記載の塗布ヘッド。
前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュ並びに前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがシリコンカーバイトからなる請求項16から18のいずれか一項に記載の塗布ヘッド。
前記貯留側ブシュと前記貯留側バルブとの隙間、及び前記吐出側ブシュと前記吐出側バルブとの隙間を、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々の少なくとも一方の端部側で囲む又は覆う第1のシール部材と、前記第1のシール部材を押圧するように前記ブロックに対して取り付けられた押さえ板とを備える、請求項16から19のいずれか一項に記載の塗布へッド。
請求項1乃至24のいずれか一項に記載の塗布ヘッドを少なくとも1つ有し、前記塗布ヘッドを被塗布物に対して相互に異なる3方向であるXYZ方向に相対的に移動させる手段を有する、液滴塗布装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1は、吸引側及び吐出側に各々チェッキバルブ(逆止弁)を設け、各々の逆止弁の間にはポンプ室(キャビティ)及びプランジャを備える。キャビティに液体が充填され、吸引側に液体が常時所定の圧力で供給されていると仮定すると、プランジャ動作によってキャビティの体積が増加すると吸引側から液体が供給され、逆にプランジャ動作によってキャビティの体積が減少すると液体は吐出口から排出される。特許文献1の場合、逆止弁の反応を改善するために副流路を設けている。しかし、逆止弁を使用する方法では、電子部品業界において求められている精密な塗布量(吐出量)の実現は不可能である。具体的には、逆止弁方式の処理能力は1ショット1秒以下が困難、また微量(例えば0.005ml以下)での高精度吐出(バラつき0.5%以下)が困難である。
【0008】
特許文献2は、回動可能な切替バルブを有し、切替バルブの凹溝が供給側、切替バルブの貫通孔が吐出側として機能し、それらを切り替えて計量孔(キャビティ)に対して液体を充填し、キャビティ内に突出したプランジャロッドの移動によりキャビティ内の体積を変化させ、液体を吐出する。この構造により、特許文献2の発明の効果として塗布ヘッドを小型化させることができ、しかも多数のノズルを連設することができる、とある。しかし、特許文献2の場合、一つの切替バルブの凹溝及び貫通孔をそれぞれ供給側及び吐出側として機能させる構造のため、切替バルブの状態を供給側のみ連通又は吐出側のみ連通の2通りしか選択できず、エア抜きや液路(流路)の洗浄が難しい等の不都合がある。
【0009】
本発明はこうした状況を認識してなされたものであり、その目的は、逆止弁を使用する方法と比較して精密な塗布量を実現でき、かつ、一つの切替バルブの凹溝及び貫通孔をそれぞれ供給側及び吐出側として機能させる構造に起因する不都合を防止できる、塗布ヘッド及び液滴塗布装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記プランジャは、前記中間液路のうち、前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブを直線状につなぐ部分の内部に突出するまで摺動し、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通しない。
【0011】
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路がエア抜きされた状態において、前記貯留側バルブを連通させ前記吐出側バルブを遮断した状態で前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に後退させ、その後、前記貯留側バルブを遮断し前記吐出側バルブを連通させた状態で前記プランジャを前記中間液路内に突出する方向に前進させ、前記中間液路内の前記液体の体積変化を利用して前記先端吐出口から所定量の液滴を吐出させる吐出動作を実行可能であってもよい。
【0012】
前記吐出動作の後に、前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に微少量後退させることにより、前記先端吐出口の液体を僅かに吸引方向へ移動させることが可能であってもよい。
【0013】
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブは、双方が同時期に連通した状態となることが可能であってもよい。
【0014】
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの双方を連通させた状態で移動しながら前記液体貯留部内の液体に吐出用圧力を付加することで連続塗布が可能であってもよい。
【0015】
前記連続塗布における前記吐出用圧力を開放した後に、前記プランジャを前記中間液路内から引っ込む方向に微少量後退させることにより、前記先端吐出口の液体を僅かに吸引方向へ移動させることが可能であってもよい。
【0016】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通せず、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの双方を連通させた状態で前記プランジャを複数回往復動作させることで、前記液体貯留部から前記先端吐出口までの液路に液体が充填された状態とするエア抜き工程を完了させることが可能であ
る。
【0017】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通せず、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの双方を連通させたとき、前記液体貯留部から前記先端吐出口に向かう液路が下方に一直線とな
る。
【0018】
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々を個別に駆動する第1のアクチュエータを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は第1の嵌合部を有し、
前記第1のアクチュエータは、各々の前記第1の嵌合部とかみ合わさる第2の嵌合部を駆動部により動作させることにより前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々を動作させ、
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とが相互に着脱自在であってもよい。
【0019】
前記第1の嵌合部が前記第2の嵌合部に対して作業者方向から着脱自在であってもよい。
【0020】
前記第1の嵌合部は矩形形状の嵌合凸部であり、前記第2の嵌合部は嵌合溝であり、前記着脱時には前記嵌合溝が略水平方向となることで、前記嵌合凸部が水平方向に引き抜き可能であってもよい。
【0021】
前記嵌合凸部が略水平方向に引き抜き可能である時、前記吐出側バルブは閉であってもよい。
【0022】
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの軸方向から見た前記嵌合凸部の4隅にはR加工が施されていてもよい。
【0023】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通しない、塗布ヘッドであって、
前記プランジャを前記中間液路に対して前進及び後退させる第2のアクチュエータを備え、
前記プランジャは、クランプにより挟み込まれることで前記第2のアクチュエータの可動部に対して固定され、
前記クランプを緩めて前記クランプを退避させることで、前記プランジャを前記第2のアクチュエータから分離することが可能であ
る。
【0024】
前記プランジャが前記第2のアクチュエータに対して作業者方向から着脱自在であってもよい。
【0025】
前記液体貯留部と前記先端吐出口との間の液路を貫通孔として有するとともに、当該貫通孔を横切るように形成された2つのブシュ挿入穴を有するブロックと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがそれぞれ所定角度範囲内で回転可能に挿入され、側面に液路の一部を成す貫通孔がそれぞれ形成され、前記2つのブシュ挿入穴にそれぞれ挿入された貯留側ブシュ及び吐出側ブシュとを備えてもよい。
【0026】
前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々と前記2つのブシュ挿入穴の各々との間に接着剤が隙間なく充填されていてもよい。
【0027】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通しない、塗布ヘッドであって、
前記液体貯留部と前記先端吐出口との間の液路を貫通孔として有するとともに、当該貫通孔を横切るように形成された2つのブシュ挿入穴を有するブロックと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがそれぞれ所定角度範囲内で回転可能に挿入され、側面に液路の一部を成す貫通孔がそれぞれ形成され、前記2つのブシュ挿入穴にそれぞれ挿入された貯留側ブシュ及び吐出側ブシュとを備え、
前記ブロック下部には、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々と前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々との僅かな隙間から液体が滲み出たときに当該液体を受け止めるための液溜りを備え
る。
【0028】
前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュ並びに前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがシリコンカーバイトからなってもよい。
【0029】
前記貯留側ブシュと前記貯留側バルブとの隙間、及び前記吐出側ブシュと前記吐出側バルブとの隙間を、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々の少なくとも一方の端部側で囲む又は覆う第1のシール部材と、前記第1のシール部材を押圧するように前記ブロックに対して取り付けられた押さえ板とを備えてもよい。
【0030】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通しない、塗布ヘッドであって、
前記液体貯留部と前記先端吐出口との間の液路を貫通孔として有するとともに、当該貫通孔を横切るように形成された2つのブシュ挿入穴を有するブロックと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがそれぞれ所定角度範囲内で回転可能に挿入され、側面に液路の一部を成す貫通孔がそれぞれ形成され、前記2つのブシュ挿入穴にそれぞれ挿入された貯留側ブシュ及び吐出側ブシュとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々が鍔部を有し、各々の鍔部と、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々の端部又は前記ブロックの表面とに挟まれた第2のシール部材を備え
る。
【0031】
本発明のもう1つの態様は、塗布ヘッドである。この塗布ヘッドは、
液体を貯留し、内部に所定の圧力が付加される液体貯留部と、
液滴を吐出する先端吐出口と、
前記液体貯留部から前記先端吐出口に至る液路と、
前記液路に挿入された貯留側バルブと、
前記貯留側バルブよりも下流側において前記液路に挿入された吐出側バルブと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの間の液路である中間液路に連通する空間を摺動することで前記中間液路内の液体の体積を変化させるプランジャとを備え、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々は、円柱形状部を有し当該円柱形状部の外周面間を貫通する貫通孔が設けられ、当該円柱形状部の中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能であり、所定の回転位置で前記貫通孔が自身の両側の液路と連通し、他の回転位置では前記貫通孔が自身の両側の液路と連通しない、塗布ヘッドであって、
前記液体貯留部と前記先端吐出口との間の液路を貫通孔として有するとともに、当該貫通孔を横切るように形成された2つのブシュ挿入穴を有するブロックと、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブがそれぞれ所定角度範囲内で回転可能に挿入され、側面に液路の一部を成す貫通孔がそれぞれ形成され、前記2つのブシュ挿入穴にそれぞれ挿入された貯留側ブシュ及び吐出側ブシュと、
前記貯留側ブシュと前記貯留側バルブとの隙間、及び前記吐出側ブシュと前記吐出側バルブとの隙間を、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々の少なくとも一方の端部側で囲む又は覆う第1のシール部材と、
前記第1のシール部材を押圧するように前記ブロックに対して取り付けられた押さえ板とを備え、かつ、
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々が鍔部を有し、各々の鍔部と、前記貯留側ブシュ及び前記吐出側ブシュの各々の端部又は前記ブロックの表面とに挟まれた第2のシール部材を備え
る。
【0032】
前記第2のシール部材が潤滑性を有してもよい。
【0033】
前記貯留側バルブ及び前記吐出側バルブの各々の前記鍔部側の端部を弾性的に押圧する押圧部材を備えてもよい。
【0034】
本発明のもう一つの態様は、前記塗布ヘッドを少なくとも1つ有し、前記塗布ヘッドを被塗布物に対して相互に異なる3方向であるXYZ方向に相対的に移動させる手段を有する液滴塗布装置である。
【0035】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法やシステムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、逆止弁を使用する方法と比較して精密な塗布量を実現でき、かつ、一つの切替バルブの凹溝及び貫通孔をそれぞれ供給側及び吐出側として機能させる構造に起因する不都合を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態を詳述する。なお、各図面に示される同一または同等の構成要素、部材等には同一の符号を付し、適宜重複した説明は省略する。また、実施の形態は発明を限定するものではなく例示であり、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。
【0039】
実施の形態1
図1は、本発明の実施の形態1に係る塗布ヘッド1の要部の概略構成を示す正断面図である。
図2は、塗布ヘッド1の要部の具体構成を示す断面図であり、(A)は正断面図、(B)はその一部の右側断面図である。
図3は、塗布ヘッド1で用いる貯留側バルブ13aの斜視図である。なお、吐出側バルブ13bも本図に示す貯留側バルブ13aと同形状である。
図4は、塗布ヘッド1の全体構成を示す正断面図である。図の座標系は、説明の都合上、水平面内で直交するXY軸、及び鉛直方向のZ軸を定義し、図中Yマイナス方向を作業者方向と定義する。ただし実施の形態における構成はこの座標に限定されるわけではなく、例えばZ軸は鉛直方向に対して傾斜していてもよい。
【0040】
図4に示すように、塗布ヘッド1は、大きく以下の3つの要素で構成されている。
・吐出部10
・駆動部30
・貯液部50
貯液部50(液体貯留部)は、吐出する液体を貯める役割をもち、
図2に示すように、略密閉されたタンク51(シリンジ)内に液体を注入し、所定圧力のエア(圧力媒体)をタンク51内の空間に付与することで、タンク51内の液体を常に所定圧力で吐出部10の継手19に送り続ける。この構成は従来の液滴塗布装置でも用いられ公知である。吐出部10は、貯液部50から継手19を介して液体を供給され、ノズル16の先端吐出口から被塗布物に液滴を塗布する。駆動部30は、吐出部10の構成要素を駆動させるユニットである。駆動部30から吐出部10への動力伝導には嵌合部やクランプを利用する。吐出部10及び駆動部30の構成、動作の詳細は後述する。
【0041】
(吐出部10の構成)
図1,2に示すように、吐出部10は、継手19と、ブロック11と、貯留側ブシュ12aと、吐出側ブシュ12bと、貯留側バルブ13aと、吐出側バルブ13bと、プランジャ15と、ノズル16とを有する。継手19は、ブロック11の上面にネジ止め等により固定される。また、継手19には、タンク51の先端部(下端部)が例えば螺着される。ノズル16は、例えば先端部が円錐状であり、ブロック11の下面にロックナット17で固定されている。
【0042】
ブロック11は、貯液部50にZ方向に連通する継手19とノズル16との間の液路18を、Z方向の貫通孔として有する。貯留側バルブ13aは、液路18に挿入される。吐出側バルブ13bは、貯留側バルブ13aよりも下流側(ノズル16寄り)において液路18に挿入される。具体的には、ブロック11は、液路18を例えば垂直に(X方向に)横切るように形成された貫通孔で内面が円筒面である2つのブシュ挿入穴118a,118b(
図1)を有し、ブシュ挿入穴118a,118bの各々に例えば円筒状の貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bがそれぞれ挿入され、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bに貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bがそれぞれ回転自在(所定角度範囲内で回転可能)に挿入される。貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは、例えばシリコンカーバイトなどの材料によって作られている。以下、タンク51寄りの液路を貯留側液路18a、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間の液路を中間液路18b、ノズル16寄りの液路を吐出側液路18cと必要に応じて区別して表記する。なお、中間液路18bは、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間において液体の存在しうる空間全体であって、直線状部分のみからなる場合に限定されず、例えばプランジャ15の往復動範囲とその近傍に部分的に側方に出っ張った部分18b’(
図1)を含んでもよい。
【0043】
貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bとブシュ挿入穴118a,118bとの間には接着剤がそれぞれ隙間なく充填され、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bはブロック11に対して接着固定されている。この状態で、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの外周面の各々に形成された一対の貫通孔120a,120b(
図1)が、ブロック11の貫通孔(液路18を成す貫通孔)と連通して液路18の一部となる。貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bは、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの回転運動に対する軸受けの機能を持ち、例えばシリコンカーバイトなどの材料によって作られている。
【0044】
図3に示すように、貯留側バルブ13aは、貯留側ブシュ12aに挿入される円柱形状部24aを有し円柱形状部24aの外周面間を貫通する貫通孔20aが設けられ、円柱形状部24aの中心軸を回転軸として少なくとも所定角度範囲内で回転可能である。貫通孔20aは円柱形状部24aの中心軸を例えば垂直に横切る。所定の回転位置で貫通孔20aはZ方向に向いて貯留側ブシュ12aの貫通孔120aを介して自身の両側の液路(貯留側液路18a及び中間液路18b)と連通する。他の回転位置では貫通孔20aはZ方向と異なる方向に向いて自身の両側の液路と連通しない(両液路間は遮断される)。すなわち、貯留側バルブ13aは、自身の回転位置によって継手19からノズル16までの液路18を連通、遮断する弁の働きをする。円柱形状部24aの一方の端面には、径方向に凸状の嵌合凸部21aが設けられている。嵌合凸部21aは、貯留側バルブ13aを駆動するアクチュエータとの嵌合部であり、その役割については後述する。吐出側バルブ13bは、貯留側バルブ13aと同形状で、貯留側バルブ13aと同様に自身の回転位置によって継手19からノズル16までの液路18を連通、遮断する弁の働きをする。貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bを共に連通させた場合(すなわち両者の貫通孔20a,20bを共にZ方向に向けた場合)、吐出部10の液路はタンク51からノズル16に向かってZマイナス方向(一般的に下方)に一直線となる構造である。
【0045】
プランジャ15は、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間の液路である中間液路18b方向に突出可能にブロック11に対して設けられ、突出状態の変化により中間液路18b内の液体の体積を変化させる。具体的には、ブロック11は、中間液路18bに例えば垂直で中間液路18bに横から(Y方向に)連通する内面が円筒面であるブシュ挿入穴119(
図1)を有し、ブシュ挿入穴119に例えば円筒状のプランジャ用ブシュ14が挿入され、プランジャ用ブシュ14にプランジャ15が軸方向に摺動可能に挿入される。プランジャ用ブシュ14はプランジャ15の直動運動に対する軸受けの機能を持ち、例えばシリコンカーバイトなどの材料によって作られている。プランジャ15は後述する駆動部30によって待機位置と突出位置との間を往復動する。なお、プランジャ15の軸の方向は限定されないものの、後述するメインテナンス性を考慮した場合、作業者側、即ちYマイナス方向に引き抜ける配置にしたほうがよい。
【0046】
なお、本実施の形態の塗布ヘッド1は、高精度且つ繰り返し性のよい吐出を実現するために、後述のようにプランジャ15の往復動作による中間液路18b内の液体の微小な体積変化によって吐出を行う。そのために液路18及び貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは気泡が残らない、且つシール材の弾性変形が起こらない構造が求められる。
【0047】
このため、例えばブロック11のブシュ挿入穴118a,118b(
図1)と貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの間に空隙が生じないよう、組み付けは充分な量の接着剤を利用して充填する。また、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの貫通孔120a,120bと貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間には、可動物間に用いるシール部材は用いられていない。シール部材を用いると、液路18、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの貫通孔120a,120bと貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bで構成される管路において管路容積が変化してしまう問題がある。また、シール部材の設置場所によっては、エア抜きが非常に困難となる。
【0048】
シール部材を用いていないため、ごく僅かであるが貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bと貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間から液体が漏れるが、数万ショットの吐出動作を行って初めて滲み出る程度であり、吐出量のデータから見ると、漏れそのものはプランジャ15の往復動作による微小な体積変化に実質的な悪影響は与えていないといえる。しかし、滲み出た液体がブロック11の外壁を伝わり、被塗布物に垂れるのを防ぐため、ブロック11の下部には液溜り23が備えられている(
図2(B))。
【0049】
(吐出動作)
図5は、塗布ヘッド1による吐出動作の説明図である。本図を参照し、前述の構成を持つ吐出部10の吐出動作について説明する。まず、タンク51からノズル16の先端吐出口に至る液路(継手19の貫通孔、ブロック11に貫通孔として形成された液路18a,18b,18c、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの貫通孔20a,20b、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの貫通孔120a,120b、並びにノズル16の貫通孔)に液体が満たされて空気(気泡)の存在しない初期状態にするために、エア抜き動作を行う。
【0050】
具体的には、貯液部50のタンク51は継手19を介して吐出部10のブロック11にある液路18と連通しているので、
図5(A)に示すように、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの双方を液路18に連通する位置とし、タンク51内にある吐出対象の液体の液面に所定の圧力Pをかけた状態でプランジャ15を待機位置と突出位置の間で複数回往復動作をさせると、エア抜きが完了する(気泡があればノズル16の先端吐出口から排出される)。
【0051】
エア抜きの完了後、吐出動作を行う。エア抜きの時と同様に、貯液部50のタンク51内には吐出対象の液体が貯められており、液面には所定の圧力Pがかかっている。タンク51は継手19を介して吐出部10のブロック11にある液路18と連通している。この状態で、まず、
図5(B)に示すように、貯留側バルブ13aの貫通孔20aを貯留側液路18aと中間液路18bに連通する位置に合わせる一方、吐出側バルブ13bの貫通孔20bをZ方向に対して傾けて(吐出側バルブ13bの円柱形状部の軸を中心に所定角度回転させて)中間液路18bと吐出側液路18cとの間を遮断する。その結果、タンク51と貯留側液路18aと貫通孔20aと中間液路18bは連通し、圧力Pによって充填されている状態にある。この時プランジャ15は待機側(Yマイナス方向)に位置する。
【0052】
続いて、
図5(C)に示すように、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは所定角度回転動作を行い、貯留側バルブ13aは貯留側液路18aと中間液路18bとの間を遮断する一方、吐出側バルブ13bの貫通孔20bは中間液路18bと吐出側液路18cに連通する位置に合わせる。このとき、貯留側バルブ13aの遮断を吐出側バルブ13bの連通よりも先に行うとよい。その結果、中間液路18bと貫通孔20bと吐出側液路18cは連通する一方、タンク51は貯留側バルブ13aによって遮断されるため、タンク51内の液面にかかる圧力Pは貯留側バルブ13aよりも下流には作用しない。
【0053】
続いて、
図5(D)に示すように、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは
図5(C)の状態のままで、プランジャ15が待機位置から突出位置まで移動する。これにより、中間液路18bに対して突出したプランジャ15の体積Vの分だけ中間液路18bから貫通孔20bと吐出側液路18cを通じてノズル16へ液体が移動し、最終的にはノズル16の先端吐出口から体積Vだけの液滴が吐出される。吐出後、プランジャ15を微少量待機位置に戻すことにより、ノズル16の先端吐出口の液体は僅かに吸引方向へ移動し、ノズル16の先端外部への液付着を防止する効果がある(サックバック機能)。
【0054】
図5(B)〜(D)で説明した上記の動作をシーケンシャルに連続的に実行することにより、安定した量(体積)の液滴の吐出が可能となる。具体的には、
吐出量 0.0002ml〜0.1ml
吐出精度 0.5%(3σ)以下
粘度 100〜50000mPa・s
処理能力 1ショット:0.6sec以下
といった能力を有し、LED蛍光体のポッティング用途にも適合する。
【0055】
(連続塗布)
塗布ヘッド1は、プランジャ15の往復動作による上記の吐出動作に加え、圧縮空気式ディスペンサとしての連続塗布動作も可能である。図示は省略するが貯液部50は配管を介してバルブ及び圧縮空気源に接続されており、
図1の状態、すなわち、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの双方が液路18に連通し、かつエア抜きが完了した状態で、ノズル16の先端を塗布対象物に近接させ、塗布ヘッド1をXY方向に移動しながら貯液部50内の液体に吐出用圧力(プランジャ15の往復動作による吐出時の所定の圧力Pよりも大きい)を付加することで、圧縮空気式ディスペンサと同様に連続塗布が可能である。また、プランジャ15が中間液路18bに対して突出した状態で前記連続塗布を行った後、吐出用圧力を開放した(所定の圧力Pに戻した)タイミングでプランジャ15を微少量待機位置に戻すことにより、ノズル16の先端吐出口の液体が僅かに吸引方向へ移動し、ノズル16の先端外部への液付着を防止する効果がある(サックバック機能)。なお、貯液部50内の液体に負圧をかけることでノズル16の先端吐出口の液体を引き込むことも可能であるが、プランジャ15の後退による引込みの場合、ノズル16に近い位置での引込みとなるため反応が早いというメリットがある。
【0056】
(駆動部30の構成)
エア抜きを含む吐出動作を行うための駆動部30の構成を
図6〜
図9を参照して説明する。
図6は、
図4の一部拡大図であってバルブ駆動の構成を示す説明図である。
図7(A)は、
図6に示す構成を右側から見た側面図である。
図7(B)は、
図7(A)のB矢視図である。
図8は、塗布ヘッド1の平面図である。
図9は、
図8のC矢視一部側面図であり、(A)はプランジャ固定状態、(B)はプランジャ開放状態を示す。但し、
図9において
図8に示す押さえ板43aは透視して示される。
【0057】
図8に示すように、駆動部30は、
図10で後述するZ軸スライダ325に固定のブラケット31に、バルブ駆動用アクチュエータ32と、プランジャ駆動用アクチュエータ41が取り付けられたものである。なお、バルブ駆動用アクチュエータ32は、
図6に示すように、貯留側バルブ13aを駆動するアクチュエータ32aと、吐出側バルブ13bを駆動するアクチュエータ32bとを含み、両アクチュエータは独立して動作するが構成は同様である。このため、両アクチュエータをバルブ駆動用アクチュエータ32と総称して以下説明する。また、
図6及び
図7において、貯留側バルブ13aの駆動に関連する構成要素の符号の後に「a」を付し、吐出側バルブ13bの駆動に関連する構成要素の符号の後に「b」を付している。
【0058】
バルブ駆動用アクチュエータ32の本体(エアシリンダ等の動力源)はブラケット31に取り付けられ、バルブ駆動用アクチュエータ32の移動側にはガイド40とガイドレール39(
図8)を介してロッド33(33a,33b)が直線運動自在にブラケット31に取り付けられている。ロッド33の端部にはローラ35(35a,35b)が固定されている。ブラケット31には軸34(34a,34b)が不図示の軸受を介して回動自在に取り付けられている。軸34の端面には溝加工がなされ、ローラ35が係合している。軸34の中心軸とローラ35の位置はオフセットされているので、バルブ駆動用アクチュエータ32の直線移動動作はロッド33とローラ35を介して軸34の回転運動に変換される。また、バルブ駆動用アクチュエータからリンクで接続して回転運動させても良いし、アクチュエータがモータのような回転運動の場合は、タイミングベルトなどで軸34を回転させても良い。なお、軸34の回転運動を実現する機構はこれに限定されるものではない。
【0059】
図7に示すように、軸34の軸受を挟んで反対側には嵌合溝37(37a,37b)が加工されたフランジ36(36a,36b)がある。即ちバルブ駆動用アクチュエータ32の動作は軸34の回転運動に変換され、フランジ36及び嵌合溝37の回転運動を可能とする。この嵌合溝37(37a,37b)と前述の貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの各々の嵌合凸部21a,21b(
図3)とを嵌め合わせることで、バルブ駆動用アクチュエータ32(32a,32b)によって貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの回動を可能とする。なお、嵌合溝37は貯留バルブ13a及び吐出バルブ13bの嵌合凸部21a,21bを挿入しやすくするために、嵌合凸部21a,21bよりも長くできるようにフランジ36の径を大きくしている。また嵌合溝37には同じ理由でテーパ加工を施してもよい。
【0060】
この時、嵌合凸部21a,21bは、アクチュエータ32の動作による衝撃で欠損しないよう、バルブ13a及び13bの軸方向から見た4隅にR加工を施しておくと良い(
図2矢視C)。
【0061】
なお、本実施の形態におけるバルブ駆動用アクチュエータ32は、直線運動の動力源としてエアシリンダを使用しているが、これに限定されることはなく、例えばソレノイドなどを用いても構わない。また、嵌合溝37と各バルブの嵌合凸部のかみ合わせによる駆動力伝達は、これに限定されることなく、溝と凸部が逆でも良いし、歯車などの分離容易な伝導要素を用いてもよい。
【0062】
図8に示すように、プランジャ駆動用アクチュエータ41の本体(例えばボールねじとサーボモータを有する動力源)はブラケット31に取り付けられ、プランジャ駆動用アクチュエータ41の移動側にはブロック42が直線運動自在に取り付けられ、ブロック42にはプレート43がさらに取り付けられている。
図9にも示すように、プレート43には、ブロック42に取り付けられた支点軸44と嵌め合わせられる孔49と、ブロック42のめねじとの組合せでプレート43を締結する取付おねじ45を貫通させる切り欠き47を有し、取付おねじ45を緩めると、支点軸44を支点としてプレート43は回転動作可能である。
【0063】
図8に示すように、プレート43の先端には押さえ板43aがクランプおねじ46で締結され、この締結力でプランジャ15のフランジ部151をプレート43と共に挟み込んでプランジャ駆動用アクチュエータ41の動作を伝達する。またプレート43には前述の回転動作を可能とするためのプランジャ逃げのための切り欠き48(
図9)をさらに有する。なお、本実施の形態におけるプランジャ駆動用アクチュエータ41は、多点位置制御が可能な直動式アクチュエータを使用しているので、精密な吐出制御が可能である。
【0064】
なお、本実施の形態の塗布ヘッド1は液滴塗布装置に連設することが可能であり、その配置ピッチは60mmを下回る。
【0065】
(分解)
前述の吐出部10と駆動部30の組合せを分解するには以下の手順による。バルブ駆動用アクチュエータ32、プランジャ駆動用アクチュエータ41、その他伝導部品を取り付けた駆動部30、及び貯液部50は、装置本体側に固定されている。貯液部50のタンク51の取り付けを緩め、Zプラス方向に引き上げると、吐出部10の継手19から貯液部50を簡単に分離できる。
【0066】
続いてプランジャ駆動用アクチュエータ41とプランジャ15を切り離す作業を説明する。まずプレート43のクランプおねじ46を緩め、プランジャ15とプレート43の締結を解除する。次に取付おねじ45を緩め、プレート43とブロック42の締結を解除するとプレート43は支点軸44を中心として回転し、プランジャ15はプランジャ用ブシュ14の孔に挿入された状態で自立してプレート43から解放される。この状態でプランジャ15はプランジャ用ブシュ14の孔から容易に引き抜くことが可能である。
【0067】
バルブ駆動用アクチュエータ32と貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bとの切り離しは、まず、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの嵌合凸部21a,21b(
図2(B)及び
図3)をY軸と略平行な位置にする(装置制御にてコントロール)。この時、吐出側バルブ13bが閉となるように嵌合凸部21bと貫通穴20bの成す角を設定する。そして、駆動部30と吐出部10は、ブロック11の取付孔22(
図2(B))とブラケット31の取付めねじ38(
図7(A))とを不図示のおねじによって締結することで固定されているので、これを緩め取り外す。タンク51とブロック11は分離されているので、そのままブロック11を作業者側(Yマイナス方向)に引き出せば分離は完了する。組立は逆の手順を追えばよい。
【0068】
(装置概要)
図10は、本発明の実施の形態1に係る液滴塗布装置100の平面図である。この液滴塗布装置100は、基台101と、載置台102と、XYZテーブル103と、前述の構成を有する塗布ヘッド1(ここでは4つ)と、搬送ユニット109と、主制御部112とを備える。なお、水平面内で直交する2方向をX方向及びY方向、鉛直方向をZ方向と定義している。
【0069】
載置台102は基台101の上面に固定され、XYZテーブル103は載置台102に固定され、塗布ヘッド1はXYZテーブル103によってXYZの各方向に移動自在に支持される。搬送ユニット109は基台101の上面に固定され、塗布対象物としての基板111が搬送ユニット109によってX方向に搬送される。なお、塗布対象物としては、半導体実装基板等の基板のほか、LCD(Liquid Cristal Display)パネルやLED(発光ダイオード)等がある。主制御部112は、基台1(筐体)の内部にあって塗布ヘッド1を含む装置全体の動作を制御するもので、記憶部113と演算部115と圧力制御部117とを有する。
【0070】
XYZテーブル103は、台板301と、X軸スライドガイド303と、X軸スライダ305と、Y軸支持フレーム311と、Y軸スライドガイド313と、Y軸スライダ315と、Z軸支持フレーム321と、Z軸スライドガイド323と、Z軸スライダ325とを有する。
【0071】
台板301は載置台102の上面に固定され、X軸スライドガイド303は台板301の上面に固定され、Xスライダ305はボールネジ駆動機構で駆動されてX軸スライドガイド303に沿って移動可能である。なお、ボールネジ駆動機構は、ボールネジ軸をモータで回転駆動することで、該ボールネジ軸に螺合するボールネジナットを該ボールネジ軸の軸方向に移動するものである。
【0072】
Y軸支持フレーム311はX軸スライダ305に固定され、Y軸スライドガイド313はY軸支持フレーム311に固定され、Y軸スライダ315はボールネジ駆動機構で駆動されてY軸スライドガイド313に沿って移動可能である。Z軸支持フレーム321はY軸スライダ315に固定され、Z軸スライドガイド323はZ軸支持フレーム321に固定され、Z軸スライダ325はボールネジ駆動機構で駆動されてZ軸スライドガイド323に沿って移動可能である。したがって、Z軸スライダ325はXYZの各方向に移動自在であり、Z軸スライダ325に取り付けられた塗布ヘッド1もXYZの各方向に移動自在である。
【0073】
本装置の全体的な動作を概説する。まず、
図10の搬送ユニット109の搬入部91に塗布対象物としての基板111が供給される。基板111は、搬入部91から塗布部95まで搬送されて所定位置に位置決めされる。塗布ヘッド1は、XYZテーブル103の支持により塗布部95上(基板11上)に移動し、液体材料を基板111に塗布する。塗布作業が終了すると、基板111は搬出部97に搬送されて排出される。なお、必要に応じて、塗布部95の前段に予熱部を設けてヒータ等の予熱手段で基板111の温度を上げ、塗布部95の後段に冷却部を設けて基板111の温度を下げ、塗布された液体を凝固、安定させるようにしてもよい。所定数の基板111に対して塗布作業を実行後、塗布ヘッド1はY方向に後退し、塗布作業を終了する。
【0074】
(変形例)
貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの双方を連通させた状態でプランジャーは固定状態にて貯液部50に所定時間所定圧力を加圧することにより、公知のエアー式ディスペンサーとしても機能させることができる。これはダム形成など精度はあまり必要では無い連続的な同じ太さの塗布を行いたいときに好適である。本発明はこのような使い方もでき応用範囲が広いことが特徴でもある。
【0075】
本実施の形態によれば、下記の効果を奏することができる。
【0076】
(1) 特許文献1のように逆止弁を使用する方法とは異なり、電子部品業界において求められている精密な塗布量(吐出量)を実現できる。高精度、高処理能力の液滴塗布装置を提供することが可能となり、接着剤や樹脂の塗布のみならず、液晶蛍光体などの高精度充填を高速に行うことが可能となる。
【0077】
(2) 相互に独立制御される貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bを用いる構造のため、特許文献2のように一つの切替バルブの凹溝及び貫通孔をそれぞれ供給側及び吐出側として機能させる構造に起因する不都合(メインテナンス性の悪化やエア抜きの困難性)を防止できる。具体的には、本実施の形態では、塗布ヘッド1において、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは双方が同時期に連通した状態となることができるため、液路の洗浄にあたっては上方から溶剤を圧入してノズル16までを一気に洗浄することができてメインテナンス性が良く、また、吐出前のエア抜き動作も簡単かつ迅速に実行できて好ましい。この点、特許文献2では、切替バルブの状態を一方(貯留側のみ連通、又は吐出側のみ連通)しか選択できないため、本実施の形態のように一気に洗浄することはできず、またエア抜きは困難である。
【0078】
(3) 装置正面側から塗布ヘッド1を分解清掃することが可能で、メインテナンス性が良好である。また塗布ヘッド1を連設する場合でも狭ピッチを実現でき、処理能力の向上を図れると共に、複数の塗布ヘッドを連接してもメインテナンス性の良さは変わらない。この点、特許文献2の場合、切替バルブの駆動は背面のチェーン及びスプロケットによるもので、またプランジャも図中垂直方向に挿入されているため、メインテナンスが必要な切替バルブ周辺を始めとする塗布ヘッドを正面から分解清掃するのは困難である。
【0079】
(4) 吐出部10の液路はタンク51からノズル16に向かって下方に一直線となる構造のため、エア抜きのために配管が長くなることはない。この点、特許文献1では、エア抜きのため、流体は重力方向下から上へ流しており、塗布対象物を下に置く場合、配管が長くなる懸念がある。
【0080】
(5) 貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bとブシュ挿入穴118a,118bとの間には接着剤がそれぞれ隙間なく充填されており、貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bをブシュ挿入穴118a,118bに圧入する場合と比較して隙間からの液漏れが少なく、塗布量の高精度化に有利である。
【0081】
(6) 貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bの貫通孔120a,120bと貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの間にシール部材を設けていないため、シール部材の持つ弾性による液路内の液体の体積変化がなく、塗布量の高精度化に有利である(シール部材を用いないことによるごく僅かな液漏れのほうが、シール部材の持つ弾性による液体の体積変化よりも塗布量に与える影響が小さい)。
【0082】
(7) 貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13b並びに貯留側ブシュ12a及び吐出側ブシュ12bがシリコンカーバイト製であるため、LED蛍光体ポッティングのように硬度の大きい液体材料を扱うことも可能である。LED蛍光体ポッティングの場合、タングステンカーバイト等の超硬合金であっても削れてしまい、蛍光体の中に黒い微粉が入り込む現象が起こり得る。もっとも、液体材料の硬度が大きくない場合には、シリコンカーバイト製に限らず、アルミナ(セラミックス)や超硬合金製のバルブ及びブシュを用いてもよい。
【0083】
実施の形態2
図11は、本発明の実施の形態2に係る塗布ヘッドの要部分解側断面図である。
図12は、同要部側断面図である。
図13は、実施の形態2における、バルブ駆動に係る構成の側面図である。
図14は、
図13のD矢視図である。
図15は、実施の形態2における、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bとその駆動部との嵌合構造の拡大図である。
図16は、実施の形態2における貯留側バルブ13aの斜視図である。本実施の形態の塗布ヘッドは、実施の形態1の構成に加え、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間からの液体の漏出を防止する構成を有する。
【0084】
第1のシール部材28a,28bは、押さえ板27の凹部27a,27bに嵌入される。第1のシール部材28a,28bは、環状の弾性部材、例えばゴム製のOリング、パッキン又はワッシャーである。第1のシール部材28a,28bは、テフロン(登録商標)、シリコーン、又はジュラコン(登録商標)からなるテープであってもよい。押さえ板27は、例えば金属板である。押さえ板27は樹脂板であってもよい。押さえ板27は、ブロック11の表面にネジ止め等により取り付け固定される。第1のシール部材28a,28bは、ブロック11と押さえ板27とに挟まれて圧縮される。第1のシール部材28a,28bは、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間を全周に渡って囲んで液密封止する。第1のシール部材28a,28bは、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間を覆うように設けられてもよい。
【0085】
貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bは、鍔部25a,25bをそれぞれ有する。
図16に示すように、鍔部25aは、円柱形状部24aの一端において全周に渡って外側に突出する。鍔部25bも、鍔部25aと同様に設けられる。第2のシール部材26aは、鍔部25aと貯留側ブシュ12a(又はブロック11の表面)との間に設けられる。第2のシール部材26bは、鍔部25bと吐出側ブシュ12b(又はブロック11の表面)との間に設けられる。第2のシール部材26a,26bは、好ましくは潤滑性を有する環状の弾性部材、例えば環状のテフロン(登録商標)又はシリコーンからなるテープである。第2のシール部材26a,26bは、潤滑性を有するように表面が加工されたゴム等の弾性部材からなるワッシャーであってもよい。但し、有機溶剤耐性を考慮するとテフロン(登録商標)が好ましい。
【0086】
図13及び
図14に示すように、嵌合溝37a,37bの底面には、嵌合凸部21a,21bをブロック11側に向けて弾性的に押圧する押圧部材370a,370bが設けられる。嵌合溝37a,37bは、貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの各々の嵌合凸部21a,21bと嵌合する。押圧部材370a,370bは、例えば、板バネ、コイルスプリング、又はゴム等の弾性体である。押圧部材370aの押圧により、第2のシール部材26aは、鍔部25aと貯留側バルブ13aとに挟み込まれて押圧される。同様に、第2のシール部材26bは、鍔部25bと吐出側バルブ13bとに挟み込まれて押圧される。すなわち、第2のシール部材26a,26bは、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間を全周に渡って囲んで液密封止する。
【0087】
本実施の形態によれば、第1のシール部材28a,28b及び第2のシール部材26a,26bによる封止効果により、長時間の使用、あるいは低粘度の液体(樹脂)を吐出対象とする場合にも、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間からの液体の漏出を防止、又は低減することができる。また、押圧部材370a,370bの弾性的な押圧力により第2のシール部材26a,26bが圧縮されるため、第2のシール部材26a,26bによる封止性を確保しつつ貯留側バルブ13a及び吐出側バルブ13bの回転を阻害しない程度の潤滑性(摺動性)も確保することができる。また、第1のシール部材28a,28b及び第2のシール部材26a,26bはブロック11の外側に配置されるため、貯留側ブシュ12aと貯留側バルブ13aとの隙間、及び吐出側ブシュ12bと吐出側バルブ13bとの隙間にOリングを挟み込むような封止構造と異なり、管路容積を変化させたりエア抜きを困難にさせたりする不都合もない。なお、本実施の形態のその他の点は実施の形態1と同様であり、同様の効果を奏することができる。
【0088】
以上、実施の形態を例に本発明を説明したが、実施の形態の各構成要素や各処理プロセスには請求項に記載の範囲で種々の変形が可能であることは当業者に理解されるところである。