(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
室外機から延びる高圧ガス管、低圧ガス管、液管を含む冷媒配管路に複数台の冷暖切替ユニットが設けられ、上記各冷暖切替ユニットごとに所定台数の室内機が配管接続されており、上記各室内機の室内熱交換器の一端が上記液管に接続され、上記冷暖切替ユニットに備えられている切替弁にて上記室内熱交換器の他端側を上記高圧ガス管側もしくは上記低圧ガス管側に接続することにより、上記冷暖切替ユニット単位で上記室内機を冷房運転もしくは暖房運転である空調運転を可能とした空気調和機において、
上記各冷暖切替ユニットは、第1通信部および第2通信部と、上記各通信部および上記切替弁を制御するユニット制御部とを含み、上記各室内機は、室内機通信部と、上記室内機通信部および当該室内機の運転を制御する室内機制御部とを含み、
上記第1通信部は、上記室外機に備えられている室外機制御部との通信および他の冷暖切替ユニットが備える上記第1通信部との間で第1通信線を介して通信を行い、上記第2通信部は上記室内機通信部との間で第2通信線を介して通信を行い、
上記空気調和機は、上記第2通信線の誤配線を検出して修正する動作モードとして配線確認モードと試運転モードとを有し、
上記配線確認モードとして、上記ユニット制御部は、上記第2通信線により上記第2通信部と上記室内機通信部との間で通信を行って、上記室内機からアドレス情報を取得して自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録し、
次に上記試運転モードとして、上記複数台の冷暖切替ユニットのうちの1台の上記冷暖切替ユニットを特定冷暖切替ユニットとし、上記特定冷暖切替ユニットの上記切替弁により、上記特定冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機を空調運転可能な状態とし、他の上記冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機には上記他の冷暖切替ユニットの上記切替弁により冷媒が流れないようにしたうえで、上記室外機の圧縮機を起動し、
上記室内機のうち、上記圧縮機の起動により空調運転が行われた運転室内機から自機のアドレス情報を含む空調運転信号を上記第2通信線を介して上記第2通信部に送信させ、上記空調運転信号を受信した上記第2通信部が、上記他の冷暖切替ユニットの第2通信部である場合には、上記他の冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記運転室内機のアドレス情報を上記第1通信線を介して上記特定冷暖切替ユニットに送信し、上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記運転室内機を自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録し、
上記複数台の冷暖切替ユニットを順次交代させ、その内の1台を上記特定冷暖切替ユニットとして繰り返し実行することを特徴とする空気調和機。
上記空調運転信号を受信した上記第2通信部が、上記特定冷暖切替ユニットの第2通信部で、かつ、上記運転室内機が上記配線確認モードで登録された室内機であれば、上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記第2通信線を正常配線として上記運転室内機を確定登録することを特徴とする請求項1に記載の空気調和機。
上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記配線確認モードで登録された室内機のうち、所定のタイムアップ時間が経過しても、上記空調運転信号の送信がない室内機は、上記登録された上記所属室内機のうちから削除することを特徴とする請求項2に記載の空気調和機。
上記試運転モード後に行われる空調運転時において、上記第2通信線が配管接続されている上記冷暖切替ユニット以外の他の冷暖切替ユニットの上記第2通信部に接続されている室内機に対してリモコン装置から出された冷暖切替信号は、上記他の冷暖切替ユニットの第1通信部から上記室内機が配管接続されている上記冷暖切替ユニットの第1通信部に転送されることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の空気調和機。
上記配線確認モード時において、上記各ユニット制御部は、上記第2通信部から上記室内機通信部に配線確認信号を送信し、上記配線確認信号を受信した上記室内機制御部は、予め設定されている自機のアドレス情報を含む応答信号を上記室内機通信部から上記第2通信部に送信し、上記ユニット制御部は、上記応答信号があった上記室内機を自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録する手順を実行することを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の空気調和機。
上記室内機は、上記室内熱交換器の温度もしくは室内温度を検出する温度センサと、室内機膨張弁とをさらに備え、上記試運転モードを実行するにあたって、上記圧縮機を起動する前に、上記各ユニット制御部は、上記第2通信部から上記所属室内機に対して上記室内機膨張弁が所定の開度で開くように膨張弁開信号を送信することを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項に記載の空気調和機。
上記運転室内機は、上記温度センサの出力信号の変化を検知した時点で、上記室内機通信部から自機のアドレス情報を含む空調運転信号を上記第2通信部に送信することを特徴とする請求項1ないし6のいずれか1項に記載の空気調和機。
【背景技術】
【0002】
室外機と複数台の室内機とを有し、冷暖切替ユニットにより、各室内機側で個別に冷房運転と暖房運転とを選択できるようにした空気調和機は、例えば特許文献1に記載されているが、その構成の一例を
図5に模式的に示す。
【0003】
まず、
図5(a)に示すように、この例では、1台の室外機10と、2台の冷暖切替ユニット20(20A,20B)と、3台の室内機30(30A,30B,30C)とを有し、室外機10からは高圧ガス管41a、低圧ガス管41b、液管41cを含む3管式の冷媒配管路41が引き出されている。なお、冷暖切替ユニット、室内機ともに区別する必要がない場合には、総称として冷暖切替ユニット20、室内機30という。
【0004】
この例においては、3台の室内機30のうちの2台の室内機30A,30Bが、第1冷暖切替ユニット20Aを介して冷媒配管路41に接続され、残りの1台の室内機30Cが、第2冷暖切替ユニット20Bを介して冷媒配管路41に接続されている。
【0005】
冷暖切替ユニット20は、冷媒配管路41内の高圧ガス管41a、低圧ガス管41bのいずれか一方を室内機30に接続し、他方を室内機30に対して非接続とする図示しない切替弁を備えている。
【0006】
室内機30は、ガス側配管42aと液側配管42bとを含む通常の2管式配管42を介して冷暖切替ユニット20に接続されるが、室内機30の図示しない室内熱交換器の一端側は、上記2管式配管42内の液管42bを介して冷媒配管路41内の液管41cと常時接続される。
【0007】
これに対して、室内熱交換器の他端側は、上記2管式配管42内のガス管42aおよび冷暖切替ユニット20の上記切替弁を介して冷媒配管路41内の高圧ガス管41a、低圧ガス管41bいずれか一方に選択的に接続される。
【0008】
通信系としては、室外機10と第1,第2冷暖切替ユニット20A,20Bは、第1通信線51を介して相互に接続され、室内機30は、第2通信線61を介して冷暖切替ユニット20と接続される。
【0009】
第2通信線61は、誤配線が生じないように配管42に沿って配線されるが、この例のように、第1冷暖切替ユニット20Aに対して2台(複数台)の室内機30A,30Bが配管接続されている場合、室内機30A,30Bを第1冷暖切替ユニット20Aに接続する第2通信線61Aはシリアル配線である。
【0010】
冷房運転、暖房運転の切り替えは、冷暖切替ユニット20単位で個別的に行われ、例えば室内機30Aに付属するリモコン31Aより暖房運転信号が出されると、その暖房運転信号が第2通信線61Aにより第1冷暖切替ユニット20Aに送信され、これにより、第1冷暖切替ユニット20Aの切替弁のうちの高圧ガス管41a側が「開」、低圧ガス管41b側が「閉」となり、室内機30A,30Bがともに暖房運転状態となる。
【0011】
一方、室内機30Cに付属するリモコン31Cより冷房運転信号が出されると、その冷房運転信号が第2通信線61Bにより第2冷暖切替ユニット20Bに送信され、これにより、第2冷暖切替ユニット20Bの切替弁のうちの低圧ガス管41b側が「開」となり、高圧ガス管41a側が「閉」となり、室内機30Cが冷房運転状態となる。
【0012】
このようにして、冷暖切替ユニット20により、各室内機30側で個別に冷房運転と暖房運転とを選択することができるが、その運転情報は第1通信線51を介して室外機10に送信され、室外機10は、上記運転情報に基づいて、要求される冷凍サクイルの能力を算出して、圧縮機や室外機膨張弁等を制御する。
【0013】
ところで、第2通信線61を配線する際、例えば
図5(b)に示すように、誤配線の一例として、室内機30A,30Bの通信線61Aを第1冷暖切替ユニット20Aに接続すべきところ、第2冷暖切替ユニット20Bに接続し、室内機30Cの通信線61Bを第2冷暖切替ユニット20Bに接続すべきところ、第1冷暖切替ユニット20Aに接続してしまうことがある。
【0014】
そうすると、例えばリモコン31Aから室内機30Aに対して出されたリモコン信号が第2冷暖切替ユニット20Bに誤って送信され、同様に、リモコン31Cから室内機30Cに対して出されたリモコン信号が第1冷暖切替ユニット20Aに誤って送信されることになり、ユーザーが指定した室内機がユーザーの意図とは異なる運転状態になる。
【0015】
そこで、このような第2通信線61の誤配線の有無を検出するため、特許文献2に記載された発明においては、試運転時に、例えば冷房運転としてリモコン信号を出した指定室内機の室内熱交換器の温度もしくは室温を温度センサにより検知し、その指定室内機の温度が冷房運転により当初温度より下がっていれば、正常配線として認識し、指定室内機の温度が変化しない場合には、第2通信線61に誤配線あり、と認識するようにしている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
上記特許文献2に記載された発明によれば、室内機30と冷暖切替ユニット20との間に配線される第2通信線61の誤配線を検出することができるが、誤配線を検出したとしても、その誤配線を修正するためには、試運転後において、第2通信線61を実際に正常な状態に配線し直さなければならない。
【0018】
通常、第1通信線51を含めて第2通信配線も、天井裏等に配線されているため、第2通信線を接続し直すには、かなりの手間がかかる。
【0019】
したがって、本発明の課題は、室内機と冷暖切替ユニットとの間に配線される上記第2緯線が誤配線であったとしても、実際に配線し直す作業を行うことなく、正常な通信を行うことがきるようにした空気調和機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記課題を解決するため、本発明は、請求項1に記載されているように、室外機から延びる高圧ガス管、低圧ガス管、液管を含む冷媒配管路に複数台の冷暖切替ユニットが設けられ、上記各冷暖切替ユニットごとに所定台数の室内機が配管接続されており、上記各室内機の室内熱交換器の一端が上記液管に接続され、上記冷暖切替ユニットに備えられている切替弁にて上記室内熱交換器の他端側を上記高圧ガス管側もしくは上記低圧ガス管側に接続することにより、上記冷暖切替ユニット単位で上記室内機を冷房運転もしくは暖房運転である空調運転を可能とした空気調和機において、
上記各冷暖切替ユニットは、第1通信部および第2通信部と、上記各通信部および上記切替弁を制御するユニット制御部とを含み、上記各室内機は、室内機通信部と、上記室内機通信部および当該室内機の運転を制御する室内機制御部とを含み、
上記第1通信部は、上記室外機に備えられている室外機制御部との通信および他の冷暖切替ユニットが備える上記第1通信部との間で第1通信線を介して通信を行い、上記第2通信部は上記室内機通信部との間で第2通信線を介して通信を行い、
上記空気調和機は、上記第2通信線の誤配線を検出して修正する動作モードとして配線確認モードと試運転モードとを有し、
上記配線確認モードとして、上記ユニット制御部は、上記第2通信線により上記第2通信部と上記室内機通信部との間で通信を行って、上記室内機からアドレス情報を取得して自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録し、
次に上記試運転モードとして、上記複数台の冷暖切替ユニットのうちの1台の上記冷暖切替ユニットを特定冷暖切替ユニットとし、上記特定冷暖切替ユニットの上記切替弁により、上記特定冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機を空調運転可能な状態とし、他の上記冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機には上記他の冷暖切替ユニットの上記切替弁により冷媒が流れないようにしたうえで、上記室外機の圧縮機を起動し、
上記室内機のうち、上記圧縮機の起動により空調運転が行われた運転室内機から自機のアドレス情報を含む空調運転信号を上記第2通信線を介して上記第2通信部に送信させ、上記空調運転信号を受信した上記第2通信部が、上記他の冷暖切替ユニットの第2通信部である場合には、上記他の冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記運転室内機のアドレス情報を上記第1通信線を介して上記特定冷暖切替ユニットに送信し、上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記運転室内機を自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録し、上記複数台の冷暖切替ユニットを順次交代させ、その内の1台を上記特定冷暖切替ユニットとして繰り返し実行することを特徴としている。
【0021】
請求項2に記載された発明は、上記請求項1において、上記空調運転信号を受信した上記第2通信部が、上記特定冷暖切替ユニットの第2通信部で、かつ、上記運転室内機が上記配線確認モードで登録された室内機であれば、上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記第2通信線を正常配線として上記運転室内機を確定登録することを特徴としている。
【0022】
請求項3に記載された発明は、上記請求項2において、上記特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は、上記配線確認モードで登録された室内機のうち、所定のタイムアップ時間が経過しても、上記空調運転信号の送信がない室内機は、上記登録された上記所属室内機のうちから削除することを特徴としている。
【0023】
請求項4に記載された発明は、上記請求項1ないし3のいずれか1項において、上記試運転モード後に行われる空調運転時において、上記第2通信線が配管接続されている上記冷暖切替ユニット以外の他の冷暖切替ユニットの上記第2通信部に接続されている室内機に対してリモコン装置から出された冷暖切替信号は、上記他の冷暖切替ユニットの第1通信部から上記室内機が配管接続されている上記冷暖切替ユニットの第1通信部に転送されることを特徴としている。
【0024】
請求項5に記載された発明は、上記請求項1ないし4のいずれか1項において、上記配線確認モード時において、上記各ユニット制御部は、上記第2通信部から上記室内機通信部に配線確認信号を送信し、上記配線確認信号を受信した上記室内機制御部は、予め設定されている自機のアドレス情報を含む応答信号を上記室内機通信部から上記第2通信部に送信し、上記ユニット制御部は、上記応答信号があった上記室内機を自冷暖切替ユニットの所属室内機として登録する手順を実行することを特徴としている。
【0025】
請求項6に記載された発明は、上記請求項1ないし5のいずれか1項において、上記室内機は、上記室内熱交換器の温度もしくは室内温度を検出する温度センサと、室内機膨張弁とをさらに備え、上記試運転モードを実行するにあたって、上記圧縮機を起動する前に、上記各ユニット制御部は、上記第2通信部から上記所属室内機に対して上記室内機膨張弁が所定の開度で開くように膨張弁開信号を送信することを特徴としている。
【0026】
請求項7に記載された発明は、上記請求項1ないし6のいずれか1項において、上記運転室内機は、上記温度センサの出力信号の変化を検知した時点で、上記室内機通信部から自機のアドレス情報を含む空調運転信号を上記第2通信部に送信することを特徴としている。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、複数台の冷暖切替ユニットのうちの1台の特定冷暖切替ユニットについては、自冷暖切替ユニットの切替弁により、特定冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機を冷房もしくは暖房の空調運転可能な状態とし、他の冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機については、他の冷暖切替ユニットの切替弁により、冷媒が流れないようにしたうえで、室外機の圧縮機を起動し、これによって空調運転が行われた運転室内機より自機のアドレス情報を含む空調運転信号を冷暖切替ユニットの第2通信部に送信させ、その空調運転信号を受信した第2通信部が他の冷暖切替ユニットである場合には、そのユニット制御部は、その運転室内機のアドレス情報を第1通信線を介して特定冷暖切替ユニットに送信し、特定冷暖切替ユニットのユニット制御部は運転室内機を自冷暖切替ユニットの所属室内機に含めるようにしたことにより、第2通信線が誤配線であったとしても、実際に配線をし直すことなく、正常な通信を行うことができる。
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に、
図1ないし
図5により、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0030】
図1に示すように、この実施形態に係る空気調和機は、基本的な構成として、室外機10と、冷暖切替ユニット20と、室内機30とを備えている。
【0031】
この実施形態においても、先の
図5(a)で説明したのと同じく、冷暖切替ユニット20は、第1冷暖切替ユニット20Aと第2冷暖切替ユニット20Bの2台で、室内機30は、室内機30A,30B,30Cの3台で、第1冷暖切替ユニット20Aには、2台の室内機30A,30Bが接続され、第2冷暖切替ユニット20Bには、1台の室内機30Cが接続されているものとする。したがって、空気調和機の全体的な構成については適宜
図5(a)を参照されたい。
【0032】
室外機10は、冷凍サイクル部110と、通信部(室外機通信部)120と、これらを制御する制御部(室外機制御部)130とを備えている。
【0033】
冷凍サイクル部110には、圧縮機111、室外熱交換器112、室外送風機113および膨張弁114等が含まれている。冷房運転室内機と暖房運転室内機とを同時に混在可能とするため、冷凍サイクル部110から高圧ガス管41a、低圧ガス管41bおよび液管41cを含む3管式の冷媒配管路41が引き出されている。
【0034】
図2を併せて参照して、冷暖切替ユニット20(20A,20B)は、ガス管接続切替部210と、通信部220と、これらを制御する制御部(ユニット制御部)230とを備えている。
【0035】
ガス管接続切替部210は、第1電磁211と第2電磁弁212の2つの電磁弁を備えている。第1電磁211は、高圧ガス管41aと室内機30との間に接続され、第2電磁212は、低圧ガス管41bと室内機30との間に接続されている。室内機30の暖房運転時には、第1電磁211が「開」で第2電磁212が「閉」、冷房運転時には、第1電磁211が「閉」で第2電磁212が「開」、また、室内機30の運転停止時には、第1電磁211と第2電磁弁212とがともに「閉」となるように、ガス管接続切替部210がユニット制御部230により制御される。
【0036】
通信部220は、第1通信部221と第2通信部222とを備えている。このうち、第1通信部221は、第1通信線51を介して室外機通信部120との間および他の冷暖切替ユニット20の第1通信部221との間で通信を行う。これに対して、第2通信部222は、第2通信線61を介して室内機30との間で通信を行う。
【0037】
室内機30(30A,30B,30C)は、冷凍サイクル部310と、通信部(室内機通信部)320と、これらを制御する制御部(室内機制御部)330とを備えている。また、各室内機30(30A,30B,30C)ごとに、リモコン31(31A,31B,31C)が設けられている。
【0038】
冷凍サイクル部310には、室内熱交換器311、室内送風機312、膨張弁(室内機膨張弁)313および温度センサ314等が含まれている。
【0039】
室内機30は、ガス側配管42aと液側配管42bとを含む通常の2管式配管42を介して冷暖切替ユニット20に接続されるが、
図2に示すように、室内熱交換器311の一端側は、室内機膨張弁313を含む液側配管42bを介して冷媒配管路41内の液管41cと接続され、室内熱交換器311の他端側は、切替弁(第1電磁弁211もしくは第2電磁弁212)を介して冷媒配管路41内の高圧ガス管41a、低圧ガス管41bいずれか一方に選択的に接続される。
【0040】
なお、上記液側配管42bは、液管41cに直接接続されるため、必ずしも冷暖切替ユニット20内を通して配管される必要はない。
【0041】
この実施形態では、温度センサ314として、室内熱交換器311の温度を検出する熱交温度センサ314aと、室内温度を検知する室温センサ314bの2つの温度センサを備えている。
【0042】
室内機通信部320は、第2通信線61を介して冷暖切替ユニット20の第2通信部222に接続される。
図5(a)を参照して、室内機30A,30Bの各室内機通信部320は、第2通信線61Aを介して第1冷暖切替ユニット20Aの第2通信部222に接続され、室内機30Cの各室内機通信部320は、第2通信線61Bを介して第2冷暖切替ユニット20Bの第2通信部222に接続されるが、第2通信線61Aは、室内機30A,30Bに架け渡され、シリアル配線として第1冷暖切替ユニット20Aの第2通信部222に接続される。
【0043】
室外機制御部130、ユニット制御部230および室内機制御部330には、例えばマイクロコンピュータやCPU(中央演算処理ユニット)が用いられ、各制御部130、230、330は、制御プログラム等が書き込まれたROMと、制御過程で逐次生ずるデータ等を保存する作業用のワークRAMとを含む記憶部131、231,331を備えている。なお、ユニット制御部230には、タイマー232が付設されている。
【0044】
この実施形態においても、冷房運転、暖房運転の切り替えは、冷暖切替ユニット20単位で個別に行われ、例えば室内機30Aに付属するリモコン31Aより暖房運転信号が出されると、その暖房運転信号が第2通信線61Aにより第1冷暖切替ユニット20Aの第2通信部222に送信され、これを受けて、ユニット制御部230は、高圧ガス管41a側の第1電磁弁211を「開」、低圧ガス管41b側の第2電磁弁212を「閉」とし、これにより室内機30A,30Bがともに暖房運転状態となる。
【0045】
一方、室内機30Cに付属するリモコン31Cより冷房運転信号が出されると、その冷房運転信号が第2通信線61Bにより第2冷暖切替ユニット20Bの第2通信部222に送信され、これを受けて、室内機制御部230は、低圧ガス管41b側の第2電磁弁212を「開」、高圧ガス管41a側の第1電磁弁211を「閉」とし、これにより室内機30Cが冷房運転状態となる。なお、室内機膨張弁313は、暖房運転、冷房運転に応じて所定の開度となるように室内機制御部330により制御される。
【0046】
ところで、先にも説明したように、第2通信線61を配線する際、例えば
図5(b)に示すように、誤配線の一例として、室内機30A,30Bの通信線61Aを第1冷暖切替ユニット20Aに接続すべきところ、第2冷暖切替ユニット20Bに接続し、室内機30Cの通信線61Bを第2冷暖切替ユニット20Bに接続すべきところ、第1冷暖切替ユニット20Aに接続してしまうことがある。
【0047】
そうすると、例えばリモコン31Aから室内機30Aに対して出されたリモコン信号が第2冷暖切替ユニット20Bに誤って送信され、同様に、リモコン31Cから室内機30Cに対して出されたリモコン信号が第1冷暖切替ユニット20Aに誤って送信されることになり、ユーザーが指定した室内機がユーザーの意図とは異なる運転状態になる。
【0048】
そこで、この誤配線による通信異常の問題を解決するため、本発明では、まず、冷暖切替ユニット20と室内機30との間における第2通信線61の配線接続情報を取得し、その後、冷房もしくは暖房での試運転を行って、第2通信線61に誤配線があるかどうか判定し、誤配線がある場合には、冷暖切替ユニット20間で誤配線情報の遣り取りを行って、実際に配線をやり直すことなく、冷暖切替ユニット20と室内機30との間で正常な通信が行えるようにしており、以下にその動作例を具体的に説明する。
【0049】
まず、
図3のフローチャートに沿って、配線確認モードとして、冷暖切替ユニット20に第2通信線61を介してどの室内機30が接続されているかを確認する手順について説明する。なお、ここでの説明は、第2通信線61(61A,61B)が、
図5(b)に示すように、誤配線されている状態を想定している。なお、
図3および
図4のフローチャートでは、冷暖切替ユニットを「RB」と表記している。
【0050】
最初のステップST101で、空気調和機に対する電源の投入もしくは外部トリガ等により配線確認モードがスタートすると、ステップST102で、第1,2の冷暖切替ユニット20A,20Bの各ユニット制御部230は、第2通信部222から室内機30の室内機通信部320に対して、室内機30に設定されているアドレス情報等を求める配線確認信号を送信する。
【0051】
ステップST103として、上記配線確認信号を受信した室内機制御部330は、予め設定されている自機のアドレス情報を含む応答信号を室内機通信部320から冷暖切替ユニット20の第2通信部222に送信する。
【0052】
図5(b)の例では、室内機30A,30Bは第1冷暖切替ユニット20Aに接続されているにも関わらず、それらのアドレス情報を含む応答信号が第2冷暖切替ユニット20Bの第2通信部222に送信され、室内機30Cは第2冷暖切替ユニット20Bに接続されているにも関わらず、そのアドレス情報を含む応答信号が第1冷暖切替ユニット20Aの第2通信部222に送信される。
【0053】
ステップST104では、冷暖切替ユニット20のユニット制御部230は、上記応答信号があった室内機30を自機ユニットの所属室内機として記憶部231に仮登録し、上記応答信号があった室内機30に対して、冷暖切替ユニット20にあらかじめ割り当てられているグループアドレスを送信する。
【0054】
すなわち、第1冷暖切替ユニット20Aでは、室内機30Cを自機ユニットの所属室内機として記憶部231に仮登録して、室内機30Cに第1冷暖切替ユニット20Aのグループアドレス「A」を送信し、第2冷暖切替ユニット20Bでは、室内機30A,30Bを自機ユニットの所属室内機として記憶部231に仮登録し、室内機30A,30Bに第2冷暖切替ユニット20Bのグループアドレス「B」を送信する。
【0055】
ステップST105において、室内機30の室内機制御部330は、冷暖切替ユニット20から送信されたグループアドレスを記憶部331に記憶する。すなわち、室内機30A,30Bの各室内機制御部330は、第2冷暖切替ユニット20Bのグループアドレス「B」を記憶部331に記憶し、室内機30Cの室内機制御部330は、第1冷暖切替ユニット20Aのグループアドレス「A」を記憶部331に記憶する。
【0056】
そして、ステップST106で、この配線確認モードを終了し、
図4のフローチャートに沿って、誤配線有無の判定および誤配線の修正を行う試運転モードに移行する。
【0057】
この試運転モードは、ステップST201での例えば外部トリガによりスタートしたのち、ステップST202で、すべての室内機30の室内機膨張弁313を所定の開度にまで開く。この場合、膨張弁の開度は、例えばパルスモータ駆動による電子膨張弁にあっては、400パルスが全開であるとすれば、約80パルス程度の微開状態であってよい。
【0058】
図5(b)の例では、第1冷暖切替ユニット20Aのユニット制御部230から室内機30Cの室内機膨張弁313に対して、また、第2冷暖切替ユニット20Bのユニット制御部230から室内機30A,30Bの各室内機膨張弁313に対して、それぞれ機膨張弁「開」信号が送信される。
【0059】
そして、次段のステップST203で、冷暖切替ユニット20の台数の変数nをn=1とし、予め設定されている順序にしたがって選ばれた1台の冷暖切替ユニット20をn=1の特定冷暖切替ユニットとして、その特定冷暖切替ユニットの例えば高圧ガス管側の第1電磁弁211を「閉」、低圧ガス管側の第2電磁弁212を「開」として、特定冷暖切替ユニットに配管接続されている室内機30の冷凍サイクル部310を冷房回路とし、他の上記冷暖切替ユニットについては、第1電磁弁211、第1電磁弁212ともに「閉」とする。
【0060】
図5(b)の例では、まず、最初に第1冷暖切替ユニット20Aを上記特定冷暖切替ユニットとして、第1冷暖切替ユニット20Aの第1電磁弁211を「閉」、第2電磁弁212を「開」として、第1冷暖切替ユニット20Aに配管で接続されている室内機30A,30Bの各冷凍サイクル部310を冷房回路とし、第2冷暖切替ユニット20Bについては、第1電磁弁211、第1電磁弁212ともに「閉」として、室内機30Cには冷媒が流れないようにする。
【0061】
なお、冷暖切替ユニット20をどの順序で特定冷暖切替ユニットとするかのプログラムは、室外機10の制御部130もしくは各冷暖切替ユニット20のユニット制御部230のいずれかに設定されてよい。
【0062】
また、この実施形態と異なり、特定冷暖切替ユニットである第1冷暖切替ユニット20Aの第1電磁弁211を「開」、第2電磁弁212を「閉」として、第1冷暖切替ユニット20Aに配管で接続されている室内機30A,30Bの各冷凍サイクル部310を暖房回路としてもよい。
【0063】
その後のステップST204で、室外機10の圧縮機111を起動するとともに、ステップST205で、第1冷暖切替ユニット20Aが備えているタイマー232をスタートさせる。タイムアップ時間は、例えば40〜60分程度であってよい。
【0064】
続くステップST206で、第1冷暖切替ユニット20Aのユニット制御部230は、タイムアップかどうかを判定し、その判定結果がNOでタイムアップ前であれば、ステップST207で、運転室内機があるかどうかの判定を行う。
【0065】
運転室内機とは、圧縮機111の起動に伴って冷房運転が行われて温度センサ314により温度低下したことを検知した室内機であり、温度センサ314は、熱交温度センサ314a、室温センサ314bのいずれが用いられてもよい。
【0066】
その判定結果がYESで、上記運転室内機があれば、ステップST208で、その運転室内機の室内機制御部330は、室内機通信部320から自機のアドレス情報を含み冷房運転中であることを示す冷房運転信号を冷暖切替ユニット20の第2通信部222に送信する。
【0067】
図5(b)の例において、冷房運転が行われた運転室内機は、室内機30A,30Bであり、室内機30A,30Bの各室内機制御部330より、第2冷暖切替ユニット20Bの第2通信部222に自機のアドレス情報を含む冷房運転信号が送信される。
【0068】
ステップST209で、冷房運転信号を受信した冷暖切替ユニット20は、自機ユニットが特定冷暖切替ユニットであるかどうかを判定する。
【0069】
ここで、
図5(a)のように、第2通信線61(61A,61B)が正常に配線されている場合には、上記配線確認モードのステップST104において、第1冷暖切替ユニット20Aに、室内機30A,30Bが自機ユニットの所属室内機として記憶部231に仮登録され、第1冷暖切替ユニット20Aが運転室内機である室内機30A,30Bからの冷房運転信号を受信することになる。
【0070】
そして、第1冷暖切替ユニット20Aは、上記ステップST203で、特定冷暖切替ユニットに指定されていることから、ステップST209での判定結果はYESとなり、ステップST210で、第1冷暖切替ユニット20Aは、室内機30A,30Bを仮登録から確定登録に変更して、ステップST206に戻る。
【0071】
これに対して、
図5(b)の場合、第2冷暖切替ユニット20Bが運転室内機である室内機30A,30Bからの冷房運転信号を受信するが、第2冷暖切替ユニット20Bは特定冷暖切替ユニットでないため、ステップST209での判定結果はNOで、ステップST211に移行する。
【0072】
ステップST211で、冷房運転信号を受信した特定冷暖切替ユニットではない冷暖切替ユニット20(冷房回路を形成していない冷暖切替ユニット)は、冷房運転信号を送信してきた室内機30のアドレスを「誤配線」として記憶部231に記憶する。
図5(b)の場合、第2冷暖切替ユニット20Bは、運転室内機である室内機30A,30Bのアドレスを「誤配線」として記憶部231に記憶する。
【0073】
ステップST212で、上記冷暖切替ユニット20(第2冷暖切替ユニット20B)は、誤配線である室内機30A,30Bのアドレスを第1通信線51を介して特定冷暖切替ユニット(第1冷暖切替ユニット20A)に送信する。
【0074】
そうすると、ステップST213で、特定冷暖切替ユニット(第1冷暖切替ユニット20A)は、室内機30A,30Bのアドレスを記憶部231に記憶して、室内機30A,30Bを自機ユニットの所属室内機に含め、ステップST214で、室内機30A,30Bに第1冷暖切替ユニット20Aのグループアドレス「A」を通知して、ステップST206に戻る。
【0075】
ステップST206での判定結果がYESでタイムアップになると、ステップST215に移行し、特定冷暖切替ユニット(第1冷暖切替ユニット20A)は、記憶部231に記憶されている室内機アドレスが「確定」アドレスもしくは「誤配線」アドレスのいずれかで、「仮登録」のままのものがないかどうかを判定する。
【0076】
その判定結果が判定結果がYESで、「仮登録」の室内機アドレスがない場合には、ステップST216に移行するが、判定結果がNOで、「仮登録」の室内機アドレスがあれば、ステップST215aで、「仮登録」の室内機アドレス(この場合、室内機30Cのアドレス)を記憶部231から削除したうえで、ステップST216に移行する。
【0077】
ステップST216で、特定冷暖切替ユニット(第1冷暖切替ユニット20A)は、冷房回路を形成していた第2電磁弁212を「閉」とする。
【0078】
そして、ステップST217で、変数nをn=n+1とし、今度はn=2の2台目の冷暖切替ユニット20(第2冷暖切替ユニット20B)を特定冷暖切替ユニットに指定したのち、ステップST218で、冷暖切替ユニット20の全台数をNとして、n=N+1であるかどうか、すなわち、すべての冷暖切替ユニット20を順次交代させて特定冷暖切替ユニットとして切り替えたかどうかを判定する。
【0079】
その判定結果がNOで、n=N+1に達していなければ、ステップST203に戻り、今度は第2冷暖切替ユニット20Bを特定冷暖切替ユニットとして、第1冷暖切替ユニット20Aと同様なステップを実行する。
【0080】
第2冷暖切替ユニット20Bが特定冷暖切替ユニットの場合、室内機30Cが運転室内機となり、その冷房運転信号が第1冷暖切替ユニット20Aに送信されることから、第1冷暖切替ユニット20Aから第1通信線51を介して第2冷暖切替ユニット20Bに、室内機30Cのアドレスが「誤配線」として送信される。
【0081】
そうすると、特定冷暖切替ユニットである第2冷暖切替ユニット20Bは、室内機30Cのアドレスを自機ユニットの所属室内機に加える一方で、仮登録した室内機30A,30Bの各アドレスを削除する。
【0082】
図5(b)の場合、冷暖切替ユニット20は2台であるため、第2冷暖切替ユニット20BについてステップST217までの処理が終わると、ステップST218での判定結果をYESとして、ステップST219で、圧縮機111を停止したのち、ステップST220で、試運転モードを終了する。
【0083】
その後の実際の空調運転時には、例えば室内機30Aに付属するリモコン31Aから例えば冷房運転信号が出されると、その冷房運転信号は第2通信線61Aより第2冷暖切替ユニット20Bに送信されるが、第2冷暖切替ユニット20Bでは室内機30A,30Bのアドレスを「誤配線」として記憶していることから、室内機30Aのアドレスが冷房運転信号とともに第1通信線51を介して第1冷暖切替ユニット20Aに転送され、これにより、第1冷暖切替ユニット20Aの第1電磁弁211が「閉」、第2電磁弁212が「開」となり、室内機30A,30Bの冷凍サイクル部310が冷房回路となる。
【0084】
同様に、室内機30Cに付属するリモコン31Cから例えば暖房運転信号が出されると、その暖房運転信号は第2通信線61Bより第1冷暖切替ユニット20Aに送信されるが、第1冷暖切替ユニット20Aでは室内機30Cのアドレスを「誤配線」として記憶していることから、室内機30Cのアドレスが暖房運転信号とともに第1通信線51を介して第2冷暖切替ユニット20Bに転送され、これにより、第2冷暖切替ユニット20Bの第1電磁弁211が「開」、第2電磁弁212が「閉」となり、室内機30Cの冷凍サイクル部310が暖房回路となる。
【0085】
このように、本発明によれば、冷暖切替ユニットと室内機との間に配線される第2通信線が誤配線であったとしても、実際に配線をし直すことなく、誤配線のままで正常な通信を行うことができる。