特許第6098854号(P6098854)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6098854ポリマーを形成するためのプラントおよび方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098854
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ポリマーを形成するためのプラントおよび方法
(51)【国際特許分類】
   C08F 2/06 20060101AFI20170313BHJP
   C08F 2/01 20060101ALI20170313BHJP
   C08F 10/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C08F2/06
   C08F2/01
   C08F10/00 510
【請求項の数】9
【全頁数】27
(21)【出願番号】特願2016-120990(P2016-120990)
(22)【出願日】2016年6月17日
(62)【分割の表示】特願2015-520723(P2015-520723)の分割
【原出願日】2013年8月13日
(65)【公開番号】特開2016-164284(P2016-164284A)
(43)【公開日】2016年9月8日
【審査請求日】2016年6月17日
(31)【優先権主張番号】13/600,600
(32)【優先日】2012年8月31日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】509004675
【氏名又は名称】エクソンモービル ケミカル パテンツ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092093
【弁理士】
【氏名又は名称】辻居 幸一
(74)【代理人】
【識別番号】100082005
【弁理士】
【氏名又は名称】熊倉 禎男
(74)【代理人】
【識別番号】100084663
【弁理士】
【氏名又は名称】箱田 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100093300
【弁理士】
【氏名又は名称】浅井 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100119013
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 一夫
(74)【代理人】
【識別番号】100123777
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 さつき
(74)【代理人】
【識別番号】100193493
【弁理士】
【氏名又は名称】藤原 健史
(72)【発明者】
【氏名】ワン ユー フェン
【審査官】 岡▲崎▼ 忠
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2011/008955(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2011/0172382(US,A1)
【文献】 国際公開第2011/087730(WO,A1)
【文献】 特表2000−514857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F 2/00−2/60
10/00−10/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、
(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、
(c)反応混合物を分離することによって液相の第1のポリマー高含有相とポリマー低含有相とを形成するステップと、
(d)第1のポリマー高含有相を分離することによって第2のポリマー高含有相と気相とを形成するステップと、
(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによって、ポリマーを得るステップと、
(f)脱揮されたポリマーをペレット化するステップと、
(x)ステップ(c)とステップ(e)との間で、第1のポリマー高含有相の温度を調整するステップと
を含み、
ステップ(x)が、脱揮されたポリマーの粘度が0.01Pa・秒を超える場合に第1のポリマー高含有相の温度を増加させ、脱揮されたポリマーの粘度が0.01Pa・秒未満である場合に第1のポリマー高含有相の温度を低下させるためであり、前記粘度は、ASTM−3236により190℃で測定される、ポリマーの形成方法。
【請求項2】
ステップ(d)とステップ(e)との間で、第2のポリマー高含有相の温度を調整するためのステップ(y)をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(c)が、2MPaを超え、15MPa未満である圧力で行われる、請求項1から4までのいずれかに記載の方法。
【請求項6】
ステップ(d)が0.05MPaを超え、2MPa未満の圧力で行われる、請求項1から5までのいずれかに記載の方法。
【請求項7】
ステップ(e)で得たポリマーが、0.1重量%未満の揮発性成分を含む、請求項1から6までのいずれかに記載の方法。
【請求項8】
モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、
反応器の下流にある、反応混合物を分離することによって液相の第1のポリマー高含有相とポリマー低含有相とを形成するための第1の分離装置と、
第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相を分離することによって第2のポリマー高含有相と気相とを形成するための第2の分離装置と、
第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置と、
脱揮されたポリマーをペレット化するペレタイザーと、
第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流で、第1のポリマー高含有相の温度を調整するための、第1の温度調整ユニットと、
を含み、
前記第1の温度調整ユニットは、脱揮されたポリマーの粘度が0.01Pa・秒を超える場合に第1のポリマー高含有相の温度を増加させ、脱揮されたポリマーの粘度が0.01Pa・秒未満である場合に第1のポリマー高含有相の温度を低下させるためのものであり、前記粘度は、ASTM−3236により190℃で測定される、
ポリマーを形成するためのプラント。
【請求項9】
更に、第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流で、前記第2のポリマー高含有相の温度を調整する、第2の温度調整ユニットを備える、請求項8に記載のプラント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示が全体として本明細書中に参照により組み込まれている、2012年8月31日に出願した米国特許出願第13/600,600号の利益および優先権を主張する。
本開示は、ポリマーを形成するための重合のためのプラントおよび方法、特に連続的溶液重合のためのプラントおよび方法に関する。
【背景技術】
【0002】
連続的溶液重合方法は、モノマーおよび溶媒混合物への触媒の添加を一般的に含む。この混合物は、逆混合することによって、実質的に濃度勾配のない環境において均一なポリマーを得ることができる。国際公開第94/00500号(Pannellら)は、連続的撹拌タンク反応器内でメタロセンを使用した溶液重合について記載しており、これは、様々な生成物を作製するように連続した反応器配置とすることができる。
発熱と呼ばれる重合反応の熱は、反応混合物により吸収することができる。代わりに、またはこれに加えて、反応熱は、冷却システムにより、例えば、反応器の容器の壁の外部冷却により、または熱交換流体により冷却された内部配置の熱交換表面により除去することができる。
重合の過程で、通常、大部分の量のモノマーが消費され、形成されたポリマーは溶媒中に溶解する。普通、ポリマー濃度が高いほど、ポリマー、溶媒、および未反応成分を含有する重合反応混合物の粘度がより高くなる。この混合物は、重合反応器から最終加工セクションへと通過し、この最終加工セクションで、ポリマー、溶媒および未反応のモノマーが分離される。最終加工ステップで、溶媒および未反応のモノマーは、ポリマーが固体ペレットまたはベールへと形成できるようになるまで、反応混合物から徐々に除去される。分離した溶媒およびモノマーは、重合反応器へと再循環させることができる。
【0003】
ポリマー溶液は、より低い臨界溶解温度で相分離が起き、相分離は、より高い温度および/またはより低い圧力で促進されることが知られている。溶媒の選択はまた、相分離が生じる条件にも影響を及ぼす。
相分離の現象は、重合溶媒の選択において考察されることである。反応器内での望ましくない相分離を回避するため、所与のポリマー/溶媒組合せ条件に対して、適切な重合モノマー変換(特に揮発性モノマーに対して)、温度および圧力が選択されるべきである。例えば、ヘキサンなどの溶媒は、オレフィン重合での2相状態を回避するために5MPaを超える高い圧力が必要となり得る;オクタンなどの溶媒は、より低い圧力で均一な単一相状態を維持することができる。
【0004】
相分離の現象をこの反応ステップ後に配置することによって、一方では揮発性溶媒および未反応のモノマーと、他方ではポリマーとに分離させることができる。その場合、より低い臨界溶解温度よりもはるかに高い温度での分離を促進させることによって、ポリマーが濃縮相を形成することが可能となる。一般的原理を説明しているいくつかの以前の論文として以下が挙げられる:"A Low-Energy Solvent Separation Method," by T.G. Gutowski et al., Polymer Engineering and Science, March 1983 Vol. 23, No. 4, pp. 230-237; "Lower Critical Solution Temperature Behavior of Ethylene Propylene Copolymers in Multicomponent Solvents" by C.A. Irani et al., in Journal of Applied Polymer Science (1986), Vol. 31, pp. 1879-1899; "Separating Polymer Solutions with Supercritical Fluids," by Mark A. McHugh et al., in Macromolecules 1985, Vol. 18, pp. 674-680; "Critical dynamics and phase separation kinetics in dynamically asymmetric binary fluids: New dynamic universality class for polymer mixtures or dynamic crossover?" by Hajime Tanaka in Journal of Chemical Physics 01 April 1994, 100, (7), pp. 5323-5337; "Short Chain Branching Effect on the Cloud Point Pressures of Ethylene Copolymers in Subcritical and Supercritical Propane" by S.J. Han et al., in Macromolecules 1998, Vol. 31, pp. 2533-2538。
【0005】
最終加工セクションはまた、脱気、特に、最終ポリマー中の揮発性成分のレベルを所望のレベルに減少させるために、激しく撹拌して、溶媒および残留モノマーなどの揮発物を取り除きながら、溶融ポリマーを真空に曝露させる真空脱気を含み得る。
米国特許第6,881,800号および米国特許第7,163,989号は、連続的溶液重合のための方法およびプラントに関する。このようなプラントおよび方法は、圧力供給源と、前記圧力供給源の下流の重合反応器と、前記重合反応器の下流の圧力降下装置と、前記圧力降下装置の下流の分離装置とを含み、前記圧力供給源は、前記方法のプラントの作動中、前記反応混合物に十分な圧力を提供することによって、前記反応器と前記分離装置との間にさらなる圧力供給源が存在しない状態で、前記反応器内で単相液体反応混合物を生成し、前記分離装置内で2相の液体−液体反応混合物を生成する。
Ziegler−Natta、クロム触媒およびシングルサイト触媒(SSC)またはメタロセン触媒を含めた、多くの種類の触媒がオレフィン重合に対して知られている。シングルサイト触媒の使用は、均一な溶液重合のために通常使用される非極性の飽和脂肪族炭化水素中の低い溶解度を伴う。その結果、芳香族触媒溶媒、例えばトルエンなどを使用してもよい。しかし、これはかえって、反応器内にトルエンが蓄積するのを防止するために溶媒分離を複雑にし、環境汚染および追加の保守費用が生じる可能性がある。
【0006】
国際公開第98/02471号は、エチレン、アルファ−オレフィンおよび任意選択でジエンモノマーを重合するための方法を開示している。この方法は、以下を接触させるステップを含む:(1)エチレン;(2)少なくとも1つのC3−C20脂肪族アルファ−オレフィン;(3)任意選択で少なくとも1つのC4−C20ジエン;(4)触媒、この触媒は(a)メタロセン複合体および(b)活性化剤を含む;および(5)溶媒。この方法は、単数または複数の反応器内で行うことができ、複数の反応器の場合、反応器は、連続したまたは並行した構成にすることができる。溶媒は、無水の第1工程溶媒回収作業において、生成物流の固体濃度が少なくとも100パーセント増加するように、ポリマー流から除去する。さらなる溶媒は、生成物流の固体濃度が65重量パーセントを超えるように、無水の第2工程溶媒回収作業において、第1工程溶媒回収作業の生成物から除去する。
【0007】
通常の連続的溶液重合で調製したポリマーは、比較的多量の揮発性成分(複数可)を含有することが知られており、この揮発性成分は、多くの場合、さらなる処理、例えば、その後の押出しにおける背部通気を必要とする。所望のポリマーが比較的低い粘度を有する場合、これにより調製されたポリマーの、最終加工セクションでのペレット化率は依然として理想的ではない。
したがって、以下の利点のうちの1つまたは複数を提供する改善された連続的溶液法およびプラントに対する必要性が依然として存在する:重合温度を変動させることを含めて、広範囲の作動枠にわたり追加の装置が最小ですみ、運転経費が最小ですむような、微量の揮発性成分を含有するポリマーを生産すること;広範囲のポリマー、特に広く異なる平均分子量、分子量分布、および/またはコモノマー含有量のポリマーを生産すること;高温(例えば150℃を超える)で有用な分子量を有するポリマーの生産を可能にすること;ならびに最終加工セクションにおけるポリマーのペレット化率を増加させること。
【0008】
さらなる背景技術情報は、米国特許第3,912,698号、米国特許第5,599,885号、国際公開第94/00500号、国際公開第92/14766号、国際公開第2011/087728号、国際公開第2011/087729号、国際公開第2011/087730号、および国際公開第2011/087731号に見出すことができる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、一態様において、以下のステップを含むポリマーを形成するための方法を提供する:(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップ;(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップ;(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップ;(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップ;(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップ;ならびに(x)ステップ(c)とステップ(e)との間で、第1および/または第2のポリマー高含有相の温度を調整するステップ。
本発明は、別の態様では、ポリマーを形成するためのプラントであって、以下を含むプラントを提供する:モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器;反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するための第1の分離装置;第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するための第2の分離装置;第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分(複数可)を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置;ならびに第1の分離装置の下流および脱揮装置の上流の1つまたは複数の位置にある、第1および/または第2のポリマー高含有相の温度を調整するための1つまたは複数の温度調整ユニット。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】温度調整ユニットが第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に配置されている、本発明の一実施形態におけるプラントおよびプロセスの流れの概略的レイアウトを示す図である。
図2】温度調整ユニットが第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に配置されている、本発明の別の実施形態におけるプラントおよびプロセスの流れの概略的レイアウトを示す図である。
図3】温度調整ユニットが第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に配置され、追加の温度調整ユニットが第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に配置されている、本発明のさらなる別の実施形態におけるプラントおよびプロセスの流れの概略的レイアウトを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
任意の理論に縛られることを意図せずに、ポリマー高含有相の温度は、脱揮装置の下流での溶媒除去の効率およびペレット化工程中のペレット化率に有意な効果があることを見出した。所望のポリマーが比較的高い粘度を有する場合、ポリマー高含有相中に含有されている揮発性成分が脱揮装置に供給されたポリマー高含有相の温度が華氏1度(°F)増加するごとに、100重量ppm減少することが判明した。さらに、所望のポリマーが比較的低い粘度を有する場合、脱揮したポリマーのペレット化工程中、脱揮したポリマーの温度が低いほど、結晶化を介した溶融強度の増加により、ポリマーペレット化率が高いことが判明した。したがって、生産の工程に応じてポリマー高含有相を加熱および/または冷却することによって生産プロセスのボトルネックを解消することができる。
【0012】
一実施形態では、(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、(x)第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるステップと、(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップとを含む、ポリマーの形成方法が提供される。
【0013】
別の実施形態では、(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、(x)第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるステップと、(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップとを含む、ポリマーの形成方法が提供される。
さらに別の実施形態では、(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、(x)第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるステップと、(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、(y)第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるステップと、(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップとを含む、ポリマーの形成方法が提供される。
【0014】
一実施形態では、ポリマーを形成するためのプラントであって、モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するのに適切な第1の分離装置と、第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるための温度調整ユニットと、温度調整ユニットの下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって、ポリマーが第1のポリマー高含有相よりも濃縮されている第2のポリマー高含有相を形成するのに適切な第2の分離装置と、第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分を除去することによってポリマーを得るのに適切な脱揮装置とを含むプラントが提供される。
【0015】
別の実施形態では、ポリマーを形成するためのプラントであって、モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するのに適切な第1の分離装置と、第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって、ポリマーが第1のポリマー高含有相よりも濃縮されている第2のポリマー高含有相を形成するのに適切な第2の分離装置と、第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相の温度を、一実施形態では増加させる、または別の実施形態では低下させるのに適切な温度調整ユニットと、温度調整ユニットの下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分を除去することによってポリマーを得るのに適切な脱揮装置とを含むプラントが提供される。
【0016】
さらなる実施形態では、ポリマーを形成するためのプラントであって、モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するのに適切な第1の分離装置と、第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるための温度調整ユニットと、温度調整ユニットの下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって、ポリマーが第1のポリマー高含有相よりも濃縮されている第2のポリマー高含有相を形成するのに適切な第2の分離装置と、第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させるのに適切な追加の温度調整ユニットと、追加の温度調整ユニットの下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分を除去することによってポリマーを得るのに適切な脱揮装置とを含むプラントが提供される。
【0017】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、反応器は、単一の反応器または複数の反応器であってよく、例えば2つの反応器は、並行して、または連続して配置されていてもよい。各反応器は連続的な撹拌タンク反応器であってよい。1つまたは複数の好ましい実施形態では、2つの反応器は並行してまたは連続して配置され、第2の反応器の内部容積に対する第1の反応器の内部容積は、最大比率値が最小比率値よりも大きい限り、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、80:10、85:15、または90:10の最小比率値、および55:45、60:40、65:35、70:30、80:20、85:15、90:10、または95:5の最大比率値を有していてもよい。2つの反応器からの反応混合物を合わせ、次いで第1の分離装置を通過させる。1つまたは複数の実施形態では、反応器(複数可)は、連続的溶液重合に対して適切な反応器、例えば、持続的に撹拌された流水槽であってよい。
【0018】
ここで、本発明は、連続的溶液重合の例示により説明されることになるが、本発明は連続的溶液重合に限定されるものではなく、当業者であれば、本発明の利点および趣旨の範囲内で、本プラントおよび方法が様々な種類の重合に対して適切であることを理解する。
モノマーおよび触媒は、任意の適切なユニットまたは装置により反応器(複数可)に供給され得る。プラントは、溶媒、例えば炭化水素溶媒中に1種または複数のオレフィンモノマーを有する供給物を供給するための供給物供給ユニットを含み得る。本発明のプラントは、触媒を反応器に供給するのに適切な触媒供給ユニットも含み得る。溶媒中の1種または複数のオレフィンモノマーの供給物を反応器に供給するのに適切な供給物供給ユニットは、任意の適切な装置であってよいが、モノマーのそれぞれの供給ための導管、再循環された溶媒の供給のための導管、および新鮮な溶媒の供給のための導管を通常含むことになる。これらの導管のそれぞれは、反応器へ入る前に、共通の供給物導管に送られてもよい。ポンプ(複数可)を使用して、供給物を反応器(複数可)にポンプで送り込み、供給物を所望の圧力に加圧することができる。触媒を反応器に供給するのに適切な触媒供給ユニットは、任意の適切な装置であってよいが、触媒の供給のための導管、および任意選択で、触媒を反応器(複数可)に送り込むためのポンプ(複数可)を通常含むことになる。
【0019】
第1の分離装置(例えば、本明細書中の「液相分離装置」)は、この装置内で、液体反応混合物が、2つの液相、すなわち第1のポリマー高含有相と低含有相とに分離可能な条件下に曝露され得る装置であってよい。
第2の分離装置(例えば、本明細書中の「フラッシュタンク」)は、この装置内で、液体の第1のポリマー高含有相が、気相と、第2のポリマー高含有相(ポリマーは第1のポリマー高含有相よりもさらに濃縮されている)とに分離可能な条件下に曝露され得る装置であってよい。
【0020】
温度調整ユニットは、これを介して、第1および/または第2のポリマー高含有相が、温度調整ユニットの下流にある装置まで通過する前に、加熱または冷却され得る任意の装置であってよい。好ましくは、温度調整ユニットは熱交換器である。熱交換器は、ポリマー高含有相の不均衡配分を回避するために、内部混合素子を備えた、もしくは備えていない管、または分配器を有する並行した管を好ましくは含む。熱交換媒体はオイル、水蒸気、水などであり得る。
脱揮装置は、新たな表面積を露出させるために撹拌、混錬、押し出し、または噴霧し、これによって、さらなる残留溶媒およびモノマーの蒸発および除去を引き起こしながら、第2のポリマー高含有相を、より低い圧力、好ましくは真空に曝露することができる任意の装置であってよい。例示的脱揮装置として、これらに限定されないが、真空脱揮装置、ベントされた押出し機、フラッシュポット、落下ストランドエバポレーター、または薄膜エバポレーターが挙げられる。有用な脱揮装置として、その内容が本明細書に参照により組み込まれている、米国特許第5,453,158号、米国特許第4,940,472号、米国特許第3,917,507号、米国特許第3,799,234号、米国特許第3,797,550号、および米国特許第2,804,920号;米国特許出願公開第2011/172383号、および国際公開第2011/087730号に記載されているものも挙げられる。
【0021】
1つまたは複数の実施形態では、プラントは、第2の分離装置の下流および真空脱揮装置の上流の位置で、安定剤を第2のポリマー高含有相に添加するための安定剤添加ユニットをさらに含む。安定剤の添加に関するさらなる詳細が国際公開第2011/087731号に記載されている。
【0022】
圧力を、例えばポンプで、2MPa超、5MPa超、7.5MPa超、12MPa超、または15MPa超に上昇させることによって、広範囲な温度および重合条件下、反応器配置および加熱配置において2相状態の形成を回避することができる。それ故、多種多様な触媒を本方法において使用することができる。このような広範囲な触媒を使用することによって、最適化された生産条件下で高いおよび/または低い平均分子量材料を作製することができる。反応器と第1の分離装置との間の粘性反応混合物の圧力を押し上げるための別個のポンプの使用は任意選択とすることができる(このようなポンプは低粘度供給物ポンプよりも高価である)。ポンプの圧力はまた、工程全体を介して伝達され、初期の溶媒分離段階のための蒸発が無いことと合わせて、最終加工の間の全体のポンピングの必要性が減少する。ポンプの圧力は、圧力減少手段の前に相分離を起こすことなく、粘性反応混合物を第1の分離装置の上流の圧力減少手段まで前進させる。好ましい実施形態において、ポンプの圧力は、分離した相のうちの1つまたは両方をさらに下流の分留システムまたは精製手段へとさらに前進させる。
好ましくは、触媒キラーは、反応器または複数の反応器の下流、および分離中の加熱した反応混合物のさらなる重合を抑制するための第1の分離装置の上流で添加される。低含有相は、冷却装置を通過し、この冷却装置は、熱統合交換器および最終の冷却器を含んでもよく、ポンプ入口側の裏の乾燥器を含んでもよい。第1のポリマー高含有相は、固体ポリマーを得るための下流での追加の溶媒除去に供される。
【0023】
触媒キラーを加えることによって、さらなる重合の危険を冒すことなく、任意の余分なキラー除去後、温度を増加させてポンプの入口側の供給物供給ユニットへ、分離した溶媒およびモノマーを直接再循環することを促進させることが可能となる。「直接」という用語は、低含有相を全般的に分画する必要がないことを意味する。
好ましくは、生産されるポリマー1単位当たりのエネルギー消費は低く、溶媒回収およびエネルギー統合システムはシンプルである。これは、大気への放出を最小限に抑え、液相分離装置上の流出液からの熱を回収するのに役立つ。
好ましくは、図1および3示されているように、第1の分離装置は、第2の分離装置に接続される前に、第1の分離装置の下流に配置された熱交換器に接続される。熱交換器を使用することによって、その温度を調整するために第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させることができる。
【0024】
第1の分離装置は、反応混合物の圧力より低い圧力で作動することによって、液体反応混合物が第1のポリマー高含有相と低含有相とに分離することを可能にする。好ましくは、第1の分離装置の圧力は、2MPa、2.5MPa、3MPa、または4MPaから、15MPa、12MPa、10MPa、8MPa、または6MPaまでである。第1の分離装置からの第1のポリマー高含有相は、熱交換器を通過することによって、第1のポリマー高含有相の温度を増加または低下させることができる。好ましくは、第1の分離装置からの低含有相は、液体形態で、重合中に添加または生成した水素を除去するための水素除去装置まで通過する。水素除去装置は、ストリッピング気体を、向流の流れの配置で低含有相に接触させて、気相で水素を濃縮することによって低含有相再循環物から除去するためのユニットを含み得る。
【0025】
温度調整ユニットの下流で、第1のポリマー高含有相は、溶媒および残留物モノマーを気化させて、気相および第2のポリマー高含有相を形成することができるような圧力で作動する第2の分離装置に入るが、第2のポリマー高含有相のポリマーは第1のポリマー高含有相よりもさらに濃縮されている。好ましくは、第2の分離装置は、別個のコンプレッサーを必要とすることなく、気相を分画システムおよび精製システムに供給させるのに十分な圧力で作動している。好ましくは、前記圧力は一般的に、0.05MPa、0.1MPa、または0.2MPaを超える。第2の分離装置内の圧力を0.5MPaと2MPaとの間の高レベルに上昇させることによって、溶液粘度を調整し、第2の分離装置の下流での脱揮のために第2のポリマー高含有相の供給を促進することができる。第1のポリマー高含有相から分離した気相は、任意選択で、精製のために、フラッシュタンクの下流に配置された分留塔へ気体として搬送することができる。
好ましくは、第2のポリマー高含有相が脱揮装置まで通過する前に、追加の温度調整ユニット、例えば図2および3に示されているような熱交換器を通過させることができる。第2のポリマー高含有相は、ポリマー生産の所望の作用の際に、熱交換器を介して加熱または冷却することができる。
【0026】
第2のポリマー高含有相は、第2のポリマー高含有相の重量に対して、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、または少なくとも70重量%のポリマーを含み得る。気相は、オーバーヘッド流として第2の分離装置から分離し、第2のポリマー高含有相は通常、第2の分離装置の下側に収集することができ、ここから、出口を通過して導管に入り、最終的には脱揮装置に流れる。
プラントは好ましくは、ポンプ、例えば、加熱または冷却された第2のポリマー高含有相を第2の分離装置から引き出し、脱揮装置の入口へこれをポンピングするために、熱交換器の上流または下流に配置されたギアポンプを含む。
好ましくは、第2のポリマー高含有相中に存在する揮発物のレベル(通常、残留溶媒およびモノマー)は、30重量%未満、または20重量%未満、または10重量%未満とすることができる。脱揮装置の下流のポリマー生成物中の揮発物のレベルは、好ましくは0.5重量%以下、または0.1重量%以下、または0.08重量%以下、または0.06重量%以下、または0.05重量%以下、または0.03重量%以下である。
好ましくは、脱揮装置内の圧力は、55mmHg以下、または30mmHg以下、または20mmHg以下、または15mmHg以下である。温度は好ましくは、150℃〜270℃である。
好ましくは、溶媒は、触媒系の触媒の作用を抑制するよう意味のある形で、配位または触媒による妨害を行わない非極性溶媒である。好ましくは、本方法は、低沸騰のアルカンベース溶媒、またはその混合物を使用し、これは、直鎖または分岐の、例えば、4〜10個の炭素原子、好ましくは5〜7個の炭素原子を有するものなどであってよく、任意選択で、より高いまたはより低い分子量の他のアルカンと混合してもよい。溶媒は好ましくは、ヘキサンおよび/またはイソヘキサンである。
ポリマーは、モノオレフィン、例えば、エチレンもしくはプロピレンなど、または他の4〜10個の炭素原子を有する高級アルファオレフィンを含むモノマーから誘導されてもよい。この組合せは、液相分離装置内で容易に分離することができる混合物を提供する。
【0027】
本明細書に記載されている反応器(複数可)内の作動圧力は、8MPa以上、9MPa以上;10MPa以上および特に12MPa以上、さらに14MPa以上とすることができる。圧力の上限は決定的に制約されていなくてもよいが、通常20MPa以下、好ましくは18MPa以下、または15MPa以下、または14MPa以下、または12MPa以下とすることができる。圧力は、圧力減少手段の点まで反応混合物を単相で保ち、プラント全体に渡り流体を搬送するために必要な作動圧力を提供するのに十分であるのが好ましい。
【0028】
供給物温度は、使用可能な発熱および重合温度に到達するために望まれるモノマー変換の程度に応じて異なってもよい。好ましくは、温度は、40℃以下、または20℃以下、または0℃以下、または−20℃以下、好ましくは−20℃未満、例えば、−20℃〜−40℃の範囲である。重合温度は、任意の連鎖移動剤、例えば添加される水素の影響を考慮に入れて、ポリマーの望まれる分子量により異なり得る。連続した反応器によるプロセスでは、連続した反応器の温度は、このような反応器に生じる重合の性質に応じて、連続的に徐々に上昇させることができる。好ましくは、エチレン由来単位を主に含む(例えば、50重量%以上)ポリマーに対する重合温度は、少なくとも100℃、または少なくとも150℃、またはさらに200℃以上であり、望まれるポリマーにより異なる。温度は、好ましくは、重合分解温度または触媒が重合反応を維持することができる温度を超えない。
【0029】
全体の発熱は、重合反応器の入口温度と、50℃〜220℃または250℃までの出口温度との間の温度差動をもたらす可能性がある。1つまたは複数の好ましい実施形態では、マイナス40℃で供給し、210℃の温度まで発熱を上昇させることによって、より低い分子量のポリマーを作製するために極めて効率的な工程が生じる結果となり得る。より高い分子量のポリマーに対しては、反応器の混合性能を低下させ、よって非均一なポリマーをもたらし得る反応器溶液内の過剰な粘性を回避するために、より温かい供給物および/またはより低い反応器温度を介して、温度上昇を制約することが必要となり得る。
【0030】
モノマー濃度は、ターゲットポリマーの種類および分子量、モノマーからポリマーへの関連する変換および作動温度に依存し得る。好ましくは、モノマー濃度は、10重量%超、または15重量%超であり、および好ましくは80重量%未満、70重量%未満、または60重量%未満である。すべての成分の総蒸気圧は、気体バブルの形成を回避するため、流れの温度での反応器の圧力の100重量%未満であってよい。一般的に、液相分離装置内での液相分離を改善するため、より高いモノマー濃度が好ましい。
【0031】
本明細書に記載されている発明(複数可)は、任意の適切な触媒、例えば、Ziegler Natta触媒、シングルサイト触媒(SSC)またはメタロセン触媒を用いて実施することができる。1つまたは複数の好ましい実施形態では、SSCまたはメタロセン触媒を使用することができる。この特許明細書の目的に対して、「メタロセン」という用語は、元素周期表の遷移金属と組み合わせて、1つまたは複数のシクロペンタジエニル部分を含有すると本明細書中で定義されている。これらは、周期表の第3〜10族の遷移金属を、重合中遷移金属と結合したままである少なくとも1つの補助配位子を一般的に含有する。好ましくは、遷移金属は、カチオンの状態で使用されるか、共触媒またはアクチベーターにより安定化される。特に好ましいのは、一価のカチオン状態で重合に使用され、これより以下により詳細に記載される1つまたは2つの補助配位子を有する、周期表第4族のメタロセン、例えばチタン、ハフニウムまたはジルコニウムなどである。配位重合に対するこのような触媒の重要な特徴は、抽出が可能な配位子であり、エチレン(オレフィン族)族を挿入できる配位子である。
好ましくは、触媒は、かさ高い配位子の遷移金属触媒である。「かさ高い配位子」は、多重度の結合した原子、好ましくは炭素原子を含有し、1つまたは複数のヘテロ原子を有する環状鎖であってよい基を形成する。かさ高い配位子は、メタロセン種類のシクロペンタジエニル誘導体であってよく、これらは単核または多核となり得る。1つまたは複数のかさ高い配位子は、遷移金属原子に結合することができる。一般に普及している科学的理論によると、かさ高い配位子は、重合過程において、一定の位置に留まることによって、均質の重合作用を提供すると仮定することができる。他の配位子は、遷移金属に結合または配位結合され、好ましくは、共触媒またはアクチベーター、例えばヒドロカルビルまたはハロゲン脱離基などにより脱離可能である。任意のこのような配位子の解離は、オレフィンモノマーが、ポリマー鎖へと挿入できる配位部位の生成につながると仮定することができる。好ましくは、遷移金属原子は、元素周期表の第4、5または6族遷移金属である。より好ましくは、遷移金属原子は、第4族原子である。
【0032】
メタロセン触媒は、気体圧力浸透圧法により判定される場合、4〜30の平均重合度を有する、アルモキサン、好ましくはメチルアルモキサンであってよい共触媒と共に使用することができる。アルモキサンを改質することによって、直鎖状アルカンへの溶解性を得ることができ、またはスラリーで使用することもできるが、一般的にトルエン溶液から使用することができる。このような溶液は、未反応のトリアルキルアルミニウムを含んでいてもよく、アルモキサン濃度は、1リットル当たりのモルAlとして一般的に示すことができ、この数字は、オリゴマーを形成するために反応しなかった任意のトリアルキルアルミニウムを含む。アルモキサンは、共触媒として使用される場合、遷移金属と比較して、モル過剰で、50以上、好ましくは100以上、および好ましくは1000以下、好ましくは500以下のモル比で一般的に使用することができる。
【0033】
SSCは、好ましくは、広範囲の使用可能なSSCの中から、SSC1グラム(またはメタロセン)当たり少なくとも40,000gのポリマー、好ましくは少なくとも60,000またはさらにSSC1グラム当たり100,000gを超えるポリマーという活性で、工程条件下でポリマーが生産できるよう、作製されるポリマーの種類およびこれに付随するプロセスウィンドウに適合するようなものが選択され得る。最適化された触媒を選択して、異なる作動枠で異なるポリマーを作製することを可能にすることによって、任意選択で少量のスカベンジャーも使用して、SSCおよび任意の付随的触媒成分を少量で使用することができる。キラーを同様に少量で使用することができ、様々な対費用効果の高い方法を次いで導入することによって、非極性溶媒を再循環し、重合反応器(複数可)での再使用前に極性の混入物を除去するための処理を施すことを可能にすることができる。
メタロセンはまた、非配位性アニオン(「非配位性アニオン」という用語は、本明細書で使用する場合、弱く配位結合されたアニオンを含み、配位は、重合の進行により明らかなように、いずれにしても、不飽和のモノマー成分の挿入を許すほど十分に弱くてもよい)であってよい助触媒と共に使用することもできる。非配位のアニオンを供給し、当技術分野で記載されている方法のいずれかでメタロセンと反応させることができる。
【0034】
非配位アニオンに対する前駆物質を、原子価が減少した状態で供給されるメタロセンと共に使用することができる。前駆物質には、レドックス反応を行ってもよい。前駆物質は、前駆物質カチオンが中和され、および/またはいくつかの方法で排除され得るイオンペアであってよい。前駆物質カチオンは、欧州特許第0277003号および欧州特許第0277004号の中のアンモニウム塩であってよい。前駆物質カチオンは、トリフェニルカルボニウム誘導体であってよい。
非配位アニオンは、ハロゲン化した、テトラアリール置換の第10〜14族の非炭素元素に基づくアニオンであってよく、特にアリール基上の、またはこれらアリール基上のアルキル置換基上の水素原子がフッ素基で置換されたものであってよい。
【0035】
効果的な第10〜14族元素の共触媒錯体は、好ましい実施形態においてイオン塩から誘導され、4配位の第10〜14族元素アニオン錯体を含み、ここで、アニオンは、以下のように表すことができる:
[(M)Q12...Qi-
(式中、Mは、1つまたは複数の第10〜14族半金属または金属、好ましくはホウ素またはアルミニウムであり、各Qは、当技術分野で理解されている非配位アニオンとして[(M’)Q12...Qn-を適切なものにする、電子的効果または立体効果を提供するのに効果的な配位子であり、または十分な数のQは、[(M’)Q12...Qn-が、全体として、効果的な非配位または弱く配位したアニオンであるようなものである)。例示的Q置換基は、具体的にフッ化アリール基、好ましくはパーフルオロ化アリール基を含み、フッ素置換に加えて置換基を有する置換されたQ基、例えばフッ化ヒドロカルビル基などを含む。好ましいフッ化アリール基として、フェニル、ビフェニル、ナフチルおよびこれらの誘導体が挙げられる。
非配位アニオンは、遷移金属成分に対してほぼ等モルの量、例えば少なくとも0.25、好ましくは0.5、および特に0.8、ならびに例えば4以下、好ましくは2および特に1.5の量で使用してもよい。
【0036】
代表的メタロセン化合物は、以下の式を有することができる:
ABCiMDE
(式中、LAは、Mにπ−結合した、置換シクロペンタジエニルまたはヘテロ−シクロペンタジエニル補助配位子であり、LBは、LAに対して定義された補助配位子の種類の構成員であるか、またはJ、すなわちMにσ−結合したヘテロ−原子補助配位子であり、LAおよびLB配位子は、第14族元素連結基を介して一緒に共有結合で架橋されていてもよく、LCiはM(iは、0〜3に等しい)への与格結合を有する、任意選択の中性の、非酸化配位子であり、Mは、第4または5族遷移金属であり、DおよびEは、独立してモノアニオン性の不安定な配位子であり、それぞれMへのσ−結合を有し、任意選択で互いにまたはLAもしくはLBと架橋している)。モノアニオン性配位子は、適切なアクチベーターにより置換可能であることによって、重合可能なモノマーの挿入を可能にし、またはマクロモノマーは、遷移金属成分の空の配位部位上に配位重合のために挿入できる。
SSCとして使用可能な代表的な非メタロセン遷移金属化合物として、テトラベンジルジルコニウム、テトラビス(トリメチルシリルメチル(trimethylsiylmethyl))ジルコニウム、オキソトリス(トリメチルシリルメチル(trimethlsilymethyl))バナジウム、テトラベンジルハフニウム、テトラベンジルチタン、ビス(ヘキサメチルジシラジド(disilazido))ジメチルチタン、トリス(トリメチルシリルメチル)二塩化ニオブ、およびトリス(トリメチルシリルメチル)二塩化タンタルも挙げられる。
【0037】
本明細書に記載されている態様によるオレフィン重合触媒として適切な追加の有機金属の遷移金属化合物は、配位子抽出により、触媒として活性のあるカチオンへと変換することができ、エチレンなどのオレフィン系で、不飽和モノマーで置換される位十分に不安定な非配位のまたは弱い配位のアニオンによりその活発な電子の状態で安定化している第3〜10族のいずれかである。
より好ましいのは、第4族遷移金属のビスシクロペンタジエニル誘導体、好ましくはジルコニウムまたはハフニウム、例えば、国際公開第99/41294号に開示されているようなメタロセンである。これらは、有利には、例えば、国際公開第99/45040号および国際公開第99/45041号に開示されているような、単一の炭素およびケイ素原子に接続しているフルオレニル配位子およびシクロペンタジエニル配位子を含有する誘導体であってよい。より好ましくは、例えば、国際公開第00/24792号および国際公開第00/24793号において開示されているように、Cp環は非置換であり、および/または架橋はアルキル置換基、適切にはアルキルシリル置換基を含有することによって、メタロセンのアルカン溶解性を援助する。他の可能なメタロセンとして、国際公開第01/58912号のものが挙げられる。
【0038】
本明細書に参照により組み込まれているEP0418044は、EP0416815のものと同様のモノシクロペンタジエニル化合物を開示している。同様の化合物がExxonMobil特許EP0420436に記載されている。本明細書に参照により組み込まれている国際公開第97/03992号は、単一のCp種およびフェノールがCまたはSi連結で連結している触媒、例えば、Me2C(Cp)(3−tBu−5−Me−2−フェノキシ)TiCl2などを示している。本明細書に参照により組み込まれている国際公開第2001/05849号は、Cp−ホスフィンイミン触媒、例えば(Cp)((tBu)3P=N−)TiCl2などを開示している。
【0039】
他の適切なメタロセンは、分子量を増加させる作用を有し、より高い温度での重合を間接的に許可する部分を有する縮合環上の1つまたは複数の位置において置換されていていてもよい、ビスフルオレニル誘導体または非架橋のインデニル誘導体、例えば、両方とも本明細書に参照により組み込まれているEP0693506およびEP0780395に記載されているものなどであってよい。
【0040】
上述した触媒を使用する場合、全部の触媒システムは、一般的にスカベンジャー(複数可)として1つまたは複数の有機金属化合物をさらに含むことになる。このような化合物は、本出願に使用された場合、この反応環境から極性不純物を除去するため、および触媒活性を増加させるために効果的であるような化合物を含むことを意図する。不純物は、重合反応成分のうちのいずれかと共に、特に溶媒、モノマーおよび触媒供給物と共に不注意に導入される可能性があり、触媒活性および安定性に不利な影響を与える。これは、特にイオン化アニオン前駆体が触媒系を活性化させる場合、触媒活性の減少、または排除さえもたらし得る。不純物、または触媒毒は、水、酸素、極性有機化合物、金属不純物などを含む。このような毒がこの反応物容器に導入される前に、例えば化学的処理または慎重な分離技法によって、様々な成分の合成または調製の後または調製中に、これらの毒を除去するための処理がとられるのが好ましいが、いくらかの微量な有機金属化合物が、依然として重合工程それ自体において通常使用されることになる。
【0041】
通常、これらの化合物は、有機金属化合物、例えば米国特許第5,153,157号、米国特許第5,241,025号、国際公開第91/09882、国際公開第94/03506、国際公開第93/14132および国際公開第95/07941の第13族の有機金属化合物などである。例示的化合物として、トリエチルアルミニウム、トリエチルボラン、トリ−イソブチルアルミニウム、トリ−n−オクチルアルミニウム、メチルアルモキサン、およびイソブチルアルモキサンが挙げられる。アルモキサンはまた、スカベンジング量で、他の活性化手段と共に、例えばメチルアルモキサンおよびトリ−イソブチル−アルモキサン(aluminoxane)をホウ素ベースのアクチベーターと共に使用することもできる。好ましくは、触媒化合物と共に使用するこのような化合物の量は、過剰量は触媒毒として作用する可能性があるので、重合反応の間、活性を増強するのに効果的な量(二重の役割で使用する場合、触媒化合物の活性化のために必要な量)まで最小化する。
【0042】
上で説明された本発明は、多種多様なポリマーの種類および分子量の重合を可能としている。一般的に言えば、ポリマーは、優位な(例えば、50重量%より多い)成分としてエチレンまたはプロピレンのいずれかから誘導される。ポリマーは好ましくは、結晶化度および柔軟性を変動させるため、5モル%〜40モル%のコモノマーを含有し得る。コモノマーは、2〜20個の炭素原子を有するα−オレフィン(この用語の中には、環状鎖オレフィン、例えばスチレンなどが含まれる)、例えばエチレン(プロピレン由来の単位から主になるポリマーの場合)、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテンなどであってよい。ジエン、例えばヘキサジエン、ビニルノルボルネン、エチリデンノルボルネン(ENB)、ノルボルナジエンなどの量が含まれていることによって、重合したモノマー由来単位から作製される長いブランチそれ自体の不飽和および/または形成を促進することができる。
プラストマーの場合、作製することができるポリマーは、以下の態様を含む:好ましくは、コモノマーは、3〜15個の炭素原子、より好ましくは4〜12個の炭素原子およびより好ましくは4〜10個の炭素原子を有するα−オレフィンであることが好ましい。エチレンは、少なくとも2つのコモノマーと重合することによって、ターポリマーを形成することができる。エチレンは、70.0モル%〜99.99モル%、好ましくは70モル%〜97モル%およびより好ましくは80モル%〜95モル%のエチレンと、0.01モル%〜30モル%、好ましくは3モル%〜30モル%およびより好ましくは5モル%〜20モル%のコモノマーの割合で重合することが好ましい。本特許明細書の目的のため、ポリマーの分子量分布は、Ultra−styrogelコラムおよび屈折率検出器を備えた、Waters Gel Permeation Chromatographを用いて判定することができる。機器の作動温度は、145℃に設定でき、溶離液は、トリクロロベンゼンであり、キャリブレーション基準は、分子量が正確に知られている、分子量500から分子量520万の範囲の、16のポリスチレン、およびポリエチレン標準、NBS1475.10が含まれていた。本実施形態において生産されたプラストマーの分子量分布は、「狭い」と呼ばれ、すなわち、Mw/Mnが3以下、好ましくは2.5以下である。ポリマーのMIは、0.01dg/分〜200dg/分、好ましくは0.1dg/分〜100dg/分、より好ましくは0.2dg/分〜50dg/分およびより好ましくは10dg/分未満であり得る。プラストマーの予期される密度は、0.85g/cm3〜0.93g/cm3、好ましくは0.87g/cm3〜0.92g/cm3、およびより好ましくは0.88g/cm3〜0.91g/cm3の範囲である。
【0043】
本明細書に記載されている方法は、1つまたは複数のモノマー、例えばエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1,4−メチル−1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテン、1−デセンおよびスチレンなどの環状鎖オレフィンのα−オレフィンモノマーの重合を含めた共重合反応について特に関する。他のモノマーとして、極性ビニル、ジエン、ノルボルネン、アセチレン、およびアルデヒドモノマーなどを挙げることができる。
【0044】
エラストマーの場合、生成することができるポリマーとして、高いMwおよび0.3重量%超、好ましくは2重量%超のジエン含有量のエチレン−α−オレフィン−ジエンエラストマー(EODE)が挙げられる。これらのポリマーは、大部分がアモルファスであってよく、融合熱が低くてもよく、またはゼロであってよい。本明細書で使用する場合、「EODE」という用語は、エチレン、α−オレフィン、および1つまたは複数の非共役ジエンモノマーから構成される弾性ポリマーを包含する。非共役ジエンモノマーは、6〜15個の炭素原子を有する直鎖、分枝鎖または環状鎖の炭化水素ジエンであってよい。適切な非共役ジエンの例として、直鎖非環式ジエン、例えば1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエン;分枝鎖非環式ジエン、例えば5−メチル−1,4−ヘキサジエン;3,7−ジメチル−1,6−オクタジエン;3,7−ジメチル−1,7−オクタジエンなど、およびジヒドロミリセンとジヒドロオシネンの混合アイソマー;単環式脂肪族ジエン、例えば1,4−シクロヘキサジエンなどおよび1,5−シクロドデカジエン;および多重環型環式脂肪族縮合したおよび架橋した環式ジエン、例えばテトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン;ビシクロ−1,5−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエンなど;アルケニル、アルキリデン、シクロアルキリデンノルボルネン、例えば5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンなどが挙げられる。
【0045】
エチレン−プロピレン−ジエンエラストマー(EPDM)を調製するために通常使用されるジエンのうち、特に好ましいジエンは、1,4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)である。特に好ましいジエンは5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)および1、4−ヘキサジエン(HD)である。好ましいEODエラストマーは、EODエラストマーの重量に対して、20重量%から90重量%までのエチレン、より好ましくは30重量%〜85重量%のエチレン、より好ましくは35重量%〜80重量%のエチレンを含有し得る。エチレンおよびジエンと共にエラストマーの調製に使用するのに適切なα−オレフィンは、好ましくはプロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−ドデセンである。好ましくは、α−オレフィンは、EODEポリマーの重量に対して、10質量%〜80質量%、より好ましくは20質量%〜65質量%の量でEODEポリマー中に取り込まれる。非共役ジエンは一般的に、EODEポリマーの重量に対して、0.5質量%〜20質量%;より好ましくは1質量%〜15質量%、より好ましくは2質量%〜12質量%でEODE中に取り込まれる。所望する場合、複数のジエン、例えばHDおよびENBなどを、上に特定された制限内で全ジエンを取り込むことで、同時に取り込むこともできる。
【0046】
1つまたは複数の実施形態では、エラストマーはまた、2つのモノマーのコポリマーであってよい。このようなコポリマーは、比較的高いMw、低結晶化度、および低灰分のエラストマーであってよい。このコポリマーは、高いMwのエチレン−α−オレフィンコポリマーであってよい。エチレン−α−オレフィンコポリマーは、エチレンおよびアルファ−オレフィンのコポリマーであってよく、必ずしもプロピレンでなくてもよく、エラストマーの特性を示す。エチレンとのエラストマーの調製に使用するのに適したα−オレフィンは、好ましくはC3〜C10α−オレフィンである。このようなα−オレフィンの例示的非限定的な例は、プロピレン、1−ブテン、1−ペンテン、1−ヘキセン、1−オクテンおよび1−ドデセンである。所望する場合、複数のα−オレフィンを取り込むこともできる。エチレン−α−オレフィンコポリマーは、20質量%〜90質量%までのエチレン、より好ましくは30質量%〜85質量%のエチレン、より好ましくは35質量%〜80質量%のエチレンを含有し得る。
【0047】
1つまたは複数の実施形態では、エラストマーは、プロピレン由来の単位を主に(50重量%以上)有するプロピレンベースポリマーであり得る。
【0048】
1つまたは複数の好ましい実施形態では、プロピレンベースポリマーは、プロピレンおよび少なくとも1つのコモノマー、任意選択で、ジエンで構成される。このコモノマーは、エチレンまたはα−オレフィンであり得る。コモノマーは、エチレンおよび直鎖のまたは分岐のC4〜C30α−オレフィン、またはその組合せを含む。好ましい直鎖のα−オレフィンとしてエチレンおよびC4〜C8α−オレフィン、より好ましくはエチレン、1−ブテン、1−ヘキセン、および1−オクテン、さらにより好ましくはエチレンまたは1−ブテンが挙げられる。好ましい分岐のα−オレフィンとして、4−メチル−1−ペンテン、3−メチル−1−ペンテン、および3,5,5−トリメチル−1−ヘキセンが挙げられる。プロピレンコポリマーは、用語が本明細書中で以下に定義されているランダムコポリマーが好ましい。ジエンはまた、プロピレンベースポリマー中に含まれていてもよい。好ましくは、ジエンは、直鎖非環式のジエンである非コンジュゲートジエン、例えば、1,4−ヘキサジエンおよび1,6−オクタジエンなど;分岐鎖非環式ジエン、例えば、5−メチル−1,4−ヘキサジエンなど;3、7−ジメチル−1、6−オクタジエン;3、7−ジメチル−1、7−オクタジエンならびにジヒドロミリセンおよびジヒドロオシネンの混合した異性体;単環脂環式のジエン、例えば、1,4−シクロヘキサジエンおよび1,5−シクロドデカジエンなど;ならびに多重環型脂環式の縮合したおよび架橋した環ジエン、例えば、テトラヒドロインデン、メチルテトラヒドロインデン、ジシクロペンタジエン;ビシクロ−1,5−(2,2,1)−ヘプタ−2,5−ジエン;アルケニル、アルキリデン、シクロアルキリデンノルボルネン、例えば、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB);5−プロペニル−2−ノルボルネン、5−イソプロピリデン−2−ノルボルネン、5−(4−シクロペンテニル)−2−ノルボルネン、5−シクロヘキシリデン−2−ノルボルネン、5−ビニル−2−ノルボルネンおよびノルボルナジエンを含む。プロピレンベースポリマーは、1、4−ヘキサジエン(HD)、5−エチリデン−2−ノルボルネン(ENB)、5−ビニリデン−2−ノルボルネン(VNB)、5−メチレン−2−ノルボルネン(MNB)、およびジシクロペンタジエン(DCPD)を含み得る。
【0049】
好ましくは、プロピレンベースポリマーは、2%〜65%の結晶化度を有し得る。結晶化度のこの範囲内で、結晶化度の選択的下限を5%または10%または15%とすることができ、結晶化度の選択的上限を50%、45%、または40%とすることができる。プロピレンベースポリマーの結晶化度は、コポリマーのアイソタクチックの(または代わりにシンジオタクチックの)ポリプロピレン配列から誘導される。好ましくは、プロピレンの量は、65重量%〜95重量%であってよい。この範囲内で、プロピレン含有量の選択的下限は、70重量%、または80重量%であってよく、プロピレン含有量の選択的上限は、92.5重量%、90重量%、または89重量%とすることができる。
半結晶性プロピレンベースポリマーは、測定可能な結晶化度により非ゼロ融解熱を有する。結晶化度は、100%結晶化度に対する好ましい値189J/gおよび融解熱と結晶化度との間の比例関係を使用して融解熱から計算することができる(B. Wunderlich, Macromolecular Physics, Vol. 3, Academic Press (1980), esp. Chapter 8.4.2を参照されたい)。
【0050】
プロピレンベースポリマーは、好ましくは単一の広範な融解転移を有する。通常、プロピレンベースポリマー試料は、主要ピークの近くに第2の融解ピークまた段部を示すことになり、この組合せが、一緒に単一の融点として、すなわち、単一の広域融解転移と考えられている。これらのピークのうちの最も高いものが融点と考えられる。プロピレンベースポリマーは、好ましくは25℃〜110℃の融点を有する。この範囲内で、融点の代替の下限は30℃、または35℃であってよく、融点の選択的上限は105℃または90℃であってよい。
【0051】
EODMまたはEPDMエラストマーの場合、好ましくは、エラストマーは、80,000〜500,000の重量平均分子量を有してもよい。1つまたは複数の好ましい実施形態では、エラストマーは、ASTM−D1646により求めた場合、100未満、より好ましくは75未満、さらにより好ましくは60未満、およびより好ましくは30未満のMooney粘度ML(1+4)@125℃を有する。同一または異なる実施形態では、EODMまたはEPDMエラストマーは、ASTM−D 3236により190℃で測定した、0.01Pa・秒を超える、または0.05Pa・秒を超える粘度を有してもよい。複数のプロピレンベースポリマー、好ましくは、単数のプロピレンベースポリマーの場合、10,000〜80,000、好ましくは20,000〜80,000の重量平均分子量を有してもよい。同一または異なる実施形態では、プロピレンベースポリマーは、ASTM−D 3236により190℃で測定した、または0.05Pa・秒未満または0.01Pa・秒未満の粘度を有してもよい。プロピレンベースポリマーのMWD(Mw/Mn)は、40未満、より好ましくは5未満、または4未満、または3未満であってよい。好ましくは、MWDの下限は、0.5を超える、または1を超える、または1.5を超える、または1.8を超える。
【0052】
プロピレンベースポリマーは、組成に関する分布が狭い、ランダムな結晶化可能なコポリマーであり得る。ポリマーの分子間組成分布は、溶媒中の熱分留で判定される。典型的な溶媒は、飽和した炭化水素、例えばヘキサンまたはヘプタンなどである。熱分留の手順は、以下に記載されている。通常、約75質量%、より好ましくは85質量%のポリマーを、すぐに前のまたはすぐ後の留分においてポリマーのバランスをとり、1つまたは2つの隣接する可溶性留分として単離する。これらの留分のそれぞれは、プロピレンベースポリマーの平均質量%のエチレン含有量から、20%(相対的)以下、より好ましくは10%(相対的な)以下の差を有する組成(質量%のエチレン含有量)を有する。本発明の目的のため、上記に概略が示された分留試験を満たす場合、プロピレンベースポリマーは、「狭い」組成分布を有すると考えられる。
好ましいプロピレンベースポリマーの立体規則性プロピレン配列の長さおよび分布は、実質的にランダムな統計的共重合と一致する。配列長さおよび分布は、共重合反応性比と関連していることは周知である。本明細書で使用する場合、「実質的にランダム」という用語は、反応性比の積が一般的に2以下であるコポリマーを意味する。対照的に、ステレオブロック構造において、PP配列の平均の長さは、同様の組成を有する実質的にランダムなコポリマーの長さを超える。ステレオブロック構造を有する従来技術のポリマーは、ランダムな、かなり統計的分布ではなくこれら「塊状」構造と一致したPP配列の分布を有する。
【0053】
ポリマーの反応性比および配列分布は、C−13 NMRにより判定することができ、これは、近くのプロピレン残基との関連でエチレン残基を位置づける。必要とされるランダムさおよび狭い組成分布を有する結晶化可能なコポリマーを作製するためには、(1)シングルサイト触媒および(2)好ましいプロピレンベースポリマーの実質的にすべてのポリマー鎖のための単一の重合環境しか可能にしない、よく混合した、連続的な流れの、撹拌タンク重合反応器を使用するのが望ましいこともある。
好ましいプロピレン−エチレンコポリマーは、その内容が参照により本明細書に組み込まれている、米国特許第6,635,715号に記載されている。
【0054】
一般的に、ポリマー分子量が低すぎる場合、本明細書中に記載されている方式での液相分離は、妨害されるか、または非効率である場合がある。さもなければ過剰な量のポリマーが低含有相に送り込まれる可能性がある。正確な境界は、溶媒の組成およびポリマーの組成ならびに分子量による。一般的に2MPa/秒を超える、好ましくは3MPa/秒以上、より好ましくは4MPa/秒以上、さらにより好ましくは5MPa/秒以上の急速な圧力の低下は、2つの相の遊離の誘発を助ける。この急速な圧力の減少は、好ましくはバイノーダル境界またはLCSTより上の圧力から開始し、スピノーダル境界より下の圧力で停止する。好ましい相分離は、スピノーダル分解によるものであり得、圧力誘発性相分離(PIPS)と呼ばれている。第1の分離装置はまた、分離装置の下端の低含有相およびポリマー高含有相の沈降が可能となるような十分な滞留時間を提供することが好ましい。
【0055】
分子量制御は、水素レベルの制御を介して行われるべきであり、重合温度の制御による分子量制御を補助することができる。
低含有相は、重合中に添加または生成した水素を除去するための装置まで液体形態で通過することができ、この装置は、ストリッピング気体を、向流の流れの配置で低含有相に接触させることによって、低含有相再循環物からの除去のため、気相内の水素を濃縮するユニットを含んでもよい。
【0056】
ストリッピング気体は、エチレンなどの揮発性モノマーからなることが好ましい。窒素などの不活性ガスを使用してもよい。ストリッピング気体は重合供給物として使用するための回収した溶媒流から水素を除去するためのストリッピング容器を含み得る。ストリッピング気体は、低い水素含有量、好ましくは5モルppm以下の水素含有量を有することが好ましい。ストリッピング気体は、他のモノマーまたは溶媒成分よりも揮発性があり、重合触媒に有害な混入物を実質的に含まず、プラント回収系において回収可能であり、別個の追加の加圧の補助なしでストリッピング容器へと導入される位十分に高い供給圧力で好ましくは使用可能であるように選択することができる。
【実施例】
【0057】
ここで、図と組み合わせて、実施形態を以下で説明する。
【0058】
重合およびポリマーおよび溶媒の初期の分離
重合用供給物は、遠心ポンプ3により導管2を通過する。この供給物は、以下を含有する:A)イソヘキサン(溶媒として);B)モノマー(一般的に主なモノマーは、エチレンまたはプロピレン);C)コモノマー(任意の共重合可能なα−オレフィンであってよい);および任意選択でD)ジエンまたは他のポリエンまたは環状鎖共重合可能な材料。供給物は、冷却機または冷却器6を通過し、この中で、供給物は、連続してまたは並行に作動している2つの連続的撹拌タンク反応器8(簡潔にするため図1〜3には1つの反応器だけしか表されていない)における、続いて起こる断熱性重合のため、低温に冷やしてもよい。アクチベーターおよびメタロセン触媒は、前もって混合し、5および/または7で、1つまたは両方の反応器8に添加することができる。スカベンジャーは、一般的にアルキルアルミニウムの形態、例えばトリ−イソブチルアルミニウムまたはトリ−n−オクチルアルミニウムなどが、導管4で添加されることによって、触媒活性に対する供給物および反応器内での毒の影響が最小化される。
重合温度の制御により提供される、分子量制御を補助するために、水素を、導管(示されていない)を介して1つまたは両方の反応器に添加することができる。
【0059】
反応器8から導管11にかけて出現するポリマー含有反応混合物は、触媒キラー、好ましくは水またはメタノールで処理され、素子10で添加されることによって、重合反応を終結させる。熱交換器12は、熱統合配置の一部として配置され、第1の分離装置(または液相分離器)14内の上部層20から出現する低含有相により加熱され、導管11内の反応混合物の温度の初期増加を提供する。水蒸気、熱いオイルまたは他の高温流体を使用することにより作動するトリム熱交換器16は、液相分離に適切なレベルまで温度をさらに増加させる。次いで反応混合物は降下弁18を通過するが、この降下弁18において圧力の急降下が生じ、これが反応混合物の分離を引き起こし、低含有相20およびその下の第1のポリマー高含有相へと沈降する。
ポリマー含有反応混合物は、ポンプ3からの圧力により推進するので、反応器8と分離装置14の間の導管11内の圧力の増加を提供するためにエネルギー消費ポンプは必要がないことに注目することは重要である。
【0060】
ポリマー高含有相の処理
ここで図1を参照されたい。第1のポリマー高含有相のその後の処理が記載されている。第1の分離装置からの第1のポリマー高含有相22は、例えば、熱交換器の形態の温度調整ユニット231を通過し、次いで、例えば、第1の分離装置よりも低い圧力を有するフラッシュタンク34の形態の第2の分離装置34まで通過する。第2の分離装置において、蒸発させた溶媒およびモノマーは第1のポリマー高含有相から分離する。
第1のポリマー高含有相の温度は、熱交換器231を通過後、少なくとも1℃、または少なくとも3℃、または少なくとも5℃、または少なくとも10℃だけ増加または低下する。例えば、特により高い粘度を有するポリマー中の揮発性成分を減少させる目的のため、熱交換器231を通過した後、第1のポリマー高含有相の温度を増加させ、他方では、例えば特に、最終加工工程においてより低い粘度を有するポリマーのペレット化率を向上するという目的のため、熱交換器231を通過した後、第1のポリマー高含有相の温度を低下させる。ポリマー高含有相の温度は、できるだけ高く、ただし、ポリマーの分解温度より低い温度にまで増加させることができる。他方では、ポリマー高含有相の温度はできるだけ低く、ただしポリマーの結晶化温度より高い温度にまで減少させることができる。好ましくは、熱交換器231からの加熱または冷却した第1のポリマー高含有相は、依然として溶液中で保持されている。
【0061】
蒸発した溶媒およびモノマー相は、気相内の導管35を通過して、蒸留により作動する精製塔36に至ることによって、一方では、極めて揮発性の溶媒および未反応のエチレンおよびプロピレンの軽い留分と、他方では、より重い、揮発性の低い成分(複数可)、例えばヘキサン、および触媒またはアクチベーターおよび未反応のジエン種のコモノマーを溶解するために使用した任意のトルエンとに分離される。トルエンの使用により、触媒成分および触媒調製条件、例えばわずかなトルエンしか存在しないので、トルエン除去のための分離工程が必要とされないような点に到達するまで、触媒成分の溶解性を増加させるための触媒溶液温度の増加などの適切な選択により、適切な状況下で減少させることができる。
【0062】
ギアポンプ38は、短い導管を介して第2のポリマー高含有相を、真空脱揮押出し機または混合器40に搬送する。溶融した安定剤を、任意選択で短い導管へ注入することができる。次いで、第2のポリマー高含有相の流れは、真空脱揮装置40の入口に入り、この場合も同様に、精製のために気相が取り除かれ、縮合され、次いで精製塔50へとポンプで送り込まれる。触媒溶媒として使用したトルエンの重い留分およびジエン、例えばエチレンノルボルナジエン(ENB)コモノマーまたは1−オクテンコモノマーなどがこの精製塔50で回収される。ENBまたはオクテンは、出口54を介して再循環することができる。代替の重いコモノマー、例えばENBおよびオクテンなどは、これにより別個の貯蔵容器55、56に貯蔵することができ、これによって、異なる製品ファミリー間(例えば、EP(D)MおよびEOプラストマー)の急速な製品の移行を促進しながらその一方で、貴重な未反応のコモノマーも依然として最終的に回収することができる。この可能性は、多種多様な異なる製品を作製するための本方法の柔軟性をさらに増強する。
真空脱揮装置40から出現し、第2のポリマー高含有相は流れて、ポリマーをシャフトに沿って推進させる、スクリューねじ山またはインペラを備えたシャフト、および42で冷やした水が供給されている水中ペレタイザーに入る。ポリマーペレットは、44で洗浄され、脱水されて、46で袋詰めまたは梱包に適切なペレットを形成する。
フラッシュタンク34内の第2のポリマー高含有相のレベルを核放射線センサー(示されていない)でモニターし、ギアポンプ38の駆動を制御することによって設定された限界内でのレベルを保つ。ポンプ107の駆動を制御することによって、安定剤の流量がギアポンプ38の速度にちょうど比例するようにする。
【0063】
図2で具体化されているように、ポリマー高含有相の処理において、第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に熱交換器は配置されないが、熱交換器232が、第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に位置している。この例では、第1のポリマー高含有相は、第1の分離装置の圧力より低い圧力を有する第2の分離装置34まで通過する。第2の分離装置34の下側からの第2のポリマー高含有相は、第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させ得る熱交換器232まで通過する。次いで、加熱または冷却した第2のポリマー高含有相は、ギアポンプ38により、短い導管を通って真空脱揮装置40へと搬送される。
【0064】
図3で具体化されているように、ポリマー高含有相の処理において、熱交換器231は、第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に位置し、熱交換器232は、第2の分離装置34の下流および脱揮装置40の上流に位置する。この例では、第1のポリマー高含有相は、第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させる熱交換器231まで通過し、次いで、第1の分離装置の圧力より低い圧力を有する第2の分離装置34まで通過する。第2の分離装置34からの第2のポリマー高含有相は、第2のポリマー高含有相の温度を増加または低下させる熱交換器232まで通過する。第1および第2のポリマー高含有相の温度は、増加または低下させることができる。次いで、加熱または冷却した第2のポリマー高含有相は、ギアポンプ38により、短い導管を通って真空脱揮装置40へと搬送される。この例では、熱交換器231および232の両方を、第1および第2のポリマー高含有相の温度を増加させるために使用することができ、または両方を、第1および第2のポリマー高含有相の温度を低下させるために使用することができ、または一方を、第1または第2のポリマー高含有相の温度を増加させるために使用し、他方を、第2または第1のポリマー高含有相の温度を低下させるために使用することができる。好ましい一実施形態では、熱交換器231を、第1のポリマー高含有相の温度を増加させるために使用し、温度232を、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるために使用している。
【0065】
異なるポリマーの重合
プラントの作動は、表1に記載されているように行うことができ、表1は、低分子量のプラストマー;より高い分子量のエラストマーおよびより低い分子量のプロピレンベースポリマーを作製するための重合方法を例示している。
【0066】
【表1】
【0067】
図1のプラントでプラストマーを作製するためには、供給物温度は、冷却機6で約0℃の温度に減少させる。アルミニウムアルキルは、スカベンジャーとして、供給物の毒含有量に対して適した量を添加する。圧力を遠心ポンプにより12MPaに上昇させる。次いで、主として溶媒および5MPa分圧までのエチレンおよびブテンまたはヘキセンまたはオクテンコモノマーを含む供給物が、反応器(複数可)8に入る。触媒およびアクチベーターの望まれる重合温度(これはさらに望まれる分子量に関連する)を生じさせる量を反応器(複数可)8に添加する。重合の熱を、150℃から200℃の温度に増加させることによって、水素を使用せずにプラストマーを形成する(ただし、3/4を使用してもよい)。反応器(複数可)の出口において、ポリマー濃度は、15質量%〜22質量%の範囲内である。一般的条件は、国際公開第99/45041号に記載されている通りであってよい。
次いで素子10で水を供給することによって、重合反応を中止するが、この重合反応は、別の方法では、残存する触媒、未反応のモノマー、および上昇した温度の存在下で存続させてもよい。
【0068】
熱交換器12は、初期に温度を上昇させ、次いでさらなる熱交換器16は、220℃までのさらなる温度上昇を引き起こす。反応混合物が降下弁18を通過して第1の分離装置の中に至る際に、急速な圧力の急降下が生じ、圧力が10MPaから4MPaへと急速に急降下する。ポンプ3の出口と降下弁18の出口との間の圧力差が、供給物および反応混合物の、熱交換器12および16を含めた反応器(複数可)8および導管11を介した流れを引き起こす原因である。
第1の分離装置14の中で、0.1質量%未満のポリマーを有する上部の低含有相および25質量%〜40質量%のポリマーを有する第1のポリマー高含有相が形成される。濃度は分離器14に供給される反応混合物の濃度のほぼ2倍から3倍である。第2の分離装置34内で溶媒およびモノマーをさらに除去後、第2のポリマー高含有相は熱交換器を通過させ、温度を200℃に低下させ、次いでギアポンプ38を介して脱揮装置40へポンプで送り込む。脱揮装置40を出るポリマーは、水を含む、1重量%未満、好ましくは0.5重量%以下、さらにより好ましくは0.06重量%未満の揮発性成分(複数可)を含有してもよい。ペレット化工程におけるペレット化率は、3〜25T/時間/装置、好ましくは5〜25T/時間/装置、または8〜25T/時間/装置、または10〜25T/時間/装置であり得る。連続する2つの反応器を用いて、その内容が本明細書に参照により組み込まれている、国際公開第99/45047号(Harringtonら)の開示を使用することができる。
【0069】
「エラストマー」と印された表1の欄に対しても同じことが言える。第1のポリマー高含有相の温度が230℃に増加しており、「プロピレンベースポリマー」の欄では、第1のポリマー高含有相の温度は230℃に増加し、次いで第2のポリマー高含有相の温度は200℃から100℃に低下している。その内容が本明細書に参照により組み込まれている国際公開第00/01745号に記載されている全般的条件を使用することができる。作動中、重合温度は、28℃から70℃の間で変化した。
【0070】
本発明の様々な態様が本明細書中に記載されてきたが、本発明のさらなる特定の実施形態は、以下の段落において記述されたものを含む:
段落1.(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、
(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、
(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、
(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、
(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップと、
(x)ステップ(c)とステップ(e)との間で、第1または第2のポリマー高含有相の温度を調整するステップと
を含む、ポリマーの形成方法。
【0071】
段落2.ステップ(x)が、ステップ(c)とステップ(d)との間にある、段落1に記載の方法。
段落3.ステップ(x)が、ステップ(d)とステップ(e)との間にある、段落1に記載の方法、式中。
段落4.ステップ(d)とステップ(e)との間に、第2のポリマー高含有相の温度を調整するためのステップ(y)をさらに含む、段落2に記載の方法。
段落5.ステップ(x)が、第1または第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、段落1から4のいずれかに記載の方法。
段落6.ステップ(x)が、第1または第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、段落1から4のいずれかに記載の方法。
段落7.ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、段落4に記載の方法。
段落8.ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、段落4に記載の方法。
段落9.ポリマーが、ASTM−D3236により190℃で測定した場合、0.01Pa・秒を超える粘度を有し、ASTM−D1646で測定した場合、100未満のML(1+4、125℃)を有する、段落5に記載の方法。
【0072】
段落10.ポリマーが、ATSM−D3236により190℃で測定した場合、0.01Pa・秒未満の粘度を有する、段落6に記載の方法。
段落11.ステップ(c)が、2MPaを超え、15MPa未満の圧力で行われる、段落1から10のいずれかに記載の方法。
段落12.ステップ(d)が、0.05MPaを超え、2MPa未満の圧力で行われる、段落1から11のいずれかに記載の方法。
段落13.ステップ(e)で得たポリマーが、0.1重量%未満の揮発性成分(複数可)を含む、段落1から12のいずれかに記載の方法。
段落14.ステップ(d)が真空で作動する、段落1から13のいずれかに記載の方法。段落15.オレフィンモノマーが、プロピレンと、エチレンおよびC4−C8アルファ−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーとを含む、段落1から14のいずれかに記載の方法。
段落16.溶媒がヘキサンおよび/またはイソヘキサンである、段落1から15のいずれかに記載の方法。
【0073】
段落17.(a)プロピレンと、エチレンおよびC4−C8アルファ−オレフィンからなる群から選択される、少なくとも1つのコモノマーとを有する供給物を溶媒中に供給するステップと、
(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、
(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、
(d)第1のポリマー高含有相を加熱するステップと、
(e)加熱した第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、
(f)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップと
を含み、ポリマーが、ASTM−D3236により190℃で測定した場合、0.01Pa・秒を超える粘度およびASTM−D1646で測定した場合、100未満のML(1+4、125℃)を有する、ポリマーの形成方法。
段落18.(a)プロピレンと、エチレンおよびC4−C8アルファ−オレフィンからなる群から選択される、少なくとも1つのコモノマーとを有する供給物を溶媒中に供給するステップと、
(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、
(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、
(d)第1のポリマー高含有相を冷却するステップと、
(e)冷却した第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、
(f)第2のポリマー高含有相を脱揮することによってポリマーを得るステップと
を含み、ポリマーが、ATSM−D3236により190℃で測定した、0.01Pa・秒未満の粘度を有する、ポリマーの形成方法。
【0074】
段落19.モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、
反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するための第1の分離装置と、
第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するための第2の分離装置と、
第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分(複数可)を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置と、
第1の分離装置の下流および脱揮装置の上流の1つまたは複数の位置にある、第1および/または第2のポリマー高含有相の温度を調整するための1つまたは複数の温度調整ユニットと
を含む、ポリマーを形成するためのプラント。
【0075】
段落20.温度調整ユニットが、第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に位置する、段落19に記載のプラント。
段落21.温度調整ユニットが、第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に位置する、段落19に記載のプラント。
段落22.第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に位置する追加の温度調整ユニットをさらに含む、段落20に記載のプラント。
段落23.温度調整ユニットが、第1または第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、段落19から22のいずれかに記載のプラント。
段落24.温度調整ユニットが、第1または第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、段落19から22のいずれかに記載のプラント。
段落25.追加の温度調整ユニットが、第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、段落22に記載のプラント。
段落26.追加の温度調整ユニットが、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、段落22に記載のプラント。
段落27.温度調整ユニットが熱交換器である、段落19から26のいずれかに記載のプラント。
段落28.脱揮装置が真空脱揮装置、ベントされた押出し機、フラッシュポット、落下ストランドエバポレーター、または薄膜エバポレーターである、段落19から27のいずれかに記載のプラント。
段落29.第2の分離装置がフラッシュ装置である、段落19から28のいずれかに記載のプラント。
【0076】
段落30.反応器が、第1の反応器と第2の反応器を含み、第1の反応器の内部容積と、第2の反応器の内部容積の比率が、50:50〜95:5である、段落19から29のいずれかに記載のプラント。
段落31.第1の反応器の内部容積と、第2の反応器の内部容積の比率が65:35〜90:10である、段落30に記載のプラント。
段落32.モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、
反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するための第1の分離装置と、
第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相の温度を増加させるための温度調整ユニットと、
温度調整ユニットの下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するための第2の分離装置と、
第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分(複数可)を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置と
を含み、ポリマーが、ASTM−D3236により190℃で測定した場合、0.01Pa・秒を超える粘度を有し、ASTM−D1646で測定した場合、100未満のML(1+4、125℃)を有する、ポリマーを形成するためのプラント。
段落33.モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、
反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するための第1の分離装置と、
第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相の温度を低下させるための温度調整ユニットと、
温度調整ユニットの下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するための第2の分離装置と、
第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分(複数可)を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置と
を含み、ポリマーが、ATSM−D3236により、190℃で測定した場合、0.01Pa・秒未満の粘度を有する、ポリマーを形成するためのプラント。
【0077】
本明細書中に引用されたすべての文献は、このような組み込みが認可されているすべての権限に対して参照により十分に、本明細書と矛盾しない範囲まで組み込まれている。本明細書中に引用されたすべての値については、これらは近似値であること当業者であれば理解する。従属請求項は、米国での慣習に従って単一の従属関係を有するが、従属請求項のいずれかにおける特徴のそれぞれは、同じ独立請求項または複数の独立請求項に依存する、1つまたは複数の他の従属請求項の特徴のそれぞれと組み合わせることができる。
本発明のまた別の態様は、以下のとおりであってもよい。
〔1〕(a)1つまたは複数のオレフィンモノマーおよび溶媒を有する供給物を供給するステップと、
(b)供給物を触媒に接触させて、反応混合物を形成するステップと、
(c)反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するステップと、
(d)第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するステップと、
(e)第2のポリマー高含有相を脱揮することによって、ポリマーを得るステップと、 (x)ステップ(c)とステップ(e)との間で、第1または第2のポリマー高含有相の温度を調整するステップと
を含む、ポリマーの形成方法。
〔2〕ステップ(x)が、ステップ(c)とステップ(d)との間にある、前記〔1〕に記載の方法。
〔3〕ステップ(x)が、ステップ(d)とステップ(e)との間にある、前記〔1〕に記載の方法。
〔4〕ステップ(x)が、第1のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、前記〔1〕から〔3〕までのいずれかに記載の方法。
〔5〕ステップ(x)が、第1のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、前記〔1〕から〔3〕までのいずれかに記載の方法。
〔6〕ステップ(d)とステップ(e)との間で、第2のポリマー高含有相の温度を調整するためのステップ(y)をさらに含む、前記〔4〕または〔5〕に記載の方法。
〔7〕ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、前記〔6〕に記載の方法。
〔8〕ステップ(y)が、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、前記〔6〕に記載の方法。
〔9〕ステップ(e)で得たポリマーが、ASTM−D3236により190℃で測定した場合、0.01Pa・秒を超える粘度を有し、ASTM−D1646で測定した場合、100未満のML(1+4、125℃)を有する、前記〔1〕から〔8〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔10〕ステップ(e)で得たポリマーが、ATSM−D3236により190℃で測定された0.01Pa・秒未満の粘度を有する、前記〔1〕から〔9〕までのいずれか1項に記載の方法。
〔11〕ステップ(c)が、2MPaを超え、15MPa未満である圧力で行われる、前記〔1〕から〔10〕までのいずれかに記載の方法。
〔12〕ステップ(d)が0.05MPaを超え、2MPa未満の圧力で行われる、前記〔1〕から〔11〕までのいずれかに記載の方法。
〔13〕ステップ(e)で得たポリマーが、0.1重量%未満の揮発性成分(複数可)を含む、前記〔1〕から〔12〕までのいずれかに記載の方法。
〔14〕オレフィンモノマーが、プロピレンと、エチレンおよびC4−C8アルファ−オレフィンからなる群から選択される少なくとも1つのコモノマーとを含む、前記〔1〕から〔13〕までのいずれかに記載の方法。
〔15〕モノマーを重合して反応混合物を形成するための反応器と、
反応器の下流にある、反応混合物を処理することによって第1のポリマー高含有相を形成するための第1の分離装置と、
第1の分離装置の下流にある、第1のポリマー高含有相を処理することによって第2のポリマー高含有相を形成するための第2の分離装置と、
第2の分離装置の下流にある、第2のポリマー高含有相から揮発性成分(複数可)を除去することによってポリマーを得るための脱揮装置と
第1の分離装置の下流および脱揮装置の上流の1つまたは複数の位置にある、第1および/または第2のポリマー高含有相の温度を調整するための1つまたは複数の温度調整ユニットと
を含む、ポリマーを形成するためのプラント。
〔16〕温度調整ユニットが、第1の分離装置の下流および第2の分離装置の上流に位置する、前記〔15〕に記載のプラント。
〔17〕温度調整ユニットが、第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に位置する、前記〔15〕に記載のプラント。
〔18〕第2の分離装置の下流および脱揮装置の上流に位置する追加の温度調整ユニットをさらに含む、前記〔17〕に記載のプラント。
〔19〕温度調整ユニットが、第1または第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、前記〔15〕から〔18〕までのいずれかに記載のプラント。
〔20〕温度調整ユニットが、第1または第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、前記〔15〕から〔18〕までのいずれかに記載のプラント。
〔21〕追加の温度調整ユニットが、第2のポリマー高含有相の温度を増加させるためである、前記〔18〕に記載のプラント。
〔22〕追加の温度調整ユニットが、第2のポリマー高含有相の温度を低下させるためである、前記〔18〕に記載のプラント。
〔23〕温度調整ユニットが熱交換器である、前記〔15〕から〔22〕までのいずれかに記載のプラント。
〔24〕脱揮装置が、真空脱揮装置、ベントされた押出し機、フラッシュポット、落下ストランドエバポレーター、または薄膜エバポレーターである、前記〔15〕から〔23〕までのいずれかに記載のプラント。
〔25〕反応器が、第1の反応器と第2の反応器とを含み、第1の反応器の内部容積と、第2の反応器の内部容積との比率が50:50〜95:5である、前記〔15〕から〔24〕までのいずれかに記載のプラント。
図1
図2
図3