【実施例】
【0059】
以下に実施例及び試験例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0060】
実施例中記載の各機器データは以下の測定機器で測定した。
MSスペクトル:micromass Platform LC又はmicromass GCT
NMRスペクトル:[
1H-NMR]600MHz:JNM−ECA600(日本電子)
(実施例1)
メチル 1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−カルボキシラート(化合物番号1)の製造
【0061】
【化9】
【0062】
1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジン(3g、WO2008072703に記載の方法に従って合成できる)、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸(1.75g)、N,N’−ジメチルエチレンジアミン(0.592g)、ヨウ化銅(0.32g)及び炭酸セシウム(2.32g)のトルエン(8.4mL)懸濁液を110℃にて4時間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、クロロホルムを加え、セライト(登録商標)濾過した。濾液を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH型シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=88/12〜0/100)にて精製して無色固体の表題化合物(1.42g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.61 - 1.74 (m, 2 H) 1.78 - 1.92 (m, 4 H) 1.95 - 2.08 (m, 4 H) 2.10 - 2.27 (m, 2 H) 2.62 (br. s., 2 H) 2.73 (t, J=8.05 Hz, 1 H) 3.82 (s, 3 H) 4.32 (br. s., 1 H) 6.71 (dd, J=2.89, 1.65 Hz, 1 H) 6.88 - 6.92 (m, 1 H) 6.93 - 6.99 (m, 2 H) 7.26 - 7.31 (m, 2 H) 7.58 (t, J=1.86 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 355
(実施例2)
1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−カルボン酸(化合物番号2)の製造
【0063】
【化10】
【0064】
実施例1で合成したメチル 1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−カルボキシラート(1.4g)のエタノール(8mL)溶液に6規定水酸化ナトリウム水溶液(1.32mL)を加え、60℃にて4時間攪拌した。反応混合物を室温まで放冷し、水を加え、クロロホルムで抽出した。水層を塩酸で中和し、クロロホルムで抽出した。有機層を併せて硫酸マグネシウムで乾燥し、減圧下濃縮して無色非晶質の表題化合物(1.22g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.52 - 3.32 (m, 15 H) 4.13 - 4.87 (m, 1 H) 6.76 (dd, J=2.89, 1.65 Hz, 1 H) 6.86 - 7.03 (m, 3 H) 7.31 (d, J=8.67 Hz, 2 H) 7.58 - 7.68 (m, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 341
(実施例3)
アゼチジン−1−イル(1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−イル)メタノン(化合物番号3)の製造
【0065】
【化11】
【0066】
実施例2で合成した1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−カルボン酸(0.1g)、1−{3−(ジメチルアミノ)プロピル}−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(0.085g)、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール水和物(0.067g)及びアジリジン(0.034g)をN,N−ジメチルホルムアミド(0.1ml)に加えて懸濁液とし、室温にて16時間攪拌した。反応混合物に水を加え、クロロホルムで抽出した。有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH型シリカゲル、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=88/12〜0/100)にて精製して無色固体の表題化合物(0.056g)を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.60 - 1.73 (m, 2 H) 1.76 - 1.93 (m, 4 H) 1.95 - 2.08 (m, 4 H) 2.10 - 2.22 (m, 2 H) 2.34 (t, J=7.64 Hz, 2 H) 2.54 - 2.68 (m, 2 H) 2.70 - 2.82 (m, 1 H) 4.11 - 4.23 (m, 2 H) 4.28 - 4.35 (m, 1 H) 4.37 - 4.55 (m, 2 H) 6.53 (dd, J=2.89, 1.65 Hz, 1 H) 6.83 - 7.00 (m, 3 H) 7.25 - 7.33 (m, 2 H) 7.44 (t, J=1.86 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 380
実施例3に示した方法と同様の方法で以下の表1−1及び1−2に示す化合物(化合物番号4〜13)を製造した。
【0067】
【化12】
【0068】
【表1-1】
【0069】
【表1-2】
【0070】
(実施例4)
メチル 1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキシラート(化合物番号14)の製造
【0071】
【化13】
【0072】
実施例1と同様の手法により、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりにメチル 2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボン酸を用いて無色非晶質の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.60 - 1.73 (m, 2 H) 1.77 - 1.90 (m, 4 H) 1.93 (s, 3 H) 1.97 - 2.07 (m, 4 H) 2.08 - 2.20 (m, 2 H) 2.25 (s, 3 H) 2.53 - 2.78 (m, 3 H) 3.77 (s, 3 H) 4.33 (br. s., 1 H) 6.30 (d, J=1.24 Hz, 1 H) 6.88 - 6.96 (m, 2 H) 7.00 - 7.08 (m, 2 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 383
(実施例5)
(1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノン(化合物番号15)の製造
【0073】
【化14】
【0074】
実施例4で合成したメチル 1−{4−[(1−シクロブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−2,5−ジメチル−1H−ピロール−3−カルボキシラート(0.06g)及びピロリジン(0.112g)の混合物を封管中100℃にて16時間撹拌した。反応混合物を室温まで放冷し、減圧下濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(NH型プレパラティブシリカゲルプレート、0.5mm厚、展開溶媒:n−ヘキサン/酢酸エチル=50/50)にて精製して無色固体の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.59 - 1.93 (m, 12 H) 1.95 (s, 3 H) 1.98 - 2.09 (m, 4 H) 2.17 (s, 3 H) 2.64 (br. s., 2 H) 2.74 (t, J=8.05 Hz, 1 H) 3.62 (d, J=9.91 Hz, 4 H) 4.34 (br. s., 1 H) 6.06 (s, 1 H) 6.88 - 6.98 (m, 2 H) 7.02 - 7.11 (m, 2 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 422
(実施例6)
[1−(4−{3−[(2R)−2−メチルピロリジン−1−イル]プロポキシ}フェニル)−1H−ピロール−3−イル](ピロリジン−1−イル)メタノン(化合物番号16)の製造
【0075】
【化15】
【0076】
実施例1と同様の手法により、1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに(2R)−1−[3−(4−ヨードフェノキシ)プロピル]−2−メチルピロリジン(WO2009063953に記載の方法に従って合成できる)を、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりに3−(ピロリジン−1−イルカルボニル)−1H−ピロールを、それぞれ用いて無色非晶質の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.08 (d, J=5.78 Hz, 3 H) 1.35 - 1.48 (m, 1 H) 1.63 - 1.83 (m, 2 H) 1.85 - 2.04 (m, 3 H) 2.11 (d, J=9.08 Hz, 1 H) 2.16 - 2.23 (m, 1 H) 2.25 - 2.33 (m, 1 H) 2.92 - 2.99 (m, 1 H) 3.17 (d, J=2.48 Hz, 1 H) 3.65 (br. s., 4 H) 3.73 (br. s., 4 H) 3.96 - 4.15 (m, 2 H) 6.63 (dd, J=3.10, 1.86 Hz, 1 H) 6.89 - 6.97 (m, 3 H) 7.27 - 7.32 (m, 2 H) 7.45 - 7.49 (m, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 382
(実施例7)
(1−{4−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノン(化合物番号17)の製造
【0077】
【化16】
【0078】
実施例1と同様の手法により、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりに(1H−ピロール−3−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノンを、1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに4−(4−ヨードフェノキシ)−1−イソプロピルピペリジン(WO2004089373に記載の方法に従って合成できる)を用いて無色非晶質の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.05 (d, J=6.61 Hz, 6 H) 1.74 - 2.07 (m, 8 H) 2.39 (br. s., 2 H) 2.66 - 2.84 (m, 3 H) 3.60 - 3.81 (m, 4 H) 4.24 - 4.34 (m, 1 H) 6.63 (dd, J=3.10, 1.86 Hz, 1 H) 6.87 - 7.00 (m, 3 H) 7.22 - 7.32 (m, 2 H) 7.47 (t, J=2.06 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 382
(実施例8)
1−{4−[(1−イソプロピルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(化合物番号18)の製造
【0079】
【化17】
【0080】
実施例1と同様の手法により、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりにN−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミドを、1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに4−(4−ヨードフェノキシ)−1−イソプロピルピペリジンを用いて無色結晶の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.06 (d, J=6.61 Hz, 6 H) 1.82 (d, J=9.08 Hz, 2 H) 1.95 - 2.09 (m, 2 H) 2.39 (br. s., 2 H) 2.79 (br. s., 3 H) 2.96 (d, J=4.95 Hz, 3 H) 4.19 - 4.39 (m, 1 H) 5.59 - 5.86 (m, 1 H) 6.45 (dd, J=2.89, 1.65 Hz, 1 H) 6.84 - 6.99 (m, 2 H) 7.17 - 7.32 (m, 2 H) 7.52 (t, J=2.06 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 342
(実施例9)
(1−{4−[(1−tert−ブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−1H−ピロール−3−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノン(化合物番号19)の製造
【0081】
【化18】
【0082】
実施例1と同様の手法により、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりに(1H−ピロール−3−イル)(ピロリジン−1−イル)メタノンを、1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに1−tert−ブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジン(WO2008072724に記載の方法に従って合成できる)を用いて無色結晶の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.09 (s, 9 H) 1.81 (dd, J=8.46, 3.92 Hz, 2 H) 1.86 - 2.06 (m, 6 H) 2.41 (br. s., 2 H) 2.87 (br. s., 2 H) 3.56 - 3.80 (m, 4 H) 4.22 - 4.32 (m, 1 H) 6.63 (dd, J=3.10, 1.86 Hz, 1 H) 6.85 - 6.99 (m, 3 H) 7.23 - 7.31 (m, 2 H) 7.41 - 7.50 (m, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 396
(実施例10)
1−{4−[(1−tert−ブチルピペリジン−4−イル)オキシ]フェニル}−N−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミド(化合物番号20)の製造
【0083】
【化19】
【0084】
実施例1と同様の手法により、メチル 1H−ピロール−3−カルボン酸の代わりにN−メチル−1H−ピロール−3−カルボキサミドを、1−シクロブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンの代わりに1−tert−ブチル−4−(4−ヨードフェノキシ)ピペリジンを用いて無色結晶の表題化合物を得た。
1H NMR (600 MHz, CHLOROFORM-d) δ ppm 1.09 (s, 9 H) 1.81 (dd, J=8.46, 3.92 Hz, 2 H) 1.96 - 2.06 (m, 2 H) 2.41 (br. s., 2 H) 2.87 (br. s., 2 H) 2.96 (d, J=4.95 Hz, 3 H) 4.27 (br. s., 1 H) 5.69 - 5.82 (m, 1 H) 6.38 - 6.50 (m, 1 H) 6.86 - 7.00 (m, 3 H) 7.21 - 7.31 (m, 2 H) 7.52 (t, J=1.86 Hz, 1 H)
MS (ESI/APCI Dual) (Positive) m/z; (M+H)
+ 356
(試験例1:ラットH3受容体結合試験)
ラットより摘出した前頭皮質を、テフロンホモジナイザーを用いて、タンパク質分解酵素阻害剤(Complete EDTA−free、ロシュ・ダイアグノスティックス)及び5mM EDTAを含んだ50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)中でホモジナイズした。このホモジネートを48,000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを5mM EDTAを含んだ50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁し、さらに48,000×gで15分間遠心分離した。この上清を除去し、ペレットを5mM EDTAを含んだ50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁し、膜分画とした。膜分画(最終反応液中のタンパク質量75μg)、N−α−メチル[
3H]ヒスタミン(パーキンエルマー、終濃度0.75nM)、及び試験薬物を混合し、室温にて1時間反応させた。反応終了後に、反応混合物を、0.3%ポリエチレンイミンで処理した96well GF/Cフィルタープレートに吸引濾過し、フィルターを、5mM EDTAを含んだ50mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)で5回洗浄した。洗浄後に、フィルターを乾燥し、シンチレーターを加え、フィルター上の残存放射活性をトップカウント(パーキンエルマー)で測定した。
【0085】
10μMチオペラミドの存在下での残存放射活性を非特異的結合とし、チオペラミド非存在下での残存放射活性との差を、特異的結合とした。試験薬物はDMSOにて溶解及び希釈し、各濃度存在下での残存放射活性より得られた用量反応曲線より、特異的結合が50%阻害される試験薬物濃度(IC
50)を求めた。実施例化合物のIC
50値を表2に示す。
【0086】
【表2】
【0087】
(試験例2:[
35S]GTP―γ―S結合試験)
ラットより摘出した前頭皮質を、テフロンホモジナイザーを用いて、2.5mM 塩化カルシウム二水和物を含んだ30mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)中でホモジナイズした。このホモジネートを48,000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを2.5mM 塩化カルシウム二水和物を含んだ30mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁し、さらに48,000×gで15分間遠心分離した。上清を除去し、ペレットを2.5mM 塩化カルシウム二水和物を含んだ30mM Tris−HCl緩衝液(pH7.4)に懸濁し、37℃で30分間インキュベーションした後、48,000×gで15分間遠心分離した。この上清を除去し、ペレットを100mM 塩化ナトリウム、10mM 塩化マグネシウムを含んだ20mM HEPES緩衝液(pH7.4)に懸濁し、膜画分とした。膜画分(最終反応液中のタンパク質量20μg)、GDP(終濃度300μM)、アデノシンデアミナーゼ(終濃度1U/mL)、R(−)―α―メチルヒスタミン(終濃度300nM)、及び試験化合物を混合し、30℃にて20分間反応させた。反応終了後、さらに[
35S]GTP−γ−S(終濃度0.3nM)を添加し、引き続き90分間反応を続けた。反応終了後に、反応混合物を、96well GF/Cフィルタープレートに吸引濾過し、フィルターを100mM 塩化ナトリウム、10mM 塩化マグネシウムを含んだ20mM HEPES緩衝液(pH7.4)で3回洗浄した。洗浄後に、フィルターを乾燥し、シンチレーターを加え、フィルター上の残存放射活性をトップカウント(パーキンエルマー)で測定した。
【0088】
R(−)−α―メチルヒスタミン非存在下での残存放射活性を非特異的結合とし、R(−)−α―メチルヒスタミン存在下での残存放射活性との差を、特異的結合とした。試験薬物はDMSOにて溶解及び希釈し、各濃度存在下での残存放射活性より得られた用量反応曲線より、特異的結合が50%阻害される試験薬物濃度(IC
50)を求めた。その結果、本発明の化合物3及び7はIC
50100nM以下の活性を示した。
(試験例3:ラット体内動態試験)
SDラットを用い、化合物3、4及び化合物7を3mg/kg単回経口投与し、投与1時間後の血漿・脳・脳脊髄液への組織分布を確認した。定量には高速液体クロマトグラフィ/タンデム質量分析計API4000(LC−MS/MS、ABサイエックス)を用いた。その結果、化合物3、4及び化合物7の脳/血漿移行比はそれぞれ4.5、2.9及び2.2と良好であり、その時の脳内濃度はそれぞれ78.2ng/g、7.06ng/g及び408ng/gであった。また化合物3及び化合物7の脳脊髄液/血漿移行比は両化合物とも0.3であり、その時の脳脊髄液濃度はそれぞれ、5.75ng/mL及び50.5ng/mLであった。
(試験例4:P−糖タンパク基質認識性試験)
トランスウェル上にLLC−GA5−COL300細胞(ブタ腎由来培養腎上皮細胞株LLC−PK1由来Human MDR1 発現系)を培養した。試験直前には、Hank's balanced salt solution(HBSS)に置換して試験に供した。最終濃度10μMに調整した評価化合物溶液を、LLC−GA5−COL300細胞のDonor側に添加し一定時間後、Acceptor側から一定量を採取した。サンプル中化合物濃度はLC−MS/MSにより測定した。Acceptor側への化合物の蓄積透過量より、Apical→Basal及びBasal→Apicalそれぞれの膜透過係数(×10
−6 cm/sec)を算出し、その比(Efflux Ratio)からP−糖タンパク基質認識性を評価した。実施例化合物のEfflux Ratio値を表3に示す。
【0089】
【表3】