特許第6098905号(P6098905)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098905
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】電池パック及び電気機器
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20170313BHJP
   H02H 7/08 20060101ALI20170313BHJP
   H02H 7/085 20060101ALI20170313BHJP
   H02H 7/09 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   H02J7/00 B
   H02J7/00 Y
   H02H7/08 P
   H02H7/085 G
   H02H7/09
【請求項の数】9
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2015-506675(P2015-506675)
(86)(22)【出願日】2014年2月28日
(86)【国際出願番号】JP2014055094
(87)【国際公開番号】WO2014148228
(87)【国際公開日】20140925
【審査請求日】2015年9月18日
(31)【優先権主張番号】特願2013-59634(P2013-59634)
(32)【優先日】2013年3月22日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094983
【弁理士】
【氏名又は名称】北澤 一浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095946
【弁理士】
【氏名又は名称】小泉 伸
(74)【代理人】
【識別番号】100099829
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 朗子
(72)【発明者】
【氏名】高野 信宏
【審査官】 松尾 俊介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−143284(JP,A)
【文献】 特開2012−182909(JP,A)
【文献】 特開2008−154395(JP,A)
【文献】 特開昭61−014838(JP,A)
【文献】 特開2006−075227(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00 − 7/12
H02J 7/34 − 7/36
H02H 7/06 − 7/097
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電気機器本体に着脱可能に接続される電池パックであって、
少なくとも1つの電池セルと、
前記電池パックが異常になると第1の信号を前記電気機器本体に対して出力する第1の電力制御回路と、
前記電池セルからの電力が供給される電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子と、を備え、
第1のスイッチング素子が前記電力供給経路に設けられた第1の電気機器本体に、前記電池パックが接続された状態で、前記電池パックが異常状態になった場合には、少なくとも前記第1のスイッチング素子を遮断し、
前記第1のスイッチング素子が前記電力供給経路に設けられていない第2の電気機器本体に、前記電池パックが接続された状態で、前記電池パックが異常状態になった場合には、前記第2のスイッチング素子を遮断するように構成されていることを特徴とする電池パック。
【請求項2】
前記第1の電力制御回路は、前記第2のスイッチング素子を遮断するための遮断信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電池パック。
【請求項3】
第2の電力制御回路を備え、
前記第2の電力制御回路は、前記電池パックに異常が生じると、前記遮断信号に基づいて、前記電気機器本体に供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を前記第2のスイッチング素子に出力するように構成されていることを特徴とする請求項2に記載の電池パック。
【請求項4】
前記第2の電気機器本体はスイッチを有し、
前記第2の電気機器本体は、前記第1の信号が出力されるか否かに関わらず前記スイッチが操作されると電力の供給を許可することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項5】
前記第1の電気機器本体は、第3の電力制御回路を備え、
前記第3の電力制御回路は、前記電気機器本体又は前記電池パックに異常が生じると、前記電力供給経路に設けられた前記第1のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項6】
前記電池パックの異常状態は、前記電池セルの電圧が基準値より小さくなった場合、或いは、前記電力供給経路に流れる電流が閾値より大きくなった場合であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の電池パック。
【請求項7】
前記第1の電気機器本体又は前記第2の電気機器本体からなる前記電気機器本体と、
前記電気機器本体に接続可能な請求項1乃至6のいずれか1項に記載の電池パックと、を備えることを特徴とする電気機器。
【請求項8】
電気機器本体に電池パックを接続して成る電気機器であって、
前記電気機器本体は、
前記電気機器本体又は前記電池パックの少なくともいずれかに異常が生じると、電力供給経路に設けられた第1のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力する第3の電力制御回路、を備えた第1の電気機器本体と、
前記電気機器本体又は前記電池パックの少なくともいずれかに異常が生じても、前記第1のスイッチング素子に供給される電力を低減又は遮断することが不可能な第2の電気機器本体と、の一方であり、
前記電池パックは、
前記第1の電気機器本体及び前記第2の電気機器本体の両方に択一的に接続可能な電池パックであって、
互いに接続された前記電気機器本体と前記電池パックとの少なくとも一方に異常が生じると、前記電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を出力する第2の電力制御回路、を備えた電池パックであり、
前記第1の電気機器本体に前記電池パックが接続された状態で、前記第1の電気機器本体又は前記電池パックに異常が生じると、少なくとも前記第1のスイッチング素子に供給する電力を低減又は遮断するように構成されていることを特徴とする電気機器。
【請求項9】
前記第1の電気機器本体において前記第3の信号の出力を切り替える基準と、前記電池パックにおいて前記第2の信号の出力を切り替える基準とは、それぞれ異なる基準であることを特徴とする請求項8に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池パック、及び、電池パックで動作する電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
充電式の電池パックを電源とするいわゆるコードレス電動工具が広く普及している。電池パックには、通常、複数の電池セルを直列に接続してなるセル組が内蔵されており、電池種としてはリチウムイオン電池が主流となっている。リチウムイオン電池を用いた電池パックには、それぞれの電池セルの電圧を監視するための保護IC若しくはこれと同等の機能を有する電圧監視手段を内蔵している。いずれかの電池セルがショートしていたり、電池セルの電圧が過放電状態に至る閾値に達している場合には、保護ICから警報信号が出力され、これに応答して電池パックの使用を中止させるためである。
【0003】
保護ICを内蔵した電池パックの使用を前提とした電動工具は、電池パックから電動工具内のモータに流れる電流経路に設けたFET等で構成されるスイッチング素子を保護ICから出力された警報信号に応答してオフとし、電池パックの使用を強制終了させるように構成されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−62343号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図6に示した例では電池パック2がスイッチ動作検出回路36を備えている。電気機器本体1の電力供給経路に設けられたスイッチ10が操作されると、スイッチ10が操作されたことを知らせる操作信号がS端子を介して電池パック2に出力される。電池パック2に設けられたMCU31はスイッチ動作検出回路35によってスイッチ10が操作されたことを検知すると放電を許可するための放電許可信号をS端子を介して電気機器本体1に出力する。電気機器本体1において、放電許可信号が入力されるとドライブ回路23から電力供給経路に設けられたスイッチング素子24に放電許可信号が伝達され、電力供給経路を通じてモータ40に電力供給が開始される。
【0006】
また、電池パック2は電流検出回路32、電圧検出回路33、温度検出回路34及びMCU31からなる監視回路を備えている。セル組3に異常が生じるとMCU31は電力供給を遮断するための停止信号をS端子に出力する。S端子から停止信号が入力されると、電気機器本体1はドライブ回路23からスイッチング素子24に停止信号を出力して電力供給を遮断させる。
【0007】
しかしながら市場では、図6に示したようなS端子、ドライブ回路23及びスイッチング素子24を備えた電気機器本体1だけに限られず、これらを備えていない電気機器本体1も流通している。このような電気機器本体1に上記の電池パックを接続した状態が図7に示されている。この場合では、電気機器本体1からはスイッチ10が操作されたことを知らせる操作信号が入力されないが、電気機器本体1の内部では電力供給回路を遮断するスイッチング素子24がないので、スイッチ10さえ操作されればすぐに電力供給回路が導通して電力供給が開始される。
【0008】
しかしながらこの場合では、S端子がなく、セル組3に異常が生じたことを知らせる停止信号が電気機器本体に入力されないので、セル組3に異常が生じても電力供給を遮断できない。このように、図6に示したような電気機器本体と図7に示したような電気機器本体との、いずれに接続された場合でもセル組の異常時に電力供給を遮断できるように構成された電池パックが提供されていないという第1の問題があった。近年、セルの大容量化が進んでいるが、ある程度を超える大容量のセルを用いる場合は、セル組の異常時に電力供給を遮断する構成を備えることが電気用品安全法で規定されている。図6図7のいずれの電気機器本体にも使用できる、すなわち互換性のある大容量の電池パックを開発しようとする場合には、この第1の問題を解決する必要が生じる。
【0009】
また、図6に示した例では電池パック2に備えられた監視回路だけで異常を検知して電力供給を低減又は遮断するものであったが、接続される電気機器本体1には高出力のモータ等を備えた高負荷タイプの電気機器本体だけでなく、低出力のランプ等を備えた低負荷タイプの電気機器本体もある。低負荷タイプの電気機器本体に電池パック2が接続された場合は、セル組3の異常が生じてから電力供給を低減又は遮断させるのでは遅く、むしろ電気機器本体の異常が先に生じてしまい、より早く電力供給を低減又は遮断させた方が適切となる場合もありうる。このように電池パックだけではなく電気機器本体も保護すべきという第2の問題が生じる。
【0010】
また、上述のように従来の電動工具では、電池パック側からの警報信号に応答して電池パックの使用を終了させるものであったため、電池パックと電動工具とを接続する信号端子であるS端子の接触不良などが起こった場合には、正しく電力のオン、オフを切替えることができないという問題があった。また、定格電圧などが不適切な電池パックが電動工具に接続された場合に、電動工具側で電力をオフすることもできないという第3の問題があった。
【0011】
本発明は、上述した問題の少なくともいずれかを解決することのできる電池パック及びこれを備えた電気機器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記目的を達成するために、本発明は、スイッチを有する電気機器本体に着脱可能に接続される電池パックであって、該スイッチが操作されると該電気機器本体への電力の供給を許可するための第1の信号を該電気機器本体に対して出力する第1の電力制御回路と、該電気機器本体に電力を供給する電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子と、該電池パックに異常が生じると該電気機器本体に供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を該第2のスイッチング素子に出力する第2の電力制御回路と、を備えたことを特徴とする電池パックを提供している。
【0013】
上記の構成によれば、スイッチが操作されたことを知らせる操作信号を電池パック側に出力する電気機器本体に対しても、そのような操作信号を電池パック側に出力しない電気機器本体に対しても、共通に使用できる電池パックを提供することができる。また電池パックに異常が生じたことを知らせる停止信号が入力されると電力供給経路を遮断するスイッチング素子を備えた電気機器本体に対して接続された場合だけではなく、そのようなスイッチング素子を備えていない電気機器本体に対して接続された場合であっても、電池パックに異常が生じると電力供給を低減又は遮断することのできる電池パックを提供することができる。すなわち上述の第1の問題を解決することができる。
【0014】
該第1の信号が入力されると電力の供給を許可する第1のスイッチング素子を電力供給経路に備えた該電気機器本体に該電池パックを接続してもよい。
【0015】
該第1の信号が入力されるか否かに関わらず該スイッチが操作されると電力の供給を許可する該電気機器本体に該電池パックを接続してもよい。
【0016】
該電気機器本体に異常が生じると電力供給経路に設けられた第3のスイッチング素子に電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力する第3の電力制御回路を備えた該電気機器本体に該電池パックを接続してもよい。
【0017】
また、本発明は、電気機器本体に電池パックを接続して成る電気機器であって、該電気機器本体又は該電池パックの少なくともいずれかに異常が生じると電力供給経路に設けられた第3のスイッチング素子に電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力する第3の電力制御回路を備えた該電気機器本体と、該電気機器本体又は電池パックに異常が生じると電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子に電力供給経路を経て供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を出力する第2の電力制御回路を備えた該電池パックと、を備えたことを特徴とする電気機器を提供している。
【0018】
上記の構成によれば、電気機器本体又は電池パックに異常が生じると電気機器本体と電池パックのそれぞれが電力供給を低減又は遮断することができるので、作業時の振動や接点の摩耗などによって電気機器本体と電池パックとの間の信号を伝える端子に接触不良が生じた場合であっても早期に異常な状態から脱することができる。すなわち上述の第2の問題を解決することができる。
【0019】
該電気機器本体において該第3の信号を出力するか否かを切り替える基準と、該電池パックにおいて該第2の信号を出力するか否かを切り替える基準とを、それぞれ異なる基準としてもよい。
【0020】
上記の構成によれば、電気機器本体と電池パックがそれぞれ異なる基準に基づいて電力供給の遮断又は停止を制御することができるので、例えば高出力のモータ等を備えた高負荷タイプの電気機器本体に電池パックが接続された場合は、電気機器本体から電力供給を遮断又は停止させる基準を相対的に高く設定し、電池パックから電力供給を遮断又は停止させる基準を相対的に低く設定することで、電池パックが出力しうる限界近くまで電力を電気機器本体に供給することができ高負荷の作業を行うことができる。また例えば低出力のランプ等を備えた低負荷タイプの電気機器本体に電池パックが接続された場合は、電気機器本体から電力供給を遮断又は停止させる基準を相対的に低く設定し、電池パックから電力供給を遮断又は停止させる基準を相対的に高く設定することで、電気器本体のランプ等が耐えられる電力を超えないようにすることができる。すなわち上述の第2の問題を解決することができる。
【0021】
また、本発明は、二次電池に接続される接続手段と、前記二次電池からの電流を遮断する遮断手段と、前記二次電池の状態を監視する状態監視手段と、前記状態監視手段の監視結果に基づいて異常を予見し、異常を予見した場合に前記二次電池からの電流を遮断させる判断手段とを有することを特徴とする電気機器を提供している。
【0022】
このような構成によれば、電気機器は電池パックによらず独自に電池パックに由来する異常を予見し、適切に電力を遮断することができる。すなわち上述の第3の問題を解決することができる。
【0023】
前記二次電池は、所定の定格値を有し、前記判断手段は、前記二次電池の前記定格値に基づいた所定値と、前記状態監視手段の監視結果とを比較することにより、異常を判断することが好ましい。このような構成によれば、二次電池の異常を適切に予見することができる。
【0024】
前記判断手段は、電気機器の定格値に基づいた所定値と、前記状態監視手段の監視結果とを比較することにより、異常を判断することが好ましい。このような構成によれば、電気機器の定格値に基づいて、電流を適切に遮断することができる。
【0025】
前記状態監視手段は、前記二次電池から供給される電流と、前記二次電池よって印加される電圧との少なくとも一方を監視することが好ましい。
【0026】
モータをさらに有し、電気機器の定格値は、前記モータの定格電圧であり、前記判断手段は、前記二次電池から印加される電圧が前記モータの定格電圧範囲外であると判断したときに、前記二次電池から前記モータへの電流を前記遮断手段に遮断させることが好ましい。
【0027】
モータをさらに有し、電気機器の定格値は、前記モータの定格電流であり、前記判断手段は、前記二次電池から供給される電流が前記モータの定格電流範囲外であると判断したときに、前記二次電池から前記モータへの電流を前記遮断手段に遮断させることが好ましい。
【0028】
前記二次電池は、自身の状態に基づいて警告を報知する警報信号を前記接続手段に出力し、前記判断手段は、前記接続手段が前記警報信号を入力したときに、前記遮断手段に電流の遮断をさせ、前記遮断手段は、前記状態監視手段の監視結果が異常を予見せず、かつ、前記警報信号を受け取っていないときに電流の遮断を行わないことが好ましい。このような構成によれば、判断手段の判断結果と警報信号とに基づいて適切に電流の遮断を行うことができる。
さらに、本発明は、電気機器本体に着脱可能に接続される電池パックであって、少なくとも1つの電池セルと、前記電池パックが異常になると第1の信号を前記電気機器本体に対して出力する第1の電力制御回路と、前記電池セルからの電力が供給される電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子と、を備え、第1のスイッチング素子が前記電力供給経路に設けられた第1の電気機器本体に、前記電池パックが接続された状態で、前記電池パックが異常状態になった場合には、少なくとも前記第1のスイッチング素子を遮断し、前記第1のスイッチング素子が前記電力供給経路に設けられていない第2の電気機器本体に、前記電池パックが接続された状態で、前記電池パックが異常状態になった場合には、前記第2のスイッチング素子を遮断するように構成されていることを特徴とする電池パックを提供する。
前記第1の電力制御回路は、前記第2のスイッチング素子を遮断するための遮断信号を出力するように構成されていることが好ましい。
第2の電力制御回路を備え、前記第2の電力制御回路は、前記電池パックに異常が生じると、前記遮断信号に基づいて、前記電気機器本体に供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を前記第2のスイッチング素子に出力するように構成されていることが好ましい。
前記第2の電気機器本体はスイッチを有し、前記第2の電気機器本体は、前記第1の信号が出力されるか否かに関わらず前記スイッチが操作されると電力の供給を許可することが好ましい。
前記第1の電気機器本体は、第3の電力制御回路を備え、前記第3の電力制御回路は、前記電気機器本体又は前記電池パックに異常が生じると、前記電力供給経路に設けられた前記第1のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力することが好ましい。
前記電池パックの異常状態は、前記電池セルの電圧が基準値より小さくなった場合、或いは、前記電力供給経路に流れる電流が閾値より大きくなった場合であることが好ましい。
前記第1の電気機器本体又は前記第2の電気機器本体からなる前記電気機器本体と、前記電気機器本体に接続可能な電池パックと、を備えることが好ましい。
さらに本発明は、電気機器本体に電池パックを接続して成る電気機器であって、前記電気機器本体は、前記電気機器本体又は前記電池パックの少なくともいずれかに異常が生じると、電力供給経路に設けられた第1のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給される電力を低減又は遮断するための第3の信号を出力する第3の電力制御回路、を備えた第1の電気機器本体と、前記電気機器本体又は前記電池パックの少なくともいずれかに異常が生じても、前記第1のスイッチング素子に供給される電力を低減又は遮断することが不可能な第2の電気機器本体と、の一方であり、前記電池パックは、前記第1の電気機器本体及び前記第2の電気機器本体の両方に択一的に接続可能な電池パックであって、互いに接続された前記電気機器本体と前記電池パックとの少なくとも一方に異常が生じると、前記電力供給経路に設けられた第2のスイッチング素子に、前記電力供給経路を経て供給する電力を低減又は遮断するための第2の信号を出力する第2の電力制御回路、を備えた電池パックであり、前記第1の電気機器本体に前記電池パックが接続された状態で、前記第1の電気機器本体又は前記電池パックに異常が生じると、少なくとも前記第1のスイッチング素子に供給する電力を低減又は遮断するように構成されていることを特徴とする電気機器を提供する。
前記第1の電気機器本体において前記第3の信号の出力を切り替える基準と、前記電池パックにおいて前記第2の信号の出力を切り替える基準とは、それぞれ異なる基準であることが好ましい。
【発明の効果】
【0029】
上述した第1乃至第3の問題の少なくともいずれかを解決した電池パック及びこれを備えた電気機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
図1】セル毎の電圧監視機能を有する電池パックを電気機器本体に装着した状態を示した概略説明図である。
図2】本発明の第1の実施の形態による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
図3】本発明の第2の実施の形態による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
図4】本発明の第3の実施の形態による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
図5】本発明の第4の実施の形態による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
図6】従来の第1の例による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
図7】従来の第2の例による電池パックと電気機器本体の電気的構成を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本発明の実施の形態を添付図面を参照しながら説明する。
【0032】
図1は、二次電池である後述する3端子構成の電池パック2と監視対応型電動工具本体1が装着されている状態を示した図である。電動工具本体1はモータ40とコントローラ20を内蔵し、モータ40に電流を流す電流路にはFET等のスイッチング素子が介挿されている。電池パック接続面にはプラス端子とマイナス端子の他に警報信号を入力するためのS端子が形成されている。工具側S端子は、少なくとも一つのセル電圧が過放電状態に至る閾値に達したときに電池パック2から出力される警報信号を入力するための端子である。電動工具本体1には電動工具を駆動するためのトリガースイッチ10が設けられている。
【0033】
電池パック2には複数のセルを直列接続して成るセル組3と、セル組3の各電池セルの電圧を監視し、少なくともいずれかの電池セルの電圧が基準値以下に低下したときに警報信号を出力する電池電圧監視手段たるコントローラ30が内蔵されている。電動工具本体1に電池パック2が装着された状態では、それぞれのプラス端子同士、マイナス端子同士が電気的に接続されると共に、電池パック2のS端子と、工具本体側のS端子も電気的に接続される。工具本体1側のS端子はコントローラ20に接続されている。コントローラ20は電池パック2のS端子から警報信号が入力されると、FETをオフとして電流路を開放し、電池パック2の使用を強制終了させる。
【0034】
図2は、電池パック2と電動工具本体1の電気的構成を示したブロック図である。図2に示すように、セル組3は、例えばリチウムイオンなどの電池セルを複数個直列に接続している。尚、図2では省略しているが、セル組3は、複数個並列に接続されていてもよい。例として、定格電圧が3.6Vの電池セルが4直列である14.4Vの電池パック2や、定格電圧が3.6Vの電池セルが5直列の電池パック2が挙げられる。また、1セル当たりの電池容量、および、セル組3が並列される数に応じて、電池パック2の電池容量が決まる。本実施の形態では、例えば、電池セル1セル当たり1.5Aのセルグループを2つ並列させた3.0Ahのものや、1セル当たり2.0Aのセルグループを2つ並列させた4.0Ahのものを使用する。但し、セルグループの数や、電池セル1セル当たりの容量はこれらに限定されるものではない。
【0035】
電池パック2は、制御部30をさらに有し、制御部30は、コントローラたるマイクロ・コンピューティング・ユニット31(以下、「MCU31」と言う。)が内蔵されており、セル組3を構成する各電池セルの電圧を検出している。電池パック2には他に、電流検出回路32、電圧検出回路33、温度検出回路34、充電器検出回路35、ドライブ回路38、FET39が設けられている。電流検出回路32は、電池パック2から電動工具本体1に流れる電流を検出するもので、シャント抵抗で構成されている。電圧検出回路33は、電池パック2と並列接続された2つの抵抗の分圧値から電池パック2の電圧を検出する回路である。温度検出回路34は電池パック2に接触若しくは近接配置したサーミスタ等の感温素子によりセル組3の温度を検出する回路である。
【0036】
充電器検出回路35は、電池パック2を図示しない充電器に接続したときに、充電器接続用端子を介して充電器側から入力される電圧に応じて、電池パック2が充電器に接続されていることを検出するための回路である。
【0037】
電池パック2には、上記した充電器接続用端子と、プラス端子、マイナス端子、及びS端子の少なくとも4つの端子が形成されているが、電動工具本体1に接続する際にはプラス端子、マイナス端子及びS端子の3端子のみが電動工具本体1の対応する端子と接続されるので、説明の便宜上、図2に示したような電池パック2を3端子構成電池パックと呼ぶ。なお、充電器接続用端子とS端子は、一体的に構成されている。
【0038】
電池パック2に内蔵されたMCU31には、電池パック2の各電池セルの電圧以外に、電流検出回路32、電圧検出回路33、温度検出回路34及び充電器検出回路35からの各種検出信号が入力される。これらの検出信号に基づき、MCU31から放電制御信号が出力される。放電制御信号はFET37のゲートに印加され、FET37のドレイン電位がS端子出力となる。
【0039】
制御部30には更にSW動作検出回路36が設けられており、作業者が電動工具本体1のトリガースイッチ10をオンにしたか否かの検出を行い、検出結果をMCU31に入力する。具体的には、作業者がトリガースイッチ10をオンにすると、電池パック2と電動工具本体1は電気的に接続された状態となる。即ち、電池パック2のプラス端子と、電動工具本体1側のプラス端子、モータ40、電動工具本体1側のマイナス端子、及び電池パック2側のマイナス端子が接続された電流路が形成される。電流路が形成されると、電池パック2側でセル組3を電源として生成された基準電圧Vccが電動工具本体1側に印加される。後述するように電動工具本体1側にはVccとアース間に3つの抵抗R1,R2及びR3が直列接続された抵抗組22が設けられており、R2とR3の分圧値がS端子を介してSW動作検出回路36に印加され、トリガースイッチ10がオンになったことがSW動作検出回路36よりMCU31に伝達される。トリガースイッチ10がオフのときには、電池パック2のS端子を介してSW動作検出回路36に入力される電圧は、トリガースイッチ10がオンのときに入力される電圧よりは低い電圧値(アース電位)となる。
【0040】
トリガースイッチ10がオンされるとMCU31は、ハイレベルの放電制御信号をFET37に出力する。
【0041】
一旦、トリガースイッチ10がオンされ、ハイレベルの放電制御信号がFET37に出力されると、セル組3を構成するいずれのセルについても電圧が正常状態にある間は、MCU31から出力される放電制御信号はハイレベルであり、FET37はオンとなっている。そのため、電池パック側のS端子からはローレベル(アース電位)の信号が工具本体側に出力される。一方、電動工具が駆動可能な状態若しくは駆動している間に、MCU31は、異常を予見するとハイレベルであった放電制御信号をローレベルに切り替える。異常を予見するということは、電池パックや電気機器本体などが破損に至るような異常な状態に達したことを検知するという意味もあるが、破損にはまだ至らないまでも破損に近づきつつはあることを検知するという意味も含んでいる。本実施の形態では、異常を予見する例として、いずれか少なくとも一つの電池セルの電圧が基準値まで低下したことが検出されたときが挙げられる。ここでいう基準値とは、更に電圧が低下すると過放電状態になる閾値であって、例えば、セル当たり2.0Vを基準値とする。セル電圧が2.0Vまで低下したことをMCU31が検出すると、前述のように、放電制御信号がローレベルになる。この信号が電池電圧監視手段たるMCU31から出力される警報信号に相当する。放電制御信号がローレベルになると、FET37はオフとなり、S端子の電圧はアースレベルより高い電位、即ち、工具本体側の抵抗R1,R2,R3の分圧値に等しくなる。
【0042】
MCU31は、ドライブ回路38を介して、FET39を制御している。MCU31は、異常を予見したときにはFET39をオフさせ、それ以外の状態ではFET39をオンさせている。より具体的には、セル組3を構成するいずれのセルについても電圧が正常状態にある場合には、MCU31はFET39をオンにし、電池組3からの電力を出力可能にしている。一方、電動工具本体1が駆動可能な状態若しくは駆動している間に、いずれか少なくとも一つの電池セルの電圧が上述の基準値まで低下したことが検出されると、それまでハイレベルであった放電制御信号がローレベルとなる。
【0043】
尚、電流検出回路32が所定の電流値より大きい電流値を検出したときにMCU31は、FET39をオフさせると共に、放電制御信号をローレベルにするようにしてもよい。電流値が所定の電流値より大きくなると電動工具本体1に損傷を与える可能性があるからである。あるいは、FET39をドライブ回路38によってPWM制御し、実効電流が低下するようにしてもよい。このようにすれば、出力する電力を低減することができる。また、電流値にも下限を設け、下限値より下回ったときにはMCU31は、FET39をオフさせると共に、放電制御信号をローレベルにするようにしてもよい。
【0044】
次に電動工具本体1の構成について説明する。電動工具本体1には、トリガースイッチ10とモータ40の他に、制御部20が設けられている。制御部20には、コントローラとしてのマイクロ・コンピューティング・ユニット25(以下、「MCU−2」と言う。)が内蔵されている。制御部20には更に制御用電源回路21、電圧検出回路26,電流検出回路27、抵抗組22が設けられている。制御用電源回路21はスイッチ10の下流側に設けられており、スイッチ10がオンされたときに、電池パック1からの電力を変換することで、MCU−2、抵抗組22に制御用電圧Vccを印加する。
【0045】
電圧検出回路26は、モータ40と並列接続された2つの抵抗の分圧値からモータ40へ印加されている電圧を検出し、検出結果をMCU−2に入力する。電流検出回路27は、シャント抵抗などで構成され、モータ40に流れる電流を検出し、検出結果をMCU−2に入力する。モータ40と並列に逆バイアスされたダイオード41が接続されており、モータ40に流れる電流とは逆方向に流れる電流の電流路を提供している。
【0046】
制御部20には電流路に介挿されたFET24と、FET24を駆動するためのドライブ回路23が設けられている。ドライブ回路23にはMCU−2からの出力信号がダイオード28を介して印加されると共に、前記抵抗R1,R2及びR3の分圧値がダイオード29を介して印加されている。MCU−2からダイオード28を介してローレベルの信号が入力され、ダイオード29からも、ローレベルの信号が入力されたときに、ドライブ回路23はハイレベルの信号を出力し、FET24をオンさせる。これにより電池パック2からの電力がモータ40に供給される。ダイオード28、29の少なくとも一方がハイレベルのときには、ドライブ回路23はローレベルの信号を出力し、FET24をオフさせる。
【0047】
作業者がスイッチ10をオンしたときに、電池パック2の放電制御信号がハイレベルであるときには、S端子がローレベルになり、ダイオード29はローレベルの信号をドライブ回路23に出力する。一方、スイッチ10がオンしたときに、放電制御信号がローレベルであるときには、S端子がハイレベルになり、ダイオード29はハイレベルの信号をドライブ回路23に出力する。
【0048】
また、MCU−2は、電圧検出回路26で検出した電圧値及び電流検出回路27で検出した電流値に基づき、異常状態を予見した場合には警報信号としてハイレベル信号をドライブ回路23に出力し、MCU−2はドライブ回路23を介してFET24をオフとして電動工具の駆動を停止する。
【0049】
ここで、MCU−2が、電圧検出回路26の検出結果に基づいて異常状態を予見する例として、電圧値が第1の閾値より小さいとき、または、第2の閾値より大きいときが挙げられる。ここで、第2の閾値は第1の閾値より大きい。第1の閾値は、それより電圧が下がると電池組3の電池セルが過放電となる電圧値である。
【0050】
より具体的には、第1の閾値は、電動工具本体1に対応した定格電圧を有する電池パック2に基づいて決定される。例えば、上述のように、電池パック2において、セル電圧が2.0Vまで低下したときに過放電であると判定している。そのため、第1の閾値は、かかる閾値2.0Vに、直列につながれるセルの数nをかけた数値TH1を閾値とする。言い換えれば、異常を予見するための判断基準(ここでは閾値)が、電動工具本体1と電池パック2ととで同じ基準によって定められている。あるいは、判断基準を電動工具本体1と電池パック2ととで異なるようにしてもよい。例えば、第1の閾値は、電池パック2を考慮せず、電動工具本体1が動作可能である電圧値の下限値など、TH1と異なる値を設定してもよい。例えば、モータ40がブラシレスモータである場合には、定格電圧より低い電圧が印加されるとモータ40にダメージを与える場合がある。この下限値を第1の閾値として設定すれば、モータ40にダメージを与えることを抑制することができる。即ち、第1の閾値を電動工具本体1の定格電圧を考慮して設定してもよい。
【0051】
また、第1の閾値は、放電時の電流に応じて変化するように、即ち電流依存性を有するように設定されていてもよい。これは、例えば、電動工具本体1は、高負荷がかかると、大電流を出力するが、このとき電圧は急激に低下する。このような状態のときに、MCU−2が過放電が起こりうる異常と予見しないように、第1の閾値を電流に依存するようにしておき、大電流出力時(高負荷時)には閾値も低下するようにする。
【0052】
第2の閾値は、電動工具本体1の許容電圧(定格電圧)の上限値に基づいて決定される。例えば、第2の閾値は、モータ40に印加される電圧値がモータ40の定格電圧を超えないように設定される。また、第2の閾値についても電流依存性を持たせてもよい。
【0053】
MCU−2が、電流検出回路27に基づいて異常状態と予見する例として、電流値が第3の閾値より小さく、過放電が起こっていると予想される状態、および、電流値が第4の閾値より大きく、装着されている電池パック2の定格電流が電動工具本体1の定格電流より大きい場合が挙げられる。ここで、第4の閾値は第3の閾値より大きい。
【0054】
第1、2の閾値が電流依存性を有していたように、第3、4の閾値が電圧依存性を有していていもよい。
【0055】
図1及び図2に示した例は、3端子構成電池パックを監視対応型電動工具本体に装着した場合であって、電池パック2が14.4V出力タイプのものであり、電動工具本体1の定格電圧も14.4Vのものである場合には、電池セルの電圧監視を適正に行うことができるので、係る組み合わせによる電動工具の使用は問題ない。
【0056】
電池パック2が18V出力タイプのものであり、電動工具本体1の定格電圧が14.4Vのものである場合には、電動工具本体1に設けた電圧検出回路26からの出力結果から電圧値が第2の閾値より大きいと判断し、MCU−2はドライブ回路23を介してFET24をオフとし、電動工具の使用を禁止することができる。あるいは、この場合には、FET24を完全にオフせず、FET24をPWM制御して、そのデューティ比を調整することで電圧の実効値が、電動工具本体1の定格電圧になるようにすれば、電動工具本体1の定格電圧より高い定格電圧の電池パック2が装着されても、電動工具本体1を動作させることができる。
【0057】
以上の電池パック2の構成によれば、異常が予見されると、MCU31は、放電制御信号によって電動工具本体1に電動工具本体1の電流路を遮断するように指示できると共に、ドライブ回路38を介してFET39をオフさせ、電池パック2の出力を遮断、または、低減することができる。例えば、S端子に接触不良が生じたときにも、電池パック2と、電動工具2とで独自に電力の遮断、または、低減を行うことができる。これにより電池パック2の寿命を延ばすことが可能になる。
【0058】
以上の電動工具本体1の構成によれば、電動工具本体1がMCU−2、電圧検出回路26、電流検出回路27を有しているため、電動工具本体1において電圧値、電流値から異常が予見された場合にはモータ40への電力の供給を遮断することができる。このため電池セルへの負担を減らすことができる。また、S端子に接触不良などがあり、電池パック2側から警報信号が正しく出力されないときにも、電動工具本体1が独自に異常を予見することができる。また、電動工具本体1において、第1−4の閾値を独自に設定することが可能になるため、電池パック2の規格に則った制御のみならず、電動工具本体1の規格(モータ40の定格電圧、定格電流)などを考慮した制御を行うことが可能になる。これにより電動工具本体1の寿命も伸ばすことが可能になる。
【0059】
次に、図3を参照して、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態の電動工具本体1の構成は第1の実施の形態と同じである。また、第2の実施の形態では、電池パック2がドライブ回路38、FET39を有していない点が第1の実施の形態と異なる。従って、第2の実施の形態では、第1の実施の形態と同様、MCU31が、異常を予見すると、電動工具本体1にローレベルの放電制御信号を出力する。放電制御信号がローになると、電動工具本体1のドライブ回路23は、FET24をオフさせることでモータ40への電力の供給を遮断、または、抑制する。
【0060】
第2の実施の形態の電動工具本体1の構成によれば、電池パック2において、電力の供給を遮断する構成がなくとも、電動工具本体1によって確実にモータ40への電力の供給を遮断、または、抑制することができる。
【0061】
次に、図4を参照して第3の実施の形態について説明する。第3の実施の形態では、電池パック2の構成は第1の実施の形態と同じである。第3の実施の形態では、電動工具本体1がMCU−2、電圧検出回路26、電流検出回路27、ダイオード28を備えていない点が第1の実施の形態と異なる。従って、第3の実施の形態では、MCU−2が異常を予見することはなく、電池パック2が放電制御信号をローにすることによりS端子の電位がハイになり、ドライブ回路23にハイレベルの信号が入力される。これによりFET24がオフになり、ドライブ回路23は、モータ40への電力の供給を遮断することができる。また、ドライブ回路23は、S端子がローレベルになったときにFET24をオンさせ、モータ40に電力を供給する。
【0062】
第3の実施の形態の電動工具本体1の構成によれば、電動工具本体1が独自に入力された電力の異常を予見せずとも、確実にモータ40への電力の供給を遮断、または、抑制することができる。
【0063】
次に、図5を参照して、第4の実施の形態について説明する。第4の実施の形態では、電池パック2の構成は第1の実施の形態と同じである。第4の実施の形態では、電動工具本体1では、電動工具本体1がMCU−2、電圧検出回路26、電流検出回路27、抵抗組22、ドライブ回路23、FET24、S端子を備えていない点が第1の実施の形態と異なる。言い換えれば、電動工具本体1は、自身に供給される電力の異常を予見する構成を有さず、さらに、モータ40への電力の供給を遮断、または、抑制する構成も有していない。従って、第4の実施の形態では、電池パック2が、異常を予見したときに電動工具本体1への電力の供給を遮断、または、抑制する。
【0064】
第4の実施の形態の電池パック4の構成によれば、電動工具本体1が異常を予見する構成を有さず、さらに、モータ40への電力の供給を遮断、または、抑制する構成も有していない場合でも確実に電動工具本体1への電力の供給を遮断することができる。
【0065】
尚、上記の実施の形態では電池パック2に接続される電動工具本体1を例に示したが、電池パック2に接続される機器は電動工具本体1に限定されず、電気機器であればよく、例えば、扇風機やライトなどであってもよい。
【0066】
請求項に記載の第1の信号は放電制御信号であり、第1の電力制御回路がMCU31であり、第2のスイッチング素子がFET39であり、第2の電力制御回路がドライブ回路38であり、第3のスイッチング素子がFET29であり、第3の電力制御回路はMCU−2であり、第3の信号はハイレベルの信号である。また、遮断手段はFET24であり、状態監視手段は電圧検出回路26および電流検出回路27であり、判断手段はMCU−2である。
【符号の説明】
【0067】
1 電動工具本体
32 マイクロ・コンピューティング・ユニット
32 電流検出回路
33 電圧検出回路
38 ドライブ回路
39 FET
2 電池パック
26 電圧検出回路
27 電流検出回路
25 マイクロ・コンピューティング・ユニット
40 モーター23 ドライブ回路
24 FET
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7