【課題を解決するための手段】
【0005】
これら目的は独立請求項の特徴によって解決される。従属請求項は改良形態及び有利な実施形態を記載する。
【0006】
以下、液体熱輸送媒体用の流路と、流路の加熱部分の熱輸送媒体を加熱するための電気加熱ユニットと、を含む車両用の加熱デバイスについて記載する。
【0007】
加熱部分は、熱輸送媒体が並列で流れうる少なくとも2つの蛇行チャネルを含んでもよい。チャネルの並列接続は、単一の蛇行チャネルのみを備えた別の設計、又は直列接続と比較した場合、加熱部分における熱輸送媒体の圧力損失が低下するという利点を有する。ポンプ又は熱輸送媒体を移動させるための他の駆動手段は、従って、より低い電力を使用して動作させることができ、従って、あまり強力でなくてもよい。いくつかの、つまり、少なくとも2つの直線チャネルが並列で接続された別の代替的な設計と比較すると、本明細書中に記載される蛇行形状は、熱輸送媒体内に乱流を発生させ、故に、熱輸送媒体の過熱又は沸騰を防止又は遅延させるという利点を有する。いくつかの蛇行チャネルの並列接続は、従って、これら2つの代替的実施形態の間の妥協点、即ち、単一の蛇行チャネルと並列で接続されたいくつかの直線チャネルとの間の妥協点である。この妥協点は乱流に好適であると同時に、加熱部分の比較的小さな圧力損失を生じる。
【0008】
流路は、加熱部分の上流側にある
入口部分と、加熱部分の下流側にある
出口部分と、を含んでもよく、チャネルは
入口部分から分岐し、
出口部分に排出する。チャネルは、従って、
入口部分を
出口部分に連結する。従って、チャネルに、共通の
入口部分及び共通の
出口部分が提供される。これにより、例えば、それぞれがちょうど1つのチャネルを含む同一の加熱デバイスの群と比較して低減された数の構成要素を可能にする。
【0009】
入口部分は、その断面積がチャネルの分岐部に従い熱輸送媒体の流れの方向に低減するように設計されてもよい。同様に、
入口部分は、その断面積がチャネルの排出点に従い熱輸送媒体の流れの方向に増加するように設計されてもよい。従って、圧力が分岐点のそれぞれにおいてほぼ同じということが実現されてもよい。例えば、分岐点及び/又は排出点はそれぞれ、
入口部分及び
出口部分をそれぞれ画定するボックスによって連結されてもよい。ボックスはどのチャネルにも同じ圧力がかかるように設計されてもよい。従って、
入口部分を画定するボックス(インレットボックス)は流れの方向に狭くなると想定してもよい。同様に、
出口部分を画定するボックス(アウトレットボックス)は流れの方向に広くなると想定してもよい。個々のチャネルは同様の形状であってもよい。これは、それらの幾何学的形状を計算するにあたり利点をもたらしてもよい。
【0010】
入口部分及び
出口部分は、例えば、長尺状であり、且つ互いに平行して延在してもよい。
入口部分と
出口部分との間の体積は、従って、一定の横断寸法を有し、
入口部分と
出口部分との間のチャネルの配置において有利である。チャネルはそれぞれ
入口部分から垂直に分岐し、
出口部分に垂直に排出すると想定してもよい。これは分岐点及び排出点において乱流を発生させるのに好都合である。更に、それは熱輸送媒体の
入口及び
出口を共通の面に、例えば、加熱デバイスの前側に配置することを可能にする。
【0011】
更に、チャネルのそれぞれ
が正確に2
*Nのヘアピンカーブを呈すると想定してもよい。ここで、Nは自然数である。この状況において、ヘアピンカーブは150°〜180°の角度を有するカーブである。ヘアピンカーブは、従って、その角度によって熱輸送媒体
の流れの向きの変化を発生させる。
入口部分と
出口部分との間の距離が大きくなるほどヘアピンカーブの合計数が対であると好都合である。これは流路の幾何学的形状を簡略化してもよい。
【0012】
流路は、
入口部分の上流側に、熱輸送媒体を加熱デバイス内に入れるための
入口、
出口部分の下流側に、加熱デバイスから熱輸送媒体を排出するための
出口を含んでもよい。加熱デバイスは、従って、熱回路内のモジュールとして使用されうる。熱回路は、熱輸送媒体から、加熱される空気に熱を伝達するための空気熱交換器、及び熱輸送媒体の流れを発生させるための、ポンプ等の駆動デバイスなどの更なる構成要素又はモジュールを含んでもよい。
【0013】
チャネルのそれぞれには、チャネル内を、チャネルの長手方向の軸線を中心として流れる熱輸送媒体の回転運動を発生させるための1つ又は複数の回転要素が配置されてもよい。各々の回転要素は、従って、流れに回転成分を付与することが可能である。回転要素は受動回転要素であってもよい。つまり、それは駆動手段を欠いてもよい。受動回転要素はそれが熱輸送媒体の並進運動エネルギの一部を回転運動エネルギに変換するように幾何学的に設計されてもよい。
【0014】
回転要素は、更に、チャネル内の熱輸送媒体を混合するように設計されてもよい。回転要素は、換言すると、熱輸送媒体中に乱流を発生させるように設計されてもよい。これは発熱体から熱輸送媒体に熱を伝達するのに好都合である。
【0015】
制御ユニットには、制御ユニットから、加熱部分の上流側にある流路の
入口部分の熱輸送媒体に廃熱を排出するための熱排出本体が提供されてもよい。この場合、
入口部分は予熱部分を形成する。電子制御ユニットからの廃熱は、従って、主に、加熱される標的媒体(例えば、車両の乗員用車室に供給される空気)に直接伝達されず、液体熱輸送媒体に伝達される。これに必要な構造の体積(construction volume)は、例えば、電子制御ユニットの空気冷却と比較して小型化されてもよい。空気ダクト、又は加熱デバイス内部の空気流路を画定するための他の構成要素及び送風機を排除してもよい。熱排出本体は、例えば、熱輸送媒体用の
入口チャンバの内部に、又は加熱部分の上流側にある熱輸送媒体の別の流れ領域の内部に配置されてもよい。
【0016】
電子制御ユニットから熱排出本体を介した熱輸送媒体への十分に高い比率の熱伝達が、熱輸送媒体の適切な流れ速度とともに、熱排出本体の適切な寸法決め及び幾何学的形状によって確実とされてもよい。熱排出本体を越えて流れる熱輸送媒体、例えば、水は、従って、沸騰することを防止されてもよい。熱排出本体における熱輸送媒体の沸騰は望ましくない場合があるが、その理由は、それが、熱分離効果(thermal isolation effect)を有する可能性があり、従って、電子制御ユニットからの廃熱の排出を妨げる可能性のある気泡を熱排出本体において形成する可能性があるからである。熱排出本体の適切な寸法決め及び成形は、しかしながら、熱輸送媒体の沸騰の場合であっても、熱排出本体において形成する気泡が熱輸送媒体の流れとともに押し流されることを可能にする。従って、滑らかな(粗くない)及び/又は流線形の表面を有する熱排出本体が有利であってもよい。粗く、平坦でなく、流線形でない表面は熱排出本体から熱輸送媒体への熱の流れに好適な熱輸送媒体の乱流を表面において発生させるという利点を有してもよいが、それは、熱輸送媒体の沸騰の場合、形成された気泡が熱排出本体に留まったままになる効果を有する可能性がある。しかしながら、沸騰のリスクがごくわずかである場合、乱流に好適な熱排出本体の表面の設計はより良好な選択肢となってもよい。
【0017】
熱排出本体は、熱輸送媒体におけるその流れ抵抗が最小になるように配向されてもよい。熱輸送媒体を流路に沿って移動させるのに必要な電力、つまり、熱輸送媒体の流れを発
生させるために必要な電力はこのような手法で最小にすることができる。例えば、熱輸送媒体を送るためにポンプが使用される場合、比較的低電力、故に、比較的低いエネルギ消費を有するポンプが使用されてもよい。更に、熱排出本体において気泡が形成されるおそれが低減されてもよい。
【0018】
加熱デバイスには、加熱部分の下流側にある熱輸送媒体から空気に熱を伝達するための空気熱交換器が提供されてもよい。空気熱交換器は、例えば、熱の、空気への最適な輸送を確実とするため、互いに近傍に配置される熱輸送媒体用のいくつかのチャネルと、空気用のいくつかのチャネルと、を含んでもよい。加熱デバイスは、予熱部分内の流路を少なくとも部分的に画定する壁を更に含んでもよく、熱排出本体は壁から予熱部分に延在する。熱排出本体は、例えば、壁の突起物として、又はピン、ボルトもしくはフィンとして形成されてもよい。加えて、熱排出本体が壁の反対側部分まで延在することも想定されてもよい。予熱部分において利用可能な体積が、従って、最適な状態で使用されうる。熱排出本体は、例えば、壁の両側に取り付けられた2つの端部を含んでもよい。この配置は特に頑丈であってもよい。加熱デバイスがいくつかの電子制御ユニットを含む場合、2つの端部のそれぞれに電子制御ユニットが配置されてもよい。例えば、加熱デバイスは、いくつかの電気加熱ユニット、例えば、並列で接続されたいくつかの加熱抵抗器を含んでもよく、そのそれぞれは、それと各々関連付けられた電子制御ユニット、例えば、電源スイッチを有する。熱排出本体と壁とは単一部品で形成されてもよい。これは、加熱デバイスの製造を容易にしてもよく、且つ高い頑強性を確実にしてもよい。熱排出本体及び壁は、例えば、高熱伝導率を有する適切な材料から成形部品として作製されてもよい。別法として、熱排出本体は、例えば、高熱伝導率を有する材料、例えば、アルミニウムなどの金属から作製されてもよく、壁は、熱絶縁材料、例えば、プラスチック材料又はセラミックスから作製されてもよい。熱排出本体と熱輸送媒体との間の熱伝達は、従って、最適化されてもよい一方で、加熱デバイスの近傍の構成要素又は空気などの別の環境への、壁を介した熱の損失が最小になってもよい。上に言及したように、加熱デバイスは第2電子制御ユニットを含んでもよく、熱排出本体は第1制御ユニットから第2制御ユニットに延在する。この場合、第1制御ユニットと第2制御ユニットは共通の熱排出本体を共用する。製造コストをこのような手法で削減することができ、且つ頑強性を強化することができる。
【0019】
加熱デバイスは、発熱体から加熱部分内の熱輸送媒体に熱を伝達するための伝熱ユニットを更に含んでもよい。別法として、電気加熱ユニットは熱輸送媒体と直接接触していてもよい。伝熱ユニットと熱排出本体とは単一部品で形成されてもよい。伝熱ユニット及び熱排出本体を含む構成要素は、例えば、フィンの第1の群及びフィンの第2の群を含んでもよく、各群は、少なくとも1つのフィンを含み、第1の群は流路の加熱部分内に配置されている一方で、第2の群は流路の予熱部分内に配置されている。つまり、フィンの第1の群は伝熱ユニット又は伝熱ユニットの一部とみなされてもよい一方で、フィンの第2の群は熱排出本体又は熱排出本体の一部とみなされてもよい。近傍のフィンは、例えば、流路の一部である熱輸送媒体のためのチャネルを画定してもよい。
【0020】
加熱デバイスは、伝熱ユニットと熱排出本体とを互いに連結し、且つ伝熱ユニットと熱排出本体との間の熱抵抗が最短線と比較して増加されるように非直線に沿って延在する連結部品を更に含んでもよい。電気加熱デバイスから電子制御ユニットへの熱の流れはこのような手法で最小にされてもよい。連結部品は、例えば、波形として、又はいくつかの連続波形として形成されてもよい。
【0021】
言及した非直線は、例えば、以下の文字、L、U、V、S、Z、N、M、及びWのうちの1つの形状とされてもよい。