(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098977
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】流量調整できるヒンジキャップ
(51)【国際特許分類】
B65D 41/48 20060101AFI20170313BHJP
B65D 47/06 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
B65D41/48
B65D47/06
【請求項の数】3
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-116279(P2013-116279)
(22)【出願日】2013年5月16日
(65)【公開番号】特開2014-223940(P2014-223940A)
(43)【公開日】2014年12月4日
【審査請求日】2016年4月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】310001861
【氏名又は名称】株式会社型システム
(73)【特許権者】
【識別番号】501139674
【氏名又は名称】本間 康勢
(74)【代理人】
【識別番号】100090619
【弁理士】
【氏名又は名称】長南 満輝男
(72)【発明者】
【氏名】洞奥 幸雄
(72)【発明者】
【氏名】本間 康勢
【審査官】
秋山 誠
(56)【参考文献】
【文献】
特開2006−315706(JP,A)
【文献】
特開2005−47567(JP,A)
【文献】
特開2013−212876(JP,A)
【文献】
米国特許第3991904(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 41/48
B65D 47/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、該横薄肉スリットの下方には、容器口部に形成されたアンダーカット部に係合する係合アンダーカット部を内周面に形成すると共に、キャップ頂部の裏面には、インナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、該注出筒が、インナーリングより長く形成され、その下端部のヒンジ部のある反対側位置に切欠き部を設け、ヒンジ部によって回動されて容器口部内に制止支持する該切欠き部で注出の流量調整されることを特徴とする流量調整できるヒンジキャップ。
【請求項2】
キャップ頂部の裏面には、インナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、インナーリングの形状をヒンジ部のある位置側が長くされて、その反対側を短くし、該インナーリングの外周面と容器口部の内周面とが常に接触してシールされると共に、ヒンジ部による回動でヒンジキャップの開閉がガイドされることを特徴とする請求項1記載の流量調整できるヒンジキャップ。
【請求項3】
キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、更に、該ヒンジ部の側部に縦薄肉スリットが刻設され、該縦薄肉スリットを容器口部のアンダーカット部と係合する係合アンダーカット部にも至らしめ、該係合アンダーカット部を破断して容器口部よりヒンジキャップが離脱されることによって分別処理されることを特徴とする請求項1乃至2のいずれか1項記載の流量調整できるヒンジキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酢、醤油等液体調味料の注出の流量を調整することができ、ピールプルーフ機能を有し、且つ分別廃棄処理できるヒンジキャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の注出の流量調整することができ、且つ分別廃棄処理できるヒンジキャップは、中栓と該中栓を覆う上蓋とから構成され、その互いがヒンジ連結部で連結されており、中栓は、頂板部と該頂板部の周縁部から垂下する筒状側壁部、及び容器口部に嵌め込ませるインナーリング、そして、頂板部上面に起立する注出筒とから成っている。
頂板部には、注出用開口を形成するためのスコアが形成されると共に、その上面には、スコア破断用のプルトップが設けられ、該プルトップを引っ張ることによってスコアが破断され、注出用開口が形成され、該注出用開口によって注出の流量を調整することができるものである。
中栓の筒状側壁部には、そのヒンジ連結部の両側に至る曲壁部に、上端から下方へ向けて刻設される深刻溝を形成し、該深刻溝が筒状側壁部を容器口部に係合する係合アンダーカット部の下側まで深延され、更に、該深刻溝のヒンジ連結部両側部分には、スリットが刻設され、該スリットによって、深刻溝で形成された筒状側壁の外周壁部分から引き裂かれ、上蓋を引っ張ることによって中栓を容器口部より外すことができ、分別廃棄処理ができることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2000−142762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来のヒンジキャップにおいて、注出の流量調整をするには、中栓の頂板部上面に形成される注出筒のその内部にプルトップが備えられ、該プルトップを切り起して仕切り壁である頂板部にスコアによる注出用開口が形成される。該注出用開口によって、酢、醤油等の液体調味料が狭められて流量調整する注出をし、注出がされた後に容器を起すと、注出筒の先端の液戻し促進部分で液垂れしないように液切れされる。しかし、液切れして液戻しがされたにもかかわらず、液戻しした酢、醤油等の液体調味料が、仕切り壁面に形成された注出用開口に引っ掛かり、溜ることになる。
また、プルトップによる切り起しで開口される仕切り壁である頂板部のスコアは、プルトップを切り起し、引っ張って除く際、酢、醤油等の液体調味料が撥ねて、好ましくなかった。
更に、注出筒の口径が小さくなると、該注出筒内に備えられるプルトップをも小さくなって指が掛らず、プルトップを備えていても使用できず、別途、注出の流量を調整できる中栓の装着が必要となり、部品点数が増え、装着の手間もかかり、コストが上がって不便である。
【0005】
また、プルトップを切り起して注出用開口が形成されるヒンジキャップは、その成形金型構造が複雑で、尚且つ高価である。成形後にプルトップを切り起して開口されるスコアにピンホールがないことを検査するピンホール検知器、及び上蓋を中栓と嵌合させるための組立て機等の設備投資が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、該横薄肉スリットの下方には、容器口部に形成されたアンダーカット部に係合する係合アンダーカット部を内周面に形成すると共に、キャップ頂部の裏面には、インナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、該注出筒が、インナーリングより長く形成され、その下端部のヒンジ部のある反対側位置に切欠き部を設け、ヒンジ部によって回動されて容器口部内に制止支持する該切欠き部で注出の流量調整されるものである。
【0007】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ頂部の裏面には、インナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、インナーリングの形状をヒンジ部のある位置側が長くされて、その反対側を短くし、該インナーリングの外周面と容器口部の内周面とが常に接触してシールされると共に、ヒンジ部による回動でヒンジキャップの開閉がガイドされるものである。
【0008】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、更に、該ヒンジ部の側部に縦薄肉スリットが刻設され、該縦薄肉スリットを容器口部のアンダーカット部と係合する係合アンダーカット部にも至らしめ、該係合アンダーカット部を破断して容器口部よりヒンジキャップが離脱されることによって分別処理させるものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、キャップ頂部の裏面にはインナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、該注出筒が、その下端部のヒンジ部のある反対側位置に切欠き部を設け、該切欠き部がヒンジ部によって回動されて容器口部に制止支持して注出を流量調整するものであるので、プルトップを切り起して注出用開口が形成されるものとは相違し、構造をシンプルにして成形が容易にされるものである。
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ頂部の裏面に垂下する注出筒の切欠き部を容器口部内に支持させ、注出の流量調整されるものであるので、従来のようなプルトップを切り起して仕切り壁面に注出用開口が形成され、その注出用開口で、酢、醤油等の液体調味料が注出されるため、容器を起して液戻しされても、該注出用開口に引っ掛かって溜ってしまうというようなことが生じない。
その上、本発明の流量調整できるヒンジキャップでは、プルトップを引っ張って開口がされる際に生じる、酢、醤油等の液体調味料を撥ねさせるようなことが一切ない。
【0010】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ頂部の裏面にインナーリングを設け、更にそのインナーリングの内部に注出筒を垂下し、インナーリングの形状を、ヒンジ部のある位置側が長くされ、その反対側を短くして、その外周面と容器口部の内周面とが、ヒンジ部を帯状のものとし、その軸心の位置がずらされるので、常に接触されてシールする。それと共に、ヒンジ部による回動でヒンジキャップの開閉がガイドされ、開閉の操作を安定させ、容易で確実な作動ができ、注出の流量調整をも容易にできることになる。
【0011】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、キャップ胴部に切り起すつまみ部が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部となる一部を残して2本の横薄肉スリットが刻設され、該ヒンジ部の側部に縦薄肉スリットが刻設されているので、容器口部に装着されても、つまみ部を切り起さない限り、ヒンジキャップが開閉されない為、ピールプルーフ機能を有することになる。
また、つまみ部を切り起して2本の横薄肉スリットの間の部分が取り除かれ、縦薄肉スリットによりキャップ胴部が破断されることによって、容器口部よりヒンジキャップを離脱させ、ヒンジキャップの分別処理が容易にできることになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】 流量調整できるヒンジキャップの側面図である。
【
図2】 流量調整できるヒンジキャップの上面図である。
【
図3】 容器口部に装着された流量調整できるヒンジキャップが、つまみ部による2本の横薄肉スリットの間が除かれ、開閉の回動を可能にした状態の断面図である。
【
図4】 容器口部に装着された流量調整できるヒンジキャップが、つまみ部による2本の横薄肉スリットの間が除かれ、流量調整する注出可能状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の流量調整できるヒンジキャップは、
図1、及び
図2に示す如く、キャップ胴部11とキャップ頂部12とで構成され、該キャップ胴部にはつまみ部13が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部14となる一部を残して2本の横薄肉スリット15が刻設され、該横薄肉スリットのヒンジ部14の側部に縦薄肉スリット16を刻設すると共に、該横薄肉スリットの下方には、
図3、及び
図4で示す如く、容器口部2に形成されたアンダーカット部21に係合する係合アンダーカット部17を内周面に形成する。そして、該縦薄肉スリットは、容器口部のアンダーカット部21と係合する係合アンダーカット部17にも至らしめる。
【0014】
キャップ頂部12には、その裏面にインナーリング18を設け、更に、そのインナーリング18の内部に注出筒19を垂下し、該注出筒がインナーリング18より長く形成され、その下端部のヒンジ部14のある反対側位置に切欠き部191を設け、該切欠き部がヒンジ部14によって回動されて容器口部2内に制止支持して注出の流量調整をする。
【0015】
キャップ頂部12の裏面に設けられたインナーリング18は、形状をヒンジ部のある位置側181が長くされて、その反対側182を短くし、ヒンジ部14が帯状であるので、その軸心の位置をずらすことができるので、インナーリング18の外周面と容器口部2の内周面とが常に接触してシールされると共に、ヒンジ部14による回動でヒンジキャップ1の開閉がガイドされる。
【0016】
流量調整できるヒンジキャップ1は、キャップ胴部11に切り起すつまみ部13が立設され、該つまみ部に隣接するヒンジ部14となる一部を残して2本の横薄肉スリット15が刻設されているので、容器口部2に装着した際には、つまみ部13を摘んで2本の横薄肉スリット15を引き裂かない限りは開口することができず、また、悪戯で開口されたかが確認でき、ピールプルーフ機能を有することになる。
【0017】
流量調整できるヒンジキャップ1は、キャップ胴部11に立設されたつまみ部13を切り起して2本の横薄肉スリット15を引き裂き、2本の横薄肉スリットの間を取り除くと、つまみ部13に隣接する一部がヒンジ部14として残される。
【0018】
キャップ胴部11には、爪かけ111が設けられ、該爪かけに指を掛け、ヒンジキャップ1をヒンジ部14で回動する。該ヒンジ部が2本の横薄肉スリット15の残りの一部部分の帯状のものであって、回動を安定した確実化させるものでなかったとしても、キャップ頂面12の裏面には、ヒンジ部のある位置側181が長くされて、その反対側182を短くしたインナーリング18が設けられ、ヒンジ部14を帯状にし、その軸心の位置をずらすことができるので、該インナーリングの外周面と容器口部2の内周面とが常に接触してシールされ、また、ヒンジ部14による回動でヒンジキャップ1の開閉がガイドされるので、液体調味料を漏らすことなく取扱うことができる。
【0019】
流量調整できるヒンジキャップは、ヒンジ部14による回動で、キャップ頂部12の裏面に垂下された注出筒19が一定の長さを有するものであるので、その下端部に設けられた切欠き部191が容器口部2内に制止支持され、該切欠き部によって注出筒19内を流れての注出の流量調整がされることになる。
【0020】
キャップ胴部11に刻設された2本の横薄肉スリット15がつまみ部13で引き起こされることによって、該2本の横薄肉スリットの間が取り除かれ、ヒンジ部14の側部に刻設した容器口部のアンダーカット部21と係合する係合アンダーカット部17にまで至るようにされた縦薄肉スリット16とによって、係合アンダーカット部17をも破断し、容器口部2よりヒンジキャップ1を離脱させることによって、分別処理がされることになる。
【符号の説明】
【0021】
1 ヒンジキャップ
11 キャップ胴部
111 爪かけ
12 キャップ頂部
13 つまみ部
14 ヒンジ部
15 横薄肉スリット
16 縦薄肉スリット
17 係合アンダーカット部
18 インナーリング
181 ヒンジ部のある位置側
182 その反対側
19 注出筒
191 切欠き部
2 容器口部
21 アンダーカット部