【文献】
E. Buiel et al,Li-insertion in hard carbon anode materials for Li-ion batteries,ELECTROCHIMICA ACTA,1999年 9月30日,vol.45, No.1
【文献】
W.Xing et al,Optimizing pyrolysis of sugar carbons for use as anode materials in lithium-ion batteries,JOUNAL OF THE ELECTROCHEMICAL SOCIETY,1996年,vol.143, No.10
【文献】
W.Li et al,Spherical hard carbon prepared from potato starch using as anode material for L-ion batteries,MATERIALS LETTERS,2011年 7月21日,vol65, No.23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記精製する工程が、前記熱処理した炭素材料を前記塩基性化学溶液で濯ぐ前に、該熱処理した炭素材料を前記酸性化学溶液で濯ぐ工程を含む、請求項1から4いずれか1項記載の方法。
【発明を実施するための形態】
【0011】
1つの実施の形態による、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素を製造する方法は、炭化(例えば、先に炭化された)前駆体材料を提供する工程、熱処理した炭素材料を生成するのに効果的な温度で効果的な期間に亘り、その炭化前駆体材料を第1の加熱工程で加熱する工程、この熱処理した炭素材料を精製する工程、および非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を生成するのに効果的な温度で効果的な期間に亘り、この精製した熱処理した炭素材料を第2の加熱工程で加熱する工程を有してなる。
【0012】
様々な実施の形態において、炭化前駆体は、適切な炭素質材料を約2時間に亘り800℃辺りで加熱し、その後、600℃/時で室温まで冷却することによって製造してもよい。この炭化前駆体材料は、例えば、小麦粉、クルミ粉、とうもろこし粉、トウモロコシデンプン、米粉、およびジャガイモ粉などの食用穀物から得ることができる。他の適切な炭素質材料としては、ビート、キビ、大豆、大麦、および綿が挙げられる。炭素質材料は農作物または植物から得ることができ、これらは遺伝子操作されていてもいなくてもよい。炭化前駆体は、平均粒径が約5μmであるように、挽いた材料であってもよい。
【0013】
例示の炭素質材料は小麦粉である。小麦粉は、小麦の種子である小麦穀粒を製粉することによって得られる。小麦穀粒には主に、内胚乳、胚芽、およびふすまの3つの部分がある。小麦全粒粉は、穀粒の3つの部分の全てを含有するのに対し、小麦粉は、内胚乳のみから挽かれたものである。
【0014】
組成的には、小麦粉はほとんどがデンプンであるが、さらに別の成分も天然に存在する。小麦粉中の主成分は、括弧内に近似百分率が与えられているが、デンプン(68〜76%)、タンパク質(6〜18%)、水分(11〜14%)、ゴム(2〜3%)、脂質(1〜1.5%)、灰分(<0.5%)および糖分(<0.5%)である。
【0015】
デンプンは小麦粉の大部分を占める。デンプンが「少ない」と考えられる強力粉でさえ、他の成分全てを合計したものより多くデンプンを含有する。デンプンは、典型的に、小穀物または小顆粒として粉中に存在する。タンパク質の塊は、デンプン顆粒を互いに結合し、それらを内胚乳中の適所に保持する。グルテン形成タンパク質であるグルテニンおよびグリアジンは、典型的に、内胚乳中のタンパク質の約80パーセントを占める。小麦粉中の他のタンパク質としては、アミラーゼ、プロテアーゼ、およびリパーゼなどの酵素が挙げられる。デンプン以外の小麦粉中の他の炭水化物としては、ガム、特に、ペントサンガムが挙げられる。ペントサンガムは、可溶性食物繊維の供給源である。脂質には油および乳化剤が含まれ、灰分には無機物質(鉱物塩)が含まれ、無機物質としては、鉄、銅、カリウム、ナトリウム、および亜鉛が挙げられる。
【0016】
様々な実施の形態によれば、それぞれ、第1の加熱工程(精製工程の前)および第2の加熱工程(精製工程の後)により、熱処理した炭素材料および非活性であり、実質的に黒鉛化されていない、精製した熱処理した炭素材料が得られる。
【0017】
ここに定義したように、非活性材料は、約500m
2/g未満(例えば、約500、450、400、350、300、250、200、150または100m
2/g未満)の比表面積を有する。
【0018】
さらにここに定義されるように、実質的に黒鉛化されていない材料は、(a)20質量%未満(例えば、20、15、10、5、2または1質量%未満)の黒鉛化パーセント、(b)2:1未満(例えば、2:1未満または1:1未満)のラマン黒鉛化比、または(c)25:1未満(例えば、25:1、10:1、5:1、2:1または1:1未満)のX線黒鉛化比の少なくとも1つを示す。
【0019】
黒鉛含有量の質量パーセントとして測定した、材料の黒鉛化パーセントは、サンプルの顕微鏡画像を分析すること、もしくは透過型電子顕微鏡(TEM)または走査型電子顕微鏡(SEM)を使用して、黒鉛相に関連する結晶含有量の質量百分率を評価することなどにより、視覚的に測定することができる。
【0020】
材料の黒鉛化パーセントは、ラマン分光法を使用して測定することができる。
図1を参照すると、ストークス・ラマン・シフト・スペクトル100の性質により、ラマン黒鉛化比を決定することができる。ラマン黒鉛化比を決定するために使用されるストークス・ラマン・シフト・スペクトル100は、所定の波長、例えば、785nmの波長のレーザにより生成され、強度(I)対波数(1/λ)としてプロットされる。
【0021】
その材料のストークス・ラマン・シフト・スペクトル100は、Gバンドピーク114を有する規則正しいバンドまたは黒鉛バンド(Gバンド)110およびDバンドピーク124を有する欠陥バンド(またはDバンド)120を含むであろう。785nmの励起に関して、Gバンドピーク114は1580〜1590cm
-1にあるであろうし、Dバンドピーク124は、約1320〜1360cm
-1にあるであろう。このGバンド110は、Gバンドピーク114の強度(I
G)と等しいGバンドの大きさ112を有し、Dバンド120は、Dバンドピーク124の強度(I
D)と等しいDバンドの大きさ122を有するものとする。そこから、
Dバンドの大きさ122に対するGバンドの大きさ112
の比(I
G/I
D)を決定することができ、これは、材料のラマン黒鉛化比と等しい。
【0022】
ある材料の黒鉛化パーセントは、X線回折を使用しても測定できる。
図2を参照すると、X線回折スペクトル200から、X線黒鉛化比を決定できる。X線黒鉛化比200を決定するために使用されるX線回折スペクトルは、Cu−K
α放射線を使用して生成され、回折強度(I)対ブラッグ角2θとしてプロットされる。
【0023】
熱処理した炭素材料(第1の加熱工程後)の、または非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素(第2の加熱工程後)のX線回折スペクトル200は、約26°に第1のピーク210(黒鉛の(002)
基底面)を、約44°に第2のピーク220(黒鉛の(101)面に相当する)を含むであろう。約26°での第1のピーク210は、第1のピーク210の強度(I
002)と等しい大きさ212を有し、約44°での第2のピーク220は、第2のピーク220の強度(I
101)と等しい大きさ222を有するものとする。そこから、
約44°での第2のピーク220の大きさ222に対する約26°での第1のピーク210の大きさ212
の比(I
002/I
101)を決定することができ、これは、材料の
X線黒鉛化比と等しい。
【0024】
第1の加熱工程により、炭化前駆体材料は、熱処理した炭素材料に転化されるであろう。1つの実施の形態において、第1の加熱工程は、約500m
2/g未満(例えば、約500、450、400、350、300、250、200、150または100m
2/g未満)の比表面積を有する熱処理した炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り炭化前駆体材料を加熱する工程を含むであろうから、この熱処理した炭素材料は、非活性であろう。
【0025】
第1の加熱工程の結果として、熱処理した炭素材料は、実質的に非黒鉛であろう。例えば、第1の加熱工程により、約20質量%未満、例えば、20、15、10、5、2または1質量%未満しか黒鉛を含まない熱処理した炭素材料が得られるであろう。この第1の加熱工程後に、この熱処理した炭素材料は、約0から20質量%に及ぶ量、例えば、1、2、5、10、15または20質量%の黒鉛を含むであろう。
【0026】
関連する実施の形態において、第1の加熱工程は、約2未満、約1.5未満、またはさらには約1未満のラマン黒鉛化比を有する熱処理した炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、炭化前駆体材料を加熱する工程を含むことがある。
【0027】
別の実施の形態において、第1の加熱工程は、約25未満、約10未満、約5未満、またはさらには約3未満のX線黒鉛化比(I
002/I
101)を有する熱処理した炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、炭化前駆体材料を加熱する工程を含むことがある。
【0028】
第1の加熱工程は、約800℃から1200℃に及ぶ温度、例えば、800、850、900、950、1000、1050、1100、1050または1200℃まで炭化前駆体材料を加熱する工程を含むことがある。第1の加熱工程中、その温度は、例えば、約200℃/時の速度で所望の温度まで昇温させてもよい。1つの実施の形態において、その温度は、約0.5時間から12時間の期間(例えば、約0.5、1、2、4、8、10または12時間)に亘り、最高温度に保持してもよい。その温度は、例えば、N
2、HeまたはArなどの、ある気体種または気体種の組合せの流れによる炉の速度などの所望の速度で低下させてもよい。
【0029】
第1の加熱工程後、熱処理した炭素材料を精製して、精製した熱処理した炭素材料を生成することができる。精製の工程は、1種類以上の酸性化学種および/または1種類以上の塩基性化学種を含む1種類以上の化学溶液で、熱処理した炭素材料を濯ぐ工程を含んでよい。
【0030】
例示の酸性化学種としては、以下に限られないが、HCl、HClO
4、HI、HBr、HNO
3、H
2SO
4、CH
3COOH、HCOOH、HF、HCN、HNO
3、並びにそれらの組合せが挙げられる。使用する場合、酸性化学種は水溶液であってよく、その酸性化学種の濃度は、約5%と約50%の間、例えば、約30%から45%である。
【0031】
例示の塩基性化学種としては、以下に限られないが、NH
4OH、NaOH、KOH、Ba(OH)
2、CH
3NH
2、C
5H
5N、並びにそれらの組合せが挙げられる。使用する場合、塩基性化学種は水溶液であってよく、その塩基性化学種の濃度は、約5%と約50%の間、例えば、約25%から35%である。
【0032】
様々な実施の形態において、熱処理した炭素材料は、最初に、酸性化学種を含む少なくとも1種類の化学溶液で処理し、次いで、塩基性化学種を含む少なくとも1種類の化学溶液で処理してもよいが、酸処理および塩基処理は、酸洗浄の後の塩基洗浄、または塩基洗浄の後の酸洗浄などの、どの順序で行ってもよい。
【0033】
酸性溶液および/または塩基性溶液との接触は、不純物を除いて熱処理した炭素材料を少なくともある程度精製するのに十分な期間に亘るであろう。酸洗浄は、例えば、以下に限られないが、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、重金属不純物などの金属不純物を除去するであろうし、塩基洗浄は、以下に限られないが、ハロゲン化化合物、油、および/または煤などの有機種を除去するであろう。
【0034】
1つの実施の形態において、酸洗浄は、金属不純物が約300ppm未満しか残らないように金属不純物を除去することができる。別の実施の形態において、塩基洗浄は、有機不純物が約300ppm未満しか残らないように有機不純物を除去することができる。例えば、酸性種および/または塩基性種いずれかとの接触は、約10分間、約20分間、約1時間、約2時間、約4時間、約8時間、約1日間、または約7日間に亘ってもよい。酸性種および/または塩基性種いずれかとの接触時間は、ここに開示された酸性種および/または塩基性種との接触時間に関する期間のいずれかの間として定義される範囲などの範囲の期間に亘ってよい。
【0035】
理論により拘束することを望むものではないが、酸洗浄は、金属化学種の少なくとも約50%、少なくとも約70%、またさらには少なくとも約90%を除去することができ、塩基洗浄は、有機化学種の少なくとも約50%、少なくとも約70%、またさらには少なくとも約90%を除去することができると考えられる。酸洗浄は、塩基洗浄の後に行われる場合、酸洗浄工程からのどの酸性種も中和することができる。塩基洗浄は、酸洗浄の後に行われる場合、塩基洗浄工程からのどの塩基種も中和することができる。精製した熱処理した炭素材料は、残留する酸性種または塩基性種のいずれも除去するために、精製工程後であって、第2の加熱工程の前に、さらに水で濯いでもよい。
【0036】
第2の加熱工程において、精製した熱処理した炭素材料は、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料に転化されるであろう。1つの実施の形態において、第2の加熱工程は、約500m
2/g未満(例えば、500、450、400、350、300、250、200、150または100m
2/g未満)の比表面積を有する、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を生成するのに十分温度で十分な期間に亘り、精製した熱処理した炭素材料を加熱する工程を含むであろうから、結果として得られた炭素材料は、非活性であろう。
【0037】
第2の加熱工程の結果として、精製した熱処理した炭素材料は、実質的に非黒鉛であろう。例えば、第2の加熱工程により、約20質量%未満、例えば、20、15、10、5、2または1質量%未満しか黒鉛を含まない精製した熱処理した炭素材料が得られるであろう。この第2の加熱工程後、精製した熱処理した炭素材料は、約0から20質量%に及ぶ量、例えば、1、2、5、10、15または20質量%の黒鉛を含むであろう。
【0038】
関連する実施の形態において、第2の加熱工程は、約2:1未満、約1.5:1未満、またさらには約1:1未満のラマン黒鉛化比を有する、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、前記精製した熱処理した炭素材料を加熱する工程を含むことがある。
【0039】
別の実施の形態において、第2の加熱工程は、約25:1未満、約10:1未満、約5:1未満、またさらには約3:1未満のX線黒鉛化比を有する、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、精製した熱処理した炭素を加熱する工程を含むことがある。
【0040】
第2の加熱工程は、約800℃から1200℃に及ぶ温度、例えば、800、850、900、950、1000、1050、1100、1050または1200℃まで、精製した熱処理した炭素材料を加熱する工程を含むことがある。第2の加熱工程中、その温度は、例えば、約200℃/時の速度で所望の温度まで昇温させてもよい。1つの実施の形態において、その温度は、約0.5時間から12時間の期間(例えば、約0.5、1、2、4、8、10または12時間)に亘り、最高温度に保持してもよい。その温度は、例えば、N
2、HeまたはArなどの気体種または気体種の組合せの流れによる炉の速度などの所望の速度で低下させてもよい。
【0041】
前述のことから、第1と第2の加熱工程の各々の最中の様々な処理温度と処理期間、並びにそれらの範囲、それぞれの範囲を含む、炭素材料中の黒鉛パーセント、ラマン黒鉛化比、およびX線黒鉛化比は、先に記載された性質および/または条件のどの1つ以上を使用して、どの適切な組合せで組み合わせてもよいことが理解されよう。
【0042】
本開示は、炭化前駆体材料を供給する工程;熱処理した炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、その炭化前駆体材料を第1の加熱工程で加熱する工程;その熱処理した炭素材料を精製工程で精製して、精製した熱処理した炭素材料を生成する工程;および非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を生成するのに十分な温度で、十分な期間に亘り、精製した熱処理した炭素材料を第2の加熱工程で加熱する工程を有してなる方法により製造される、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料にも関する。
【0043】
例示の方法において、小麦粉は、150℃/時で800℃まで昇温し、2時間に亘り800℃で保持し、N
2を一定に流して600℃/時で室温まで冷却することによって炭化された。この炭化前駆体材料を、5マイクロメートル未満の平均粒径(d50)に挽いた。この炭化前駆体材料をモデル1212CMレトルト炉に装填し、200℃/時の加熱速度で1000℃に加熱し、2時間に亘り1000℃に保持し、次いで、室温まで冷却した。結果として得られた熱処理した炭素材料を、一晩HCl中に浸漬し、次いで、二晩目に水酸化アンモニウム中に浸漬することによって、処理した。この精製工程後、炭素を窒素中で2時間に亘り1000℃で熱処理した。得られた材料のBET比表面積は約12.6m
2/gであった。非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料に関する細孔径分布データが表1に纏められている。
【0045】
ここに記載した非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、以下に限られないが、電池、ウルトラキャパシタなど電気化学的蓄電装置、または炭素系電極を利用してよい任意の他の電気化学的蓄電装置における電極として使用するのに適しているであろう。そのような電極は、必要に応じて中間導電性炭素被覆または他の接着層を介して、電流コレクタの片面または両面に亘り形成されることがある活性炭材料を含んでもよい。例えば、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、リチウムイオン電池またはリチウムイオンウルトラキャパシタにおける電極として機能するであろうし、またリチウムイオンの高い充電率が可能になるであろう。1つの実施の形態において、ここに記載された大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、負極内の電気化学的活性部材として機能するであろう。
【0046】
リチウムイオン電池の例示の概略図が
図3に示されている。リチウムイオン電池10は、負極20、正極30、および電解質60を備えており、この負極20は、ここに開示された非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を含む活性部材40を含んでいる。そのような電池の作動中、イオン50は、負極20から正極30へと、隔離板を横切って、電解質60を通過するであろう。
【0047】
図3からの負極20の構成が、
図4にさらに詳しく示されている。負極20は、層形態で、電流コレクタ22、随意的な導電性中間被覆24、リチウム部材26、および電気化学的活性部材40を備えることがある。様々な実施の形態において、負極20内の活性部材40は、約0.1質量%から約100質量%(例えば、約1質量%から99質量%、または約10質量%から90質量%)の、ここに開示された非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を含んでよい。
【0048】
様々な実施の形態において、負極の活性材料は、少なくとも1つの結合剤および/または接着剤をさらに含んでよい。例示の結合剤および/または接着剤としては、以下に限られないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリウレタンおよびポリアクリレートが挙げられる。
【0049】
結合剤および/または接着剤は、活性部材40の約0.01質量%から約50質量%、例えば、約10質量%などの、約0.1質量%から約49質量%、または約1質量%から約40質量%を占めてもよい。
【0050】
様々な実施の形態において、活性部材40は、カーボンブラック、金属ナノチューブ、ロッド、ワイヤ、および非対称形状;カーボンナノチューブ、ロッド、スクロール、およびワイヤ;グラフェンスクロールおよびシート;黒鉛(天然または合成);導電性ナノ粒子;および導電性ポリマーなどの少なくとも1種類の導電増強剤(conduction enhancing agent)をさらに含んでよい。導電増強剤は、活性被覆の約0.01質量%から約50質量%、例えば、約5質量%などの、約0.1質量%から約49質量%、約1質量%から約40質量%を占めてもよい。
【0051】
負極のリチウム部材などの負極の電極材料は、導電性炭素中間(接着)被覆24を介して、Cuまたは他のリチウム安定性金属合金タイプの電流コレクタ22上で片面または両面に積層されてもよい。導電性中間層は、使用される場合、約0.1μmと約1μmの間の平均粒径を有するカーボンブラック粒子を約30〜60質量%、約5μmと約50μmの間の平均粒径を有する黒鉛粒子を約30〜60質量%含んでよい。多種多様な高分子結合剤がここに組み込まれても差し支えない。
【0052】
電池(装置)製造のための例示の正極活性材料としては、以下に限られないが、LiTiS
2、LiCoO
2、LiNi
1-yCo
yO
2、LiNi
yMn
yCo
1-2yO
2、LiFeO
2、LiFePO
4、Li
xV
2O
5、LiV
6O
13、LiNi
1-yCo
yO
2、LiMn
2O
4、LiMnO
2、LiNi
1-y-zCo
yAl
zO
2、LiNi
1-yMn
yO
2、およびLiNi
1-yMn
1-yCo
2yO
2が挙げられる。
【0053】
電解質は、塩と溶媒の混合物を含むことがある。リチウム塩は、以下に限られないが、ヘキサフルオロリン酸リチウム(LiPF
6)、テトラフルオロホウ酸リチウム(LiBF
4)、ヘキサフルオロヒ酸リチウム(LiAsF
6)、過塩素酸リチウム(LiClO
4)、リチウムトリフレート(LiCF
3SO
3)、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホン)イミド(LiN(SO
2CF
3)
2)、リチウムビス(ペルフルオロエチルスルホニル)イミド(LiN(SO
2CF
2CF
3)
2)、リチウムビス(オキサレートボラート)(LiBOB)、リチウムビス(ペンタフルオロエチルスルホニル)イミド(LiBETI)、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホンイミド)(LiTFMSI)、およびそれらの組合せが挙げられる。
【0054】
前記溶媒は、アセトニトリル、1,3−ジオキソラン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、ジメトキシエタン、炭酸プロピルメチル、およびそれらの組合せからなる群より選択してよい。電解質中のリチウム塩の濃度は、約0.5から2Mに及び得る。
【0055】
ここに用いたように、「比容量」(mAh/g)は、活性材料の質量当たりに利用できる電荷の総量、すなわち全アンペア・時を称する。「初期比容量損失」は、最初の充電から二回目の充電の比容量の差を称する。「C」値または「Cレート」(アンペアで測定)は、1時間(h)で割った材料の容量(Ah)である。多くの携帯用電池は、例えば、1Cと評定されている。1Cの放電は、評定された容量と等しい電流を引き出す。一例として、1000mAhと評定された電池は、1Cレートで放電された場合、1時間で1000mAを提供する。C/2で放電された同じ電池は、2時間に亘り500mAを提供する。2Cでは、同じ電池は、30分間に亘り2000mAを提供する。「可逆比容量」(mAh/g)は、一定のCレートおよび電圧遮断領域で多数のサイクルに亘り維持される比容量を称する。
【0056】
非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料を含む負極を、LiPF
6(1M)中、1:1の比の炭酸エチレン(EC)対炭酸ジメチル(DMC)を使用して評価した。この炭素材料をPVDF結合剤およびn−メチルピロリドンと組み合わせ、注型し、乾燥させ、カレンダー加工して、固体シートを形成した。試験形態では、Whatman GF/F隔離板、および3電極構造を使用した。この3電極構造は、負極材料の作用電極、リチウム金属対電極、およびリチウム金属参照電極を含み、5psi(約34.5kPa)の積層圧力であった。
【0057】
各炭素材料について、5個の同じセルを調製し、C/5でサイクルを行った(最初のサイクルが、固体電解質界面(SEI)が形成されるまで(400mV)C/20が挿入され、その後、0.7から0.01ボルトの電位窓を使用してC/5サイクルが続いたことを除いて、最初の3回のサイクルについて繰り返した)。この固体電解質界面は、電解質を還元的に分解する黒鉛の還元的性質のために、ほとんどは第1のサイクル中に、炭素負極表面で生じる不動態化層である。電池インピーダンスは、各試験の始めに測定した。初期容量損失および可逆容量を測定した。
【0058】
一連の試験において、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、約254mAh/gの平均可逆比容量を示した。初期比容量損失は、約80mAh/gと測定された。様々な実施の形態において、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、約200mAh/gと約300mAh/gの間の平均可逆比容量を有することがあり、約100mAh/g未満の初期比容量損失を有することがある。さらに別の実施の形態において、非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、約150mAh/gと約400mAh/gの間の平均可逆比容量を有することがあり、約120mAh/g未満の初期比容量損失を有することがある。
【0059】
多重電極セルを作製し、様々な範囲のCレートに亘り試験した。LiイオンのCレートは様々であった、0.4、1、2、4、6、8、10、20および40。全てのLiがサイクルの間で抜き出されたことを確実にするために、全ての試験において、Li放出レート(Li-out rate)を約0.4Cに維持した。実施の形態において、前記非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、1Cレートで約80%以上の電荷容量保持率を有するであろう。実施の形態において、前記非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、2Cレートで約75%以上の電荷容量保持率を有するであろう。さらなる実施の形態において、前記非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、5Cレートで約40%以上の電荷容量保持率を有するであろう。またさらなる実施の形態において、前記非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料は、10Cレートで約20%以上の電荷容量保持率を有するであろう。
【0060】
この非活性の、大半が非黒鉛の無定形炭素材料の電荷容量保持率は、1Cレートでの少なくとも80%、2Cレートでの少なくとも75%、5Cレートでの少なくとも40%、および10Cレートでの少なくとも20%の保持電荷パーセントにより特徴付けられるであろう。
【0061】
本発明を説明し、定義する目的のために、「実質的に」、「おおよそ」および「約」という用語は、任意の定量比較、値、測量、または他の表現に起因するかもしれない不確かさの固有の程度を表すために、ここに使用されていることに留意されたい。「実質的に」および「約」という用語は、問題となっている主題の基本的機能に変化を生じずに、量に関する表現が述べられたものからそれによって変化するかもしれない程度を表すためにも使用される。
【0062】
「一般に」のような用語が、ここに使用されている場合、特許請求の範囲に記載された発明の範囲を制限したり、特定の特徴が、特許請求の範囲に記載された発明の構造または機能にとって重大、必須、または重要でさえあることを暗示したりするために使用されているわけではないことに留意されたい。むしろ、これらの用語は単に、本開示の実施の形態の特別な態様を特定したり、または本開示の特別な実施の形態に使用されてもされなくてもよい代わりのまたは追加の特徴を強調したりすることを意図している。
【0063】
本開示の主題を詳細に、かつその特定の実施の形態を参照して記載してきたが、ここに開示された様々な詳細は、特定の要素が、本記載に付随する図面の各々に示されている場合でさえも、これらの詳細が、ここに記載された様々な実施の形態の必須成分である要素に関することを暗示すること解釈すべきではないことに留意されたい。むしろ、ここに付随する特許請求の範囲が、本開示の幅およびここに記載された様々な実施の形態の対応する範囲の唯一の表現として解釈すべきである。さらに、添付の特許請求の範囲から逸脱せずに、改変および変更が可能であることも明らかである。