特許第6098984号(P6098984)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6098984アンチモンフリーガラス、アンチモンフリーフリット、およびそのフリットで気密封止されるガラスパッケージ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6098984
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】アンチモンフリーガラス、アンチモンフリーフリット、およびそのフリットで気密封止されるガラスパッケージ
(51)【国際特許分類】
   C03C 3/21 20060101AFI20170313BHJP
   C03C 8/08 20060101ALI20170313BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20170313BHJP
   H05B 33/04 20060101ALI20170313BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C03C3/21
   C03C8/08
   H05B33/14 A
   H05B33/04
   H05B33/10
【請求項の数】13
【全頁数】22
(21)【出願番号】特願2015-529924(P2015-529924)
(86)(22)【出願日】2013年8月27日
(65)【公表番号】特表2015-532634(P2015-532634A)
(43)【公表日】2015年11月12日
(86)【国際出願番号】US2013056780
(87)【国際公開番号】WO2014035954
(87)【国際公開日】20140306
【審査請求日】2016年7月29日
(31)【優先権主張番号】61/695,033
(32)【優先日】2012年8月30日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】397068274
【氏名又は名称】コーニング インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100073184
【弁理士】
【氏名又は名称】柳田 征史
(74)【代理人】
【識別番号】100090468
【弁理士】
【氏名又は名称】佐久間 剛
(72)【発明者】
【氏名】ドレイク,メリンダ アン
(72)【発明者】
【氏名】モリーナ,ロバート マイケル
【審査官】 岡田 隆介
(56)【参考文献】
【文献】 特開2006−342044(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/090943(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C03C 1/00−14/00
INTERGLAD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
を≧30モル%かつ≦60モル%;
を≧5モル%かつ≦20モル%;
ZnOを≧0モル%かつ≦10モル%;
Biを≧0モル%かつ≦5モル%;
Fe10モル%かつ≦25モル%;
TiOを≧5モル%かつ≦20モル%;
TeOを≧5モル%かつ≦20モル%;
を含み;
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内であることを特徴とするアンチモンフリーガラス。
【請求項2】
が≧30モル%かつ≦40モル%であり;
が≧5モル%かつ≦15モル%である
ことを特徴とする請求項1に記載のアンチモンフリーガラス。
【請求項3】
が≧35モル%かつ≦40モル%であり;
が≧8モル%かつ≦10モル%であり;
ZnOが≧3モル%かつ≦7モル%である
ことを特徴とする請求項1に記載のアンチモンフリーガラス。
【請求項4】
前記ガラスが:
を40モル%;
を10モル%;
ZnOを5モル%;
Feを15モル%;
TiOを15モル%;および
TeOを15モル%
の組成を有することを特徴とする請求項1に記載のアンチモンフリーガラス。
【請求項5】
前記アンチモンフリーガラスがT≦350℃であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のアンチモンフリーガラス。
【請求項6】
ガラスパッケージであって:
第1のガラス板と;
第2のガラス板と;
前記第1のガラス板を前記第2のガラス板に結合させて、それらの間の気密シールを形成するフリットと;
を含み、前記フリットが:
を≧30モル%かつ≦60モル%;
を≧5モル%かつ≦20モル%;
ZnOを≧0モル%かつ≦10モル%;
Biを≧0モル%かつ≦5モル%;
Fe10モル%かつ≦25モル%;
TiOを≧5モル%かつ≦20モル%;
TeOを≧5モル%かつ≦20モル%;
含み;
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内であるアンチモンフリーガラスを含むことを特徴とするガラスパッケージ。
【請求項7】
が≧30モル%かつ≦40モル%であり;
が≧5モル%かつ≦15モル%である
ことを特徴とする請求項6に記載のガラスパッケージ。
【請求項8】
が≧35モル%かつ≦40モル%であり;
が≧8モル%かつ≦10モル%であり;
ZnOが≧3モル%かつ≦7モル%である
ことを特徴とする請求項6に記載のガラスパッケージ。
【請求項9】
前記アンチモンフリーガラスがTg≦350℃であることを特徴とする請求項6に記載のガラスパッケージ。
【請求項10】
アンチモンフリーガラスであって、
を≧30モル%かつ≦60モル%;
を≧5モル%かつ≦20モル%;
ZnOを≧0モル%かつ≦10モル%;
Biを≧0モル%かつ≦5モル%;
Fe10モル%かつ≦25モル%;
TiOを≧5モル%かつ≦20モル%;
TeOを≧5モル%かつ≦20モル%;
を含むアンチモンフリーガラスと、
CTE低下充填剤と、
を含み、
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内であることを特徴とするフリット。
【請求項11】
Feが≧15モル%かつ≦25モル%であることを特徴とする請求項1に記載のアンチモンフリーガラス。
【請求項12】
Feが≧15モル%かつ≦25モル%であることを特徴とする請求項6に記載のガラスパッケージ。
【請求項13】
Feが≧15モル%かつ≦25モル%であることを特徴とする請求項10に記載のフリット。
【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本出願は、2012年8月30日に出願された米国仮特許出願第61/695033号(その内容全体が参照により本明細書に援用される)の米国法典第35編第119条(e)に基づく優先権の利益を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、アンチモンフリーガラスと、それより製造されたフリットと、周囲環境に敏感な薄膜デバイスなどのデバイスの保護に適したそのフリットで封止された気密封止ガラスパッケージとに関する。このようなデバイスの一部の例は、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイ、センサ、光起電装置、およびその他の光学装置である。本発明は、非限定的な例としてOLEDディスプレイを用いて実証される。
【背景技術】
【0003】
OLEDは、多種多様なエレクトロルミネッセンスデバイスにおけるそれらの使用および潜在的な使用のために、近年の多数の研究の主題となっており、現在は商業化に至っている。たとえば、単独のOLEDは個別の発光デバイス中に使用することができ、またはOLEDアレイは照明用途またはフラットパネルディスプレイ用途(たとえば、OLEDディスプレイ)に使用することができる。OLEDディスプレイは、非常に明るく、色のコントラストが良好であり、広い視野角を有することが知られている。しかし、OLEDディスプレイ、および特にその中に配置される電極および有機層は、周囲環境からOLEDディスプレイ中に漏れ出す酸素および水分との相互作用によって生じる劣化が起こりやすい。OLEDディスプレイ中の電極および有機層が周囲環境から気密封止されると、OLEDディスプレイの寿命を大幅に延長できることがよく知られている。残念ながら、これまでOLEDディスプレイを気密封止する封止方法の開発は非常に困難であった。OLEDディスプレイの適切な封止を困難にする要因の一部を以下に簡単に説明する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近、ガラス系フリットが、ガラスパッケージ中のガラス基板プレートの封止に使用されており、それによって封止される装置に対して優れた気密性が得られる。しかしこれらのフリットの多くは、アンチモンなどの毒性元素を含有し、それによって環境災害が生じる。電子デバイス(たとえばディスプレイ型の用途)などのガラスパッケージの気密封止に好適であり、アンチモンを含有せず低Tgを有するガラス系フリットが必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、気密封止されたOLEDディスプレイ、および気密封止されたOLEDディスプレイの製造方法を含む。基本的に、気密封止されたOLEDディスプレイは、第1のガラス基板プレートおよび第2のガラス基板プレートを提供するステップと、第2のガラス基板プレート上にフリットを堆積するステップとによって製造される。OLEDの製造に使用されるものなどの有機材料を第1の基板プレート上に堆積することができる。次に照射源(たとえば、レーザー、赤外光)を使用してフリットを加熱することで、フリットが溶融して気密シールを形成し、それによって第1のガラス基板プレートが第2のガラス基板プレートに結合し、OLEDも保護される。このフリットは、バナジウムを含有し、ある実施形態においては熱膨張係数(CTE)低下充填剤を含有するアンチモンフリーガラスであり、それによって、照射源がフリットを加熱すると、軟化して結合を形成する。これによって、フリットが溶融して気密シールを形成しながら、OLEDに対する熱損傷を回避することができる。リン酸バナジウムフリット、特にアンチモン含有リン酸バナジウムフリットは、たとえば、すぐ上に記載した種類のガラスパッケージの封止に特に適していることが分かった。このようなフリットは、非常に安定であり、高い吸光度を示し、優れた機械的耐久性および耐水性を有する。残念ながら、アンチモンは毒性元素であり、フリットの他の有益な性質に悪影響を与えないアンチモンの代替品の発見に労力が向けられている。
【0006】
そのため、Sbを使用することなく、酸化アンチモンの代わりにFe+TiOの組合せを使用し、それとともに流動性およびガラス転移温度(T)の維持するための少量のZnOを加えることによって、Sb−バナジウムリン酸塩フリットの優れた耐水性能が維持された。Feの存在は、耐久性の改善に最大の効果が得られることが分かった。しかし、Tが上昇し、それによって封止中のフリットの流動性が低下した。さらに、Fe量が多い(約25モル%以上)フリットは、酸化に対して不安定となる傾向があり、同じ計画でサンプルを繰り返し焼成すると(N中425℃)、異なる色(褐色または黒色)を示し、異なる流動の程度を示した。TiO単独では実際には耐水性がある程度低下したが、(Fe+TiO)の組合せは、レーザー封止可能なフリットを得る観点からは良好な組合せであることが判明した。TeOを加えることによって、高い耐水性および低いT(≦370℃)の両方を得ることができる。
【0007】
ガラスの90℃蒸留(脱イオン)水への曝露の実験室ベンチテスト、およびレーザー封止したサンプルの85℃/85%相対湿度(RH)環境室試験の両方によって、TeO−Fe−TiO−ZnO−V−P系を主成分とするフリットは、レーザー封止後に気密シールを形成可能であることが示される。Sbの代わりに(Fe+TiO)を使用し、それとともにPをTeOで少なくとも部分的に置換することによる予期せぬ結果の1つは、Teを含有しないフリットガラスと比較してTの比較的大きな低下(たとえば370℃から349℃)を実現できることであった。
【0008】
したがって、一実施形態においては:
(≧30モル%かつ≦60モル%);
(≧5モル%かつ≦20モル%);
ZnO(0〜10モル%);
Bi(0〜5モル%);
Fe(≧10モル%かつ≦25モル%);
TiO(≧5モル%かつ≦20モル%);
TeO(≧5モル%かつ≦20モル%)を含み;
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内、たとえば約20モル%〜約30モル%の範囲内、約25モル%〜約35モル%の範囲内、および約25モル%〜約30モル%の範囲内であるアンチモンフリーガラスが開示される。
【0009】
アンチモンフリーガラスは、V含有量が≧30および≦50モル%であってよい。
【0010】
アンチモンフリーガラスは、ある実施形態においては、V含有量が≧30および≦40モル%であってよく、P含有量が≧5モル%および≦15モル%であってよい。
【0011】
アンチモンフリーガラスは、別の実施形態においては、V含有量が≧35モル%および≦40モル%であってよく、P含有量が≧8モル%および≦10モル%であってよく、ZnO含有量が≧3モル%および≦7モル%であってよい。
【0012】
アンチモンフリーガラスは、たとえば:
(40モル%);
(10モル%);
ZnO(5モル%);
Fe(15モル%);
TiO(15モル%);および
TeO(15モル%)
の組成を有することができる。
【0013】
ある実施形態においては、アンチモンフリーガラスはT≦350℃である。
【0014】
ある実施形態においては、アンチモンフリーガラスはガラスフリットを含むことができる。このガラスフリットは、βユークリプタイトまたはβ石英などのCTE低下充填剤をさらに含むことができる。
【0015】
別の一実施形態においては、第1のガラス板と、第2のガラス板と、第1のガラス板を第2のガラス板に結合させ、それらの間に気密シールを形成するフリットとを含むガラスパッケージであって、このフリットが:
(≧30モル%かつ≦60モル%);
(≧5モル%かつ≦20モル%);
ZnO(≧0モル%かつ≦10モル%);
Bi(≧0モル%かつ≦5モル%);
Fe(≧10モル%かつ≦25モル%);
TiO(≧5モル%かつ≦20モル%);
TeO(≧5モル%かつ≦20モル%)を含み;
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内、たとえば約20モル%〜約30モル%の範囲内、約25モル%〜約35モル%の範囲内、および約25モル%〜約30モル%の範囲内であるアンチモンフリーガラスを含む、ガラスパッケージが記載される。
【0016】
フリットのアンチモンフリーガラスは、V含有量が≧30および≦50モル%であってよい。
【0017】
フリットのアンチモンフリーガラスは、ある実施形態においては、V含有量が≧30および≦40モル%であってよく、P含有量が≧5モル%および≦15モル%であってよい。
【0018】
フリットのアンチモンフリーガラスは、別の実施形態においては、V含有量が≧35モル%および≦40モル%であってよく、P含有量が≧8モル%および≦10モル%であってよく、ZnO含有量が≧3モル%および≦7モル%であってよい。
【0019】
ある実施形態においては、フリットのアンチモンフリーガラスはT≦350℃であってよい。
【0020】
ある実施形態においてフリットは、βユークリプタイトまたはβ石英などのCTE低下充填剤を含むことができる。
【0021】
ガラスパッケージは、第1および第2のガラス板の間に配置された有機材料をさらに含むことができる。たとえば、有機材料は、有機発光ダイオードを含むことができる。ある実施形態においては、ガラスパッケージは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルなどのフラットディスプレイパネルを含むことができる。OLEDディスプレイパネルは、テレビ、コンピュータディスプレイ、電話(たとえば携帯電話)、または光学ディスプレイを含むあらゆる他の装置などのOLEDディスプレイデバイスをさらに含むことができる。
【0022】
さらに別の一実施形態においては:
(≧30モル%かつ≦60モル%);
(≧5モル%かつ≦20モル%);
ZnO(≧0モル%かつ≦10モル%);
Bi(≧0モル%かつ≦5モル%);
Fe(≧10モル%かつ≦25モル%);
TiO(≧5モル%かつ≦20モル%);
TeO(≧5モル%かつ≦20モル%)を含み;
TiO+Feが20モル%〜35モル%の範囲内、たとえば約20モル%〜約30モル%の範囲内、約25モル%〜約35モル%の範囲内、および約25モル%〜約30モル%の範囲内であるアンチモンフリーガラスを含むフリットが開示される。
【0023】
アンチモンフリーガラスは、V含有量が≧30および≦50モル%であってよい。
【0024】
アンチモンフリーガラスは、ある実施形態においては、V含有量が≧30および≦40モル%であってよく、P含有量が≧5モル%および≦15モル%であってよい。
【0025】
アンチモンフリーガラスは、別の実施形態においては、V含有量が≧35モル%および≦40モル%であってよく、P含有量が≧8モル%および≦10モル%であってよく、ZnO含有量が≧3モル%および≦7モル%であってよい。
【0026】
フリットは、βユークリプタイトまたはβ石英などのCTE低下充填剤を含むことができる。
【0027】
さらに別の一実施形態においては、ガラスパッケージの製造方法であって、第1のガラス基板の上にフリットを堆積するステップ;第1のガラス基板に隣接して第2のガラス基板を配置することによって、第1および第2のガラス基板の間にフリットが配置されるようにするステップ;たとえばレーザーからの放射エネルギーをフリットに照射し、それによってフリットが加熱され溶融して、次に冷却されることで、フリットが第1および第2の基板の間に気密シールを形成するステップを含み;フリットが:
(≧30モル%かつ≦60モル%);
(≧5モル%かつ≦20モル%);
ZnO(0〜10モル%);
Bi(0〜5モル%);
Fe(≧10モル%かつ≦25モル%);
TiO(≧5モル%かつ≦20モル%);
TeO(≧5モル%かつ≦20モル%)を含み;
TiO+Feが、20モル%〜35モル%の範囲内、たとえば約20モル%〜約30モル%の範囲内、約25モル%〜約35モル%の範囲内、および約25モル%〜約30モル%の範囲内であるアンチモンフリーガラスを含む、製造方法が開示される。
【0028】
アンチモンフリーガラスは、V含有量が≧30および≦50モル%であってよい。
【0029】
アンチモンフリーガラスは、ある実施形態においては、V含有量が≧30および≦40モル%であってよく、P含有量が≧5モル%および≦15モル%であってよい。
【0030】
アンチモンフリーガラスは、別の実施形態においては、V含有量が≧35モル%および≦40モル%であってよく、P含有量が≧8モル%および≦10モル%であってよく、ZnO含有量が≧3モル%および≦7モル%であってよい。
【0031】
アンチモンフリーガラスは、たとえば:
(40モル%);
(10モル%);
ZnO(5モル%);
Fe(15モル%);
TiO(15モル%);および
TeO(15モル%)
の組成を有することができる。
【0032】
ある実施形態においては、フリットのアンチモンフリーガラスはT≦350℃である。
【0033】
ある実施形態においては、フリットはβユークリプタイトまたはβ石英などのCTE低下充填剤をさらに含むことができる。
【0034】
限定を意味するものでは決してなく、添付の図面を参照して提供される以下の説明から、本発明がより容易に理解され、および本発明の他の目的、特性、詳細、および利点がより明確に明らかとなるであろう。すべてのこのようなさらなるシステム、方法、特徴、および利点は、この説明中に含まれ、本発明の範囲内となり、添付の特許請求の範囲によって保護されることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0035】
図1】本開示の実施形態によるフリットを使用した代表的なOLEDデバイスの封止の断面図である。
図2】本開示の実施形態によるSbフリーフリット中のモル%の単位でのTiOからFeへの置換の関数としての熱膨張係数(CTE)のプロットであり、Fe+TiOは20モル%〜35モル%の間である。
図3】加熱および冷却の両方の条件下での本発明の実施形態によるSbフリーフリットおよびSb含有フリットの温度の関数としてのCTEを比較するプロットである。
図4】本開示による2つのガラス溶融物の視覚的比較である。
図5】本開示による2つのガラス溶融物の別の視覚的比較である。
図6】本開示の一実施形態によるフリットとしての使用に好適なアンチモンフリーガラスの示差走査熱量測定のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下の詳細な説明において、限定ではなく説明を目的として、特定の詳細を開示する例示的実施形態が、本開示の十分な理解を得るために記載されている。しかし、本明細書に記載の実施形態が、本明細書に開示される具体的な詳細から離れた別の実施形態において実施できることは、本開示の利益を有する当業者には明らかであろう。さらに、周知の装置、方法、および材料の説明は、記載の実施形態の説明が不明瞭とならないように省略する場合がある。最後に、適応可能な場合は常に、類似の参照番号は類似の要素を意味する。
【0037】
図1は、気密封止されたOLEDディスプレイ10の基本的な構成要素の封止を示す断面側面図を示している。OLEDディスプレイ10は、第1のガラス基板プレート12と、1つ以上のOLED14と、フリット16と、第2のガラス基板プレート18との多層サンドイッチ構造を含む。OLEDディスプレイ10は、フリット16から形成された気密シール20を含み、それによって第1のガラス基板プレート12と第2のガラス基板プレート18との間に配置されたOLED14が保護される。気密シール20は、通常はOLEDディスプレイ10の周囲に沿って配置される。OLED14は、気密シール20の周囲の内側に配置される。フリット16の組成、特にフリット16のガラスの組成、およびフリット16から気密シール20を形成する方法を以下により詳細に説明する。
【0038】
一実施形態においては、第1および第2のガラス基板プレート12および18は透明ガラス板である。フリット16は第2のガラス基板プレート18の端部に沿って堆積される。たとえば、フリット16は、第2のガラス基板プレート18の自由縁から約1mm離して配置することができる。好ましい実施形態においては、フリット16は、フリットの吸光度を向上させるためにバナジウムを含有する低温アンチモンフリーガラスフリットである。フリット16は、フリットの熱膨張係数(CTE)を低下させるβユークリプタイトまたはβ石英などの充填材料を含むこともでき、それによって2つのガラス基板プレート12および18のCTEに一致または実質的に一致する。
【0039】
OLED14およびその他の回路は第2のガラス基板プレート18の上に堆積される。典型的なOLED14は、アノード電極と、1つ以上の有機層と、カソード電極とを含む。しかし、他の環境に敏感な部品を第2のガラス基板プレート18の上に堆積できることは容易に理解できるであろう。
【0040】
場合により、ガラス基板12および18を互いに封止する前に、フリット16を第1のガラス基板プレート12に予備焼結させることができる。これを行うために、フリット16が上に堆積された第1のガラス基板プレート12を加熱炉またはオーブン中で加熱し、それによって第1のガラス基板プレート12に結合させる。
【0041】
次に、第1および第2のガラス基板プレート12および18を、それらの間に配置されるフリット16および1つ以上のOLEDとともに接合し、フリット16に照射源22(たとえばレーザーまたは赤外ランプ)を照射し、それによってフリット16が気密シール20を形成し、それによって第1のガラス基板プレート12が第2のガラス基板プレート18と連結し結合する。気密シール20は、周囲環境中の酸素および水分がOLEDディスプレイ10中に入ることを防止することによって、OLED14の保護も行う。
【0042】
照射波長が、個別のフリット16に強く吸収される帯域中となるべきことは容易に理解されよう。たとえば、個別のフリット16およびガラス基板プレート12および18の光学的性質によって、イッテルビウム(900nm<λ<1200nm)、Nd:YAG(λ=1064nm)、Nd:YALO(λ=1.08μm)、およびエルビウム(λ≒1.5μm)CWレーザーを使用することができる。
【0043】
PbOフリットは良好な流動性および接着特性を有するため、ほとんどの従来の低温封止用フリットはPbO系であることに留意されたい。しかし、本明細書に開示される特定のアンチモンフリーフリットは、PbO系フリットよりも低いCTEを有するだけではなく、より良好な耐水性をも有し、接着性に関しては従来のPb系フリットと同等である。
【0044】
さらに、上首尾の封止用フリットにおけるPによる役割は、それによって安定化ガラスを形成できるので有用であるが、レーザー封止および封止後性能の観点から、SbおよびVの効果を無視すべきではない。V系のフリットおよびガラスは、耐水性が不十分であることが知られている。従来の試験では、SbフリーのZn系バナジウム−リン酸塩フリットを用いて作製したシールは、60℃/40%RHの比較的穏やかな環境でのみ維持することができ、一方、混合Sb−Znバナジウムリン酸塩フリットから作製したシールは、破壊されるまで60℃/85%RHで維持された。逆に、Sb−バナジウム−リン酸塩フリットから作製したシールのみが85℃/85%RH曝露に耐えた。しかし、Sbは耐水性を改善する役割を果たすにもかかわらず、潜在顧客からのフィードバックでは一貫して、アンチモンが毒性元素であることでその存在に関する懸念が生じている。したがって最近では、環境にも優しい封止用フリットにおける使用に好適なガラスの開発が重視されている。
【0045】
Sbフリー組成物の早期の研究は、最初に、アンチモン、バナジウム、およびリンの酸化物を含む3成分系として基本的なOLEDデバイス封止用フリットの組成物を表すことから始まった。次にこれらの組成物は2成分Sbフリー系に単純化され、追加の成分は、耐水性、流動性、ガラス転移温度(T)、およびレーザー封止性に対する効果に基づいて特定された。すべての候補のフリット組成物は、耐水性、レーザー封止性、および流動性が、Sb含有対照サンプルと同等となる必要があり、Tが400℃以下となることが必要という基準を有した(T>400℃のフリットは、OLEDフリットを後の処理で取り扱い可能にするための予備焼結ステップ中に十分に流動しないと思われる)。酸化アンチモン(Sb)の可能性のある代替品は:WO、MoO、TeO、Bi、Fe、およびTiOであった。ZnOも研究されたが、ZnO−V−Pフリットで不十分な耐久性結果が得られることから、Tを低下させ流動性を維持するために微量成分(0〜10%)としてのみ考慮した。選択した種々の酸化物は、Vとともに安定な2元ガラスを形成することに基づいて選択した。
【0046】
それぞれの組成物を溶融させ、ガラスパティとして注入し、次にボールミルで粉砕して微粒子のフリット(通常約3〜約5μmの範囲内のd50を有する)を形成した。すべての組成はモルパーセント(モル%)の単位で表され、すべての温度は摂氏温度(℃)の単位で表される。種々の組成をスクリーニングするための重要なベンチテストの1つは、種々のフリットのフローボタンを作製して焼成し、次にそれらの耐水性を評価することであった。フローボタンは、窒素(N)雰囲気中約400℃〜約450℃の範囲内の温度(Tおよび結晶化傾向に依存する)で焼成した。焼成後、フローボタンを90℃の脱イオン水中に48時間(hr)浸漬して、それらの耐水性を評価した。OLEDフリットの対照サンプル(D1ベースガラス(表1参照)、またはD1ベースガラスとβ−ユークリプタイト充填剤との70:30混合物のいずれかとして)も各評価に含めた。調査したSbの可能性のある代替品(上記参照)の中では、TiOおよびFeのみが有望であると思われた。
【0047】
WO、MoO、WO+ZnO、Bi、およびTeOを第3の成分として有する50モル%のV−30モル%のPの組成物シリーズの結果を表1および2に示している。比較標準としての標準的なSb含有OLEDベースガラスD1のデータも示している。すべての組成物(モル%の単位で示される)は、注入成形によって形成されたガラスの品質、示差走査熱量測定(DSC)によるガラス転移温度(T)、流動性、ならびにハンドプレスにより3μm粉末からペレット(「フローボタン」)を得てN中400℃で1時間焼成するときの焼結性、および前述の耐水性ベンチテストにおける耐水性(焼成したフローボタンサンプルの上澄みの色によって評価され、色が暗いほど、サンプルの耐水性が低い)を評価した。表1および2に列挙される可能性のあるSb代替品はいずれも、許容レベルのガラス品質、T、流動性、およびSb含有対照試料によって示される耐水性(90℃の温度の脱イオンHOに48時間曝露した後の上澄みの外観によって評価される)が得られなかった。
【0048】
【表1】
【0049】
【表2】
【0050】
Sbフリーリン酸バナジウムフリットのより良好な結果が、SbをFeおよび/またはTiOで置き換えた場合に得られた(以下の表3および4参照)。すべての組成はモル%の単位で表される。Fe+TiOのいくつかの組合せでは、注入時に良好なガラスが得られた。D8などの高TiOガラス(すなわち、≧25%)は、許容できるTおよび流動特性が得られたが、不十分な耐水性も示した。D7およびD11などのFeがより多いガラス(すなわち、≧25または30%)は、注入時に不十分なガラスが得られる傾向にあり、これは実質的な表面失透により示された。これらのガラスの比較的低い安定性(注入時にパティ中に形成された表面失透の量が多いことで示される)によって、フリットとして不十分な流動性が生じた。これらは酸化状態に関して不安定となる傾向もあり、同じロットの粉末からの焼成フローボタンは、同じ焼成条件後に黒色(還元)または赤色(酸化)のいずれかで交互に現れる。表4にはD14も含まれ、これはFeおよびTiOの量の比較的多いガラスであるが、Feから予想されるTの上昇を低下させるために10モル%のZnOを有する。高Fe量に対応するための第2の方法はV含有量を増加させることであることに留意されたい。しかしD9およびD10に見ることができるように、V含有量が多いと耐水性が低下した。
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
量が25モルパーセント以上である表3および4の試験サンプルは性能が不十分であったが、25モル%未満のP量は首尾よく使用できると予想されることにも留意すべきである。表5は、10%のZnOにおけるFeおよびTiOの溶融物の第2の組の結果をまとめている。すべての組成はモル%の単位で表される。この最初のシリーズに関して、Feは優れた耐水性に寄与し(しかし高Tと400℃におけるフリット焼結性の低下とが犠牲となる)、TiOによってより低いTおよび改善された流動性が得られる(しかし耐水性が犠牲となる)ので、FeおよびTiOの一部の組合せが好ましい。
【0054】
【表5】
【0055】
より多い量のFe+TiOにおいてZnOを5モル%に維持して溶融物のさらなるシリーズを作製した(以下の表6および7を参照されたい)。すべての組成はモル%の単位で表される。高Feガラスのより高いTに対応するために、前に使用した400℃ではなく425℃で流動性を評価したことに留意されたい。
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
表1、2、および3、4で得られた前述の結果から分かるように、20モル%をあまり超えないFe量(たとえば約25モル%)では、高Tで、安定性が低く、400〜425℃の焼結中に許容できない流動性を有するフリットが得られた。同様に、20モル%をあまり超えないTiO(たとえば約25モル%)では、許容できるT、流動性、および安定性を有するが、許容できない耐水性を有するフリットが得られた。約10〜25モル%未満までの範囲のFe量、および約15〜25モル%未満までのTiO量を有するフリット(5〜10モル%のZnOにおいて)は、優れた耐水性と許容できる流動性、T、およびガラス安定性とを併せ持つ。
【0059】
(Fe+TiO+ZnO)SbフリーV−Pフリットの耐水性は、Sbを含有する標準組成物と同等またはそれよりわずかに良好であることが分かった。Sbフリーの研究の予期せぬ結果は、より多いFe量の(Fe+TiO+ZnO)フリットで熱膨張係数(CTE)が大幅に低下することである。図2に、組成が表3、4、および5に記載される焼結フリットのCTEデータを示している。表3、4の20モル%(Fe+TiO)シリーズ、(曲線120)、および表5の35モル%(Fe+TiO)シリーズ(曲線122)のすべての焼結可能なフリットのデータを示している。焼結フリットバーのCTEデータは、良好な焼結性および酸化安定性を有するフリットが得られる見掛けの上限である最大20モル%のFeの各シリーズにおけるFeの関数としてプロットしている。CTE値は、0モル%のFe/最大のTiO(それぞれ20および35モル%)において最高であり、Fe量が増加すると60〜65×10−7/℃で実質的に一定となり、次にFe>15モル%(それぞれ5モル%および20モル%のTiO)において実質的に減少し、17.5〜20モル%のFeにおいて約40×10−7/℃の値に到達することに留意されたい。比較すると、Sb含有ベースフリットのCTEは約70〜80×10−7/℃である。
【0060】
Sbを含有するフリットとSbフリーフリットとの間のCTEのより直接的な比較を図3に示しており、加熱および冷却の両方の条件下でのD1のCTE曲線がプロットされており(それぞれ曲線124および126)、加熱および冷却の両方の条件下でのD29(表7中のD24の再溶融物)のCTE曲線もプロットされている(それぞれ曲線128および130)。充填剤を有さないフリットでは約40×10−7/℃のCTE値となるが、β−ユークリプタイトまたはβ石英などの充填剤を加えることによって、このフリットのCTE値を溶融シリカの値の近くまで低下させることができる。
【0061】
Sbフリーフリットの実験室規模の耐水性結果を、レーザー封止したサンプルの85℃/85%RH曝露を含む大規模封止試験で確認した。表8は、標準的なOLEDフリット(表1のD1;低CTE充填剤β−ユークリプタイトとの70:30混合物として使用)と、Sbフリーフリット(D29、表7のD24の再溶融物;低CTE充填剤β−石英との重量比80:20の混合物として使用)との間の試験および比較の結果を示している。各フリット混合物からペーストを作製し、EAGLEXGディスプレイガラスの数枚のシート(1枚のガラスシートは気密性の指示薬として上に堆積されたカルシウムの薄膜を含む)上に供給し、予備焼結させ(Sb含有標準の場合、空気中325℃で2時間の後、N中400℃で1時間加熱;Sbフリーの場合、空気中325℃で2時間の後、N中425℃で1時間加熱)、EAGLEXGのシートに封止し、85℃/85%相対湿度の環境室に入れ、次にシールの漏れおよびCa金属の破壊の形跡について定期的に調べた。全体で、Sb含有対照組成物の3枚のシート、およびアンチモンフリー組成物の7枚のシートがこの試験に含まれ、シート1枚当たりカルシウム(Ca)金属タブの9つの封止されたアレイを有した。
【0062】
表8に見ることができるように、Sb対照フリットおよびSbフリーフリットの両方で、封止直後または85℃/85%RH室中の配置が100時間以内のいずれかで、数個のアレイが破壊され、この場合破壊はカルシウムタブの目に見える酸化によって示され;これらの破壊は、おそらくは、各フリットで不規則に存在する汚染物質などの全体的な欠陥と関連するものであった。しかし、96時間後、Sb対照フリットおよびSbフリーフリットのいずれのシールでも、さらなる破壊は観察されなかった。
【0063】
【表8】
【0064】
Sb−バナジウムリン酸塩フリットの優れた耐水性能は、酸化アンチモンの代わりに、Fe+TiOの組合せを使用し、流動性およびガラス転移温度(T)を維持するための少量のZnOを加えることによって、Sbがなくても維持された。Feの存在は、耐久性の改善において最大の効果を有することが分かった。しかし、多量の場合は、Tが上昇し、封止中のフリットの流動性が低下した。さらに、高Fe量(約25モル%以上の)のフリットは、酸化に対して不安定となる傾向があり、同じ計画(N中425℃)で繰り返しサンプルを焼成すると、異なる色(褐色または黒色)を示し、流動の程度で顕著な差を示した。TiOは、単独で加えた場合には、実際には耐水性がある程度低下するが、Fe+TiOの組合せは、高耐水性および低T(≦400℃)の両方を有するレーザー封止可能なフリットを得る観点からは理想的な組合せであると思われた。
【0065】
90℃の蒸留水における実験室ベンチテストと、レーザー封止したサンプルの85℃/85%相対湿度(RH)環境室試験との両方によって、Fe−TiO−ZnO−V−P系を主成分とするフリットから、長時間(≧1000時間)の多湿条件に耐える、レーザー封止後の気密シールの形成が可能であることが示されている。充填剤を有さないSbフリーフリットのCTEは、70〜80×10−7/℃から35〜45×10−7/℃の約半分に減少し、Tはわずかに上昇するのみであった(355℃から370℃)ことは、SbをFe+TiOで置き換えることの予期せぬ結果であった。CTE値が約40×10−7/℃であるフリットは、β−ユークリプタイトまたはβ石英などのT低下充填剤を加えることによって、溶融シリカおよび他の低CTE基板、たとえばKovar(商標)を封止できる可能性を有する。
【0066】
前述したように、Feが存在することで好都合なCTEが得られるが、しかしFeはTを上昇させる機能を果たす。ZnOおよびTiOは、Tの上昇に関してある程度Feとは逆の機能を果たすが、これらは水の攻撃に対する抵抗性を低下させる傾向も有する。
【0067】
Sb含有対照D1と同等以下のTを有するSbフリー組成物を得ようとする試みにおいて、Pの役割をさらに調べた。前述したように、P(ガラス形成剤)は、少量で存在する場合はバナジウム−アンチモンガラスが急速に結晶化する傾向にあるので、フリットのガラス安定性を増加させる機能を果たす。したがって、D24を新しい出発点として使用し、PをTeOまたはBiなどの別の低Tガラス形成剤で少なくとも部分的に置き換えた。前述したように、アンチモンの代替物としてのTeの使用(たとえばサンプルD6)は、フリットに適したガラスが得られない傾向にあった。しかし、アンチモンのFeおよびTiOによる代替と組み合わせると、Tgに関して予期せぬ好都合な結果が得られた。以下の表9は、Pを部分的にTeOまたはBiで代替したSbフリーフリットの2つの例D29およびD30を示している。すべての組成はモル%の単位で表される。各サンプルのバッチを未被覆のシリカるつぼ中で溶融させ、空気中1000℃で1時間維持し、取り出し、第2のるつぼ中で混合し、次に金属板上に注入した。
【0068】
【表9】
【0069】
表9に示されるように、TeOによるPの部分的な代替によって、Sbフリー/PサンプルD24と比較してTが30℃低下した良好な品質のガラスが得られ、一方、Biによる同様の代替では許容できるガラスは得られなかった。D29の場合のTと結晶化開始(T)との間の約80℃の間隔は、サンプルD29のガラスなどのTeO含有ガラスが、フリットに好適で良好な性質のガラスとなることを示唆している。しかし、10モル%未満のより少ない量のBiがサンプルD30中に存在する場合、たとえば0〜9モル%の間、0〜7モル%の間、または0〜5モル%の間の場合は好適であると考えられる。
【0070】
出発点としてD24を使用して、さらなるTeOによるPの代替を行い、得られるフリットの選択された性質に対するP代替の効果を調べ、結果を以下の表10に示している。すべての組成はモル%の単位で表される。
【0071】
【表10】
【0072】
D24と比較すると、表10中のTeOでPを代替した各ガラスはTの低下を示した。D34、D35、およびD37などの最良の安定性(すなわち、顕著な失透の量が最小であり、Δが最大である(ここでデルタΔはTとTとの間の温度差である))ガラスは、65%のガラス形成剤(すなわち、V+P+TeO)を含有し、一方、最も低いガラス安定性を示したガラス(D36)は、55%の少ない量の全ガラス形成剤を含有した。
【0073】
ガラス安定性およびフリット特性に対するTeOによるPの代替の効果をさらに調べるために、さらなる溶融物を作製し、特に、ガラス安定性およびTに対する全ガラス形成剤およびP含有量の影響を調べた。結果を以下の表11に示す。すべての組成はモル%の単位で表される。
【0074】
【表11】
【0075】
表11のD38〜D41のガラスのみが溶融した。D38〜D41のガラスは、すべて全ガラス形成剤量が≧60%(V+P+TeO)であった。しかし、これらの多量のガラス形成剤でさえも、良好なガラス安定性を実現するために最小量のPが必要であった(たとえば、D40をD39およびD41と比較)。これらの結果は、約30〜約50%の範囲内のV含有量のバナジウムガラスの安定化に対してPが有効な役割を果たすことを示している。
【0076】
図4および5は、耐水性ベンチテストの写真を示しており、焼結させたフリットペレットを90℃の脱イオンHO中に48時間入れ、次に得られる上澄みの外観に基づいて水の攻撃に対する抵抗性を評価した。このテストは、132の表示のビーカーで示されるSb含有フリットD1、134の表示のビーカーで示されるSbフリーフリットD24、ならびに136の表示のビーカーで示されるD32および138の表示のビーカーで示されるD40の2つのTeO含有組成物組成を含んだ。図4および5に示されるすべてのサンプルは同じ計画で焼結させた(空気中325℃で1時間、続いてN中400℃で2時間)。D32およびD40の性能は、耐水性の観点からは、2つの組成物D1および/またはD24のいずれよりも好都合である。
【0077】
図6はD40のDSC曲線を示している。338℃の低いTに、TとT(開始)との間の適度の大きなデルタ(Δ)の104℃と、スクリーニングベンチテストにおける優れた耐水性とを合わせもつことで、このフリットは、OLEDディスプレイデバイスに使用できるものなどのガラスパッケージのレーザー気密封止のためのSbフリー封止用フリットとして魅力的である。用途に依存するが、CTEの増加または減少のいずれかのためのCTE調整充填剤を、適切であれば、本明細書に開示されるガラスから作製されるフリット組成物に加えることができる。
【0078】
本発明のいくつかの実施形態を添付の図面に示し、以上の詳細な説明で説明してきたが、本発明は、開示される実施形態に限定されるものではなく、以下の特許請求の範囲に記載され規定される本発明の意図から逸脱することなく多数の再配列、修正、および置換が可能であることを理解すべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6