【文献】
松本賢司,外,X線回折法を利用した二軸性微結晶の磁化率異方性測定,日本磁気科学会年会プログラム・要旨集,2011年 9月26日,P.18−19
【文献】
藤田敬士,外,X線回折測定による二軸性結晶の異方性磁化率比の導出,日本磁気科学会年会プログラム・要旨集,2011年 9月26日,P.114−115
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記状態切換装置は、前記特定部位が所望の方向を向いていないときはX線の照射を遮蔽し、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときはX線の照射を許容するX線遮蔽装置からなる請求項1に記載の微結晶構造解析装置。
前記遮蔽部は、円板状に形成されるとともに一方の面でX線の照射を遮蔽する遮蔽部本体と、この遮蔽部本体に形成されるとともにX線を通過させることによりX線の照射を許容するスリットとを有し、
前記遮蔽駆動部は、前記遮蔽部本体をその軸線回りに回転駆動可能であり、
前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部本体の回転を前記試料の回転と同期させるように、前記遮蔽駆動部を駆動制御する請求項3に記載の微結晶構造解析装置。
前記状態切換装置は、前記特定部位が前記所望の方向を向いていないときは前記X線検出部のX線検出を不能とし、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときは前記X線検出部のX線検出を許容するように、前記X線検出部のX線検出を制御するX線検出制御部からなる請求項1に記載の微結晶構造解析装置。
微結晶を懸濁させた試料を磁場発生部に対して回転させることにより、前記試料に時間的に変動する磁場を印加して前記微結晶を三次元配向させ、前記試料を回転させながら当該試料に向けてX線を照射し、当該試料を透過して回折したX線を検出する微結晶構造解析方法であって、
前記試料の回転方向の一部である特定部位の回転位置に応じて、X線の検出が不能な状態と、X線の検出を許容する状態とに切り換えることを特徴とする微結晶構造解析方法。
磁場発生部と、微結晶を懸濁させた試料に時間的に変動する磁場を印加して前記微結晶を三次元配向させるように前記磁場発生部に対して前記試料を回転させる試料駆動部と、前記試料駆動部により回転している前記試料に対してX線を照射するX線源と、前記試料を透過して回折したX線を検出可能なX線検出部とを備えた微結晶構造解析装置に設けられるX線遮蔽装置であって、
X線の照射を遮蔽する遮蔽位置とX線の照射を許容する許容位置とに切り換え可能な遮蔽部と、
前記遮蔽部を切り換え駆動する遮蔽駆動部と、
前記試料の回転方向の一部である特定部位が所望の方向を向いていないときは前記遮蔽部を前記遮蔽位置とし、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときは前記遮蔽部を前記許容位置とするように、前記遮蔽駆動部の切り換え駆動を制御する遮蔽制御部とを備え、
前記遮蔽部は、円板状に形成されるとともに一方の面でX線の照射を遮蔽する遮蔽部本体と、この遮蔽部本体に形成されるとともにX線を通過させることによりX線の照射を許容するスリットとを有し、
前記遮蔽駆動部は、前記遮蔽部本体をその軸線回りに回転駆動可能であり、
前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部本体の回転を前記試料の回転と同期させるように、前記遮蔽駆動部を駆動制御することを特徴とするX線遮蔽装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の前記解析方法にあっては、懸濁媒体を硬化させているため、解析後に懸濁媒体内の微結晶を回収するのが困難となる。また、懸濁媒体は硬化する際に収縮するため、この収縮作用によって微結晶の配向が乱れてしまうという問題があった。
そこで、本出願人は、懸濁媒体を硬化させずに、X線構造解析を行う方法を提案している(特願2011−033264。以下、「先願発明」という)。この先願発明は、微結晶が懸濁した試料を回転させることにより、時間的に変動する磁場を印加して微結晶を三次元配向させて擬単結晶化した後、微結晶の配向が乱れないように試料を回転させながらX線を照射して構造解析を行っている。
【0006】
しかし、先願発明の解析方法にあっては、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を連続的に照射しているため、試料が特定の回転位置にあるときのみにX線を照射することができず、良好なX線回折像を得ることができないという問題があった。
本発明は、前記問題点に鑑みてなされたものであり、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を照射しても、良好なX線回折像を得ることができる微結晶構造解析装置、微結晶構造解析方法及びX線遮蔽装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の微結晶構造解析装置は、磁場発生部と、微結晶を懸濁させた試料に時間的に変動する磁場を印加して前記微結晶を三次元配向させるように、前記磁場発生部に対して前記試料を回転させる試料駆動部と、前記試料駆動部により回転している前記試料に対してX線を照射するX線源と、前記試料を透過して回折したX線を検出可能なX線検出部とを備えた微結晶構造解析装置であって、前記試料の回転方向の一部である特定部位の回転位置に応じて、前記X線検出部によるX線の検出が不能な状態と、前記X線検出部によるX線の検出を許容する状態とに切り換える状態切換装置を備えていることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の微結晶構造解析方法は、微結晶を懸濁させた試料を磁場発生部に対して回転させることにより、前記試料に時間的に変動する磁場を印加して前記微結晶を三次元配向させ、前記試料を回転させながら当該試料に向けてX線を照射し、当該試料を透過して回折したX線を検出する微結晶構造解析方法であって、前記試料の回転方向の一部である特定部位の回転位置に応じて、X線の検出が不能な状態と、X線の検出を許容する状態とに切り換えることを特徴とする。
【0009】
本発明の微結晶構造解析装置及び微結晶構造解析方法によれば、微結晶を懸濁させた試料を磁場発生部に対して回転させることにより、微結晶が三次元配向(擬単結晶化)される。そして、試料の回転を継続しながら試料に対してX線を照射し、その試料を透過して回折したX線を検出することで、擬単結晶のX線回折像を得ることができる。その際、特定部位の回転位置に応じてX線の検出が不能な状態と、X線の検出を許容する状態とに切り換えることで、前記特定部位が所望の方向を向いた状態の試料に対してX線を断続的に照射し続けることができる。これにより、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【0010】
前記状態切換装置は、前記試料の回転方向の一部である特定部位が所望の方向を向いていないときはX線の照射を遮蔽し、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときはX線の照射を許容するX線遮蔽装置からなることが好ましい。
この場合、試料の特定部位が所望の方向を向いているときにのみX線の照射が許容されるため、前記特定部位が所望の方向を向いた状態の試料を透過して回折したX線を、X線検出部で断続的に検出することができる。これにより、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【0011】
前記X線遮蔽装置は、X線の照射を遮蔽する遮蔽位置とX線の照射を許容する許容位置とに切り換え可能な遮蔽部と、前記遮蔽部を切り換え駆動する遮蔽駆動部と、前記特定部位が前記所望の方向を向いていないときは前記遮蔽部を前記遮蔽位置とし、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときは前記遮蔽部を前記許容位置とするように、前記遮蔽駆動部の切り換え駆動を制御する遮蔽制御部とを備えていることが好ましい。
この場合、試料の特定部位が所望の方向を向いているときにのみ、遮蔽部を遮蔽位置から許容位置に切り換えているため、前記特定部位が所望の方向を向いた状態の試料を透過して回折したX線を、X線検出部で断続的に検出することができる。これにより、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【0012】
前記遮蔽部は、円板状に形成されるとともに一方の面でX線の照射を遮蔽する遮蔽部本体と、この遮蔽部本体に形成されるとともにX線を通過させることによりX線の照射を許容するスリットとを有し、前記遮蔽駆動部は、前記遮蔽部本体をその軸線回りに回転駆動可能であり、前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部本体の回転を前記試料の回転と同期させるように、前記遮蔽駆動部を駆動制御することが好ましい。
この場合、遮蔽駆動部により遮蔽部本体を回転駆動する前に、試料の特定部位が所望の方向を向いているときにのみ、遮蔽部のスリットがX線を通過させる回転位置となるように、遮蔽部本体の回転開始位置を予め設定しておけば、円板状の遮蔽部本体を試料の回転と同期させて回転させることにより、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときにのみ、X線を照射させることができる。これにより、前記特定部位が所望の方向を向いた状態の試料を透過して回折したX線を断続的に検出することができるため、簡単な構成によって良好なX線回折像を得ることができる。
【0013】
前記スリットは、前記遮蔽部本体の周方向2箇所に、互いに略180度の角度差をもって形成されていることが好ましい。
この場合、遮蔽部本体が1回転する間に、X線を2つのスリットからそれぞれ通過させることにより試料に2回照射することができるため、スリットが1箇所のみに形成されている場合に比べて、遮蔽部本体の1回転当たりの照射時間を増加させることができる。したがって、試料を180度回転させる前の状態でX線を照射して得られるX線回折像と、180度回転した後の状態でX線を照射して得られるX線回折像とが同一である場合には、短時間で良好なX線回折像を得ることができる。
【0014】
前記遮蔽部は、前記X線源と前記試料との間に配置されていることが好ましい。
この場合、遮蔽部は散乱前のX線の照射を遮蔽及び許容することになるため、遮蔽部を試料とX線検出部との間に配置する場合、すなわち散乱後のX線の照射を遮蔽及び許容するように遮蔽部を配置する場合に比べて、遮蔽部を小型化することができる。
【0015】
前記遮蔽部は、前記X線の照射方向と交差する方向に移動することで、前記遮蔽位置と前記許容位置とに切り換え可能であることが好ましい。この場合、簡単な構成によって良好なX線回折像を得ることができる。
【0016】
前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部を前記遮蔽位置及び前記許容位置にそれぞれ切り換えるタイミングを調整可能であることが好ましい。
この場合、遮蔽部を遮蔽位置及び許容位置にそれぞれ切り換えるタイミングを調整することにより、試料の特定部位の位置を、試料の回転方向に沿って任意の位置に変更することができる。これにより、特定部位の再設定を容易に行うことができる。
【0017】
前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部を前記許容位置に保持する時間を調整可能であることが好ましい。
この場合、遮蔽部を許容位置に保持する時間を調整することにより、試料の特定部位の大きさを任意の大きさに変更することができる。これにより、試料の種類に応じて特定部位の大きさを容易に変更することができる。
前記遮蔽部は、前記試料と前記X線検出部との間に配置されていることが好ましい。
【0018】
前記X線源は、発生したX線を前記試料に向けて放射するためのX線窓部と、前記X線窓部を開閉するシャッタとを有し、前記シャッタが、前記遮蔽部とされていることが好ましい。
この場合、X線源のシャッタを遮蔽部として兼用することができるため、微結晶構造解析装置の構成を簡略化することができる。
【0019】
前記試料駆動部は、前記試料を所定回数回転させるたびにその回転を所定時間停止させており、前記磁場の磁場方向は、前記試料駆動部が前記試料の回転を停止したときに前記特定部位が前記所望の方向を向くように、調整可能であることが好ましい。
この場合、前記磁場の磁場方向を調整することで、試料駆動部が試料の回転を停止したときに、試料の特定部位を所望の方向に向けることができる。この状態において、遮蔽部は遮蔽制御部によって許容位置に切り換えられるため、試料の回転を停止している間に試料に対してX線が照射されることになる。これにより、試料を回転させている間に試料に対してX線を照射する場合に比べて、単位時間当たりの照射時間を増加させることができるため、さらに短時間で良好なX線回折像を得ることができる。
【0020】
前記状態切換装置は、前記特定部位が前記所望の方向を向いていないときは前記X線検出部のX線検出を不能とし、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときは前記X線検出部のX線検出を許容するように、前記X線検出部のX線検出を制御するX線検出制御部を備えていることが好ましい。
この場合、X線の照射を遮蔽する遮蔽部やシャッタを設ける必要がないため、微結晶構造解析装置の構成を簡略化することができる。
【0021】
前記特定部位は、前記試料の回転方向に沿って複数設定されており、前記状態切換装置は、前記複数の特定部位がいずれも前記所望の方向を向いていないときは前記X線検出部のX線検出を不能とし、前記複数の特定部位のいずれかが前記所望の方向を向いているときは前記X線検出部のX線検出を許容するように、前記X線検出部のX線検出を制御するX線検出制御部からなり、前記微結晶構造解析装置は、前記X線検出部が検出したX線から得られるX線回折像を前記特定部位毎に記憶する複数の記憶領域を有する記憶部と、前記X線検出部が前記特定部位毎にX線を検出するたびに、そのX線から得られるX線回折像を、前記記憶部の対応する特定部位の前記記憶領域に記憶させる記憶制御部とをさらに備えていることが好ましい。
この場合、試料が1回転する間に複数の特定部位のX線回折像を得ることができるため、X線構造解析を効率的に行うことができる。
【0022】
他の観点からみた本発明のX線遮蔽装置は、磁場発生部と、微結晶を懸濁させた試料に時間的に変動する磁場を印加して前記微結晶を三次元配向させるように前記磁場発生部に対して前記試料を回転させる試料駆動部と、前記試料駆動部により回転している前記試料に対してX線を照射するX線源と、前記試料を透過して回折したX線を検出可能なX線検出部とを備えた微結晶構造解析装置に設けられるX線遮蔽装置であって、X線の照射を遮蔽する遮蔽位置とX線の照射を許容する許容位置とに切り換え可能な遮蔽部と、前記遮蔽部を切り換え駆動する遮蔽駆動部と、前記試料の回転方向の一部である特定部位が所望の方向を向いていないときは前記遮蔽部を前記遮蔽位置とし、前記特定部位が前記所望の方向を向いているときは前記遮蔽部を前記許容位置とするように、前記遮蔽駆動部の切り換え駆動を制御する遮蔽制御部とを備え、前記遮蔽部は、円板状に形成されるとともに一方の面でX線の照射を遮蔽する遮蔽部本体と、この遮蔽部本体に形成されるとともにX線を通過させることによりX線の照射を許容するスリットとを有し、前記遮蔽駆動部は、前記遮蔽部本体をその軸線回りに回転駆動可能であり、前記遮蔽制御部は、前記遮蔽部本体の回転を前記試料の回転と同期させるように、前記遮蔽駆動部を駆動制御することが好ましい。
本発明によれば、上述した微結晶構造解析装置と同様の作用効果を奏する。また、X線遮蔽装置は、微結晶構造解析装置におけるX線の照射径路の途中に配置するだけでよいため、既存の微結晶構造解析装置に容易に装着することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、擬単結晶化した試料を回転させながらX線を照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る微結晶構造解析装置を示す概略構成図である。
図1において、微結晶構造解析装置1は、所定位置に配置された試料容器2に時間的に変動する磁場(以下、時間変動磁場という)を印加する微結晶配向装置10を備えている。試料容器2は、例えば有底円筒状に形成されており、医薬分野、バイオテクノロジー分野、高分子材料分野等における有機化合物、無機化合物、生体物質等の微結晶3(
図2参照)を懸濁させた試料を収容している。
【0026】
前記微結晶3は、互いに直交する三方向の磁化率がそれぞれ異なる二軸結晶からなり、磁気的に二軸異方性を有する。
図2は、微結晶3の磁化軸を示す斜視図である。微結晶3は、
図2に示すように、三軸方向それぞれに3つの異なる磁化率χ1、χ2及びχ3を有し、χ1>χ2>χ3の大小関係にある。以下、磁化率χ1の軸を磁化容易軸、磁化率χ2の軸を中間軸、磁化率χ3の軸を磁化困難軸という。
【0027】
図1において、前記微結晶配向装置10は、磁場発生部12と、この磁場発生部12に対して試料容器2を回転させる試料駆動部13と、この試料駆動部13を駆動制御する試料制御部14とを備えている。
【0028】
磁場発生部12は、ケーシング(図示省略)に固定された上下一対の永久磁石12a,12bからなる。各永久磁石12a,12bは、球状に形成されており、互いにN極とS極とが向かい合うように配置されている。これらの永久磁石12a,12bの間には、試料容器2を配置するための空間Sが形成されている。
【0029】
試料駆動部13は、例えばステッピングモータからなり、その出力軸13aの先端には、試料容器2を保持するチャック15が取り付けられている。これにより、試料駆動部13を駆動させると、出力軸13a及びチャック15を介して試料容器2が、固定された磁場発生部12に対して一方向(矢印D方向)に回転するようになっている。その際、試料容器2の回転速度は、回転磁場を形成するのに必要な速度に設定されている。
【0030】
試料制御部14は、試料容器2が略180×n度(nは任意の自然数)回転するたびに、静磁場を形成するのに必要な所定時間t
sの間、その回転を一時的に略停止させるように試料駆動部13を駆動制御している。その際、試料容器2は、所定時間t
rをかけて、略180×n度回転するようになっている。ここで、本明細書において「略停止」とは、完全に停止している状態だけでなく、実質的に静磁場が形成されるように局所的にゆっくりと回転している状態も含む意味である。
【0031】
図3は、試料制御部14による試料駆動部13の制御方法を示す模式図である。本実施形態では、
図3に示すように、試料制御部14によってxy平面上に時間変動磁場を印加するようになっている。以下、例えばz軸より見て
図3の紙面上側のx軸を基準(0度)として、試料容器2をz軸を中心に
図3の時計回り方向に回転させる場合について説明する。なお、x軸は磁場方向Bと平行に配置されている。
【0032】
まず、5度の位置から175度の位置までのy軸を含む170度の範囲(回転角度αq)では、所定の角速度ωq(例えば25rpm)により試料容器2を高速回転させる。そして、175度の位置から185度の位置までのx軸を含む10度の範囲(回転角度αs)では、所定の角速度ωs(例えば5rpm)により、試料容器2を低速回転させて略停止状態とする。
【0033】
その後、185度の位置から355度の位置までのy軸を含む170度の範囲(回転角度αq)では、前記角速度ωqにより試料容器2を高速回転させ、さらに355度の位置から5度(365度)の位置までのx軸を含む10度の範囲(回転角度αs)では、前記角速度ωsにより試料容器2を低速回転させて略停止状態とする。このように、試料容器2が170度高速回転するたびに、一時的に低速回転(略停止)させるように、試料制御部14により試料駆動部13を駆動制御することにより、時間変動磁場が印加される。
【0034】
このように時間変動磁場が印加されると、試料容器2内において懸濁された微結晶3は、高速回転中に回転磁場が形成されることにより、微結晶3の磁化困難軸がxy平面(回転面)に対して垂直なz軸方向に配向される。そして、低速回転中に静磁場が形成されることにより、微結晶3の磁化容易軸が試料容器2とともに回転するx’ y’回転座標のx’軸 方向と平行に配向されるとともに、残りの軸も自動的にy’軸方向と平行に配向される。これにより、微結晶3は、
図4(a)に示すようにランダムに配置された状態から、
図4(b)に示すように三次元配向された状態、すなわち擬単結晶化した状態となる。
【0035】
図1において、微結晶構造解析装置1は、微結晶3を擬単結晶化した状態でX線構造解析を行うために、試料容器2を回転させながら、
図1の紙面垂直方向にX線aを照射するようになっている。
図5は、試料容器2にX線aが照射されている状態を示す
図1のA矢視図である。
図5において、微結晶構造解析装置1は、試料容器2にX線aを照射するX線源21と、試料容器2を透過して回折したX線aを検出するX線検出部23とを備えている。X線検出部23は、例えばイメージングプレートからなる。
【0036】
X線源21は、
図5に示すように、発生したX線aを試料容器2に向けて放射するためのX線窓部21aと、このX線窓部21aを開閉するシャッタ21bと、このシャッタ21bを開閉駆動するシャッタ駆動部21cと、このシャッタ駆動部21cを駆動制御するシャッタ制御部21dとを有している。
シャッタ21bは、X線窓部21aの外側において上下方向に往復動可能に配置されている。具体的には、シャッタ21bは、X線窓部21aを閉鎖してX線aの放射を遮断する閉鎖位置(図の二点鎖線で示す位置)と、X線窓部21aを開放してX線aの放射を許容する開放位置(図の実線で示す位置)との間で往復動可能に配置されている。
【0037】
シャッタ駆動部21cは、例えばロータリソレノイドからなり、このロータリソレノイドを駆動することでシャッタ21bが上下方向に往復動するようになっている。シャッタ制御部21dは、X線構造解析を開始するときにシャッタ21bを開放位置とし、X線構造解析を終了するときにシャッタ21bを閉鎖位置とするように、シャッタ駆動部21cの駆動を制御している。
X線源21から放射されたX線aは、コリメータ22を通過し、試料駆動部13に保持された状態で回転している試料容器2に対して、その回転軸線C
xと略直交する方向から照射される。そして、試料容器2を透過して回折したX線aをX線検出部23が検出することにより、X線回折像を得ることができる。
【0038】
微結晶構造解析装置1は、X線aの照射を断続的に遮蔽するX線遮蔽装置30をさらに備えている。
図6は、X線遮蔽装置30により試料容器2に対するX線aの照射を遮蔽している状態を示す
図1のA矢視図である。
図5及び
図6において、X線遮蔽装置30は、X線aの照射を遮蔽する遮蔽位置(
図6参照)とX線aの照射を許容する許容位置(
図5参照)とに切り換え可能な遮蔽部31と、この遮蔽部31を切り換え駆動する遮蔽駆動部32と、この遮蔽駆動部32を試料容器2の回転と同期して駆動制御する遮蔽制御部33とを有している。
【0039】
遮蔽部31は、試料駆動部13に保持された試料容器2とX線源21との間において一方向(矢印E方向)に回転可能に配置されている。
図7は、遮蔽部31の正面図を示す
図5のB−B矢視図である。
図7において、遮蔽部31は、例えば鉛材料により円板状に形成されているとともに一方(
図6の右側)の面でX線aの照射を遮蔽する遮蔽部本体31aと、この遮蔽部本体31aの外周部に形成されるとともにX線aを通過させることにより試料容器2に対するX線aの照射を許容する一対のスリット31bとを有している。遮蔽部本体31aの回転軸線C
sは、試料容器2の回転軸線C
xと略直交して配置されている。
【0040】
各スリット31bは、凹溝からなり、遮蔽部本体31aの外周部の周方向2箇所に、互いに略180度の角度差をもって形成されている。また、各スリット31bの周方向両側の側面31cは、遮蔽部本体31aの回転軸線C
sを中心として径方向外側に延びて形成されており、両側面31c同士のなす角度θ
sは、試料容器2の後述する特定部位2aの所定角度θ
xnと同一角度に設定されている。これにより、遮蔽部31は、遮蔽部本体31aをその回転軸線C
s回りに一方向へ回転させると、遮蔽部本体31aによりX線aが遮蔽される回転位置(遮蔽位置)と、スリット31bからX線aが通過する回転位置(許容位置)とに交互に切り換わるようになっている。
【0041】
図5及び
図6において、遮蔽駆動部32は、例えばステッピングモータからなり、遮蔽駆動部32の出力軸32aの先端には、遮蔽部本体31aの中心部が取り付けられている。したがって、遮蔽駆動部32を駆動させることにより、出力軸32aを介して遮蔽部31をその回転軸線C
s回りに回転させることができる。
【0042】
図8は、
図5の試料容器2を示す拡大図である。
図8において、試料容器2の外周の周方向(回転方向)の一部には、X線aが照射される特定部位2aが設定される。本実施形態において試料容器2内で擬単結晶化された微結晶3は、試料容器2を180度回転させる前の状態でX線aを照射して得られるX線回折像と、180度回転した後の状態でX線aを照射して得られるX線回折像とが同一となる。したがって、本実施形態の特定部位2aは、試料容器2の外周部の2箇所に略180度の角度差をもって設定される。
【0043】
また、各特定部位2aは、回転軸線C
xを中心とする所定角度θ
x1(例えば10度)に設定される。そして、この所定角度θ
x1についてX線aを照射してX線回折像を得た後は、当該所定角度θ
x1に隣接する同一角度θ
x2について各特定部位2aが新たに設定し直される。このように、特定部位2aの再設定を繰り返すことにより、回転軸線C
xを中心とする所定の角度範囲(θ
x1+θ
x2+・・・+θ
xn)について、複数個(n個)のX線回折像を得ることができる。
【0044】
遮蔽制御部33は、前記特定部位2aが所望の方向を向いていないときは、遮蔽部31を前記遮蔽位置としてX線aの照射を遮蔽し(
図6参照)、前記特定部位2aが所望の方向を向いているときは、遮蔽部31を前記許容位置としてX線aの照射を許容するように(
図5参照)、遮蔽駆動部32の回転駆動を制御している。
したがって、本実施形態におけるX線遮蔽装置30は、特定部位2aの回転位置に応じて、X線検出部23によるX線aの検出が不能な状態と、X線検出部23によるX線aの検出を可能な状態とに切り換える状態切換装置Gとされている。
【0045】
前記所望の方向は、適宜任意の方向に設定されるが、例えば本実施形態では、特定部位2aが所望の方向を向いている状態を、特定部位2aが試料容器2に対するX線aの照射位置Fにあって、X線源21の方向を向いている状態としている。
遮蔽制御部33は、遮蔽部31の回転を試料容器2の回転と同期させるように、遮蔽駆動部32の回転駆動を制御している。すなわち、試料容器2が高速回転するときは、遮蔽部31を試料容器2と同一の角速度ωqで高速回転させ、試料容器2が低速回転するときは、遮蔽部31を試料容器2と同一の角速度ωsで低速回転させるように、遮蔽駆動部32の回転駆動を制御している。
【0046】
したがって、上述のように試料容器2の特定部位2aを設定して遮蔽部31を回転させるときに、その回転開始位置を、
図5に示すように、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いている状態、すなわち特定部位2aがX線aの照射位置Fに存在しているときに、遮蔽部31のスリット31bがX線aを通過させる回転位置となるように予め設定しておけばよい。このようにすれば、遮蔽部31を試料容器2と同期して回転させた後は、特定部位2aがX線aの照射位置Fと一致する回転位置となるたびに、遮蔽部31のスリット31bがX線aを通過させる回転位置となる。
【0047】
これにより、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いた状態で、当該試料容器2に対してX線aが断続的に照射される。したがって、所定時間t
x(例えば5分)の間、試料容器2に対してX線aを断続的に照射し、試料容器2を透過して回折したX線aをX線検出部23が検出することで、擬単結晶化した試料のX線回折像を得ることができる。
【0048】
以上、本実施形態の微結晶構造解析装置1及び微結晶構造解析方法によれば、微結晶3を懸濁させた試料容器2を磁場発生部12に対して回転させると、微結晶3が三次元配向(擬単結晶化)される。そして、その回転を継続しながら試料容器2に対してX線aを照射し、試料容器2を透過して回折したX線aを検出することで、擬単結晶化した試料のX線回折像を得ることができる。その際、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いているときにのみ、遮蔽部31を遮蔽位置から許容位置に切り換えることでX線aの照射が許容されるため、特定部位2aが所望の方向を向いた状態の試料容器2に対してX線aを断続的に照射することができる。これにより、擬単結晶化した試料を回転させながらX線aを照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【0049】
また、遮蔽駆動部32により円板状の遮蔽部本体31aを回転駆動する前に、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いているときにのみ、遮蔽部31のスリット31bがX線aを通過させる回転位置となるように、遮蔽部本体31aの回転開始位置を予め設定しておけば、遮蔽部本体31aを試料容器2の回転と同期させて回転させることにより、前記特定部位2aが前記所望の方向を向いているときにのみ、X線aを照射させることができる。これにより、前記特定部位が所望の方向を向いた状態の試料に対してX線aを断続的に照射することができるため、簡単な構成によって良好なX線回折像を得ることができる。
【0050】
また、遮蔽部31のスリット31bは、遮蔽部本体31aの周方向2箇所に、互いに略180度の角度差をもって形成されているため、遮蔽部本体31aが1回転する間に、X線aを2つのスリット31bからそれぞれ通過させることにより、試料容器2に2回照射することができる。これにより、スリット31bが1箇所のみに形成されている場合に比べて、遮蔽部本体31aの1回転当たりの照射時間を増加させることができる。したがって、試料容器2を180度回転させる前の状態でX線aを照射して得られるX線回折像と、180度回転した後の状態でX線aを照射して得られるX線回折像とが同一である場合には、短時間で良好なX線回折像を得ることができる。
【0051】
また、遮蔽部31は、X線源21と試料容器2との間に配置されているため、遮蔽部31は散乱前のX線aの照射を遮蔽及び許容することになる。したがって、遮蔽部31を試料容器2とX線検出部23との間に配置する場合、すなわち散乱後のX線aの照射(
図5参照)を遮蔽及び許容するように遮蔽部31を配置する場合に比べて、遮蔽部31を小型化することができる。
また、X線遮蔽装置30は、微結晶構造解析装置1におけるX線aの照射径路の途中に配置するだけでよいため、既存の微結晶構造解析装置に容易に装着することができる。
【0052】
図9は、本発明の上記微結晶構造解析装置によりX線遮蔽装置を用いて行ったときの擬単結晶化した試料のX線回折像を示す図面代用写真である。具体的には、
図9(a)は、試料容器の周方向の一部である任意の10度の角度について特定部位を設定したときのX線回折像であり、
図9(b)は、
図9(a)の角度範囲と異なる10度の角度について特定部位を設定したときのX線回折像である。試料容器内の試料は、L−アラニンの微結晶(粒径<80μm)を懸濁媒体である紫外線硬化モノマーに約10wt%含ませた懸濁液からなる。
【0053】
図10は、本発明の微結晶構造解析装置によりX線遮蔽装置を用いずに行ったときの擬単結晶化した試料のX線回折像を示す図面代用写真である。
図10で用いた微結晶構造解析装置は、回転している試料に常にX線が照射されるため、試料の全周に亘る各回転位置にX線が照射されることになる。このため、
図10のX線回折像は、試料の全周に亘る各回転位置で回折された全ての回折スポット(図中の白い点)が観察される。これに対して、
図9(a)及び(b)のX線遮蔽装置を用いた各X線回折像を比較すると、観察される回折スポットの位置が異なっており、試料の各特定部位に対応する回折スポットのみがそれぞれ観察されるのが分かる。すなわち、本発明のX線遮蔽装置を用いれば、擬単結晶化した試料について、良好なX線回折像が得られることが分かる。
【0054】
図11は、本発明の第2の実施形態に係る微結晶構造解析装置1を示す概略構成図である。また、
図12は、その微結晶構造解析装置1の微結晶配向装置10において、試料制御部14による試料駆動部13の制御方法を示す模式図である。本実施形態の微結晶構造解析装置1は、微結晶配向装置10における試料駆動部13の駆動制御方法及び磁場発生部12の構成がそれぞれ異なる点で、第1の実施形態と相違している。
【0055】
図12において、本実施形態の微結晶配向装置10における試料制御部14は、試料容器2を所定回数回転させるたびに、その回転を所定時間停止するように試料駆動部13を駆動制御している。すなわち、試料制御部14は、静磁場を形成する際に、試料容器2を低速回転させずに、完全に停止させることによって略停止状態としている。以下、試料制御部14の制御方法について、例えばz軸より見て
図12の紙面上側のx軸を基準(0度)として、試料容器2をz軸を中心に
図12の時計回り方向に回転させる場合について説明する。
【0056】
まず、0度の位置から180度の位置までのy軸を含む180度の範囲(回転角度αq)では、所定の角速度ωq(例えば25rpm)により試料容器2を回転させる。そして、x軸上である180度の位置では、試料容器2を所定時間t
s(例えば1秒)の間、完全に停止させる。
【0057】
その後、180度の位置から0度(360度)の位置までのy軸を含む180度の範囲(回転角度αq)では、前記角速度ωqにより試料容器2を再び回転させる。そして、0度の位置であるx軸上では、試料容器2を所定時間t
s(例えば1秒)の間、完全に停止させる。このように、試料容器2が180度回転するたびにその回転を一時的に停止させるように、試料制御部14が試料駆動部13を駆動制御することにより、時間変動磁場が印加される。
【0058】
このように時間変動磁場が印加されると、試料容器2内において懸濁された微結晶3は、回転中に回転磁場が形成されることにより、微結晶3の磁化困難軸がxy平面(回転面)に対して垂直なz軸方向に配向される。そして、停止中に静磁場が形成されることにより、微結晶3の磁化容易軸が試料容器2とともに回転するx’ y’回転座標のx’軸方向と平行に配向されるとともに、残りの軸も自動的にy’軸方向と平行に配向される。これにより、微結晶3は、ランダムに配置された状態(
図4(a)参照)から、三次元配向された状態(
図4(b)参照)、すなわち擬単結晶化した状態となる。
【0059】
なお、本実施形態では、略180度毎に回転を略停止させているが、360度(1回転)毎や540度(1回転半)毎など複数回転毎に回転を略停止させたり、毎回異なる回転角度で略停止させるようにしてもよい。要するに、略180度の任意の自然数倍まで回転させたときに略停止させるようにすればよい。
【0060】
図11において、本実施形態の微結晶構造解析装置1は、時間変動磁場の磁場方向B(
図13(a)及び(b)参照)を調整可能としている。具体的には、磁場発生部12の永久磁石12a,12bは、試料容器2の回転軸線C
xを中心として回転自在とされ、かつ所定の回転位置に保持されるようになっている。これにより、永久磁石12a,12bを回転させて時間変動磁場の磁場方向Bを調整することで、試料容器2に対してX線aを照射する際に、試料容器2の回転が停止したときに、試料容器2の特定部位2aを所望の方向に向けることができる。以下、時間変動磁場の磁場方向Bの調整方法について説明する。
【0061】
図13(a)は
図11に示す試料容器2の拡大図であり、
図13(b)は時間変動磁場の磁場方向Bを調整した状態を示す試料容器2の拡大図である。
図13(a)において、磁場発生部12の永久磁石12a,12bは、磁場方向Bが鉛直上方向を向いた状態となる回転位置に保持されている。この状態において、試料容器2の回転が停止したときに、X線aの照射位置F及びその照射位置Fに対して180度の角度差のある位置に存在する所定角度θ
x1を試料容器2の特定部位2aとして設定すれば、試料容器2が180度回転して停止するたびに、試料容器2の各特定部位2aをX線aの照射位置Fに存在させることができる。
【0062】
所定角度θ
x1の特定部位2aにX線aを照射してX線回折像を得た後は、
図13(b)に示すように、第1の実施形態と同様に、所定角度θ
x1に隣接する同一角度θ
x2について各特定部位2aが新たに設定し直される。その際、永久磁石12a,12bを、
図13(a)の回転位置から回転軸線C
xを中心として例えば反時計回り方向に所定角度θ
x1だけ回転させ、その回転位置に保持させる。これにより、
図13(b)の磁場方向Bは、
図13(a)の磁場方向Bに対して所定角度θ
x1だけ傾斜した状態となる。そして、この磁場方向Bが変更されることによって、
図13(b)に示すように、試料容器2の直前の特定部位2aである所定角度θ
x1の部分が、X線aの照射位置Fに対して反時計方向にずれるとともに、再設定された特定部位2aである所定角度θ
x2の部分が、X線aの照射位置Fに存在することになる。
【0063】
以上のように、試料容器2の特定部位2aを設定するときに、永久磁石12a,12bを回転させて時間変動磁場の磁場方向Bを変更することにより、試料容器2の回転が停止したときに、試料容器2の特定部位2aを、所望の方向に向いた状態、すなわちX線aの照射位置Fに存在させることができる。この状態において、試料容器2と同期して回転する遮蔽部31のスリット31bは、X線aを通過させる回転位置(許容位置)となるため、試料容器2の回転を停止している間に試料容器2に対してX線aを照射させることができる。
なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0064】
以上、本実施形態の微結晶構造解析装置1及び微結晶構造解析方法においても、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いているときにのみ、X線aの照射が許容されるため、特定部位2aが前記所望の方向を向いた状態の試料に対してX線aを断続的に照射することができる。これにより、擬単結晶化した試料を回転させながらX線aを照射しても、良好なX線回折像を得ることができる。
【0065】
また、本実施形態の微結晶構造解析装置1によれば、時間変動磁場の磁場方向Bを調整することで、試料駆動部13が試料容器2の回転を停止したときに、試料容器2の特定部位2aを所望の方向に向けることができる。この状態において、遮蔽部31のスリット31bはX線aを通過させる回転位置となるため、試料容器2の回転を停止している間に試料容器2にX線aが照射されることになる。これにより、試料容器2を回転させている間に試料容器2にX線aを照射する場合に比べて、単位時間当たりの照射時間を増加させることができるため、さらに短時間で良好なX線回折像を得ることができる。
【0066】
図14は、本発明の第3の実施形態に係る微結晶構造解析装置1を示す概略構成図である。本実施形態の微結晶構造解析装置1は、X線遮蔽装置30の各構成がそれぞれ異なる点で、第1の実施形態と相違している。
図14に示すように、本実施形態におけるX線遮蔽装置30の遮蔽部31は、試料容器2とX線検出部23との間に配置された平板状のシャッタ31dからなる。このシャッタ31dは、X線aの照射方向と交差する方向である上下方向に移動することで、遮蔽位置(図の二点鎖線で示す位置)と許容位置(図の実線で示す位置)とに切り換え可能である。
【0067】
X線遮蔽装置30の遮蔽駆動部32は、例えばロータリソレノイドからなり、このロータリソレノイドを駆動することでシャッタ31dが上下方向に往復動するようになっている。
X線遮蔽装置30の遮蔽制御部33は、特定部位2aが所望の方向を向いていないときは、シャッタ31dを遮蔽位置としてX線aの照射を遮蔽し、特定部位2aが所望の方向を向いているときは、シャッタ31dを許容位置としてX線aの照射を許容するように、遮蔽駆動部32を試料容器2の回転と同期して駆動制御している。具体的には、遮蔽制御部33は、特定部位2aの回転位置が照射位置Fと一致した状態から、試料容器2が回転して次に前記回転位置が照射位置Fと一致するまでの所要時間を、試料容器2の回転速度等から算出し、その所要時間に基づいて遮蔽部31を許容位置と遮蔽位置とに切り換える。
【0068】
また、遮蔽制御部33は、シャッタ31dを遮蔽位置及び許容位置にそれぞれ切り換えるタイミングを調整可能である。これにより、例えば
図8に示すように、特定部位2aの角度θ
x1をこれに隣接する角度θ
x2に再設定する場合、遮蔽制御部33は、シャッタ31dを許容位置及び遮蔽位置にそれぞれ切り換えるタイミングを少し遅らせることになり、特定部位2aを前記角度θ
x2に再設定することができる。
【0069】
さらに、遮蔽制御部33は、シャッタ31dを許容位置に保持する時間を調整可能である。これにより、前記保持する時間を短くすることで、特定部位2aの角度範囲θ
xn(
図8参照)を小さくすることできる。また、逆に前記保持する時間を長くすることで、特定部位2aの前記角度範囲θ
xnを大きくすることできる。
なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0070】
以上、本実施形態の微結晶構造解析装置1によれば、遮蔽部31は、X線aの照射方向と交差する方向に移動することで、遮蔽位置と許容位置とに切り換え可能であるため、簡単な構成によって良好なX線回折像を得ることができる。
また、遮蔽制御部33は、遮蔽部31を遮蔽位置から許容位置に切り換えるタイミングを調整することができるため、試料容器2の特定部位2aの位置を、試料容器2の回転方向Dに沿って任意の位置に変更することができる。これにより、特定部位2aの再設定を容易に行うことができる。
【0071】
さらに、遮蔽制御部33は、遮蔽部31を許容位置に保持する時間を調整することができるため、試料容器2の特定部位2aの大きさを任意の大きさに変更することができる。これにより、試料の種類に応じて特定部位2aの大きさを容易に変更することができる。
【0072】
図15は、本発明の第4の実施形態に係る微結晶構造解析装置1を示す概略構成図である。本実施形態の微結晶構造解析装置1は、X線源21がX線遮蔽装置30を兼用している点で、第1の実施形態と相違している。すなわち、本実施形態におけるX線遮蔽装置30は、X線源21のシャッタ21bが遮蔽部31とされ、シャッタ駆動部21cが遮蔽駆動部32とされ、シャッタ制御部21dが遮蔽制御部33とされている。
【0073】
シャッタ制御部21dは、特定部位2aが所望の方向を向いていないときは、シャッタ21bを遮蔽位置(閉鎖位置)としてX線aの照射を遮蔽し、特定部位2aが所望の方向を向いているときは、シャッタ31dを許容位置(開放位置)としてX線aの照射を許容するように、シャッタ駆動部21cを試料容器2の回転と同期して駆動制御している。
なお、シャッタ制御部21dの具体的な駆動制御方法は、第3の実施形態における遮蔽制御部33が行う駆動制御方法と同様であるためその説明を省略する。また、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
以上、本実施形態の微結晶構造解析装置1によれば、X線源21がX線遮蔽装置30を兼用しているため、微結晶構造解析装置1の構成を簡略化することができる。
【0074】
図16は、本発明の第5の実施形態に係る微結晶構造解析装置1を示す概略構成図である。本実施形態の微結晶構造解析装置1は、X線aを遮断することなく、良好なX線回折像を得ることができるようにしている点で、第1の実施形態と相違している。具体的には、本実施形態の微結晶構造解析装置1は、X線遮蔽装置30を設けていない点と、X線検出部23の構成が異なる点で、第1の実施形態と相違している。
【0075】
図16において、本実施形態のX線検出部23は、例えばCCDイメージセンサからなる。また、本実施形態の微結晶構造解析装置1は、X線検出部23のX線検出を制御するX線検出制御部24を備えている。X線検出制御部24は、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いていないときはX線検出部23のX線検出を不能とし、試料容器2の特定部位2aが所望の方向を向いているときはX線検出部23のX線検出を許容する。
したがって、本実施形態におけるX線検出制御部24は、特定部位2aの回転位置に応じて、X線検出部23によるX線aの検出が不能な状態と、X線検出部23によるX線aの検出を可能な状態とに切り換える状態切換装置Gとされている。
【0076】
また、本実施形態の微結晶構造解析装置1は、試料容器2の回転方向Dに沿って特定部位2aを予め複数個(n個)設定した状態でX線構造解析を行うようになっている。これに伴い、微結晶構造解析装置1は、X線検出部23が検出したX線aから得られるX線回折像を特定部位2a毎に記憶する複数の記憶領域25aを有する記憶部25と、X線検出部23が特定部位2a毎にX線aを検出するたびに、そのX線aから得られるX線回折像を、記憶部25の対応する特定部位2aの記憶領域に記憶させる記憶制御部26とをさらに備えている。記憶領域25aの個数は、特定部位2aの設定個数に合わせて設定されており、本実施形態では第1〜第n記憶領域からなる。
【0077】
X線検出制御部24は、試料容器2が1回転をする間に、各特定部位2aが順次、所望の方向を向いたとき、X線検出部23により各特定部位2aのX線aを検出させる。そして、記憶制御部26は、X線検出部23が検出した各特定部位2aのX線aから得られるX線回折像を、その都度、記憶部25の対応する特定部位2aの記憶領域に記憶させる。
【0078】
例えば、各特定部位2aの角度範囲θ
xn(
図8参照)を10°とし、試料容器2の全周(360°)に亘って特定部位2aを36個設定した場合、記憶部25には、第1記憶領域から第36記憶領域まで合計36個の記憶領域が設定される。そして、試料容器2が1回転をする間に、一の特定部位2aの角度範囲θ
x1が所定の方向を向いたとき、X線検出制御部24は、X線検出部23が検出した当該角度範囲θ
x1のX線aから得られるX線回折像を、記憶部25の第1記憶領域に記憶させる。その際、第1記憶領域に過去のX線回折像が存在する場合、X線検出制御部24は、新たに記憶させようとするX線解析像を、過去に記憶されたX線回折像に積層するように第1記憶領域に記憶させる。
【0079】
そして、次の特定部位2aの角度範囲θ
x2が所定の方向を向いたとき、X線検出制御部24は、X線検出部23が検出した当該角度範囲θ
x2のX線aから得られるX線回折像を、記憶部25の第2記憶領域に記憶させる。その際、第2記憶領域に過去のX線回折像が存在する場合、X線検出制御部24は、新たに記憶させようとするX線解析像を、過去に記憶されたX線回折像に積層するように第2記憶領域に記憶させる。
このようにして、X線検出制御部24は、試料容器2が1回転をする間に、特定部位2aの角度範囲θ
x1〜θ
x36の各X線aから順次得られるX線回折像を、その都度、記憶部25の対応する第1〜第36記憶領域にそれぞれ記憶させる。
なお、本実施形態のその他の構成については、第1の実施形態と同様であるためその説明を省略する。
【0080】
以上、本実施形態の微結晶構造解析装置1によれば、特定部位2aが所望の方向を向いていないときはX線検出部23のX線検出を不能とし、特定部位2aが所望の方向を向いているときはX線検出部23のX線検出を許容するように、X線検出部23のX線検出を制御するX線検出制御部24を備えているため、第1〜第4実施形態のように、X線aの照射を遮蔽する遮蔽部31やシャッタ31d等を設ける必要がなく、微結晶構造解析装置1の構成を簡略化することができる。
【0081】
また、X線検出制御部24は、X線検出部23が各特定部位2a毎にX線aを検出するたびに、そのX線aから得られるX線回折像を、記憶部25の対応する特定部位2aに記憶させることができる。これにより、試料容器2が1回転する間に複数の特定部位2aのX線回折像を得ることができるため、X線構造解析を効率的に行うことができる。
【0082】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されることなく適宜変更して実施可能である。例えば、第1及び第2の実施形態(
図5,
図11参照)における遮蔽部31は、X線源21と試料容器2との間に配置されているが、試料容器2とX線検出部23との間に配置されていてもよい。
また、試料駆動部13及び遮蔽駆動部32の駆動は、それぞれ試料制御部14及び遮蔽制御部33によって個別に制御されているが、単一の制御部によって制御されるようにしてもよい。
また、遮蔽部31のスリット31bは、凹溝以外の任意形状の溝や、遮蔽部本体31aをその厚み方向に貫通して形成された貫通孔であってもよい。
また、上記実施形態における永久磁石12a,12bは、球状に形成されているが、棒状等の他の形状に形成されていてもよい。また、上記実施形態の磁場発生部12は、永久磁石12a,12bを用いているが、電磁石など磁場を発生させるものを用いればよい。
【0083】
また、第2の実施形態における磁場発生部12の永久磁石12a,12bは、X線aを照射する際に、回転調整した状態に保持されているが、所定角度θ
xnだけ揺動させながらX線aを照射するようにしてもよい。この場合、X線aを照射する際に、試料容器2の所定角度θ
xnについて設定された特定部位2a全体にX線aを照射することができるため、さらに良好なX線回折像を得ることができる。
また、時間変動磁場の磁場方向Bは、磁場発生部12の永久磁石12a,12bを回転させることによって調整可能としているが、磁場発生部12の永久磁石12a,12bを固定した状態で、X線源21、コリメータ22、X線検出部23及びX線遮蔽装置30を、試料容器2の回転軸線C
xを中心として回転させることによって、磁場方向Bを調整するようにしてもよい。
【0084】
また、第2の実施形態における磁場方向Bの調整は、第3及び第4の実施形態(
図14,
図15)における微結晶構造解析装置1にも適用することができる。
また、第3及び第4の実施形態における遮蔽部31は、上下移動させることによって切り換えているが、
図14,
図15の各紙面に対して垂直方向に移動させることによって切り換えるようにしてもよい。
また、第3の実施形態における遮蔽部31は、試料容器2とX線検出部23との間に配置されているが、X線源21と試料容器2との間に配置されていてもよい。
また、第3の実施形態の遮蔽制御部33による遮蔽部31を切り換えるタイミング調整や遮蔽部31を許容位置に保持する時間調整は、第4の実施形態のシャッタ制御部21d(遮蔽制御部33)の駆動制御にも適用することができる。
また、第4の実施形態におけるX線源21のシャッタ21b、シャッタ駆動部21c及びシャッタ制御部21dは、X線遮蔽装置30の遮蔽部31、遮蔽駆動部32及び遮蔽制御部33を兼用しているが、少なくともシャッタ21bが遮蔽部31を兼用していればよい。
【0085】
また、第1〜第4の実施形態におけるX線遮蔽装置30は、遮蔽部31を許容位置と遮蔽位置との切り換えるために、遮蔽駆動部32及び遮蔽制御部33を用いているが、リンク機構等の機械的伝達手段を用いて、試料容器2の回転と連動して遮蔽部31を切り換えるようにしてもよい。
また、試料駆動部13は、磁場発生部12に対して試料容器2を回転させているが、試料容器2に対して磁場発生部12を回転させるようにしてもよい。この場合、X線源21、コリメータ22、X線検出部23及びX線遮蔽装置30を、試料容器2の回転軸線C
xを中心として回転させればよい。