(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第二装飾体は、前記移動体の上部において、前記前後方向と直交する平面内を回動可能に支持され、且つ、前記支持体の上部に、揺動可能な連結部材で連結することを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の演出装置。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の演出装置では、2つの装飾体が、互いに歯合する2つのアーム回転ギアの回動によって同時に上昇して同時に開成してしまう。一方の装飾体が表示部を有する場合、表示部の表示に遊技者の注目を集めようとしても、他方の装飾体の動作も遊技者の視界に入ってしまうため、一方の装飾体のみに遊技者の注目を集めることは難しかった。
【0005】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、表示部を有する第一装飾体を移動させて遊技者の注目を第一装飾体のみに確実に集めつつ、さらに、表示部を有さない第二装飾体とともに移動して、遊技者の注目を双方の装飾体に集めることができる演出装置および遊技機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1態様によれば、モータと、前記モータの動力で上下方向に移動するとともに、遊技に関する情報を表示する表示部と、前記上下方向に直交する前後方向に沿って後方へ向けて突出するピンとを有する第一装飾体と、前記モータを保持するとともに、前記前後方向において前記第一装飾体よりも後方側で前記第一装飾体と向き合って配置され、前記第一装飾体を前記上下方向へ移動可能に支持する支持体と、前記前後方向において前記第一装飾体と前記支持体との間に配置され、前記支持体に前記上下方向へ移動可能に支持さ
れ、且つ、前記上下方向に延びて前記ピンが係合する係合溝を有する移動体と、前記移動体の上部に設けられた第二装飾体と、を備え、前記係合溝は、前記第一装飾体が前記上下方向に移動可能な範囲において前記ピンが位置する最下点の位置と最上点の位置との間の長さよりも短い長さで前記上下方向に延
び、前記第一装飾体が、前記モータの可動によって前記上下方向における移動範囲の下端の原点位置から、移動範囲の途中の第一演出位置に移動するとき、前記ピンは、前記係合溝の前記最下点の位置と前記最上点の位置との間にあり、前記移動体と前記第二装飾体は、自重により、前記原点位置に維持され、前記第一装飾体が、前記第一演出位置から、移動範囲の上端の第二演出位置に移動するとき、前記ピンは、前記係合溝の前記最上点の位置にあり、前記移動体と前記第二装飾体は、前記第一装飾体とともに上方向に移動することを特徴とする演出装置が提供される。
【0007】
第二装飾体は、移動体の自重によって、移動体とともに
原点位置に位置している。第一装飾体がモータによって
原点位置から上方の第一演出位置に移動するとき、第一装飾体のピンが移動体の係合溝内を移動するため、移動体と第二装飾体は動かない。これにより、第一装飾体の表示部のみに遊技者の注目を確実に集めることができる。第一装飾体
が第一演出位置からさらに上方向
の第二演出位置へ移動した場合、移動体の係合溝の長さが第一装飾体の移動範囲の長さ(ピンの最下点の位置と最上点の位置との間の長さ)より短いため、ピンが係合溝の上端に達する。そしてピンで移動体を上方向に押し上げるので、第二装飾体が第一装飾体とともに上方向に移動する。第一装飾体と第二装飾体が協働するため、演出がよりダイナミックなものとなり、遊技者に、遊技に対する期待感をより高めさせることができる。
【0008】
第1態様において、前記表示部は、複数の7セグメント表示器で構成してもよい。7セグメント表示器はドットマトリクスや液晶等の表示器と比べて表示できるメッセージが限られるので、メッセージを受け取った遊技者の想像力を働かせ、遊技に対する期待感や高揚感を高めさせることができる。
【0009】
第1態様は、前記支持体に設けられ、前記モータの動力によって軸回りに回転するピニオンと、前記第一装飾体に設けられ、前記上下方向に延び、前記ピニオンに噛み合う歯部を有するラックと、をさらに備えてもよい。ラックとピニオンによる動力伝達は、ギアとギアの噛み合わせを複数段重ねて動力を伝達する場合と比べて省スペース化を図ることができる。ゆえに、第一装飾体や第二装飾体のレイアウトに対する制限が小さくて済み、よりダイナミックな動作を行う装飾体を配置することが可能となる。また、動力伝達の段数が少なくて済むので、モータにかかる負荷が小さくて済む。
【0010】
第1態様において、前記第二装飾体は、前記移動体の上部において、前記前後方向と直交する平面内を回動可能に支持され、且つ、前記支持体の上部に、揺動可能な連結部材で連結してもよい。第一装飾体とともに移動体が上方に移動する際に、第二装飾体は、回動可能に支持される部位が上方に移動するが、支持体に連結部材を介して連結するため、上昇しながら回動する。第二装飾体は単に上昇するだけでなく上昇しながら回動するという躍動的な動きを見せるので、第二装飾体よりも先に動作した第一装飾体に集まっている遊技者の注目を、第二装飾体にも向けさせることができる。
【0011】
本発明の第2態様によれば、第1態様に係る演出装置と、前記モータの回転を制御して前記第一装飾体の移動位置を調整する制御手段と、を備えた遊技機が提供される。モータの回転制御によって第一装飾体の移動位置を調整するだけで、第一装飾体だけが動作する演出と、第一装飾体と第二装飾体が協働する演出とを容易に選択することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る演出装置および遊技機の一実施の形態である演出装置100とパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、演出装置100を備えるパチンコ機1の機械的な構成について、
図1を参照して説明する。なお、以下の説明において、パチンコ機1の上下方向、左右方向、および表裏方向については、特に断りがない場合、遊技盤2の盤面の向きを基準とする。すなわち、ホールに設置されたパチンコ機1で遊技を行う遊技者からパチンコ機1を見た向き(
図1に図示されるパチンコ機1の向き)が基準となる。以下では便宜上、表裏方向を前後方向として説明を行う。また、パチンコ機1に使用される装置や部品についても、パチンコ機1に組み付けられた場合の向きを基準に、上下方向、左右方向、および前後方向を規定するものとする。
【0014】
図1に示すように、パチンコ機1の上段側には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり、透明なガラス板を保持した前面枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下段側には上皿5および下皿6が設けられている。上皿5は遊技盤2の下部に設けられ、発射機(図示外)に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける。上皿5の上部中央には、遊技者によって操作される操作ボタン9が配設されている。下皿6は上皿5の直下に設けられ、上皿5から溢れたり排出されたりする賞品球を受ける。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。また、前面枠13の上部の左右の角には、スピーカ48がそれぞれ設けられている。
【0015】
遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4の略中央には、LCD(液晶ディスプレイ)等を用いて構成される表示装置28が設けられている。表示装置28の表示画面には、動画、メッセージ等の様々な映像が表示され、特に、大当り判定の結果を報知するためのデモ図柄が表示される。パチンコ機1は、複数(本実施形態では3つ)のデモ図柄を変動させた後に、大当たり判定の結果を示すデモ図柄の組み合わせを確定表示させる報知演出を実行することで、大当たり判定の結果を遊技者に報知する。
【0016】
表示装置28の外縁を取り囲むように、各種演出を行う複数の演出装置が設けられている。そのうちの一つである演出装置100は、表示装置28の下側外縁に沿って設けられている。詳細については後述するが、演出装置100は、モータの動力を用いて装飾体を駆動し、さらにLED等の発光体を発光させ、表示装置28およびスピーカ48等と連動しながら様々な演出を行う。
【0017】
表示装置28の右方には普通図柄始動ゲート12が設けられている。普通図柄始動ゲート12の下方には第二特別図柄始動電動役物15が配設されている。第二特別図柄始動電動役物15の左斜め下方には、通常アタッカー16が設けられている。通常アタッカー16は開閉部材を備え、遊技球は、開閉部材が開放した状態でのみ、通常アタッカー16に入賞できる。表示装置28の下方には、第一特別図柄始動入賞口14が設けられている。第一特別図柄始動入賞口14の直下にはVアタッカー17が設けられている。Vアタッカー17も開閉部材を備え、遊技球は、開閉部材が開放した状態でのみ、Vアタッカー17に入賞できる。第一特別図柄始動入賞口14、第二特別図柄始動電動役物15、通常アタッカー16、Vアタッカー17に遊技球が入賞すると、それぞれ所定数の遊技球が商品球として払い出される。
【0018】
本実施形態では、第一特別図柄始動入賞口14に入賞すると、第一特別図柄大当たり判定が行われる。その結果、大当たりであると判定されると、通常アタッカー16およびVアタッカー17が所定の順序で開放される大当たり遊技が実行される。Vアタッカー17に入賞した遊技球の流路には、特定領域および非特定領域が形成されている。パチンコ機1では、大当たり遊技中に遊技球がVアタッカー17内の特定領域を通過することが、大当たり遊技終了後に確率変動状態を生起する条件となっている。Vアタッカー17は、本実施の形態では1回の大当たり遊技中に1回開放される。なお、遊技盤2の背面側には、遊技の主制御、各種演出等を制御する制御部(図示外)が設けられている。
【0019】
また、普通図柄始動ゲート12を遊技球が通過すると、普通当たり判定が行われる。その結果、普通当たりであると判定されると、第二特別図柄始動電動役物15が開放される。遊技球が第二特別図柄始動電動役物15に入賞すると、第二特別図柄大当たり判定が行われる。その結果、大当たりであると判定されると、上記同様に大当たり遊技が実行される。
【0020】
図示しないが、パチンコ機1の背面側には、各種基板を備えた制御部が設けられている。制御部の各基板は、CPU、RAM、ROM等を備えており、パチンコ機1の各種動作を制御する。例えば、主基板は、普通当たり判定、大当たり判定等を行い、パチンコ機1の主制御を司る。中継基板は、主基板で行われた制御結果に基づいて、通常アタッカー16やVアタッカー17の開閉部材の開閉を行うソレノイドを駆動する。また、演出基板は、後述する演出装置100の表示部120の表示制御や、電飾用LED等の発光制御、第一装飾体110および第二装飾体130L,130Rを昇降させる駆動モータ180L,180Rの駆動制御等を行う。
【0021】
次に、
図2〜
図4を参照し、演出装置100の構造の詳細について説明する。
図2に示すように、本実施形態の演出装置100は、枠状の樹脂ケースからなるケース体30の前面側に設けられる。ケース体30の前側には遊技盤2(
図1参照)が設けられ、後側には表示装置28が設けられる。ケース体30は、表示装置28の表示面をパチンコ機1の正面側に露出させる開口部31が形成されている。演出装置100は左右方向の長さが開口部31の横幅よりも若干大きく、上下方向の長さは横幅よりも小さい。演出装置100は稼働時に後述する第一装飾体110および第二装飾体130L,130Rが上昇し、表示装置28の表示面の下段側を覆う。演出装置100は、非稼働時には、第一装飾体110および第二装飾体130L,130Rは下降し、遊技盤2の背面側で遊技者からは見え難い位置に隠れる。第一装飾体110の表示部120は、演出装置100の非稼働時においてもパチンコ機1の正面側に露出している(
図1参照)。
【0022】
図3、
図4に示すように、演出装置100は、概略、第一装飾体110、第二装飾体130L,130R、表示部120、支持体160、移動体150、連結部材170L,170R、駆動モータ180L,180R、カバー体190L,190Rを備える。上記各部の詳細は後述するが、概略、以下の配置関係において演出装置100を構成し、演出動作を行う。第一装飾体110は表示部120を備え、駆動モータ180L,180Rの駆動によって上下方向に昇降する。支持体160は第一装飾体110の後方において第一装飾体110と向き合って配置され、第一装飾体110を昇降可能に支持する。移動体150は第一装飾体110と支持体160の間に配置され、第一装飾体110の上昇途中から、第一装飾体110に従動して上昇する。第二装飾体130L,130Rは、移動体150の上部に設けられており、前後方向と直交する平面内を回動可能に支持されている。第二装飾体130L,130Rは、それぞれ、揺動可能な連結部材170L,170Rによって支持体160の上部に連結されている。第二装飾体130L,130Rは、移動体150が支持体160に対して相対的に移動すると、回動する。
【0023】
以下、演出装置100の各部の構成について説明する。まず、支持体160について説明する。
図4に示す、支持体160は、演出装置100を支える基体であり、ケース体30(
図2参照)に演出装置100を取り付ける際にケース体30に固定される。支持体160は上下方向を幅方向として左右方向に延びる板状をなし、背面側から後方へ向けて立ち上がる複数のリブによって、前後方向への厚みを有する。支持体160は前面側の左右方向中央よりもやや左寄りの位置に、細幅で上下方向に延びる凹部状のガイドレール161を有する。ガイドレール161には、移動体150(後述)の背面側に設けられたベアリング機構151が係合し、移動体150の上下方向への移動を案内する。
【0024】
支持体160は、ガイドレール161の左右方向外側に、上下方向に延びる2つの退避溝162L,162Rを有する。後述する第一装飾体110には、移動体150の引掛穴152L,152R(後述)に係合する2つの突起部112L,112Rが、後方へ向けて突出されている。突起部112L,112Rは引掛穴152L,152Rを貫通して先端部が支持体160に到達するが、退避溝162L,162Rは、突起部112L,112Rが支持体160と干渉しないように、先端部を退避させる溝である。
【0025】
支持体160は、退避溝162L,162Rそれぞれの左右方向外側に、上下方向に延びる2つのガイド溝163L,163Rを有する。ガイド溝163L,163Rには、移動体150の背面側から後方へ向けて突出する2つの突起部153L,153R(後述)がそれぞれ係合し、各先端部がガイド溝163L,163Rを貫通する。2つの突起部153L,153Rには、それぞれ、支持体160の背面側において先端部に抜け防止の鍔が取り付けられる。ガイド溝163L,163Rの上下方向の長さは、退避溝162L,162Rの長さよりも短く、一例として、退避溝162L,162Rの略半分の長さに形成されている。支持体160は、前述のガイドレール161とガイド溝163L,163Rとで移動体150を支持体160に対して位置決めし、移動体150の上下方向への移動を案内する。
【0026】
支持体160は、さらに、ガイド溝163L,163Rそれぞれの左右方向外側に、上下方向に延びる2つのガイド溝164L,164Rを有する。ガイド溝164L,164Rは、支持体160の上下方向の長さよりも長く延び、それぞれ支持体160の下端よりも下方に突出して設けられている。ガイド溝164L,164Rには、第一装飾体110の背面側から後方へ向けて突出する2つの突起部114Lと、2つの突起部114R(後述)が、それぞれ係合する。第一装飾体110は移動体150よりも前方に配置され、突起部114L,114Rは、移動体150の左右両端よりも外方に配置されるため、第一装飾体110と移動体150とは上下方向への移動において干渉しない。4つの突起部114L,114Rには、それぞれ、支持体160の背面側において先端部に抜け防止の鍔が取り付けられる。
【0027】
支持体160のガイド溝164L,164Rそれぞれの左右方向外側には、第一装飾体110を昇降するための動力源である2つの駆動モータ180L,180Rが、それぞれ設けられている。駆動モータ180L,180Rは支持体160の背面側から支持体160に組み付けられ、駆動軸が支持体160の板面を貫通して前面側に露出されており、各駆動軸の先端にピニオン185L,185Rがそれぞれ取り付けられている。ピニオン185L,185Rは、ガイド溝164L,164Rの上下方向中央付近に配置され、第一装飾体110のラック115L,115R(後述)にそれぞれ噛合する。駆動モータ180L,180Rは例えばステッピングモータであり、演出基板(図示外)の制御に従って所定角度分正転または反転することで、第一装飾体110を支持体160に対して所定長さ分昇降する。
【0028】
また、支持体160のガイド溝164L,164Rそれぞれの左右方向やや内側には、上下方向に延びる検出溝166L,166Rがそれぞれ形成されている。第一装飾体110の背面側に突出された検出板116L,116Rがガイド溝164L,164Rそれぞれに係合する。ガイド溝164L,164Rの下端にはフォトセンサ169L,169Rがそれぞれ設けられている。検出板116L,116Rがガイド溝164L,164Rの下端に位置する場合に、フォトセンサ169L,169Rの発光部と受光部間の光信号が遮られ、フォトセンサ169L,169Rが検出板116L,116Rを検出する。これにより、演出基板のCPU(図示外)は第一装飾体110が移動範囲の下端に位置することを検知する。また、支持体160の上部背面側でガイドレール161と退避溝162L,162Rとの間には、後方へ向けて突出する支持軸168L,168Rがそれぞれ設けられている。支持軸168L,168Rは、後述する連結部材170L,170Rの支持穴178L,178R(後述)にそれぞれ係合し、連結部材170L,170Rを揺動可能に支持する。
【0029】
次に、第一装飾体110について説明する。第一装飾体110は、板状をなし上下方向に延びる2つの昇降部117L,117Rのそれぞれの上部を、昇降部117L,117Rよりも細幅の板状をなし左右方向に延びる橋梁部119で接続した基体を有する。昇降部117L,117Rには、それぞれの左右方向外側の縁部分に、駆動モータ180L,180Rのピニオン185L,185Rに噛合する歯が設けられたラック115L,115Rが形成されている。また、昇降部117L,117Rの背面側には、上下方向に並ぶ2つの突起部114Lと突起部114Rとがそれぞれ設けられている。突起部114L,114Rは、昇降部117L,117Rの上端付近と下端付近の位置に、それぞれ1つずつ形成されている。前述したように、突起部114L,114Rは、支持体160のガイド溝164L,164Rにそれぞれ係合する。
【0030】
橋梁部119には、前面側に、パチンコ機1のロゴマークを中央に据えた透光性を有する装飾板118が設けられており、図示しないLED等が内蔵されている。橋梁部119の背面側には、略中央寄りの位置で互いに所定間隔離れた2カ所の位置に、後方へ向けて突出する2つの突起部112L,112Rが形成されている。突起部112L,112Rは、上下方向において、昇降部117L,117Rのラック115L,115Rの上端付近に配置されている。また、橋梁部119の左右方向略中央よりもやや左寄りの位置の上部には、左右方向に長い表示部120が設けられている。表示部120は複数(本実施形態では5つ)の7セグメント表示器を内蔵し、演出基板(図示外)の制御に従って、7セグメントLEDの点灯表示による数字や文字、記号等の表示を行う。例えば、表示部120には、賞品球の払い出し数を表示させてもよいし、大当たりの期待値を表示させてもよい。さらに、パチンコ機1の操作ボタン9や図示外の操作ボタン等を用いて所定操作を行うことで、大当たり遊技の終了後も継続してカウントした賞品球の払い出し数を表示してもよい。また、表示部120の外周部にも、図示しないLED等が一部に内蔵され、装飾が施された装飾板121が設けられている。
【0031】
次に、移動体150について説明する。移動体150は、上下方向を幅方向として左右方向に延び、複数のリブによって補強された板体であり、上下方向の長さは支持体160よりも短い。また、移動体150の左右方向の長さは、支持体160の2つのガイド溝163L,163R間の長さよりも若干長く、ガイド溝164L,164R間の長さよりも短い。移動体150は背面側の左右方向中央よりもやや左寄りの位置(背面から見た場合には中央よりもやや右寄りの位置)に、前述したベアリング機構151を有し、支持体160のガイドレール161に係合する。ベアリング機構151はガイドレール161に案内され、移動体150は上下方向に円滑に移動することができる。
【0032】
また、移動体150の背面側で左右両側且つ下側の角部には、後方へ向けて突出する2つの突起部153L,153Rが形成されている。前述したように、突起部153L,153Rはそれぞれ支持体160のガイド溝163L,163Rに係合し、ガイド溝163L,163Rに沿って上下方向に移動することができる。すなわち移動体150は、支持体160のガイドレール161に係合するベアリング機構151と、ガイド溝163L,163Rに係合する突起部153L,153Rとで、支持体160の板面に対して平行な状態を維持したまま、上下方向へ移動することができる。
【0033】
移動体150の左右両側且つ上側の角部には、後述する第二装飾体130L,130Rそれぞれの背面側下端部に設けられて後方へ向けて突出する回転軸136L,136R(後述)がそれぞれ係合する軸穴156L,156Rが設けられている。また、移動体150の左右方向における略中央寄りの位置で互いに所定間隔離れた2カ所の位置に、上下方向に延びる2つの引掛穴152L,152Rが形成されている。引掛穴152L,152Rには前述した第一装飾体110の突起部112L,112Rがそれぞれ係合する。引掛穴152L,152Rの上下方向の長さは、支持体160の退避溝162L,162Rの長さよりも短く、一例としては、退避溝162L,162Rの略半分の長さに形成されている。前述したガイド溝163L,163Rの上下方向の長さと、引掛穴152L,152Rの上下方向の長さを加えると、退避溝162L,162Rの長さとなるように形成されている。
【0034】
次に、第二装飾体130L,130Rについて説明する。第二装飾体130L,130Rは、左右対称形状でそれぞれ左右へ向けて狭窄しつつ延び、左右両端側が上側に反る板状の装飾物である。第二装飾体130L,130Rの前面側には羽根の形を模した透光性を有する装飾板131L,131Rがそれぞれ設けられ、図示しないLED等が内蔵されている。第二装飾体130L,130Rの背面側には、下端部に、後方へ向けて突出する回転軸136L,136Rがそれぞれ形成されている。また、回転軸136L,136Rよりも上方で、第二装飾体130Lでは右端寄りの位置、第二装飾体130Rでは左端寄りの位置に、同様に、後方へ向けて突出する揺動軸139L,139Rがそれぞれ設けられている。回転軸136L,136Rは、上記した移動体150の上側の角部に設けられた軸穴156L,156Rにそれぞれ係合し、第二装飾体130L,130Rが回転軸136L,136Rを中心に回動可能に支持される。揺動軸139L,139Rは、支持体160に揺動可能に支持される連結部材170L,170Rの揺動穴179L,179Rにそれぞれ係合する。回転軸136L,136Rおよび揺動軸139L,139Rの先端部にも抜け防止の鍔が取り付けられる。
【0035】
次に、連結部材170L,170Rについて説明する。連結部材170L,170Rは、前面に装飾が施された棒状に形成された板材で、両端に、前後方向に貫通する支持穴178L,178Rおよび揺動穴179L,179Rがそれぞれ形成されている。支持穴178L,178Rは、前述した支持体160の上部で略中央寄りの位置に設けられた支持軸168L,168Rにそれぞれ係合する。連結部材170L,170Rは支持軸168L,168Rを中心に、それぞれ揺動可能に支持体160に支持される。揺動穴179L,179Rは、前述した第二装飾体130L,130Rの中央寄りの端部にそれぞれ設けられた揺動軸139L,139Rにそれぞれ係合する。第二装飾体130L,130Rは、連結部材170L,170Rを介し、支持体160に連結する。上記したように、第二装飾体130L,130Rは、回転軸136L,136Rがそれぞれ移動体150の上側角部に設けられた軸穴156L,156Rに回転可能に係合する。移動体150が昇降する場合、第二装飾体130L,130Rは、回転軸136L,136Rの位置が移動体150の昇降に伴って上下方向に移動する。この場合において、第二装飾体130L,130Rの揺動軸139L,139Rと支持体160の支持軸168L,168Rとの位置関係が、連結部材170L,170Rによって一定距離に維持されるので、第二装飾体130L,130Rは回転軸136L,136Rを中心に回動する。
【0036】
次に、カバー体190L,190Rについて説明する。カバー体190L,190Rは、支持体160の前面側に露出するピニオン185L,185Rと、ピニオン185L,185Rにそれぞれ噛合する第一装飾体110のラック115L,115Rをそれぞれ覆って保護するカバーである(
図3参照)。カバー体190L,190Rは、それぞれ留穴197L,197Rを2つずつ有する。支持体160の前面側で、ピニオン185L,185Rおよびガイド溝164L,164Rの周囲には、前方へ向けて突出するネジピン167L,167Rが2つずつ設けられている。留穴197L,197Rはそれぞれネジピン167L,167Rに係合し、ネジピン167L,167Rの先端部に留穴197L,197Rがねじ止めされることによって、カバー体190L,190Rが支持体160に固定される。
【0037】
このような構造の演出装置100を用い、パチンコ機1における演出が行われる。以下、演出時における演出装置100の動作について、
図5〜
図10を参照して説明する。なお、
図5〜
図10では、説明のため演出装置100からカバー体190L,190R(
図4参照)を取り外している。
図5,
図6に示すように、第一装飾体110および移動体150が上下方向における移動範囲の下端に位置する場合が、演出前の原点位置である。この状態は、支持体160のガイド溝164L,164Rの下端に設けられたフォトセンサ169L,169Rが第一装飾体110の検出板116L,116R(
図4参照)を検出した状態である。
【0038】
第一装飾体110は、昇降部117L,117Rの下側の突起部114L,114Rがそれぞれガイド溝164L,164Rの下端に位置し、その位置よりも下方への移動が規制される。この状態で、第一装飾体110は、昇降部117L,117Rのラック115L,115Rが、上端付近において、駆動モータ180L,180Rのピニオン185L,185Rにそれぞれ噛合した状態に維持される。移動体150は、突起部153L,153Rが支持体160のガイド溝163L,163Rの下端に位置し、その位置よりも下方への移動が規制される。また、第一装飾体110の突起部112L,112Rは、支持体160の退避溝162L,162R内で下端に位置する。このとき、突起部112L,112Rが、移動体150の引掛穴152L,152Rを下端において貫通するため、移動体150は、この突起部112L,112Rによって上方への移動も規制される。
【0039】
第二装飾体130L,130Rは、移動体150が原点位置にあるため、回転軸136L,136Rが、支持体160の支持軸168L,168Rよりも下側に位置する。連結部材170L,170Rによって支持軸168L,168Rとの距離が一定に維持される揺動軸139L,139Rは、支持軸168L,168Rに対して概ね水平に位置する。揺動軸139L,139Rは回転軸136L,136Rよりも第二装飾体130L,130Rの中央寄りの端部に設けられている。よって第二装飾体130L,130Rは、連結部材170L,170Rに揺動軸139L,139R側が回転軸136L,136Rよりも上側に持ち上げられ、左右両端側が下方に下がった状態に維持される。演出基板のCPU(図示外)は、演出装置100が原点位置の状態において、第一装飾体110の表示部120への表示や第一装飾体110および第二装飾体130L,130RのLED等の点灯・点滅等による演出を行うことができる。
【0040】
図7,
図8に示すように、第一装飾体110が上下方向における移動範囲の略中間点に位置する場合を、第一演出位置とする。第一装飾体110を第一演出位置に移動させるとき、演出基板のCPUは、原点位置を基準に駆動モータ180L,180Rを互いに逆方向へ所定角度分回転させる。第一装飾体110は、移動体150が原点位置に位置した状態のまま、上方へ移動して、第一演出位置に到達する。
【0041】
具体的に、ピニオン185L,185Rの回転に従動するラック115L,115Rを有する昇降部117L,117Rが、突起部114L,114Rをそれぞれガイド溝164L,164Rに沿わせた状態で、上方へ移動する。昇降部117L,117R間を接続する橋梁部119が表示部120とともに上方へ移動し、橋梁部119の背面側から突出する突起部112L,112Rが移動体150の引掛穴152L,152R内を上方へ移動する。移動体150は突起部112L,112Rからの押圧を受けず、自身と上部に配置された第二装飾体130L,130Rの重みによって、原点位置を維持する。
【0042】
演出基板の制御に基づき、第一装飾体110が第一演出位置に到達したとき、突起部112L,112Rは、引掛穴152L,152Rの上端に位置する。移動体150が原点位置から動かないので、第二装飾体130L,130Rは、支持体160との位置関係が変わらず、よって回動しない。第一装飾体110は、表示部120を原点位置よりも上方の位置に持ち上がった状態となり、遊技者は、移動のあった表示部120を含む第一装飾体110に、より注目を集める。上記同様、この状態において、演出基板のCPU(図示外)は、第一装飾体110の表示部120への表示や第一装飾体110および第二装飾体130L,130RのLED等の点灯・点滅等による演出を行うことができる。演出内容を、表示部120への表示と第一装飾体110のLED等の点灯・点滅等に制限すれば、CPUはさらに、遊技者の注目を第一装飾体110に集めることができる。
【0043】
図9,
図10に示すように、第一装飾体110が上下方向における移動範囲の上端に位置する場合を、第二演出位置とする。第一装飾体110を第二演出位置に移動させるとき、演出基板のCPUは、原点位置を基準に第一演出位置への移動で回転させた駆動モータ180L,180Rをさらに所定角度分回転させる。第一装飾体110は、第一演出位置から第二演出位置に移動する際には、移動体150とともに上方へ移動して、第二演出位置に到達する。
【0044】
具体的に、ピニオン185L,185Rの回転に従動するラック115L,115Rを有する昇降部117L,117Rが、突起部114L,114Rをそれぞれガイド溝164L,164Rに沿わせた状態で、さらに上方へ移動する。昇降部117L,117R間を接続する橋梁部119が表示部120とともに上方へ移動し、橋梁部119の背面側から突出する突起部112L,112Rが、移動体150の引掛穴152L,152Rの上端を引っ掛けて、上方へ移動する。移動体150は引掛穴152L,152Rの上端が突起部112L,112Rにより下方から押圧を受け、突起部153L,153Rが支持体160のガイド溝163L,163Rに沿った状態で、第一装飾体110とともに上方へ移動する。
【0045】
移動体150の上昇に伴い、軸穴156L,156Rに係合する第二装飾体130L,130Rの回転軸136L,136Rも上方へ移動する。回転軸136L,136Rは上方への移動に伴い、上下方向において支持体160の支持軸168L,168Rと水平位置に並び、さらに支持軸168L,168Rよりも上方へ移動する。連結部材170L,170Rによって支持軸168L,168Rとの距離が一定に維持される揺動軸139L,139Rは、回転軸136L,136Rよりも上方の位置を維持しつつも上下差が次第に小さくなる。これにより、第二装飾体130L,130Rは、移動体150とともに上昇するだけでなく、回転軸136L,136Rを中心に、第二装飾体130Lは時計回りに、第二装飾体130Rは反時計回りに回転する。
【0046】
演出基板の制御に基づき、第一装飾体110が第二演出位置に到達したとき、昇降部117L,117Rの上側の突起部114L,114Rがそれぞれガイド溝164L,164Rの上端に位置し、その位置よりも上方への移動が規制される。この状態で、第一装飾体110は、昇降部117L,117Rのラック115L,115Rが、下端付近において、駆動モータ180L,180Rのピニオン185L,185Rにそれぞれ噛合した状態に維持される。移動体150は、突起部153L,153Rが支持体160のガイド溝163L,163Rの上端に位置し、その位置よりも上方への移動が規制される。また、第一装飾体110の突起部112L,112Rは、支持体160の退避溝162L,162R内で上端に位置する。このとき、突起部112L,112Rが、移動体150の引掛穴152L,152Rの上端を下方から押圧した状態を維持するため、移動体150は、この突起部112L,112Rによって下方への移動も規制される。
【0047】
そして、第二装飾体130L,130Rは、上記のようにそれぞれ回動し、左右両端側が上方に上がった状態となる。第一装飾体110は、表示部120を第一演出位置よりもさらに上方の位置に持ち上がった状態となる。遊技者は、上方へ向けて移動した表示部120を含む第一装飾体110だけでなく、上方へ移動しつつ回転による形態の変化を加えた動作を行う第二装飾体130L,130Rに対しても注目を集める。演出基板のCPU(図示外)は、上記同様、第一装飾体110の表示部120への表示や第一装飾体110および第二装飾体130L,130RのLED等の点灯・点滅等による演出を行うことができる。もちろん、CPUは、第一装飾体110の表示部120への表示、第一装飾体110のLED等の点灯・点滅、および第二装飾体130L,130RのLED等の点灯・点滅の少なくともいずれかによる演出を行えば、遊技者の注目対象を誘導することができる。
【0048】
演出装置100による演出後、演出基板は、第一装飾体110を第二演出位置から原点位置に戻すのに必要な所定角度分、駆動モータ180L,180Rを、上記とは反対向きに逆転させる。第一装飾体110は下降し、突起部112L,112Rによる引掛穴152L,152Rへの押圧が解除された移動体150は、第一装飾体110とともに自重で原点位置に戻る(
図5,
図6参照)。フォトセンサ169L,169Rが第一装飾体110の検出板116L,116R(
図4参照)を検出すると、演出基板のCPUは、第一装飾体110が原点位置に到達したと判断し、駆動モータ180L,180Rの回転を停止する。演出装置100は次の演出の待機状態となる。
【0049】
以上説明したように、第二装飾体130L,130Rは、移動体150の自重によって、移動体150とともに下方に位置している。第一装飾体110が駆動モータ180L,180Rによって上方向に移動するとき、第一装飾体110の突起部112L,112Rが移動体150の引掛穴152L,152R内を移動するため、移動体150と第二装飾体130L,130Rは動かない。これにより、第一装飾体110の表示部120のみに遊技者の注目を確実に集めることができる。第一装飾体110の上方向への移動をさらに続けた場合、移動体150の引掛穴152L,152Rの長さが第一装飾体110の移動範囲の長さ(原点位置と第二演出位置との間の長さ)より短いため、突起部112L,112Rが引掛穴152L,152Rの上端に達する。そして突起部112L,112Rで移動体150を上方向に押し上げるので、第二装飾体130L,130Rが第一装飾体110とともに上方向に移動する。第一装飾体110と第二装飾体130L,130Rが協働するため、演出がよりダイナミックなものとなり、遊技者に、遊技に対する期待感をより高めさせることができる。
【0050】
表示部120に用いる7セグメント表示器(図示外)はドットマトリクスや液晶等の表示器と比べて表示できるメッセージが限られるので、メッセージを受け取った遊技者の想像力を働かせ、遊技に対する期待感や高揚感を高めさせることができる。
【0051】
ラック115L,115Rとピニオン185L,185Rによる動力伝達は、ギアとギアの噛み合わせを複数段重ねて動力を伝達する場合と比べて省スペース化を図ることができる。ゆえに、第一装飾体110や第二装飾体130L,130Rのレイアウトに対する制限が小さくて済み、よりダイナミックな動作を行う装飾体を配置することが可能となる。また、動力伝達の段数が少なくて済むので、駆動モータ180L,180Rにかかる負荷が小さくて済む。
【0052】
第一装飾体110とともに移動体150が上方に移動する際に、第二装飾体130L,130Rは、回動可能に支持される部位が上方に移動するが、支持体160に連結部材170L,170Rを介して連結するため、上昇しながら回動する。第二装飾体130L,130Rは単に上昇するだけでなく上昇しながら回動するという躍動的な動きを見せるので、第二装飾体130L,130Rよりも先に動作した第一装飾体110に集まっている遊技者の注目を、第二装飾体130L,130Rにも向けさせることができる。
【0053】
演出基板のCPUは、駆動モータ180L,180Rの回転制御によって第一装飾体110の移動位置を調整するだけで、第一装飾体110だけが動作する演出と、第一装飾体110と第二装飾体130L,130Rが協働する演出とを容易に選択することができる。
【0054】
本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは言うまでもない。例えば、演出基板は、駆動モータ180L,180Rの制御において、第一演出位置に限らず、原点位置と第二演出位置との間の任意の位置で、第一装飾体110の移動を停止させてもよい。また、原点位置から第一演出位置に到達した後、原点位置に戻す制御を行ってもよいし、第一演出位置から第二演出位置に向かう途中で、第二演出位置には到達させずに第一演出位置あるいは原点位置に戻してもよい。また、表示部120は7セグメント表示器であることがより望ましいが、もちろん、ドットマトリクスや液晶等、他の表示方式の表示器を用いてもよい。
【0055】
なお、本発明においては、パチンコ機1が「遊技機」に相当する。駆動モータ180L,180Rが「モータ」に相当する。突起部112L,112Rが「ピン」に相当する。引掛穴152L,152Rが「係合溝」に相当する。演出基板のCPUが「制御手段」に相当する。