(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
外装ケース(1)と、この外装ケース(1)に固定してなる固定接点(5)を有する固定接点金属板(4)と、この固定接点金属板(4)の固定接点(5)と対向する位置に可動接点(7)を有し、かつ可動接点(7)を可動できるように前記外装ケース(1)に一部を固定してなる可動接点金属板(6)と、この可動接点金属板(6)と前記固定接点金属板(4)との間に配設され、周囲温度で変形して可動接点金属板(6)をオンからオフに切り換えるバイメタル(8)とを備え、
前記バイメタル(8)が前記可動接点金属板(6)を押圧しない状態では、前記可動接点金属板(6)の弾性で可動接点(7)を固定接点(5)に接触させてオン状態となり、周囲温度で前記バイメタル(8)が変形して、変形するバイメタル(8)が可動接点金属板(6)を押圧して可動接点(7)を固定接点(5)から離してオフ状態に切り換えられるようにしてなるパック電池用の無通電タイプのブレーカであって、
前記可動接点金属板(6)が、
0.05重量%以上で0.3重量%以下のリンに加えて、
0.1重量%以上であって2重量%以下のニッケルと、
0.02重量%以上で0.5重量%以下の亜鉛と、
0.02重量%以上で0.5重量%以下の鉄を含有する
Cu−Ni−P合金とすることを特徴とするパック電池用の無通電タイプのブレーカ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
図2と
図3に示すブレーカは、設定温度よりも高くなるとバイメタル108が反転して、反転するバイメタル108が可動接点金属板106を下から押し上げるように変形して、可動接点107を固定接点105から離してオフ状態となって電流を遮断する。温度が低下してバイメタル108がもとの形状に復元すると、可動接点金属板106の弾性で可動接点107を固定接点105に接触させてオン状態に復帰する。可動接点金属板106は、バイメタル108で押し上げられない状態、すなわちバイメタル108が温度で反転しない状態では、可動接点107を固定接点105に弾性的に押圧している。すなわち、この状態で、可動接点107は可動接点金属板106の弾性で固定接点105に接触されてオン状態に保持される。
【0008】
以上の無通電タイプのブレーカは、周囲温度が設定温度よりも高くなると、バイメタルが反転して可動接点金属板の接点を固定接点金属板から離してオフ状態に切り換える。この構造の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板をバイメタルとしないので、可動接点金属板の電気抵抗を小さくできる。しかしながら、この構造の無通電タイプのブレーカにおいても、周囲温度が設定温度まで上昇しない状態において、ブレーカの電流が増加すると、バイメタルが反転してオフ状態に切り換えられることがある。可動接点金属板が電流のジュール熱で発熱し、加熱された可動接点金属板がバイメタルを加熱して反転させるからである。とくに、周囲温度が高い状態では、可動接点金属板の発熱によってバイメタルが反転しやすく、周囲温度が設定温度まで上昇しない状態であっても、電流によってオフ状態に切り換えられることがある。この特性の無通電タイプのブレーカは、設定温度にならない状態においてもオフ状態に切り換えられることがあるので、大きな電流が流れる用途で使用できず、用途が制限される欠点がある。
【0009】
以上の欠点は、可動接点金属板の断面積を大きく、すなわち厚い金属板として、電気抵抗を小さくして防止できる。可動接点金属板のジュール熱による発熱が、電流の二乗と電気抵抗の積に比例して大きくなるからである。しかしながら、可動接点金属板に厚い金属板を使用すると、バイメタルが反転して、可動接点金属板の可動接点をオフに切り換える温度も変化するので、オフ状態に切り換えられる温度を設定値に調整するのが難しくなる。接点をオフ状態に切り換える設定温度が、可動接点金属板とバイメタルの弾性、すなわちヤング率のバランスで特定されるからである。とくに、パック電池などに内蔵される無通電タイプのブレーカは、全体の厚さを約1mm程度と極めて小型化することが要求されることから、可動接点金属板とバイメタルの弾性バランスからオフ状態に切り換えられる設定温度を特定の温度範囲としながら、オフ状態に切り換えられる最大電流をより大きくするのは極めて難しい。
【0010】
本発明は、さらに以上の欠点を解決することを目的に開発されたものである。本発明の重要な目的は、電流でオフ状態に切り換えられる最大電流を大きくしながら、周囲温度が設定温度になると安定して確実にオフ状態に切り換えできる
パック電池用の無通電タイプのブレーカを提供することにある。
【0011】
本発明の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、外装ケース1と、この外装ケース1に固定してなる固定接点5を有する固定接点金属板4と、この固定接点金属板4の固定接点5と対向する位置に可動接点7を有し、かつ可動接点7を可動できるように前記外装ケース1に一部を固定してなる可動接点金属板6と、この可動接点金属板6と固定接点金属板4との間に配設され、周囲温度で変形して可動接点金属板6をオンからオフに切り換えるバイメタル8とを備える。以上の無通電タイプのブレーカは、バイメタル8が可動接点金属板6を押圧しない状態では、可動接点金属板6の弾性で可動接点7を固定接点5に接触させてオン状態となり、周囲温度でバイメタル8が変形して、変形するバイメタル8が可動接点金属板6を押圧して可動接点7を固定接点5から離してオフ状態に切り換えられる。さらに、以上の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板6を、リンに加えて、0.1重量%以上であって2重量%以下のニッケルを含有するCu−Ni−P合金としている。
【0012】
以上の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、電流でオフ状態に切り換えられる最大電流を大きくしながら、周囲温度が設定温度になると安定して確実にオフ状態に切り換えできる特徴がある。それは以上の無通電タイプのブレーカが、可動接点金属板を、リンに加えて、0.1重量%以上であって2重量%以下のニッケルを含有するCu−Ni−P合金とするからである。可動接点金属板に使用してなるCu−Ni−P合金は、従来のブレーカに使用されていたリン青銅に匹敵する弾性を実現しながら、流れる電流に起因して発生するジュール熱による発熱量を小さくできる。このため、可動接点金属板に流れる電流による発熱でオフ状態に切り換えられる最大電流を大きくして、設定温度においては確実に安定してオフ状態に切り換えできる特徴を実現する。
【0013】
本発明の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板を、0.05重量%以上で0.3重量%以下のリンを含有するCu−Ni−P合金とする。
以上のパック電池用の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板の優れた弾性を実現しながら、オフ状態に切り換えられる最大電流を大きくできる特徴がある。
【0014】
本発明の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板を、ニッケルに加えて、0.02重量%以上で0.5重量%以下の亜鉛を含有するCu−Ni−P合金とし、さらに、可動接点金属板を、ニッケルに加えて、0.02重量%以上で0.5重量%以下の鉄を含有するCu−Ni−P合金とする。
以上の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、可動接点金属板のより優れた弾性を実現しながら、電流でオフ状態に切り換えられる最大電流を大きくできる。
【0015】
本発明の
パック電池用の無通電タイプのブレーカは、固定接点金属板を、スズと、亜鉛と、クロムを含有するCu−Cr合金とすることができる。このパック電池用の無通電タイプのブレーカは、流れる電流でオフ状態に切り換えられる最大電流を大きくしながら、固定接点金属板に安定して確実にリード板などをスポット溶接して接続できる特徴がある。
【0016】
さらに、
本発明のパック電池用の無通電タイプのブレーカは、バイメタル8と固定接点金属板4との間に、バイメタル8を加熱するヒーター9を配置することができる。この構造のパック電池用の無通電タイプのブレーカは、オフ状態において、ヒーターでバイメタルを加温して、オン状態に復帰することなくオフ状態に保持できる特徴がある。
【0017】
また、
本発明のパック電池用の無通電タイプのブレーカは、ヒーター9をPTCヒーターとすることで、ヒーターの温度を設定温度に保持し、設定温度のヒーターでもってバイメタルを設定温度に加温し、設定温度に加温されるバイメタルでオフ状態に保持できる。このパック電池用の無通電タイプのブレーカは、ヒーターが異常な温度に加熱することなく、加温されたバイメタルで安定にオフ状態に保持できる特徴がある。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための無通電タイプのブレーカを例示するものであって、本発明はブレーカを以下のものに特定しない。さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解しやすいように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲」および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0020】
以下の無通電タイプのブレーカは、パック電池に内蔵され、電池や周囲温度が高温になり、あるいはパック電池が異常な状態で使用されるときに、バイメタルを変形させて電流を遮断する用途に使用される。
【0021】
図4ないし
図9に示すブレーカは、固定接点5を有する固定接点金属板4と、固定接点5と対向する位置に可動接点7を配置している可動接点金属板6と、この可動接点金属板6をオンオフに切り換える位置に配置してなるバイメタル8と、固定接点金属板4の固定接点5と可動接点金属板6の可動接点7とを内部に配置し、かつバイメタル8を内部に配置している外装ケース1とを備えている。このブレーカは、オン状態においては、バイメタルが可動接点金属板を押圧せず、可動接点金属板の弾性で可動接点を固定接点に押圧して接触させている。周囲温度が上昇して高温になると、この温度上昇でバイメタル8が変形し、変形するバイメタル8が可動接点金属板6を押圧し、これを変形させて可動接点7を固定接点5から離して接点をオフ状態に切り換える。また、ブレーカは、周囲温度が所定の温度まで低下すると、可動接点金属板6とバイメタル8とが復帰して、可動接点7を固定接点5に接触させてオン状態に切り換える。
【0022】
図4ないし
図9に示すブレーカは、外装ケース1に、固定接点金属板4と、可動接点金属板6とを固定して、可動接点金属板6を変形させるバイメタル8と、このバイメタル8を加温するヒーター9とを内蔵している。図のブレーカは、バイメタル8を加温するヒーター9を内蔵するので、このヒーター9でバイメタル8を加温して電流を遮断した状態に保持する用途に最適である。ただ、ブレーカは、必ずしもバイメタルを加温するヒーターを内蔵する必要はない。
【0023】
外装ケース1は、プラスチック製の絶縁ケース2と外装金属板3とで形成している。外装ケース1は、絶縁ケース2の底部13に固定接点金属板4をインサート成形して固定して、上面に外装金属板3を固定している。絶縁ケース2は、両端部分に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとを突出するように設けて、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの間に収納スペース20を設けている。この収納スペース20は、インサート成形して固定している固定接点金属板4で底面を閉塞して、外装金属板3で上面を閉塞している。したがって、外装ケース1は、底面側の表面には固定接点金属板4が露出し、上面側の表面には外装金属板3が露出している。外装金属板3は、プラスチック製の絶縁ケース2にインサート成形して固定されず、ほぼ全面を上面側に露出させている。
【0024】
絶縁ケース2は、収納スペース20の両側に、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bの間を連結する対向壁12を設けて、この対向壁12と外壁11とで収納スペース20の周囲を囲む外周壁10を構成している。したがって、収納スペース20は、周囲を外周壁10で囲み、底面を固定接点金属板4で閉塞し、さらに上面を外装金属板3で閉塞して内部を閉塞された中空状としている。
【0025】
絶縁ケース2は、第1の外壁11Aに固定接点金属板4の一部を、
図5と
図6においては固定接点金属板4の中間部4Bを第1の外壁11Aの途中にインサート成形して固定している。したがって、固定接点金属板4は、第1の外壁11Aを貫通する状態で絶縁ケース2に固定され、収納スペース20の内部に露出する部分を固定接点5とし、外部に引き出される部分を接続端子4Xとしている。
【0026】
固定接点金属板4の接続端子4Xは、回路基板の表面にリフローハンダ等のハンダ付けによって固定できるように、外装ケース1から外部に引き出される先端部の接続面(
図5及び
図6においては底面)が、外装ケース1の底面、すなわち絶縁ケース2の底面とほぼ同一平面に位置するように折曲している。このブレーカは、接続端子4Xを回路基板のハンダ面に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。ただ、ブレーカは、絶縁ケース2の底面側の表面から露出する固定接点金属板4の露出部を露出端子44として、この露出端子44を回路基板のハンダ面にリフローハンダすることもできる。このブレーカは、必ずしも接続端子4Xを外装ケース1から外部に引き出すことなく、固定接点金属板4の露出端子44を回路基板等の表面にハンダ付けして固定できる。
【0027】
絶縁ケース2は、第2の外壁11Bに可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。
図5と
図6の無通電タイプのブレーカは、第2の外壁11Bの上端面に可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。可動接点金属板6は、接着して第2の外壁11Bに固定され、あるいは外装金属板3に挟まれて第2の外壁11Bの上端面に固定される。図の外装ケース1は、外装金属板3の一端部を、可動接点金属板6の非可動部分6Bに接触状態に積層して絶縁ケース2に固定している。この構造は、外装金属板3を可動接点金属板6に直接に積層して固定するので、全体をより薄くできる。
【0028】
さらに、
図5ないし
図7の断面図に示す絶縁ケース2は、収納スペース20にヒーター9を配置する収納凹部21を設けている。収納凹部21は収納スペース20の中央部にあって、その底面を固定接点金属板4の先端部4Aで閉塞している。収納凹部21は、ここにヒーター9を挿入できるように、内形をヒーター9の外形よりもわずかに大きくしている。また、収納凹部21は、外周縁に沿って突出部14を設けている。収納凹部21に挿入されるヒーター9は、突出部14の上面からわずかに突出して、上面に湾曲するバイメタル8を熱結合状態に載せている。
【0029】
収納スペース20は、収納凹部21の底面を固定接点金属板4で閉塞し、収納凹部21の外側底面を絶縁ケース2のプラスチックで閉塞している。絶縁ケース2は、収納凹部21の外側で収納スペース20の底を閉塞しているプラスチック製の底部13に、固定接点金属板4をインサート成形して絶縁ケース2に固定している。
【0030】
収納スペース20の上面を閉塞している外装金属板3は、インサート成形することなく、その両端部分を絶縁ケース2の外壁11に固定している。
図4ないし
図6の無通電タイプのブレーカは、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとの上端面に外装金属板3の両端部を固定している。外装金属板3は、第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとに一体的に成形して設けている連結リブ15を介して、絶縁ケース2に固定している。
図5と
図7の絶縁ケース2は、鎖線で示すように、外装金属板3を連結する連結リブ15を、外壁11の先端面から突出して設けている。外装金属板3には、連結リブ15を貫通させる貫通孔25を設けてあり、連結リブ15を貫通孔25に挿通して、外装金属板3を絶縁ケース2に固定している。連結リブ15は、貫通孔25に挿入される状態で、その先端を加熱押圧して押し潰し、あるいは超音波振動で押し潰して、外装金属板3を確実に絶縁ケース2の外壁11の先端面、すなわち上面に固定している。以上の構造は、外装金属板3を絶縁ケース2の正確な位置に確実に、しかも簡単に固定できる。ただし、外装金属板は、絶縁ケースの先端面である上面に接着して固定することもできる。接着して絶縁ケースに固定される外装金属板も、貫通孔を設け、この貫通孔に挿入される連結リブを外壁に設け、連結リブを貫通孔に挿入することで、絶縁ケースの定位置に確実に固定できる。
【0031】
外装金属板3は四隅部に貫通孔25を設けており、各々の貫通孔25に挿通される連結リブ15を絶縁ケース2の外壁11の先端面に設けている。
図8は、外装金属板3を固定している第1の外壁11Aの横断面図を、
図9は第2の外壁11Bの横断面図を示している。
図8に示す第1の外壁11Aは、収納スペース20の両側に設けている対向壁12の上端面から突出して連結リブ15を設けている。連結リブ15は、図の右側に示す形状に成形され、貫通孔25に挿入される状態で、左側に示すように、先端を押し潰して、外装金属板3を固定する。
図8に示す第1の外壁11Aは、収納スペース20の両側に設けている対向壁12の上面に連結リブ15を設けているが、第1の外壁11Aは、
図5のX−X線で示す位置において、
図10の横断面図に示すように、第1の外壁11Aの上面に連結リブ15を設けて、外装金属板3を固定することもできる。さらに、外装ケース1は、
図5のVII−VII線で示す位置において、
図11の横断面図に示すように、対向壁12の上面に連結リブ15を突出して設け、この連結リブ15を挿入する貫通孔25を外装金属板3に設けて、外装金属板3の中間部分を絶縁ケース2に固定することもできる。
【0032】
さらに、
図7ないし
図9の横断面図に示す外装金属板3は、対向壁12の外面に沿うように折曲している折曲側壁22を両側に設けて、この折曲側壁22と対向壁12とを係止構造で連結している。図の外装金属板3は、折曲側壁22と対向壁12の係止構造を、対向壁12の外側に突出して設けている係止凸部16と、折曲側壁22に設けられて、係止凸部16を案内して係止される係止孔26とで構成している。係止凸部16は、挿入方向に向かって次第に突出する傾斜面16Aを設けて、係止凸部16をスムーズに係止孔26に案内できる形状としている。
【0033】
さらに、
図10の係止構造は、折曲側壁22の先端縁に内側に折曲している係止片27を設け、この係止片27を案内する係止凹部17を絶縁ケース2の対向壁12の外側面に設け、係止片27を係止凹部17に案内して、外装金属板3を絶縁ケース2に係止構造で固定している。
【0034】
さらに、
図11の係止構造は、折曲側壁22の先端縁に内側に折曲している係止片27を設け、この係止片27を対向壁12の底面に引っ掛けて、外装金属板3を絶縁ケース2に係止構造で固定している。これ等の係止構造は、折曲側壁22を弾性変形させて、絶縁ケース2に係止構造で連結し、連結状態においては、折曲側壁22の弾性的な復元力でもって、係止凸部16や係止片27を係止孔26や係止凹部17や底面に引っ掛ける位置に保持する。
【0035】
さらに、外装金属板3は、表面に絶縁膜(図示せず)を設けている。この絶縁膜は、外装金属板3の表面に、絶縁塗料を塗布して設けている。ただ、絶縁層は、外装金属板の表面に絶縁シートを付着して設けることもできる。このように、外装金属板3に絶縁膜を設けた無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の表面を絶縁膜で絶縁できるので、機器に接触状態で内蔵できる。
【0036】
絶縁ケース2の収納スペース20には、底から順番に、ヒーター9とバイメタル8と可動接点金属板6の可動部分6Aを収納して、絶縁ケース2の第1の外壁11Aには固定接点金属板4の中間部4Bを固定して、第2の外壁11Bには可動接点金属板6の非可動部分6Bを固定している。
【0037】
固定接点金属板4は、インサート成形して絶縁ケース2に固定している。固定接点金属板4は、先端部4Aを収納スペース20の底部13に埋設し、中間部4Bを収納スペース20の底部13から絶縁ケース2の第1の外壁11Aに埋設するようにインサート成形して、絶縁ケース2に固定している。
図5と
図6の固定接点金属板4は、収納凹部21の底部を閉塞する部分よりも、第1の外壁11Aに埋設される部分を高くするように段差部4Dを設けて、段差部4Dを絶縁ケース2の底部13に埋設して、段差部4Dの後端側を底部13の上面に露出させて、この露出部を固定接点5としている。
【0038】
固定接点金属板は、Cu−Cr合金である。Cu−Cr合金は、母体となるCuに、0.1mass%以上、好ましくは0.2mass%以上であって、0.5mass%以下、好ましくは0.3mass%以下のCrを含有する。さらにCu−Cr合金は、Crに加えて、SnとZnを含有することができる。Snの含有量は、0.15mass%以上、好ましく0.23mass%以上であって、0.4mass%以下、好ましくは0.27mass%以下とし、Znの含有量は、0.1mass%以上、好ましくは0.18mass%以上であって、0.5mass%以下、好ましくは0.27mass%以下とする。
【0039】
以上の固定接点金属板は、これに流れる電流のジュール熱でバイメタルを加温して、接点をオフ状態に切り換える最大電流を大きくでき、しかも電気抵抗をリード板をスポット溶接するのに最適な電気抵抗にできる。このため、ブレーカが電流でオフ状態に切り換えられるのを防止しながら、固定接点金属板に直接にリード板などを確実に安定してスポット溶接できる。ただ、本発明のブレーカは、固定接点金属板をCu−Cr合金には特定せず、電流によるジュール熱によるバイメタルの加温を少なくできる他の金属板も使用できる。
【0040】
ヒーター9は、通電されることによって発熱して、バイメタル8を加熱する。ヒーター9は、対向面を長円形あるいは長方形とする厚みのあるPTCヒーターで、上面と下面に電極を設けている。ただし、ヒーターには必ずしもPTCヒーターを使用する必要はなく、通電されてバイメタル8を加熱できる全てのヒーターを使用することができる。上下面に電極を設けているヒーター9は、下面を固定接点金属板4に接触して、上面をバイメタル8を介して可動接点金属板6に接触できるようにしている。このヒーター9は、可動接点金属板6の可動接点7が固定接点5に接触するオン状態では、可動接点金属板6とバイメタル8とが非接触状態となって通電されず、可動接点金属板6の可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる状態では、可動接点金属板6に接触するバイメタル8と固定接点金属板4とを介して通電されて発熱し、バイメタル8を加熱する。加熱されるバイメタル8は、
図6に示すように、可動接点7を固定接点5から離すオフ状態に保持する。この無通電タイプのブレーカは、オフ状態に切り換えられた状態で、可動接点7をオフ状態に保持するので、パック電池に安全に使用できる。それは、パック電池が異常な状態で使用されて設定温度よりも高くなり、無通電タイプのブレーカがオフに切り換えられた後は、パック電池の電池からヒーター9に通電され続けてバイメタル8が加熱されるので、ブレーカがオン状態に復帰することなく、電池が放電されるまで電流を遮断する状態に保持できるからである。
【0041】
ただ、ブレーカは、必ずしもヒーターを内蔵する構造には限定しない。ヒーターを内蔵しないブレーカは、バイメタルが設定温度よりも高くなって変形し、可動接点金属板を変形させて接点をオフ状態に切り換えると、バイメタルを加熱してブレーカをオフ状態に保持することなく、バイメタルが所定の温度まで低下すると、バイメタルと可動接点金属板とを復帰させてブレーカをオン状態に切り換える。
【0042】
バイメタル8は、加熱して変形するように、熱膨張率が異なる金属を積層したものである。バイメタル8は、ヒーター9と可動接点金属板6との間に配設され、加熱されて反転するように変形して、可動接点7を固定接点5から離してブレーカをオフ状態に切り換える。バイメタル8は、中央凸に湾曲する形状であって、熱変形しない状態、すなわち、可動接点7を固定接点5に接触させる状態では、
図5に示すように、中央突出部を可動接点金属板6側に突出させる姿勢とし、熱変形して反転するように変形する状態では、
図6に示すように、中央突出部をヒーター9側に突出させる姿勢となる。バイメタル8は、
図6に示すように、熱変形して反転する状態では、中央突出部をヒーター9に接触させると共に、両端部分を可動接点金属板6に接触させて押圧し、可動部分6Aを押し上げて可動接点7を固定接点5から離してオフに切り換える。
【0043】
可動接点金属板6は、
図5と
図6に示すように、中間部分である非可動部分6Bを第2の外壁11Bの上端面に固定して、先端側の可動部分6Aを収納スペース20の内部に配設し、後端部を外装ケース1の外部に引き出して接続端子6Xとしている。可動接点金属板6は、非可動部6Bを接着して第2の外壁11Bの上端面に固定している。さらに、可動接点金属板6は、
図5、
図6、及び
図9に示すように、第2の外壁11Bと外装金属板3とで非可動部6Bを挟着して第2の外壁11Bの上端面に固定している。図に示す無通電タイプのブレーカは、外装金属板3の一端部を、可動接点金属板6の非可動部分6Bに接触状態に積層している。したがって、外装金属板3を可動接点金属板6の接点として使用することもできる。ただ、可動接点金属板は、外装金属板との間を絶縁しながら積層することもできる。
【0044】
可動接点金属板6は、収納スペース20に配置される可動部分6Aを弾性変形できる金属板としている。可動接点金属板6は、Pに加えて、Niを含有するCu−Ni−P系合金である。このCu−Ni−P合金は、母体となるCuに、
0.1mass%以上、好ましくは0.3mass%以上、さらに好ましくは0.6mass%以上であって、1.6mass%以下、好ましくは1mass%以下、さらに好ましくは0.8mass%以下のNiと、0.05mass%以上、
好ましくは0.1mass%以上であって、0.3mass%以下、好ましくは0.15mass%以下のPを含有する。
さらに、Cu−Ni−P合金は、Pと、Niに加えて、ZnとFeを含有することができる。このCu−Ni−P合金は、
0.02mass%以上、好ましくは0.05mass%以上であって、0.5mass%以下、好ましくは0.2mass%以下のZnと、
0.02mass%以上、好ましくは0.05mass%以上であって、0.3mass%以下、このましくは0.15mass%以下のFeを含有している。
【0045】
さらに、可動接点金属板6は、この可動部分6Aの先端部であって固定接点5と対向する面に可動接点7を設けている。この可動接点金属板6は、バイメタル8が熱変形しない状態では、可動接点7が固定接点5に接触してオン状態となり、バイメタル8が熱変形する状態では、バイメタル8に押される可動部分6Aが弾性変形して、可動接点7が固定接点5から離れてオフ状態となる。
図5と
図6に示す無通電タイプのブレーカは、バイメタル8が熱変形しない状態で、可動接点7を確実に固定接点5に接触できるように、可動部分6Aの後端部を下方に押圧する押圧凸部23を外装金属板3の内面から突出して設けている。この可動接点金属板6は、可動部分6Aの後端部が押圧凸部23で下向きに押圧されることで、可動部分6Aの先端部が下方に付勢されて、先端の可動接点7を確実に固定接点5に接触させる。
【0046】
さらに、
図5ないし
図7の可動接点金属板6は、下面に突出部6Cを設けており、この突出部6Cにバイメタル8の両端部を接触させて互いに押圧するようにしている。図に示す突出部6Cは、外形を円弧状としており、バイメタル8の両端部を横方向に摺動させることなく確実に接触させて互いに押圧できるようにしている。図に示す可動接点金属板6は、バイメタル8の両端部と対向する下面に複数の突出部6Cを設けている。この構造は、幅のあるバイメタル8であっても確実に接触させて互いに押圧できる。
【0047】
可動接点金属板6の接続端子6Xは、回路基板にリフローハンダ等のハンダ付けによって固定できるように、外装ケース1から外部に引き出される先端部の接続面(
図5及び
図6においては底面)が、外装ケース1の底面、すなわち、絶縁ケース2の底面とほぼ同一平面に位置するように折曲している。このブレーカは、接続端子6Xを回路基板のハンダ面に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。ただ、ブレーカは、外装金属板3を可動接点金属板6に接触状態で積層して、可動接点金属板6に電気接続される外装金属板3の露出部を露出端子43として、この露出端子43を回路基板のハンダ面にリフローハンダすることもできる。このブレーカは、必ずしも可動接点金属板6の接続端子6Xを外装ケース1から外部に引き出すことなく、外装金属板3を介して可動接点金属板6を回路基板等の表面に接続して固定できる。
【0048】
図4ないし
図6に示すブレーカは、
図12に示すように、外装ケース1の両端から外部に引き出された可動接点金属板6の接続端子6Xと固定接点金属板4の接続端子4Xとを回路基板60にハンダ付けして固定される。このブレーカは、外装ケース1の底面、すなわち、絶縁ケース2の底面を回路基板60の上面に対向する姿勢として回路基板60に配置されてハンダ付けされる。このブレーカは、外装ケース1の両端に設けられた接続端子6Xと接続端子4Xとを、回路基板60の表面に設けたハンダ面61に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。ブレーカは、接続端子6Xと接続端子4Xを介して回路基板60のハンダ面61に接続されると共に、回路基板60の定位置に固定される。
【0049】
さらに、
図13に示すブレーカは、外装ケース1の一端から外部に引き出された可動接点金属板6の接続端子6Xと、絶縁ケース2の底面側の表面から露出する固定接点金属板4の露出端子44とを回路基板60にハンダ付けして固定している。このブレーカは、固定接点金属板4の露出端子44を回路基板60に接続するので、
図5と
図6に示す接続端子4Xを図の鎖線部分で切除している。このブレーカも、外装ケース1の底面、すなわち、絶縁ケース2の底面を回路基板60の上面に対向する姿勢として回路基板60の上面に配置されてハンダ付けされる。このブレーカは、外装ケース1の一端に設けた接続端子6Xと、絶縁ケース2の底面側の表面から露出する露出端子44とを、回路基板60の表面に設けたハンダ面61に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。ブレーカは、接続端子6Xと露出端子44とを介して回路基板60のハンダ面61に接続されると共に、回路基板60の定位置に固定される。
【0050】
さらに、
図14に示すブレーカは、外装ケース1の一端から外部に引き出された固定接点金属板4の接続端子4Xと、可動接点金属板6に接触状態で積層されて電気接続された外装金属板3の露出端子43とを回路基板60にハンダ付けして固定している。このブレーカは、
図4ないし
図6に示す状態から上下を反転する姿勢で回路基板60の上面に配置されてハンダ付けされる。したがって、
図14に示すブレーカは、絶縁ケース2から外部に引き出される固定接点金属板4の接続端子4Xの接続面(
図14においては下面)を、外装金属板3の上面、すなわち外装金属板3の上面(
図14においては下面)とほぼ同一平面に位置するように折曲している。さらに、このブレーカは、外装金属板3の露出端子43を回路基板60に接続するので、
図5と
図6に示す接続端子6Xを図の鎖線部分で切除している。このブレーカは、外装ケース1の一端に設けた接続端子4Xと、外装金属板3の露出端子43とを、回路基板60の表面に設けたハンダ面61に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。このブレーカは、接続端子4Xと露出端子43とを介して回路基板60のハンダ面61に接続されると共に、回路基板60の定位置に固定される。
【0051】
さらに、
図15ないし
図18に示すブレーカは、外装金属板3を連結プラスチック52に固定し、連結プラスチック52を絶縁ケース2に固定して、外装金属板3を絶縁ケース2に固定している。外装金属板3は、連結プラスチック52にインサート成形して固定される。インサート成形される外装金属板3は、連結プラスチック52を成形する金型の成形室に仮止めされ、成形室に溶融状態のプラスチックを注入して連結プラスチック52に固定される。連結プラスチック52は、超音波溶着して絶縁ケース2に固定されて、絶縁ケース2と連結プラスチック52とで外装ケース1を構成している。ただ、連結プラスチックは、接着して、あるいは嵌合構造で絶縁ケースに固定することもできる。連結プラスチック52は、外装金属板3の周囲にあって、絶縁ケース2の両端部に設けている第1の外壁11Aと第2の外壁11Bとに固定され、さらに対向壁12に固定される。外装金属板3は、外周部を除く部分を露出させて露出端子43としている。
図15ないし
図17に示すように、外装金属板3と連結プラスチック52は、上面を同一平面としている。このブレーカは、露出端子43を回路基板のハンダ面に確実に接触させて接続できる。すなわち、連結プラスチック52が突出して、接続される露出端子43をハンダ面から離すことがなく、露出端子43を確実に安定してハンダ面に接続できる。外装金属板3は、連結プラスチック52と上面を同一平面とするために、上面の外周部に低くなる段差部3aを設けて、段差部3aに連結プラスチック52を成形している。
【0052】
さらに、
図15と
図16に示すブレーカは、固定接点金属板4の一端を、絶縁ケース2の外部に引き出して接続端子4Xとしている。固定接点金属板4の接続端子4Xは、回路基板の表面にリフローハンダ等のハンダ付けによって固定できるように、外装ケース1から外部に引き出される先端部の接続面(
図15においては上面)が外装ケース1の上面、すなわち、外装金属板3の上面とほぼ同一平面に位置するように折曲している。
【0053】
このブレーカは、
図19に示すように、
図15ないし
図17に示す状態から上下を反転する姿勢で回路基板60の上面に配置されてハンダ付けされる。このブレーカは、外装ケース1の一端から外部に引き出された固定接点金属板4の接続端子4Xと、可動接点金属板6に接触状態で積層されて電気接続された外装金属板3の露出端子43とを、回路基板60の表面に設けたハンダ面61に配置する状態で加熱処理されてリフローハンダされる。ブレーカは、接続端子4Xと露出端子43とを介して回路基板60のハンダ面61に接続されると共に、回路基板60の定位置に固定される。ただ、このブレーカも、
図16の鎖線で示すように、可動接点金属板6の一端を外装ケース1の外部に引き出して接続端子6Xを設け、可動接点金属板6の接続端子6Xと固定接点金属板4の接続端子4Xとを介して回路基板60のハンダ面61にハンダ付けすることもできる。
[実施例]
【0054】
可動接点金属板6に、Cuを母材金属として、これにNiとPを含有するCu−Ni−P合金を使用して、固定接点金属板には、Cuを母材金属として、これにCrを含有するCu−Cr合金を使用して、
図4ないし
図9に示す構造のブレーカを製造する。
可動接点金属板に用するCu−Ni−P合金は、母材金属のCuに以下の金属を含有する。
このCu−Ni−P合金は、導電率が65%IACS、体積抵抗率が0.0265μΩ・m、熱伝導係数が267W/m・k、ヤング率が110GPAとなる。
Ni…………0.7mass%
P……………0.13mass%
Zn…………0.1mass%
Fe…………0.1mass%
【0055】
固定接点金属板に用するCu−Cr合金は、母材金属のCuに以下の金属を含有する。
このCu−Cr合金は、導電率が65%IACS、体積抵抗率が0.023μΩ・m、熱伝導係数が301W/m・k、ヤング率が127GPAとなる。
Cr…………0.25mass%
Sn…………0.25mass%
Zn…………0.22mass%
[比較例]
【0056】
可動接点金属板と固定接点金属板をリン青銅とする以外は実施例1と同じ構造のブレーカを製造した。比較例1で使用したリン青銅は、母材金属のCuに以下の金属を含有する。
このリン青銅は、導電率が12%IACS、体積抵抗率が0.133μΩ・m、熱伝導係数が67W/m・k、ヤング率が110GPAとなる。
Sn…………7.0mass%
P……………0.2mass%
【0057】
以上の実施例と比較例のブレーカが、オフ状態に切り換えられる電流は、
図20に示す測定回路で測定される。この図の測定回路は、直流電源62に電流を検出するシャント抵抗63とブレーカと電流をコントロールする電子負荷65とを直列に接続している。電流は、シャント抵抗63の両端の電圧から測定される。ブレーカ64は、60℃の恒温槽66に入れて、周囲温度を60℃の一定温度に保持している。このブレーカ64は、周囲温度が75℃になると、バイメタルが反転してオフ状態に切り換えられるように、バイメタルと可動接点金属板とを設定している。電子負荷65は、0.2A/分の勾配でブレーカの電流を増加させる。
【0058】
以上の測定装置でブレーカがオフ状態に切り換えられる電流を測定すると、実施例のブレーカは7.6Aでオフ状態に切り換えられ、比較例のブレーカは4.1Aでオフ状態に切り換えられた。このことから、本発明の実施例にかかるブレーカは、最大電流を7Aとするパック電池などの機器に保護素子として使用できる。これに対して比較例のブレーカは、最大電流を4Aとする機器にしか保護素子として使用できない。