特許第6099086号(P6099086)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6099086-濁水の連続処理運用方法 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099086
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】濁水の連続処理運用方法
(51)【国際特許分類】
   B01D 21/02 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   B01D21/02 F
   B01D21/02 J
【請求項の数】1
【全頁数】5
(21)【出願番号】特願2013-25179(P2013-25179)
(22)【出願日】2013年2月13日
(65)【公開番号】特開2014-151297(P2014-151297A)
(43)【公開日】2014年8月25日
【審査請求日】2016年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000229162
【氏名又は名称】日本ソリッド株式会社
(72)【発明者】
【氏名】波多野 倫
【審査官】 金 公彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開平09−099203(JP,A)
【文献】 特開2011−189257(JP,A)
【文献】 特開2008−303558(JP,A)
【文献】 特開2010−188225(JP,A)
【文献】 実開昭62−048406(JP,U)
【文献】 特開2008−207163(JP,A)
【文献】 特表2005−519743(JP,A)
【文献】 実公昭48−015972(JP,Y1)
【文献】 実開昭61−171504(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D 21/00−21/34
C02F 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の沈澱池を同時に使用して濁水を清澄化処理する沈殿処理施設において、少なくとも一つの沈澱池を休止したときに、他の使用している沈殿池の少なくとも一つの沈澱池に、フロートに、水中膜を垂下させた水流傾斜膜を、隣接する水中膜との間に間隔を設けて連結させた整流膜あるいはロープに、水中膜を隣接する水中膜との間に間隔を設けて垂下させた整流膜を、複数条展張することを特徴とする、濁水の処理量を減少させることなく処理することができる濁水の連続処理運用方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上水道をはじめ工業用水道、産業廃水処理等の沈澱池における濁水の処理を、一部の沈澱池を休止した場合においても、濁水の処理量を保持した状態で濁水の処理を行う連続処理運用方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、上水道をはじめ工業用水道、産業廃水処理等の沈澱池における濁水を処理する場合、処理量を確保するため複数の沈澱池を用いて処理する方法が一般的に行われている。すなわち、横流沈澱池を例にとれば、混和池で濁水に凝集剤が添加され、次のフロック形成池において急速撹拌が行われて均一に混合された後沈澱池の緩速撹拌部においてゆっくり撹拌を行ってフロックの生成を行い、さらに沈殿部において、生成したフロックを沈降させて清澄化処理を行い、沈澱池装置外に排出させていた。しかしながら沈殿池を長期間使用していると設備の故障とか沈澱池内の傾斜板などの保守整備等を用うために一時的に一部の沈澱池を停止しなければならなかった。
このような場合は、休止した沈澱池の処理量に見合う量の濁水に減少させなければならなかった。
また他の方法としては、目的とする濁水の処理量より多く処理できる沈殿処理施設を予め造って対応していたが、この場合沈殿処理施設を建設するスペースを必要とする外、莫大な建設費用を要する問題点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、沈殿処理施設において、一部の沈澱池を休止させた場合にも、休止前の濁水の処理量と水質を確保する方法について種々研究を重ねた結果、既存の沈殿池のみで処理する方法を見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0004】
すなわち、本発明は、複数の沈澱池を同時に使用して濁水を清澄化処理する沈殿処理施設において、少なくとも一つの沈澱池を休止したときに、他の使用している沈殿池の少なくとも一つの沈澱池に、水流傾斜膜を各々隣接する水流傾斜膜との間に間隙を設けて連結した整流膜を複数条展張することを特徴とする、濁水の処理量を減少させることなく処理することができる濁水の連続処理運用方法である。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、沈殿処理施設の一部の沈澱池を休止させた場合においても、既存の沈澱池のみで休止前の濁水の処理量を確保することは勿論、それ以上の処理量を確保することができる。また従来は、沈澱処理施設を建設する場合にも休止する沈殿池を想定して、目標とする濁水の処理量以上の能力を有するように設計しなければならず、そのため設置面積の拡大と共に、建設費用がかかると云う問題もあったが本発明はその問題も解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】本発明の水流傾斜膜の正面図
図2図1の水流傾斜膜の側面図
図3】本発明の整流膜の一例を示した正面図
図4】整流膜を並列状に展張した状態を示す平面図
図5】整流膜を千鳥状に展張した状態を示す平面図
【発明を実施するための形態】
【0007】
次に本発明の濁水の連続処理運用方法について説明する。
まず本発明に使用する整流膜について説明する。
本発明の整流膜は、例えば図1および図2に示すように、ロープ等を通す挿通口1を有するフロート2に水中膜3を垂下させた水流傾斜膜4を図3に示すように、フロート2の挿通口1にロープ5等を通して隣接する水中膜3との間に間隙を設けて連結させたものが使用できる。
また他の水流傾斜膜の態様としては、フロート2を用いずに、直接ロープ等に水中膜3を垂下させたものも好適に使用できる。
【0008】
沈殿池内に展張する整流膜は、沈澱池内の濁水の流れ方向に対し、水流傾斜膜4の膜面を対向させる状態で設置することが好ましい。
またこの整流膜は、沈澱池内の濁水の流れ方向に対し、多重展張することが必要である。多重展張する場合の整流膜の前後の間隔は、沈澱池の形状及び大きさによって適宜決定することができる。
【0009】
整流膜の展張方法も図4に示すように沈殿池内にそれぞれ流れ方向に対し並列状にするように展張しても、また図5に示すように千鳥状に展張することもできる。
これらの整流膜を展張した場合、整流膜端部の水流傾斜膜4と沈澱池壁面との間に間隔が生じた場合には該間隔部近傍に阻流板6を設けることが好ましい。
【0010】
本発明における沈澱池の形状も円形、正方形、長方形のいずれの形状のものでも使用できるが、好ましくは長方形のものが最適である。
【符号の説明】
【0011】
1.
挿通口
2.
フロート
3.
水中膜
4.
水流傾斜膜
5.
ロープ
6.
阻流板
図1
図2
図3
図4
図5