(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099097
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機
(51)【国際特許分類】
G07F 13/00 20060101AFI20170313BHJP
G07F 13/10 20060101ALI20170313BHJP
G07F 9/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
G07F13/00 C
G07F13/10 Z
G07F9/00 T
【請求項の数】4
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2013-226077(P2013-226077)
(22)【出願日】2013年10月30日
(65)【公開番号】特開2015-87967(P2015-87967A)
(43)【公開日】2015年5月7日
【審査請求日】2016年5月24日
(73)【特許権者】
【識別番号】000126849
【氏名又は名称】株式会社アペックス
(74)【代理人】
【識別番号】100092107
【弁理士】
【氏名又は名称】下田 達也
(72)【発明者】
【氏名】清水 重雄
【審査官】
永安 真
(56)【参考文献】
【文献】
特開昭61−195485(JP,A)
【文献】
特開2011−39768(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 13/00 − 15/12
G07F 9/00 − 9/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
既存、または新規のカップ式飲料自動販売機における全ての販売商品がお金を入れなくても販売可とするスイッチをキースイッチにして、キースイッチの接点と、指定した飲料の主原料吐出モータの配線に割り込みを掛け、キースイッチのON作業によって、事前にプログラミングされた一部の販売商品の主原料吐出モータを停止させ、利用者が前記販売商品を無料購入する際に、熱湯、冷水、氷や炭酸水だけを無料購入できるモードに変更することができ、また、キースイッチのOFF作業によって、いつでも主原料吐出モータを再稼働させ、通常モードに戻せるようにしたことを特徴とする災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機。
【請求項2】
既存、または新規のカップ式飲料自動販売機における全ての販売商品がお金を入れなくても販売可とするスイッチをキースイッチにして、キースイッチの接点と、指定した飲料の主原料吐出モータ、マイカップ選択スイッチの配線にも割り込みを掛け、キースイッチのON作業によって、事前にプログラミングされた一部の販売商品の主原料吐出モータを停止させ、利用者が前記販売商品を無料購入する際に、カップ式飲料自動販売機内に収納された紙カップが在庫切れの状態であっても、紙カップに代わるマイカップ等の容器を利用することによって、熱湯、冷水、氷や炭酸水だけを無料購入できるモードに変更することができ、また、キースイッチのOFF作業によって、いつでも主原料吐出モータを再稼働させ、通常モードに戻せるようにしたことを特徴とする災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機。
【請求項3】
前記販売設定を変更するためのキースイッチに換えて、リモコンを利用して設定変更できることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機。
【請求項4】
前記販売設定を変更するためのキースイッチに換えて、販売管理者や災害時の対応者だけでなく、利用者であればだれでも操作可能なエマージェンシースイッチを採用することを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大規模地震などの災害時に、避難している方々に無償で熱湯、白湯、冷水、炭酸水を提供できるカップ式飲料自動販売機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の災害時対応の缶やペットボトルを販売する自動販売機は、管理者が所有しているキーにより、自動販売機前面に設けられている電源切換スイッチを操作して、電源切替を行うことによって、電源が無停電電源装置側に切り換わり、自動販売機への給電が行われ、災害対応時の自動販売機コントローラ設定変更マニュアル等を避難所対応者に預け、マニュアル通りに間違いなく実施することによって災害対応無料ベンダーとしての機能を果たすものである。しかしながら、上記方式では、自動販売機管理者や避難所対応者が設定変更作業を行わなければならず、1台の自動販売機のみを管理している場合にはよいが、設置場所の異なる複数台の自動販売機を管理している場合などは、複数の設置場所まで出向く必要があり、また、大規模災害の場合には、交通インフラも遮断されている可能性もあるため、飲料を必要とする場所にすぐに対応できないという問題があった。
そのため、従来技術では、停電時に、自動販売機から商品を搬出させたい時点で無停電電源装置側からの給電に切り替えることができる自動販売機を提供するために、携帯電話と、自動販売機と、自動販売機を管理するセンタ装置とが通信手段により通信可能に構成された自動販売機において、商用電源からの給電の他に停電時に給電を行う無停電電源装置と、停電による商用電源停止時に、商用電源側から無停電電源装置側へ切り替える切替手段とを備え、携帯電話からセンタ装置にアクセスすることにより、切替手段を操作可能な認証キーを携帯電話にて取得し、該携帯電話と自動販売機との間で通信することで、切替手段を無停電電源装置側へ切り替える制御手段を備えたこと特徴とする自動販売機(例えば、特許文献1を参照)が存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−110465号公報(特許請求の範囲の欄、発明の詳細な説明、及び
図1〜
図3を参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来技術は、缶やペットボトルを販売する自動販売機のものであり、さらに、大規模災害の場合には、交通インフラも遮断されている可能性もあるため、在庫飲料がなくなってしまった場合には、必要とする場所にすぐに対応できないという問題がある。
カップ式飲料自動販売機の場合では、飲料をその場で調理して提供しているため、例え飲料のシロップや粉末等の原料がなくなったとしても、水を確保することができれば、自動販売機内のパネルを操作することで、お湯や冷水だけを提供することができる。このことによって、通常の自動販売機ではできない大規模災害時に避難所などで支援物資として送られてくるインスタント飲料等を使うことによって温かい飲み物を提供できたり、赤ん坊のミルクを作る際に必要なお湯を提供することができるものである。
上記のように、カップ式飲料自動販売機内に設置されたパネルを操作すれば、通常の販売形態から一部をお湯や冷水のみを提供するモードに移行することができるが、災害時に実際にパネルを操作するのは、自動販売機の専門家ではなく、設置場所を提供している管理者であり、パネル操作という作業は煩雑であるという問題点がある。
本発明は、上記課題を解消した災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1発明は上記課題を解決したものであり、請求項1に記載した通りの災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機であり、次のようなものである。
既存、または新規のカップ式飲料自動販売機における全ての販売商品がお金を入れなくても販売可とするスイッチをキースイッチにして、キースイッチの接点と、指定した飲料の主原料吐出モータの配線に割り込みを掛け、キースイッチのON作業によって、事前にプログラミングされた一部の販売商品の主原料吐出モータを停止させ、利用者が前記販売商品を無料購入する際に、熱湯、冷水、氷や炭酸水だけを無料購入できるモードに変更することができ、また、キースイッチのOFF作業によって、いつでも主原料吐出モータを再稼働させ、通常モードに戻せるようにする構成である。
【0006】
本発明の第2発明は上記課題を解決したものであり、請求項2に記載した通りの災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機であり、次のようなものである。
既存、または新規のカップ式飲料自動販売機における全ての販売商品がお金を入れなくても販売可とするスイッチをキースイッチにして、キースイッチの接点と、指定した飲料の主原料吐出モータ、マイカップ選択スイッチの配線にも割り込みを掛け、キースイッチのON作業によって、事前にプログラミングされた一部の販売商品の主原料吐出モータを停止させ、利用者が前記販売商品を無料購入する際に、カップ式飲料自動販売機内に収納された紙カップが在庫切れの状態であっても、紙カップに代わるマイカップ等の容器を利用することによって、熱湯、冷水、氷や炭酸水だけを無料購入できるモードに変更することができ、また、キースイッチのOFF作業によって、いつでも主原料吐出モータを再稼働させ、通常モードに戻せるようにする構成である。
【0007】
本発明の第3発明は上記課題を解決したものであり、請求項3に記載した通りの災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機であり、次のようなものである。
請求項1、または請求項2に記載の発明に加えて、前記販売設定を変更するためのキースイッチに換えて、リモコンを利用して設定変更できる構成である。
【0008】
本発明の第4発明は上記課題を解決したものであり、請求項4に記載した通りの災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機であり、次のようなものである。
請求項1、または請求項2に記載の発明に加えて、前記販売設定を変更するためのキースイッチに換えて、販売管理者や災害時の対応者だけでなく、利用者であればだれでも操作可能なエマージェンシースイッチを採用する構成である。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機は、上記説明のような構成を有するので、以下に記載する効果を奏する。
(1)災害時に、通常の缶やペットボトル等の自動販売機では提供することが困難な、冷水やお湯や氷や炭酸水だけの提供ができるように飲料の原料を吐出しないようにすることで可能とする。
(2)災害時に避難所において水と電源を確保することができれば、商品売り切れを出すことなく、冷水やお湯を提供することができ、夏場の冷たい水や、お湯を必要とする赤ちゃんのミルクや、粉状のスープや、カップラーメンなどを作るために必要なお湯、怪我をした場合に患部を冷やすための氷など、避難した利用者への様々なニーズに応えることができる。
(3)既存・既設のカップ式自動販売機にも簡単に設置することができる。
(4)一部の販売商品だけを上記熱湯、冷水、氷、炭酸水のみを提供するモードに変更することができるため、他の部分の販売商品は通常通り、調理を行って利用者に提供することができる。
(5)請求項2の発明によれば、マイカップモードを搭載することにより、例えカップ式飲料自動販売機内にストックされた紙カップがなくなってしまっても、利用者がマイカップを使用することにより、何度でもカップ式飲料自動販売機を利用して、お湯、冷水、氷、炭酸水だけを得ることができる。
(6)請求項3に記載の発明によれば、リモコンなどの外部キーによって、簡単に通常モードから災害時モードへと設定変更することができるため、初めて設定を変更する場合でも操作間違いをすることなく、設定を変更することができる。
(7)請求項4の発明によれば、カップ式飲料自動販売機前面に取り付けられた、エマージェンシースイッチを押すことにより、通常モードから災害時モードへと設定変更することができるため、リモコンキーを操作できない状況であっても、モード変更が可能であり、モード変更をされたかどうかの確認も簡単に視認することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例におけるカップ式飲料自動販売機の表扉部を示す概略正面図である。
【
図2】本発明の災害時における設定切り替え変更の実施例で、強制フリーベントスイッチと主原料吐出モータの連動例を示す概略ブロック図である。
【
図3】本発明の災害時における設定切り替え変更の実施例で、強制フリーベントスイッチとマイカップと主原料吐出モータの連動例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
既存、または新規のカップ式飲料自動販売機における全ての販売商品がお金を入れなくても販売可とするスイッチをキースイッチにして、キースイッチの接点と、指定した飲料の主原料吐出モータの配線に割り込みを掛け、キースイッチのON作業によって、事前にプログラミングされた一部の販売商品の主原料吐出モータを停止させ、利用者が前記販売商品を無料購入する際に、熱湯、冷水、氷や炭酸水だけを無料購入できるモードに変更することができ、また、キースイッチのOFF作業によって、いつでも主原料吐出モータを再稼働させ、通常モードに戻せるようにした災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機である。
【実施例】
【0012】
以下、図面を用いて本発明の一実施例の災害対応機能を備えたカップ式飲料自動販売機を説明する。
本発明のカップ式飲料自動販売機においては、大震災等の災害が発生した場合に活躍するもので、例えば、その被災地の避難所に電気、水道のインフラが復旧・もしくは継続して利用できる状態を前提に、当該カップ式飲料自動販売機を設置(既に、カップ式飲料自動販売機が設置されている避難所などであれば、改めて設置する必要はなく、簡単な作業や設定変更をすることで本発明のカップ式飲料自動販売機へとすることが可能である。)し、避難している方々に無償で、熱湯、白湯、冷水、氷、炭酸水等を提供することができる災害対応カップ式飲料自動販売機である。
図1は、本発明の対象となるカップ式飲料自動販売機の概略正面図の一例を示すもので、カップ式飲料自動販売機は、その本体キャビネット前面に外扉を備えており、複数種類の商品を選択できるように、商品選択ボタンか設けられているもので、通常金銭を投入口から投入することで、商品の販売可能な商品が表示されるので、その中から商品選択ボタンを押すことで商品を得ることができる。
【0013】
従来のカップ式飲料自動販売機での災害時の対応としては、適宜位置に設けられたキースイッチ1(全ての販売商品を無償で販売するためのスイッチ、すなわち強制フリーベントスイッチ)をONにし、例えばコーヒーの商品部分を使って(どの商品部分にするかは管理者が自由に選択できるものである。)熱湯のみを提供するモードにする場合には、カップ式飲料自動販売機内に設置されているコントローラの各種飲料設定変更画面を呼び出し、目的のコーヒーの商品コードを正確に打ち込み、前記コーヒーの飲料設定変更画面を呼び出し、コーヒー原料の吐出設定値を探し出し、ここの原料吐出量を変更する作業(例えば、18g→0g)を行って、熱湯だけを提供するようにするものである。
冷水や氷水、氷のみ、炭酸水の場合でも同様の操作を行い、その飲料の主原料(例えば、コーヒー、ココア、コーラなど)の原料の吐出量を0に設定することで対応するものである。
しかしながら、通常このような設定変更作業を行わない、管理者やカップ式飲料自動販売機の扱いに慣れない避難所に避難した人に、この作業を強いることは難しいものである。
【0014】
そこで、以上の問題点を解決すべく開発したのが本発明のカップ式飲料自動販売機である。
第一実施例としては、既存のカップ式飲料自動販売機に存在するキースイッチ1(強制フリーベントスイッチになる)の接点と、指定した飲料の主原料吐出モータ2をON/OFFするための原料吐出モータスイッチ3を配線し、この配線によって
図2のように動作配線に割り込みを掛け、キースイッチ1のON/OFF作業だけで、原料の吐出を制御することができるものである。
このキースイッチ1をカップ式飲料自動販売機の前面扉に取り付けることで、カップ式飲料自動販売機の前面扉を開けて煩雑な設定変更作業を行うことなく、災害対応時のカップ式飲料自動販売機の設定を行うことができるものである。
【0015】
第二実施例として、第一実施例と同様な既存のカップ式飲料自動販売機に予め備わっているマイカップ選択スイッチ4にも割り込みを掛けることにより、
図3に示すようにキースイッチのON/OFFを行うことにより、主原料吐出モータ2とマイカップ選択スイッチ4も同時にON/OFFを行うことができるものである。
このことによって、自動販売機内に収納された紙カップを消費することなく、避難者が持参や避難所にある既存のカップを使用して熱湯、白湯、冷水、氷、炭酸水、通常の販売商品を得ることができる。
【0016】
また、複数個のスイッチのついた市販の無線機器(リモコン)を使用して切り替えを遠隔操作で行うことも考えられる。事前に各スイッチに種々の設定を登録しておくことにより、利用者のニーズや、避難所などの状況によって様々な形態のカップ式飲料自動販売機を提供することができる。
例えば、押しボタンを3個有する製品(各ボタンをa、b、cと仮称する)を使用する例について簡単に説明すると、ボタンaはキースイッチON/OFF用、ボタンbは、原料吐出モータON/OFF用、ボタンcは、マイカップ選択用スイッチON/OFFとして設定したり、ボタンaだけで原料吐出モータのON/OFF、マイカップ選択用スイッチのON/OFFの同時操作、ボタンbで災害対応モードのON/OFF、ボタンcで通常モードへの復帰など、各ボタンの組み合わせの選択は、種々考えられるものである。
【産業上の利用可能性】
【0017】
災害時だけでなく、カップ式飲料自動販売機の設置環境や状況によって、種々利用することができる。
【符号の説明】
【0018】
1・・・・キースイッチ
2・・・・原料吐出モータ
3・・・・原料吐出モータスイッチ
4・・・・マイカップ選択スイッチ