特許第6099142号(P6099142)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099142
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】ガスメータ
(51)【国際特許分類】
   G01F 3/22 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   G01F3/22 B
【請求項の数】1
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2013-122578(P2013-122578)
(22)【出願日】2013年6月11日
(65)【公開番号】特開2014-240764(P2014-240764A)
(43)【公開日】2014年12月25日
【審査請求日】2016年4月19日
(73)【特許権者】
【識別番号】501418498
【氏名又は名称】矢崎エナジーシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄
(74)【代理人】
【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100070002
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 隆夫
(74)【代理人】
【識別番号】100165308
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 俊明
(74)【代理人】
【識別番号】100110733
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥野 正司
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【弁理士】
【氏名又は名称】朴 志恩
(72)【発明者】
【氏名】川島 定
(72)【発明者】
【氏名】北澤 拓也
【審査官】 山下 雅人
(56)【参考文献】
【文献】 特開2004−309365(JP,A)
【文献】 特開2012−132632(JP,A)
【文献】 特開2013−073859(JP,A)
【文献】 特開2012−237700(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 3/22
G01F 1/00
G01F 15/00
F17D 1/02, 5/02
F23K 5/00, 5/06, 5/16
F23N 5/18, 5/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスについての複数の流量区分毎に設定された複数の使用時間遮断値が記憶された使用時間遮断値記憶手段と、前記流量区分毎に継続使用時間を計測する継続使用時間計測手段と、前記継続使用時間計測手段によって計測された前記継続使用時間が当該継続使用時間の前記流量区分に対応して設定された前記使用時間遮断値を超えたとき前記ガスの遮断を行う遮断手段と、を備えたガスメータであって、
前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったことを示す全部無効フラグが記憶される全部無効フラグ記憶手段と、
前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグが記憶される個別設定フラグ記憶手段と、
前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったとき、前記全部無効フラグを「要求有り」に設定し、かつ、前記複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定する全部無効設定手段と、
前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求があったとき、前記全部無効フラグが「要求有り」に設定されていれば、前記一部の流量区分について前記個別設定フラグを「有効」に設定し、前記全部無効フラグが「要求有り」に設定されていなければ、前記複数の個別設定フラグの設定を維持する個別設定手段と、をさらに備え、
前記遮断手段が、前記個別設定フラグが「有効」に設定されている前記流量区分についてのみ前記ガスの遮断を行うように構成されている
ことを特徴とするガスメータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスについての複数の流量区分毎の継続使用時間を計測して、当該継続使用時間が当該複数の流量区分毎に設定された複数の使用時間遮断値を超えたときガスの遮断を行う使用時間遮断機能を備えたガスメータに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータは、ガス供給源とガス器具とを接続するガス管路を流れるガスの流量を流量センサによって周期的に計測しており、ガスの現在の流量を瞬時に計測することができるものがある。また、ガスメータにはガスの流量を計測する機能の他に、使用時間遮断機能という保安機能が設けられている(例えば、特許文献1)。
【0003】
この使用時間遮断機能とは、使用されている流量、具体的には、所定の流量範囲ごとに区切られた流量区分に対して継続使用時間を計測し、この継続使用時間が、予め定められた制限時間(使用時間遮断値)を超えた場合には、ガス供給を停止(遮断)させるというものである。また、使用時間遮断値は、流量区分毎に設定されており、流量変化に応じて流量区分が他の流量区分に切り替わると、継続使用時間はリセットされたのち再度計測が開始される。
【0004】
このようなガスメータにおいて、使用時間遮断値は、各流量区分のそれぞれに予め下限値及び上限値が設定されている。そして、ガスメータは、設置環境や使用環境に応じて各流量区分の使用時間遮断値として、例えば、各流量区分に設定された上限値を使用する設定(使用時間遮断値上限値固定設定)や、消し忘れ対策のため所定の流量区分(流量区分3以上など)において一律上記下限値以下の値を使用する設定(使用時間遮断値下限値以下固定設定)などがされる。また、ガスメータにおいては、例えば、リゾート施設や業務用施設に対応するため、ガス漏れ警報器と連動することを条件として全ての流量区分において使用時間遮断機能を無効として継続使用時間を無制限とする設定(「拡張2設定」とも呼ばれる)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013−40909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、例えば、ガスを燃料として発電を行う家庭用燃料電池コージェネレーションシステムのように、限定された流量区分だけが継続して使用される環境においては、そのような流量区分以外の流量区分においては継続使用時間による遮断機能により安全性を高めたいという要請があった。
【0007】
本発明は、上記課題に係る問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、安全性をより高めることができるガスメータを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載された発明は、上記目的を達成するために、ガスについての複数の流量区分毎に設定された複数の使用時間遮断値が記憶された使用時間遮断値記憶手段と、前記流量区分毎に継続使用時間を計測する継続使用時間計測手段と、前記継続使用時間計測手段によって計測された前記継続使用時間が当該継続使用時間の前記流量区分に対応して設定された前記使用時間遮断値を超えたとき前記ガスの遮断を行う遮断手段と、を備えたガスメータであって、前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったことを示す全部無効フラグが記憶される全部無効フラグ記憶手段と、前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグが記憶される個別設定フラグ記憶手段と、前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったとき、前記全部無効フラグを「要求有り」に設定し、かつ、前記複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定する全部無効設定手段と、前記遮断手段による前記ガスの遮断について前記複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求があったとき、前記全部無効フラグが「要求有り」に設定されていれば、前記一部の流量区分について前記個別設定フラグを「有効」に設定し、前記全部無効フラグが「要求有り」に設定されていなければ、前記複数の個別設定フラグの設定を維持する個別設定手段と、をさらに備え、前記遮断手段が、前記個別設定フラグが「有効」に設定されている前記流量区分についてのみ前記ガスの遮断を行うように構成されていることを特徴とするガスメータである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載された発明によれば、全部無効フラグ記憶手段には、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったことを示す全部無効フラグが記憶される。個別設定フラグ記憶手段には、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグが記憶される。そして、全部無効設定手段が、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったとき、全部無効フラグを「要求有り」に設定し、かつ、複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定する。個別設定手段が、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求があったとき、全部無効フラグが「要求有り」に設定されていれば、上記一部の流量区分について個別設定フラグを「有効」に設定し、全部無効フラグが「要求有り」に設定されていなければ、複数の個別設定フラグの設定を変更せずに現状を維持する。遮断手段が、個別設定フラグが「有効」に設定されている流量区分についてのみガスの遮断を行う。
【0010】
このようにしたことから、全ての流量区分において使用時間遮断機能を無効として継続使用時間を無制限とする要求(即ち、拡張2設定の要求)があったときに、当該要求があったことを示す全部無効フラグを「要求有り」に設定するとともに、複数の流量区分毎に設けられた、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定するので、その後、遮断手段が、個別設定フラグが「無効」に設定されていることにより複数の流量区分の全てにおいてガスの遮断を行わず、つまり、複数の流量区分の全てにおいて継続使用時間が無制限になる。そして、この状態において、遮断手段によるガスの遮断について複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求があったとき、全部無効フラグが「要求有り」に設定されているので、上記一部の流量区分について個別設定フラグが「有効」に設定されて、遮断手段が、一部の流量区分について個別設定フラグが「有効」に設定されていることにより、当該一部の流量区分についてガスの遮断を行い、つまり、継続使用時間が制限され、他の流量区分については「無効」に設定されていることによりガスの遮断を行わず、つまり、継続使用時間が無制限になる。そのため、限定された流量区分だけが継続して使用される環境において、そのような流量区分以外の流量区分においては継続使用時間による遮断機能を有効として、より安全性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態であるガスメータの概略構成図である。
図2図1のガスメータのマイコンが備えるROMに記憶された、ガスの流量区分に対応する使用時間遮断値を含む使用時間遮断値テーブルの一例を示す図である。
図3図1のガスメータのマイコンが備えるRAMに記憶された、使用時間遮断値の種別を示す使用時間遮断値種別と、拡張2設定の要求があったことを示す拡張2設定フラグと、ガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグを含む個別設定フラグテーブルと、の一例を示す図である。
図4図1のガスメータのCPUにより実行される拡張2設定処理の一例を示すフローチャートである。
図5図1のガスメータのCPUにより実行される拡張2設定限定解除処理の一例を示すフローチャートである。
図6図1のガスメータのCPUにより実行される遮断処理の一例を示すフローチャートである。
図7図4の拡張設定処理を実行した後のRAM50に記憶された使用時間遮断値種別と拡張2設定フラグと個別設定フラグテーブルとの一例を示す図である。
図8図5の拡張設定処理を実行した後のRAM50に記憶された使用時間遮断値種別と拡張2設定フラグと個別設定フラグテーブルとの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態としてのガスメータについて、図1図8を参照して説明する。このガスメータ(図中、符号1で示す)は、図示しないガス管路を流れるガスの流量を計測する機能とともに、上述した使用時間遮断機能を有する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態であるガスメータの概略構成図である。図2は、図1のガスメータのマイコンが備えるROMに記憶された、ガスの流量区分に対応する使用時間遮断値を含む使用時間遮断値テーブルの一例を示す図である。図3は、図1のガスメータのマイコンが備えるRAMに記憶された、使用時間遮断値の種別を示す使用時間遮断値種別と、拡張2設定の要求があったことを示す拡張2設定フラグと、ガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグを含む個別設定フラグテーブルと、の一例を示す図である。
【0014】
図1に示すように、ガスメータ1は、流量検出部11と、遮断部12と、マイクロコンピュータ(以下、マイコンという)20と、を備えている。
【0015】
流量検出部11は、図示しないガス管路(即ち、ガス流路)を流れるガスの瞬時流量を計測することができる周知の超音波センサの流量センサなどからなる。なお、この超音波センサは、ガス管路中を伝搬する超音波信号の信号伝搬時間から瞬時流量を検出するものである。勿論、流量センサは、ガスの流量が計測可能なものであれば、例えば、フローセンサ式流量センサなどの他の計測方式のものを用いてもよい。流量検出部11は、マイコン20に接続されており、自律して周期的(例えば、1秒毎)にガスの瞬時流量を計測し、この計測した瞬時流量に応じた流量信号をマイコン20に向けて出力する。なお、流量検出部11は、マイコン20からの計測要求信号に応じて、上記流量信号をマイコン20に向けて出力するものであってもよい。
【0016】
遮断部12は、ガス管路に設置された遮断弁及びこの遮断弁を駆動する駆動回路などで構成されている。遮断部12は、マイコン20に接続されており、マイコン20から出力される制御信号に応じて駆動回路が遮断弁を駆動してガス管路を開閉し、ガスの供給又は遮断を行う。遮断部12は、遮断手段に相当する。
【0017】
マイコン20は、所定の処理プログラムに従って各種の処理を行いガスメータ1全体の制御を司るCPU30と、CPU30が行う処理が記述された処理プログラムや各種判定値などを格納したROM40と、CPU30での各種処理過程で利用するワークエリア(各種データを格納するデータ記憶エリア等)を有するRAM50と、ガスの継続使用時間等の計時に用いられるタイマ60と、を備えている。タイマ60は、継続使用時間計測手段に相当する。
【0018】
ROM40には、全部無効設定手段、個別設定手段などの各種手段としてCPU30を機能させる制御プログラムが格納されている。そして、CPU30は、この制御プログラムを実行することにより、上記各種手段として機能する。
【0019】
また、ROM40には、図2に一例を示すように、ガス流量で区分された流量区分及び当該流量区分に対応する使用時間遮断値(下限値、上限値(警報器未接続、警報器接続))を含む使用時間遮断値テーブルT1が格納されている。なお、ガス流量に代えてガス消費量[kg/h]を計測して、このガス消費量に基づいて使用時間遮断機能を実行してもよい。ガス消費量は、単位時間あたりに消費したガスの質量を示すものであるが、このガス消費量はガス流量と相関性があるため、ガス流量は広い意味でガス消費量を含む。ROM40は、使用時間遮断値記憶手段に相当する。
【0020】
RAM50には、図3に一例を示すように、使用時間遮断値テーブルT1に含まれる使用時間遮断値のうち、ガスの遮断の判定に用いる使用時間遮断値の種別を示す使用時間遮断値種別J1と、ガスの遮断について複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったことを示す拡張2設定フラグJ2(全部無効フラグに相当する)と、が格納される領域が設けられている。また、RAM50には、ガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグを含む個別設定フラグテーブルJ3、が格納される領域が設けられている。本実施形態では、ガスメータの起動直後の初期状態において、使用時間遮断値種別J1には、「上限値(警報器接続)」が設定されている。勿論、これ以外にも、ガスメータの構成等に応じて「下限値」、「上限値(警報器未接続)」又は上述した「下限値以下固定」などが設定されていてもよい。また、初期状態において、拡張2設定フラグJ2には、「無し」(「要求無し」に相当する)が設定され、個別設定フラグテーブルJ3には、全ての個別設定フラグについて「無効」が設定されている。RAM50は、全部無効フラグ記憶手段及び個別設定フラグ記憶手段に相当する。
【0021】
また、マイコン20は、ガス漏れ警報器及びガスメータ1の保守用端末装置が接続される図示しない外部インタフェースを備えている。マイコン20は、外部インタフェースを介してガス漏れ警報器からガス漏れを検知した旨の電文を受信し、当該電文に応じて遮断部12を制御してガスの遮断を行う。また、マイコン20は、外部インタフェースを介して保守用端末装置から各種設定要求(拡張2設定要求、拡張2設定限定解除要求、及び、使用時間遮断値種別J1の変更を要求する使用時間遮断値種別変更要求など)の電文を受信し、当該電文に応じた処理を実行した後、当該電文の応答を保守用端末装置に送信する。または、保守用端末装置に代えて、通信網を介して保守センターに設置されている管理装置などに接続され、当該管理装置から送信された電文を処理するように構成されていてもよい。
【0022】
以下、CPU30によって実行される処理の一例を、図4図6のフローチャート、及び、図7図8のRAM50に格納された各種情報を参照して説明する。
【0023】
図4は、図1のガスメータのCPUにより実行される拡張2設定処理の一例を示すフローチャートである。図5は、図1のガスメータのCPUにより実行される拡張2設定限定解除処理の一例を示すフローチャートである。図6は、図1のガスメータのCPUにより実行される遮断処理の一例を示すフローチャートである。図7は、図4の拡張設定処理を実行した後のRAM50に記憶された使用時間遮断値種別と拡張2設定フラグと個別設定フラグテーブルとの一例を示す図である。図8は、図5の拡張設定処理を実行した後のRAM50に記憶された使用時間遮断値種別と拡張2設定フラグと個別設定フラグテーブルとの一例を示す図である。
【0024】
ガスメータ1が備えるマイコン20のCPU30は、ガスメータ1に電源が投入されると、例えば、流量検出部11に対して自律動作のための制御信号の送信し、遮断部12に対して遮断弁を開放するための制御信号を送信するなどの所定の初期化処理を実行したのち、拡張2設定処理、拡張2設定限定解除処理、遮断処理のそれぞれを周期的に実行する。
【0025】
まず、拡張2設定処理について図4及び図7を参照して説明する。
【0026】
拡張2設定処理に進むと、CPU30は、図示しない保守用端末装置から「拡張2設定要求」の電文を受信したか否かを判定する(S110)。当該電文を受信していなければ、そのまま拡張2設定処理を終了する(S110でN)。または、CPU30は、当該電文を受信していれば(S110でY)、図7に示すように、RAM50の拡張2設定フラグJ2を「有り」(「要求有り」に相当する)に設定し(S120)、そして、個別設定フラグテーブルJ3の全ての個別設定フラグを「無効」に設定するとともに、外部インタフェースを介して保守用端末装置に正常終了応答を送信したのち(S130)、拡張2設定処理を終了する。図7において、図3からの設定変更部分について太字で示してある。
【0027】
次に、拡張2設定限定解除処理について図5及び図8を参照して説明する。
【0028】
拡張2設定限定解除処理に進むと、CPU30は、図示しない保守用端末装置から「拡張2設定限定解除要求」の電文を受信したか否かを判定する(T110)。当該電文を受信していなければそのまま拡張2設定限定解除処理を終了する(T110でN)。または、CPU30は、当該電文を受信していれば(T110でY)、次に、拡張2設定フラグJ2が「有り」であるか、即ち、それ以前に拡張2設定要求があったかを判定する(T120)。拡張2設定フラグJ2が「有り」でなければ、外部インタフェースを介して保守用端末装置に未定義応答を送信して、拡張2設定限定解除処理を終了する(T120でN)。これにより、個別設定フラグテーブルJ3はその内容が維持(変更無し)される。または、拡張2設定フラグJ2が「有り」であれば(T120でY)、図8に示すように、上記電文に示された流量区分に対応する個別設定フラグを「有効」に設定するとともに、外部インタフェースを介して保守用端末装置に正常終了応答を送信したのち(T130)、拡張2設定限定解除処理を終了する。図8の例では、「拡張2設定限定解除要求」の電文に、流量区分4、6、7、10、12、13について使用時間遮断機能を有効にすることを示す情報が含まれ、それらに対応する個別設定フラグが「無効」から「有効」に変更されたことを示す。図8において、図7からの設定変更部分について太字で示してある。
【0029】
次に、遮断処理について、図6を参照して説明する。
【0030】
遮断処理に進むと、CPU30は、流量検出部11からの流量信号に基づいて、複数の流量区分のうちの現在の流量が含まれる流量区分を検知してするとともに、当該流量区分の継続使用時間をタイマ60により計測する。そして、計測した継続使用時間が、使用時間遮断値テーブルT1に含まれる当該継続使用時間の流量区分の使用時間遮断値のうち使用時間遮断値種別J1に対応する使用時間遮断値(本実施形態においては、上限値(警報器接続))を超えたか否かを判定する(U110)。継続使用時間が当該使用時間遮断値を超えていなければ、遮断処理を終了する(U110でN)。または、継続使用時間が当該使用時間遮断値を超えていれば(U110でY)、個別設定フラグテーブルJ3に含まれる当該継続使用時間の流量区分に対応する個別設定フラグが「有効」であるか否かを判定する(U120)。当該個別設定フラグが「有効」でない、即ち、「無効」であれば、その流量区分についてガスの遮断が無効化されているものとして、遮断処理を終了する(U120でN).または、当該個別設定フラグが[有効]であれば、その流量区分について、ガスの遮断が有効(即ち、ガスの遮断を行う)なものとして、遮断部12に対して制御信号を送信し(U130)、遮断部12はこの制御信号に基づいて、ガスの遮断を行う。そして、遮断処理を終了する。
【0031】
遮断処理の実例を挙げると、例えば、個別設定フラグテーブルJ3が図8に示す状態にある場合に、流量区分3の継続使用時間が使用時間遮断値(上限値(警報器接続)である600分を超えたとき(U110でY)、流量区分3に対応する個別設定フラグが「無効」であるためガスの遮断を行わない(U120でN)。また、上記場合に、流量区分4の継続使用時間が使用時間遮断値(上限値(警報器接続)である520分を超えたとき(U110でY)、流量区分4に対応する個別設定フラグが「有効」であるためガスの遮断を行う(U120でY、U130)。
【0032】
上述した拡張2設定処理のステップS120及びS130を実行するCPU30が、全部無効設定手段として機能し、上述した拡張2設定処理のステップT120及びT130を実行するCPU30が、個別設定手段として機能する。
【0033】
以上より、本実施形態によれば、RAM50には、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったことを示す拡張2設定フラグJ2が記憶される。RAM50には、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを示す、当該複数の流量区分毎に設けられた複数の個別設定フラグを含む個別設定フラグテーブルJ3が記憶される。そして、全部無効設定手段が、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分の全てにおいて無効とする要求があったとき、拡張2設定フラグJ2を「有り」に設定し、かつ、個別設定フラグテーブルJ3に含まれる複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定する。個別設定手段が、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求があったとき、拡張2設定フラグJ2が「有り」に設定されていれば、上記一部の流量区分について個別設定フラグを「有効」に設定し、拡張2設定フラグJ2が「無し」に設定されていれば、複数の個別設定フラグの設定を変更せずに現状を維持する。そして、遮断部12が、個別設定フラグが「有効」に設定されている流量区分についてのみガスの遮断を行う。
【0034】
このようにしたことから、全ての流量区分において使用時間遮断機能を無効として継続使用時間を無制限とする要求(即ち、拡張2設定要求の電文)があったときに、当該要求があったことを示す拡張2設定フラグJ2を「有り」に設定するとともに、複数の流量区分毎に設けられた、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分毎に「有効」であるか又は「無効」であるかを複数の個別設定フラグの全てを「無効」に設定するので、その後、遮断部12が、個別設定フラグが「無効」に設定されていることにより複数の流量区分の全てにおいてガスの遮断を行わず、つまり、複数の流量区分の全てにおいて継続使用時間が無制限になる。そして、この状態において、遮断部12によるガスの遮断について複数の流量区分のうちの一部の流量区分について「有効」とする要求(即ち、拡張2設定限定解除要求の電文)があったとき、拡張2設定フラグJ2が「有り」に設定されているので、拡張2設定限定解除要求の電文に示される一部の流量区分について個別設定フラグが「有効」に設定されて、遮断部12が、当該一部の流量区分について個別設定フラグが「有効」に設定されていることにより、当該一部の流量区分についてガスの遮断を行い、つまり、継続使用時間が制限され、他の流量区分については「無効」に設定されていることによりガスの遮断を行わず、つまり、継続使用時間が無制限になる。そのため、限定された流量区分だけが継続して使用される環境において、そのような流量区分以外の流量区分においては継続使用時間による遮断機能を有効として、より安全性を高めることができる。
【0035】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明のガスメータの構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0036】
1 ガスメータ
11 流量検出部
12 遮断部(遮断手段)
20 マイクロコンピュータ
30 CPU(全部無効設定手段、個別設定手段)
40 ROM(使用時間遮断値記憶手段)
50 RAM(全部無効フラグ記憶手段、個別設定フラグ記憶手段)
60 タイマ(継続使用時間計測手段)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8