特許第6099180号(P6099180)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099180工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6099180
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造
(51)【国際特許分類】
   B60C 13/04 20060101AFI20170313BHJP
【FI】
   B60C13/04 A
【請求項の数】6
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-215025(P2016-215025)
(22)【出願日】2016年11月2日
【審査請求日】2016年11月24日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】509312868
【氏名又は名称】株式会社 東港タイヤサービス
(74)【代理人】
【識別番号】100083068
【弁理士】
【氏名又は名称】竹中 一宣
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】前田 尚紀
(72)【発明者】
【氏名】加藤 悦久
(72)【発明者】
【氏名】田中 英幸
(72)【発明者】
【氏名】寺島 一稀
(72)【発明者】
【氏名】三輪 光政
(72)【発明者】
【氏名】山之内 一彦
(72)【発明者】
【氏名】荻谷 由幸
【審査官】 大村 博一
(56)【参考文献】
【文献】 実開昭60−164403(JP,U)
【文献】 特開昭62−46609(JP,A)
【文献】 特開2009−113759(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60C1/00−19/12
B60B1/00−11/10
B60B17/00−19/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強ゴム板、補強鋼板、補強樹脂板でなる補強体を取付ける構造であって、
前記補強体に設けた磁性材でなる被固定手段と、
前記タイヤに配設された金属材でなる固定手段と、を備えており、
前記被固定手段を、前記固定手段に磁着し、少なくとも、前記外側サイドウォール部に取付けた前記補強体は、少なくとも、前記外側サイドウォール部のみを保護可能であることと、前記補強体は、前記車輌に前記タイヤを装着状態でも、前記サイドウォール部の、少なくとも、外側に着脱可能とすることを特徴とした工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【請求項2】
前記固定手段は、前記タイヤのカーカス構成部材のスチールコードであって、少なくとも、前記外側サイドウォール部に配設する請求項1に記載の工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【請求項3】
前記固定手段は、前記タイヤ内部のカーカス構成部材のスチールコードであって、前記タイヤのショルダー部、及び/又は、少なくとも、前記外側サイドウォール部に配設する請求項1に記載の工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【請求項4】
前記被固定手段は、前記補強体に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする請求項1に記載の工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、前記外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【請求項5】
前記被固定手段は、前記補強体の内側に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする請求項1に記載の工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、前記外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【請求項6】
前記被固定手段は、前記補強体の外側に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする請求項1に記載の工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤ、少なくとも、前記外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、工事用・建機用・産業用・搬送用・農業用等の車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造に関する。特に、本発明は、工事用・建機用・産業用・搬送用の大型と、その建機用・産業用・搬送用の中型等の車輌に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、採石場、鉱山、トンネル工事現場等で作業する車輌のタイヤのサイドウォール部は、路面の砕石や突起物、工場内の鋳造品、鉄骨等の突起物、農地の道具、石等の突起物、土木工事等のコンクリート(片)、釘等の突起物、その他主として鋭利箇所とか角部等への、接触・乗上等により、破損(主として、タイヤの内外側におけるサイドカット損傷)が多い(特にラジアルタイヤ)のが現況である。そこで、タイヤメーカーは、サイドカット損傷防止のため、サイド部のゴムを厚くするか、又は、ゴムから成るサイドプロテクターやスチールコード層を設けて、タイヤのサイドウォール部の保護をしてきた(サイドカット損傷防止である)。
【0003】
また、近年では、トレッド部とショルダー部の外表面の角度、ショルダー部とサイドウォール部の外表面の角度を工夫する技術が開示されている(例えば、特開2011−111003号公報)。しかしながら、まだサイドカットを確実に防ぐことはできない。また、本発明が意図する、例えば、タイヤ販売業者が、特段の手段を要することなく、かつ簡便で、しかも容易に実施できるサイドウォール部(部位)強化技術(補強体)が要望される処である。
【0004】
前記本発明の補強体として望まれる構造であって、例えば、タイヤ販売業者が、車輌にタイヤ(既設のタイヤであり、例えば、新品、使用済み等のタイヤである)を装着したままでも(装着した場合と、タイヤを取外した場合等の全ての状態のタイヤを含む)、簡易、かつ瞬時に、内外側サイドウォール部に取付けできて、かつ低コストで行うことのできる内外側サイドウォール部の強化技術に関する先行文献として、下記の二件が挙げられる。
【0005】
文献(1)は、タイヤ径方向に沿って放射状に配置された複数の金属製のカーカスコードを有するカーカス層に、マグネット層を備えたタイヤ内デバイス固定装置を、タイヤの内面(インナーライナー部)に固定する構造であり、特開2016−144955号公報に記載されている。この文献(1)は、タイヤの内面に装置を取付けるものであって、測定具を備えたタイヤである。従って、本発明が意図する、「補強体を、内外側サイドウォール部に取付ける構造と、内外側サイドウォール部の強化技術の達成」とは、全く異なる。
【0006】
文献(2)は、トレッド部を構成する金属性の部材(ベルトのスチールコード)に、マグネット層を備えた吸音材を、タイヤの内面(トレッド部の内面)に固定する構造であり、特開2010−188779号公報に記載されている。この文献(2)は、タイヤの内面に装置を取付けるものであって、吸音材を備えたタイヤである。従って、本発明が意図する、「補強体を、少なくとも、外側サイドウォール部に取付ける構造と、内外側サイドウォール部の強化技術の達成」とは、全く異なる。
【0007】
【特許文献1】特開2016−144955号公報
【特許文献2】特開2010−188779号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前述の文献(1)の構造は、タイヤの内面に必要とする器材を取付けることであり、明細書の〔0003〕〜〔0007〕に記載の不都合を無くし、〔0008〕に記載の如く、タイヤの内部に、迅速かつ簡易に、タイヤ内デバイス固定装置を取付けることである。従って、前述の「補強体を、少なくとも、外側サイドウォール部に取付ける構造と、少なくとも、外側サイドウォール部の強化技術の達成」とは、構造と、目的とを異にし、かつ本発明の課題解決には成らない。
【0009】
また、前述の文献(2)の構造は、タイヤの内面に必要とする器材を取付けることであり、明細書の〔0004〕と〔0006〕に記載の不都合を無くし、〔0007〕に記載の如く、タイヤの内部に、吸音材の効果達成と、粘着強度向上が図れる取付け手段の提供である。従って、前述の「補強体を、少なくとも、外側サイドウォール部に取付ける構造と、少なくとも、外側サイドウォール部の強化技術の達成」とは、構造と、目的とを異にし、かつ本発明の課題解決には成らない。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記に鑑み、本発明は、「イ」 少なくとも、外側サイドウォール部(内側、及び/又は、外側サイドウォール部)のみの強化技術であり、補強体は、少なくとも、車輌にタイヤを装着したままでも(取外したタイヤに装着することも可能である)、簡易、かつ瞬時に、タイヤ販売業者が、少なくとも、外側サイドウォール部のみに取付けでき、かつ低コストで行うことができる。また、本発明は、「ロ」 サイドウォール部のみの強化技術であって、内側、及び/又は、外側サイドウォール部と路面の砕石や突起物との接触による破損防止が図れる。さらに、本発明は、「ハ」 少なくとも、外側サイドウォール部のみのスチールコード部位でなる固定手段を介して、少なくとも、外側サイドウォール部に、補強体を取付けできる。
【0011】
この「イ」〜「ハ」を達成するために、開示した請求項1〜請求項6を提案する。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明では、工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強ゴム板、補強鋼板、補強樹脂板でなる補強体を取付ける構造であって、
補強体に設けた磁性材でなる被固定手段と、
タイヤに配設された金属材でなる固定手段と、を備えており、
被固定手段を、固定手段に磁着し、少なくとも、外側サイドウォール部に取付けた補強体は、少なくとも、外側サイドウォール部のみを保護可能であることと、補強体は、車輌にタイヤを装着状態等でも、サイドウォール部の、少なくとも、外側に着脱可能とすることを特徴とした工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤのサイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0013】
従って、請求項1においては、補強体は、車輌にタイヤを装着したままでも、簡易、かつ瞬時に、タイヤ販売業者が、少なくとも、外側サイドウォール部のみに取付けできて、かつ低コストで行うことのできる、少なくとも、外側サイドウォール部のみの強化技術となること、また、少なくとも、外側サイドウォール部と路面の砕石や突起物との接触による破損防止が図れる構造となること、さらに、少なくとも、外側サイドウォール部のカーカスを構成するスチールコードでなる固定手段を介して、少なくとも、外側サイドウォール部に補強体を取付けできる構造となること、等の特徴を発揮できる。
【0014】
請求項2の発明では、固定手段は、タイヤのカーカス構成部材のスチールコードであって、少なくとも、外側サイドウォール部の箇所(部位)に配設する工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、前記外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0015】
従って、請求項2においては、車輌にタイヤを装着したままでも、タイヤのカーカスを構成するスチールコードを利用し、簡易に、しかもタイヤ販売業者が低コストで行うことのできる、少なくとも、外側サイドウォール部の強化技術となり、重宝することと、何人も、少なくとも、外側サイドウォール部の強化用の補強体を、簡易、かつスムースに、少なくしも、外側サイドウォール部に、取付け、かつ取外しできる。
【0016】
請求項3の発明では、固定手段は、タイヤ内部のカーカス構成部材(カーカス)のスチールコードであって、タイヤのショルダー部、及び/又は、少なくとも、外側サイドウォール部の箇所(部位)に配設する工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0017】
従って、請求項3においては、前記請求項2に準ずる。
【0018】
請求項4の発明では、被固定手段は、補強体に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0019】
従って、請求項4においては、既設のタイヤ内部のカーカス構成部材(カーカス)のスチールコードを利用し、少なくとも、外側サイドウォール部のみので、簡易に、しかもタイヤ販売業者が低コストで行うことのできる、少なくとも、外側サイドウォール部の強化技術となり有益である。
【0020】
請求項5の発明では、被固定手段は、補強体の内側に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0021】
従って、請求項5においては、前記請求項4に準ずる。
【0022】
請求項6の発明では、被固定手段は、補強体の外側に設けたゴム磁石、又は金属磁石とする工事用・建機用・産業用・搬送用車輌のタイヤの、少なくとも、外側サイドウォール部に補強体を取付ける構造である。
【0023】
従って、請求項6においては、前記請求項4に準ずる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1-1】スチールコードを配設(埋設)したタイヤ(工事用・建機用のタイヤ)と、磁性材を一部に備えた外側サイドウォール部の補強体とを分解して示した一例の斜視図
図1-2】スチールコードを配設したタイヤ(工事用・建機用のタイヤ)と、磁性材を一部に備えた内外側サイドウォール部の補強体とを分解して示した一例の斜視図
図2-1】ラジアルタイヤのスチールコードの構造であり、タイヤの構造を分解して示した模式図であり、(イ)は要部の拡大模式図、(ロ)は全体の模式図
図2-2】バイアスタイヤのスチールコードの構造であり、タイヤの構造を分解して示した模式図であり、(イ)は要部の拡大模式図、(ロ)は全体の模式図
図2-3】タイヤのサイドウォール部のスチールコード(金属コード)の構造の一例を示した要部の断面模式図
図2-4】タイヤのサイドウォール部のスチールコード(金属コード)の構造のその他の一例を示した要部の断面模式図
図3-1】図2−1において、タイヤの接地面圧が均等の状態での一方側(タイヤの外側)の補強体とタイヤの撓みとの関係を示した断面模式図
図3-2】図2−1において、タイヤの接地面圧が均等の状態での双方側(タイヤの内外側)の補強体とタイヤの撓みとの関係を示した断面模式図
図3-3】図2−2において、タイヤの接地面圧が不均一の状態での一方側の補強体とタイヤの撓みとの関係を示した断面模式図
図3-4】図2−2において、タイヤの接地面圧が不均一の状態での双方側の補強体とタイヤの撓みとの関係を示した断面模式図
図4】補強体に磁性材を設ける各例で、その一方側(内外側サイドウォール部の一方側)を示した断面視した図であり、(イ)は補強体の裏面(内側)に磁性材を設けた図、(イ’)は(イ)の変更例であり、補強体の表面(外側)に非磁性材を設けた図、(ロ)は補強体の表面に磁性材を設けた図、(ハ)は補強体に貫設して磁性材を設けた図、(ニ)は補強体の周辺部に抱持して磁性材を設けた図、(ホ)は補強体の裏面(又は表面)の全体に磁性材を設けた図
図5-1】補強体を、タイヤのホイールに取付ける一例を分解して示した斜視図
図5-2】図5−1の装着状態を示した斜視図
図6】補強体が磁性材を備えた(配設した)鋼材である一例の要部斜視図
図7】補強体がワイヤ磁性材を配設した不織布である一例の要部斜視図
図8】例えば、大型作業機械(ホイールローダー)に、本発明を採用した図
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1図5に示した、第1実施例〜第3実施例では、既設のタイヤと既設ホイール(一部加工「孔」)と、金属・磁性材を一部に備えた十文字形態の固定手段、被固定手段とを利用し、タイヤの内外側サイドウォール部に補強体を取付ける一例を説明する。
【0026】
図1−1は、後述するように、タイヤAの骨格の一部(タイヤAのトレッド部)に繋がる、タイヤAの外側(一面)の外側サイドウォール部101(図面において左(外側))に補強体5を設ける一例の分解斜視図である。また、図1−2は、後述するように、タイヤAのトレッド部に繋がる、タイヤAの内外側(両面)の内外側サイドウォール部102(図面において左右(外内側))に補強体5を、それぞれ設ける(以下、設けると云う)一例の分解斜視図である。
【0027】
図2−1(イ)、(ロ)に示したタイヤAは、例えば、タイヤAの骨格は、トレッド部、両ショルダー部と、内外側サイドウォール部102、並びに両ビード部でなっている。そして、タイヤAの両内輪端部(ビード部の端部)には、ビードワイヤ100、100a(以下、原則として、100とする)が配設(埋設)されるとともに、タイヤA全体には、補強用でカーカス構成部材となるスチールコード2(固定手段の一種)が、周方向Xにおいて、直交するよう(トレッド面方向Y)に配設されているラジアルタイヤ1である。また、図示しないが、トレッド部に、固定手段の一種となり得るスチールベルト3が複数枚配設されている場合は、スチールベルト3は、例えば、タイヤAのショルダー部を介して、サイドウォール部101に延長された構造とすることで、固定手段の一種となり得る。従って、このスチールベルト3には、スチールコード素材(スチールコード2と同じもの)が、例えば、周方向Xに直交するように配設されている。
【0028】
図2−2(イ)、(ロ)に示したタイヤAには、前述と同じように、スチールコード2が備えられている。この例は、バイアスタイヤ10であり、タイヤAの骨格は、トレッド部、両ショルダー部と、内外側サイドウォール部1002a、1002、並びに両ビード部でなっている。スチールコード2(前述と同じ)が、周方向Xにおいて、バイアス形状Zに配設されている。尚、図中1000、1000aはビードワイヤであり、タイヤAの骨格材である。ビードワイヤ1000、1000a(以下、原則として、1000とする)は、前述と同様に配備されている(以下、原則として、1000とする)。
【0029】
また、図2−3、図2−4に示したタイヤAには、タイヤAの片方(双方有り)の内輪端部(ビード部の端部)には、ビードワイヤ100が配設(埋設)されるとともに、タイヤA全体には、補強用でカーカス構成部材となるスチールコード200(固定手段の一種)が配設等されている。例えば、この例では、図2−3の一重構造と、図2−4の二重構造とであり、スチールコード200入りタイヤAであり、タイヤAの骨格となるビードワイヤ100の周方向Xは、スチールコード200が、多数本配設(一連形態に配設)されている。
【0030】
図3−1は、図2−1に示したラジアルタイヤ1であり、補強体5を、タイヤAの外側のサイドウォール部102aに取付けた状態で、接地面圧が均等であることを示しており、スチールベルト3を重層して補強したことの効果である。但し、サイドウォール部101(内外側サードウォール部102)は、荷重で膨出撓み現象を呈する。図3−2は、後述するが、補強体5を、タイヤAの内外側サイドウォール部102に取付けた状態で、この補強体5も、ラジアルタイヤ1の撓みに順応することが特徴である。
【0031】
図3−3は、図2−2に示したバイアスタイヤ10であり、補強体5を、タイヤAの外側のサイドウォール部1002aに取付けた状態で、接地面圧が不均等であることを示しており、スチールコード2をバイアス形状Zにしたことの効果である。但し、サイドウォール部1001(内外側サードウォール部1002)は、荷重で膨出撓み現象を呈する。図3−4は、後述するが、補強体5を、タイヤAの内外側サイドウォール部1002a、1002に取付けた状態で、この補強体5も、バイアスタイヤ10の撓みに順応することが特徴である。
図4は補強体5に磁性材6(被固定手段の一種)を設ける各例を示した断面視した図である。そこで、好ましい、各例を順に説明する。(イ)は、補強体5の裏面5aであって、周方向Xに適宜間隔で、複数個、或いは一連の環状に磁性材6を設ける(以下周方向Xに適宜間隔とする、)。そして、補強体5の周辺端部5cから中心方向Qに向かった内部位5c1に設けてあり、補強体5の撓みは、内外側サイドウォール部102・1002(以下、102とする)の撓みに同期できる構造とする。(イ’)は、(イ)の変形例であり、補強体5、及び/又は、磁性材6への金属片の取付けを回避するために、表面5bに非磁性材500を取付ける構造である。(ロ)は、補強体5に表面5bで、かつ補強体5の内部位5c1に、周方向Xに適宜間隔に磁性材6を設ける例であり、補強体5の撓みは、内外側サイドウォール部102の撓みに同期できる構造とする。(ハ)は、補強体5の表裏面5b、5aで、かつ内部位5c1に、周方向Xに適宜間隔で、複数個の磁性材6を設ける。併せて、補強体5の撓みと、内外側サイドウォール部102の撓みに同期できる構造とする。(ニ)は、補強体5の周辺端部5cであって、その表裏面5b、5aに、周方向Xに適宜間隔で、複数個の磁性材6を設ける。補強体5の捲れ防止と、補強体5の撓みは、内外側サイドウォール部102の撓みに同期できる構造とする。尚、(ホ)は、補強体5の裏面5a(又は表面5b)の略全体に磁性材6を設ける。併せて、補強体5の撓みは、内外側サイドウォール部102の撓みに同期できる構造とする。補強体5は、ゴム、布、不織布等の新材と、古タイヤ(使用済みタイヤであり、図示せず)のサイドウォール部をカットして、再利用することも可能である。補強体5の形状は、環状、円盤形状、ドーナツ形状、曲面環状の集合体環状、一部の環状の組合せ形状等の何れでも可能である。また、補強体5に広告文字、その他の文字、図柄等の伝達感覚とか美的感覚等を付すこともできる。LED等の照明を付すことも可能である。
【0032】
図5−1は、補強体5を、タイヤAのホイール7に取付ける一例を分解して示した斜視図である。そして、この例では、補強体5の内側に、例えば、一つか、又は複数の脚50(脚50の代替品として、補強材5に、一体となる内鍔部、延設部、窪み片等とか、他の部材による内鍔部、延設部、窪み片等を含む)を形成し、この脚50に被固定手段(磁性材6)を設けることで、取付け、又は取外しができる(着脱可能である)。そして、この例において、補強材5を、内側サイドウォール部(102a)、(1002a)に取付ける例では、補強体5は分離構造とすることが望ましい。図5−2は、図5−1の装着状態である。
【0033】
図6は、補強体5が磁性材6を備えた鋼材である一例を示している。図7は、補強体5がワイヤ等の線材、又は板材等の磁性材6を配設した不織布である一例を示しているが、何れも一例である(磁性材6の形態は、他の例も同じ)。
【0034】
以下、補強体5を、内外側サイドウォール部102に取付け、内外側サイドウォール部102を保護するには、例えば、補強体5の磁性材6(被固定手段)を、内外側サイドウォール部102のスチールコード2、200(固定手段)に磁着することで可能となる。そして、前述の如く、補強体5の撓みと、内外側サイドウォール部102の撓みに同期できる構造とする。補強体5、及び/又は、タイヤAの保護と、動き、或いは騒音発生回避等が確保できる。
【0035】
尚、図8は、例えば、大型作業機械(ホイールローダー)に、本発明を採用したものを示した図であるが、限定されない。
【0036】
尚、補強体5を、内外側サイドウォール部102、即ち、内側のサイドウォール部102b、1002b、及び/又は、外側のサイドウォール部102a、1002aに取付ける。そして、主として、外側サイドウォール部102a(1002a)のみの例であるが、内側のサイドウォール部102b(1002b)のみの例も有り得る。さらには、内外側サードウォール部102(1002)の両側という完全型の例も有り得る。使用する場所と、取扱い廃材・製品等により、それぞれ区別して、かつ容易に取付ができる。
【0037】
前述した各実施例は、本発明の好ましい一例の説明である。そして、タイヤAにある金属材料とか、ホイール7の金属材料とか、又は新たに、タイヤA等に設ける金属材料等を有効活用した構造である。従って、本発明は前述した各実施例に限定されるものではなく、発明の趣旨の範囲において構成の一部を変更する構造とか、同じ特徴と効果を達成できる構造、等は、本発明の範疇である。
【符号の説明】
【0038】
A タイヤ
1 ラジアルタイヤ
100 ビードワイヤ(ケーシング)
100a ビードワイヤ(ケーシング)
101 サイドウォール部
102 内外側サイドウォール部
102a 外側のサイドウォール部
102b 内側のサイドウォール部
10 バイアスタイヤ
1000 ビードワイヤ(ケーシング)
1000a ビードワイヤ(ケーシング)
1001 サイドウォール部
1002 内外側サイドウォール部
1002a 外側のサイドウォール部
1002b 内側のサイドウォール部
2 スチールコード(固定手段)
200 スチールコード(固定手段)
3 スチールベルト(固定手段)
5 補強体
5a 裏面
5b 表面
5c 周辺端部
5c1 内部位
50 脚
500 非磁性材
6 磁性材(被固定手段)
7 ホイール
Q 中心方向
X 周方向
Y トレッド面方向
Z バイアス形状
【要約】
【課題】 従来、採石場、鉱山等で作業する車輌のタイヤのサイドウォール部は、路面の砕石や突起物との接触で破損する場合が多い(特にラジアルタイヤ)。タイヤメーカーは、サイドカット防止のため、サイド部のゴムを厚くするか、又は、ゴムから成るサイドプロテクターや、スチールコード層を設けてタイヤのサイドウォール部の保護をしてきた。しかし、タイヤ販売業者では、サイドカットを防止するための対応方法がなかった。
【解決手段】 本発明は、内外側サイドウォール部のみの強化技術であり、補強体は、車輌にタイヤを装着したまま、簡易、かつ瞬時に、タイヤ販売業者が、内外側サイドウォール部のみに取付けでき、かつ低コストで行うことができる。スチールコードと磁性材とを利用し、補強体を、内外側サイドウォール部に取付けできる大型車輌用のタイヤの構造。
【選択図】 図1−1
図1-1】
図1-2】
図2-1】
図2-2】
図2-3】
図2-4】
図3-1】
図3-2】
図3-3】
図3-4】
図4
図5-1】
図5-2】
図6
図7
図8