特許第6099181号(P6099181)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6099181
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】簡易なフローリング施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04F 15/00 20060101AFI20170313BHJP
   E04F 15/02 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   E04F15/00 601B
   E04F15/02 G
【請求項の数】1
【全頁数】6
(21)【出願番号】特願2016-227374(P2016-227374)
(22)【出願日】2016年11月23日
【審査請求日】2016年11月29日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】512013042
【氏名又は名称】株式会社DIY STYLE
(74)【代理人】
【識別番号】100188776
【弁理士】
【氏名又は名称】岩崎 吉男
(72)【発明者】
【氏名】森本 隆
【審査官】 油原 博
(56)【参考文献】
【文献】 特開2002−317544(JP,A)
【文献】 特開2003−138735(JP,A)
【文献】 特開昭60−215956(JP,A)
【文献】 特開平11−190120(JP,A)
【文献】 特開平6−158837(JP,A)
【文献】 特開2005−155189(JP,A)
【文献】 特開2014−173224(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04F 15/00−15/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
床のフローリング施工が以下の手順で行われることを特徴とする施工方法。
(1)発泡ウレタンシートを施工する床に敷き詰める。
(2)サネ付き木質フローリングの裏面および上記ウレタンシートに塗布量60〜100g/平方メートルの量でピールアップボンドをローラーで塗布する。
(3)ピールアップボンドが透明になった時点で、上記木質フローリングをウレタンシートに貼り付け上から圧着する。
(4)2列目以降はウレタンシート側にのみ塗布量10〜30g/平方メートルの量でピールアップボンドをまだらに塗布する。
(5)ピールアップボンドが塗布直後の白色の状態で木質フローリングをウレタンシートに圧着せずに貼り付け、サネを嵌合させて位置決めを行う。
(6)木質フローリングの短手方向に180センチメートルになるまで(4)〜(5)の手順で木質フローリングを張り詰めていき、180センチメートル以降は、上記(2)〜(5)の手順を繰り返す。
(7)最終列は、上記(2)〜(3)の方法で木質フローリングをウレタンシートに貼り付け上から圧着する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、住宅、店舗、事務所などで使用される木質系フローリングの施工方法で、特に賃貸物件や仮設の展示場など現場回復の必要なフローリングの施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フローリングの貼り替え施工において、既存のフローリングを剥がし、特殊なサネ形状を備えた床材を、ベニヤ等に張り付けたり、或いはコンクリートスラブに直接張り付ける直張り方法などが知られている。
【0003】
しかしながら、上記工法においては床材を釘や接着剤を用いて既存床材に木質フローリングを直接張り付けて固定してしまうので、施工に工期と費用がかかり、前記床材は撤去した際に破損するため再利用できず、廃材を含む大量のゴミも出る。
【0004】
そこで、既存床材に木質系フローリングを変成シリコーン系ボンド、アクリルエマルジョン系ボンド等のピールアップ系ボンドで接着する方法が提案されている。ピールアップ系ボンドは、乾燥後も完全接着せずいつまでも粘着性を失わない性質を持つ。塗布直後は白色をしており、この状態では粘着力が無く、やがて透明になると十分な粘着力が生じる。
【0005】
特許文献1には、既存床材と、貼付け面には塩化ビニール層、あるいはポリエチレン層、あるいはポリプロピレン層のいずれかの層を設けかつサネを有する新規床材とを変成シリコン接着剤を用いて接着する施工方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2014−173224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に代表される従来のピールアップ工法においては、施工面およびサネ付き木質フローリング材の両方に、ローラーコテや平コテでピールアップボンドを60〜100g/平方メートルの量均一に塗布し、接着剤が透明になった状態(十分な粘着力が生じた後)で圧着しながら貼り詰めていくので裏面が滑らずサネ部分の嵌合がうまくいかず施工に手間がかかるという問題があった。また、全ての木質フローリング材にピールアップボンドの上記量を全面塗布するので接着力が大きく、仮設フローリングの場合、撤去する際に手間がかかるという問題があった。
そこで、本発明は木質系フローリングの施工作業及び撤去作業が容易で、撤去後の木質系フローリングの再利用が可能なフローリング施工方法を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフローリング施工方法は、施工面に発泡ウレタンシートを敷き詰めた後、その上にピールアップ系のボンドを用いて施工端から順次木質フローリングを敷設するものである。
以下に本発明のフローリング施工方法を図1〜3に基づいて説明する。
【0009】
(1)発泡倍率10〜40、厚さ3〜12ミリメートルメートル、幅45〜200センチメートルの図1に示す発泡ウレタンシート1を施工する床に敷き詰める。このときウレタンシート1と床は、基本的には接着しないが、必要であれば接着してもよい。
(2)幅75〜303ミリメートル、長さ1820ミリメートル以下のサネ付き木質フローリング2の裏面および上記ウレタンシート1に塗布量60〜100g/平方メートルの量でピールアップボンド3を図1に示すように均一にローラーで塗布する。
(3)ピールアップボンドが透明になった時点で、上記木質フローリング2をウレタンシート1に貼り付け上から圧着する。十分な粘着力を得るためにピールアップボンドが透明になった時点で施工することが必要である。
(4)2列目以降は発泡ウレタンシート1側にのみ塗布量10〜30g/平方メートルの量でピールアップボンド4を図2に示すように、まだらに塗布する。
(5)ピールアップボンド4が塗布直後の白色の状態で木質フローリング2を圧着せずにウレタンシート3に貼り付け、サネを嵌合させて位置決めを行う。ピールアップボンドが白色であれば、まだ粘着力が生じていないので、位置決めが容易である。
(6)木質フローリング2の短手方向に180センチメートルになるまで(4)〜(5)の手順で木質フローリング2を張り詰めていき、180センチメートル以降は、図3に示すように上記(2)〜(5)の手順を繰り返す。180センチメートル毎に上記(2)の手順が入ることで、180センチメートルを単位として万が一の位置ずれを防止することができる。
(7)最終列は、上記(2)〜(3)の方法で木質フローリング2を発泡ウレタンシート1に貼り付け上から圧着する。1列目と同様に粘着力を強化することで、フローリング全体としての位置ずれを防止する。なお、全てのフローリング2をピールアップボンド4が透明になってからウレタンシート3に貼り付けると、施工が困難になる。
【0010】
発泡ウレタンシートを敷き詰める既存の床は、コンクリート、木質系、クッションフロアー、Pタイル、コルク、毛足の短いカーペット、畳等一般の床材である。このとき、ウレタンシートどうしは、突き合わせるだけでもよいし、粘着テープで仮止めしてもよい。ただし、発泡ウレタンシートの伸縮による突き上げを防止するため、部屋の周囲は必ず3ミリメートル以上あける必要がある。
【0011】
ピールアップボンドは、変成シリコーン系ボンド、アクリルエマルジョン系ボンド等から選ばれる。
【0012】
上記手順のように、180センチメートル毎にウレタンシートと木質フローリングの両方にピールアップボンドを塗布して粘着力を高くすることにより、前記木質フローリングのずれを防止することができ、その間においてはウレタンシート側にのみ塗布することで粘着力を低くすることにより、施工作業、撤去作業が容易になるとともに、木質フローリングの再利用が可能になる。また施工途中で位置修正のために既に貼り付けたフローリングを剥がす際には、ウレタンシートが伸びるので、サネ部分の係合を外す作業が容易である。さらに、撤去時にフローリング全体を剥がす際には、ウレタンシートを持ち上げて、フローリングからウレタンシートを剥がしていくことができるので、サネ付のフローリングであっても作業が容易である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、木質フローリングのずれがなく施工作業を容易に行うことができ、現場復旧のための撤去作業も容易であり、さらに、木質フローリングの再利用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態の手順(2)〜(3)にかかる施工方法の図である。
図2】本発明の実施形態の手順(4)〜(5)にかかる施工方法の図である。
図3】本発明の実施形態の手順(6)にかかる施工方法の図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
下記実施例および比較例においては、発泡倍率10、厚さ4ミリメートル、幅100センチメートルのウレタンシートを施工する床に敷き詰め、その上に、幅140ミリメートル、長さ900ミリメートルのサネ付き木質フローリングを貼り付けていった。
【実施例】
【0016】
(実施例)以下の手順で施工を行った。
(1)木質フローリングの裏面および上記発泡ウレタンシートに塗布量60〜100g/平方メートルの量でピールアップボンドをローラーで塗布した。
(2)ピールアップボンドが透明になった時点で、上記木質フローリングをウレタンシートに貼り付け上から圧着した。
(3)2列目以降はウレタンシート側にのみ塗布量10〜30g/平方メートルの量でピールアップボンドをまだらに塗布し、ピールアップボンドが塗布直後の白色の状態のままで木質フローリングをウレタンシートに圧着せずに貼り付け、サネを嵌合させて位置決めを行った。
(4)木質フローリングの短手方向に180センチメートルになるまで(2)〜(3)の手順で木質フローリングを張り詰めていき、180センチメートル以降は、上記(2)〜(3)の手順を繰り返した。
(5)最終列は、上記(1)〜(2)の方法で木質フローリングをウレタンシートに貼り付け上から圧着し、60分経過後、全ての木質フローリングを圧着させた。
【0017】
(比較例)以下の手順で施工を行った。
(1)木質フローリングの裏面および上記発泡ウレタンシートに塗布量60〜100g/平方メートルの量でピールアップボンドをローラーで塗布した。
(2)ピールアップボンドが透明になった時点で、上記発泡ウレタンシートと木質フローリングに塗布量60〜100g/平方メートルの量でピールアップボンドをローラーで塗布して貼り付け、上から圧着した。
【0018】
実施例に示した施工方法では、木質フローリングをすべらせることにより、ずれを簡単に修正してサネ部分を嵌合でき、短時間で施工作業が終了した。また、木質フローリングの撤去作業も容易で、該木質フローリングを破損することなく再利用できる状態であった。
【0019】
比較例に示した施工方法では、木質フローリングをすべらせることが容易でなく、ずれの修正が困難であったため、実施例に比べて施工作業に長時間を要した。また、全ての木質フローリングが比較的強固に接着されているため、撤去作業にも時間を要した。
【0020】
なお、本発明に使用されるウレタンシートは厚みと発泡倍率が大きすぎると、床を歩いたときの歩行感が悪くなる。歩行感が悪くならないウレタンシートの発泡倍率と厚みは、発泡倍率10倍で厚み3ミリメートル〜12ミリメートル、発泡倍率15倍〜35倍で厚み3ミリメートル〜8ミリメートル、発泡倍率40倍で厚み3ミリメートル〜5ミリメートルである。
【産業上の利用可能性】
【0021】
本発明は、住宅、店舗、事務所などで使用される木質系フローリングの施工方法、特に賃貸物件や仮設の展示場など現場回復の必要なフローリングの施工方法として有用である。
【符号の説明】
【0022】
1 発泡ウレタンシート
2 木質フローリング
3 均一に塗布されたピールアップボンド
4 まだらに塗布されたピールアップボンド
【要約】
【課題】施工および撤去が容易で、撤去した木質フローリング材の再利用が可能な仮設フローリングの施工方法を提供する。
【解決手段】サネ付きフローリングを、発泡ポリウレタンシートに少量のピールアップボンドでわずかな粘着力で貼り付けていくことにより施工、撤去作業を容易にする。
【選択図】図1
図1
図2
図3