【文献】
Bo Liang et.el.,Pd-Catalyzed Copper-Free Carbonylative Sonogashira Reaction of Aryl Iodides with Alkynes for the Syn,J. Org. Chem.,2005年,70(15),pp. 6097-6100
【文献】
Mohamed S. Mohamed Ahmed et. al.,Carbonylative Sonogashira Coupling of Terminal Alkynes with Aqueous Ammonia,Org. Lett.,2003年,5(17),pp. 3057-3060
【文献】
Haruki Sashida,An Alternative Facile Preparation of Telluro- and Selenochromones from o-Bromophenyl Ethynyl Ketones,Synthesis,1998年,5,pp. 745-748
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
第11族元素を含む触媒が、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、酸化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)または酢酸銀である、請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
塩基が、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DABCO、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたはリン酸カリウムである、請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
式(II)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミドの存在下で反応させることを特徴とする、請求項1〜6および10のいずれかに記載の製造方法。
式(II’)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミドの存在下で反応させることを特徴とする、請求項7、8または11に記載の製造方法。
式(II’’)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミド存在下で反応させることを特徴とする、請求項9または12記載の製造方法。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1の参考例1には、式(III−1)で示される化合物から、3工程を経て、式(VII−4)で示される化合物を製造する方法が開示されている。
【0010】
【化5】
また、特許文献2には、式(I−1)で示される化合物から、メトキシメチルアミドを経由して(反応A)、単離することなくワンポットで、式(IV)で示される化合物を製造する(反応B)方法が開示されている。
特許文献1と比較すると、特許文献2記載の製造方法は、1工程少ない製造方法によって、式(IV)で示される化合物[特許文献1においては、式(VII−4)で示される化合物]を製造できることがわかる。
【0011】
【化6】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の製造方法は未だ十分とは言えず、改良の余地があった。
本発明は、以下に示す通り、式(I)で示される化合物と式(III)で示される化合物との薗頭カルボニル化反応により、式(II)で示される化合物を製造する方法に関する。
【0012】
【化7】
(式中、環Aは置換若しくは非置換の芳香族複素環または置換若しくは非置換の芳香族炭素環:Xは脱離基;Rは水素またはメチル)
【課題を解決するための手段】
【0013】
本願の実施例で詳述するが、例えば以下に示す通り、式(I’’’)で示される化合物とプロピンガスとの薗頭カルボニル化反応により、式(II’’)で示される化合物を製造することができる。
【0014】
【化8】
つまり、特許文献1記載の製造方法では、式(III−1)で示される化合物(ヨード体)から、3工程を経て、式(VII−4)で示される化合物(アルキニルケトン体)を製造しているのに対し、本発明は、式(I’’’)で示される化合物(ヨード体)から、1工程を経て、式(II’’)で示される化合物(アルキニルケトン体)を製造することができる。従って、公知の製造方法と比較して、より少ない工程数でアルキニルケトン体を製造することができる。
また本発明は、式(I)の環Aに関して、上記に示すような芳香族複素環(キナゾリン環)以外にも、芳香族炭素環(例えば、ベンゼン環)を用いた場合でも反応が進行する。本発明は種々の基質に応用することができ、また、ヨード体から1工程でアルキニルケトン体が得られるため、工業的に優れた製造方法であると言える。
上記薗頭カルボニル化反応は、一酸化炭素とプロピンガスの2種類の気体を取り扱う必要があるが、一酸化炭素よりプロピンガスの方が溶媒への溶解度が高いため、副生成物として一酸化炭素が挿入されないアリールアセチレンが副生成物として生成し、目的物の収率および品質を大きく低下させる。本発明者らは、上記のような2種類のガスを用いた薗頭カルボニル化反応においても、高収率で目的物が得られる方法を見出した。
また、パラジウム触媒を用いた反応において、反応途中でパラジウム触媒が失活し、パラジウムブラックが析出することで、生成物の結晶の品質低下や反応速度の低下を引き起こすことはよく知られている。本発明者らは、銅に有効な配位子(添加剤)を加えることで、パラジウムブラックの析出量を顕著に低減できることを見出した。
さらには、上記薗頭カルボニル化反応において、急な発熱により、大量合成時には内圧上昇や反応暴走等の危険性があったことから、反応開始前に、系中に本発明の新規化合物の結晶を予め添加することにより、大量合成時の発熱制御が容易になることを見出した。
本発明は、以下の項目1)〜43)に関する。
1)式(I):
【0015】
【化9】
(式中、環Aは置換若しくは非置換の芳香族複素環または置換若しくは非置換の芳香族炭素環;Xは脱離基)で示される化合物を、
パラジウム触媒、ホスフィン配位子、第11族元素を含む触媒および塩基の存在下、
一酸化炭素および式(III):
【0016】
【化10】
(式中、Rは水素原子またはメチル)
で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(II):
【0017】
【化11】
(式中、環AおよびRは上記と同義)で示される化合物の製造方法。
2)Rがメチルである、上記項目1)記載の製造方法。
3)パラジウム触媒が、Pd
2(dba)
3、PdCl
2dppf、PdCl
2(PPh
3)
2、Pd(OAc)
2、Pd(PPh
3)
4、Pd/C、PdCl
2、Pd−PEPPSI
TM−IPr、Bis[cinnamyl palladium Cl]、PdCl
2(Xantphos)またはPd(OH)
2である、上記項目1)または項目2)記載の製造方法。
4)ホスフィン配位子が、Xantphos、P(2−furyl)
3、PPh
3、P(o−tol)
3、P(OPh)
3、P(OMe)
3、dppp、dppb、dppf、BINAP、X−Phos、P(t−Bu)
3、P(Oi−Pr)
3、P(p−MeOPh)
3またはDPEPhosである、上記項目1)〜3)のいずれかに記載の製造方法。
5)第11族元素を含む触媒が、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、酸化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)または酢酸銀である、上記項目1)〜4)のいずれかに記載の製造方法。
6)塩基が、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DABCO、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたはリン酸カリウムである、上記項目1)〜5)のいずれかに記載の製造方法。
7)式(II)で示される化合物が、式(II’)
【0018】
【化12】
(式中、R
1は水素原子、ハロゲン、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のアルキニルオキシまたは式:−Y−R
y(式中、−Y−は−O−、−S−、−SO
2−または−O−、−S−若しくは−N(R
z)−を介在してもよいアルキレン;R
yは置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基または置換若しくは非置換の芳香族複素環式基;R
zは水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアシル、置換若しくは非置換のアルキルオキシカルボニル、置換若しくは非置換のアルケニルオキシカルボニルまたは置換若しくは非置換の芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル)で示される基;
R
2およびR
3はそれぞれ独立して、水素原子、置換若しくは非置換のアルキル、置換若しくは非置換のアルケニル、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアルキルオキシ、置換若しくは非置換のアルケニルオキシ、置換若しくは非置換のアルキニルオキシ、ハロゲン、ヒドロキシ、メルカプト、シアノまたは置換若しくは非置換のアミノ)で示される化合物である、上記項目2)〜6)のいずれかに記載の製造方法。
8)R
1が、式:−Y−R
y(式中、−Y−は、−O−を介在してもよいアルキレン;R
yは、置換基群p(置換基群p:ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニルおよび置換若しくは非置換のアミノ)から選択される置換基で置換されたフェニル若しくは非置換のフェニル、置換基群pから選択される置換基で置換されたピリジル若しくは非置換のピリジル、置換基群pから選択される置換基で置換されたフリル若しくは非置換のフリル、置換基群pから選択される置換基で置換されたチエニル若しくは非置換のチエニル、置換基群pから選択される置換基で置換されたチアゾリル若しくは非置換のチアゾリル、または置換基群pから選択される置換基で置換されたオキサゾリル若しくは非置換のオキサゾリル)で示される基;
R
2が、置換若しくは非置換のアルキニル、置換若しくは非置換のアルキルオキシまたはハロゲン;および
R
3が、水素原子;
である、上記項目7)記載の製造方法。
9)式(II’)で示される化合物が、式(II’’):
【0019】
【化13】
で示される化合物である、上記項目7)または8)記載の製造方法。
10)式(II’’):
【0020】
【化14】
で示される化合物のメタンスルホン酸塩。
11)式(II’’):
【0021】
【化15】
で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶。
12)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.6°±0.2°、9.8°±0.2°、17.9°±0.2°、24.4°±0.2°、26.4°±0.2°にピークを有する、上記項目11)記載の結晶。
13)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.6°±0.2°、8.3°±0.2°、9.8°±0.2°、13.7°±0.2°、17.0°±0.2°、17.9°±0.2°、21.3°±0.2°、24.4°±0.2°、26.0°±0.2°、26.4°±0.2°にピークを有する、上記項目11)記載の結晶。
14)N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体。
14’)
【0022】
【化16】
で示される複合体。
15)結晶である、上記項目14)または14’)記載の複合体。
16)以下の結晶学的データ:
【0023】
【表1】
により特徴付けられる、上記項目15)記載の複合体の結晶。
17)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、16.9°±0.2°、17.5°±0.2°、26.3°±0.2°、28.9°±0.2°にピークを有する、上記項目15)記載の複合体の結晶。
18)粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、16.9°±0.2°、17.5°±0.2°、19.5°±0.2°、20.8°±0.2°、25.8°±0.2°、26.3°±0.2°、27.0°±0.2°、28.4°±0.2°、28.9°±0.2°にピークを有する、上記項目15)記載の複合体の結晶。
19)式(I)が式(I’):
【0024】
【化17】
(式中、環Aは上記項目1)と同義)で示される化合物であり、塩基がN−メチルモルホリンである、式(II)で示される化合物の製造方法において、さらに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で反応させることを特徴とする、上記項目1)〜5)のいずれかに記載の製造方法。
20)式(I)が式(I’’):
【0025】
【化18】
(式中、R
1、R
2およびR
3は上記項目7)と同義)で示される化合物であり、塩基がN−メチルモルホリンである、式(II)が式(II’):
【0026】
【化19】
(式中、R
1、R
2およびR
3は上記項目7)と同義)で示される化合物の製造方法において、さらに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で反応させることを特徴とする、上記項目2)〜5)のいずれかに記載の製造方法。
21)式(I)が式(I’’’):
【0027】
【化20】
で示される化合物であり、塩基がN−メチルモルホリンである、式(II)が式(II’’):
【0028】
【化21】
で示される化合物の製造方法において、さらに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で反応させることを特徴とする、上記項目2)〜5)のいずれかに記載の製造方法。
22)式(II)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミドの存在下で反応させることを特徴とする、上記項目1)〜6)および19)のいずれかに記載の製造方法。
23)式(II’)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミドの存在下で反応させることを特徴とする、上記項目7)、8)または20)に記載の製造方法。
24)式(II’’)で示される化合物の製造方法において、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミド存在下で反応させることを特徴とする、上記項目9)または21)記載の製造方法。
25)上記項目7)、8)、20)または23)に記載の方法により式(II’)で示される化合物を得、得られた式(II’)で示される化合物を、式(IV):R
4−R
5−O−NH
2
(式中、R
4は置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基、置換若しくは非置換の芳香族複素環式基、置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基または置換若しくは非置換のアミノであり、R
5は置換若しくは非置換のC1〜3アルキレンである。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(V):
【0029】
【化22】
(式中、R
1、R
2およびR
3は上記項目7)と同義、R
4およびR
5は前記と同義)で示される化合物の製造方法。
26)上記項目9)、21)または24)に記載の方法により式(II’’)で示される化合物を得、得られた式(II’’)で示される化合物を、式(IV):R
4−R
5−O−NH
2
(式中、R
4は置換若しくは非置換の芳香族炭素環式基、置換若しくは非置換の芳香族複素環式基、置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基または置換若しくは非置換のアミノであり、R
5は置換若しくは非置換のC1〜3アルキレンである。)で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(V’):
【0030】
【化23】
(式中、R
4およびR
5は前記と同義)で示される化合物の製造方法。
27)環Aが置換若しくは非置換の芳香族炭素環である、上記項目1)〜6)のいずれかに記載の製造方法。
28)環Aが置換若しくは非置換のベンゼンである、上記項目1)〜6)および27)のいずれかに記載の製造方法。
29)環Aが置換若しくは非置換の芳香族複素環である、上記項目1)〜6)のいずれかに記載の製造方法。
30)環Aが置換若しくは非置換のキナゾリン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジンまたはフランである、上記項目1)〜6)および29)のいずれかに記載の製造方法。
31)環Aが置換若しくは非置換の芳香族炭素環である、上記項目19)記載の製造方法。
32)環Aが置換若しくは非置換のベンゼンである、上記項目31)記載の製造方法。
33)環Aが置換若しくは非置換の芳香族複素環である、上記項目19)記載の製造方法。
34)環Aが置換若しくは非置換のキナゾリン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジンまたはフランである、上記項目33)記載の製造方法。
35)環Aが置換若しくは非置換の芳香族炭素環である、上記項目22)記載の製造方法。
36)環Aが置換若しくは非置換のベンゼンである、上記項目35)記載の製造方法。
37)環Aが置換若しくは非置換の芳香族複素環である、上記項目22)記載の製造方法。
38)環Aが置換若しくは非置換のキナゾリン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジンまたはフランである、上記項目37)記載の製造方法。
39)N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミドの存在下で反応を行うことを特徴とする、パラジウムクロスカップリング反応。
40)N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)の存在下で反応を行うことを特徴とする、上記項目39)記載の反応。
41)N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、エチレングリコールの存在下で反応を行うことを特徴とする、上記項目39)または40)記載の反応。
42)N,N−ジメチルグリシンの存在下で反応を行うことを特徴とする、上記項目39)〜41)のいずれかに記載の反応。
43)パラジウムクロスカップリング反応が、Negishi、Heck、Suzuki、Sonogashira、StilleまたはBuchwald−Hartwigである、上記項目39)〜42)のいずれかに記載の反応。
【0031】
以下に各用語の意味を説明する。各用語は本明細書中、統一した意味で使用し、単独で用いられる場合も、又は他の用語と組み合わされて用いられる場合も、同一の意味で用いられる。
【0032】
本明細書中、「脱離基」とは、ハロゲン、p−トルエンスルホニル、トリフルオロメタンスルホニルおよびメタンスルホニルを包含する。例えば、ハロゲンが挙げられる。
【0033】
本明細書中、「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を包含する。
【0034】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アルキル」とは、炭素原子数1〜10の直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含する。例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、neo−ペンチル、n−ヘキシル、イソヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノナニル、n−デカニル等が挙げられる。例えば、C1〜C10アルキルが挙げられる。例えば、C1〜C6アルキルが挙げられる。例えば、C1〜C4アルキルが挙げられる。
【0035】
本明細書中、「アルキルオキシ」としては、メチルオキシ、エチルオキシ、n−プロピルオキシ、イソプロピルオキシ、n−ブチルオキシ、イソブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、tert−ブチルオキシ、n−ペンチルオキシ、n−ヘキシルオキシ、n−ヘプチルオキシ、n−オクチルオキシ、n−ノナニルオキシ、n−デカニルオキシ等が挙げられる。例えば、C1〜C6アルキルオキシが挙げられる。例えば、C1〜C3アルキルオキシが挙げられる。
【0036】
本明細書中、「アルキルオキシカルボニル」としては、メチルオキシカルボニル、エチルオキシカルボニル、n−プロピルオキシカルボニル、イソプロピルオキシカルボニル、n−ブチルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニル、n−ペンチルオキシカルボニル等が挙げられる。例えば、C1〜C6アルキルオキシカルボニルが挙げられる。例えば、C1〜C3アルキルオキシカルボニルが挙げられる。
【0037】
本明細書中、前記「ハロゲン」によって1〜8箇所、例えば1〜5箇所置換された前記「アルキル」を包含する。例えば、トリフルオロメチル、トリクロロメチル、ジフルオロエチル、トリフルオロエチル、ジクロロエチル、トリクロロエチル等が挙げられる。例えば、前記「ハロゲン」によって1〜5箇所置換されたC1〜C6アルキルが挙げられる。
【0038】
本明細書中、「アルケニル」とは、炭素原子数が2〜8個であり、1個もしくは2個以上の二重結合を有する、直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含する。三重結合を鎖内に有していてもよい。例えば、ビニル、アリル、1−プロペニル、2−プロペニル、種々のブテニル異性体等が挙げられる。例えば、C2〜C6アルケニルが挙げられる。例えば、C2〜C4アルケニルが挙げられる。
【0039】
本明細書中、「アルケニルオキシ」としては、ビニルオキシ、アリルオキシ、1−プロペニルオキシ、2−プロペニルオキシ、種々のブテニルオキシが挙げられる。例えばC2〜C6アルケニルオキシが挙げられる。例えば、C2〜C4アルケニルオキシが挙げられる。
【0040】
本明細書中、「アルケニルオキシカルボニル」としては、ビニルオキシカルボニル、アリルオキシカルボニル、1−プロペニルオキシカルボニル、2−プロペニルオキシカルボニル、種々のブテニルオキシカルボニルが挙げられる。例えば、C2〜C6アルケニルオキシカルボニルが挙げられる。例えば、C2〜C4アルケニルオキシカルボニルが挙げられる。
【0041】
本明細書中、「アルキニル」とは、炭素原子数が2〜8個であり、1個もしくは2個以上の三重結合を有する、直鎖または分枝鎖の1価の炭化水素基を包含する。例えば、エチニル、1−プロピニル、2−プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、3−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、種々のペンチニル異性体等が挙げられる。例えば、C2〜C6アルキニルが挙げられる。例えば、C2〜C4アルキニルが挙げられる。
【0042】
本明細書中、「アルキニルオキシ」としては、エチニルオキシ、プロピニルオキシ、ブチニルオキシ、ペンチニルオキシ等が挙げられる。例えば、C2〜C6アルキニルオキシが挙げられる。例えば、C2〜C4アルキニルオキシが挙げられる。
【0043】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「アルキレン」とは、炭素原子数1〜4の直鎖または分枝鎖の2価の炭化水素基を包含する。例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン等が挙げられる。例えばC1〜C3アルキレンが挙げられる例えば、C1〜C2アルキレンが挙げられる。
【0044】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「芳香族炭素環式基」とは、単環状もしくは縮合環状芳香族炭化水素を包含する。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、アントリル等が挙げられる。例えば、フェニル、1−ナフチル、2−ナフチルが挙げられる。例えば、フェニルが挙げられる。
【0045】
本明細書中、「芳香族炭素環」とは、上記「芳香族炭素環式基」から誘導される、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい環を包含する。例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセンが挙げられる。例えば、ベンゼンが挙げられる。
【0046】
本明細書中、「アラルキル」とは、前記「アルキル」に前記「芳香族炭素環式基」が1または2以上置換したものを包含し、これらは可能な全ての位置で置換しうる。例えば、ベンジル、フェニルエチル(例えば、2−フェニルエチル等)、フェニルプロピル(例えば、3−フェニルプロピル等)、ナフチルメチル(例えば、1−ナフチルメチル、2−ナフチルメチル等)、アントリルメチル(例えば、9−アントリルメチル等)等が挙げられる。例えば、ベンジル、フェニルエチルが挙げられる。
【0047】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「芳香族複素環式基」とは、任意に選ばれる、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を環内に1個以上含む5〜6員の芳香環基を包含する。これは前記「芳香族炭素環式基」もしくは他の芳香族複素環式基と可能な全ての位置で縮合していてもよい。芳香族複素環が単環および縮合環のいずれである場合も、すべての可能な位置で結合しうる。例えば、ピロリル(例えば、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル)、フリル(例えば、2−フリル、3−フリル)、チエニル(例えば、2−チエニル、3−チエニル)、イミダゾリル(例えば、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル)、ピラゾリル(例えば、1−ピラゾリル、3−ピラゾリル)、イソチアゾリル(例えば、3−イソチアゾリル)、イソオキサゾリル(例えば、3−イソオキサゾリル)、オキサゾリル(例えば、2−オキサゾリル)、チアゾリル(例えば、2−チアゾリル、5−チアゾリル)、ピリジル(例えば、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル)、ピラジニル(例えば、2−ピラジニル)、ピリミジニル(例えば、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル)、ピリダジニル(例えば、3−ピリダジニル)、トリアゾリル、テトラゾリル(例えば、1H−テトラゾリル)、オキサジアゾリル(例えば、1,3,4−オキサジアゾリル)、チアジアゾリル(例えば、1,3,4−チアジアゾリル)、インドリジニル(例えば、2−インドリジニル、6−インドリジニル)、イソインドリル(例えば、2−イソインドリル)、インドリル(例えば、1−インドリル、2−インドリル、3−インドリル)、インダゾリル(例えば、3−インダゾリル)、プリニル(例えば、8−プリニル)、キノリジニル(例えば、2−キノリジニル)、イソキノリル(例えば、3−イソキノリル)、キノリル(例えば、2−キノリル、5−キノリル)、フタラジニル(例えば、1−フタラジニル)、ナフチリジニル(例えば、2−ナフチリジニル)、キナゾリニル(例えば、2−キナゾリニル)、シンノリニル(例えば、3−シンノリニル)、プテリジニル(例えば、2−プテリジニル)、カルバゾリル(例えば、2−カルバゾリル、4−カルバゾリル)、フェナントリジニル(例えば、2−フェナントリジニル、3−フェナントリジニル)、アクリジニル(例えば、1−アクリジニル、2−アクリジニル)、ジベンゾフラニル(例えば、1−ジベンゾフラニル、2−ジベンゾフラニル)、ベンゾイミダゾリル(例えば、2−ベンゾイミダゾリル)、ベンゾイソオキサゾリル(例えば、3−ベンゾイソオキサゾリル)、ベンゾオキサゾリル(例えば、2−ベンゾオキサゾリル)、ベンゾオキサジアゾリル(例えば、4−ベンゾオキサジアゾリル)、ベンゾイソチアゾリル(例えば、3−ベンゾイソチアゾリル)、ベンゾチアゾリル(例えば、2−ベンゾチアゾリル)、ベンゾフリル(例えば、3−ベンゾフリル)、ベンゾチエニル(例えば、2−ベンゾチエニル)、4,5−ジヒドロナフト[1,2−d]チアゾリル、4H−クロメノ[4,3−d]チアゾリル、4H−チオクロメノ[4,3−d]チアゾリル、4,5−ジヒドロチアゾロ[5,4−c]キノリル、8H−インデノ[1,2−d]チアゾリル、5,6−ジヒドロ−4H−3−チア−1−アザ−ベンゾ[e]アズレニル等が挙げられる。
【0048】
本明細書中、「芳香族複素環」とは、上記「芳香族複素環式基」から誘導される、置換可能な任意の位置に結合手を有していてもよい環を包含する。例えば、ピロール、フラン、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、イソチアゾール、イソオキサゾール、オキサゾール、チアゾール、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアゾール、テトラゾール、オキサジアゾール、チアジアゾール、インドリジン、イソインドリジン、インドール、インダゾール、プリン、キノリジン、フタラジン、ナフチリジン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、カルバゾール、フェナントリジン、アクリジン、ジベンゾフラン、ベンゾイミダゾール、ベンゾイソオキサゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾオキサジアゾール、ベンゾイソチアゾール、ベンゾチアゾール、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン等が挙げられる。例えば、キナゾリンが挙げられる。
【0049】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「非芳香族複素環式基」なる用語は、任意に選ばれる、酸素原子、硫黄原子又は窒素原子を環内に1個以上含む非芳香族の5〜7員環またはそれに別の1以上の「非芳香族複素環」もしくは「芳香族複素環」が縮合した環から誘導される基を包含する。例えば、ピロリジニル(例えば、1−ピロリジニル、2−ピロリジニル)、ピロリニル(例えば、3−ピロリニル)、イミダゾリジニル(例えば、2−イミダゾリジニル)、イミダゾリニル(例えば、イミダゾリニル)、ピラゾリジニル(例えば、1−ピラゾリジニル、2−ピラゾリジニル)、ピラゾリニル(例えば、ピラゾリニル)、ピペリジル(例えば、ピペリジノ、2−ピペリジル)、ピペラジニル(例えば、1−ピペラジニル、2−ピペラジニル)、インドリニル(例えば、1−インドリニル)、イソインドリニル(例えば、イソインドリニル)、モルホリニル(例えば、モルホリノ、2−モルホリニル、3−モルホリニル)、テトラヒドロフラニル、ジヒドロピラニル、テトラヒドロピラニル、ジオキソラニル、テトラヒドロチエニル、ジヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオフラニル、デカヒドロイソキノリル、アゼピニル、オキセピニル、ジヒドロオキセピニル、テトラヒドロオキセピニル、オキセパニル、4,5,6,7−テトラヒドロチエノ[3,2]ピリジル、2−オキサ−5−アザ−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−イル、ヘキサヒドロピラジル[2.1−b][1,3]オキサジン−8−イル等が挙げられる。
【0050】
本明細書中、単独でもしくは他の用語と組み合わせて用いられる「非芳香族炭素環式基」とは、単環または2環以上の、環状飽和炭化水素基または環状非芳香族不飽和炭化水素基を意味する。2環以上の「非芳香族炭素環式基」は、単環または2環以上の非芳香族炭素環式基に、上記「芳香族炭素環式基」における環が縮合したものも包含する。
さらに、「非芳香族炭素環式基」は、以下のように架橋している基、またはスピロ環を形成する基も包含する。
【0051】
【化24】
単環の非芳香族炭素環式基としては、炭素数3〜16が好ましく、より好ましくは炭素数3〜12、さらに好ましくは炭素数4〜8である。例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロプロペニル、シクロブテニル、シクロペンテニル、シクロヘキセニル、シクロヘプテニル、シクロヘキサジエニル等が挙げられる。
2環以上の非芳香族炭素環式基としては、例えば、インダニル、インデニル、アセナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル等が挙げられる。
【0052】
本明細書中、「アシル」とは、ホルミル、アルキル部分が前記「アルキル」であるアルキルカルボニル、ハロアルキル部分が前記「ハロアルキル」であるハロアルキルカルボニル、アルケニル部分が前記「アルケニル」であるアルケニルカルボニル、アラルキル部分が前記「アラルキル」であるアラルキルカルボニル、芳香族炭素環部分が前記「芳香族炭素環式基」である芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環部分が前記「芳香族複素環式基」である芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環部分が前記「非芳香族複素環式基」である非芳香族複素環カルボニル、または非芳香族炭素環部分が後記「非芳香族炭素環式基」である非芳香族炭素環カルボニルを包含する。例えば、アセチル、プロピオニル、ブチロイル、トリフルオロメチルカルボニル、ビニルカルボニル、フェニルアセチル、ベンゾイル等が挙げられる。「アルキル」、「アルケニル」、「アラルキル」、「芳香族炭素環式基」、「芳香族複素環式基」、「非芳香族複素環式基」および「非芳香族炭素環式基」は後述のそれぞれの置換基によって置換されていてもよい。
【0053】
本明細書中、「ヒドロキシアルキル」、「アルキルカルボニル」、「アルキルチオ」、「アルキルスルホニル」のアルキル部分は、前記「アルキル」を意味する。
本明細書中、「芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル」のアルキルオキシカルボニル部分は、前記「アルキルオキシカルボニル」を意味する。
本明細書中、「芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル」「芳香族炭素環オキシカルボニル」、「芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「芳香族炭素環カルボニル」、「芳香族炭素環チオ」、「芳香族炭素環スルホニル」、「芳香族炭素環オキシ」の芳香族炭素環部分は、前記「芳香族炭素環式基」を意味する。
本明細書中、「非芳香族炭素環オキシカルボニル」、「非芳香族炭素環カルボニルオキシ」、「非芳香族炭素環カルボニル」、「非芳香族炭素環チオ」、「非芳香族炭素環スルホニル」、「非芳香族炭素環オキシ」の非芳香族炭素環部分は、前記「非芳香族炭素環式基」を意味する。
本明細書中、「芳香族複素環オキシカルボニル」、「芳香族複素環カルボニルオキシ」、「芳香族複素環カルボニル」、「芳香族複素環チオ」、「芳香族複素環スルホニル」、「芳香族複素環オキシ」の芳香族複素環部分は、前記「芳香族複素環式基」を意味する。
本明細書中、「非芳香族複素環オキシカルボニル」、「非芳香族複素環カルボニルオキシ」、「非芳香族複素環カルボニル」、「非芳香族複素環チオ」、「非芳香族複素環スルホニル」、「非芳香族複素環オキシ」の非芳香族複素環部分は、前記「非芳香族複素環式基」を意味する。
【0054】
「置換芳香族複素環」、「置換芳香族炭素環」、「置換アルキル」、「置換アルケニル」、「置換アルキニル」、「置換アルキルオキシ」、「置換アルキルオキシカルボニル」、「置換アルケニルオキシ」、「置換アルケニルオキシカルボニル」、「置換アルキニルオキシ」、「置換芳香族炭素環アルキルオキシカルボニル」、「置換アルキレン」、「置換芳香族炭素環式基」、「置換非芳香族炭素環式基」、「置換芳香族複素環式基」、「置換非芳香族複素環式基」、「置換アシル」および「置換アミノ」における置換基としては、例えば、ヒドロキシ、カルボキシ、ハロゲン、ハロアルキル(例:CF
3、CH
2CF
3、CH
2CCl
3)、アルキル(例:メチル、エチル、イソプロピル、tert−ブチル)、アルケニル(例:ビニル)、アルキニル(例:エチニル)、非芳香族炭素環式基(例:シクロプロピル、シクロプロペニル)、アルキルオキシ(例:メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ)、ハロアルキルオキシ(例:OCF
3)、アルケニルオキシ(例:ビニルオキシ、アリルオキシ)、芳香族炭素環式基オキシ(例:フェノキシ)、アルコキシカルボニル(例:メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル)、ニトロ、ニトロソ、置換されていてもよいアミノ(例:アルキルアミノ(例:メチルアミノ、エチルアミノ、ジメチルアミノ)、アシルアミノ(例:アセチルアミノ、ベンゾイルアミノ)、アラルキルアミノ(例:ベンジルアミノ、トリチルアミノ)、ヒドロキシアミノ、アルコキシカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、カルバモリルアミノ、非芳香族複素環カルボニルアミノ、芳香族炭素環スルホニルアミノ)、アジド、芳香族炭素環式基(例:フェニル)、アラルキル(例:ベンジル)、シアノ、イソシアノ、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、メルカプト、アルキルチオ(例:メチルチオ)、アルキルスルホニル(例:メタンスルホニル、エタンスルホニル)、アルキルスルホニルオキシ(例:メタンスルホニルオキシ、エタンスルホニルオキシ)、置換されていてもよいカルバモイル(例:アルキルカルバモイル(例:メチルカルバモイル、エチルカルバモイル、ジメチルカルバモイル)、アルキルスルホニルカルバモイル)、スルファモイル、アシル(例:ホルミル、アセチル)、ホルミルオキシ、ハロホルミル、オキザロ、チオホルミル、チオカルボキシ、ジチオカルボキシ、チオカルバモイル、スルフィノ、スルフォ、スルホニル、スルフィニル、スルホアミノ、ヒドラジノ、アジド、ウレイド、アミジノ、グアニジノ、フタルイミド、オキソ、非芳香族炭素環式基、芳香族炭素環式基、芳香族複素環式基、非芳香族複素環式基、アルキレン、置換されていてもよいアルキレンジオキシ(−O−CH
2−O−、−O−CH
2−CH
2−O−、−O−CH
2−CH
2−CH
2−O−等)、芳香族炭素環オキシ、非芳香族炭素環オキシ、芳香族複素環オキシ、非芳香族複素環オキシ、アルキルオキシカルボニル、芳香族炭素環オキシカルボニル、非芳香族炭素環オキシカルボニル、芳香族複素環オキシカルボニル、非芳香族複素環オキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、芳香族炭素環カルボニルオキシ、非芳香族炭素環カルボニルオキシ、芳香族複素環カルボニルオキシ、非芳香族複素環カルボニルオキシ、アルキルカルボニル、芳香族炭素環カルボニル、非芳香族炭素環カルボニル、芳香族複素環カルボニル、非芳香族複素環カルボニル、アルキルチオ、芳香族炭素環チオ、非芳香族炭素環チオ、芳香族複素環チオ、非芳香族複素環チオ、アルキルスルホニル、芳香族炭素環スルホニル、非芳香族炭素環スルホニル、芳香族複素環スルホニル、非芳香族複素環スルホニル、チオカルバモイル、スルファモイル等からなる群から選択される。1〜4個の当該置換基で置換されていてもよい。
【0055】
本明細書中、環Aにおける「置換若しくは非置換の芳香族複素環」としては、キナゾリン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジンまたはフランが挙げられる。環Aにおける「置換若しくは非置換の芳香族炭素環」としては、ベンゼンが挙げられる。
本明細書中、Xにおける脱離基としては、ヨウ素が挙げられる。
本明細書中、Rとしては、メチルが挙げられる。
本明細書中、R
1としては、式:−Y−R
y(式中、−Y−は、−O−を介在してもよいアルキレン;R
yは、置換基群p(置換基群p:ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニルおよび置換若しくは非置換のアミノ)から選択される置換基で置換されたフェニル若しくは非置換のフェニル、置換基群pから選択される置換基で置換されたピリジル若しくは非置換のピリジル、置換基群pから選択される置換基で置換されたフリル若しくは非置換のフリル、置換基群pから選択される置換基で置換されたチエニル若しくは非置換のチエニル、置換基群pから選択される置換基で置換されたチアゾリル若しくは非置換のチアゾリル、または置換基群pから選択される置換基で置換されたオキサゾリル若しくは非置換のオキサゾリル)で示される基が挙げられる。
本明細書中、R
1としては、式:−Y−R
y(式中、−Y−は、−O−を介在してもよいアルキレン;R
yは、置換基群p(置換基群p:ハロゲン、カルボキシ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシアルキル、アルキルオキシ、アルキルオキシカルボニルおよび置換若しくは非置換のアミノ)から選択される置換基で置換されたフェニル若しくは非置換のフェニル)が挙げられる。
本明細書中、R
1としては、式:−Y−R
y(式中、−Y−は、−O−を介在してもよいC1〜C3アルキレン;R
yは、ハロゲンで置換されたフェニル若しくは非置換のフェニル)が挙げられる。
本明細書中、R
2としては、水素原子またはハロゲンが挙げられる。
本明細書中、R
3としては、水素原子またはハロゲンが挙げられる。
本明細書中、R
4としては、置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基または置換若しくは非置換のアミノが挙げられる。
本明細書中、R
4としては、置換若しくは非置換の非芳香族複素環式基が挙げられる。
本明細書中、R
4における「非芳香族複素環式基」としては、モルホリニル、ピロリジニル、ピペラジニルが挙げられる。
本明細書中、R
4における「置換アミノ」の置換基としては、例えば、アルキル(ヒドロキシアルキル、アルキルオキシアルキルを包含する。)、非芳香族炭素環式基などが挙げられる。
本明細書中、R
4における「置換非芳香族複素環式基」の置換基としては、例えば、ヒドロキシなどが挙げられる。
本明細書中、R
5としては、置換若しくは非置換のC1〜C3アルキレンが挙げられる。
本明細書中、R
5としては、非置換のC1〜C3アルキレンが挙げられる。
本明細書中、R
5としては、置換若しくは非置換のC1〜C2アルキレンが挙げられる。
本明細書中、R
5としては、非置換のC1〜C2アルキレンが挙げられる。
【0056】
本明細書中、「式(I)で示される化合物」、「式(I’)で示される化合物」、「式(I’’)で示される化合物」、「式(I’’’)で示される化合物」、「式(II)で示される化合物」、「式(II’)で示される化合物」、「式(II’’)で示される化合物」、「式(III)で示される化合物」、「式(IV)で示される化合物」、「式(V)で示される化合物」および「式(V’)で示される化合物」は、塩を形成していてもよい。例えば、該化合物とアルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸等)との塩が挙げられる。特に塩酸、硫酸、リン酸、酒石酸、メタンスルホン酸との塩等が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0057】
また、前記化合物は溶媒和物を形成していてもよい。例えば、溶媒和物(例えば、水和物等)および/または結晶多形を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物および結晶多形も包含する。「溶媒和物」は、該化合物に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。該化合物またはその塩を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。また、該化合物またはその塩を、再結晶することでそれらの結晶多形を形成する場合がある。
【発明の効果】
【0058】
薗頭カルボニル化反応により、製造中間体として有用な式(II)、(II’)および(II’’)で示される化合物を高収率で製造することができる。また、従来法(特許文献1および特許文献2)と比較して、より短い工程数で式(II)、(II’)および(II’’)で示される化合物を製造することが可能となり、工業的に優れた製造方法である。
また、大量スケールの合成において、急激な発熱量の増加は危険であるが、本発明の新規化合物の結晶存在下で当該薗頭カルボニル化反応を行えば、反応熱を制御することができる。
さらには、当該薗頭カルボニル化反応において、適切な配位子(添加剤)を加えることにより、反応容器内にパラジウムブラックが析出するのを抑制することができる。
その上、式(II’’)で示される化合物の新規結晶は、有用な医薬品の中間体として使用することができる。
【発明を実施するための形態】
【0061】
【化25】
(式中、環Aは置換若しくは非置換の芳香族複素環または置換若しくは非置換の芳香族炭素環;Xは脱離基)で示される化合物を、
パラジウム触媒、ホスフィン配位子、第11族元素を含む触媒および塩基の存在下、
一酸化炭素および式(III):
【0062】
【化26】
(式中、Rは水素原子またはメチル)
で示される化合物と反応させることを特徴とする、式(II):
【0063】
【化27】
(式中、環AおよびRは上記と同義)で示される化合物を製造する工程を包含する。
出発物質の式(I)で示される化合物は、特許文献1記載の方法に従い製造することができる。また、市販試薬より公知の方法に従って製造、または市販品を使用することができる。
【0064】
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、ジメチルアセトアミド(DMA)、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびそれらの混合溶媒を用いることができる。例えば、テトラヒドロフランとジメチルスルホキシドの混合溶媒を用いることができる。
【0065】
反応温度は、通常、室温から溶媒が還流する温度の範囲で実施される。例えば、−10〜60℃の範囲で行うことができる。例えば、20〜30℃で行うことができる。
【0066】
式(I)で示される化合物に対して、式(III)で示される化合物の使用量は、通常、1.0〜5.0当量、例えば、2.0〜3.0当量、例えば、2.2〜2.5当量用いることができる。
【0067】
式(III)で示される化合物の反応容器内への導入方法は、バブリングにより導入することができる。別の方法としては、溶媒に式(III)で示される化合物を予め溶解させた溶液を調製し、当該溶液を反応容器内へ導入することができる。
大量合成時における、式(III)で示される化合物の反応容器内への導入時間は、通常、0.2〜10時間、例えば、6時間〜8時間かけて行えばよい。
【0068】
一酸化炭素の反応容器内への導入方法は、反応開始前に、反応容器内を一酸化炭素で置換すればよい。別の方法としては、バブリングにより導入することができる。
【0069】
反応容器内の圧力は、大気圧下または加圧下のどちらの場合でも反応を行うことができる。
加圧下で反応を行う場合は、反応容器内の圧力は、例えば、0.01〜0.5MPa、例えば、0.1〜0.3MPa下で行うことができる。
【0070】
パラジウム触媒としては、Pd
2(dba)
3、PdCl
2dppf、PdCl
2(PPh
3)
2、Pd(OAc)
2、Pd(PPh
3)
4、Pd/C、PdCl
2、Pd−PEPPSI
TM−IPr、Bis[cinnamyl palladium Cl]、PdCl
2(Xantphos)、Pd(OH)
2等を用いることができる。種々のクロスカップリング反応(Negishi、Heck、Suzuki、Sonogashira、Stille、Buchwald−Hartwig等)に用いられる市販のパラジウム触媒を使用することができる。また、市販のパラジウム触媒前駆体より、公知の方法に従って合成することができる。例えば、以下のパラジウム触媒を用いることができる。
Pd
2(dba)
3:トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0);Tris(dibenzylideneacetone)dipalladium(0)、
PdCl
2dppf:[1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン]パラジウム(II)ジクロリド ジクロロメタン付加物;[1,1'-Bis(diphenylphosphino)ferrocene]palladium(II) dichloride dichloromethane adduct、
PdCl
2(PPh
3)
2:ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)ジクロリド;Bis(triphenylphosphine)palladium(II) dichloride、
Pd(OAc)
2:酢酸パラジウム(II);Palladium diacetate、
Pd(PPh
3)
4:テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0);Tetrakis(triphenylphosphine)palladium(0)、
Pd/C:パラジウム炭素;Palladium on carbon、
PdCl
2:塩化パラジウム(II);Palladium(II) chloride、
Pd−PEPPSI
TM−IPr:[1,3−ビス(2,6−ジイソプロピルフェニル)イミダゾール−2−イリデン](3−クロロピリジル)パラジウム(II)ジクロリド;[1,3-Bis(2,6-diisopropylphenyl)imidazol-2-ylidene](3-chloropyridyl)palladium(II) dichloride、
Bis[cinnamyl palladium Cl]:ビス[シンナミルパラジウム(II)クロリド];Bis[cinnamyl palladium(II) chloride]、
PdCl
2(Xantphos):ジクロロ[9,9−ジメチル−4,5−ビス(ジフェニルホスフィノ)キサンテン]パラジウム(II);Dichloro[9,9-dimethyl-4,5-bis(diphenylphosphino)xanthene]palladium(II)、
Pd(OH)
2:水酸化パラジウム;Palladium hydroxide。
例えば、PdCl
2dppf、PdCl
2(PPh
3)
2、Pd
2(dba)
3、Pd(OAc)
2が挙げられる。
例えば、Pd
2(dba)
3が挙げられる。
式(I)で示される化合物に対して、パラジウム触媒の使用量は、通常、触媒量用いることができる。例えば、0.001〜0.1当量、例えば、0.001〜0.01当量用いることができる。
【0071】
ホスフィン配位子としては、Xantphos、P(2−furyl)
3、PPh
3、P(o−tol)
3、P(OPh)
3、P(OMe)
3、dppp、dppb、dppf、BINAP、X−Phos、P(t−Bu)
3、P(Oi−Pr)
3、P(p−MeOPh)
3またはDPEPhos等を用いることができる。種々のクロスカップリング反応(Negishi、Heck、Suzuki、Sonogashira、Stille、Buchwald−Hartwig等)に用いられる市販のホスフィン配位子を使用することができる。また、市販のホスフィン配位子前駆体より、公知の方法に従って合成することができる。例えば、以下のホスフィン配位子を用いることができる。
Xantphos:キサントホス;4,5-Bis(diphenylphosphino)-9,9-dimethylxanthene、
P(2−furyl)
3:トリ(2−フリル)ホスフィン;Tri(2-furyl)phosphine、
PPh
3:トリフェニルホスフィン;Triphenylphosphine、
P(o−tol)
3:トリ(o−トリル)ホスフィン;Tri(o-tolyl)phosphine、
P(OPh)
3:亜リン酸トリフェニル;Triphenyl phosphite、
P(OMe)
3:亜りん酸トリメチル;Trimethyl phosphite、
dppp:1,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン;1,3-Bis(diphenylphosphino)propane、
dppb:1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;1,4-Bis(diphenylphosphino)butane、
dppf:1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン;1,1′-Bis(diphenylphosphino)ferrocene、
BINAP:2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフチル;2,2'-Bis(diphenylphosphino)-1,1'-binaphthyl、
X−Phos:2−ジシクロヘキシルホスフィノ−2’,4’,6’−トリイソプロピルビフェニル;2-Dicyclohexylphosphino-2',4',6'-triisopropylbiphenyl、
P(t−Bu)
3:トリ−tert−ブチルホスフィン;Tri-tert-butylphosphine、
P(Oi−Pr)
3:亜りん酸トリイソプロピル:Triisopropyl phosphite、
P(p−MeOPh)
3:トリス(4−メトキシフェニル)ホスフィン;Tris(4-methoxyphenyl)phosphine、
DPEPhos:ビス[2−(ジフェニルホスフィノ)フェニル]エーテル;Bis[2-(diphenylphosphino)phenyl] Ether。
例えば、PPh
3、P(o−tol)
3、P(OPh)
3、P(2−furyl)
3、Xantphosが挙げられる。
例えば、Xantphosが挙げられる。
式(I)で示される化合物に対して、ホスフィン配位子の使用量は、通常、触媒量用いることができる。例えば、0.001〜0.1当量、例えば、0.01〜0.03当量用いることができる。
【0072】
第11族元素としては、銅、銀、金が挙げられる。
第11族元素を含む触媒としては、ヨウ化銅(I)、ヨウ化銅(II)、塩化銅(I)、塩化銅(II)、酢酸銅(I)、酢酸銅(II)、酸化銅(II)、臭化銅(I)、臭化銅(II)または酢酸銀が挙げられる。
例えば、塩化銅(I)、酢酸銅(I)、臭化銅(I)が挙げられる。
例えば、塩化銅(I)が挙げられる。
式(I)で示される化合物に対して、第11族元素を含む触媒の使用量は、通常、触媒量用いることができる。例えば、0.001〜0.5当量、例えば、0.01〜0.1当量用いることができる。
【0073】
塩基としては、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;1,4-Diazabicyclo[2.2.2]octane)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたはリン酸カリウム、金属水素化物(例、水素化ナトリウムなど)、金属アルコキシド(例、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシドなど)、金属ナトリウム、アルキルリチウム(n−BuLi、sec−BuLi、tert−BuLi)が挙げられる。
塩基としては、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、DABCO(1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン;1,4-Diazabicyclo[2.2.2]octane)、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルアニリン、酢酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウムまたはリン酸カリウムが挙げられる。
例えば、N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジンが挙げられる。
例えば、N−メチルモルホリンが挙げられる。
式(I)で示される化合物に対して、塩基の使用量は、通常、2〜10当量、例えば2〜8当量、例えば、3〜5当量用いることができる。
【0074】
上記工程は、さらに、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)、グリシン、N−メチルグリシン、D−プロリン、N−メチルプロリン、イミダゾール−4−カルボン酸、オキサゾール−4−カルボン酸、チアゾール−4−カルボン酸、イミダゾール−2−カルボン酸、オキサゾール−2−カルボン酸、チアゾール−2−カルボン酸、ピロール−2−カルボン酸、イソキサゾール−5−カルボン酸、イソキサゾール−3−カルボン酸、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、N,N−ジメチル−2−アミノ安息香酸、グリコール酸アミド、ギ酸、プロピオン酸、酪酸、シュウ酸、マレイン酸、トリフルオロ酢酸、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、エチレングリコールジメチルエーテル、2−メトキシエタノール、グリコール酸、グリコール酸エステル、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ジエチレングリコール、カテコール、2−ヒドロキメチル−1,3−プロパンジオール、N,N−ジメチルウレア、N,N−ジフェニルウレアまたはN,N−ジメチルグリシンアミド等の存在下で反応させることができる。
例えば、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)の存在下で反応させることができる。
例えば、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、エチレングリコールの存在下で反応させることができる。
例えば、N,N−ジメチルグリシンの存在下で反応させることができる。
上記工程は、上記化合物の存在下または不存在下のどちらの場合でも反応を行うことができる。
上記化合物の存在下で上記工程を行う場合は、式(I)で示される化合物に対して、触媒量を用いればよい。例えば、0.01〜0.5当量用いることができる。例えば、0.02〜0.1当量用いることができる。
後述の試験例3に記載の通り、上記化合物の存在下で上記工程を行う場合は、パラジウム触媒の失活を抑制することができる。
なお、上記化合物は、本発明の薗頭カルボニル化反応以外にも、パラジウム触媒を用いた他の反応(例:Negishi、Heck、Suzuki、Sonogashira、Stille、Buchwald−Hartwig等)にも使用しうる。
【0075】
上記工程において、式(I)で示される化合物が、式(I’):
【0076】
【化28】
(式中、環Aは上記と同義)、式(I’’):
【0077】
【化29】
(式中R
1、R
2およびR
3は上記と同義)、または式(I’’’):
【0078】
【化30】
で示される化合物であり、塩基がN−メチルモルホリンである場合、
さらに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で反応させることができる。
上記工程は、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下または不存在下のどちらの場合でも反応を行うことができる。
N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で上記工程を行う場合は、式(I’)、式(I’’)または式(I’’’)で示される化合物に対して、通常、0.1〜61%、例えば、1〜10%、例えば、2〜4%用いることができる。
後述の試験例1に記載の通り、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶の存在下で上記工程を行う場合は、急激な反応熱の増加を防止することができる。
本明細書中において、複合体とは、結晶および非晶質を包含する。
本明細書中において、「N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶」とは、N−メチルモルホリンのヨウ化水素酸塩およびジメチルスルホキシド和物を含む、複合体の結晶を包含する。
また、本明細書中において、「N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶」とは、N−メチルモルホリンのヨウ化水素酸塩およびジメチルスルホキシド和物を含む、共結晶を包含する。
【0079】
式(II)で示される化合物が、以下の化合物:
【0080】
【化31】
である場合も、上記と同様の反応条件で反応を行うことができる。また、式(II)で示される化合物において、環Aが置換若しくは非置換の芳香族複素環(例えば、ベンゼン等)または置換若しくは非置換の芳香族炭素環(例えば、キナゾリン、ピリジン、チアゾール、チオフェン、イミダゾール、ピラジン、ピリミジンまたはフラン等)である場合も、上記と同様の反応条件で反応を行うことができる。
【0081】
また本発明は、上記工程により得られた式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩またはその結晶を得る工程を包含する。
上記工程の反応終了後、反応溶液にメタンスルホン酸を加えることにより、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩またはその結晶を製造することができる。
【0082】
溶媒としては、上記工程に用いた溶媒を用いることができる。また、上記工程の反応終了後に、新たに溶媒を追加してもよい。例えば、アセトニトリル、テトラヒドロフランを用いることができる。例えば、アセトニトリルを用いることができる。
【0083】
反応温度は、−10℃〜40℃の範囲で行うことができる。例えば、−5℃〜25℃の範囲で行うことができる。
【0084】
式(I’’’)で示される化合物に対して、メタンスルホン酸の使用量は、通常、2〜10当量、例えば、3〜8当量、例えば、4.0〜5.5当量用いることができる。
【0085】
本発明は、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩またはその結晶を、式(II’’)で示される化合物のフリー体に変換する工程を包含する。式(II’’)で示される化合物のフリー体は、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩またはその結晶を、塩基で処理することにより製造することができる。
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、メタノール、エタノール、イソプロパノール等が挙げられる。例えば、メタノールを用いることができる。
【0086】
反応温度は、−20℃〜40℃の範囲で行うことができる。例えば、−5℃〜10℃の範囲で行うことができる。
【0087】
塩基としては、上記工程に記載の塩基を用いることができる。例えば、N−メチルモルホリンを用いることができる。
式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩またはその結晶に対して、塩基の使用量は、通常1〜5当量、例えば1〜3当量、例えば、1〜1.5当量用いることができる。
【0088】
さらに本発明は、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶を製造する工程を包含する。
市販のN−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸(水溶液が好ましい)、およびジメチルスルホキシド(DMSO)を出発物質として用いることができる。
溶媒としては、反応を阻害しない限り特に限定はされないが、テトラヒドロフラン(THF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)およびそれらの混合溶媒を用いることができる。
反応温度は、通常、−20℃〜70℃、例えば、0℃〜30℃、例えば、5℃〜25℃の範囲で行うことができる。
N−メチルモルホリンに対して、ヨウ化水素酸(水溶液)の使用量は、通常、1.0〜2当量、例えば、1.0〜1.5当量、例えば、1.0〜1.1当量用いることができる。
N−メチルモルホリンに対して、ジメチルスルホキシド(DMSO)の使用量は、通常、溶媒量を用いればよい。例えば、80%〜3000%、例えば、80%〜800%用いることができる。
【0089】
別の方法としては、出発物質として式(I’)、式(I’’)または式(I’’’)で示される化合物、塩基としてN−メチルモルホリン、溶媒としてジメチルスルホキシドまたはその混合溶媒(例えば、テトラヒドロフラン(THF)との混合溶媒)を用いた、上記記載の薗頭カルボニル化反応を行い、副生成物として得られるN−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶を使用することができる。
【0090】
以下に本発明の結晶を特定する方法につき説明する。
特に言及がなければ、本明細書中および特許請求の範囲記載の数値は、おおよその値である。数値の変動は、装置キャリブレーション、装置エラー、物質の純度、結晶サイズ、サンプルサイズ、その他の因子に起因する。
【0091】
本明細書中で用いる「結晶」とは、固体を構成する原子、イオン、分子などが規則正しく並んだ構造を持ち、その結果周期性、異方性を持つような構造を意味する。結晶形態の結晶化度は、例えば、粉末X線回折測定、水分吸脱着測定、示差走査熱量分析、溶液比色測定、溶解特性を含めた多くの技術によって測定することができる。
【0092】
一般に結晶性有機化合物は、3次元空間に周期的に配列された多数の原子よりなる。構造周期性は、通例、ほとんどの分光学的プローブ(例えば、X線回折、赤外スペクトル、ラマンスペクトルおよび固体NMR)によって明確に区別可能な物理的特性を発現する。
中でも粉末X線回折(XRPD)は、固体の結晶性を測定するための最も感度の良い分析法のうちの1つである。X線が結晶に照射されると、結晶格子面で反射し、互いに干渉しあい、ブラッグ則よって予測される条件を満たす方向の回折線のみ強度が増大し、構造の周期に対応した秩序だった回折線を示す。一方、非晶質固体については広範囲の秩序だった回折線は認められない。非晶質固体は、通常、その構造の中に秩序だった繰返し周期をもたないため、回折現象は起こらず、ハローパターンと呼ばれるブロードなXRPDパターンを示す。
【0093】
本発明で開示する、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶、ならびに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶は、粉末X線回折プロフィールを有する。
例えば、特徴的な回折ピークの存在によって結晶体を特定することができる。本明細書中で用いる特徴的な回折ピークは、観察された回折パターンから選択されるピークである。好ましくは、特徴的なピークは、回折パターンにおける約20本、より好ましくは約10本、最も好ましくは約5本から選択される。
【0094】
一般に、粉末X線回折における回折角度(2θ)は±0.2°の範囲内で誤差が生じ得るので、上記の回折角度の値は±0.2°程度の範囲内の数値も含むものとして理解される必要がある。したがって、粉末X線回折におけるピークの回折角度が完全に一致する結晶だけでなく、ピークの回折角度が±0.2°程度の誤差で一致する結晶も本発明に含まれる。
【0095】
一般に、後述の表及び図において表示されるピークの強度は、多くの因子、例えばX線ビームに対する結晶の選択配向の効果、粗大粒子の影響、分析される物質の純度又はサンプルの結晶化度によって変動し得ることが知られている。また、ピーク位置についても、サンプル高の変動に基づいてシフトし得る。さらに、異なる波長を使用して測定するとブラッグ式(nλ=2dsinθ)に従って異なるシフトが得られるが、このような別の波長の使用により得られる別のXRPDパターンも、本発明の範囲に含まれる。
【0096】
単結晶構造解析(桜井敏雄著「X線構造解析の手引き」裳華房発行(1983年)、Stout & Jensen著 X-Ray Structure Determination: A Practical Guide, Macmillan Co., New York (1968)などを参照)は結晶を特定する方法のひとつで、当該結晶における結晶学的パラメーター、さらに、原子座標(各原子の空間的な位置関係を示す値)及び3次元構造モデルを得ることができる。本発明のような複合体の結晶の構造を同定する際には、単結晶構造解析が有用である。
【0097】
上記工程で生成される、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶、ならびに、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶は、安定で、上記工程を行う上で取り扱いやすいことから、医薬組成物を製造するための中間体として有用な結晶である。
【0098】
本発明の結晶体は熱分析の手法によっても特定することができる。
ここでDSC(示差走査熱量測定)は、熱分析の主要な測定方法のひとつで、原子・分子の集合体としての物質の熱的性質を測定する方法である。
DSCにより、医薬活性成分の温度または時間に係る熱量の変化を測定し、得られたデータを温度または時間に対してプロットすることにより示差走査熱量曲線が得られる。示差走査熱量曲線より、医薬活性成分が融解する際のオンセット温度、融解に伴う吸熱ピーク曲線の最大値ならびにエンタルピーに関する情報を得ることができる。
DSCについて、観察される温度は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、DSCにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。示差走査熱量曲線から得られるオンセット温度における誤差範囲はおよそ±2℃である。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少は変化し得る。
ここでTG/DTA(示差熱熱重量同時測定)は、熱分析の主要な測定方法のひとつで、原子・分子の集合体としての物質の重量および熱的性質を測定する方法である。
TG/DTAは医薬活性成分の温度又は時間に係る重量及び熱量の変化を測定する方法であり、得られたデータを温度又は時間に対してプロットすることにより、TG(熱重量)及びDTA(示差熱)曲線が得られる。TG/DTA曲線より、医薬活性成分の分解、脱水、酸化、還元、昇華、蒸発に関する重量及び熱量変化の情報を得ることができる。
TG/DTAについて、観察される温度、重量変化は、温度変化速度ならびに用いる試料調製技法及び特定の装置に依存し得ることが知られている。したがって、TG/DTAにおける「融点」とは試料の調製技法の影響を受けにくいオンセット温度のことを指す。結晶の同一性の認定においては、融点のみならず全体的なパターンが重要であり、測定条件や測定機器によって多少変化し得る。
【0099】
本発明を以下の実施例によりさらに詳しく説明する。これらは本発明を限定するものではない。数値(例えば、量、温度など)に関して正確性を保証する努力をしているが、いくらかの誤差および偏差は考慮されるべきである。特に示さなければ、%は成分の重量%および組成物の全重量の重量%である。特筆しない限り、圧力は大気圧かまたはそれに近い圧力である。
本明細書で使用する他の略語は以下のように定義される:
g:グラム
L:リットル
mg:ミリグラム
mL:ミリリットル
MeCN:アセトニトリル
DMSO:ジメチルスルホキシド
THF:テトラヒドロフラン
DMA:ジメチルアセトアミド
MsOH:メタンスルホン酸
NMM:N−メチルモルホリン
CO:一酸化炭素
rt:室温
HPLC:高速液体クロマトグラフィー
【0100】
(粉末X線回折パターンの測定)
各実施例で得られた結晶の粉末X線回折測定は、日本薬局方の一般試験法に記載された粉末X線回折測定法に従い、以下の測定条件で行った。
(メソッドA)
(装置)
リガク社製RINT−TTRIII
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:300mA
管電圧:50kV
試料プレート:アルミニウム
X線の入射角(θ):2−40°
サンプリング幅:0.020°
(メソッドB)
(装置)
Buker社製D−8Discover
(操作方法)
試料について、以下の条件で測定を行った。
測定法:反射法
光源の種類:Cu管球
使用波長:CuKα線
管電流:40mA
管電圧:40kV
試料プレート:ガラス
X線の入射角:3−40°
【0101】
(単結晶構造解析の測定)
単結晶回折データは、リガク社製 湾曲イメージングプレート単結晶自動X線構造解析装置(R-AXIS RAPIDII-R)を用いて収集した。試料吹付低温装置を利用し、−173.0℃にて、遮光環境下で、グラファイトモノクロメータにより単色化したCuKα(λ=1.5418Å)を照射し、リガク社製プログラムRAPID AUTO(Rigaku, 2006)でデータ測定・処理を実施した。データはローレンツおよび偏光補正、吸収補正を行った。
結晶構造は、直接法プログラムSHELXS97(Sheldrick,2008)を用いて位相決定を行い、精密化はSHELXL97(Sheldrick,2008)を用いて、full-matrix最小二乗法を実施した。非水素原子の温度因子はすべて異方性で精密化を行った。窒素(N1)上の水素原子は差フーリエマップから導き、残りの水素原子はSHELXL97のデフォルトパラメータを用いて計算により導入し、全てriding atomとして取り扱った。R1 (I>2.00s(I))は0.0532であり,最終の差フーリエから電子密度の欠如も誤置もないことを確認した。
図2の作図にはPLUTON(Spek,1991)/ORTEP(Johnson,1976)を使用した(50% probability level)。
【0102】
(DSCデータの測定)
各実施例で得られた各結晶約1mgを量り、金メッキスチール高圧パンにつめ、密閉系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:メトラー・トレド社製DSC822e
測定温度範囲:25℃−300℃
昇温速度:10℃/分
(TG/DTAデータの測定)
各実施例で得られた各結晶約10mgを量り、アルミニウムパンにつめ、開放系にて測定した。測定条件は以下のとおりである。
(測定条件)
装置:日立ハイテクサイエンス社製TG/DTA7200
測定温度範囲:30℃−300℃
昇温速度:10℃/分
【0103】
(NMR測定)
NMRデータを示す場合は、測定した全てのピークを記載していない場合が存在する。
【0104】
(HPLC測定)
(メソッドA)
カラム:Unison UK-C18,φ4.6×150 mm,3μm(Imtakt)
流量:毎分1.0 mL
UV検出波長:246nm
移動相A:0.01mol/L酢酸アンモニウム水溶液(pH5.0)
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
グラジエントプログラムを表2に示す。
【0105】
【表2】
(メソッドB)
カラム:Unison UK-C18,φ4.6×150 mm,3μm(Imtakt)
流量:毎分1.0 mL
UV検出波長:246nm
移動相A:0.01mol/L酢酸アンモニウム水溶液(pH5.0)
移動相B:液体クロマトグラフィー用アセトニトリル
純度測定に用いたグラジエントプログラムを表3に示す。
【0106】
【表3】
なお、HPLCの保持時間には、多少の誤差を含むものとして理解される必要がある。
【実施例1】
【0107】
化合物2の合成:
【0108】
【化32】
アリールヨード体(1)(4.04g)、Pd
2(dba)
3(36.6mg、0.005当量)、Xantphos(92.6mg、0.02当量)、CuCl(15.8mg、0.02当量)、にテトラヒドロフラン(6mL)、N−メチルモルホリン(4.04g、5当量)、ジメチルスルホキシド(2mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、25℃で撹拌し、あらかじめプロピンガス(2.2当量)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液(約2mol/L)を約0.5時間かけて導入した後、約19時間攪拌した。反応終了後、容器内を窒素置換してアセトニトリル(40.4mL)を加え、0℃下で約1時間撹拌した後に濾過を行い、結晶を冷却したアセトニトリル(12.1mL)で洗浄することにより、化合物(2)(3.38g、収率95%、純度81%(HPLCメソッドB))を得た。
1H-NMR (300MHz, DMSO-D
6) δ: 10.33 (1.0H, s), 9.22 (1.1H, d, J = 1.7 Hz), 8.65 (0.8H, s), 8.43 (1.1H, dd, J = 8.6, 1.7 Hz), 7.98 (0.9H, d, J = 2.4 Hz), 7.87 (0.9H, d, J = 8.6 Hz), 7.71 (1.0H, dd, J = 9.0, 2.4 Hz), 7.47 (1.0H, ddd, J = 8.0, 8.0, 5.8 Hz), 7.34-7.30 (2.0H, m), 7.28 (1.0H, d, J = 9.0), 7.21-7.14 (0.9H, m), 5.27 (2.0H, s), 2.28 (2.9H, s).
元素分析:
計算値: C, 67.34; H, 3.84; N, 9.42; Cl, 7.95; F, 4.26
実測値: C, 67.24; H, 3.92; N, 9.39; Cl, 7.81; F, 4.26
【実施例2】
【0109】
化合物2の合成:
【0110】
【化33】
(工程1 化合物3の合成)
窒素雰囲気下、アリールヨード体(1)(50.0kg)、Pd
2(dba)
3(0.68kg、0.0075当量)、Xantphos(1.72kg、0.03当量)、CuCl(0.59kg、0.06当量)、後述の実施例4で得られた化合物(4)(1.5kg)、N,N−ジメチルグリシン(0.41kg、0.04当量)にテトラヒドロフラン(110L)、N−メチルモルホリン(40kg、4当量)、ジメチルスルホキシド(25L)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、25℃で撹拌し、容器内にプロピンガス(9.1kg、2.3当量)を約7時間かけて導入した後、さらに約5時間攪拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して20℃下でアセトニトリル(500L)を加えた後、5℃下でメタンスルホン酸(47.5kg、5当量)を加えた。1時間撹拌した後に濾過を行い、結晶を冷却したアセトニトリル(250L)で洗浄することにより、化合物(3)を得た。
1H-NMR (DMSO-D
6) δ: 11.62 (0.7H, brs), 9.33 (1.2H, s), 8.94 (1.1H, s), 8.63 (1.1H, d, J = 8.6 Hz), 7.96 (2.0H, d, J = 8.6 Hz), 7.90 (2.0H, d, J = 2.3 Hz), 7.63 (1.1H, dd, J = 8.9, 2.3 Hz), 7.48 (0.9H, ddd, J = 7.8, 7.8, 6.3 Hz), 7.36 (1.0H, d, J = 8.9 Hz), 7.34-7.30 (2.0H, m), 7.22-7.16 (0.8H, m), 5.31(2.0H, s), 2.32 (2.4H, s), 2.29 (3.0H, s)
粉末X線回折の結果(XRPDメソッドA)を、
図1および表4に示す。
【0111】
【表4】
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):5.6°±0.2°、9.8°±0.2°、17.9°±0.2°、24.4°±0.2°、26.4°±0.2°度にピークが認められた。
(工程2 化合物2の合成)
工程1で得られた化合物(3)にメタノール(475L)を加え、0℃でN−メチルモルホリン(11.0kg、1.1当量)を滴下した。約1時間撹拌後に濾過を行い、結晶を冷却したメタノールで洗浄することで化合物(2)(41.4kg、収率94%、純度93%(HPLCメソッドB))を得た。
【実施例3】
【0112】
化合物3の合成:
【0113】
【化34】
アリールヨード体(1)(27.5g)、Pd2(dba)3(374mg、0.0075当量)、Xantphos(943mg、0.03当量)、CuCl(323mg、0.06当量)、N,N−ジメチルグリシン(224mg、0.04当量)にテトラヒドロフラン(60.5mL)、N−メチルモルホリン(22.0g、4当量)、ジメチルスルホキシド(13.8mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下,25℃で撹拌し、容器内にプロピンガス(2.2当量)を約7時間かけて導入した後、さらに約1時間攪拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して20℃下でアセトニトリル(303mL)を加え、5℃下でメタンスルホン酸(26.1g、5当量)を加えた。1夜保管後、-5℃で1時間撹拌した後に濾過を行い、結晶を冷却したアセトニトリル(138mL)で洗浄することにより、化合物(3)(26.65g、収率90%、純度88%(HPLCメソッドB))を得た。
【実施例4】
【0114】
化合物4の合成:
【0115】
【化35】
N-メチルモルホリン(1.12kg)にテトラヒドロフラン(4.98kg)、ジメチルスルホキシド(7.40kg)を加え、10℃から20℃の間で57%ヨウ化水素酸(2.48kg、1.0当量)を滴下した。約15分攪拌した後、テトラヒドロフラン(9.96kg)加えた。約40分撹拌した後に濾過を行い、テトラヒドロフラン(4.48kg)で洗浄することにより、化合物4(3.00kg、収率88%)を得た。
1H-NMR (CD
3OD) δ: 3.92 (4H, brs), 3.48 (4H, brs), 2.94 (3H, s), 2.67 (6H, s)
元素分析:
計算値: C, 27.37; H, 5.91; N, 4.56; S, 10.44; I, 41.31
実測値: C, 26.83; H, 5.76; N, 4.76; S, 10.41; I, 40.76
【0116】
単結晶X線回折の結晶学的データを表5に示す。
【0117】
【表5】
(ここで、Vは単位格子体積、Zは単位格子内の化学単位数を意味する。)
また、非水素原子の原子座標を表6および水素原子の原子座標を表7に示す。
【0118】
【表6】
(ここで、Beqとは、等価等方性温度因子Beq=8/3π
2(U
11(aa*)
2+U
22(bb*)
2+U
33(cc*)
2+2U
12(aa*bb*)cosγ+2U
13(aa*cc*)cosβ+2U
23(bb*cc*)cosα)を意味する。)
【0119】
【表7】
(ここで、Bisoとは、等方性温度因子を意味する。)
【0120】
さらに、非対称単位中の構造を
図2に示す。
図2および表6、表7の原子座標より明らかな通り、単位格子がN−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシド(DMSO)が1:1:1の割合で構成されていることがわかる。
また、N−メチルモルホリンとヨウ化水素酸にプロトン供受があり、N−メチルモルホリンとヨウ化水素酸は塩を形成していることが確認された。
なお、表6及び表7における非水素原子及び水素原子の番号は、それぞれ
図2に記載された番号に対応している。
【0121】
粉末X線回折(XRPDメソッドB)の結果を、
図3および表8に示す。
【0122】
【表8】
粉末X線回折スペクトルにおいて、回折角度(2θ):12.6°±0.2°、16.9°±0.2°、17.5°±0.2°、26.3°±0.2°、28.9°±0.2°度にピークが認められた。
【0123】
DSC分析結果を
図4に示す。オンセット温度は125℃を観測した。
TG/DTA分析結果を
図7に示す。オンセット温度は115℃を観測した。TGでの重量減少は約27%であった。
【実施例5】
【0124】
化合物6の合成:
【0125】
【化36】
窒素雰囲気下、ヨードベンゼン(5)(2.04g)、Pd
2(dba)
3(69.8mg、0.0075当量)、Xantphos(174.0g、0.03当量)、CuCl(60.5mg、0.06当量)、実施例4で得られた化合物(4)(154.2mg)、N,N−ジメチルグリシン(40.0mg、0.04当量)にテトラヒドロフラン(2mL)、N−メチルモルホリン(4.06g、4当量)、ジメチルスルホキシド(1mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、約25℃で撹拌し、あらかじめプロピンガス(2.3当量)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液(約0.64mol/L)を約0.5時間かけて導入した後、さらに22時間攪拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して析出固体をろ過し、ろ液を濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(ヘキサン:酢酸エチル=80:20および95:5)で精製し、黄色油状物の6を1.13g、収率78%で得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.14 (2H, d, J = 6 Hz), 7.60 (1H, t, J = 6 Hz), 7.48 (2H, t, J = 6 Hz), 2.16 (3H, s)
13C-NMR (CDCl
3) δ: 178.22, 136.85, 133.91, 129.58, 128.48, 92.46, 4.32
【実施例6】
【0126】
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−((S)−モルホリン−2−イルメトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン・二塩酸塩(V’−1)の合成:
【0127】
【化37】
上記実施例2に従って化合物(II’’)を製造した。
(2)4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−((S)−モルホリン−2−イルメトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン・二塩酸塩の合成:
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−オキソ−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(II’’)(786mg)と(S)−2−アミノオキシメチル−モルホリン−4−カルボン酸 tert−ブチルエステル614mgの1,4−ジオキサン31ml懸濁液に、2mol/Lメタンスルホン酸水溶液2.21mlを加えて80℃で22時間撹拌した。2mol/Lメタンスルホン酸水溶液1.32mlを追加してさらに5.5時間撹拌した。反応終了後、反応液を氷−炭酸水素ナトリウム水溶液中に注ぎ、酢酸エチルで抽出した。水層を酢酸エチルで再抽出後、すべての有機層を合わせて水洗後、無水硫酸マグネシウム上で乾燥した。ろ液を濃縮後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=9:1で溶出)で精製することにより黄色油状物を得た。この油状物を酢酸エチル50mlに溶解させてろ過後、撹拌しながら4mol/L塩酸−酢酸エチル溶液0.95mlを加え、室温で1時間撹拌した。析出物をろ取後、酢酸エチル、ヘキサンの順で洗浄した。ろ取物をメタノール−酢酸エチルにより再結晶をすることにより4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−((S)−モルホリン−2−イルメトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン・二塩酸塩(V’−1)(839mg)を黄色結晶として得た。
1H-NMR(d6−DMSO,δ): 11.69(1H, bs), 9.49-9.37(2H, m), 9.05(1H, s), 8.88(1H, s), 8.38(1H, dd, J=1.5Hz, J=8.7Hz), 7.96(1H, d, J=8.7Hz), 7.89(1H, d, J=2.7Hz), 7.64(1H, dd, J=2.4Hz, J=9.0Hz), 7.52-7. 45(1H, m), 7.36-7.30(3H, m), 7.23-7.16(1H, m), 5.31(2H, s), 4.36-4.34 (1H, m), 4.25-4.22(1H, m), 4.04-3.98(1H, m), 3.84-3.77(1H, m), 3.04-2.85(3H, m), 2.28(3H, s).
【実施例7】
【0128】
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−エチルアミノエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(V’−2)の合成:
【0129】
【化38】
上記実施例2に従って、式(II’’)で示される化合物を製造した。
(2)4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−ヒドロキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−1)の合成:
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−オキソ−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(II’’)(10g)を1,4−ジオキサン300mlに溶解させ、1.5当量の2−(アセトキシ)エトキシアミンを加えた後、2mol/Lメタンスルホン酸水溶液28mlを加えて60℃で17時間攪拌した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に注ぎ、混合液を酢酸エチルで抽出した。有機層を水洗後、硫酸ナトリウム上で乾燥した。ろ液を濃縮した残渣を含水エタノール−水より再結晶後、ろ取、乾燥することにより4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−ヒドロキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−1)(7.6g)を無色固体として得た。
1H NMR(d6-DMSO,δ): 10.07(1H, s), 8.74(1H, s), 8.58(1H, s), 8.22(1H, d, J=8.8Hz), 7.96(1H, d, J=2.4Hz), 7.80(1H, d, J=8.8Hz), 7.69(1H, dd, J=2.4Hz, J=8.8Hz), 7.50-7.45(1H, m), 7.35-7.24(3H, m), 7.20-7.16(1H, m), 5.27(2H, s), 4.79(1H, t. J=5.6Hz), 4.29(2H, t. J=5.6Hz), 3.75(2H , dd, J=5.2Hz, J=10.4Hz), 2.26(3H, s).
【0130】
(3)4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−スルホニルオキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−2)の合成:
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−ヒドロキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−1)(7.6g)をテトラヒドロフラン150mlに溶かし、トリエチルアミン4.19mlと塩化メタンスルホニル2.33mlを加え3.5時間攪拌した。反応終了後に反応液を水に注ぎ、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えて、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウム上で乾燥し、ろ液を濃縮した。濃縮残渣に酢酸エチルを加え室温で静置すると結晶が析出したのでヘキサンで希釈後、結晶をろ取することにより4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−スルホニルオキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−2)(7.66g)を淡黄色結晶として得た。
1H NMR(d6-DMSO,δ): 10.07(1H, s), 8.77(1H, s), 8.60(1H, s), 8.24(1H, d, J=8.8Hz), 7.97(1H, d, J=2.4Hz), 7.81(1H, d, J=8.8Hz), 7.69(1H, dd, J=2.4Hz, J=8.8Hz), 7.51-7.45(1H, m), 7.35-7.27(3H, m), 7.21-7.17(1H, m), 5.27(2H, s), 4.58(2H, t. J=4.8Hz), 4.54(2H, t. J=4.8Hz), 3.24(3H , s), 2.27(3H, s).
【0131】
(4)4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−エチルアミノエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(V’−1)の合成:
4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−スルホニルオキシエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(VI−2)(100mg)をN,N−ジメチルホルムアミド3mlに溶解し、70%エチルアミン水溶液を160μl加え、60℃で14時間攪拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸マグネシウム上で乾燥し、ろ液の濃縮残渣をアミノカラムを用いたクロマトグラフィー(酢酸エチルで溶出)により精製することにより4−(3−クロロ−4−(3−フルオロベンジルオキシ)フェニルアミノ)−6−(1−(2−エチルアミノエトキシイミノ)−2−ブチン−1−イル)キナゾリン(V’−2)(53mg)を無色固体として得た。
1H NMR(d6-DMSO,δ): 10.08(1H, s), 8.74(1H, s), 8.59(1H, s), 8.21(1H, d, J=8.4Hz), 7.96(1H, s), 7.80(1H, d, J=8.8Hz), 7.69(1H, d, J=8.0Hz), 7.51-7.45(1H, m), 7.35-7.27(3H, m), 7.21-7.16(1H, m), 5.27(2H, s), 4.31(2H, t. J=5.6Hz), 2.89(2H, t, J=6.0Hz), 2.61(2H, q, J=7.2Hz), 2.26 (3H, s), 1.02(3H, t, J=7.6Hz).
【0132】
上記のアミノ化では市販品として入手可能であるアミンまたはJ. Syn. Org. Chem., Jpn., 2001, 59 : 779-789.、Tetrahedron Lett., 1995, 36 : 6373-6374.、Synlett, 1999 : 1301-1303.、Tetrahedron, 2002, 58 : 6267-6276.に記載の方法に従って合成できるアミンまたはその塩を使用できる。
【実施例8】
【0133】
【化39】
上記実施例6または7と同様にして、式(V’−3)で示される化合物〜式(V’−17)で示される化合物を合成した。
【0134】
【化40】
【0135】
【表9】
【0136】
【表10】
【0137】
【表11】
【実施例9】
【0138】
化合物8の合成
【化41】
窒素雰囲気下、4-ヨードアニソール(7)(2.36g)、Pd
2(dba)
3(69.9mg、0.0075当量)、Xantphos(173.0mg、0.03当量)、CuCl(61.2mg、0.06当量)、実施例4で得られた化合物(4)(152.0mg)、N,N−ジメチルグリシン(42.3mg、0.04当量)にテトラヒドロフラン(2.3mL)、N−メチルモルホリン(4.05g、4当量)、ジメチルスルホキシド(1.2mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、約25℃で撹拌し、あらかじめプロピンガス(2.3当量)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液(約0.50mol/L)を2時間かけて導入した後、同温下2時間攪拌した。その後、約40℃に昇温し、さらに5時間撹拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して析出固体をろ過し、ろ液を濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=80:20および90:10)で精製し、白色固体の8を1.22g、単離収率70%で得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.11 (2H, d, J = 8.9 Hz), 6.94 (2H, d, J = 8.9 Hz), 3.88 (3H, s), 2.14 (3H, s)
13C-NMR (CDCl
3) δ: 176.91, 164.33, 131.94, 130.28, 113.73, 91.49, 79.00, 55.55, 4.27
【実施例10】
【0139】
化合物10の合成
【化42】
窒素雰囲気下、4-ヨードトリフルオロメチルベンゼン(9)(2.73g)、Pd
2(dba)
3(71.7mg、0.0075当量)、Xantphos(175.0mg、0.03当量)、CuCl(59.5mg、0.06当量)、実施例4で得られた化合物(4)(152.0mg)、N,N−ジメチルグリシン(43.1mg、0.04当量)にテトラヒドロフラン(2.7mL)、N−メチルモルホリン(4.05g、4当量)、ジメチルスルホキシド(1.4mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、約25℃で撹拌し、あらかじめプロピンガス(2.3当量)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液(約0.50mol/L)を2時間かけて導入した後、同温下2時間攪拌した。その後、約40℃に昇温し、さらに5時間撹拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して析出固体をろ過し、ろ液を濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=80:20および90:10)で精製し、褐色固体の10を1.30g、単離収率61%で得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 8.25 (2H, d, J = 8.1 Hz), 7.75 (2H, d, J = 8.1 Hz), 2.20 (3H, s)
13C-NMR (CDCl
3) δ: 176.85, 139.32, 135.54, 135.22, 134.89, 134.57, 129.80, 127.62, 125.62, 125.58, 125.54, 125.51, 124.91, 122.20, 119.48, 93.95, 78.76, 4.35
【実施例11】
【0140】
化合物12の合成
【化43】
窒素雰囲気下、2-ヨードチオフェン(11)(2.10g)、Pd
2(dba)
3(138.0mg、0.015当量)、Xantphos(347.0mg、0.06当量)、CuCl(120.0mg、0.12当量)、実施例4で得られた化合物(4)(155.0mg)、N,N−ジメチルグリシン(83.5mg、0.08当量)にテトラヒドロフラン(2.1mL)、N−メチルモルホリン(4.05g、4当量)、ジメチルスルホキシド(1.1mL)を順次加えた。一酸化炭素雰囲気下、約25℃で撹拌し、あらかじめプロピンガス(2.3当量)をテトラヒドロフランに溶解させた溶液(約0.98mol/L)を1時間かけて導入した後、同温下約3時間攪拌した。その後、約40℃に昇温し、さらに約3時間半撹拌した。反応終了後、容器内を窒素置換して析出固体をろ過し、ろ液を濃縮した。残さをシリカゲルクロマトグラフィー(n−ヘキサン:酢酸エチル=90:10)で精製し、黄色油状物の12を1.31g、単離収率87%で得た。
1H-NMR (CDCl
3) δ: 7.90 (1H, dd, J = 3.8, 1.2 Hz), 7.68 (1H, dd, J = 4.9, 1.2 Hz), 7.14 (1H, dd, 4.9, 1.2 Hz). 2.13 (3H, s)
13C-NMR (CDCl
3) δ: 170.02, 144.93, 135.01, 134.88, 128.18, 90.98, 78.60, 4.22
【0141】
試験例1 薗頭カルボニル化反応における発熱量
【0142】
【化44】
上記スキームに記載した製造方法において、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶非存在下での薗頭カルボニル化反応の反応熱を
図5に示す。
上記スキームに記載した製造方法において、N−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体の結晶存在下での薗頭カルボニル化反応の反応熱を
図6に示す。
図5より、当該結晶非存在下においては、反応系中にN−メチルモルホリン、ヨウ化水素酸およびジメチルスルホキシドを含む複合体が副生成物として析出するとともに、急激に反応熱が増加していることがわかる。また、総発熱量に対する割合(%)は、プロピンの添加に追従しないことがわかる。そのため、大量スケールの製造においては、発熱を制御できず、大変危険である。
それに対し、反応開始前に少量の当該結晶を加えた反応系(当該結晶存在下)においては、
図6より明らかな通り、急激に反応熱が増加する現象は見られない。また、総発熱量に対する割合(%)は、プロピンの添加にほぼ追従し、大量スケールの製造においても、発熱を制御できるため、工業的な製造を行うことができる。
従って、本発明の薗頭カルボニル化反応は、当該結晶存在下において、より安全に目的物を得ることができ、非常に工業的に優れた製造方法であると言える。
【0143】
試験例2 式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の溶解度試験
式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶および式(II’’)で示される化合物のフリー体の結晶をテトラヒドロフランおよびアセトニトリルに懸濁させ、20℃〜25℃で2時間以上撹拌した後に、上澄み濃度を測定した(HPLCメソッドA)。上澄みのHPLCの結果を表12に示す。
【0144】
【表12】
表12に示す通り、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶の各溶媒に対する溶解度は、当該化合物のフリー体の結晶の溶解度より低いことが明らかとなった。ここで、溶解度が低い結晶は、溶媒による結晶の洗浄等で溶液中に溶出する量が少ないことを意味する。
さらに、上記実施例2における、工程1(メタンスルホン酸塩の結晶を得る工程)と工程2(フリー体の結晶を得る工程)の、0℃での溶液中に溶出する各結晶の濃度をHPLCメソッドAを用いて測定して比較した(表12)。式(II’’)で示される化合物のフリー体の結晶は、15.7%が溶液中に溶出してしまうが、当該化合物のメタンスルホン酸塩の結晶は、3.1%しか溶出しないことが明らかとなった。
従って、式(II’’)で示される化合物のメタンスルホン酸塩の結晶は、溶媒に対する溶解度が低いため、溶液中に溶出する量が少なく、製造時におけるロスが小さいことから、工業的に優れた結晶であると言える。
【0145】
試験例3 パラジウムブラック析出抑制試験
以下のスキームに示される薗頭カルボニル化反応における、目的物の生成率、および、パラジウムブラックの析出の結果を表13に示す。
【0146】
【化45】
【表13】
(*HPLCの面積百分率;
**目視確認により評価 「−」析出なし、「+」析出を確認できる程度、「++」フラスコ壁全体に薄く析出、「+++」フラスコ壁全体に厚く析出;
反応22時間後が「++」である添加剤は、実用の範囲内であると考える。)
上記表13より明らかな通り、N,N−ジメチルグリシン、ピコリン酸、L−プロリン、N,N−ジエチル−2−ヒドロキシベンズアミド、エチレングリコール、2−シクロヘキサノンカルボン酸エチル、2−アセチルシクロヘキサノン、2−ヒドロキシ安息香酸、フラン−2−カルボン酸、マロン酸ジエチル、N,N−ジメチルエチレンジアミン、酢酸、2−チオフェンカルボン酸銅(I)には、パラジウムブラック析出を抑制する効果があることが明らかとなった。