(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
少なくとも一つのボトムプレート(2)と、前記ボトムプレート(2)と当接して協働するように構成された胴部(4)と、前記少なくとも一つのボトムプレート(2)を前記胴部(4)に固定する手段(5)を有する時計アセンブリ(1)であって、前記固定手段(5)は少なくとも一つのネジ(6)を包含し、このネジ(6)は、前記ボトムプレート(2)内に包含される少なくとも一つの軸(D0)ハウジング(7)とネジ込み位置で協働し、フランジ(10)により前記ボトムプレート(2)に対して前記胴部(4)を間接的に固定化するように構成されており、前記各フランジ(10)は、前記各ハウジング(7)近傍の前記ボトムプレート(2)内に包含される第1の円錐形又は球状肩部(8)と、前記各ハウジング(7)近傍の前記胴部(4)内に包含される第2の円錐形又は球状肩部(9)の両方に当接することにより前記ネジ(6)からの締付力を伝達するように構成されており、
前記ボトムプレート(2)と前記胴部(4)が互いに取付られる取付位置において、かつ、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれたときに、前記第1の肩部(8)又は前記第2の肩部(9)が、多くても2つの面又は点で前記フランジ(10)と協働し、
前記フランジ(10)は前記ネジ(6)と無関係であり、上部座面(13)を有し、前記上部座面(13)は、前記取付位置において、かつ、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれる位置において、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対する周回接触面(16)上で前記ネジ(6)内に包含される底部座面(61)と協働するように構成されており、
前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)における接平面に対する前記ボトムプレート(2)の第1の肩部(8)地点における全ての法線は、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に挿入される前記ハウジング(7)側の前記ハウジング(7)外側に位置される地点において、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)と平行で、かつこの軸から少し離れた軸(D2)を通過する
ことを特徴とする時計アセンブリ(1)。
前記胴部(4)は停止手段(42)を有し、前記停止手段(42)は、前記取付位置において、かつ、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれる位置において、前記胴部(4)と前記ボトムプレート(2)との間のスペースを制限するために前記ボトムプレート(2)内に包含される補完的停止手段(22)と協働するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の時計アセンブリ(1)。
前記取付位置において及びネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれる位置において、前記胴部(4)の前記第2の肩部(9)の前記軸(D4)は前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)の前記軸(D2)から少し離れており、前記軸(D4)と前記軸(D2)は前記ハウジング(7)の前記軸(D0)の何れかの側において平行であることを特徴とする請求項4記載の時計アセンブリ(1)。
前記胴部(4)に対して前記ボトムプレート(2)の角度的に割出された位置を確定するために、前記胴部(4)は、前記胴部(4)が前記取付位置において同軸である前記ボトムプレート(2)の相補的角度割出し手段(21)に対して角度方向に角度割出し位置手段(41)を有し、
前記割出された位置において、前記胴部(4)の前記第2の肩部(9)に対する或る点における接平面に対する前記胴部(4)の前記第2の肩部(9)の或る点における全ての法線は、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に挿入される前記ハウジング(7)の側の前記ハウジング(7)の外側であって、前記ボトムプレート(2)と前記胴部(4)の取付位置に配置される点において前記軸(D4)を通過することを特徴とする請求項3記載の時計アセンブリ(1)。
前記胴部(4)に対して前記ボトムプレート(2)の角度的に割出された位置を確定するために、前記胴部(4)は、前記胴部(4)が前記取付位置において同軸である前記ボトムプレート(2)の相補的角度割出し手段(21)に対して角度方向に角度割出し位置手段(41)を有し、
前記割出された位置において、前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)に対する或る点における接平面に対する前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)の或る点における全ての法線は、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に挿入される前記ハウジング(7)の側の前記ハウジング(7)の外側であって、前記ボトムプレート(2)と前記胴部(4)の取付位置に配置される点において前記軸(D2)を通過することを特徴とする請求項4記載の時計アセンブリ(1)。
前記フランジ(10)は座面(19)を有しており、前記座面(19)は、前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)及び前記胴部(4)の前記第2の肩部(9)と協働するように構成されており、前記座面(19)は、前記上部座面(13)に対して垂直なフランジ軸(D10)の周囲の周回面であり、前記取付位置及び前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にネジ込まれる位置において前記ハウジング(7)の前記軸(D0)と一致するように構成されていることを特徴とする請求項1記載の時計アセンブリ(1)。
前記座面(19)に接続され、かつ前記上部座面(13)と反対側において、前記フランジ(10)は、取付位置において、かつ、前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内にねじ込まれている間、前記ネジ(6)の前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対する前記フランジ(10)の前記フランジ軸(D10)の角移動度を制限できるように構成された傾斜面(19B)を有することを特徴とする請求項1〜請求項9の何れかに記載の時計アセンブリ(1)。
前記傾斜面(19B)は前記フランジ軸(D10)に対する垂直面に対してフランジのテーパ角(α10)の円錐形であり、前記ボトムプレート(2)の前記第1の肩部(8)は、前記軸(D2)の垂直面に対するテーパ角(α2)の円錐形であり、前記胴部(4)の前記第2の肩部(9)は、前記軸(D4)の垂直面に対するテーパ角(α4)の円錐形であり、前記フランジテーパ角(α10)は、前記テーパ角(α2)及び前記テーパ角(α4)よりも2゜未満だけ小さいことを特徴とする請求項10に記載の時計アセンブリ(1)。
前記フランジテーパ角(α10)の値は52゜であり、前記円錐角(α2)及び前記円錐角(α4)はそれぞれ53゜であることを特徴とする請求項1〜請求項11の何れかに記載の時計アセンブリ(1)。
前記フランジ(10)の前記接触面(19)と前記第1の肩部(8)との間の接触は、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対して中心角(θ2)で分離された二点(P2A,P2B)で起こり、
前記フランジ(10)の前記座面(19)と前記第2の肩部(9)との間の接触は、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対して中心角(θ4)で分離された二点(P4A,P4B)で起こり、
前記中心角(θ2,θ4)のそれぞれの値は53゜〜118゜の範囲内に含まれることを特徴とする請求項9記載の時計アセンブリ(1)。
前記フランジ(10)の前記接触面(19)は、十字形又は三角形の星形突起状支持レリーフ(17)により形成されており、前記フランジ(10)の前記接触面(19)と前記第1の肩部(8)との間の接触は一箇所(P2)又は二箇所(P2A,P2B)で起こり、
前記フランジ(10)の前記座面(19)と前記第2の肩部(9)との間の接触は一箇所(P4)又は二箇所(P4A,P4B)で起こり、
前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれている時に前記フランジ(10)と前記第1の肩部(8)及び前記第2の肩部(9)との間の接触が四箇所で起こる場合、前記四箇所により形成される四辺形の対角線(DA,DB)は前記ハウジング(10)の前記軸(D0)の近傍を横切り、
前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内の所定の位置に完全にねじ込まれている時に前記フランジ(10)と前記第1の肩部(8)及び前記第2の肩部(9)との間の接触が三箇所で起こる場合、前記三箇所により形成される三角形の重心は前記ハウジング(7)の前記軸(D0)の近傍に位置することを特徴とする請求項9記載の時計アセンブリ(1)。
前記ボトムプレート(2)及び前記胴部(4)が互いに取り付けられる前記取付位置において及び前記ネジ(6)が前記ハウジング(7)内に完全にねじ込まれる位置において、前記ボトムプレート(2)及び前記胴部(4)はそれぞれ少なくとも二点で前記フランジ(10)と協働することを特徴とする請求項1〜請求項16の何れかに記載の時計アセンブリ(1)。
前記第1の肩部(8)は、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対して平行で、しかも、0.10mm〜0.20mmの距離だけ前記ハウジング(7)の前記軸(D0)から離れている軸(D2)の周囲の周回面であることを特徴とする請求項1〜請求項17の何れかに記載の時計アセンブリ(1)。
前記第2の肩部(9)は、前記ハウジング(7)の前記軸(D0)に対して平行で、しかも、前記取付位置において、0.10mm〜0.20mmの距離だけ前記ハウジング(7)の前記軸(D0)から離れている軸(D4)の周囲の周回面であることを特徴とする請求項1〜請求項18の何れかに記載の時計アセンブリ(1)。
請求項1〜請求項20の何れかに記載の時計アセンブリ(1)を少なくとも一つ含有し、前記ボトムプレート(2)が少なくとも一つの宝石構成部品のための支持台を形成し、前記胴部(4)が前記宝石構成部品を少なくとも部分的に包含するように構成されていることを特徴とする時計(100)又は宝飾時計。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】本発明の時計アセンブリの好ましい実施態様の部分概要断面図であり、時計アセンブリのボトムプレートと胴部上にハウジングを保持及び固定するためのネジの軸が通過している状態を示し、前記フランジは、前記プレートに包含される円錐形肩部及び前記胴部に包含される円錐形肩部に当接する円形エッジに変形された周回座面を有し、前記アセンブリは取付位置及びネジがそのハウジング内にねじ込まれた状態で図示されている。
【
図1A】
図1に示された実施態様の一つの変型例を示す部分概要断面図であり、一層簡単な構造の胴部の断面構造を示す。
【
図1B】
図1に示された実施態様の別の変型例を示す部分概要断面図であり、組立を一層容易にするため、ボトムプレートと胴部との間に遊びが設けられている。
【
図2】
図1に示された徒刑アセンブリの中間状態を示す部分概要断面図であり、ネジが締め付けられている間、ネジはフランジに当接し、フランジを円錐形肩部に押し付けている状態を示す。
【
図2A】
図2に示された中間状態を経た後の状態を詳細に示す部分概要断面図である。
【
図3】
図1に示された実施態様の変型例を示す部分概要断面図であり、フランジの座面は概ね円環面状である。
【
図4】
図1に示された実施態様の部分拡大概要断面図であり、フランジと円錐形肩部との当接状態を示す。
【
図5】円錐形肩部にフランジが当接している状態を示す部分概要平面図である。
【
図6】
図1に示されたフランジと同じフランジがプレート側の傾斜面及び胴部側の円錐形面に据えられている状態を示す本発明の一変型例の部分概要平面図である。
【
図7】
図6に示されたA-A線に沿った、ネジの軸が通過する状態を示す部分概要断面図である。
【
図8】
図1に示されたフランジと同じフランジがプレート側の円錐形面及び胴部側の傾斜面に据えられている状態を示す本発明の一変型例の部分概要平面図である。
【
図9】
図8に示されたB-B線に沿った、ネジの軸が通過する状態を示す部分概要断面図である。
【
図10】本発明によるアセンブリの部分概要平面図であり、プレートは3組の傾斜面により胴部の中心位置に配置された状態で保持されており、何れの場合も、一つの傾斜面はプレート上にあり、一つの傾斜面は胴部上にあり、各傾斜面において、
図1のフランジと同様なフランジが当接により掛けられている。
【
図11】
図10に示されたC-C線に沿った、1本のネジの軸が通過する状態を示す部分概要断面図である。
【
図12】本発明の或る変型例の部分概要平面図であり、
図1のフランジと同じフランジがプレート側の円錐形肩部に、及び胴部側のエッジを形成する2個の肩部に据えられている。
【
図13】
図12のフランジの接点の分布状態を示す一覧図である。
【
図14】プレート及び胴部が円環面である肩部を有するか又は球面状部分を有する、
図1と同様な態様の変形例を示す部分概要断面図である。
【
図15】プレートが円錐形肩部を有し、胴部がフランジの底面を当接により受け止める平面を有する、
図1と同様な態様の変形例を示す部分概要断面図である。
【
図17】本発明の或る変型例の部分概要平面図であり、この変型例では、プレート及び胴部はそれぞれ簡単な直尺状切欠き部分を有し、そのカットエッジは、カットエッジが特定の箇所で前記切欠き部分のカットエッジと当接する支持レリーフを包含する特定形状のフランジと協働する。
【
図18】
図17の底面の部分概要底面図であり、カットエッジと、プレートと胴部との間のギャップに対して前記カットエッジを配向させるための割出しフィンガーとを有する前記支持レリーフを包含する
【
図18A】三角形状のレリーフ輪郭を有する前記フランジの変型例を示す部分概要底面図である。
【
図19】本発明によるアセンブリの部分概要平面図であり、プレートと胴部との間の停止抑止間隔が、センタリングフランジが据えられる円錐形肩部を帯有するエッジと反対側に、前記プレート及び胴部のエッジにより形成されている。
【
図20】本発明によるアセンブリからなる時計のブロック図であり、時計ムーブメントと、2個の円錐形肩部とそれぞれ協働する2個のフランジとを帯有するプレートが図示されている。
【
図21】互いに組み合わせることができる様々な変型例のうちの一例を示す部分概要平面図である。
【
図22B】
図22Aに示されたフランジを有するアセンブリの部分概要平面図である。
【
図23】本発明のアセンブリの一例の部分概要平面図である。
【
図26A】本発明のアセンブリの別の例の部分概要平面図である。
【
図26D】
図26Aに示されたアセンブリで使用されるスプリットリングの一例の斜視図である。
【
図27】本発明のアセンブリの別の例の部分概要断面図である。
【
図28】本発明のアセンブリの他の例の部分概要断面図である。
【
図31】六時の方向に配置された、本発明の単一のセンタリング及び固定配列を有する好ましい実施態様を示す概要平面図である。
【
図33】
図32に示された胴部においてG-G線に沿った雌型半円錐の細部を示す部分断面図である。
【
図35】
図34における一点鎖線で囲まれたD部の部分拡大平面図であり、雌型半円錐を有する配列が詳細に図示されている。
【
図36】
図32及び
図35におけるE-E線に沿った部分概要断面図であり、フランジネジを収容するネジ山に加えてハウジングが図示されている。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態について、添付図面を参照しながら詳述する。
【0030】
本発明は時計及び宝飾時計野に関連し、更に詳細には、本発明は使用者により着用される時計、腕時計、懐中時計又はペンダント時計の分野に関連する。
【0031】
本発明は、胴部に対するプレートのセンタリングを保証し、センタリングが長期間に亘り、使用中も、特に衝撃を受けた場合も確実に持続する信頼できる解決方法を提供する。プレート内のハウジングと協働するネジを用いる固定手段により胴部内に組み込まれた時計プレートへの特に具体的な用途に関して本発明を説明する。本発明は本明細書に説明又は記載された実施態様に限定されることなく、良好に配置され、かつ、互いに関連性を有するようにしっかりと保持されるべき2個の構成部品の全ての組合せにも適用できる。本明細書において「胴部」と呼ばれる被覆部材が固定手段と協働するハウジングを構成するように本発明を改変することは当業者に容易である。同様に、本発明を2個の構造部品からなる宝飾時計に適用することも容易である。なぜなら、本発明は特に小型時計について考案され、更に、時計が耐えなければならない、特に加速度のような高い応力に抵抗するように設計されているからである。本発明の時計アセンブリの安全性及び耐久性は、宝石類を含む部材のアセンブリに対する高い安全性を提供する。
【0032】
従って、本発明は時計アセンブリ1に関する。このアセンブリ1は少なくとも1個のプレート2、プレート2と当接して協働するように構成された胴部4及び少なくとも1個のプレート2を胴部4に固定するための手段を包含する。
【0033】
本明細書における「胴部(middle part)」という用語は、特にケーシングリング等のような態様で指定される構成分品のような限定的な意味に解釈されるべきではない。
【0034】
この固定手段5は少なくとも1個のネジ6を包含する。このネジ6はねじ込まれた位置で、フランジ10を介してプレート2に対して胴部4を間接的に不動化させるために、プレート2内に包含される軸D0の少なくとも1個のハウジング7と協働するように構成されている。前記各フランジ10は、各ハウジング近傍のプレート2内に包含される第1の肩部8及び各ハウジング7近傍の胴部4内に包含される第2の肩部9の両方に当接することによりネジ6の締付力を伝達するように構成されている。
【0035】
好ましくは、第1の肩部8は円錐形又は球面形であり、第2の肩部9は円錐形又は球面形であり、これら円錐又は球面セクターの周回軸は互いに接近しており、平行であり、軸D0と概ね平行又は完全に平行である。
【0036】
本発明によれば、第1の肩部8及び/又は第2の肩部9は、プレート2及び胴部4が互いに取り付けられる前記取付位置及びネジ6がハウジング内に完全にねじ込まれる位置において、少なくとも1ヶ所及び多くても2面又は2箇所でフランジ10と協働する。
【0037】
本明細書における「面」という用語は、表面積、線又は点からなる接続接触面を意味する。
【0038】
特定的実施態様では、プレート2及び胴部4はフランジ10と点接触しているだけである。好ましくは、プレート2及び胴部4が互いに取り付けられる前記取付位置及びネジ6がハウジング内に完全にねじ込まれる位置において、プレート2と胴部4は互いに少なくとも2点で互いに協働する。
【0039】
第1の肩部8、第2の肩部9及び前記2個の肩部と協働するネジ6の幾何図形的配列(ジオメトリー)は、ネジ6が完全にねじ込まれた取付位置においてハウジング7の軸D0に対してフランジ10が厳密に垂直であるようにリサーチされた。
【0041】
図1〜
図5に示されるような好ましい実施態様では、第1の肩部8は少なくとも1点で、また多くても2点でフランジ10と協働し、第2の肩部9は少なくとも1点で、また多くても2点でフランジ10と協働する。
【0042】
図1〜5、
図12〜14及び
図17は、第1の肩部8が2点でフランジ10と協働し、また第2の肩部9が2点で、すなわち合計4点でフランジ10と協働する好ましい実施態様を示す。
【0043】
図6〜9は別の実施態様を示す。この実施態様では、保持は一方の側では1点でのみ行われ、他方の側では2点で行われる。即ち、合計3点で保持される。この3点保持の実施態様は、角度割出し(angular indexing)を維持する手段と組み合わせることが好ましい。又は、固定エリアは例えば、時計上の前記エリアの正確な分布により角度位置が確保されるような方法で、3角形状に時計アセンブリ周囲に分布される。
【0044】
図10及び
図11は更に別の実施態様を示す。この実施態様では、第1の肩部8は1点でフランジ10と協働し、第2の肩部9は1点でフランジ10と協働する。即ち、合計2点で協働する。3点で協働する実施態様と同様に、この実施態様では特別な割出し手段又は、ここに図示されるように、三角形により行われる位置決め及びセンタリングを確保するために固定手段5の外周反復が必要である。
【0045】
図15及び
図16に示される実施態様では、プレートは2点でのみ当接し、一方、胴部の当接は平坦な部分で通常の態様で生じる。この実施態様では特別な割出し手段又は、三角形により行われる位置決め及びセンタリングを確保するために固定手段5の外周反復が必要である。
【0046】
好ましい実施態様では、フランジ10は第1の肩部8及び第2の肩部9と2点で2回、即ち合計4点で協働する。胴部に対するプレートの回転自由度はこれら4点から控除されなければならない。これらのシステムはハイパースタティックではなく、それ自体で完全なものである。この態様で装着された単一の集成装置は正確なセンタリング及び使用中の優れた耐久性を確保するのに十分である。傾斜面へのフランジ10の当接はスリップ(滑り)を阻止し、耐衝撃性を確実なものにする。
【0047】
ネジ6の使用は固定手段5の経済的で信頼できる実施態様を構成する。センタリング及び固定操作は、ネジ6が適所にねじ込まれている場合にのみ行われる。ハウジング7へのネジ6のねじ込みは、第1の肩部8及び第2の肩部9に対するフランジ10の自動センタリングを保証する。この場合、フランジ10は、ネジが締め付けられたときに互い違いに移動する傾向がある。勿論、その他の手段もフランジ10をハウジング7に向かって押し付け、かつ、圧縮力又は牽引力を介してフランジ10を真っ直ぐにする軸力を発揮できる。例えば、フランジ10及びハウジング7を通してリベットを配置するようなアセンブリの不可逆的手段は安価な製品用の効果的な代替手段となり得る。従って、ネジ6の使用は好ましい実施態様であるが、この実施態様のみに限定されない。下記の記載は説明を分かりやすくするために、ムーブメントの駆動においてフランジ10に対して軸力を伝達するベクトルとしてネジを使用することに限定されている。
【0048】
好ましくは、本発明によれば、フランジ10はネジ6から独立しており、上部座面13を有する。この上部座面13は、取付位置及びネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれた位置において、ネジ6内に包含される底部座面61と協働するように構成されている。フランジ10の上部座面13とネジ6の底部座面61との間の接触は、接触面16(好ましくは、ハウジング7の軸D0に対する周回面である)において起こるか、又は、前記周回面上に分布される点又は面で起こる。
【0049】
自動センタリングシステムは、フランジ10の上部座面13が好ましくはプレート2のネジ山に対応するハウジング7の軸D0に対して垂直となる位置をフランジ10が有することを可能にする。これは、肩部8及び9により形成される横面のうちの一方の横面にだけ差動当接する場合に発揮される全ての摂動トルクを抑制する。
【0050】
自動センタリング機能を達するために、
図2及び
図2Aに示されるように、ネジ6のヘッドの底部座面61がフランジ10の上部座面13上に載っているときの軸D0に対する半径RVは、肩部8及び肩部9の可能な反応力の包絡面により画成される最大多角形Pの軸D0に対する最大半径RPよりも大きくなければならない。この最大多角形は、前記肩部の設計により肩部8及び肩部9に対するフランジ10について設定される僅かなアンギュラークリアランス(逃角)から生じる。このクリアランスはフランジ10と肩部8及び肩部9との間の摩擦材料トルクに応じて変化する。図示された実施態様において、また、本明細書における非限定的実施例により引用される数値に対応して、摩擦係数は約k=0.15程度である。
【0051】
図8は、極めてシンプルな輪郭を有する胴部4を含む本発明の或る実施態様を示す。
【0052】
図1,2,3,7及び9に示される実施態様において、胴部4は停止手段42を有する。この停止手段42は、取付位置及びネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれる位置において胴部4とプレート2との間の間隔を制限するために、プレート2内に包含される相補的停止手段22と協働するように構成されている。停止手段42及び相補的停止手段22は、座面、溝及び肩等により形成することができる。
図1Bは別の実施態様を示す。この実施態様では、アセンブリを一層簡単に製造するために、停止手段42及び相補的停止手段22においてプレート2及び胴部4との間に“遊び(play)”が形成されている。相補的停止手段22は嵌合により配設されることが好ましい。
【0053】
図19は、プレート2と胴部4との間の停止防止分離がセンタリングフランジ10が載るエッジ支持円錐肩部と正反対のエッジにより形成されているアセンブリを示し、また、この機能を満たすために、プレートと胴部の正反対の端部の使用を例証している。
【0054】
フランジ10に駆動力を印加すると、プレートの第1の肩部8及び胴部の第2の肩部9がバラバラに動くことにより、プレートの第1の肩部8及び胴部の第2の肩部9は分離しがちになる。本発明はこれら肩部に特別な幾何図形的配列(ジオメトリー)を施す。本発明による肩部の特別な幾何図形的配列は、フランジ10を真っ直ぐにする。すなわち、その上面13をネジ6の挿入方向(ここではハウジング7の軸D0方向)に対して垂直にする。ネジ6の底面61はこの上面13に応力を加える。この応力は、ネジが締め付けられたときに均衡させなければならないトルクである。フランジ10と肩部との接点を分離された接点に限定することにより、フランジ10により加えられた応力に対する肩部8及び9の反応は、関連する各当接点における肩部に対する接平面に対して垂直である。
【0055】
図示されているように、ネジ6に対して遊動するフランジ10の取付により、フランジ10を自動的に中心位置に配置させることができる。また、ネジ6が締め付けられとき、その上面13を軸D0に対して垂直に復帰させることができる。
【0056】
従って、これらの肩部を形成するために、プレート2の第1の肩部8の或る点における接平面に対するプレート2の第1の肩部8の当該点における全ての法線N2が、ネジ66がハウジング7内に挿入されるハウジング7側のハウジング7の外側に位置される点におけるハウジング7の軸D0と平行で、かつ、この軸D0から少し離れた軸D2を通過することが好ましい。
【0057】
特に
図1〜3及び
図7に示される好ましい実施態様において、フランジ10の半径の中心がハウジング7を形成するネジ山の中心と異なる場合、ハウジング7の軸D0と軸D2との間の距離はゼロではない。この事実は、
図5に詳細に示されているように、2個の接点にまで減少された接触がフランジ10と第1の肩部8との間で得られることを意味する。この偏心距離は0.10mm〜0.20mmの範囲内であることが好ましい。
【0058】
プレート2の第1の肩部8は軸D2の回りの周回面であることが好ましい。
【0059】
同様に、胴部4の第2の肩部9は、取付位置におけるハウジング7の軸D0と平行な軸D4の周囲の周回面である。胴部4の第2の肩部9における或る点における接平面に対する前記肩部のこの点における全ての法線N4は、プレート2と胴部4の取付位置における、ネジ6がハウジング7内に挿入されるハウジング7側であってハウジング7の外側に位置する点で前記軸D4を通過する。
【0060】
従って、特に
図1及び
図7に示されるように、取付位置において、及びネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれた位置において、胴部4の第2の肩部9の軸D4はプレート2の第1の肩部8の軸D2から少し離れており、軸D4と軸D2は互いに平行であり、また、ハウジング7の軸D0の何れかの側に位置する。
【0061】
フランジ10と2つの肩部8及び9との間の接点が4個未満又は逆に4個超の時の実施態様において、胴部4は、胴部4が取付位置において同軸であるプレート22の相補的角度割出し手段21に対して角度方向の位置に角度割出し手段41を有する。この角度割出しは、胴部4に対するプレート22の角度的に割出された位置(indexed position)を確定するために行われる。
【0062】
この割出された位置において、かつ、第2の肩部9が傾斜面で或る場合、胴部4の第2の肩部9の或る点における接平面に対する胴部4の第2の肩部9の前記点における全ての法線は、プレート2と胴部4の取付位置における、ネジ6がハウジング7内に挿入されるハウジング7側であってハウジング7の外側に位置する点で軸D4を通過する。
【0063】
同様に、この割出された位置において、かつ、第1の肩部8が傾斜面で或る場合、プレート2の第1の肩部8の或る点における接平面に対するプレート2の第1の肩部8の当該点における全ての法線は、プレート2と胴部4の取付位置における、ネジ6がハウジング7内に挿入されるハウジング7側であってハウジング7の外側に位置する点で軸D2を通過する。
【0064】
図1、
図2、
図4及び
図5に示される好ましい実施態様において、位置割出し(position indexing)は、各々円錐面を有し、好ましくは同一の円錐である肩部8及び肩部9から由来する。
【0065】
好ましくは、フランジ10は座面19を有しており、前記座面19は、プレート2の第1の肩部8及び胴部4の第2の肩部9と協働するように構成されている。この座面19は、上部座面13に対して垂直であり、かつ、取付位置及びネジ66がハウジング7内に完全にねじ込まれる位置において、ハウジング7の軸D0と一致するように構成されているフランジ軸D10の周囲の周回面である。
【0066】
好都合なことに、フランジ10の分離された接点に優先権を与えるために、フランジ10は円錐形フランジであり、座面19はエッジに変えられている。
図1、
図2、
図4及び
図5に示される実施態様では、このエッジ19は、フランジ10の位置に拘わらず常に同一であり、フランジ軸D10の周囲を円運動で回転する。
【0067】
図3の形状もエッジ接触に対応する。しかし、この実施態様は、肩部8及び肩部9に対するフランジの位置に応じて同じではない。面19は円環状であるか又は球面の一部分であり、肩部8及び9は円錐面である。
【0068】
好都合なことに、フランジ10が過度に運動することを防止するために、フランジ10はテーパ面19Bを有する。このテーパ面19Bは座面19に接続され、かつ、上部座面13と反対側に存在する。テーパ面19Bは、取付位置において、かつ、ネジ6がハウジング7内にねじ込まれているときに、フランジ10のフランジ軸D10の軸D0に対する角移動度を制限することができるうように構成されている。
【0069】
好ましくは、このテーパ面19Bはフランジ軸D10に対して垂直な平面に対してフランジのテーパ角α10の円錐形である。プレート2の第1の肩部8は軸D2に対して垂直な平面に対してテーパ角α2の円錐形である。胴部4の第2の肩部9は軸D4に対して垂直な平面に対してテーパ角α4の円錐形である。フランジテーパ角α10は、テーパ角α2及びテーパ角α4よりも、2゜未満だけ、好ましくは約1゜だけ小さい。これら二つの角α2及びα4は同一の値を有するように選択することが好ましい。
【0070】
好ましい実施態様では、フランジテーパ角α10の値は52゜であり、テーパ角α2及びテーパ角α4の値はそれぞれ53゜である。これらの値は角度Yの値を決定する。この角度Yの値は、多角形Pの最大半径RPをフランジ10におけるネジ6の当接半径RVよりも小さい値に維持し、その結果、自動センタリング状態が常に満たされることを保証する。
【0071】
好ましい実施態様では、プレート2の第1の肩部8は軸D2に対して垂直な面に対して角度α2の円錐形であり、胴部4の第2の肩部9は軸D4に対して垂直な面に対して角度α4(テーパ角α2と同一値)の円錐形である。ネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれている取付位置における第1の肩部8及び第2の肩部9におけるフランジ10の当接面に対応する、ネジ6のハウジング7の軸D0に対して垂直な面において、第1の肩部8の断面の半径R2及び第2の肩部9の断面の半径R4の値は、第1の肩部8及び第2の肩部9を有するその座面19におけるフランジ10の肩部の半径R0の値の0.91倍〜0.97倍の範囲内である。好ましくは、これら二つの値は同じ値であり、半径R0の値のほぼ0.95倍である。一方、軸D2−D0間の偏心値及び他方、軸D4−D0間の偏心値はフランジ10の肩部の半径R0の値の0.03倍〜0.05倍の範囲内に含まれ、好ましくは、半径R0の値のほぼ0.038倍である。
【0072】
当然、特定の実施態様において、各直径の桁は逆にすることもできるし、また、偏心率は機構の安定性にとって好都合な値を維持する。
【0073】
好ましくは、フランジ10の接触面19と第1の肩部8との間の接点はP2A及びP2Bの2点であり、接点P2A及びP2Bはハウジング7の軸D0に対して中心角θ2により分離されている。フランジ10の座面19と第2の肩部9との間の接点はP4A及びP4Bの2点であり、接点P4A及びP4Bはハウジング7の軸D0に対して中心角θ4により分離されている。中心角θ2及びθ4の値はそれぞれ53゜〜118゜の範囲内に含まれる。
【0074】
これらの角度θ2及びθ4はアセンブリの幾何図形的配列に応じて変化する。
図5に示された実施態様では、軸D0、D2及びD4の相対的位置、ネジ6が完全に締め付けられたときにフランジ10が接触する平面内の肩部8及び9の円錐の直径R2及びR4、プレート2及び胴部4の円錐の円錐角α2及びα4、接点におけるフランジ10の半径R0及びフランジ10の厚さなどに応じて角度θ2及びθ4は変化する。
【0075】
自動センタリングの結果として、
図2に明示されているように、ネジ6が締付位置に配置されているとき、フランジ10はハウジング7の軸D0に対して垂直を維持する。フランジ10は通常の力だけで緊張され、摩擦力で動作する。軸D0に対する軸D2及びD4の偏心及びフランジ10の肩部8及び9との間の直径差は、何らの動き無しにそのケースの形状によりムーブメントをロックさせることができる。
【0076】
好ましくは、第1の肩部8は、ハウジング7の軸D0と平行で、D0から約0.10mm〜0.20mmの距離だけ離れている軸D2の周囲の周回面である。
【0077】
好ましくは、第2の肩部9は、ハウジング7の軸D0と平行で、取付位置においてD0から約0.10mm〜0.20mmの距離だけ離れている軸D4の周囲の周回面である。
【0078】
軸の偏心値及びフランジ座面の勾配又は傾斜は、角θ2が実施態様に応じて許容範囲内で変化したとしても、P2A及びP2Bの2つの接触領域又は接点は全ての場合に現れるように計算される。本発明によれば、通常の許容度の動きは、表面処理による何らかの過剰厚さの影響などのように、構成部品内で吸収され、本発明の好ましい実施態様におけるように2個の接点の存在が保証される。
【0079】
図31〜
図38に示されるような本発明の特定的な実施態様では、胴部4はステンレススチール等から製造され、フランジ10はビッカース硬度が約550のDIN1.4197合金から製造され、また、プレート2はビッカース硬度が約120のCuZn38Pb2合金等から製造される。フランジ10の先端角は76゜であり、この角度はα4の角度が52゜であることを示す。円錐の最大外径は3.15mmであり、厚さは0.35mmであり、また、1.30mmの内腔を有する。好都合なことに、このフランジ10はスペースを節約するために、2.6mm離れた2個の平坦部分を有する。プレート2は先端角74゜の雌型円錐を有する。この角度は2つの直径2.2mmと3.0mmの間の角α2が53゜であることを示す。約0.12mmだけオフセットしている。時計用ネジS1を収容するネジ山の軸のビッカース硬度は約590であり、円錐形フランジにおけるこのこのネジの締付トルクは4.5Nxcm〜5Nxcmである。胴部4はプレート2と同一の勾配を有する雌型円錐を含み、理論的軸位置はプレート2の雌型円錐の軸から約0.22mm離れている。実際、この特定的実施態様のための通常の時計学的製造方法及び表面処理許容度の使用は、どの形状においても2個の接点を有する接触と互換性がある。この事実は本発明の重要な利点である。
【0080】
また、ネジ山の両側に常に応力が存在することによりネジ6が緩むことを防止していることも重要な利点である。
【0081】
図31に示されるような単一の押しボタンを有するクロノグラフの実施態様では、本発明はムーブメントと胴部との間の微小角運動を防止し、また、胴部と押しボタンとの間の付加的摩擦と焼付リスクを防止する。
【0082】
本発明の様々な改変は、フランジ10の接触面19及び肩部8及び9のプロファイルの両方を使用するプロファイルに従って行うことができる。
【0083】
円錐形肩部8及び9と
図3の実施態様における円形又は円環状エッジの形状をした接触面19を伴う本発明の好ましい実施態様を図示する
図1〜5に加えて、
図6は、円形エッジの形状をした接触面19を有するフランジ10がプレート2の側面の傾斜平面上及び胴部4の側面の円錐形肩部上に据えられている実施態様を示す。
図8は、フランジ10がプレート2の側面の円錐形肩部上及び胴部4の側面の傾斜平面上に据えられている実施態様を示す。
【0084】
図6〜
図9は簡単な変型例を示す。しかし、フランジが傾斜面に据えられる側のフランジの摩擦を維持することは、フランジが完全に角度的に中心位置に配置されている場合の摩擦によってのみ生じる。さもなければ、摩擦は接触面側で生じる。しかし、これは
図1〜
図5に示された好ましい変型例よりも利点が少ない。
【0085】
図10は、プレート2が3組の傾斜平面により胴部4の中心部に保持されているアセンブリを示す。いずれの場合も、一つはプレート2に、また、一つは胴部4上にある。各々、フランジは円形エッジ接触面19に掴み噛み合い(gripping engagement)で据えられている。
【0086】
図4は、プレート2及び胴部4が円環状又は球面状部分形状を有する肩部8及び9からなる変型例を示す。
【0087】
図15はプレート2が円錐形肩部8を有し。胴部4が、接触時にフランジ10の底面19Aを受け止める平坦部分9を有する変型例を示す。この変型例は、フランジ10が側面19Cを介して胴部の座面4Cと当接できる場合にのみ利点がある。
【0088】
図12は本発明の好都合な変形例であり、円形エッジ接触面19を有するフランジ10が、プレート2の側面の円錐形肩部8上及び胴部4の側面にエッジを形成する2個の肩部9上に据えられている。
図13は、
図12のフランジ10の接触点P2A、P2B、P4A及びP4Bの分布一覧図である。これら四点により形成される四辺形の対角線DA及びDBはハウジング7の軸D0の近傍で交差する。
【0089】
本発明を認識する第1の方法を、斜面又は傾斜平面などである肩部8及び9と協働する簡単な形状(特に円形)のフランジ10により説明する。
【0090】
前記第1の方法と組み合わせることもできる、本発明を認識する第2の方法は、その後最も簡単な実施態様に変形できるプレート及び胴部の肩部との当接及び接触エッジを含むフランジ10を形成することからなる。
図17は本発明の変型例を示し、プレート2及び胴部4は各々簡単な直線状エッジ化切取部を有し、そのエッジ8及び9は支持レリーフ17を含む特殊な形状のフランジ10と協働する。支持レリーフ17のエッジは前記切取部分のエッジ8及び9の特定の点と当接する。
【0091】
このフランジ10は様々な方法で完成させることができる。特に、硬質又は柔軟の何れかであることができる。フランジが硬質な場合、肩部を形成するプレート2及び胴部4の接触面は本質的に分離された接触面であり、一方、フランジが柔軟な材料から形成されている場合、接触面は曲線状又は表在的である。
【0092】
次いで、突き出た四辺形、十字形又は三角形の星形支持レリーフ17によりフランジ10の接触面19を形成する。フランジ10の接触面19と第1の肩部8との間の接触はP2の一点又はP2A及びP2Bの2点で起こる。フランジ10の座面19と第2の肩部9との間の接触はP4の一点又はP4A及びP4Bの2点で起こる。更に、ネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれたときに、フランジ10と第1の肩部8及び第2の肩部9との間の接触が四点で起こる場合、四点により形成される四辺形の対角線DA及びDBはハウジング7の軸DOの近傍で交差する。また、ネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれたときに、フランジ10と第1の肩部8及び第2の肩部9との間の接触が三点で起こる場合、三点により形成される三角形の重心はハウジング7の軸D0の近傍に位置するする。
【0093】
図18は、エッジを有する支持レリーフ17(ここでは、四辺形)と、プレート2及び胴部4の間のスペースに対してこれらのエッジを配向させるための割出フィンガー18からなるフランジ10の底面を示す。
図18Aは、三角形のレリーフ形状を有するフランジ10の変形例を示す。
【0094】
その他の変形例として下記の変形例を挙げることができる。
(1)
図20に示されるようなプレート内へ打ち込まれたカム。
図20は、本発明によるアセンブリを含む時計100を示し、時計ムーブメント3と、2個の円錐形肩部8及び9とそれぞれ協働する2個のフランジ10とを具有するプレート2が示されている。
(2)
図21は、半円形断面の凹所40を有する胴部4を示す。プレート2は、凹所26を有するプレートの内側と境を接する可撓性周縁リブ25を含む。フランジ10はカムを形成する。このカムは、フランジ10がハウジング7内に固定されたとき、その端部15を介して、可撓性リブ25の内面27に当接する。その結果、凹所40の内側の2個の接触面P4A及びP4Bをロックする。
(3)
図22A、22B及び22Cは、内側に円錐面を有する円形スリットフランジ10を示す。円形スリットフランジ10は半円筒形ハウジング20及び40と協働する。好ましい実施態様による
図22Bにおいて、円筒の軸はネジ6の軸と一致しない。ここでは、四個の接触点P4A、P4B、P2A及びP2Bが存在する。
(4)
図23は凹状の代わりに凸状の座面に同じ原理を適用した実施態様を示す。フランジ10は四個の接触点P4A、P4B、P2A及びP2Bを有する。
(5)
図24は、可撓性フランジ10と4本のアーム17及び皿小ネジとの組合せを示す。皿小ネジはねじ込まれたとき、4個の接触点をバラバラに動かす効果を有する。皿小ネジのねじ込み操作は、フランジ10の周縁の変形及び周縁のグリッピング(掴み)効果を有する。この構成により円筒状開口内にロックさせることができる。
(6)
図25において、カムの代わりに、内側円錐状勾配を有するオーバル(卵形部材)を使用する。このオーバルはプレート内の垂直スロットと組合わせことが好ましい。これにより、全ての回転応力をグリップ力に変換させることができる。
(7)スリットワッシャー(
図22A、22B、22C及び25参照)の概念は肩部又は上部雌型円錐(
図29参照)若しくは底部雄型円錐(
図30参照)の両方の方向に適用できる。その結果、ねじ込み応力によりワッシャーは開放ではなく閉鎖される。
(8)プレート内に打ち込まれた渦形カムは単純なカムよりもさらに良い。なぜなら、渦形カムは2個の当接点を如何なる角変形も無しに維持できるからである。
(9)プレート2上の上方に向かって突出した半円錐形雄型突起部分21、胴部4上の類似又は同一の突起部分22。これらは、これらを覆うフランジ10と併用され、円形エッジに変形された座面又は雌型円錐の形状の座面を有する(
図27及び
図28参照)。
図26は、前記の過重タイプの位置決め及び固定機構間の組合せ例を示す。この実施態様では、フランジ、1個又は幾個かの角度割出しハウジング41と協働する割出しロッド及びスプリットリング24と併用される。
【0095】
多数の実行可能な解決法のうちから一つの方法を選択することの困難性は、最少個数の構成部品による確実性、均衡性、接続組立の容易性などにあり、時計が使用中にうける応力及び加速度に対する抵抗性である。
図1〜
図5による実施態様は本発明の好ましい実施態様を構成する。なぜなら、これらは前記のような要件を効率的に満たし、しかもコンパクトだからである。これらは既成の口径内に低コストで配置させることができ、しかも、プレート及び胴部の円錐又は球面状機械加工しか必要とせず、如何なる製造上の問題も引き起こさない。
【0096】
好ましい用途において、プレート2は少なくとも1個の時計ムーブメント3のための支持台(サポート)を形成し、胴部4はムーブメント3を少なくとも部分的に包含するように構成されている。
【0097】
ネジ軸の近傍又はネジ軸に係合される軸の周囲を回転する円錐形ロール又は球面形状の肩部を胴部及びプレート上で使用することにより、信頼性のあるグリッピング品質の利点と共にセンタリング品質の利点も提供される。
【0098】
帯バネのような可撓性若しくは弾性フランジを使用することも想起できるが、少なくとも本発明の特定的実施態様及び本発明の好ましい実施態様では硬質フランジを使用する。
【0099】
本発明の好ましい実施態様において、スペースが不足している場合、プレート又は胴部の円錐形又は球面形肩部の第1の側及び胴部又はプレートのそれぞれ反対側のフランジの当接面と前記胴部又は前記プレートの肩部におけるコーナー足場(corner scaffolding)と併用することができる。
【0100】
本発明によれば、また添付図面に図示されているように、当接はネジ山に対してフランジの同じ側で起こる。従って、フランジは胴部及びプレートの肩部と常に圧縮当接する。その結果、完全な信頼可能な締付けが確保される。
【0101】
更に、本発明は前記の時計アセンブリ1を少なくとも一つ含むか又は、プレート2が少なくとも1個の宝石部品の支持台を構成し、胴部4が前記分品を少なくとも部分的に包含するように構成されている時計アセンブリ1を含む時計100又は宝飾時計に関する。
【0102】
特別な用途において、前記時計100は単一の押しボタンを有する。更に詳細には、前記時計100は単一の押しボタンを有するクロノグラフであり、本発明によれば、押しボタン方向への頻繁な軸運動中の安定性を高める利点を提供すると共に、衝撃及び加速度に対する最大限の安全性を確保する利点を提供する。
【0103】
従って、本発明の原理は多数の幾何図形的配列に適用できる。これらの幾何図形的配列のうちの幾つかは他のものよりも一層興味深いものがある。本発明は特に、プレート2の第1の円錐形又は球面形或いは同様な形状の肩部8と、及び胴部4の第2の円錐形又は球面形或いは同様な形状の肩部9と協働するように構成された座面19を包含するフランジ10を伴う
図1〜5、
図12〜14及び
図17の実施態様について最良の利点を提供する。座面19は、フランジの上部座面13に対して垂直なフランジ軸D10の周囲の周回面であり、かつ、取付位置において、かつ、ネジ6がハウジング7内に完全にねじ込まれた位置において、ハウジング7の軸D0と一致するように構成されている。実際、この配列構成は、従来のタイプの固定デバイスと異なり、傾斜構成要素の力による如何なる摂動トルクも抑制する。ムーブメントをケースに固定するための現用のデバイスでは、厳密に垂直なフランジは存在しない。従って、ネジ山に結合される全ての摂動トルクは作動力を低下させ、その結果、反復的衝撃及び加速度印加作用は必然的に遊びを起こし、そのケース内のムーブメントを移動させる。
【0104】
本発明による配列構成は、極めて短いレバーアーム(ここでは、軸D0と接触面との間の距離に対応する)によりネジを介してフランジに加わる力のモーメントを均衡させる。この事実は、ムーブメントの中心と接触面との間の距離によりレバーアームが形成され、かつ、ネジトルクが均等モーメントである場合に各接触面に加わる力が非常に低い従来の固定デバイスに較べて、本発明によれば、均等トルクについて極めて高い力を各接触面又は接触点に加えることができることを意味する。
【0105】
従って、本発明は、遊びが無く、加速度及び特に衝撃作用に対して敏感ではないので長期間に亘って極めて安定な固定デバイスを提供する。
【0106】
要するに、本発明は、衝撃を受けたときにそのケースからムーブメントが脱落してしまうことを防止するために、遊びが無い形状により型締するためのシステムを提供する。円形の円錐状フランジの選択は、ムーブメント及び胴部を正確に角度的に位置決めさせることができること及び画成されたインターフェースをケースとムーブメントとの間に認めることができることを意味する。
【0107】
以上の説明は、本発明の一実施例に関するもので、この技術分野の当業者であれば、本発明の種々の変形例を考え得るが、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。特許請求の範囲の構成要素の後に記載した括弧内の番号は、図面の部品番号に対応し、発明の容易なる理解の為に付したものであり、発明を限定的に解釈するために用いてはならない。また、同一番号でも明細書と特許請求の範囲の部品名は必ずしも同一ではない。これは上記した理由による。用語「又は」に関して、例えば「A又はB」は、「Aのみ」、「Bのみ」ならず、「AとBの両方」を選択することも含む。特に記載のない限り、装置又は手段の数は、単数か複数かを問わない。