【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第3項適用 博覧会名:次世代自動車産業展2010 主催者名:株式会社日刊工業新聞社 開催日:平成22年6月16日から平成22年6月18日まで
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明の特徴は、電気自動車における車輪を駆動する電気自動車用の回転電機であって、電気自動車におけるバッテリーから電力の供給を受けて磁界を生じさせるコイルと、平面部の周縁上に環状に起立した環状部を有して有底筒状に形成されるとともにコイルに対して回転変位可能に支持されて車輪を回転駆動させる繊維強化樹脂製のヨーク保持体と、ヨーク保持体における環状部の内周面に設けられて環状部の内側に界磁磁束を生じさせる磁石と、ヨーク保持体における環状部の内部に設けられて磁石とともに磁気回路を形成して界磁磁束を生じさせるヨークとを備え、ヨークは、筒状に形成されて環状部内にのみ設けられており、ヨーク保持体は、繊維強化樹脂で形成された平面部に車輪に連結される駆動軸が取り付けられている
とともに、前記平面部および前記環状部に対応した形状に形成されて熱可塑性樹脂を浸潤させた繊維製シート体で構成されており、繊維製シート体は、ヨーク保持体における平面部の外側面および内側面に対応する円形状に形成された平面部用の繊維製シート体と、ヨーク保持体における平面部の外側面および内側面に対応する円形体の周縁部に方形のシート片を放射状に突出して設けて形成されて平面部の外側面に対応する円形状に形成された平面部用の繊維製シート体と平面部の内側面に対応する円形状に形成された平面部用の繊維製シート体との間に配置された全体用の繊維製シート体と、ヨーク保持体における環状部に対応する筒状に形成されて平面部用の繊維製シート体および全体用の繊維製シート体の外側に配置された環状部用の繊維製シート体とを含むことにある。
【0007】
このように構成した本発明の特徴によれば、電気自動車用の回転電機は、界磁磁束を生じさせるための磁石と磁気回路を形成するヨークが樹脂製のヨーク保持体における環状部内に設けられている。このため、ヨークは、ヨーク保持体の内側に界磁磁束を生じさせるために必要最小限の形状および大きさで形成されていればよく、従来技術のように、回転電機の筐体を構成するための大きさに形成する必要がないとともに、ステータに対して回転可能に支持するために回転軸に向かって延びた形状(例えば、有底円筒状)に形成する必要がない。すなわち、本発明における電気自動車用の回転電機においては、ヨークはヨーク保持体の内側に界磁磁束を生じさせるために必要最小限の形状および大きさで形成されるとともに、回転電機の筐体やヨークを回転可能に支持する部分は、ヨークより軽量な樹脂素材で構成される。この結果、ステータまたはロータを構成するヨークをコンパクトに構成することができるため、回転電機の軽量化および高効率化を図ることができる。また、ヨークがヨーク保持体内に配置されていることにより、ヨーク自身の腐食が防止されるとともにヨークが樹脂製のヨーク保持体の心金として機能してヨーク保持体の機械的強度が向上するため、回転電機の耐久性を向上させることができる。また、磁石は、必要最小限の形状および大きさに形成されたヨークに対してではなく、ヨーク保持体の環状部の内周部に設けられるため、コイルに対して精度良く位置決めされた状態で配置することができる。
【0008】
また、本発明の他の特徴は、前記電気自動車用の回転電機において、
磁石は、環状部の内周面の周方向に沿って貼り付けられた複数の磁石によって環状に形成されていることにある。
【0010】
このように構成した本発明の特徴によれば、電気自動車用の回転電機は、美観良くヨーク保持体を成形することができる。
【0011】
また、本発明の電気自動車用の回転電機においては、ヨーク保持体は、炭素繊維強化プラスチックで構成することができる。これによれば、電気自動車用の回転電機は、ヨーク保持体が炭素繊維強化プラスチックで構成されている。これにより、ヨーク保持体の強度を確保しつつヨーク保持体、延いては回転電機を軽量に構成することができる。
【0012】
また、本発明の電気自動車用の回転電機においては、さらに、ヨーク保持体の内側にコイルが巻かれる磁性体製のコアを備えることができる。これによれば、電気自動車用の回転電機は、ヨーク保持体の内側にコイルが巻かれるコアを備えている。これにより、コイルによって生じる界磁磁束の磁束密度が向上するため、回転電機の発生トルクや発電電力などの出力を向上させることができる。
【0013】
また、本発明の電気自動車用の回転電機においては、さらに、ヨーク保持体を収容するハウジングを備え、ヨーク保持体は、ハウジング内に固定されたコイルに対して回転変位させることができる。これによれば、回転電機は、ヨーク保持体を収容するハウジングを備えるとともに、ヨーク保持体がハウジング内に固定されたコイルに対して回転変位するように構成されている。すなわち、本発明に係る回転電機は、ヨークがロータを構成するとともにコイルがステータを構成する。これにより、回転電機の構成を簡単にすることができる。
また、本発明の電気自動車用の回転電機において、ヨーク保持体は、駆動軸に径方向に張り出して形成されたフランジ部に取り付けることができる。
【0014】
また、本発明は、電気自動車用の回転電機として実施できるばかりでなく、同回転電機の製造方法の発明としても実施できるものである。
【0015】
すなわち、電気自動車用の回転電機の製造方法は、平面部の周縁上に環状に起立した環状部を有して有底筒状に形成された樹脂製のヨーク保持体と、ヨーク保持体における環状部の内部に設けられたヨークと、ヨーク保持体における環状部の内周面に設けられてヨークを介して環状部の内側に界磁磁束を生じさせるための磁石と、ヨーク保持体の内側における界磁磁束中に配置された導体製のコイルとを備え、ヨーク保持体とコイルとが相対的に回転変位可能に支持された回転電機の製造方法であって、ヨーク保持体の製造工程は、ヨーク保持体における前記平面部および環状部に対応した形状に形成された繊維製シート体に熱可塑性樹脂を浸潤させる浸潤工程と、繊維製シート体を凹形金型内に積層するシート体積層工程と、凹形金型内に積層されるシート体の間にヨークを配置するヨーク配置工程と、凹形金型内を加熱しながら凸形金型で押圧する押圧工程と、押圧工程によって成形されたヨーク保持体における環状部の内周面に前記磁石を配置する磁石配置工程を含んで構成することができる。
【0016】
これによれば、ヨーク保持体における環状部内に精度良くヨークを配置してヨーク保持体を成形することができる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明に係る回転電機の一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に係る直流モータ(電動機)100の全体構成を概略的に示す断面図である。また、
図2は、
図1に示すA−A線から見た直流モータ100の断面図である。なお、本明細書において参照する各図は、本発明の理解を容易にするために一部の構成要素を誇張して表わすなど模式的に表している。このため、各構成要素間の寸法や比率などは異なっていることがある。この直流モータ100は、図示しない電気自動車に搭載されて原動機として機能するものである。
【0019】
(直流モータ100の構成)
直流モータ100は、ハウジング101および蓋体102を備えている。ハウジング101および蓋体102は、直流モータ100における筐体を構成する樹脂製の部品である。本実施形態においては、ハウジング101および蓋体102は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)で構成されている。これらのうち、ハウジング101は、直流モータ100の各種構成部品を収容するために略有底円筒状に形成されるとともに、開口部の周縁部が径方向にフランジ状に張り出して形成されている。蓋体102は、ハウジング101の開口部を塞ぐために円盤状に形成されるとともに、中央部に駆動軸104が貫通する貫通孔102aが形成されている。この蓋体102は、ハウジング101における開口部上に配置されてハウジング101の周縁部にフランジ状に張り出した部分に対して取付ボルト103によって固定的に取り付けられている。
【0020】
駆動軸104は、直流モータ100における回転駆動力を外部に取り出すための鋼製の軸状部材である。この駆動軸104は、一方(図示左側)の端部が前記ハウジング101における内部中央部に軸受け105aを介して回転自在に支持されるとともに、他方の端部側における前記蓋体102の貫通孔102aに貫通する部分が軸受け105bを介して回転自在に支持されている。また、駆動軸104における略中央部には、径方向に鍔状に張り出したフランジ部104aが形成されており、このフランジ部104aにヨーク保持体106が取付ボルト107によって固定的に取り付けられている。
【0021】
ヨーク保持体106は、後述する永久磁石108およびヨーク109を保持する樹脂製の部品である。本実施形態においては、ヨーク保持体106は、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)で構成されている。このヨーク保持体106は、駆動軸104の軸線方向に延びて環状に形成された環状部106aと、同環状部106の一方(図示右側)の端部が駆動軸104側に屈曲して同駆動軸104側に延びた略板状に形成された側面部106bとが一体的に成形された略有底筒状に形成されている。環状部106aおよび側面部106bのうち、環状部106aの内周面は、内周面の真円度が所定の範囲内に収まるように切削加工が施されている。
【0022】
この環状部106aの内周面には、永久磁石108が貼り付けられている。永久磁石108は、ヨーク保持体106の内側に界磁磁束を生じさせるための磁石である。本実施形態においては、永久磁石108は、ネオジム磁石で構成されている。この永久磁石108は、環状部106aの内周面に対応する曲率に湾曲した方形板状に形成されており、同内周面の周方向に沿って複数枚貼り付けられている。この場合、永久磁石108は、互いに隣り合う永久磁石108が互いに異なる(反対の)磁極が環状部106aの内側に向って露出する向きで貼り付けられている。本実施形態においては、16個の永久磁石108が互いに接した状態で環状部106aの内周面に接着剤によって貼り付けられている。
【0023】
なお、永久磁石108を構成する磁石の種類、大きさ、形状、枚数および配置間隔は、直流モータ100の仕様(回転速度、回転数、出力トルク、入力電流、トルクムラ、コギングなど)に応じて適宜決定されるものである。例えば、永久磁石108は、ネオジム磁石以外の他の磁石、例えば、フェライト磁石を用いることができる。また、永久磁石108は、2つの永久磁石108を互いに異なる(反対の)磁極が環状部106aの内側に向って露出する向きでヨーク保持体106の環状部106aの内周面に貼り付けることもできる。
【0024】
また、環状部106a内には、ヨーク109が設けられている。ヨーク109は、前記永久磁石108により界磁磁束を生じさせる際に永久磁石108とともに磁気回路を形成するための磁性体部品であり、環状部106aの径に対応する環状に形成されている。本実施形態においては、ヨーク109は、厚さが約2mm、幅が永久磁石108の幅より若干長い幅(例えば、約30mm)の帯状の鋼板を円筒形に丸めた筒状に形成されている。このヨーク109は、永久磁石108に対向した状態で同永久磁石108の外側における環状部106aの内部に内包されている。なお、ヨーク109は、永久磁石108とともに磁気回路を形成可能な素材、形状および大きさに形成されて環状部106a内に配置されていれば、必ずしも本実施形態に限定されるものではない。
【0025】
そして、ヨーク保持体106は、永久磁石108およびヨーク109を一体的に備えた状態で駆動軸104の回転駆動によって、これらの永久磁石108およびヨーク109とともに、駆動軸104を回転中心として回転駆動する。すなわち、ヨーク保持体106は、直流モータ100における所謂ロータを構成する。
【0026】
一方、ヨーク保持体106の内側には、電機子110が設けられている。電機子110は、ヨーク保持体106に対して、連続的な回転エネルギを生じさせるための電磁装置であり、主として電機子コア111と電機子コイル112とで構成されている。
【0027】
電機子コア111は、電機子コイル112とともに磁気回路を形成して電機子コイル112によって生じる磁束の密度を増加させるための磁性体からなる部品であり、環状に形成された基部111aの外周面上に略T字状の磁極部111bが放射状に突出して設けられて構成されている。本実施形態においては、電機子コア111は、基部111aの外周面上に24個の磁極部111bが形成されている。この電機子コア111は、円板状の基部111aおよび略T字状の磁極部111bが形成された薄板状の磁性体素材(例えば、ケイ素鋼板)を駆動軸104の軸線方向に沿って複数枚積層して構成されている。なお、この電機子コア111は、電機子コイル112とともに磁気回路を形成可能な素材、形状(磁極部111bの形成数も含む)および大きさに形成されていれば、必ずしも本実施形態に限定されるものではなく、直流モータ100の仕様に応じて適宜決定されるものである。
【0028】
電機子コイル112は、図示しない整流回路を介して供給される電機子電流によって回転磁界を生じさせる導体で構成される線状部品である。本実施形態においては、電機子コイル112は、銅線で構成されている。この電機子コイル112は、電機子コア111における各磁極部111bの胴部に樹脂製の絶縁シート(図示せず)を介して螺旋状に巻き回して構成されている。
【0029】
この電機子110は、電機子コア111における基部111aがスリーブ113およびブラケットプレート114を介して取付ボルト115によってハウジング101内に取り付けられている。すなわち、電機子110は、直流モータ100におけるステータを構成する。スリーブ113は、電機子110をハウジング101内における略中央部に支持するためのアルミニウム製の筒状部材である。また、ブラケットプレート114は、駆動軸104およびヨーク保持体106に対して電機子110の芯を位置決めするためのアルミニウム製のドーナツ状円板部品である。
【0030】
(ヨーク保持体の製造過程)
ここで、ヨーク保持体106の製作過程について簡単に説明しておく。ヨーク保持体106は、ヨーク保持体106の形状に対応する形状に形成された凸状の凸形金型201と凹状の凹形金型202とで成形される。まず、ヨーク保持体106の製作する作業者は、CFRPの基材となる炭素繊維シート体203およびヨーク109をそれぞれ用意する。これらのうち、炭素繊維シート体203は、互いに異なる4つの形状にそれぞれ形成された4種類の炭素繊維シート体203a〜203dによって構成されている。
【0031】
炭素繊維シート体203aは、ヨーク保持体106における側面部106bの外側面および内側面を構成するためにこれら外側面および内側面に対応する円形状に形成されている。また、炭素繊維シート体203bは、ヨーク保持体106における環状部106aを構成するために同環状部106aに対応する環状(筒状)に形成されている。また、炭素繊維シート体203cは、炭素繊維シート体203aの周縁部にヨーク保持体106における環状部106aを構成する略方形のシート片を放射状に突出して設けて形成されている。また、炭素繊維シート体203dは、炭素繊維シート体203cにおける放射状に突出したシート片の突出量がヨーク109の幅に対応する長さだけ短く形成されている。
【0032】
作業者は、炭素繊維シート体203a〜203dに液状の熱硬化性樹脂(例えば、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂など)を浸潤させる(浸潤工程)。次いで、作業者は、
図3に示すように、凹形金型202内に、各1枚ずつの炭素繊維シート体203aおよび炭素繊維シート体203b、複数枚の炭素繊維シート体203c、複数枚の炭素繊維203dをこの順番で配置した後、炭素繊維シート体203d上にヨーク109を配置する(シート体積層工程、ヨーク配置工程)。そして、作業者は、ヨーク109の内側に更に、複数枚の炭素繊維シート体203cを配置した後、各1枚ずつの炭素繊維シート体203aおよび炭素繊維シート体203bをそれぞれ配置する(シート体積層工程)。なお、本実施形態においては、約0.6mm厚の炭素繊維シート体203を30枚積層している(
図3に示した枚数とは一致しない)。
【0033】
そして、作業者は、図示しないプレス装置を操作することにより、凹形金型202内を加熱および脱泡(脱気)しながら凸形金型201と凹形金型202とで所定時間の間圧縮する(押圧工程)。これにより、ヨーク保持体106の外形が最終形状に近い形状で成形される。この場合、成形されたヨーク保持体106の外側面および内側面は、それぞれ炭素繊維シート体203aおよび炭素繊維シート体203bによって構成されており、これらの外側面および内側面を炭素繊維シート体203cで構成した場合に比べて美観良くヨーク保持体106を成形することができる。なお、炭素繊維シート体203cはヨーク109が永久磁石108とともに磁気回路を形成可能な厚さの範囲で積層されるとともに、炭素繊維シート体203dはヨーク109の厚さに応じて積層される。
【0034】
次いで、作業者は、凹形金型内202内から取り出したヨーク保持体106を図示しない切削加工機を用いて仕上げ加工を行う。具体的には、作業者は、ヨーク保持体106の環状部106aの内周面を規定の真円度および表面粗さとなるように仕上げ加工するとともに、側面部106bの中央部に駆動軸104を挿通させるための貫通孔を加工する。そして、作業者は、環状部106aの内周面に永久磁石108を接着剤により貼り付けて固定する(磁石配置工程)。これにより、永久磁石108およびヨーク109を備えたヨーク保持体106が完成する。このように、ヨーク109をヨーク保持体106の環状部106a内に配置するとともに環状部106aの内周面に永久磁石108を配置することにより、ヨーク109が心金としてヨーク保持体106の強度を向上させることができるとともに、厚さの薄いヨーク109を用いても永久磁石108は厚さが十分確保された環状部106aに配置されるため電機子110に対して精度良く位置決めした状態で配置することができる。なお、ハウジング101および蓋体102も同様の製造工程によって製作することができる。
【0035】
(直流モータ100の作動)
次に、このように構成した直流モータ100の作動について説明する。この直流モータ100は、例えば、図示しない電気自動車(EV)の原動機として電気自動車を構成するシャーシ(図示せず)上に取り付けられる。この場合、直流モータ100は、電機子電流を入力するための入力端子(図示せず)にインバータ(図示せず)を介してバッテリー(図示せず)が接続されるとともに、駆動軸104にデフ(デファレンシャルギア)(図示せず)を介して電気自動車の車輪(駆動輪)が接続される。
【0036】
この直流モータ100は、非駆動(静止)状態および駆動状態を問わず常にハウジング101内において界磁磁束が生じている。すなわち、ハウジング101内におけるヨーク保持体106の内側には、ヨーク保持体106の環状部106aの内周面に同内周面を覆う状態で貼り付けられた永久磁石108と環状部106aの内部に設けられたヨーク109とによって形成される磁気回路によって常に界磁磁束が生じている。
【0037】
そして、直流モータ100の電機子110の電機子コイル112に前記整流回路およびインバータを介してバッテリーから電機子電流が供給されると、電機子コイル112の内側に配置された電機子コア111には磁界が形成されて磁束が生じる。この場合、電機子111には、整流回路により回転磁界が生じる。これにより、ヨーク保持体106に対して周方向に沿って回転駆動力が作用するため、同ヨーク保持体106に一体的に組み付けられた駆動軸104がヨーク保持体106とともに回転駆動する。
【0038】
この場合、ヨーク保持体106は、永久磁石108とともに磁気回路を形成するヨーク108が永久磁石108の幅に対応する幅の環状に形成されているとともに、同ヨーク109以外の部分がCFRP材で構成されている。このため、ヨーク保持体106および駆動軸104からなるロータは、従来のロータ、すなわち、ロータの全体がヨークと同一の磁性体素材(例えば、軟鉄材)で構成されたロータに比べて質量が軽くなるため効率良く回転駆動する。また、駆動軸104の回転を止めるまたは回転方向を逆回転させる場合には、ヨーク保持体106の慣性が前記技術のロータに比べて小さくなるため、小さい力で迅速に駆動軸104の回転を停止または逆回転させることができる。
【0039】
上記作動説明からも理解できるように、上記実施形態によれば、直流モータ100は、界磁磁束を生じさせるために永久磁石108とともに磁気回路を形成するヨーク109がCFRP製のヨーク保持体106における環状部106a内に設けられている。このため、ヨーク109は、ヨーク保持体106の内側に界磁磁束を生じさせるために必要最小限の形状および大きさで形成されていればよく、従来技術のように、直流モータの筐体を構成するための大きさに形成する必要がないとともに、ステータに対して回転可能に支持するために回転軸に向かって延びた形状に形成する必要がない。すなわち、本発明における直流モータ100においては、ヨーク109はヨーク保持体106の内側に界磁磁束を生じさせるために必要最小限の形状および大きさで形成されるとともに、直流モータ100の筐体やヨーク109を回転可能に支持する部分は、ヨーク109より軽量なCFRP材で構成されている。この結果、ロータを構成するヨーク109をコンパクトに構成することができるため、直流モータ100の軽量化および高効率化を図ることができる。また、ヨーク109がヨーク保持体106内に配置されていることにより、ヨーク109自身の腐食が防止されるとともにヨーク109がCFRP製のヨーク保持体106の心金として機能してヨーク保持体106の機械的強度が向上するため、直流モータ100の耐久性を向上させることができる。また、永久磁石108は、必要最小限の形状および大きさに形成されたヨーク109に対してではなく、ヨーク保持体106の環状部106aの内周部に設けられるため、電機子コイル112に対して精度良く位置決めされた状態で配置することができる。
【0040】
さらに、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0041】
例えば、上記実施形態においては、ヨーク保持体106は、CFRP材を用いて構成されている。しかし、ヨーク保持体106は、永久磁石108およびヨーク109を保持可能であり、ロータ(またはステータ)として機能を確保できる樹脂素材で構成されていれば、必ずしも上記実施形態に限定されるものではない。具体的には、ヨーク保持体106は、CFRP以外の他の樹脂素材、例えば、ガラス繊維を含んだガラス繊維強化プラスチック(GFRP)、樹脂繊維を含んだ樹脂繊維強化プラスチック(AFRP、KFRP、DFRP)などの繊維強化プラスチック(FRP)で構成することもできる。また、樹脂素材としても、ポリエステル樹脂やエポキシ樹脂以外の樹脂、例えば、ポリアミド樹脂やフェノール樹脂などの各種熱硬化性樹脂、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などの各種熱可塑性樹脂などを用いることができる。この場合、これらの樹脂には、ポリアミド樹脂などのエンジニアプラスチックやポリフェニレンスルファイド樹脂などのスーパーエンジニアプラスチックなどを含むことは当然である。
【0042】
また、これらの樹脂に繊維物を含ませて繊維強化プラスチックを形成する方法も、繊維シート体に樹脂材を浸潤させる方法も液状の樹脂材に繊維シート体を浸す方法以外に、繊維シート体に熱可塑性樹脂製シート体を重ねて配置した後加熱することにより繊維シート体中に樹脂材を浸潤させることができる。また、樹脂素材中に繊維物を練り混んで繊維強化プラスチックを形成することもできる。なお、ヨーク保持体106は、強度を確保できれば、必ずしも繊維物などの補強材を用いる必要はない。また、ハウジング101および蓋体102も同様に、CFRP以外の樹脂素材や金属素材(例えば、ステンレス材、アルミニウム材など)などを用いて構成することができる。
【0043】
また、上記実施形態においては、直流モータ100は、ヨーク保持体106が電機子110に対して回転駆動する所謂アウターロータ型で構成されている。しかし、直流モータ100は、電機子110が駆動軸104に連結されるとともにヨーク保持体106がハウジング101に固定されて電機子110がヨーク保持体106に対して回転駆動する所謂インナーロータ型に構成することもできる。
【0044】
また、上記実施形態においては、電機子110は、電機子コア111を備えて構成されている。しかし、電機子110は、電機子コア111を省略して電機子コイルのみで構成してもよい。すなわち、直流モータ100は、コアレスモータとして構成することもできる。
【0045】
また、上記実施形態においては、直流モータ100は、ハウジング101の開口部が蓋体102で閉塞されて構成されている。しかし、直流モータ101は、ハウジング101の開口部を直流モータ100が接続される駆動対象物、例えば、デフの筐体に直接組み付けて構成することもできる。これによれば、蓋体102が省略されるため、直流モータ100が搭載される被搭載物の総重量を軽くすることができ、結果として直流モータ100の効率を向上させることができる。
【0046】
また、上記実施形態においては、本発明に係る回転電機を直流モータ100に適用した実施例について説明した。しかし、本発明に係る回転電機は、電動機と基本的な構成が同じである発電機にも適用することができる。すなわち、本発明に係る回転電機を発電機に適用することにより効率良く発電することができる。