特許第6099219号(P6099219)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099219
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】イオン発生装置を組み込んだ便座装置
(51)【国際特許分類】
   A47K 13/30 20060101AFI20170313BHJP
   E03D 9/08 20060101ALI20170313BHJP
   H01T 23/00 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   A47K13/30 Z
   E03D9/08 L
   E03D9/08 Z
   A47K13/30 B
   H01T23/00
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-205207(P2015-205207)
(22)【出願日】2015年10月19日
(62)【分割の表示】特願2012-178809(P2012-178809)の分割
【原出願日】2012年8月10日
(65)【公開番号】特開2016-28741(P2016-28741A)
(43)【公開日】2016年3月3日
【審査請求日】2015年11月11日
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】302045705
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】110000497
【氏名又は名称】特許業務法人グランダム特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高羽 利明
(72)【発明者】
【氏名】古谷 保行
(72)【発明者】
【氏名】安藤 豊
(72)【発明者】
【氏名】牧野 将之
(72)【発明者】
【氏名】小松 俊彦
【審査官】 金高 敏康
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−036692(JP,A)
【文献】 特開平10−280511(JP,A)
【文献】 特開平02−019156(JP,A)
【文献】 特開2005−139619(JP,A)
【文献】 特開2009−204504(JP,A)
【文献】 特開2008−190293(JP,A)
【文献】 特開2008−081928(JP,A)
【文献】 実開昭61−093576(JP,U)
【文献】 実開平06−043075(JP,U)
【文献】 実用新案登録第2551868(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47K 13/30
E03D 9/08
F24F 7/00
H01T 23/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便座と、
便蓋と、
前記便座及び前記便蓋が回動自在に取り付けられており、ファン、このファンの排気側に延びて先端に送風口を設けたダクトとを有し、前記ファンを駆動して前記送風口から前記便座に着座する人の臀部に向けて送風する乾燥装置、及びイオンを放出するイオン発生器を有し、前記乾燥装置の前記ファンと前記ダクトとを利用して前記イオン発生器から放出したイオンが混入した空気を前記送風口から送風するイオン発生装置が内部に組み込まれた便座装置本体と、
を備えた便座装置であって、
便鉢を有する便器本体に取り付けられ、前記便蓋が前記便鉢を上方から閉じた状態で、前記ファンを駆動して前記イオン発生器が放出したイオンを混入した空気が前記送風口から送風され、前記便鉢内にイオンを拡散することを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記送風口から送風されるイオンを混入した空気が前記便鉢の表面に向けて下方に吹き付けられることを特徴とする請求項1記載の便座装置。
【請求項3】
前記ダクトの前方を開閉し、前記送風口から送風されるイオンを混入した空気が衝突して送風方向を下方に変更するシャッターを備えていることを特徴とする請求項2記載の便座装置。
【請求項4】
使用者を検知する人体検知装置と、
前記便蓋を起立状態と倒伏状態との間で回動させる回動装置と、
を備え、
前記人体検知装置が使用者を検知しなくなると、前記回動装置が前記便蓋を起立状態から倒伏状態に回動させて前記便蓋が前記便鉢を上方から閉じた状態にし、この状態で、前記ファンを駆動して前記イオン発生器が放出したイオンを混入した空気が前記送風口から送風されることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項記載の便座装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はイオン発生装置を組み込んだ便座装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1はイオン発生装置を組み込んだ便座装置を開示している。この便座装置は、イオン発生装置を便蓋の裏面に設置したり、便座及び便蓋の後方であって便器本体の上面に設置したりしている。イオン発生装置は、ファンと、ファンの排気側に延び、先端に送風口を設けたダクトと、ダクト内に配置した針電極及び平板電極からなるイオン発生器とを備えている。イオン発生器は針電極と平板電極との間に放電を起こし、ダクト内を流れる空気をイオン化することができる。
【0003】
この便座装置は、イオン発生装置から便座表面に向けてイオンを吹き付けて便座表面を除電することによって、便座表面のほこりの吸着を防止することができる。これによって、便座の黒ずみ汚れを防止することができる。このため、便座の清掃の手間を削減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−250786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の便座装置は、イオン発生装置のみに利用するファン及びダクトを備えている。このため、この便座装置は、イオン発生装置を組み込むことによって、部品数が多くなり、製造コストの大幅な増加になる。また、この便座装置は、イオン発生装置のみに利用するファン及びダクトを組み込むためのスペースが必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の便座装置は、
便座と、
便蓋と、
前記便座及び前記便蓋が回動自在に取り付けられており、ファン、このファンの排気側に延びて先端に送風口を設けたダクトとを有し、前記ファンを駆動して前記送風口から前記便座に着座する人の臀部に向けて送風する乾燥装置、及びイオンを放出するイオン発生器を有し、前記乾燥装置の前記ファンと前記ダクトとを利用して前記イオン発生器から放出したイオンが混入した空気を前記送風口から送風するイオン発生装置が内部に組み込まれた便座装置本体と、
を備えた便座装置であって、
便鉢を有する便器本体に取り付けられ、前記便蓋が前記便鉢を上方から閉じた状態で、前記ファンを駆動して前記イオン発生器が放出したイオンを混入した空気が前記送風口から送風され、前記便鉢内にイオンを拡散することを特徴とする。
【0011】
この便座装置は、便蓋が便鉢を上方から閉じた状態でイオン発生装置が便鉢内にイオンを拡散する。このため、ほぼ閉空間となった便鉢内にイオンを充満させることができ、便鉢内の除菌、脱臭を効果的に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】実施例の便座装置であって、臀部乾燥工程の状態を示す断面図である。
図2図1の要部拡大図である。
図3】実施例のイオン発生装置を示す斜視図である。
図4】実施例の便座装置であって、便鉢内の除菌・脱臭工程の状態を示す断面図である。
図5図4の要部拡大図である。
図6】実施例の便座装置であって、便座装置本体内の除菌・脱臭工程の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明における好ましい実施の形態を説明する。
【0018】
本発明のイオン発生装置において、前記ダクトの前方を開閉し、前記送風口から送風される空気が衝突して送風方向を変更するシャッターを備え得る。この場合、このイオン発生装置を便座装置本体内に組み込んだ際、シャッターによって送風方向を便鉢の表面方向に変更することができ、送風口から噴き出すイオンが混入した空気を便鉢の表面に向けて吹き付けることができる。このため、このイオン発生装置は、便座装置本体内に組み込んだ際、イオンによる便鉢の表面の除菌、脱臭を良好に行うことができる。
【0019】
本発明のイオン発生装置において、前記ダクトは、ダクト本体と、このダクト本体から進退自在に突出し、上方向に開口した前記送風口を先端に開設したノズルとを有し得る。この場合、このイオン発生装置を便座装置本体内に組み込んだ際、ノズルをダクト本体から前方に突出し、便座に着座した人の臀部に向けてイオンを放出することができる。このため、美肌効果を有するイオンを便座に着座した人の臀部に効率的に吹き付けることができる。
【0020】
次に、本発明のイオン発生装置を便座装置本体内に組み込んだ便座装置を具体化した実施例について、図面を参照しつつ説明する。
【0021】
<実施例>
実施例の便座装置10は、図1図2図4図6に示すように、水洗式便器の便器本体1上に取り付けられている。便器本体1は便鉢2を有している。便座装置10は、便座装置本体11と、便座装置本体11の前部に回動自在に取付けた便座12及び便蓋13とを有している。便座装置本体11は、内部に乾燥装置を利用したイオン発生装置20、及び局部洗浄装置等の各種機能装置を構成する図示しない各種部品を組み込んでいる。
【0022】
便座装置本体11は、便鉢2より後方の便器本体1の上面に載置され、固定されている。便座12及び便蓋13は便器本体1上を起立状態と倒伏状態との間で回動する。便蓋13は倒伏状態で便鉢2を上方から閉じた状態になる(図4及び図5参照)。
【0023】
便座装置10は、便座装置本体11に組み込まれた人体検知センサー60の検知信号に基づいて便座装置本体11内に組み込まれた図示しないモーターを駆動し、便座12及び便蓋13を起立状態と倒伏状態に自動的に回動させることができる。つまり、水洗式便器に近づいた人を人体検知センサー60が検知すると、便蓋13が倒伏状態から起立状態に回動し、水洗式便器から人が遠ざかり人体検知センサー60が人を検知しなくなると、便蓋13が起立状態から倒伏状態に回動する。また、便座装置10は、便座装置本体11内に組み込んだ各種機能装置を駆動するためのスイッチを有する図示しないリモートコントローラーを有している。このリモートコントローラーは水洗式便器を設置したトイレルームの壁面に固定される。また、このリモートコントローラーの便座・便蓋開閉スイッチを操作することによっても、モーターを駆動し、便座12及び便蓋13を起立状態又は倒伏状態に回動させることができる。
【0024】
イオン発生装置20は、ファン21、及びファン21の排気側に延び、先端に送風口23を設けたダクト22を有した乾燥装置を利用したものである。この乾燥装置は、便座装置本体11内に組み込まれるものであり、便座装置本体11内に吸気口21Aを有したファン21と、このファン21のケース21Bに連続して排気側に延びるダクト22とを有している。ダクト22は、ファン21のケース21Bに連続して内部が空洞であるダクト本体22Aと、ダクト本体22A内に突出自在に収納したノズル22Bとから構成されている。
【0025】
ダクト本体22Aはファン21側の内部に発熱源である電熱線24を収納している。ノズル22Bは後端が開口してダクト本体22Aの内部に連通している。また、ノズル22Bは、図3に示すように、先端が閉じており、先端部の上面に上方向に開口した送風口23を有している。ノズル22Bは、ダクト本体22Aに組み込まれたモーターMの回転軸に設けられたピニオンPと、ノズル22Bの側面に設けられたラックRとによって、ダクト本体22Aの前端部から進退自在に突出することができる。
【0026】
この乾燥装置を利用したイオン発生装置20は、図1図6に示すように、ファン21の吸気口21Aの上側に下方に向けてイオンを放出するイオン発生器25を取付けて構成されている。つまり、イオン発生器25は、乾燥装置のファン21の吸気側に配置して、ファン21の吸気側にイオンを放出することができる。
【0027】
このようにイオン発生装置20は、乾燥装置のファン21とダクト22を利用してイオン発生装置20を構成している。このため、部品数の増加を抑え、便座装置本体11内の少ないスペースでもイオン発生装置20を便座装置10に組み込むことができる。
【0028】
したがって、実施例のイオン発生装置20は、低コストで便座装置10に容易に組み込むことができる。
【0029】
また、イオン発生装置20はダクト22の前方を開閉するシャッター30を備えている。このシャッター30は便座装置本体11の前端下部に水平方向の軸を中心にして軸支されている。また、このシャッター30は、イオン発生装置20のダクト22(ノズル22Bが突出していない状態)の前方のみならず、図3に示すように、局部洗浄装置の洗浄ノズル40の前方にも延びている。このシャッター30は、イオン発生装置20のノズル22Bがダクト本体22Aから突出したり、局部洗浄装置の洗浄ノズル40がノズル本体41から突出したりすると、前方に押されて水平軸を中心にして前方上方向に揺動する。また、このシャッター30は、イオン発生装置20のノズル22Bがダクト本体22A内に収納され、局部洗浄装置の洗浄ノズル40がノズル本体41内に収納されるとイオン発生装置20のダクト22の前方、及び局部洗浄装置の洗浄ノズル40の前方を閉鎖するように垂下した状態になる(図6参照)。シャッター30は、イオン発生装置20のダクト22の前方、及び局部洗浄装置の洗浄ノズル40の前方を閉鎖するように垂下した状態になることによって、イオン発生装置20のダクト22、及び局部洗浄装置の洗浄ノズル40に用便の際に飛散した屎尿が付着することを防止することができる。
【0030】
便座装置10は、便座装置本体11内に温度センサー51、湿度センサー52、及び臭いセンサー53を組み込んでいる。イオン発生装置20は、これらセンサー51、52、53の出力に応じてイオン発生器25のイオン放出量を制御することができる。つまり、温度や湿度が設定値よりも高いことを温度センサー51や湿度センサー52が検知すると、菌が増殖し易い状況であると判断し、イオン発生器25のイオン放出量を増加する。また、臭気が設定値よりも高いことを臭いセンサー53が検知すると、イオン発生器25のイオン放出量を増加する。このため、この便座装置10は便鉢2内等の除菌、脱臭を良好に行うことができる。また、イオン発生器25を効率よく駆動し、省電力化を図ることができる。
【0031】
このような構成を有する便座装置10は以下のように作動することができる。
【0032】
この便座装置10が取り付けられた水洗式便器を使用するために使用者が水洗式便器に近づくと、人体検知センサー60がその使用者を検知し、便蓋13が倒伏状態から起立状態に自動的に回動する(図1及び図2参照)。
【0033】
そして、水洗式便器の使用者が便座12に着座して用便を行う。用便後、使用者が便座装置10の図示しないリモートコントローラーの局部洗浄スイッチを操作して、局部洗浄工程を実行する。この際、局部洗浄ノズルの洗浄ノズル40がノズル本体41から突出して洗浄水を臀部に向けて噴出する。
【0034】
局部洗浄工程を終了した後、使用者が便座装置10のリモートコントローラーの乾燥スイッチを操作して、臀部乾燥工程を実行する。つまり、使用者が乾燥スイッチを操作すると、イオン発生装置20のダクト本体22Aに組み込まれたモーターMが回転し、ラックアンドピニオン機構によってノズル22Bがダクト本体22Aの前端部から突出しつつ、電熱線24へ通電して、ファン21が回転する。さらに、イオン発生器25がイオンを放出する。
【0035】
この際、イオン発生装置20は、図1及び図2に示すように、ノズル22Bがシャッター30を押し上げ、最も前方へ突出した状態で、イオン発生器25から放出されたイオンが混入した温風をノズル22Bの送風口23から便座12に着座した使用者の臀部に向けて吹き付ける。美肌効果を有するイオンが混入した温風を臀部に吹き付けることによって、臀部を乾燥させつつ、肌の保湿等の美肌効果を奏することができる。また、このイオン発生装置20は、ノズル22Bをダクト本体22Aから前方に突出し、ノズル22Bの先端部の上方向に開口した送風口23から便座12に着座した使用者の臀部に向けてイオンを放出することができるため、美肌効果を有するイオンを便座12に着座した使用者の臀部に効率的に吹き付けることができる。
【0036】
その後、使用者が便座装置10のリモートコントローラーの乾燥スイッチを操作して、臀部乾燥工程を終了する。つまり、臀部乾燥工程を実行中に乾燥スイッチを操作すると、イオン発生装置20のダクト本体22Aに組み込まれたモーターMが逆回転し、ラックアンドピニオン機構によってノズル22Bがダクト本体22A内に収納されつつ、電熱線24への通電を終了し、ファン21の回転を停止する。さらに、イオン発生器25がイオンの放出を終了する。これによって、シャッター30はイオン発生装置20のダクト22の前方、及び局部洗浄装置の洗浄ノズルの前方を閉鎖するように垂下した状態になる。
【0037】
その後、便座12から離座した使用者が水洗式便器から遠ざかり、人体検知センサー60が使用者を検知しなくなると、便蓋13が起立状態から倒伏状態に自動的に回動する。つまり、図4及び図5に示すように、便蓋13が便鉢2を上方から閉じた状態になる。この状態で、便座装置10は、便鉢2内の除菌・脱臭工程を設定時間、実行する。
【0038】
つまり、便蓋13が起立状態から倒伏状態に回動し、便鉢2を上方から閉じた状態になると、自動的に、イオン発生装置20のダクト本体22Aに組み込まれたモーターMが回転し、ラックアンドピニオン機構によって、ノズル22Bの送風口23の後縁がダクト本体22Aの前端部より僅か前方に突出するまでノズル22Bが前進しつつ、ファン21が回転する。さらに、イオン発生器25がイオンを放出する。
【0039】
この際、イオン発生装置20は、ノズル22Bがシャッター30を押し上げつつ、送風口23がシャッター30の下方に位置する状態で、イオンが混入した空気を送風口23から噴き出す。このため、図4に示すように、イオンが混入した空気がシャッター30の下面に衝突して、送風方向が下方に変更される。つまり、イオンが混入した空気を便鉢2の表面に向けて吹き付けることができる。このため、このイオン発生装置20は、便座装置本体11内に組み込んだ際、イオンによる便鉢2の表面の除菌、脱臭を良好に行うことができる。
【0040】
また、便蓋13が便鉢2を上方から閉じた状態でイオン発生装置20が便鉢2内にイオンを拡散する。このため、ほぼ閉空間になった便鉢2内にイオンを充満させることができ、便鉢2内の除菌、脱臭を効果的に行うことができる。
【0041】
便鉢2内の除菌・脱臭工程を開始した後、設定時間が経過すると、便鉢2内の除菌・脱臭工程を終了する。つまり、便鉢2内の除菌・脱臭工程を開始した後、設定時間が経過すると、自動的に、イオン発生装置20のダクト本体22Aに組み込まれたモーターMが逆回転し、ラックアンドピニオン機構によってノズル22Bがダクト本体22A内に収納されつつ、ファン21の回転を停止する。さらに、イオン発生器25がイオンの放出を終了する。
【0042】
便鉢2内の除菌・脱臭工程において、イオン発生器25が放出するイオン放出量は、温度センサー51、湿度センサー52、及び臭いセンサー53の出力に応じて制御される。つまり、温度や湿度が設定値よりも高いことを温度センサー51や湿度センサー52が検知すると、菌が増殖し易い状況であると判断し、イオン発生器25のイオン放出量を増加する。また、臭気が設定値よりも高いことを臭いセンサー53が検知すると、イオン発生器25のイオン放出量を増加する。
【0043】
また、この便座装置10は、水洗式便器を掃除する際等に掃除者等がリモートコントローラーの便座装置本体用除菌・脱臭スイッチを操作して、便座装置本体11内の除菌・脱臭工程を実行することができる。つまり、掃除者等が便座装置本体用除菌・脱臭スイッチを操作すると、図6に示すように、設定時間、ファン21が逆回転し、イオン発生器25がイオンを放出する。これによって、この便座装置10は、便座装置本体11内にイオンを拡散することができるため、便座装置本体11内の除菌、脱臭を容易に行うことができる。
【0044】
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施例に限定されるものではなく、例えば次のような実施例も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)実施例では、便座及び便蓋が人体検知センサーの検知信号に基づいてモーターを駆動して起立状態と倒伏状態との間を自動的に回動するようにしたが、便座及び便蓋は人体検知センサーの検知信号に基づいて起立状態と倒伏状態との間を自動的に回動しなくてもよい。この場合、便座及び便蓋が起立状態か、倒伏状態かを検知する検知装置を有し、便座及び便蓋が倒伏状態であることを検知した際に便鉢内の除菌・脱臭工程の実行を許可するようにしてもよい。
(2)また、リモートコントローラーに設けられた便座・便蓋開閉ボタンを操作することによってモーターを駆動して、便座及び便蓋を起立状態と倒伏状態との間を回動するようにしたが、リモートコントローラーに便座・便蓋開閉ボタンを有さず、モーターを駆動して便座及び便蓋を回動させなくてもよい。
(3)実施例では、ダクトが、ダクト本体とノズルとから構成されていたが、ノズルを有さなくてもよい。この場合ダクトの先端部に斜め上前方向に開口した送風口を設ければよい。
(4)実施例では、イオン発生装置のダクトの前方を開閉するシャッターを備えていたが、シャッターを備えなくてもよい。
(5)実施例では、イオン発生装置のダクトの前方のみならず、局部洗浄装置の洗浄ノズルの前方に延びたシャッターを備えていたが、イオン発生装置のダクトの前方と、局部洗浄装置の洗浄ノズルの前方に別々のシャッターを備えてもよい。
(6)実施例では、便座装置本体内に温度センサー、湿度センサー、及び臭いセンサーを組み込んでいたが、これら各種センサーを備えなくてもよい。又は、これらセンサーの内少なくとも一つを備えてもよい。
(7)実施例では、臀部乾燥工程を実行すると、イオン発生器からイオンを放出したが、イオン発生器からイオンを放出するか否かを選択するスイッチをリモートコントローラーに設けて、そのスイッチを操作することによって、臀部乾燥工程においてイオン発生器からイオンを選択的に放出してもよい。
(8)実施例では、臀部乾燥工程を実行すると、電熱線に通電して送風口から温風を吹き出すようにしたが、電熱線に通電するか否かを選択するスイッチをリモートコントローラーに設けて、そのスイッチを操作することによって、臀部乾燥工程において電熱線に通電を選択的に行ってもよい。
(9)実施例では、人体検知センサーが使用者を検知しなくなると、便蓋が倒伏状態に回動し、便鉢内の除菌・脱臭工程を設定時間、実行したが、便鉢内の除菌・脱臭工程を定期的に実行してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1…便器本体
2…便鉢
10…便座装置
11…便座装置本体
12…便座
13…便蓋
20…(乾燥装置を利用した)イオン発生装置
21…ファン
22…ダクト(22A…ダクト本体、22B…ノズル)
23…送風口
25…イオン発生器
30…シャッター
51…温度センサー
52…湿度センサー
53…臭いセンサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6