特許 6099239 吸収性物品

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】6099239

(24)【登録日】2017年3月3日

(45)【発行日】2017年3月22日

(54)【発明の名称】吸収性物品

(51)【国際特許分類】

   A61F 13/532 20060101AFI20170313BHJP

   A61F 13/53 20060101ALI20170313BHJP

   A61F 13/535 20060101ALI20170313BHJP

【ＦＩ】

   A61F13/532 200

   A61F13/53 100

   A61F13/535 100

【請求項の数】7

【全頁数】26

(21)【出願番号】特願2012-131859(P2012-131859)

(22)【出願日】2012年6月11日

(65)【公開番号】特開2013-255557(P2013-255557A)

(43)【公開日】2013年12月26日

【審査請求日】2015年3月13日

(73)【特許権者】

【識別番号】000000918

【氏名又は名称】花王株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】110002170

【氏名又は名称】特許業務法人翔和国際特許事務所

(74)【代理人】

【識別番号】100101292

【弁理士】

【氏名又は名称】松嶋 善之

(74)【代理人】

【識別番号】100155206

【弁理士】

【氏名又は名称】成瀬 源一

(72)【発明者】

【氏名】柳原 茂人

(72)【発明者】

【氏名】富田 美奈

(72)【発明者】

【氏名】鈴木 彦行

(72)【発明者】

【氏名】佐藤 信也

【審査官】 新田 亮二

(56)【参考文献】

【文献】 特開２００９−１１９１５４（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２０１０−２６８９１９（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平１１−２１６１６１（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開平０６−３１１９９８（ＪＰ，Ａ）

【文献】 特開２００９−１３１５９３（ＪＰ，Ａ）

(58)【調査した分野】（Int.Cl.，ＤＢ名）

Ａ６１Ｆ １３／１５ − １３／８４

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、
前記吸収性コアは、吸収性物品の縦方向に延びる縦溝と、吸収性物品の横方向に延びる横溝と、該縦溝及び該横溝で区画された部位に該縦溝及び該横溝それぞれの部位より坪量の高い複数の縦長の高坪量部とからなるブロック形状領域を有しており、
前記縦溝と前記横溝とは、溝の底部分の厚みが同じか若しくは該横溝の方が薄く、平面視して、該横溝の幅が該縦溝の幅より広い吸収性物品。

【請求項2】

前記吸収性コアは、肌対向面側が平坦であり、非肌対向面側に表面シート側から裏面シート側に向けて隆起した隆起部と裏面シート側から表面シート側に向けて窪んだ窪み部とが形成されている請求項１記載の吸収性物品。

【請求項3】

前記吸収性コアは、前記ブロック形状領域と、該ブロック形状領域の外周に亘って配された非ブロック領域を有しており、腹側部における全体の幅が背側部における全体の幅と同じであり、前記ブロック形状領域の幅が腹側部と背側部とで同じである請求項１又は２記載の吸収性物品。

【請求項4】

前記吸収体は、前記吸収性コアと該吸収性コアを包む被覆材とを有し、該被覆材と前記吸収性コアの非肌対向面とが非肌側吸収体接着剤により接合されており、該非肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に塗工されている請求項１〜３の何れか１項記載の吸収性物品。

【請求項5】

前記吸収性コアは、最も非肌対向面側に、パルプ単体の層が形成されている請求項１〜４の何れか１項記載の吸収性物品。

【請求項6】

前記表面シートは、肌対向面側に凸の多数の凸部と該凸部に隣接する凹部とを有し、該表面シートの肌対向面側が凹凸構造となっている請求項１〜５の何れか１項記載の吸収性物品。

【請求項7】

前記吸収体と前記表面シートとの間に親水性の中間シートが配されている請求項１〜６の何れか１項記載の吸収性物品。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、使い捨ておむつ等の吸収性物品に関する。

【背景技術】

【0002】

従来、平面方向に延設された溝状の空間が設けられたブロック状の吸収体（吸収性コア）を用いた吸収性物品が知られている（特許文献１参照）。特許文献１に記載の吸収性物品は、吸収体が、高分子吸収体の含有比率が高く親水性繊維の含有比率が低い第１の領域と、第１の領域より高分子吸収体の含有比率が低く繊維質材の含有比率が高い第２の領域と、外面シート側に設けられた第２の領域から内面シート側に設けられた第１の領域内まで貫通する空間とが設けられた吸収体（吸収性コア）を有している。特許文献１に記載の吸収性物品は、このような吸収体を有しているので、ゲルブロッキングを効果的に防止できる場合がある。

【0003】

これとは別の技術として、本出願人は、先に、吸収体（吸収性コア）が、基板シート上に、平面視において分断された複数の小吸収部を配して形成されている吸収性物品を提案した（特許文献２参照）。特許文献２には、縦方向に隣り合う小吸収部どうしの間隔と、横方向に隣り合う小吸収部どうしの間隔とを異ならせる事が記載されている。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００９−１１９１５４号公報

【特許文献2】特開２０１１−１３６０３４号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

しかし、特許文献１には、縦方向に延びる空間の幅と横方向に延びる空間の幅との関係について何ら記載されておらず、特許文献１に記載の吸収性物品は、吸収体の吸収容量を有効活用できるものではなかった。

【0006】

また、特許文献２に記載の吸収性物品の吸収体（吸収性コア）は、基板シートと、複数の小吸収部とが一体成形されておらず、別体のものであるため、体液をスムーズに移行させることが難しい場合があり、特許文献２に記載の吸収性物品は、吸収体の吸収容量の有効活用に改善の余地があった。

【0007】

従って、本発明の課題は、吸収体の広い範囲に体液を効率よく拡散させることができ、吸収容量を効率よく活用することのできる吸収性物品を提供することにある。

【課題を解決するための手段】

【0008】

本発明は、肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、前記吸収性コアは、吸収性物品の縦方向に延びる縦溝と、吸収性物品の横方向に延びる横溝と、該縦溝及び該横溝で区画された部位に該縦溝及び該横溝それぞれの部位より坪量の高い複数の縦長の高坪量部とからなるブロック形状領域を有しており、前記縦溝と前記横溝とは、厚みが同じか若しくは該横溝の方が薄く、平面視して、該横溝の幅が該縦溝の幅より広い吸収性物品を提供するものである。

【発明の効果】

【0009】

本発明の吸収性物品によれば、吸収体の広い範囲に体液を効率よく拡散させることができ、吸収体の広い範囲の吸収容量を効率よく活用することができる。

【図面の簡単な説明】

【0010】

【図1】図１は、本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつの斜視図である。

【図2】図２は、図１に示す使い捨ておむつを表面シート側から見た一部破断平面図である。

【図3】図３は、図２のＩ−Ｉ線断面図である。

【図4】図４は、図１に示す使い捨ておむつの有する表面シートの斜視図である。

【図5】図５は、図１に示す使い捨ておむつの有する吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。

【図6】図６は、図５に示す吸収性コアの一部拡大平面図である。

【図7】図７は、本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつに用いる吸収体の製造装置の一例を示す概略図である。

【図8】図８は、図７に示す回転ドラムにおける外周面側の一部（凹部）の幅方向に沿った模式断面図である。

【図9】図９は、図７に示す回転ドラムの凹部に吸収性材料が堆積した状態を示す模式断面図である。

【図10】図１０は、図１に示す使い捨ておむつの着用中に着用者が排泄した際の吸収性コアへの体液の広がりを説明するための説明図である。

【図11】図１１は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる表面シートの斜視図である。

【図12】図１２は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。

【図13】図１３は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。

【図14】図１４は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。

【図15】図１５は、本発明の別の実施形態である使い捨ておむつに用いる吸収性コアを裏面シート側から見た平面図である。

【発明を実施するための形態】

【0011】

以下、本発明の吸収性物品を、その好ましい実施形態に基づき、図１〜図６を参照しながら説明する。図１には本発明の実施形態である展開型の使い捨ておむつの斜視図が示されており、図２には図１に示す使い捨ておむつを表面シート側から見た一部破断平面図が示されており、図３には図２のＩ−Ｉ線断面図が示されている。また、図４には図１に示す使い捨ておむつの有する表面シートの斜視図が示されており、図５には図１に示す使い捨ておむつの有する吸収性コアの平面図が示されており、図６には図５に示す吸収性コアの一部拡大平面図が示されている。

【0012】

本実施形態の使い捨ておむつ１（以下、「おむつ１」ともいう。）は、図１，図２に示すように、肌対向面側に配された表面シート２と、非肌対向面側に配された裏面シート３と、これら両シート２，３間に配された縦長の吸収体４とを備えている。おむつ１は、図２に示すように、縦方向に延びる中心線ＣＬに対して左右対称に形成されている。

【0013】

本実施形態のおむつ１について、詳述すると、おむつ１は、図２に示すように、縦方向（以下「Ｙ方向」ともいう。Ｙ方向：中心線ＣＬに平行な方向をいう。）に、腹側部Ａ、背側部Ｂ及びこれらＡ，Ｂの間に位置する股下部Ｃを有している。腹側部Ａは、おむつ着用時に着用者の腹側に位置する部位であり、背側部Ｂは、着用者の背側に位置する部位であり、股下部Ｃは、着用者の股下に位置する部位である。股下部Ｃは、おむつ１の縦方向（Ｙ方向）中央部に位置している。尚、縦方向（Ｙ方向）に直交する方向を、おむつ１の横方向（以下「Ｘ方向」ともいう。）として説明する。
本明細書において、「肌対向面」とは、おむつ１を構成する表面シート２などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側に配される面であり、「非肌対向面」とは、表面シート２などの各部材の表裏両面のうち、着用時に着用者の肌側とは反対側に向けられる面である。

【0014】

おむつ１は、図２に示すように、腹側部Ａの左右両側縁及び背側部Ｂの左右両側縁それぞれが股下部Ｃの左右両側縁よりも横方向（Ｘ方向）外方に延出している。そして、股下部Ｃの左右両側縁が横方向（Ｘ方向）内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として縦方向（Ｙ方向）中央部が内方に括れた形状を有している。表面シート２及び裏面シート３は、それぞれ、吸収体４の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出している。表面シート２は、図３に示すように、その横方向（Ｘ方向）の寸法が、裏面シート３の横方向（Ｘ方向）の寸法より小さくなっている。表面シート２及び裏面シート３はそれぞれ、吸収体４の周縁から外方に延出した延出部において直接的に又は他の部材を介在させて互いに接合されており、吸収体４を挟持・固定している。吸収体４を固定する接着剤５については、後で詳述する。

【0015】

おむつ１は、図１，図２に示すように、いわゆる展開型のおむつであり、背側部Ｂの左右両側縁部に一対のファスニングテープ７，７が設けられ、腹側部Ａの外表面（非肌対向面）に、該ファスニングテープ７，７を止着させるランディングテープ８が設けられている。図２に示すように、おむつ１の縦方向（Ｙ方向）に沿う両側部それぞれには、Ｙ方向に伸長状態で固定された弾性部材６１を有する立体ギャザー形成用シート６２が、表面シート２の側部に配され固定されており、これによって一対の立体ギャザー６，６（図１，図３参照）が形成される。また、図２に示すように、おむつ１の縦方向（Ｙ方向）に沿う両側部それぞれには、レッグギャザー形成用の複数本のレッグ弾性部材６３がＹ方向に伸長状態に配されており、レッグ弾性部材６３の収縮によりレッグギャザーが形成される。また、おむつ１の背側部Ｂ側の縦方向（Ｙ方向）端部には、ウエストギャザー形成用のウエスト部弾性部材６４がＸ方向に伸長状態に配されており、ウエスト部弾性部材６４の収縮によりウエストギャザーが形成される。

【0016】

表面シート２は、おむつ１においては、図２〜図４に示すように、肌対向面側に凸の多数の凸部２１と凸部２１に隣接する凹部２２とを有し、表面シート２の肌対向面側が凹凸構造となっており、表面シート２の非肌対向面側が平坦となっている。おむつ１の表面シート２は、図４に示すように、シート状物の第１層２３及び第２層２４からなる。第１層２３は表面シート２の肌対向面を構成し、第２層２４は表面シート２の非肌対向面を構成している。図４に示すように、第１層２３は肌対向面側に突出して内部が空洞となっている多数の凸部２１を形成していると共に凸部２１間に凹部２２を形成している。また、第２層２４が平面状になっている。尚、凹部２２においては、第１層２３と第２層２４とが接合部２５を介して接合されている。凹部２２には接合部２５と、接合部２５の外周縁に非接合部が存在している。

【0017】

おむつ１の表面シート２において、凸部２１は、図４に示すように、４点の接合部２５を有する凹部２２で囲まれ、その底面が平面視して矩形である。また凸部２１は、全体として稜線が丸みを帯びた扁平な直方体又は截頭四角錐体となっている。一方、凹部２２も平面視して矩形となっている。尚、おむつ１の表面シート２においては、凸部２１が４点の接合部２５（凹部２２）で囲まれているが、４点より多くの接合部２５（凹部２２）で囲まれていてもよい。

【0018】

凸部２１及び凹部２２は、おむつ１の表面シート２においては、図４に示すように、Ｙ方向に沿って交互に配された列をなしており、該列は、Ｘ方向に多列に配置されている。一の前記列における任意の一つの凸部２１に着目したときに、該列にＸ方向に隣り合う左右の列においては、該一つの凸部２１と隣り合う位置に凸部２１が位置していない。具体的には、Ｘ方向に隣り合う２つの列において、接合部２５（凹部２２）はＹ方向に半ピッチずつずれて配置されている。従って、一の列における任意の一つの接合部２５（凹部２２）に着目したときに、該一つの接合部２５（凹部２２）はその前後及び左右が凸部２１によって取り囲まれて形成された、閉じた凹部となっている。つまり、表面シート２を第１層２３の側から平面視すると、接合部２５（凹部２２）が千鳥格子状に配置されており、凸部２１も千鳥格子状に配置されている。

【0019】

身体との接触圧を低減し、着用感を良好とする観点から、凸部２１はその高さｈ（図４参照）が、０．５ｍｍ以上、好ましくは１ｍｍ以上、そして、５ｍｍ以下、好ましくは４ｍｍ以下、より具体的には、０．５ｍｍ以上５ｍｍ以下であることが好ましく、１ｍｍ以上４ｍｍ以下であることが更に好ましい。また、Ｙ方向に沿う凸部２１の底部寸法Ｌ１（図４参照）は、２ｍｍ以上、そして、３０ｍｍ以下、好ましくは５ｍｍ以下、より具体的には、２ｍｍ以上３０ｍｍ以下であることが好ましく、２ｍｍ以上５ｍｍ以下であることが更に好ましい。また、Ｘ方向に沿う底部寸法Ｌ２（図４参照）は、２ｍｍ以上、そして、３０ｍｍ以下、好ましくは５ｍｍ以下、より具体的には、２ｍｍ以上３０ｍｍ以下であることが好ましく、２ｍｍ以上５ｍｍ以下であることが更に好ましい。また、凸部２１の底面積は、４ｍｍ²以上、そして、９００ｍｍ²以下、好ましくは２５ｍｍ²以下、より具体的には、４ｍｍ²以上９００ｍｍ²以下であることが好ましく、４ｍｍ²以上２５ｍｍ²以下であることが好ましい。

【0020】

凹部２２の接合部２５のＸ方向への長さＬ３（図４参照）は、０．１ｍｍ以上、好ましくは０．５ｍｍ以上、そして、２０ｍｍ以下、好ましくは５ｍｍ以下、より具体的には、０．１ｍｍ以上２０ｍｍ以下、特に０．５ｍｍ以上５ｍｍ以下であることが、肌触りが良好でクッション感が高い点から好ましい。尚、接合部２５のＹ方向への長さは、長さＬ３と同じである。

【0021】

第１層２３及び第２層２４は同一の又は異なるシート状物からなる。このシート状物は実質的に非伸縮性である。シートの材質としては、従来公知のおむつに用いられる材料において、実質的に非伸縮性であるものであれば、特に制限無く使用することができる。例えばカード法により製造された不織布、スパンボンド不織布、メルトブローン不織布、スパンレース不織布及びニードルパンチ不織布等の種々の不織布が挙げられる。また、開口手段によって液透過可能とされたフィルム等も使用することができる。シート材物として不織布を用いる場合、その構成繊維の繊度は、１ｄｔｅｘ以上、好ましくは１．５ｄｔｅｘ以上、そして、２０ｄｔｅｘ以下、好ましくは５．６ｄｔｅｘ以下、より具体的には、１ｄｔｅｘ以上２０ｄｔｅｘ以下、特に１．５ｄｔｅｘ以上５．６ｄｔｅｘ以下であることが、表面シート２の強度確保、肌触りの向上等の点から好ましい。

【0022】

第１層２３の坪量は、１０ｇ／ｍ²以上、好ましくは１５ｇ／ｍ²以上、そして、１００ｇ／ｍ²以下、好ましくは３０ｇ／ｍ²以下、より具体的には、１０ｇ／ｍ²以上１００ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、１５ｇ／ｍ²以上３０ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。一方、第２層２４の坪量は、５ｇ／ｍ²以上、好ましくは１０ｇ／ｍ²以上、そして、５０ｇ／ｍ²以下、好ましくは３０ｇ／ｍ²以下、より具体的には、５ｇ／ｍ²以上５０ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、１０ｇ／ｍ²以上３０ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。第１層２３及び第２層２４を含めた表面シート２の全体の坪量は、１５ｇ／ｍ²以上、好ましくは２０ｇ／ｍ²以上、そして、１５０ｇ／ｍ²以下、好ましくは６０ｇ／ｍ²以下、より具体的には、１５ｇ／ｍ²以上１５０ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、２０ｇ／ｍ²以上６０ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。

【0023】

以上の構造を有する表面シート２の好適な製造方法は、本出願人の先の出願に係る特開２００４−１７４２３４号公報や特開２００５−１１１９０８号公報に記載されている。

【0024】

吸収体４は、図２，図３に示すように、吸収ポリマーを含む吸収性コア４１を有しており、おむつ１においては、吸収性コア４１を包む被覆材４２も有している。吸収体４は、おむつ１においては、縦方向（Ｙ方向）に長い液保持性の吸収性コア４１を、液透過性の親水性シートである被覆材４２で被覆して形成されている。

【0025】

吸収性コア４１は、図２，図５に示すように、縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙと、横方向（Ｘ方向）に延びる横溝４４Ｘと、縦溝４４Ｙ及び横溝４４Ｘで区画された部位に配され且つ溝４４Ｙ及び横溝４４Ｘそれぞれの部位より坪量の高い複数の縦長の高坪量部４３とからなるブロック形状領域４１１を有している。尚、以下において、縦溝４４Ｙ及び横溝４４Ｘは、それらに位置する部位の吸収性コア４１が、高坪量部４３に比べて相対的に坪量の低い部分であるため、溝４４Ｙ及び横溝４４Ｘそれぞれの部位のことを総称して「低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）」ともいう。吸収性コアについて詳述すると、吸収性コア４１は、おむつ１においては、図３に示すように、相対的に坪量が高く裏面シート３側に凸の高坪量部４３と、高坪量部４３に隣接して相対的に坪量が低く表面シート２側に凹んだ低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）とを有している。吸収性コア４１は、高坪量部４３及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）が一体成形されている。おむつ１の吸収性コア４１は、図３に示すように、吸収性コア４１の非肌対向面側に表面シート２側から裏面シート３側に向けて隆起した隆起部（高坪量部４３）と裏面シート３側から表面シート２側に向けて窪んだ窪み部（低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ））が形成されている。そして、吸収性コア４１の肌対向面側が平坦となっている。以下、吸収性コアについて更に詳述する。

【0026】

おむつ１における吸収性コア４１の低坪量部４４は、図２，図５に示すように、横方向（Ｘ方向）に延びる線状（連続直線状）の複数の横溝４４Ｘに位置する部位と、縦方向（Ｙ方向）に延びる線状（連続直線状）の複数の縦溝４４Ｙに位置する部位とからなる。おむつ１の備える吸収性コア４１のブロック形状領域４１１は、横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝４４Ｘと、縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝４４Ｙとにより、全体として格子状に形成されており、これら直線状の横溝４４Ｘ及び縦溝４４Ｙで区画された部位（格子の目の位置）それぞれに、縦方向（Ｙ方向）に長い高坪量部４３が配されて形成されている。

【0027】

吸収性コア４１は、図２，図３，図５に示すように、格子状に配された横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙと、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された部位に配された高坪量部４３とからなるブロック形状領域４１１を有し、おむつ１においては、更に、ブロック形状領域４１１の外周に亘って配された非ブロック領域４１２を有している。吸収性コア４１は、図５に示すように、腹側部Ａにおける全体の幅Ｗ_Aが背側部Ｂにおける全体の幅Ｗ_Bと同じであり、腹側部Ａにおけるブロック形状領域４１１の幅Ｗ_A1が背側部Ｂにおけるブロック形状領域４１１の幅Ｗ_B1とで同じである。即ち、図２，図５に示すように、ブロック形状領域４１１は、縦方向（Ｙ方向）に長い矩形状に形成されており、ブロック形状領域４１１の腹側部Ａの幅Ｗ_A1と背側部Ｂの幅Ｗ_B1とが同じとなっている。ブロック形状領域４１１の外周に亘って配された非ブロック領域４１２は、図２，図５に示すように、全体の幅Ｗ_Aと全体の幅Ｗ_Bとが同じになるように、腹側部Ａにおける両側縁及び背側部Ｂにおける両側縁それぞれが股下部Ｃにおける両側縁よりも横方向（Ｘ方向）外方に同じ長さで延出しており、全体として縦方向（Ｙ方向）中央部から腹側部Ａ寄りの部分が内方に括れた形状に形成されており、背側部Ｂの全体面積が腹側部Ａの全体面積よりも大きくなっている。非ブロック領域４１２は、高坪量部４１と同様に、吸収性材料が低坪量部４４に比べて多くなっている。

【0028】

吸収性コア４１のブロック形状領域４１１について更に具体的に説明すると、おむつ１においては、図５に示すように、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が、規則的に横方向（Ｘ方向）に５個配されたブロック構造が、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って、規則的に縦方向（Ｙ方向）に１４行配されて形成されている。おむつ１のブロック形状領域４１１においては、図５に示すように、６本の縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙが、それぞれ、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って直線状に配されている。

【0029】

上述したように、図３に示すように、吸収性コア４１の高坪量部４３及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）は一体成形されており、おむつ１においては、非ブロック領域４１２も高坪量部４３及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）と一体成形されている。ここで「一体成形されている」とは、高坪量部４３、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）及び非ブロック領域４１２が、接着剤や熱融着等の接合手段を介さずに互いに分離不可能に一体化されており、同一の材料から一体的に形成されていることを意味する。このように高坪量部４３、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）及び非ブロック領域４１２が一体成形されていると、体液がスムーズに移動し得る連続性を有するようになる。このような吸収体４の製造方法については後で説明する。

【0030】

おむつ１においては、吸収性コア４１は、図３に示すように、最も非肌対向面側に、パルプ単体の層４１０が形成されている。具体的に説明すると、ブロック形状領域４１１を構成する高坪量部４３は裏面シート３側に凸となっており、非ブロック領域４１２も裏面シート３側に凸となっている。また、おむつ１においては、図３に示すように、ブロック形状領域４１１を構成する低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）は表面シート２側に凹んでいる。このように、おむつ１の吸収性コア４１は、図３に示すように、おむつ１の厚み方向Ｔにおいて、非肌対向面側に表面シート２側から裏面シート３側に向けて隆起した隆起部（高坪量部４３）と裏面シート３側から表面シート２側に向けて窪んだ窪み部（低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ））が形成されており、最も非肌対向面側、即ち、高坪量部４３及び非ブロック領域４１２それぞれの頂部部分がパルプ単体の層４１０で形成されている。

【0031】

また、吸収性コア４１の表面シート２側に窪んだ窪み部（溝）は、主として低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）により形成されており、吸収性コア４１の裏面シート３側に隆起する隆起部は、主として高坪量部４３及び非ブロック領域４１２により形成されている。ここで、「窪み部は、主として低坪量部４４により形成される」とは、例えば低坪量部４４と高坪量部４３との境界付近の高坪量部４３が該凹部の一部を形成している場合を含む意味であり、同様に、「隆起部は、主として高坪量部４３及び非ブロック領域４１２により形成される」とは、例えば高坪量部４３と低坪量部４４との境界付近の低坪量部４４が該窪み部の一部を形成している場合を含む意味である。

【0032】

また、おむつ１の吸収性コア４１は、低坪量部４４が、図３に示すように、おむつ１の厚み方向Ｔにおいて、表面シート２側（吸収体４の肌対向面側）に偏在している。吸収性コア４１は、その表面シート２側が、図３に示すように、平坦となっている。

【0033】

本発明の吸収性物品の備える吸収体４の吸収性コア４１は、図５，図６に示すように、縦溝４４Ｙと横溝４４Ｘで区画された部位に配された複数の高坪量部４３それぞれが、縦方向（Ｙ方向）に長く形成されており、縦溝４４Ｙと横溝４４Ｘとは、厚みが同じか若しくは縦溝４４Ｙより横溝４４Ｘの方が薄く、平面視して、横溝４４Ｘの幅が縦溝４４Ｙの幅より広いことに特徴を有している。尚、 液吸収及び液拡散の観点から、縦溝４４Ｙと横溝４４Ｘとは、厚みが同じか、縦溝４４Ｙより横溝４４Ｘの方が厚みが薄い方が好ましい。

【0034】

吸収性コア４１は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向（Ｙ方向）の全長が２５０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であり、横方向（Ｘ方向）の全幅が５０ｍｍ以上２００ｍｍ以下であることが好ましい。
ブロック形状領域４１１は、その縦方向（Ｙ方向）の長さが、吸収性コア４１のＹ方向の全長の、７０％以上、好ましくは８５％以上の長さ、そして、９８％以下、好ましくは９５％以下の長さ、より具体的には、７０％以上９８％以下の長さであることが好ましく、８５％以上９５％以下の長さであることが更に好ましい。
ブロック形状領域４１１は、その横方向（Ｘ方向）の長さが、吸収性コア４１のＸ方向の全幅の、３０％以上、好ましくは５０％以上の長さ、そして、９０％以下、好ましくは７０％以下の長さ、より具体的には、３０％以上９０％以下の長さであることが好ましく、５０％以上７０％以下の長さであることが更に好ましい。
ブロック形状領域４１１は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向（Ｙ方向）の全長が１００ｍｍ以上５４０ｍｍ以下であり、横方向（Ｘ方向）の全幅が２０ｍｍ以上１４０ｍｍ以下であることが好ましい。
非ブロック領域４１２は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向（Ｙ方向）の両端部それぞれの縦方向（Ｙ方向）の長さが、１０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下であることが好ましい。
非ブロック領域４１２は、使い捨ておむつに用いられる場合においては、縦方向（Ｙ方向）に沿う両側部それぞれの横方向（Ｘ方向）の長さが、腹側部Ａでは１０ｍｍ以上４０ｍｍ以下であることが好ましく、股下部Ｃでは１０ｍｍ以上３０ｍｍ以下であることが好ましく、背側部Ｂでは１０ｍｍ以上４０ｍｍ以下であることが好ましい。

【0035】

ブロック形状領域４１１を構成する高坪量部４３及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）のサイズ・坪量等について更に詳述する。
高坪量部４３は、おむつ１においては、図２に示すように、平面視して、縦方向（Ｙ方向）に長い矩形状に形成されている。尚、おむつ１においては、高坪量部４３を平面視して、矩形状に形成されているが、四隅が円弧状となっていてもよく、多角形状、楕円、それらの組み合わせ等であってもよい。
おむつ１の高坪量部４３は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、図６に示すように、その縦方向（Ｙ方向）の長さＬ４が、５ｍｍ以上、好ましくは１５ｍｍ以上、そして、３０ｍｍ以下、好ましくは２５ｍｍ以下、より具体的には、５ｍｍ以上３０ｍｍ以下であることが好ましく、１５ｍｍ以上２５ｍｍ以下であることが更に好ましい。また、その横方向（Ｘ方向）の長さＬ５が、３ｍｍ以上、好ましくは５ｍｍ以上、そして、２０ｍｍ以下、好ましくは１５ｍｍ以下、より具体的には、３ｍｍ以上２０ｍｍ以下であることが好ましく、５ｍｍ以上１５ｍｍ以下であることが更に好ましい。

【0036】

横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝４４Ｘの幅Ｌ６は、図６に示すように、縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝４４Ｙの幅Ｌ７よりも広く、幅Ｌ６／幅Ｌ７は、１１０％以上、好ましくは１２０％以上の広さ、そして、５００％以下、好ましくは３００％以下の広さ、より具体的には、１１０％以上５００％以下の広さであることが好ましく、１２０％以上３００％以下の広さであることが更に好ましい。
横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝４４Ｘの幅Ｌ６は、高坪量部４３の縦方向（Ｙ方向）の長さ（Ｌ４）の、２％以上、好ましくは５％以上の長さ、そして、２５％以下、好ましくは２０％以下の長さ、より具体的には、２％以上２５％以下の長さであることが好ましく、５％以上２０％以下の長さであることが更に好ましい。
縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝４４Ｙの幅Ｌ７は、高坪量部４３の横方向（Ｘ方向）の長さＬ５の、２％以上、好ましくは１０％以上の長さ、そして、３０％以下、好ましくは２５％以下の長さ、より具体的には、２％以上３０％以下の長さであることが好ましく、１０％以上２５％以下の長さであることが更に好ましい。
横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝４４Ｘの幅Ｌ６は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、０．５ｍｍ以上、好ましくは１ｍｍ以上、そして、５ｍｍ以下、好ましくは３ｍｍ以下、より具体的には、０．５ｍｍ以上５ｍｍ以下であることが好ましく、１ｍｍ以上３ｍｍ以下であることが更に好ましい。
縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝４４Ｙの幅Ｌ７は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、０．０１ｍｍ以上、好ましくは０．０２ｍｍ以上、そして、４．６ｍｍ以下、好ましくは２．８ｍｍ以下、より具体的には、０．０１ｍｍ以上４．６ｍｍ以下であることが好ましく、０．０２ｍｍ以上２．８ｍｍ以下であることが更に好ましい。
尚、幅Ｌ４，Ｌ５は、吸収体４における窪み部（低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ））の底部の位置での測定値である。

【0037】

横溝４４Ｘと縦溝４４Ｙとは、厚さが同じか若しくは縦溝４４Ｙより横溝４４Ｘの方が薄く形成されており、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の厚さ（低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の底部分の厚み）は、高坪量部４３の厚みの、３０％以上９０％以下であることが好ましい。具体的には、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の厚みは、１．５ｍｍ以上、好ましくは２．５ｍｍ以上、そして、４．５ｍｍ以下、好ましくは４．０ｍｍ以下、より具体的には、１．５ｍｍ以上４．５ｍｍ以下であることが好ましく、２．５ｍｍ以上４．０ｍｍ以下であることが更に好ましい。更に縦溝４４Ｙの厚みと横溝４４Ｘの厚みとについて詳述すると、縦溝４４Ｙより横溝４４Ｘの方が薄く、縦溝４４Ｙの厚みは、１．５ｍｍ以上、好ましくは２．５ｍｍ以上、そして、４．５ｍｍ以下、好ましくは４．０ｍｍ以下、より具体的には、１．５ｍｍ以上４．５ｍｍ以下であることが好ましく、２．５ｍｍ以上４．０ｍｍ以下であることが更に好ましい。そして、横溝４４Ｘの厚みは、１．５ｍｍ以上、好ましくは２．５ｍｍ以上、そして、４．５ｍｍ以下、好ましくは４．０ｍｍ以下、より具体的には、１．５ｍｍ以上４．５ｍｍ以下であることが好ましく、２．５ｍｍ以上４．０ｍｍ以下であることが更に好ましい。高坪量部４３の厚みは、２ｍｍ以上、好ましくは３ｍｍ以上、そして、８ｍｍ以下、好ましくは７ｍｍ以下、より具体的には、２ｍｍ以上８ｍｍ以下であることが好ましく、３ｍｍ以上７ｍｍ以下であることが更に好ましい。非ブロック領域４１２の厚みは、高坪量部４１の厚みと同様である。
尚、高坪量部４３、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）及び非ブロック領域４１２の厚みは、所定のサイズにサンプルをカットし、５ｋＰａで測定部位を１０分間加圧し、除重後すぐに測定を行う。測定箇所は、１枚辺り腹側部、股間部、背側部の任意それぞれ１点以上を含む３点以上とし、おむつサンプル２枚（測定箇所６点以上）の平均で厚みを出す。例えばおむつ１を、鋭利なかみそりで、図２に示す縦方向（Ｙ方向）、又は横方向（Ｘ方向）に切断し、この切断されたサンプルの断面を測定する。高坪量部４３及び非ブロック領域４１２の厚みは凸部の中で最も厚い位置で測定した値であり、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の厚みは凹部の底部の中で最も薄い位置で測定した値である。肉眼にて測定し難い場合には、前記切断されたサンプルの断面を、例えば、マイクロスコープ（ＫＥＹＥＮＣＥ社製ＶＨＸ−１０００）を用いて２０〜５０倍の倍率で観察し、測定してもよい。

【0038】

低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、吸収体の広い範囲に体液を効率よく拡散させること及び吸収容量を効率よく活用することや柔らかさの観点から、その坪量が、高坪量部４３の坪量の、２０％以上、好ましくは３０％以上、そして、８０％以下、好ましくは７０％以下、より具体的には、２０％以上８０％以下であることが好ましく、３０％以上７０％以下であることが更に好ましい。
具体的には、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）は、その坪量が、１００ｇ／ｍ²以上、好ましくは１５０ｇ／ｍ²以上、そして、５００ｇ／ｍ²以下、好ましくは４００ｇ／ｍ²以下、より具体的には、１００ｇ／ｍ²以上５００ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、１５０ｇ／ｍ²以上４００ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。また、高坪量部４３は、その坪量が、３００ｇ／ｍ²以上、好ましくは３５０ｇ／ｍ²以上、そして、９００ｇ／ｍ²以下、好ましくは８００ｇ／ｍ²以下、より具体的には、３００ｇ／ｍ²以上９００ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、３５０ｇ／ｍ²以上８００ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。非ブロック領域４１２の坪量は、高坪量部４１の坪量と同様である。
高坪量部４３及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の坪量は次のようにして測定される。

【0039】

＜坪量の測定方法＞
高坪量部４３、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）及び非ブロック領域４１２の坪量の測定方法は以下の通りである。
吸収性コア４１における高坪量部４３と低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の境界線に沿ってフェザー社製片刃剃刀を用いて切断する。切断して得られた高坪量部４３の小片１０個をそれぞれ電子天秤(Ａ＆Ｄ社製電子天秤ＧＲ−３００、精度：小数点以下４桁)を用いて測定し、高坪量部４３の小片１個の平均重量を求める。求めた平均重量を高坪量部４３の小片１個当りの平均面積で除して高坪量部４３の坪量を算出する。非ブロック領域４１２の坪量も高坪量部４３の坪量と同様にして算出する。
次いで、高坪量部４３と低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の縦方向（Ｙ方向）に延びた境界線に沿って、長さ１００ｍｍ、幅は低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の幅の設計寸法に合わせて、フェザー社製片刃剃刀を用いて、細いストライプ状の低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の小片５個を切り出す。得られた小片５個をそれぞれ電子天秤(Ａ＆Ｄ社製電子天秤ＧＲ−３００、精度：小数点以下４桁)を用いて測定し、平均して低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の小片１個の平均重量を求める。求めた平均重量を低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の小片１個当たりの平均面積で除して低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）の坪量を算出する。低坪量部４４（横溝４４Ｘ）についても、低坪量部４４（縦溝４４Ｙ）と同様にして坪量を算出する。

【0040】

おむつ１の吸収体４においては、高坪量部４３及び非ブロック領域４１２は、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）に比してほぼ同じか若しくは高密度に形成されている。
低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）は、吸収性物品が例えば使い捨ておむつに用いられる場合においては、液拡散や吸収体の屈曲性やフィット性の観点から、その密度が、高坪量部４３の密度の、５０％以上、好ましくは７５％以上、そして、１００％以下、好ましくは９５％以下、より具体的には、５０％以上１００％以下であることが好ましく、７５％以上９５％以下であることが更に好ましい。
具体的には、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）は、その密度が、０．０５ｇ／ｃｍ³以上、好ましくは０．０７ｇ／ｃｍ³以上、そして、０．１５ｇ／ｃｍ³以下、好ましくは０．１３ｇ／ｃｍ³以下、より具体的には、０．０５ｇ／ｃｍ³以上０．１５ｇ／ｃｍ³以下であることが好ましく、０．０７ｇ／ｃｍ³以上０．１３ｇ／ｃｍ³以下であることが更に好ましい。また、高坪量部４３は、その密度が、０．０５ｇ／ｃｍ³以上、好ましくは０．０７ｇ／ｃｍ³以上、そして、０．１５ｇ／ｃｍ³以下、好ましくは０．１３ｇ／ｃｍ³以下、より具体的には、０．０５ｇ／ｃｍ³以上０．１５ｇ／ｃｍ³以下であることが好ましく、０．０７ｇ／ｃｍ³以上０．１３ｇ／ｃｍ³以下であることが更に好ましい。非ブロック領域４１２の密度は、高坪量部４１の密度と同様である。
高坪量部４３、非ブロック領域４１２及び低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の密度は、上述した方法により求めた高坪量部４３、非ブロック領域４１２及び低密度部４４の坪量を、上述した方法により求めたそれぞれの厚みで除して算出される。

【0041】

また、おむつ１においては、吸収性コア４１の低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）と被覆材４２との間には空間９が形成されている。即ち、吸収体４には、吸収性コア４１と吸収性コア４１を包む被覆材４２とにより形成される空間９が形成されている。上述したように、おむつ１においては、図２，図３に示すように、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）が吸収性コア４１の裏面シート３（非肌対向面）側に全体として格子状に形成され、格子の目の位置に高坪量部４３が配されており、低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）が高坪量部４３を取り囲むように形成されている。従って、おむつ１においては、図２，図３に示すように、表面シート２側に凹んだ横溝４４Ｘと被覆材４２により形成される複数の空間９Ｘが、横溝４４Ｘに対応して横方向（Ｘ方向）にそれぞれ連続的に延びており、表面シート２側に窪んだ縦溝４４Ｙと被覆材４２により形成される複数の空間９Ｙが、縦溝４４Ｙに対応して縦方向（Ｙ方向）にそれぞれ連続的に延びている。

【0042】

使い捨ておむつ１においては、図３に示すように、吸収体４と表面シート２との間に親水性の中間シート５が配されている。具体的には、表面シート２と吸収体４を構成する被覆材４２との間に、縦方向（Ｙ方向）に長い矩形状の中間シート５が配されている。このような中間シート５は、所謂、サブレイヤーシートであり、吸収体４を構成する吸収性コア４１を覆うように、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って配されている。中間シート５（サブレイヤーシート）は、その坪量が１５ｇ／ｍ²以上１００ｇ／ｍ²以下であることが好ましい。中間シート（サブレイヤーシート）としては、親水性繊維を主体とするシート（親水性繊維の含有量が好ましくは９０質量％以上のシート）を用いることができ、該シートとしては、例えば、紙、不織布、ウエブ等が挙げられる。

【0043】

おむつ１においては、吸収性コア４１と吸収性コア４１を包む被覆材４２とが接着剤を介して固定されており、固定された吸収性コア４１及び被覆材４２を有する吸収体４が、表面シート２及び裏面シート３それぞれと接着剤を介して固定されている。特に、おむつ１においては、被覆材４２と吸収性コア４１の非肌対向面４１Ｕとが非肌側吸収体接着剤５１Ｕにより接合されており、非肌側吸収体接着剤５１Ｕは、おむつ１の横方向（Ｘ方向）に間欠的に且つ縦方向（Ｙ方向）に一直線状に塗工されている。具体的には、おむつ１においては、図３に示すように、１枚の被覆材４２を用いて、被覆材４２の両側部を折り返し、吸収性コア４１の裏面シート３側に、被覆材４２の側縁部どうしを重ねるようにして吸収性コア４１を包んでいる。そのため、１枚の被覆材４２において、吸収性コア４１の肌対向面４１Ｔ側に配された部位が肌側被覆部材４２１となり、吸収性コア４１の非肌対向面４１Ｕ側に配された部位が非肌側被覆部材４２２となっている。尚、おむつ１においては、前述のとおり、肌側被覆部材４２１及び非肌側被覆部材４２２が１枚の被覆材４２から形成されているが、別々の２枚の被覆材から形成されていてもよい。そして、被覆材４２における裏面シート３側の非肌側被覆部材４２２と吸収性コア４１の非肌対向面４１Ｕとが非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕ（図３（ａ）参照）を介して固定されている。

【0044】

非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕは、おむつ１においては、図３（ａ）に示すように、例えばコーターガンを用いて横方向（Ｘ方向）に間欠的に且つ縦方向（Ｙ方向）に一直線状に塗工されており、全体視してストライプ状に塗工されている。横方向（Ｘ方向）に隣り合う非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕどうしの間隔は、０．５ｍｍ以上１５ｍｍ以下であることが好ましい。非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕの塗工の坪量（塗工量）は、０．５ｇ／ｍ²以上、好ましくは１ｇ／ｍ²以上、そして、１５ｇ／ｍ²以下、好ましくは１０ｇ／ｍ²以下、より具体的には、０．５ｇ／ｍ²以上１５ｇ／ｍ²以下であることが好ましく、
１ｇ／ｍ²以上１０ｇ／ｍ²以下であることが更に好ましい。

【0045】

次に、おむつ１の備える吸収体４、即ち、高坪量部４３（高密度）、非ブロック領域４１２（高密度）及び低坪量部４４（低密度）（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）が一体成形された吸収性コア４１を備える吸収体４の製造方法を説明する。
図７には、吸収体４の製造方法の一実施態様及びそれに用いる製造装置が示されている。吸収体４の製造装置は、矢印Ｒ１方向に回転駆動される回転ドラム５０と、回転ドラム５０の外周面に吸収性コア４１の原料である吸収ポリマーを含む吸収性材料４５を供給するダクト６０と、回転ドラム５０の下流側の斜め下方に配置され、矢印Ｒ２方向に回転駆動されるトランスファーロール７０と、回転ドラム５０の周方向におけるダクト６０とトランスファーロール７０との間に配置されたバキュームボックス６５と、バキュームボックス６５と回転ドラム５０との間及びトランスファーロール７０と回転ドラム５０との間を通るように配された、シート状の通気性部材であるメッシュベルト７５と、トランスファーロール７０の下方に配されたバキュームコンベア８０とを備えている。

【0046】

回転ドラム５０は、図７に示すように、円筒状をなし、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周面を形成する部材が水平軸回りを回転する。回転ドラム５０の内側（回転軸側）の非回転部分には内部を減圧可能な空間５６が形成されている。空間５６には、吸気ファン等の公知の排気装置（図示せず）が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間５６内を負圧に維持可能である。他方、回転ドラム５０の内側（回転軸側）の空間５７及び５８には、装置外の空気を取り込み可能な配管（図示せず）が接続されている。

【0047】

図７に示すように、回転ドラム５０の外周面には、製造する吸収性コア４１の形状に対応する形状のドラム凹部５１が複数個、Ｒ１方向に等間隔を空けて形成されている。各ドラム凹部５１の底面部には、図８に示すように、多数の細孔が形成されたメッシュプレート５２と、金属製又は樹脂製の難通気性部材５３とが配されている。ここで、難通気性部材５３は、メッシュプレート５２上に突出するように設けられており、上述した低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の形状及び位置に対応するように配されている。即ち、横溝４４Ｘに対応する通気性部材５３は、縦溝４４Ｙに対応する通気性部材５３の幅よりも広く形成されている。図８に示すように、このように配された難通気性部材５３により区画されたメッシュプレート５２のみからなる領域５４が、高坪量部４３に対応する部分となり、難通気性部材５３により区画された部分の外周全域におけるメッシュプレート５２のみからなる領域５５が、非ブロック領域４１２に対応する部分となる。また、ドラム凹部５１が形成されていない、回転ドラム５０の外周面の部分は、金属製の剛体からなる回転ドラム５０のフレーム体からなり、非通気性である。

【0048】

ダクト６０は、図７に示すように、その一端側が、負圧に維持される空間５６上に位置する回転ドラム５０の外周面を覆っており、図示しない他端側には、繊維材料導入装置を有している。繊維材料導入装置は、例えば、シート状の木材パルプを粉砕して解繊パルプとし、その解繊したパルプ（繊維材料）をダクト内に送り込む粉砕器を備え、ダクト６０の途中に吸収ポリマーを導入する吸収ポリマー導入部を備えている。

【0049】

トランスファーロール７０は、通気性を有する円筒状の外周部を有しており、モータ等の原動機からの動力を受けて、その外周部がＲ２方向に回転する。トランスファーロール７０の内側（回転軸側）の非回転部分には、内部を減圧可能な空間７１が形成されている。空間７１には、吸気ファン等の公知の排気装置（図示せず）が接続されており、該排気装置を作動させることにより、空間７１内を負圧に維持可能である。

【0050】

バキュームボックス６５は、回転ドラム５０の回転方向Ｒ１において、ダクト６０の下流側端部６０１と、トランスファーロール７０との間に配置されている。バキュームボックス６５は、箱状の形状を有し、回転ドラム５０に対向する部位に、回転ドラム５０方向に向かって開口する開口部を有している。バキュームボックス６５は、排気管６７を介して、吸気ファン等の公知の排気装置（図示せず）が接続されており、該排気装置の作動により、バキュームボックス６５内を負圧に維持可能である。

【0051】

メッシュベルト７５は、網目を有する帯状の通気性ベルトが無端状に連結されたものであり、複数のフリーロール及びトランスファーロール７０に案内されて所定の経路を連続的に移動する。メッシュベルト７５は、トランスファーロール７０の回転によって駆動される。メッシュベルト７５は、バキュームボックス６５の前記開口部の前を通過している間は、回転ドラム５０の外周面に接触しており、トランスファーロール７０と回転ドラム５０とが最も接近している最接近部付近で、回転ドラム５０の外周面から離れてトランスファーロール７０上へと移行する。

【0052】

バキュームコンベア８０は、駆動ロール８１及び従動ロール８２に架け渡された無端状の通気性ベルト８３と、通気性ベルト８３を挟んでトランスファーロール７０と対向する位置に配されたバキュームボックス８４とを備えている。

【0053】

次に、上述した吸収体の製造装置を用いて吸収体４（吸収性コア４１）を連続的に製造する方法について説明する。
先ず、回転ドラム５０内の空間５６、及びバキュームボックス６５内を、それぞれに接続された排気装置を作動させて負圧にする。このように、空間５６内を負圧にすることで、ダクト６０内に、吸収性材料４５を回転ドラム５０の外周面に搬送させる空気流が生じるからである。次に、回転ドラム５０及びトランスファーロール７０を回転させ、また、バキュームコンベア８０を作動させる。そして、前記繊維材料導入装置を作動させて、ダクト６０内に、先ず解繊したパルプ（繊維材料）を供給する。パルプ（繊維材料）は、ダクト６０内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム５０の外周面に向けて供給される。

【0054】

ダクト６０に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム５０のドラム凹部５１には、パルプ（繊維材料）が吸引される。パルプ（繊維材料）は、図９に示すように、ドラム凹部５１の各領域５４及び領域５５のメッシュプレート５２上に徐々に堆積する。こうして得られたパルプ（繊維材料）の堆積物４１０ａがパルプ単体の層４１０に対応する部分となる。

【0055】

次いで、ダクト６０内に、解繊したパルプ（繊維材料）を供給しつつ、更には吸収ポリマーを供給すると、これらの吸収性材料４５が、ダクト６０内を流れる空気流に乗り、飛散状態となって回転ドラム５０の外周面に向けて供給される。

【0056】

そして、ダクト６０に覆われた部分を搬送されている間に、回転ドラム５０のドラム凹部５１には、堆積物４１０ａ上に、吸収性材料（繊維材料と吸収ポリマーとの混合物）４５が吸引される。吸収性材料４５は、図９に示すように、ドラム凹部５１の各領域５４及び領域５５のメッシュプレート５２に堆積した堆積物４１０ａの上に徐々に堆積する。こうして得られた堆積物４６においては、難通気性部材５３上に吸収性材料４５が堆積してなる部位（難通気性部材５３対応部）４６ａが、相対的に吸収性材料４５の堆積量が少なく、その他の部位（領域５４対応部）４６ｂ及び部位（領域５５対応部）４６ｃが、相対的に吸収性材料４５の堆積量が多くなっており、堆積物４６を有するようになる。

【0057】

そして、回転ドラム５０が回転して、ドラム凹部５１がバキュームボックス６５の対向位置にくると、ドラム凹部５１内の堆積物４６がバキュームボックス６５からの吸引によって、メッシュベルト７５に吸い付けられた状態となる。ドラム凹部５１内の堆積物４６は、その状態で、トランスファーロール７０と回転ドラム５０との最接近部の直前まで搬送され、該最接近部付近で、トランスファーロール７０側からの吸引により、メッシュベルト７５に吸い付けられた状態のままドラム凹部５１より離型し、トランスファーロール７０上へと移行する。

【0058】

こうして、メッシュベルト７５と共にトランスファーロール７０上に移行した凹凸構造を有する堆積物４６は、トランスファーロール７０上のメッシュベルト７５に吸着されたまま、バキュームコンベア８０との受け渡し部（トランスファーロール７０の最下端部）まで搬送され、該受け渡し部において、バキュームボックス８４による吸引によりバキュームコンベア８０上へと移行する。

【0059】

本実施形態の吸収体の製造装置においては、図７に示すように、堆積物４６が載置される前のバキュームコンベア８０上に、ティッシュペーパーや親水性の不織布からなる被覆材４２が導入され、被覆材４２上に堆積物４６が移行する。そして、更に、折り返し板（図示せず）により被覆材４２が折られて堆積物４６を被覆材４２で包んだ後、被覆材４２で包まれた状態の堆積物４６を所定の間隔で切断して、吸収体１個分の寸法に切断された吸収体前駆体４９を連続的に製造する。

【0060】

そして、本実施形態の吸収体の製造装置においては、こうして得られた吸収体前駆体４９を加圧手段９０によって圧縮し、吸収体前駆体４９を構成する堆積物４６の厚みを積極的に減少させて、目的とする吸収体４（吸収性コア４１）を得る。加圧手段９０は、図７に示すように、少なくとも一方が表面平滑な一対のロール９１，９２を備え、ロール９１，９２間に導入された被加圧物を上下面から加圧して厚み方向に圧縮可能に構成されている。

【0061】

加圧手段９０によって堆積物４６を圧縮すると、吸収性材料が相対的に多く厚みの大きい部位（領域５４対応部）４６ｂ及び部位（領域５５対応部）４６ｃは、吸収性材料４５が相対的に少なく厚みの小さい部位（難通気性部材５３対応部）４６ａよりも強く圧縮される。その結果、上述した製造装置を用いて製造された吸収体４（吸収性コア４１）においては、堆積物４６における部位（領域５４対応部）４６ｂ（凸部）及び部位（領域５５対応部）４６ｃが、吸収性コア４１において相対的に密度の高い高坪量部４３及び非ブロック領域４１２となり、堆積物４６における部位（難通気性部材５３対応部）４６ａ（凹部）が、吸収性コア４１において相対的に密度の低い低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）となる。

【0062】

本実施形態の使い捨ておむつ１の形成材料について説明する。
裏面シート３、立体ギャザー形成用シート６２としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、裏面シート３としては、樹脂フィルムや樹脂フィルムと不織布の積層体等を用いることができる。立体ギャザー形成用シート６２としては、伸縮性のフィルム、不織布、織物またはそれらの積層シート等を用いることができる。
ファスニングテープ７としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができる。例えば、「マジックテープ（登録商標）」（クラレ社製）、「クイックロン（登録商標）」（ＹＫＫ社製）、「マジクロス（登録商標）」（カネボウベルタッチ社製）等におけるオス部材等を用いることができる。

【0063】

吸収体４を構成する吸収性コア４１としては、パルプ繊維等の繊維の集合体に吸収ポリマーの粒子を保持させたもの等を用いることができる。吸収体４を構成する被覆材４２としては、親水性シート、例えば、透水性の薄紙（ティッシュペーパー）や透水性の不織布からなるコアラップシート等を用いることができる。
立体ギャザー形成用の弾性部材６１、レッグ弾性部材６３、及びウエスト部弾性部材６４としては、天然ゴム、ポリウレタン、ポリスチレン−ポリイソプレン共重合体、ポリスチレン−ポリブタジエン共重合体、アクリル酸エチル−エチレン等のポリエチレン−αオレフィン共重合体等からなる糸状の伸縮性材料を用いることができる。

【0064】

接着剤（非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕ等）としては、通常、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるものであれば、特に制限なく用いることができ、例えば、ホットメルト接着剤を用いることができる。ホットメルト接着剤としては、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体（ＳＩＳ）、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体（ＳＢＳ）、スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体（ＳＥＢＳ）等のブロックコポリマー系のホットメルト接着剤が挙げられる。

【0065】

上述した本発明の実施形態の使い捨ておむつ１を使用した際の作用効果について説明する。
おむつ１は、図２，図３に示すように、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙと、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された部位に配された縦方向（Ｙ方向）に長い高坪量部４３とからなるブロック形状領域４１１を有している。このような縦方向（Ｙ方向）に長い高坪量部４３を有する吸収性コア４１を用いているので、おむつ１の着用中に着用者が排泄すると、体液が縦方向（Ｙ方向）に流れ易い。そして、おむつ１が有する吸収体４の吸収性コア４１は、図２，図３に示すように、横溝４４Ｘ及び縦溝４４Ｙの厚みが同じか、若しくは縦溝４４Ｙより横溝４４Ｘの方が薄く、平面視して、横溝４４Ｘの幅が縦溝４４Ｙの幅よりも広くなっているので、図１０に示すように、体液が縦溝４４Ｙよりも横溝４４Ｘに沿って流れ易い。このように、図１０に示すように、ブロック形状領域４１１の縦方向（Ｙ方向）に長い高坪量部４３によって体液が縦方向（Ｙ方向）に流れ易く、更に、横溝４４Ｘによって横溝４４Ｘに沿って体液が横方向（Ｘ方向）に流れ易くなり、吸収体４の広い範囲に体液を効率よく拡散させることができる。従って、吸収体４の広い範囲の吸収容量を効率よく活用することができる。特に、おむつ１においては、図３に示すように、吸収性コア４１は、肌対向面側が平坦であり非肌対向面側が表面シート２側から裏面シート３側に向けて隆起した隆起部と裏面シート３側から表面シート２側に向けて窪んだ窪み部が形成されているので、上記効果が更に奏される。

【0066】

また、おむつ１は、図５に示すように、吸収性コア４１がブロック形状領域４１１と非ブロック領域４１２と有しており、腹側部Ａにおける全体の幅Ｗ_Aが背側部Ｂにおける全体の幅Ｗ_Bと同じであり、ブロック形状領域４１１の腹側部Ａの幅Ｗ_A1と背側部Ｂの幅Ｗ_B1とが同じとなっている。そして、非ブロック領域４１２は、図２，図５に示すように、全体として縦方向（Ｙ方向）中央部から腹側部Ａ寄りの部分が内方に括れた形状に形成されており、背側部Ｂの全体面積が腹側部Ａの全体面積よりも大きくなっている。その為、仰向けの寝かせた状態で使用する特に新生児におむつ１を使用した際に、背側部Ｂにおける吸収性コア４１に体液を効率よく拡散させることができる。

【0067】

また、おむつ１は、図３（ａ）に示すように、被覆材４２と吸収性コア４１の非肌対向面４１Ｕとを接合する非肌側吸収体接着剤５１Ｕが、おむつ１の横方向（Ｘ方向）に間欠的に且つ縦方向（Ｙ方向）に一直線状に塗工されている。このように、非肌側吸収体接着剤５１Ｕが、縦方向（Ｙ方向）に長い高坪量部４３を有する吸収性コア４１に対して、縦方向（Ｙ方向）に一直線状に塗工されているので、おむつ１の着用中に着用者が排泄すると、体液の流れが制限され、縦方向（Ｙ方向）に流れ易い。

【0068】

また、おむつ１は、図３に示すように、吸収性コア４１の最も非肌対向面側に、パルプ単体の層４１０が形成されている。そのため、吸収性コア４１内を体液がスムーズに行こうさせることが出来き、吸収体４の広い範囲に体液を効率よく拡散させることができ、吸収体４の広い範囲の吸収容量を効率よく活用することができるとの効果を奏する。
また、おむつ１は、図３に示すように、表面シート２が、肌対向面側に凸の多数の凸部２１と凸部２１に隣接する凹部２２とを有し、表面シート２の肌対向面側が凹凸構造となっている。そのため、着用中に着用者が排泄した後も着用者の肌と表面シート２との間に隙間ができ、通気性が向上し肌触りが向上する。
また、おむつ１は、図３に示すように、中間シート５（サブレイヤーシート）が、表面シート２と被覆材４２との間に配されているので、吸収体４に液をスムーズに移行するとの効果を奏する。

【0069】

本発明の吸収性物品の一実施形態である使い捨ておむつは、上述の実施形態の使い捨ておむつに何ら制限されるものではなく、適宜変更可能である。

【0070】

例えば、上述の実施形態の使い捨ておむつ１においては、図３に示すように、吸収性コア４１は、図３に示すように、非肌対向面側に表面シート２側から裏面シート３側に向けて隆起した隆起部と裏面シート３側から表面シート２側に向けて窪んだ窪み部とが形成されているが、非肌対向面側が平坦となっていてもよい。
また、上述の実施形態の使い捨ておむつ１においては、図３に示すように、吸収体４と表面シート２との間に親水性の中間シート５が配されているが、中間シート５が配されていなくてもよい。

【0071】

また、上述の実施形態の使い捨ておむつ１においては、図４に示すように、表面シート２が、シート状物の第１層２３及び第２層２４からなり、表面シート２の肌対向面を構成する第１層２３は肌対向面側に突出して内部が空洞となっている多数の凸部２１を有し、表面シート２の非肌対向面を構成する第２層２４は平面状になっている。このような表面シート２に換えて、使い捨ておむつ等の吸収性物品に用いられるフラット状の一般的な不織布を用いてもよいし、図１１に示すように、１層の繊維集合体からなり、凸部２１の内部が中実となっており、凸部２１及び凹部２２がそれぞれ縦方向（Ｙ方向）に延び且つ横方向（Ｘ方向）に交互に並列している表面シートを用いてもよい。

【0072】

また、前述の表面シート２に換えて、熱収縮性繊維を含む第１繊維層と、実質的に熱収縮しない繊維又は前記熱収縮性繊維の収縮開始温度では実質的に熱収縮しない繊維を含む 第２繊維層とを積層して部分的に接合させた後、熱風処理により、第１繊維層を収縮させて得た凹凸シートを、表面シートに用いてもよい。該表面シートにおいては、第２繊維層が、第１繊維層との接合部以外の部分において突出して凸部を形成している一方、前記接合部が凹部を形成している。熱収縮性繊維は、潜在捲縮性繊維が好ましい。このような凹凸シートとしては、特開２００２−１８７２２８号公報、特開２００３−２５０８３６号公報、特開２００４−１６６８４９号公報、特開２００４−２０２８９０号公報等に記載のものを用いることがでる。

【0073】

また、上述の実施形態の使い捨ておむつ１においては、図２，図５に示すように、吸収体４の吸収性コア４１が、縦方向（Ｙ方向）に長い矩形状のブロック形状領域４１１と、ブロック形状領域４１１の外周に亘って配された非ブロック領域４１２とを有している。このような吸収体４の吸収性コア４１に換えて、図１２〜図１５に示す吸収性コア４１Ａ〜４１Ｄを備えていてもよい。図１２〜図１５に示す吸収性コア４１Ａ〜４１Ｄに関し、特に説明しない点については、上述のおむつ１の備える吸収性コア４１に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図１２〜図１５において、図５と同じ部材には同じ符号を付してある。図１２〜図１５に示す吸収性コア４１Ａ〜４１Ｄは、それぞれ、腹側部Ａにおける両側縁及び背側部Ｂにおける両側縁それぞれが股下部Ｃにおける両側縁よりも横方向（Ｘ方向）外方に延出しており、全体として縦方向（Ｙ方向）中央部が内方に括れた形状に形成されたブロック形状領域４１１を有し、縦方向（Ｙ方向）中央部が内方に括れた形状に形成された非ブロック領域４１２を有している。また、前述の吸収体４の吸収性コア４１に換えて、非ブロック領域４１２を有さず、複数の線状の横溝４４Ｘそれぞれが、横方向（Ｘ方向）の全長に亘って延び、複数の線状の縦溝４４Ｙそれぞれが縦方向（Ｙ方向）の全長に亘って延びて形成された吸収性コアを用いてもよい。

【0074】

図１２に示す吸収性コア４１Ａのブロック形状領域４１１について更に具体的に説明する。吸収性コア４１Ａにおいては、図１２に示すように、ブロック形状領域４１１の背側部４１１ｂは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が、規則的に横方向（Ｘ方向）に５個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に４行配されて形成されている。また、図１２に示すように、ブロック形状領域４１１の股下部４１１ｃは、高坪量部４３が、規則的に横方向（Ｘ方向）に３個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に７行配されて形成されている。また、図１２に示すように、ブロック形状領域４１１の腹側部４１１ａは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が、規則的に横方向（Ｘ方向）に５個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に４行配されて形成されている。吸収性コア４１Ａのブロック形状領域４１１においては、図１２に示すように、６本の縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙの中の４本が、それぞれ、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って直線状に配されている。

【0075】

図１３に示す吸収性コア４１Ｂのブロック形状領域４１１について更に具体的に説明する。吸収性コア４１Ｂにおいては、図１３に示すように、ブロック形状領域４１１の背側部４１１ｂは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に４行配されて形成されている。また、図１３に示すように、ブロック形状領域４１１の股下部４１１ｃは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に３個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に７行配されて形成されている。また、図１３に示すように、ブロック形状領域４１１の腹側部４１１ａは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に４行配されて形成されている。吸収性コア４１Ｂのブロック形状領域４１１においては、図１３に示すように、何れの縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙも、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って直線状に配されていない。

【0076】

図１４に示す吸収性コア４１Ｃのブロック形状領域４１１について更に具体的に説明する。吸収性コア４１Ｃにおいては、図１４に示すように、ブロック形状領域４１１の背側部４１１ｂは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に５個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に３行配され、さらに高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に１行配されて形成されている。また、図１４に示すように、ブロック形状領域４１１の股下部４１１ｃは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に３個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に７行配されて形成されている。また、図１４に示すように、ブロック形状領域４１１の腹側部４１１ａは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に１行配され、さらに高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に５個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に３行配されて形成されている。吸収性コア４１Ｃのブロック形状領域４１１においては、図１４に示すように、何れの縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙも、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って直線状に配されていない。

【0077】

図１５に示す吸収性コア４１Ｄのブロック形状領域４１１について更に具体的に説明する。吸収性コア４１Ｄにおいては、図１５に示すように、ブロック形状領域４１１の背側部４１１ｂは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に６個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に３行配され、さらに高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に１行配されて形成されている。また、図１５に示すように、ブロック形状領域４１１の股下部４１１ｃは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に２個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に７行配されて形成されている。また、図１５に示すように、ブロック形状領域４１１の腹側部４１１ａは、横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙで区画された高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に４個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に１行配され、さらに高坪量部４３が規則的に横方向（Ｘ方向）に６個配されたブロック構造が、規則的に縦方向（Ｙ方向）に３行配されて形成されている。吸収性コア４１Ｄのブロック形状領域４１１においては、図１５に示すように、７本の縦方向（Ｙ方向）に延びる縦溝４４Ｙの中の３本が、それぞれ、腹側部Ａから背側部Ｂに亘って直線状に配されている。

【0078】

また、上述の実施形態の使い捨ておむつ１においては、図２に示すように、吸収体４を構成する吸収性コア４１の低坪量部４４が、横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝４４Ｘと、縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝４４Ｙとにより、全体として格子状に形成されているが、該格子状の形状に限定されるものではない。

【0079】

また、上述の実施形態の使い捨ておむつ１は、図１に示すように、展開型の使い捨ておむつであるが、パンツ型の使い捨ておむつでもよい。

【0080】

上述した実施形態に関し、さらに以下の吸収性物品を開示する。
＜１＞肌対向面側に配された表面シートと、非肌対向面側に配された裏面シートと、これら両シート間に配された縦長の吸収体とを備えた吸収性物品であって、
前記吸収体は、吸収ポリマーを含む吸収性コアを有し、
前記吸収性コアは、吸収性物品の縦方向に延びる縦溝と、吸収性物品の横方向に延びる横溝と、該縦溝及び該横溝で区画された部位に該縦溝及び該横溝それぞれの部位より坪量の高い複数の縦長の高坪量部とからなるブロック形状領域を有しており、
前記縦溝と前記横溝とは、厚みが同じか若しくは該横溝の方が薄く、平面視して、該横溝の幅が該縦溝の幅より広い吸収性物品。

【0081】

＜２＞前記吸収性コアは、肌対向面側が平坦であり、非肌対向面側に表面シート側から裏面シート側に向けて隆起した隆起部と裏面シート側から表面シート側に向けて窪んだ窪み部とが形成されている前記＜１＞記載の吸収性物品。
＜３＞前記吸収性コアは、前記ブロック形状領域と、該ブロック形状領域の外周に亘って配された非ブロック領域とを有しており、腹側部における全体の幅が背側部における全体の幅と同じであり、前記ブロック形状領域の幅が腹側部と背側部とで同じである前記＜１＞又は＜２＞記載の吸収性物品。
＜４＞前記吸収体は、前記吸収性コアと該吸収性コアを包む被覆材とを有し、該被覆材と前記吸収性コアの非肌対向面とが非肌側吸収体接着剤により接合されており、該非肌側吸収体接着剤は、前記吸収性物品の横方向に間欠的に且つ縦方向に一直線状に塗工されている前記＜１＞〜＜３＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜５＞前記吸収性コアは、最も非肌対向面側に、パルプ単体の層が形成されている前記＜１＞〜＜４＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜６＞前記表面シートは、肌対向面側に凸の多数の凸部と該凸部に隣接する凹部とを有し、該表面シートの肌対向面側が凹凸構造となっている前記＜１＞〜＜５＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜７＞前記吸収体と前記表面シートとの間に親水性の中間シートが配されている前記＜１＞〜＜６＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜８＞前記吸収性物品は、腹側部の左右両側縁及び背側部の左右両側縁それぞれが股下部の左右両側縁よりも横方向外方に延出し、股下部の左右両側縁が横方向内方に向かって円弧状に湾曲しており、全体として縦方向中央部が内方に括れた形状を有しており、前記表面シート及び前記裏面シートは、それぞれ、前記吸収体の左右両側縁及び前後両端縁から外方に延出しており、該表面シートは、その横方向の寸法が、該裏面シートの横方向の寸法より小さくなっている前記＜１＞〜＜７＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜９＞前記吸収性物品の縦方向に沿う両側部それぞれには、縦方向に伸長状態で固定された弾性部材を有する立体ギャザー形成用シートが、前記表面シートの側部に配され固定されており、これによって一対の立体ギャザーが形成され、該吸収性物品の縦方向に沿う両側部それぞれには、レッグギャザー形成用の複数本のレッグ弾性部材が縦方向に伸長状態に配されており、該レッグ弾性部材の収縮によりレッグギャザーが形成され、該吸収性物品の背側部側の縦方向端部には、ウエストギャザー形成用のウエスト部弾性部材が横方向に伸長状態に配されており、該ウエスト部弾性部材の収縮によりウエストギャザーが形成される前記＜１＞〜＜８＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１０＞前記吸収体は、縦方向に長い液保持性の前記吸収性コアを、液透過性の親水性シートである前記被覆材で被覆して形成されている前記＜４＞記載の吸収性物品。

【0082】

＜１１＞前記吸収性コアの前記ブロック形状領域は、前記横溝と、前記縦溝とにより、全体として格子状に形成されており、これら直線状の横溝及び縦溝で区画された部位それぞれに、前記高坪量部が配されて形成されている前記＜１＞〜＜１０＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１２＞前記吸収性コアは、前記横溝と前記縦溝とからなる低坪量部を有し、前記吸収性コアの前記高坪量部及び該低坪量部は一体成形されており、前記非ブロック領域も該高坪量部及び該低坪量部と一体成形されている前記＜３＞〜＜１１＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１３＞前記吸収性コアは、前記低坪量部が、前記吸収性物品の厚み方向において、前記表面シート側に偏在しており、該吸収性コアは、その該表面シート側が、平坦となっている前記＜１２＞記載の吸収性物品。
＜１４＞前記吸収性コアは、縦方向の全長が２５０ｍｍ以上５５０ｍｍ以下であり、横方向の全幅が５０ｍｍ以上２００ｍｍ以下である前記＜１＞〜＜１３＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１５＞前記ブロック形状領域は、その縦方向の長さが、前記吸収性コアの縦方向の全長の７０％以上９８％以下の長さであるか、又は８５％以上９５％以下の長さである前記＜１＞〜＜１４＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１６＞前記ブロック形状領域は、その横方向の長さが、前記吸収性コアの横方向の全幅の３０％以上９０％以下の長さであるか、又は５０％以上７０％以下の長さである前記＜１＞〜＜１５＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１７＞前記ブロック形状領域は、縦方向の全長が１００ｍｍ以上５４０ｍｍ以下であり、横方向の全幅が２０ｍｍ以上１４０ｍｍ以下である前記＜１＞〜＜１６＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１８＞前記非ブロック領域は、縦方向の両端部それぞれの縦方向の長さが、１０ｍｍ以上１５０ｍｍ以下である前記＜３＞〜＜１７＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜１９＞前記非ブロック領域は、縦方向に沿う両側部それぞれの横方向の長さが、腹側部Ａでは１０ｍｍ以上４０ｍｍ以下であり、股下部では１０ｍｍ以上３０ｍｍ以下であり、背側部では１０ｍｍ以上４０ｍｍ以下である前記＜３＞〜＜１８＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２０＞前記高坪量部は、平面視して、矩形状に形成されているか、四隅が円弧状となっているか、若しくは多角形状、楕円、又はそれらの組み合わせである前記＜１＞〜＜１９＞の何れか１記載の吸収性物品。

【0083】

＜２１＞前記横溝の幅は、前記縦溝の幅よりも広く、前記横溝の幅/前記縦溝の幅は、１１０％以上５００％以下の広さであるか、又は１２０％以上３００％以下の広さである前記＜１＞〜＜２０＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２２＞前記横溝の幅は、前記高坪量部の縦方向の長さの２％以上２５％以下の長さであるか、又は５％以上２０％以下の長さである前記＜１＞〜＜２１＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２３＞前記縦溝の幅は、前記高坪量部の横方向の長さの２％以上３０％以下の長さであるか、又は１０％以上２５％以下の長さである前記＜１＞〜＜２２＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２４＞前記横溝と前記縦溝とは、同じ厚みで形成されており、前記低坪量部の厚さは、前記高坪量部４３の厚みの３０％以上９０％以下である前記＜１２＞〜＜２３＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２５＞前記低坪量部は、その坪量が、前記高坪量部の坪量の２０％以上８０％以下であるか、又は３０％以上７０％以下である前記＜１２＞〜＜２４＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２６＞前記吸収体においては、前記高坪量部及び前記非ブロック領域は、前記低坪量部に比して同じかもしくは高密度に形成されている前記＜１２＞〜＜２５＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２７＞前記低坪量部は、その密度が、前記高坪量部の密度の５０％以上１００％以下であるか、７５％以上９５％以下である前記＜１２＞〜＜２６＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２８＞前記吸収性コアの前記低坪量部と前記被覆材との間に空間が形成されている前記＜１２＞〜＜２７＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜２９＞前記表面シートと前記吸収体を構成する前記被覆材との間に、縦方向に長い矩形状の前記中間シートが配されている前記＜７＞〜＜２８＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜３０＞前記中間シートは、サブレイヤーシートであり、前記吸収体を構成する前記吸収性コアを覆うように、腹側部から背側部に亘って配されており、該中間シートは、その坪量が１５ｇ／ｍ²以上１００ｇ／ｍ²以下である前記＜７＞〜＜２９＞の何れか１記載の吸収性物品。

【0084】

＜３１＞前記中間シートとしては、親水性繊維を主体とするシート（親水性繊維の含有量が好ましくは９０質量％以上のシート）を用い、該親水性繊維を主体とするシートとしては、紙、不織布、ウエブを用いる前記＜３０＞記載の吸収性物品。
＜３２＞前記吸収性物品は、展開型の使い捨ておむつである前記＜１＞〜＜３１＞の何れか１記載の吸収性物品。
＜３３＞前記吸収性物品は、パンツ型使い捨ておむつ前記＜１＞〜＜３１＞の何れか１記載の吸収性物品。

【実施例】

【0085】

以下、実施例により本発明を更に詳細に説明する。しかしながら本発明の範囲にかかる実施例によって何ら制限されるものではない。

【0086】

［実施例１］
図７に示す装置を用いて吸収体４を製造し、図２に示す使い捨ておむつ１を作製した。表面シート２について詳述すると、表面シートとしては、図４に示す２層構成の凹凸表面シートと概ね同様の構成のものを用い、該表面シートの上層及び下層として、それぞれ、坪量１８ｇ／ｍ²の液透過性のエアースルー不織布を用い、該上層については、該エアースルー不織布にエンボス加工によって凹凸を付与したものを用いた。凹凸付与後の上層の坪量は２３．５ｇ／ｍ²であった。表面シートは、凸部２１及び接合部２５（凹部２２）が千鳥格子状に配されており、凸部２１の高さｈは１．１ｍｍであり、Ｙ方向に沿う凸部２１の底部寸法Ｌ１は２．５ｍｍであり、Ｘ方向に沿う凸部２１の底部寸法Ｌ２は３．０ｍｍであり、凸部２１の底面積は７．５ｍｍ²であった。また、凹部２２の接合部２５のＸ方向への長さＬ３及びＹ方向への長さは１．０ｍｍであった。

【0087】

次に、吸収体４について詳述すると、吸収性コア４１のブロック形状領域４１１は、Ｙ方向の全長が３３２ｍｍであり、Ｘ方向の全幅が５０ｍｍであった。吸収性コア４１の非ブロック領域４１２は、Ｙ方向の端部のＹ方向の長さが３７０ｍｍであり、腹側部Ａの側部のＸ方向の長さが１２０ｍｍであり、股下部Ｃの側部のＸ方向の長さが７０ｍｍであり、背側部Ｂの側部のＸ方向の長さが１００ｍｍであった。ブロック形状領域４１１を構成する高坪量部４３のＹ方向の長さＬ４は２０ｍｍであり、Ｘ方向の長さＬ５は１０ｍｍであった。ブロック形状領域４１１を構成する横溝４４Ｘの幅Ｌ６は３２ｍｍであり、縦溝４４Ｙの幅Ｌ７は２ｍｍであった。ブロック形状領域４１１を構成する低坪量部４４（横溝４４Ｘ，縦溝４４Ｙ）の坪量は２９２ｇ／ｍ²であり、ブロック形状領域４１１を構成する高坪量部４３及び非ブロック領域４１２それぞれの坪量は５７０ｇ／ｍ²であった。

【0088】

次に、接着剤５について詳述すると、スパイラル状に塗工された肌側吸収性コア接着剤５１Ｔの塗工の密度（塗工量）は２．５ｇ／ｃｍ³であり、ストライプ状に塗工された非肌側吸収性コア接着剤５１Ｕの塗工の密度（塗工量）は、２．０ｇ／ｃｍ³であった。
［実施例２］
実施例２は、ブロック形状領域４１１を構成する横溝４４Ｘの幅Ｌ６が２．５ｍｍであり、縦溝４４Ｙの幅Ｌ７が２ｍｍである以外は、実施例１と同様にして、実施例２の使い捨ておむつを作製した。

【0089】

［比較例１］
吸収体４の吸収性コア４１に関し、ブロック形状領域４１１を構成する横溝４４Ｘの幅Ｌ６は１ｍｍであり、縦溝４４Ｙの幅Ｌ７は２ｍｍである以外は、実施例１と同様にして、比較例１の使い捨ておむつを作製した。

【0090】

〔性能評価〕
実施例１〜２、比較例１の使い捨ておむつに関し、下記方法に従って、吸収時間と拡散面積を測定した。評価環境は室温２０℃、湿度６０％ＲＨであった。それらの測定結果を下記表１に示す。

【0091】

〔吸収時間と拡散面積の測定法〕
実施例１〜２、比較例１で得られた使い捨ておむつについて、吸収性コア４１のブロック形状領域４１１に対応するように、表面シートと円筒（内径１９．５ｍｍで、吸収体に接触する上部１０ｍｍ部分は内径１０ｍｍ）の先端部とを接触させ、垂直に該円筒を立てる。次いで、垂直に立てた円筒の周りの表面シート上に２１．６ｇ／ｃｍ²の荷重が加わるようおもりを載せる。次いで、円筒の他端部側から生理食塩水（０．９重量％塩化ナトリウム水）を３０ｇ供給し、供給した生理食塩水が円筒内の表面材から見えなくなるまでの吸収時間（秒）を測定し、更に、生理食塩水供給後１０分後の拡散面積（ｃｍ²）を測定した。尚、各おむつについて３サンプル測定し、測定された値の平均値を求め、表１に示した。

【0092】

【表1】

【0093】

表１に示す結果から明らかなように、実施例１、２の使い捨ておむつは、比較例１の使い捨ておむつに比べて、吸収時間（秒）が短く、拡散面積（ｃｍ²）も広いことが分かった。このように、実施例１、２の使い捨ておむつは、比較例１の使い捨ておむつに比べて、吸収体４の広い範囲の吸収容量が効率よく活用できていると推測される。

【符号の説明】

【0094】

１ 使い捨ておむつ
２ 表面シート
２１ 凸部
２２ 凹部
２３ 第１層、２４ 第２層
２５ 接合部
３ 裏面シート
４ 吸収体
４１ 吸収性コア
４１Ｔ 吸収性コア４１の平坦な肌対向面
４１Ｕ 吸収性コア４１の非肌対向面
４１０ パルプ単体の層
４１１ ブロック形状領域
４１２ 非ブロック領域
４２ 被覆材
４２１ 肌側被覆部材
４２２ 非肌側被覆部材
４３ 高坪量部
４４ 低坪量部
４４Ｘ 横方向（Ｘ方向）に延びる線状の横溝
４４Ｙ 縦方向（Ｙ方向）に延びる線状の縦溝
５ 中間シート
５１Ｕ 非肌側吸収性コア接着剤
６ 立体ギャザー
６１ 立体ギャザー形成用の弾性部材
６２ 立体ギャザー形成用シート
６３ レッグ弾性部材
６４ ウエスト部弾性部材
７ ファスニングテープ
８ ランディングテープ
９ 空間
１０ 接着剤
４５ 吸収性材料
４６ 堆積物
４９ 吸収体前駆体
５０ 回転ドラム
５１ ドラム凹部
５２ メッシュプレート
５３ 難通気性部材
５４，５５ 領域
６０ ダクト
６５ バキュームボックス
７０ トランスファーロール
７５ メッシュベルト
８０ バキュームコンベア
９０ 加圧手段
Ａ 腹側部，Ｂ 背側部，Ｃ 股下部
ＣＬ おむつの縦方向に延びる中心線

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】