特許第6099245号(P6099245)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099245内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット、このスパウトユニットを組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構、ならびにこの内容物放出口シャットオフ機構を用いたポンプ式製品およびエアゾール式製品
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  • 特許6099245-内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット、このスパウトユニットを組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構、ならびにこの内容物放出口シャットオフ機構を用いたポンプ式製品およびエアゾール式製品 図000002
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099245
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット、このスパウトユニットを組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構、ならびにこの内容物放出口シャットオフ機構を用いたポンプ式製品およびエアゾール式製品
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20170313BHJP
   B65D 83/14 20060101ALI20170313BHJP
   B65D 83/16 20060101ALI20170313BHJP
   B05B 11/00 20060101ALI20170313BHJP
   B65D 83/20 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   B65D83/00 K
   B65D83/14 200
   B65D83/16 120
   B05B11/00 101K
   B05B11/00 101B
   B65D83/20
【請求項の数】7
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2012-226803(P2012-226803)
(22)【出願日】2012年10月12日
(65)【公開番号】特開2014-76843(P2014-76843A)
(43)【公開日】2014年5月1日
【審査請求日】2015年10月6日
(73)【特許権者】
【識別番号】000144463
【氏名又は名称】株式会社三谷バルブ
(74)【代理人】
【識別番号】100097593
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 治幸
(72)【発明者】
【氏名】大島 保夫
【審査官】 植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】 特開2010−105675(JP,A)
【文献】 特開2011−088663(JP,A)
【文献】 特開2009−006305(JP,A)
【文献】 実開昭64−021763(JP,U)
【文献】 特開2009−034575(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00 − 83/70
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内容物放出操作部材として作用し、かつ、内容物放出用の突出ノズルの組込み対象外形部分に合致する形の側面開口部を備えたアクチュエータキャップに組み込まれる前の、ステムホルダー,スパウト,シャットオフ駆動部および弾性部材のそれぞれ別個の各構成要素からなり、その全体が一体化された内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニットであって、
前記ステムホルダーは、
前記スパウトを上下方向へ移動可能な状態で保持する第一保持部と、
前記アクチュエータキャップの内容物放出操作の初期段階でのシャットオフ作動用のカム作動部と、
前記内容物放出操作に応じて作動する内容物通過用のステムが取り付けられる縦筒状部と、を備え、
前記スパウトは、
前記ステムホルダーから続く内容物通路域と、
前記第一保持部との間の保持作用を呈する第二保持部と、
前記アクチュエータキャップに組み込まれる前のスパウトユニット状態において前記シャットオフ駆動部の後方への脱落を防止する第一係合部と、を備え、
かつ、前記上下方向へ移動可能な状態で前記ステムホルダーに組み込まれて、前記初期段階のシャットオフ作動により前記突出ノズルの内容物放出口がそれまでの閉状態から開状態に移行した後、前記ステムホルダーとの当接状態で下方向に連動し、
前記シャットオフ駆動部は、
前記初期段階において前記カム作動部に応動するカム従動面と、
前記スパウトユニット状態のときに、前記第一係合部との係合作用により自らの後方への脱落を防止する第二係合部と、
同じく前記スパウトユニット状態のときに、前記スパウトの側との当接作用により自らの前方への脱落を防止する当接部と、を備え、
かつ、前記初期段階で前記内容物放出口をそれまでの閉状態から開状態に移行させる弁部材の前後を分割した形の後側部材からなって、前記スパウトの筒状部分に、その後側より前側へと前後方向に移動可能な状態で組み込まれ、
前記弾性部材は、
前記スパウトの筒状部分内周面と前記シャットオフ駆動部の外周面との間に仮保持状態で配設されて、前記アクチュエータキャップへ組み込まれた後の前記弁部材を前記内容物放出口の方に付勢し、
前記各構成要素はそれぞれ、
前記ステムホルダーの上に前記スパウトを組み込み、かつ、前記スパウトに前記シャットオフ駆動部および前記弾性部材を組み込んだ状態で、
その全体を上方からみたときの射影形状が、前記アクチュエータキャップの下開口部からその内部に組み入れられる形の大きさに設定されている、
ことを特徴とする内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット。
【請求項2】
前記スパウトは、
前記シャットオフ作動用の前記筒状部分と、
前記突出ノズルの保持部と、を備え、
前記シャットオフ駆動部および前記弾性部材はそれぞれ前記筒状部に組み込まれている、
ことを特徴とする請求項1記載の内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット。
【請求項3】
前記当接部は、
前記カム従動面との兼用部分である、
ことを特徴とする請求項1または2記載の内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット。
【請求項4】
前記第一保持部は、
前記第二保持部を前記上下方向へ移動可能な状態で案内する起立部である、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット。
【請求項5】
請求項1乃至のいずれかに記載のスパウトユニットをアクチュエータキャップに組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構において、
前記アクチュエータキャップは、
前記スパウトユニットの全体を内部空間域に組み込むための前記下開口部と、
前記弁部材の前後を分割した形の前側部材からなって前記内容物放出口のシャットオフ作用を呈する移動弁を組み込んで前記シャットオフ駆動部に係合させ、かつ、前記内容物放出口を備えた前記突出ノズルを組み込むための前記側面開口部と、を備えている、
ことを特徴とする内容物放出口シャットオフ機構。
【請求項6】
請求項に記載の内容物放出口シャットオフ機構を備え、かつ、容器本体に内容物を収した、
ことを特徴とするポンプ式製品。
【請求項7】
請求項に記載の内容物放出口シャットオフ機構を備え、かつ、容器本体に噴射用ガスおよび内容物を収した、
ことを特徴とするエアゾール式製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内容物放出操作部材として作用し、かつ、内容物放出用の突出ノズルの組込み対象外形部分に合致した形の閉周回形状の側面開口部を備えたアクチュエータキャップに、組み込まれる内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット、およびこのスパウトユニットを用いたシャットオフ機構などに関する。
【0002】
このような本発明のスパウトユニットおよびシャットオフ機構はポンプ式製品およびエアゾール式製品の双方に用いられる。
【0003】
特に、ステムが取り付けられるステムホルダーと、
内容物放出操作初期のシャットオフ作動により突出ノズルの内容物放出口がそれまでの閉状態から開状態に移行してからステムホルダーと連動するスパウトと、
内容物放出口に対するシャットオフ作動用の弁部材の全体を分割して短くした後側のシャットオフ駆動部と、
このシャットオフ駆動部を内容物放出口の方に付勢するための弾性部材と、
の計四個の構成要素を組み込んだ形のスパウトユニットに関する。
【0004】
その基本的特徴は、アクチュエータキャップの閉周回形状の側面開口部(突出ノズルが取り付けられる開口部)から飛び出てしまうシャットオフ作動用の弁部材を分割して、その後側のシャットオフ駆動部をスパウトユニットの対象としたことである。
【0005】
これにより、スパウトユニットを、その全体の上方からみたときの射影形状が、アクチュエータキャップの下開口部からその内部に組み入れられる大きさに設定している。
【0006】
なお、弁部材分割後の前側の移動弁、および静止モードにおいて当該移動弁によりシャットオフされる突出ノズルは、スパウトユニット組込み後のアクチュエータキャップの閉周回形状の側面開口部からスパウトなどに取り付けられる。
【0007】
本明細書では、前後の位置関係について、内容物放出口の側を「前」、それとは反対の例えば凸状部の側を「後」とそれぞれ記す。すなわち図2図4の左側が「前」で、右側が「後」となる。
【背景技術】
【0008】
本件出願人は、ポンプ式製品やエアゾール式製品に備えられたシャットオフ機構において、シャットオフ動作用の弁部材の組立作業の簡単化、当該弁部材のカム動作の安定化,確実化および当該弁部材の移動時のシール性の確実化を図るため、シャットオフ動作用弁部材をその前側部分と後側部分とに分割することを提案している(特許文献1参照)。
【0009】
このシャットオフ機構では、シャットオフ動作用の弁部材を、
・内容物通路域を設定する逆スカート部が含まれる前側部分(本発明の移動弁に対応)を軟材質の部材で構成し、
・内容物通路域の外側に形成されて内容物への影響がない後側部分(本発明のシャットオフ駆動部に対応)のカム従動部をカム作動に適した硬材質の部材としています。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2011−88663号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
提案済みのシャットオフ機構は、シャットオフ動作用の弁部材の前後それぞれの部分の役割の違いに着目し、内容物通路域を構成する前側と当該通路域を構成しない後側との材質を変えることにより、弁部材全体としてのシール性の確実化およびカム動作の安定化などを実現する、という利点を備えたものである。
【0012】
本発明は、このようなシャットオフ動作用の弁部材を前後で分割するといった考えをさらに検討し、ステムホルダー,スパウト,シャットオフ駆動部(内容物放出口に対する弁部材の後側部分)およびシャットオフ付勢用の弾性部材(例えばコイルスプリング)の計四個のパーツをユニット化できることに着目したものである。
【0013】
このユニット化により、ステムホルダー,スパウト,弁部材(前側の移動弁+後側のシャットオフ駆動部),弾性部材および突出ノズルの各部材をアクチュエータキャップに組み込んで最終的なシャットオフ機構を作成する際の、組立作業の簡単化,効率化を図ることを目的とする。
【0014】
また、シャットオフ機構の組立工程における各部材の管理の確実化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、以上の課題を次のスパウトユニットなどを用いることにより解決する。
(1)内容物放出操作部材として作用し、かつ、内容物放出用の突出ノズル(例えば後述の突出ノズル8)の組込み対象外形部分(例えば後述の大径横筒状部8b)に合致する形の側面開口部(例えば後述の円形開口部9b)を備えたアクチュエータキャップ(例えば後述のアクチュエータキャップ9)に組み込まれる前の、ステムホルダー(例えば後述のステムホルダー2),スパウト(例えば後述のスパウト3),シャットオフ駆動部(例えば後述のシャットオフ駆動部6)および弾性部材(例えば後述のコイルスプリング7)のそれぞれ別個の各構成要素からなり、その全体が一体化された内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニットであって、
前記ステムホルダーは、
前記スパウトを上下方向へ移動可能な状態で保持する第一保持部(例えば後述の前起立部2f,後起立部2d)と、
前記アクチュエータキャップの内容物放出操作の初期段階でのシャットオフ作動用のカム作動部(例えば後述の上端テーパ面2e)と、
前記内容物放出操作に応じて作動する内容物通過用のステム(例えば後述のステム1)が取り付けられる縦筒状部(例えば後述の下縦筒状部2a)と、を備え、
前記スパウトは、
前記ステムホルダーから続く内容物通路域(例えば後述の上縦筒状部3a,孔部3j)と、
前記第一保持部との間の保持作用を呈する第二保持部(例えば後述の横板状部3n)と、
前記アクチュエータキャップに組み込まれる前のスパウトユニット状態において前記シャットオフ駆動部の後方への脱落を防止する第一係合部(例えば後述の凸状部3m)と、を備え、
かつ、前記上下方向へ移動可能な状態で前記ステムホルダーに組み込まれて、前記初期段階のシャットオフ作動により前記突出ノズルの内容物放出口(例えば後述の内容物放出口8a)がそれまでの閉状態から開状態に移行した後、前記ステムホルダーとの当接状態で下方向に連動し、
前記シャットオフ駆動部は、
前記初期段階において前記カム作動部に応動するカム従動面(例えば後述の下向きテーパ面6b)と、
前記スパウトユニット状態のときに、前記第一係合部との係合作用により自らの後方への脱落を防止する第二係合部(例えば後述の凹状貫通部6c)と、
同じく前記スパウトユニット状態のときに、前記スパウトの側との当接作用により自らの前方への脱落を防止する当接部(例えば後述のカム従動部6a,下向きテーパ面6b)と、を備え、
かつ、前記初期段階で前記内容物放出口をそれまでの閉状態から開状態に移行させる弁部材(例えば後述の弁部材4)の前後を分割した形の後側部材からなって、前記スパウトの筒状部分(例えば後述の外側横筒状部3g)に、その後側より前側へと前後方向に移動可能な状態で組み込まれ、
前記弾性部材は、
前記スパウトの筒状部分内周面と前記シャットオフ駆動部の外周面との間に仮保持状態で配設されて、前記アクチュエータキャップへ組み込まれた後の前記弁部材を前記内容物放出口の方に付勢し、
前記各構成要素はそれぞれ、
前記ステムホルダーの上に前記スパウトを組み込み、かつ、前記スパウトに前記シャットオフ駆動部および前記弾性部材を組み込んだ状態で、
その全体を上方からみたときの射影形状が、前記アクチュエータキャップの下開口部(例えば後述の下開口部9g)からその内部に組み入れられる形の大きさに設定されている、
構成態様のものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記スパウトは、
前記シャットオフ作動用の前記筒状部分と、
前記突出ノズルの保持部(例えば後述の外側横筒状部3g)と、を備え、
前記シャットオフ駆動部および前記弾性部材はそれぞれ前記筒状部に組み込まれ
構成態様のものを用いる。
(3)上記(1),(2)において、
前記当接部は、
前記カム従動面との兼用部分である、
構成態様のものを用いる。
(4)上記(1),(2),(3)において、
前記第一保持部は、
前記第二保持部を前記上下方向へ移動可能な状態で案内する起立部である、
構成態様のものを用いる。
)上記(1)乃至(4)のいずれかに記載のスパウトユニットをアクチュエータキャップに組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構において、
前記アクチュエータキャップは、
前記スパウトユニットの全体を内部空間域に組み込むための前記下開口部(例えば後述の下開口部9g)と、
前記弁部材の前後を分割した形の前側部材からなって前記内容物放出口のシャットオフ作用を呈する移動弁(例えば後述の移動弁5)を組み込んで前記シャットオフ駆動部に係合させ、かつ、前記内容物放出口を備えた前記突出ノズルを組み込むための前記側面開口部(例えば後述の円形開口部9b)と、を備え
構成態様のものを用いる。
【0016】
このような構成からなる内容物放出口シャットオフ用のスパウトユニット、このスパウトユニットを組み込んだ内容物放出口シャットオフ機構、ならびにこの内容物放出口シャットオフ機構を用いたポンプ式製品およびエアゾール式製品を、本発明の対象としている。
【発明の効果】
【0017】
本発明は以上の課題解決手段をとることにより、
(11)ステムホルダー,スパウト,弁部材(移動弁+シャットオフ駆動部),弾性部材および突出ノズルの各部材をアクチュエータキャップに組み込んで最終的なシャットオフ機構を作成する際の、組立作業の簡単化,効率化を図ることができ、
(12)シャットオフ機構の組立工程における各部材の管理の確実化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明のスパウトユニット(後述のステムホルダー2+スパウト3+シャットオフ駆動部6+コイルスプリング7)の斜視状態を示す説明図である。
図2図1のスパウトユニットを用いたシャットオフ機構の静止モードの断面状態を示す説明図である。
図3図2のシャットオフ機構の作動モードへの移行初期段階の断面状態を示す説明図である。
図4図2のシャットオフ機構の作動モードの断面状態を示す説明図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
図1乃至図4を用いて本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0020】
上述したように本発明はポンプ式製品およびエアゾール式製品を対象としているが、以下の記載では、単なる説明の便宜上ポンプ式製品の場合を前提とする。
【0021】
なお、以下のアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば下縦筒状部2a)は原則として、この参照番号数字部分の構成要素(例えばステムホルダー2)の一部であることを示している。
【0022】
図1乃至図4において、
1は周知のポンプ機構の構成要素であってコイルスプリング(図示省略)の強弾性力により上方向に付勢され、内容物通路域を備えた筒状のステム(ピストン),
2はステム1の上端側外周面を嵌合保持して当該ステムからの内容物を通過させるステムホルダー,
2aはステム1の上端側外周面を嵌合保持するための下縦筒状部,
2bは下縦筒状部2aからその上方に連続する態様で形成されて後述の上縦筒状部3aの内周面と密接する逆スカート部,
2cは下縦筒状部2aと逆スカート部2bとの境界部分に形成された環鍔状部,
2dは環鍔状部2cの直径相当線を中心としたいわば左右対称位置に形成されたカム作動用の一対の後起立部,
2eは後起立部2dのカム作用を呈する外方下がりの上端テーパ面,
2fは環鍔状部2cの内端側であって後起立部2dより前側部分の上記左右対称位置に形成されて、スパウトユニット段階での、当該ステムホルダーと後述のスパウト3との上下方向における脱落阻止作用を呈し、かつ、当該ステムホルダーの当該スパウトに対する前後方向および横平面内回動方向における位置決め作用(回動方向については後起立部2dとの協働作用)を呈する一対の前起立部,
2gは前起立部2fの上端側に形成された外向きロック作用部,
2hは外向きロック作用部2gの上面外側部分に形成された外方下りの傾斜面,
2jは環鍔状部2cの外端側上下方向に形成されて、最終組立後の製品段階における後述のアクチュエータキャップ9の縦リブ状部9eとの係止作用により、当該ステムホルダーのいわば回動方向位相を決定するための計二個の切欠状部(縦凹状部),
をそれぞれ示している。
【0023】
また、
3はシャットオフ動作に対応して上下動可能な形で逆スカート部2bの上端側外周面に取り付けられて、内容物通路域およびシャットオフ動作用空間域などを備えたスパウト,
3aはその内周面が逆スカート部2bの先端部分と密接し、内容物通路域として作用する上縦筒状部,
3bは上縦筒状部3aの上隣に非連通の態様で形成されてシャットオフ動作用空間域を提供する横筒状部,
3cは横筒状部3bの後端側に形成されて後述のシャットオフ駆動部6(大径駆動部分6e)の前後方向への移動を可能とするための円形状の後開口部,
3dは後開口部3cの前側連続部分であって後述のコイルスプリング7を受ける小径環状段部,
3eは小径環状段部3dから前側に続いてスパウトユニット段階のコイルスプリング7を仮保持する小径内周面,
3fは小径内周面3eから前側に続いて後述の移動弁5と密接してその前後方向への移動を案内する大径内周面,
3gは上縦筒状部3aとの共通部分を含む態様で横筒状部3bの外周面前側部分の外側に形成された外側横筒状部,
3hは横筒状部3bと外側横筒状部3gとの間に設定される有底の環凹状部,
3jは環凹状部3hのいわば底部分を構成して上縦筒状部3aと共通する部分に形成された内容物通過用の孔部,
3kは横筒状部外周面の後側最上部分の長手方向にその後外方まで延びて、後述のシャットオフ駆動部6の横平面内回動方向における位置合わせ作用および前後方向移動時のガイド作用を呈する縦板状のレール作用部,
3mはレール作用部3kの下面後端部分に形成されて、スパウトユニット段階における後述のシャットオフ駆動部6の凹状貫通部6cとの係合作用により当該シャットオフ駆動部分の後方への脱落を防止するための凸状部,
3nは当該スパウトを上方から見下ろしたときにレール作用部3kを中心とした対称形状となる態様で上縦筒状部3aの外側に形成されて、当該スパウトをステムホルダー2に保持するためのテーブル状で一対の横板状部,
3pは横板状部3nの前内側隅部分に形成されて、ステムホルダー2の外向きロック作用部2gが入り込んだ形の係合保持作用を呈する上下方向の貫通部,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
4は作動モード設定およびその解除の各操作に応じてシャットオフ動作のいわばオンオフ作用を呈する弁部材(=移動弁5+シャットオフ駆動部6),
5は弁部材4の前側部分を構成する鞘状の移動弁,
5aは当該移動弁の前端側に形成されて後述の内容物放出口8aを開閉する弁作用部,
5bは当該移動弁の外周面後側部分に形成されて横筒状部3bの内周面に密接するスカート部,
5cは後述のコイルスプリング7の前端部分を受ける環状後端面,
5dは当該移動弁の内周面の後側部分に形成されて後述のシャットオフ駆動部6の環凸状部6dと嵌合する環凹状部,
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
6は移動弁5と嵌合する形で弁部材4の後側部分を構成し、ステムホルダー2の後起立部2dとの間のカム作用に基づいて前後方向に移動するシャットオフ駆動部,
6aは当該シャットオフ駆動部の後端の左右両側にそれぞれ上下対称に形成された一対のカム従動部,
6bは後起立部2dの上端テーパ面2eと当接し、カム従動部6aのカム面として作用する後方下りの下向きテーパ面,
6cは一対のカム従動部6aの間に形成されてスパウト3のレール作用部3kを案内する上側前後方向の凹状貫通部,
6dは当該シャットオフ駆動部の内周面前側部分に形成されて移動弁5の環凹状部5dと嵌合する環凸状部,
6eは当該シャットオフ駆動部の円筒状の後側部分であって、スパウト3の後開口部3cに組み込まれた状態で前後方向に移動可能な(カム従動部6aの手前までの)大径駆動部分,
をそれぞれ示している。
【0026】
また、
7は弁部材4(移動弁5およびこれと一体のシャットオフ駆動部6)を弱弾性力で前方に付勢するため、スパウト3の小径環状段部3dと移動弁5の環状後端面5cとの間に配設されたコイルスプリング,
8はスパウト3の外側横筒状部3gに嵌合状態で取り付けられた内容物放出作動用の突出ノズル,
8aは当該突出ノズルの前端部分に形成された内容物放出口,
8bは後述のアクチュエータキャップ9への組込み対象となる大径横筒状部,
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
9はステムホルダー2,スパウト3,弁部材4,コイルスプリング7および突出ノズル8などを、当該突出ノズルの内容物放出口側部分が飛び出る形で収容し、かつ、作動モードの設定,解除の操作部材として作用する横断面円形状からなり、全体が鞘状のアクチュエータキャップ,
9aは作動モード設定操作の際に押圧される操作面(上面),
9bは当該アクチュエータキャップの周面上部分に、突出ノズル8の組込み対象である大径横筒状部8bの外形と合致する大きさで形成されて、当該突出ノズルの保持作用を呈する円形開口部,
9cは円形開口部9bの下方の内周面に複数形成されて、当該アクチュエータキャップがステムホルダー2からその上方に外れるのを防止するための周方向凸状部,
9dは当該アクチュエータキャップの天井面の略中央部分に形成されて、組立後、レール作用部3kの前端側の上面に当接するとともにその両側面をいわば挟持し、かつ、外側横筒状部3gの上端後面部分と当接する凹状垂下部,
9eは当該アクチュエータキャップの前側内周面に対向する長尺態様で形成されて、組立後、その下側部分がステムホルダー2の切欠状部2jとの係止作用を呈する一対の縦リブ状部,
9fは当該アクチュエータキャップの天井面から内周面縦方向にかけ、縦リブ状部9eの直前位置に形成されて、外側横筒状部3gの前端面部分を係合保持する(当該外側横筒状部の上端部分については凹状垂下部9dとの間に挟持する)とともに、突出ノズル8の後側大径部分の少なくとも横方向を挟持する逆U字リブ状部,
9gは図1のスパウトユニットを当該アクチュエータキャップに組み込む際の入り口として作用する下開口部,
をそれぞれ示している。
【0028】
また、
10は後述の各種内容物を収容済みの容器本体(図示省略)の開口部に螺合して、上下方向に移動するステムホルダー2およびスパウト3それぞれの案内機能を備えたカバーキャップ,
11はカバーキャップ10に取り付けられて、ステム1の上下動空間域および容器本体内容物の(次回放出用内容物の)一時貯留域、また通路域として作用するハウジング,
をそれぞれ示している。
【0029】
また、
D1はスパウト3(横筒状部3b)の円形状の後開口部3cの内径
D2はシャットオフ駆動部6の円筒状の大径駆動部分の外径(D1>D2),
D3はスパウトユニットの平面形状(環鍔状部2c,横板状部3nなどを水平状態に設定したスパウトユニットを真上からみたときの形状)においていわば最長直線となる環鍔状部2cの外径,
D4は横断面円形状のアクチュエータキャップ9(周方向凸状部9cの部分を除く)の内径(D3<D4),
をそれぞれ示している。
【0030】
ここで、ステム1,ステムホルダー2,スパウト3,弁部材4(移動弁5+シャットオフ駆動部6),突出ノズル8,アクチュエータキャップ9,カバーキャップ10およびハウジング11は例えばポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。コイルスプリング7は金属製,プラスチック製のものである。
【0031】
本願発明の実施形態としてのスパウトユニットは、図1に示すようにステムホルダー2,スパウト3,シャットオフ駆動部6およびコイルスプリング7の計四個の構成要素それぞれが互いにバラケルことなしに一体化された形のユニット構造である。
【0032】
図1のスパウトユニットの基本的特徴は、
(21)弁部材4を、前側の移動弁5と後側のシャットオフ駆動部6とに分割し、
(22)スパウト3(横筒状部3b)の円形状の後開口部3cの内径D1と、シャットオフ駆動部6の円筒状の大径駆動部分6eの外径D2と、が「D1>D2」に設定され、
(23)ステムホルダー2およびスパウト3の各部材が上下方向に相対移動可能な形で一体化され、互いの係合作用によりこれら各部材の一体化状態が保持され、
(24)シャットオフ駆動部6が、前後方向に移動可能、かつ前方に抜けることのない形でスパウト3の横筒状部3bおよび後開口部3cに組み込まれ、当該シャットオフ駆動部の凹状貫通部6c(からその後方に続く縦側面)とレール作用部3kの凸状部3mとの係合作用により、この組込み後の一体化状態が保持され、
(25)移動弁5を前方に駆動するコイルスプリング7の後端部が横筒状部3bの小径環状段部3dおよびこれの前側に続く小径内周面3eに保持され、
(26)スパウトユニットの平面形状において最長直線となる環鍔状部2cの外径D3が、アクチュエータキャップ9(周方向凸状部9cの部分を除く)の内径D4より、小さく設定されている、
ことなどである。
【0033】
なお、図1のスパウトユニットに関する上記(26)の内容は、
ステムホルダー2の上にスパウト3を組み込み、かつ、当該スパウトの横筒状部3bにシャットオフ駆動部6およびコイルスプリング7を組み込んだ状態のスパウトユニットを、その上方(真上)からみたときの射影形状が、アクチュエータキャップ9の下開口部9gからその内部に組み入れられる形の大きさに設定されている、
ともいえる。
【0034】
ステムホルダー2とスパウト3との間では、
(31)ステムホルダーの前起立部2fおよび後起立部2dとスパウトの横板状部3nとの係合作用により、前後方向や横平面内回動方向における両者の位置関係が画定され、
(32)ステムホルダーの環鍔状部2cと外向きロック作用部2gとの間にスパウトの横板状部3nを挟み込んで両者の上下方向への相対移動範囲を規制し、これにより両者間の抜けが阻止される。
【0035】
また、スパウト3の横筒状部3bの中に後方から組み込まれたシャットオフ駆動部6は、そのカム従動部6aと、当該横筒状部の後端部分およびレール作用部3kの凸状部3mのそれぞれとの個別係合作用により、当該横筒状部からの脱落が阻止される。
【0036】
上述の計四個の構成要素の全体を組み立てた図1のスパウトユニットにおけるステムホルダー2およびスパウト3の上下方向への相対移動範囲は、上記(32)の外、シャットオフ駆動部6のカム従動部6aと当該ステムホルダーの後起立部2d(上端テーパ面2e)との当接作用によっても規制される。
【0037】
なお、ステムホルダー2およびスパウト3を組み合わせるには、例えばスパウトをステムホルダーの上方から、その後起立部2dおよび前起立部2fにスパウトの横板状部3nが図示のように当接、案内される形で入れていけばよい。
【0038】
このとき、
(41)貫通部3p(横板状部3n)を構成する横板状部下端部分が前起立部2fの傾斜面2hと当接していわば互いに離れる方向へ弾性変形し、
(42)この弾性変形をともないながら、貫通部3pが傾斜面2hを通りすぎて外向きロック作用部2gの底面位置まで移動すると、当該貫通部および当該外向きロック作用部はそれぞれ弾性変形前の原形状に復帰し、
(43)この原形状復帰により、横板状部3nの貫通部3pに続く部分が外向きロック作用部2gの下側に位置して、スパウト3は、その横板状部がステムホルダー2の前起立部2fから上方向に抜けない状態に設定される。
【0039】
また、スパウト3の横筒状部3bにシャットオフ駆動部6を組み合わせるには、例えばシャットオフ駆動部を、横筒状部の後開口部3cに、その後方から当該シャットオフ駆動部(カム従動部6a)の凹状貫通部6cが当該スパウトのレール作用部3kに案内される形で入れていけばよい。
【0040】
このとき、
(51)シャットオフ駆動部6(カム従動部6a)の凹状貫通部6cおよびレール作用部3kの凸状部3mは、当該凹状貫通部の前端部分から当該凸状部に当接して、互いに相手方を押し込む態様で弾性変形し、
(52)この弾性変形をともないながら凹状貫通部6cが凸状部3mを通りすぎると、当該凹状貫通部および当該凸状部はそれぞれ弾性変形前の原形状に復帰し、
(53)この原形状復帰により、シャットオフ駆動部6は、そのカム従動部6aの凹状貫通部6cがレール作用部3kの凸状部3mの前側のみに位置する状態、すなわちレール作用部3kの凸状部3mから後方向に抜けない状態に設定される。
【0041】
なお、上述したように、シャットオフ駆動部6の大径駆動部分6eを含む前側部分の最大外径D2は、スパウトユニットの組立ての際にこの前側部分が入り込む円形状の後開口部3cの内径D1よりも、小さく設定されている。
【0042】
そのため、作業者は、シャットオフ駆動部6の前側部分をスパウト3の後開口部3cから横筒状部3bの中に組み込むことができる。
【0043】
ステム1に取り付ける前のシャットオフ機構(図1のスパウトユニット+移動弁5+突出ノズル8+アクチュエータキャップ9)を組み立てるには例えば、
(61)図1のスパウトユニットに、その上方からアクチュエータキャップ9を、ステムホルダー2の切欠状部2jと当該アクチュエータキャップの縦リブ状部9eとが合致する位置関係で組み入れていき、
(62)最終的には、ステムホルダー2の環鍔状部2cの周方向縁部分とアクチュエータキャップ9の周方向凸状部9cとの互いに相手方を径方向に押し込む形の弾性変形を経た後、当該環鍔状部が当該周方向凸状部の図示上側に入り込んだ状態で保持されて、すなわちステムホルダー2がアクチュエータキャップ9から抜けないようにし、
(63)次に、移動弁5を、アクチュエータキャップ9の円形開口部9bからその内側に入れて、当該移動弁の環凹状部5dとシャットオフ駆動部6の環凸状部6dとの係合状態に保持し、
(64)次に、突出ノズル8を、同じくアクチュエータキャップ9の円形開口部9bからその内側に入れて、当該突出ノズルの大径横筒状部8bの外周面と、当該スパウト3の外側横筒状部3gの内周面とを係合保持すればよい。
【0044】
この組立て後のシャットオフ機構は、コイルスプリング7の弾性作用により、シャットオフ駆動部6の下向きテーパ面6bがステムホルダー2の上端テーパ面2eに当接し、移動弁5の弁作用部5aが突出ノズル8の内容物放出口8aを閉塞している。
【0045】
なお、上記(61)において、図1のスパウトユニットの上方からアクチュエータキャップ9を被せることができるのは、弁部材4を前側の移動弁5と後側のシャットオフ駆動部6とに分割してスパウトユニットから当該移動弁をいわば捨象し、これを真上からみたときの最大長部分であるステムホルダー2の環鍔状部2cの外径D3をアクチュエータキャップ9の内径D4よりも小さくしているからである。
【0046】
図2図4のシャットオフ機構(内容物放出機構)の動作自体はポンプ式製品やエアゾール式製品において周知である。
【0047】
ここで、
(71)ステム1およびこれと一体のステムホルダー2はハウジング11の内部に配設された周知のコイルスプリング(図示省略)の弾性作用により上方向に付勢され、
(72)シャットオフ駆動部6と移動弁5との一体物からなる弁部材4は、スパウト3の内部でコイルスプリング7の弾性作用により前方向(内容物放出口8aを塞ぐ方向)に付勢され、
(73)スパウト3,突出ノズル8およびアクチュエータキャップ9はその全体がいわば固定状態の一体物であり、
(74)このスパウト3などの一体物はステムホルダー2に対して上下方向のみの移動が可能であり、
(75)アクチュエータキャップ9はその凹状垂下部9dがスパウト3のレール作用部3kなどに当接し、
(76)スパウト3と上下方向に連動するシャットオフ駆動部6はそのカム従動部6aの下向きテーパ面6bがステムホルダー2(後起立部2d)の上端テーパ面2eに倣いながら前後方向に移動する。
【0048】
図2の静止モードのとき、ステム1が周知のコイルスプリング(図示省略)の作用で上方向に移動してハウジング11内部の周知のポンプ作動部吐出弁が閉じた状態に設定され、また、突出ノズル8の内容物放出口8aはコイルスプリング7の作用で前方向に付勢された移動弁5の弁作用部5aで塞がれている。そのため、ステム1の貯留内容物が内容物放出口8aから外部空間域へ放出されることは勿論生じない。
【0049】
なお、コイルスプリング7の弾性力は、ステム1およびこれと一体のステムホルダー2を上方向に付勢する周知のコイルスプリング(図示省略)のそれよりも十分小さい。
【0050】
図3に示すように、この弾性力の違いにより、静止モードのアクチュエータキャップ9が押下げ操作されるとき先ず弁部材4(移動弁5+シャットオフ駆動部6)が、その下向きテーパ面6bと、静止モード位置のままのステムホルダー2の上端テーパ面2eと、の間のカム作用に基づいて後方に移動する。
【0051】
すなわち、弁部材4は、その移動弁5の弁作用部5aが突出ノズル8の内容物放出口8aから離れる後方向へ移動する。
【0052】
このとき、ステム1およびステムホルダー2からなる一体物は、上述したコイルスプリング(図示省略)の強弾性力により略静止モードの位置にとどまったままである。
【0053】
そしてアクチュエータキャップ9と一体になって下動するスパウト3の上縦筒状部3aの下端がステムホルダー2の環鍔状部2cの上面部分に当接した段階で、弁部材4の後方への移動が終了する。
【0054】
その後、上述の環鍔状部2cと上縦筒状部3aとの当接作用を介して、ステムホルダー2およびこれと一体のステム1はアクチュエータキャップ9と下方向に連動する。
【0055】
図4に示すように、このステム1の下方向への連動にともないハウジング11に設けられた周知のポンプ機構(図示省略)の吸込弁から吐出弁までの貯留空間域の容量が小さくなってそこでの内容物圧力が増加する。
【0056】
この内容物圧力が増加する結果、ポンプ機構の吸込弁が閉じ、吐出弁が開いた状態となり、ハウジング内部の貯留内容物は「吐出弁−ステム1の内部通路域−上縦筒状部3aの内部通路域−孔部3j−突出ノズル8と横筒状部3b,移動弁5との間の突出ノズル通路域」を経て突出ノズル8の内容物放出口8aから外部空間域に放出さえる。
【0057】
アクチュエータキャップ9の押下げ操作が解除されると、作動モード位置のステム1,ステムホルダー2,スパウト3および弁部材4(移動弁5)などは、ハウジング11の内部に配設されたコイルスプリング(強弾性力:図示省略)およびスパウト3の内部に配設されたコイルスプリング7(弱弾性力)の弾性作用により、それぞれ静止モード位置へ復帰する。
【0058】
すなわち、ステム1の上動にともないポンプ機構の上記貯留空間域の容量が増加してその内部圧力も減じるので吐出弁は閉じ、また、移動弁5の前方向への復帰にともないその弁作用部5aが突出ノズル8の内容物放出口8aを閉塞する。
【0059】
なお、内部圧力が減じる貯留空間域には容器本体(図示省略)の内容物が吸込弁を開きながら流入する。この流入内容物が次回の放出対象となる。
【0060】
このようなシャットオフ機構を採用する、すなわち内容物放出操作がおこなわれていない静止モードのときに突出ノズル8の内容物放出口8aを閉じる構成を採ることにより、作動モード解除などにともない内容物放出口付近に残留する内容物が外気にふれて固化するのを防止している。
【0061】
また、鞘状のアクチュエータキャップ9の周面および上面における開口部として、突出ノズル8の組込み対象部分である大径横筒状部8bの外周面と合致する大きさの円形開口部9bのみを形成することにより、アクチュエータキャップ9に組込み後の突出ノズル8の下方向への位置ずれを確実に阻止するとともに、アクチュエータキャップ9の内部を一切露出させずに、シャットオフ機構全体のいわば外見をスマートなものにしている。
【0062】
本発明が、図示の実施形態に限定されないことは勿論であって例えば、
(81)アクチュエータキャップの傾動操作によりステム1を作動モードに設定する、
(82)コイルスプリング7に代えて板バネなどの任意の弾性部材を用いる、
ようにしてもよい。
【0063】
本発明が適用されるポンプ式製品,エアゾール式製品としては、洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0064】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0065】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0066】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0067】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0068】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0069】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0070】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ピレスロイド,ジエチルトルアミドなどの殺虫剤・害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、ローズオイル、リナロールなどの香料、植物抽出物などの消臭剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0071】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【0072】
エアゾール式製品における内容物噴射用ガスとしては、炭酸ガス,窒素ガス,圧縮空気,酸素ガス,希ガス,これらの混合ガスなどの圧縮ガスや、液化石油ガス,ジメチルエーテル,フロロカーボンなどの液化ガスを用いる。
【符号の説明】
【0073】
1:ステム(ピストン)
2:ステムホルダー
2a:下縦筒状部
2b:逆スカート部
2c:環鍔状部
2d:一対の後起立部
2e:外方下がりの上端テーパ面
2f:一対の前起立部
2g:外向きロック作用部
2h:外方下りの傾斜面
2j:切欠状部(縦凹状部)
【0074】
3:スパウト
3a:上縦筒状部
3b:横筒状部
3c:円形状の後開口部
3d:小径環状段部
3e:小径内周面
3f:大径内周面
3g:外側横筒状部
3h:有底の環凹状部
3j:孔部
3k:縦板状のレール作用部
3m:凸状部
3n:一対の横板状部
3p:上下方向の貫通部
【0075】
4:弁部材(移動弁5+シャットオフ駆動部6)
5:鞘状の移動弁
5a:弁作用部
5b:スカート部
5c:環状後端面
5d:環凹状部
6:シャットオフ駆動部
6a:一対のカム従動部
6b:後方下りの下向きテーパ面
6c:上側前後方向の凹状貫通部
6d:環凸状部
6e:大径駆動部分
【0076】
7:コイルスプリング
8:突出ノズル
8a:内容物放出口
8b:大径横筒状部
9:鞘状のアクチュエータキャップ
9a:操作面(上面)
9b:円形開口部
9c:周方向凸状部
9d:凹状垂下部
9e:一対の縦リブ状部
9f:逆U字リブ状部
9g:下開口部
10:カバーキャップ
11:ハウジング
【0077】
D1:後開口部3cの内径
D2:大径駆動部分6eの外径(D1>D2)
D3:環鍔状部2cの外径
D4:アクチュエータキャップ9の内径(D3<D4)
図1
図2
図3
図4