特許第6099255号(P6099255)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099255
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】LEDランプ
(51)【国際特許分類】
   F21K 9/237 20160101AFI20170313BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20170313BHJP
   F21V 29/83 20150101ALI20170313BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20170313BHJP
【FI】
   F21K9/237
   F21V23/00 150
   F21V29/83
   F21Y115:10
【請求項の数】5
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2013-6726(P2013-6726)
(22)【出願日】2013年1月17日
(65)【公開番号】特開2014-137939(P2014-137939A)
(43)【公開日】2014年7月28日
【審査請求日】2016年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】391001457
【氏名又は名称】アイリスオーヤマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161322
【弁理士】
【氏名又は名称】白坂 一
(72)【発明者】
【氏名】和賀 博憲
【審査官】 下原 浩嗣
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−138785(JP,A)
【文献】 特開2011−082132(JP,A)
【文献】 特開2012−099375(JP,A)
【文献】 特開2002−109949(JP,A)
【文献】 特開2008−204671(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21K 9/237
F21V 23/00
F21V 29/83
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
LED素子が実装されたLED基板と、
前記LED基板を配置して放熱する放熱部材と、
前記LED基板を覆うように装着された透光性カバーと、
一端に口金が接合された筒状の絶縁筐体と、を備えたLEDランプにおいて、
前記放熱部材の一部を外気に露出させ、
前記絶縁筐体に収納される回路基板ホルダは、
前記放熱部材よりも熱伝導性が小さな絶縁性材料で形成され、
点灯回路基板を収納した該回路基板ホルダの外殻の一部を
前記絶縁筐体に内接させており、
前記放熱部材は、底部が前記絶縁筐体の端部に接合され、その外周が当該LEDランプの外郭の一部を形成する、
ことを特徴とするLEDランプ。
【請求項2】
有底椀形円筒形状をした前記回路基板ホルダの一端にある開口部は、
前記放熱部材よりも熱伝導性の小さな絶縁性材料からなる蓋部材で塞がれていることを
特徴とする請求項1に記載のLEDランプ。
【請求項3】
前記点灯回路基板に実装された、
熱的特性で最大定格温度の低い電子部品、及び発熱量の大きい電子部品を、
放熱性樹脂で前記回路基板ホルダと熱的に接合させたことを特徴とする
請求項1ないし2に記載のLEDランプ。
【請求項4】
前記熱的特性で最大定格温度の低い電子部品、及び発熱量の大きい電子部品を、
略円板形状をした前記点灯回路基板の直径方向に背丈の低い方から高い方へ順に配設し、
前記電子部品が前記放熱樹脂で埋設されるように
前記回路基板ホルダを傾けて前記放熱樹脂を注入したことを特徴とする
請求項3に記載のLEDランプ。
【請求項5】
前記回路基板ホルダの底部の一部を内方に突出させ、
前記放熱樹脂を注入することを特徴とした
請求項3ないし4のいずれかに記載のLEDランプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に屋外での使用を目的としたLEDランプに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境意識の高まりから、省電力化に優れたLED素子を光源に使用した、電源回路が内蔵された電球形のLEDランプが盛んに用いられるようになってきた。特に最近は、高輝度なLEDランプが求められるようになってきており、そのために使用されるLED素子も出力の大きなものが使用され、供給する電力も大きくなってきている。これに伴ってLED素子が実装された基板の温度上昇を抑制するとともに、LED素子を点灯する点灯回路から発生する熱がLED素子に影響しないように対策が必要である。そのために、両者間での熱的な影響を減らし、それぞれの放熱を効率的に行うためのLEDランプが検討されている。
【0003】
例えば、特許文献1に記載されている発光素子ランプでは、発光素子と、口金と螺合する断熱性の筒状部材の一部とが、熱伝導性のケースに収納され、この筒状部材の内部空間に点灯回路が収納されている。筒状部材は断熱性であるため、ケースと口金の間で熱伝導が行われ難くなっており、点灯回路で発生した熱も発光素子に伝わりにくくなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−282986
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載されている発光素子ランプでは、断熱性の筒状部材の一部が熱伝導性のケース内に位置しているため、断熱性の筒状部材といえども、LED素子と電源基板に実装された電気部品との間で熱のやり取りが起きる可能性がある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、LED素子から生じる熱を、点灯回路基板に実装された電子部品に伝導させないで効率的に放熱させ、その逆に点灯回路基板に実装された電子部品からの発熱もLED素子に影響を与えず放熱させ、高輝度で長寿命なLEDランプを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明にあたっては、LED素子が実装されたLED基板と、前記LED基板を配置して放熱する放熱部材と、前記LED基板を覆うように装着された透光性カバーと、一端に口金が接合された筒状の絶縁筐体とを備えたLEDランプにおいて、前記放熱部材の一部を外気に露出させ、前記絶縁筐体に収納される回路基板ホルダは、前記放熱部材よりも熱伝導性が小さな絶縁性材料で形成され、点灯回路基板を収納した該回路基板ホルダの外殻の一部を前記絶縁筐体に内接させていることを特徴とするものである。
【0008】
請求項2に記載の発明にあたっては、前記回路基板ホルダの一端にある開口部は、前記放熱部材よりも熱伝導性の小さな絶縁性材料からなる蓋部材で塞がれていることを特徴とするものである。
【0009】
請求項3に記載の発明にあたっては、前記点灯回路基板に実装された、熱的特性で最大定格温度の低い電子部品、及び発熱量の大きい電子部品を、放熱性樹脂で前記回路基板ホルダと熱的に接合させたことを特徴とするものである。
【0010】
請求項4に記載の発明にあたっては、前記熱的特性で最大定格温度の低い電子部品、及び発熱量の大きい電子部品を、略円板形状をした前記点灯回路基板の直径方向に背丈の低い方から高い方へ順に配設し、前記電子部品が前記放熱樹脂で埋設されるように前記回路基板ホルダを傾けて前記放熱樹脂を注入したことを特徴とするものである。
【0011】
請求項5に記載の発明にあたっては、前記回路基板ホルダの底部の一部を内方に突出させ、前記放熱樹脂を注入することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1に記載の発明によれば、一部が外気に露出した放熱部材が、LED基板と絶縁筐体の間に位置しているので、LED素子で発生した熱が、放熱部材の外気露出部分で放熱され、放熱部材よりも熱伝導性の小さな絶縁筐体には熱伝導しないようになる。そのため、前記回路基板ホルダの内部に配置された点灯回路基板に実装された電子部品への熱伝導も抑制され、また、電子部品で発生した熱も回路基板ホルダから絶縁筐体に伝導し外気に放熱されるのでLED素子に熱伝導されにくく、LED素子と電子部品相互間の熱的な影響を抑制した高輝度で長寿命なLEDランプを提供できる。
【0013】
請求項2に記載の発明によれば、絶縁材料からなる蓋部材は、放熱性部材よりも熱伝導性が小さく、前記絶縁筐体の開口部を塞ぐことでLED素子と電子部品相互間の熱的な影響を更に抑制した高輝度で長寿命なLEDランプを提供できる。
【0014】
請求項3の発明によれば、前記回路基板ホルダの開口部から、放熱樹脂を注入することで、熱的に耐久性の劣る電子部品や発熱量が多い電子部品からの発熱が効率的に前記回路基板ホルダに伝導され放熱されるので、電子部品の使用寿命を延ばすことができる高輝度、長寿命なLEDランプを提供できる。
【0015】
請求項4ないし5の発明によれば、前記放熱樹脂の注入量を削減した、より軽量でコストを削減できる高輝度、長寿命なLEDランプを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施形態のLEDランプを上方から見た斜視図
図2】本実施形態のLEDランプを斜め上方から見た分解斜視図
図3】本実施形態のLEDランプを斜め下方から見た分解斜視図
図4】本実施形態のLEDランプ内の空気の流路を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は(a)のA−A断面斜視図
図5】本実施形態の放熱樹脂の充填量削減方法を説明する図であり、(a)〜(c)はその方法を示す断面図
図6】本実施形態の放熱樹脂の更なる削減方法を説明する図であり、(a)〜(c)はその方法を示す断面図
図7】本実施形態のLEDランプをランプホルダに装着する方法を説明する図であり、(a)、(b)はその方法を示すランプホルダの断面図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお本実施の形態は一例であり、これに限定されるものではない。図1は本実施形態に係わるLEDランプ1を上方から見た斜視図で、図2は本実施形態に係るLEDランプ1を斜め上方から見た分解斜視図である。また図3は本実施形態に係わるLEDランプ1を斜め下方から見た分解斜視図である。
【0018】
本実施形態に係わるLEDランプ1は、図1図3に示すように、LED素子21を光源として備えるLED基板2と、該LED基板2を載置する放熱部材3と、前記放熱部材3を他端に備える絶縁筐体4と、LED基板を覆う透光性カバー9と、前記LED素子21を点灯させる点灯回路基板7と、前記点灯回路基板7を内部に収納し前記絶縁筐体4と接して点灯回路基板7からの発熱を放熱する回路基板ホルダ5と、回路基板ホルダ5内に充填して点灯回路基板7から発生した熱を回路基板ホルダ5に伝熱する放熱樹脂16(図5図6)と、前記回路基板ホルダ5の開口部を塞ぐ絶縁蓋6と、前記絶縁筐体4の一端に設けられた口金とを備えている。更にLEDランプ1は後述するような防水機能を有している。
【0019】
LED素子21としては公知の種々のLEDを用いることができる。本実施形態では、照明用の白色光を発光する高輝度タイプのLED素子21を用いている。またチップオンボード型のLEDモジュールを使用してもよい。
【0020】
LED基板2は、基板22と複数のLED素子21で構成され、基板22は、略円盤状の平板で公知のガラスエポキシ基板、セラミックス基板等のプリント基板等を用いることができる。本実施形態では、ガラス布・ガラス不織布複合基材エポキシ樹脂銅張積層板(CEM−3)が用いられ、複数のLED素子21がLED実装面23に実装されている。LED基板2の中央部分には、LED素子21に点灯回路基板7から給電するために、図示しない給電線を通す貫通孔25が設けられており、複数のバインドネジ12で放熱部材3の載置面33に基板下面24を密着させて接合するための透孔26が複数穿設されている。
【0021】
放熱部材3は、熱伝導率の高い材料(例えば、アルミニウム、銅などの金属材料や酸化金属材料など)で形成されていることが好ましい。本実施形態では、アルミニウムを用いて、表面が黒塗装処理されたものを使用しているが、これに限定されるものではなくアルマイト処理でも良い。
【0022】
ここでの放熱部材3は全体が略空洞の円盤形状であり、筒壁31と、前記筒壁31の上部には軸心から径方向に環状に突出した係止部34と、環状溝形状のホルダ36とを備え、筒壁31の上端部に設けられた載置面33を有し、前記載置面33の中央部分(筒部の中心軸を含む。)に貫通孔35が設けられている。一方、筒壁31の下端側は開口部39となっており、内壁301の周内には等間隔で配置されたリブ38が突設されている。LEDランプ1を組立てた時、底部37が絶縁筐体4のフランジ44の上面に接合される。
【0023】
この放熱部材3の載置面33にあるネジ止め下穴302にバインドネジ12を螺着することでLED基板2を接合する。この放熱部材3の筒壁31の外周面には放熱効率を上げるためにフィン32が形成されている。なお、前記載置面33に放熱グリースの塗布あるいは熱伝導性ゴム等を挟み込み、隙間を無くすことが好ましい。これによって、LED素子21で発生した熱が、LED基板2に伝わり、更に放熱部材3に伝導しやすくなり、筒壁31に放射状に複数形成したフィン32から効率的に外気に放熱されるようになる。
【0024】
絶縁筐体4は、放熱部材3よりも熱伝導性の小さな樹脂を用いて形成されている。本実施形態では、ガラス繊維強化ナイロン樹脂を使用したが、これに限定されるものではなく、ポリエチレンテレフタレート、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、ポリイミド、ポリアミド、フェノール樹脂、アクリル樹脂等公知の樹脂材料や、これらにガラス繊維等を含有した強化樹脂が使用できる。
【0025】
この絶縁筐体4は、筒部41の一端部に径の大きな開口部48が形成され、他端に移動するにつれ内径が徐々に小さくなる内部が中空な筒状をなしている。
【0026】
前記開口部48側の内壁401には点灯回路基板7を収納した回路基板ホルダ5と絶縁蓋6をタッピンネジ14によって絶縁筐体4に接合するためのネジ止めボス402が一体で形成されている。絶縁筐体4で最大の外径を有するフランジ44は筒部41から径方向外方に薄板状に延出しており、フランジ44から上方には開口部48を内径とした環状延出部と、環状凸部403を形成している。一方、フランジ44の下方側はストレート部42を経てテーパ部405に移行する。また、前記フランジ44の下部にはリブ406を外殻円周上に複数本ずつ等分分割されて形成しており、後述の照明器具のソケットに装着もしくは取外す際の指掛け部として、着脱操作性を良くしている。
【0027】
前記筒部41の他端の突出筒部43には口金8が螺合するネジ山が設けられたネジ部46が形成され、前記ネジ部46には軸長方向に一部給電線を通すための凹部47が形成され、ネジ部46の下端面の中心部分に貫通孔407が穿設されている。
【0028】
点灯回路基板7は、薄板略円板形状をしたプリント基板であり、その実装面71(裏面側)に複数の電子部品74が実装されており、例えば整流・平滑回路、DC/DCコンバータ等から点灯回路を構成している。前記複数の電子部品74はそれぞれ大きさが異なり、熱的にも最大定格温度の低い電解コンデンサや、発熱量の大きなFET,IC、逆に最大定格温度の高いインダクタや、フィルムコンデンサ等があり、各電子部品を、その熱的な特性に応じて所望の位置に配置することができる。また、一部の電子部品75は点灯回路基板7の他の主面(表面側)に数個実装されている。外周縁に設けた一対の第二の端面カット部73a、73bは、回路基板ホルダ5に内設された一対の回路基板載置リブ59と一部干渉するのを避けるための逃げである。また、回路基板ホルダ5に形成された給電用凹部501との干渉を避けるために第一の端面カット部72が形成されている。この点灯回路基板7は、透孔77にタッピンネジ14を挿通し回路基板ホルダ5に内設されたネジ止めボス56に螺着することで回路基板ホルダ5に接合される。点灯回路基板7の外周部に設けられたU字状切り欠き76には、点灯回路基板7が接合された回路基板ホルダ5を絶縁蓋6で覆い、絶縁筐体4に接合するために使用するタッピンネジ13が挿通される。
【0029】
回路基板ホルダ5は、一端が開口した中空の椀形円筒形状をしており、前記絶縁筐体4同様、放熱部材3よりも熱伝導性の小さな樹脂、本実施形態では、ガラス繊維強化ナイロン樹脂を使用して形成されている。前記基板ホルダ5の内部には前記点灯回路基板7をネジ止め固定するためのネジ止めボス56と複数の回路基板載置面57及び、一対の回路基板載置リブ59を内設している。また、外殻のストレート部51には給電用凹部501を凹設し、図示しない給電線を通すスペースを確保している。回路基板ホルダ5の外殻に形成するテーパ部52は、回路基板ホルダ5を絶縁筐体4に装着した際に絶縁筐体4のテーパ部405に内接する形状としている。カット部53は、後述するがLEDランプ1の内部に空気の流路を確立するために形成されている。
【0030】
前記点灯回路基板7を前記回路基板ホルダ5に固定する際には、まず、図5図6に示すように放熱樹脂16を回路基板ホルダ5内に注入し、次いで点灯回路基板7を実装された電子部品74側から挿入する。図5aに示すように、放熱樹脂16は熱的特性で最大定格温度の低い電解コンデンサや、発熱量の大きなFET,ICの中で最も背丈の低い電子部品74の頂部が埋設される程度に充填し所望の温度で硬化させる。放熱樹脂16は回路基板ホルダ5内部の熱伝導率の低い空気層を追い出し、電子部品74から発生する熱を回路基板ホルダ5の外殻へ伝える。回路基板ホルダ5を絶縁筐体4に装着すると、回路基板ホルダ5の外殻に形成するテーパ部52が絶縁筐体4のテーパ部405に内接する構造としているので、前記回路基板5の外殻に伝えられた熱は絶縁筐体4から効果的に外気に放熱される。
【0031】
前記放熱樹脂16は、電気不導体で熱伝導性の高いシリカ、アルミナ等の顔料が含有された樹脂であり、加熱前は流動性が有り回路基板ホルダ5の中空部に充填され、時間経過によって硬化し流動性が無くなるものである。本実施形態では熱硬化性のシリカ含有シリコン樹脂を用いた。
【0032】
次にこの放熱樹脂16の使用量を削減してコスト削減を図る手法について説明する。前述したように放熱樹脂16は、熱的特性で最大定格温度の低い電解コンデンサや、発熱量の大きなFET,ICの頂部が埋設される程度に充填すれば放熱効果が得られるので、図5bに示すように、略円板形状をしたプリント基板の直径方向に前記最大定格温度の低い電解コンデンサや、発熱量の大きなFET,ICの背丈を考慮して低い方から高い方へ順に配置実装し、ジグ17を使い回路基板ホルダ5を傾斜させて放熱樹脂16を充填しても良い。放熱樹脂16の硬化後は図5cに示すように、放熱樹脂16が傾斜した状態で電子部品74の頂部を覆う。この方法によって放熱樹脂16の使用量を削減できる。また、図6aのように回路基板ホルダ5の底部に内方に向けて凹設部18を設け、回路基板ホルダ5内の無駄なスペースを省き放熱樹脂16を削減することができる。更に、図6bに示すように、ジグ17を使用して回路基板ホルダ5を傾斜させて放熱樹脂16を充填しても良く、放熱樹脂16が硬化すれば、図6cのように放熱樹脂16の削減が図れコスト削減が可能となる。尚且つ、より軽量化したLEDランプ1を作製することができる。
【0033】
絶縁蓋6は、蓋部62と筒部61を有する有底浅皿状に、ガラス繊維強化ナイロン樹脂を使用して形成されており、中央部にLED基板2に電気的接続をするための接続線を通す貫通孔64が穿設されている。絶縁蓋6は、前記回路基板ホルダ5の開口部を塞ぎ、タッピンネジ13によって透孔66、点灯回路基板6の外周縁に設けられたU字状切り欠き76、更に回路基板ホルダ5の透孔58を貫通し、絶縁筐体4に内設されたネジ止めボス402に螺着されることで回路基板ホルダ5並びに点灯回路基板7と共に絶縁筐体4に接合される。絶縁蓋6によって放熱部材3の熱が、点灯回路基板7に伝わりにくくなっている。尚、筒部61に設けた一対の逃げ部67a、67bは、回路基板ホルダ5に内設された一対の回路基板載置リブ59との干渉を避けるための逃げ部である。また、切り欠き68は、後述するがLEDランプ1の内部に空気の流路を確立するために形成されている。
【0034】
絶縁蓋6で回路基板ホルダ5の開口部を塞ぐ際に、点灯回路基板7と絶縁蓋6の間に熱伝導性ゴム等を挟み込み隙間を無くすと、点灯回路基板7の実装面71に実装された電子部品74からの発熱ばかりでなく、主面に実装された電子部品75からの発熱も回路基板ホルダ5に伝導され効率よく絶縁筐体4から外気に放熱される。
【0035】
図示しないが、口金8を介して供給される商業用電力の給電線は、点灯回路基板7から回路基板ホルダ5の給電用凹部501を通って引き出され、絶縁筐体4の円筒内部を通して貫通孔407から外部に臨ませておく。また点灯回路基板7とLED基板2を電気的に接続する図示しない接続線は絶縁蓋6の中心部に穿設した貫通孔64に挿通し外部へ引き出しておく。
【0036】
口金8はネジ部分のシェル部81と先端部のアイレット部82とを有し、前記点灯回路基板7から引き出され絶縁筐体4の貫通孔407から外部に臨ませておいた給電線を電気的に接続して、シェル部81を絶縁筐体4の突出筒部43に形成されたネジ部46と螺合する。
【0037】
次にLED基板2を装着した放熱部材3を絶縁筐体4に接合する。まず、前記点灯回路基板7とLED基板2を電気的に接続する図示しない接続線を放熱部材3の貫通孔35及び、LED基板2の貫通孔25を挿通し、第一の環状弾性部材10を絶縁筐体4の環状凸部403に載置して、開口部48を形成する環状延出部45に前記放熱部材3の開口部39を係合させ、フランジ44の下方側から透孔49に挿通させたバインドネジ15によって放熱部材3に螺着する。接合後、前記接続線をLED基板2に半田で電気的に接続する。第一の環状弾性部材10は、放熱部材3と絶縁筐体4の接合面からの水分や埃の浸入を防止する。
【0038】
透光性カバー9は、ポリカーボネート樹脂を用いてドーム形状に形成されている。この透光性カバー9の筒部91の内壁に、一対の係止爪92を備える。放熱部材3の軸心方向に向けて溝形状で形成されたホルダ36に第二の環状弾性部材11を装着して、この第二の環状弾性部材11の外径を放熱部材3の軸心方向に潰すように弾性変形させながら前記係止爪92を放熱部材3の係止部34に係止することによって、透光性カバー9が放熱部材3に固定される。第二の環状弾性部材11によって、透光性カバー9の内側への水分や埃の侵入を防止できる。(図4b)
【0039】
これにより透光性カバー9の装着が完了しLEDランプ1が完成する。
【0040】
図2図3、及び図4bに示しているように、点灯回路基板7に実装された電子部品74から生じる熱は、放熱樹脂16を通して回路基板ホルダ5に伝導し、回路基板ホルダ5のテーパ部52と接している絶縁筐体4から外気に放熱され、LED基板2に実装されたLED素子21からの発熱は、密着固定されている放熱部材3の載置面33に伝導し、更に放熱部材3のフィン32から外気に放熱されるので、LED素子21と電子部品74とは、相互に熱的な影響を受けることがなく、それぞれで発生した熱は独立した伝熱経路で放熱される。
【0041】
図4に示すように、本実施形態に係わるLEDランプ1は、規格上(JISC7709−1)、口金8のシェル部81と先端部のアイレット部82間の傾斜面に一対の貫通孔83を設けている。この貫通孔83と連通して空気の流路をLEDランプ1の内部に形成している。貫通孔83から流入した空気は、絶縁筐体4の筒部41内を通り、回路基板ホルダ5に形成したカット部53、給電用凹部501及び、絶縁蓋6の切り欠き68を通じて放熱部材3の貫通孔35とLED基板2の貫通孔25とを抜け透光性カバー9の内壁まで到達する。このようにLEDランプ1の内部は密閉状態ではなく空気の流路が確立されているので、常時、内圧が外気圧と同じになるようにコントロールされている。そのため、点灯状態から消灯した際のLEDランプ1内の温度変化による内圧低下が発生しないのでLEDランプ1内への水分の吸引現象を引き起こさない。また消灯状態から点灯した際の発熱による内圧上昇も防げるので、内圧上昇によって引き起こされる透光性カバー9と放熱部材3の係合解除等も発生しない。
【0042】
図7に示すように、本実施形態のLEDランプ1を屋外の看板照明等に使用する場合には、防水構造のある専用のランプホルダ(200)を使用する。このランプホルダ(200)は開口部端面(201)に防水用パッキン(202)が装着されており、防水用パッキン(202)とLEDランプ1の絶縁筐体4が密着して、内部のソケット部(203)に水分が侵入しない構造とされている。(図7a)そのため、このランプホルダ(200)にはLEDランプ1の口金8に対応するソケット部(203)にコイルスプリング(204)による弾性機能があり伸び縮みするので、LEDランプ1を回転させて口金8とソケット部がくっついてから、ソケット部にきっちりと口金8が接続されるまでLEDランプ1を引っ張りながら回す操作を繰り返し行う必要がある。(図7b)この操作性を良くするために本実施形態のLEDランプ1の絶縁筐体4には指掛け部としてのリブ406が配設されている。
【符号の説明】
【0043】
1 LEDランプ
2 LED基板
3 放熱部材
4 絶縁筐体
5 回路基板ホルダ
6 絶縁蓋
7 点灯回路基板
8 口金
9 透光性カバー
10 第一の環状弾性部材
11 第二の環状弾性部材
12 バインドネジ
13 タッピンネジ
14 タッピンネジ
15 バインドネジ
16 放熱樹脂
17 ジグ
200 ランプホルダ






図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7