特許第6099266号(P6099266)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6099266非イオン型界面活性剤の処理方法及び金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6099266
(24)【登録日】2017年3月3日
(45)【発行日】2017年3月22日
(54)【発明の名称】非イオン型界面活性剤の処理方法及び金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法
(51)【国際特許分類】
   C07C 41/36 20060101AFI20170313BHJP
   C11D 1/66 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 217/08 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 213/10 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 233/18 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 231/24 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 43/23 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 69/30 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 67/56 20060101ALI20170313BHJP
   C07C 43/13 20060101ALI20170313BHJP
   B01J 39/04 20170101ALI20170313BHJP
   B01J 41/04 20170101ALI20170313BHJP
   B01J 47/04 20060101ALI20170313BHJP
【FI】
   C07C41/36
   C11D1/66
   C07C217/08
   C07C213/10
   C07C233/18
   C07C231/24
   C07C43/23
   C07C69/30
   C07C67/56
   C07C43/13 A
   B01J39/04
   B01J41/04
   B01J47/04
【請求項の数】5
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2013-134429(P2013-134429)
(22)【出願日】2013年6月27日
(65)【公開番号】特開2015-10039(P2015-10039A)
(43)【公開日】2015年1月19日
【審査請求日】2016年4月22日
(73)【特許権者】
【識別番号】000210654
【氏名又は名称】竹本油脂株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100081798
【弁理士】
【氏名又は名称】入山 宏正
(72)【発明者】
【氏名】織田 匡博
(72)【発明者】
【氏名】春日井 博之
【審査官】 前田 憲彦
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−213200(JP,A)
【文献】 特開2007−000746(JP,A)
【文献】 特開2004−323760(JP,A)
【文献】 特開2003−289060(JP,A)
【文献】 特開平11−349495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 41/00
B01J 39/00
B01J 41/00
B01J 47/00
C07C 43/00
C07C 67/00
C07C 69/00
C07C 213/00
C07C 217/00
C07C 231/00
C07C 233/00
C11D 1/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非イオン型界面活性剤の溶媒希釈溶液を、強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂を用いたイオン交換法に供し、非イオン型界面活性剤に対するNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を100ppb以下となるように処理することを特徴とする非イオン型界面活性剤の処理方法。
【請求項2】
非イオン型界面活性剤を、水、炭素数1〜4の低級アルコール、炭素数2〜4のグリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル及び乳酸エステルのなかから選ばれる一つ又は二つ以上の溶媒で希釈して濃度5〜95質量%の溶媒希釈溶液とし、この溶媒希釈溶液を強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂層に空間速度0.1〜10.0で通液して処理する請求項1記載の非イオン型界面活性剤の処理方法。
【請求項3】
溶媒が水、メタノール又はこれらの混合物である請求項2記載の非イオン型界面活性剤の処理方法。
【請求項4】
非イオン型界面活性剤に対するNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を30ppb以下となるように処理する請求項1〜3のいずれか一つの項記載の非イオン型界面活性剤の処理方法。
【請求項5】
請求項1〜のいずれか一つの項記載の非イオン型界面活性剤の処理方法によって得られる処理溶液から溶媒を留去することを特徴とする金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非イオン型界面活性剤の処理方法及び金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法に関する。非イオン型界面活性剤が様々な分野で使用されているが、非イオン型界面活性剤を電子、半導体及び精密加工の分野で使用するためには、非イオン性界面活性剤に含まれる金属イオン濃度をppbのレベルにまで低減することが要求される。本発明は、かかる要求に応える非イオン型界面活性剤の処理方法及び金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属イオンの濃度を低減する界面活性剤の処理方法として非イオン型界面活性剤については、イオン交換樹脂と、機能性フィルターと、特定材質の構成部材とを組み合わせて用いる方法(例えば特許文献1参照)、またアニオン型界面活性剤については、限外濾過を行なう方法(例えば特許文献2参照)、電気透析を行なう方法(例えば特許文献3参照)等が提案されている。
【0003】
しかし、前記のような従来法によると、非イオン型界面活性剤の場合は要求されるppbのレベルにまで金属イオン濃度を低減しようとすると、装置の組立てや操作が極めて厄介になり、実際にはppbのレベルにまで金属イオン濃度を安定して低減するのが難しいという問題があり、アニオン型界面活性剤の場合は要求されるppbのレベルにまで金属イオン濃度を低減すること自体が難しいという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−213200号公報
【特許文献2】特開平5−317654号公報
【特許文献3】特開昭62−63555号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、非イオン型界面活性剤に含まれる金属イオン濃度をppbのレベルにまで簡単に安定して低減することができる非イオン型界面活性剤の処理方法及びそのようにppbのレベルにまで金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、前記の課題を解決するべく研究した結果、市販されている普通の非イオン型界面活性剤を原料として用い、かかる非イオン型界面活性剤の溶媒希釈溶液を特定のカチオン交換樹脂と特定のアニオン交換樹脂との混合樹脂を用いたイオン交換法に供して処理すると、不純物としての金属イオンの濃度を各金属イオン毎でppbのレベルにまで低減することができることを見出した。
【0007】
すなわち本発明は、非イオン型界面活性剤の溶媒希釈溶液を、強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂を用いたイオン交換法に供し、非イオン型界面活性剤に対するNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を100ppb以下となるように処理することを特徴とする非イオン型界面活性剤の処理方法に係る。また本発明は、かかる処理方法によって得られる処理溶液から溶媒を留去することを特徴とする金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法に係る。
【0008】
先ず、本発明に係る非イオン型界面活性剤の処理方法(以下、本発明の処理方法という)について説明する。本発明の処理方法は、非イオン型界面活性剤を強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂を用いたイオン交換法に供し、非イオン型界面活性剤に対するNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を100ppb以下となるよう処理する方法である。
【0009】
本発明の処理方法に供する非イオン型界面活性剤としては、市販されている普通の非イオン型界面活性剤を用いることができる。市販されている普通の非イオン型界面活性剤には、相応量の金属イオンが含まれており、そのままでは電子、半導体及び精密加工の分野で使用するのに不向きである。本発明の処理方法は、かかる非イオン型界面活性剤からこれに含まれる金属イオンを除去して、その濃度を電子、半導体及び精密加工の分野で要求されるppbのレベルにまで低減する方法である。具体的に、かかる非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレン2級アルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミノエーテル、ポリオキシアルキレンアルケニルアミノエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアミドエーテル、ポリオキシアルキレン脂肪酸アミドエーテル、脂肪酸ジエタノールアミド、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンポリスチリルフェニルエーテルホルマリン縮合物、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシアルキレン脂肪酸エーテルエステル、ポリオキシアルキレンヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレン硬化ヒマシ油エーテル、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテルエステル、モノオール型ポリエーテル、ジオール型ポリエーテル、ポリオール型ポリエーテル、ポリオキシアルキレンアセチレン系エーテル、サーフィノールシリーズ(米国エアプロダクツ社製)、オルフィンシリーズ(日信化学工業社製)、アデカプルロニックシリーズ(ADEKA社製)等が挙げられる。
【0010】
本発明の処理方法に供するイオン交換樹脂は、強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂である。強酸性カチオン交換樹脂としては、いずれも市販されている商品名で、アンバーライトIR−124、アンバーライトIR−120B、アンバーライト200CT、デュオライトC20J、デュオライトC20LF、デュオライトC26A、デュオライトC255LFH、デュオライトPK208、デュオライトPK228(以上いずれも米国ダウ・ケミカル社製)、ダイヤイオンSK−110、ダイヤイオンSK−1B(以上共に三菱化学社製)等のスルホン酸型強酸性カチオン交換樹脂が挙げられる。また強アルカリ性アニオン交換樹脂としては、いずれも市販されている商品名で、アンバーライトIRA−400J、アンバーライトIRA−410J、アンバーライトIRA−900J、デュオライトA113LF、デュオライトA116、デュオライトA161JCL(以上いずれも米国ダウ・ケミカル社製)、ダイヤイオンSA12A、ダイヤイオンSA20A、ダイヤイオンPA308、ダイヤイオンHPA25(以上いすれも三菱化学社製)等の4級アンモニウム塩型強アルカリ性アニオン交換樹脂が挙げられる。
【0011】
本発明の処理方法においては、以上説明した強酸性カチオン交換樹脂や強アルカリ性アニオン交換樹脂と共に、いずれも市販されている商品名で、ダイヤイオンWK11(三菱化学社製)等の弱酸性カチオン交換樹脂、アンバーライトIRA−67、アンバーライトIRA−98(以上共に米国ダウ・ケミカル社製)、ダイヤイオンWA10、ダイヤイオンWA20、ダイヤイオンWA30(以上いずれも三菱化学社製)等の弱アルカリ性カチオン交換樹脂、ダイヤイオンCR10、ダイヤイオンCR11(以上共に三菱化学社製)等のキレート樹脂を併用することもできる。
【0012】
本発明の処理方法においては、混合樹脂として、市販されている強酸性カチオン交換樹脂と市販されている強アルカリ性アニオン交換樹脂とを混合したものを用いることができるが、予め混合された状態で市販されているイオン交換樹脂を用いることもできる。かかるイオン交換樹脂としては、いずれも市販されている商品名で、デュオライトMB5113、デュオライトUP6000、デュオライトUP7000、アンバーライトEG−290−HG、アンバーライトEG−4A−HG、アンバーライトMB−1、アンバーライトMB−2、アンバージェットESP−2、アンバージェットESP−1(以上いずれも米国ダウ・ケミカル社製)、ダイヤイオンSMNUP、ダイヤイオンSMT100L(以上共に三菱化学製)等が挙げられる。
【0013】
本発明の処理方法では、以上説明したように、強酸性カチオン交換樹脂と強アルカリ性アニオン交換樹脂との混合樹脂を用いるが、双方の混合比は、強酸性カチオン交換樹脂/強アルカリ性アニオン交換樹脂の容量比で、通常は1/4〜4/1とするが、好ましくは1/3〜3/1とする。
【0014】
本発明の処理方法では、非イオン型界面活性剤は溶媒に希釈して溶解した溶媒希釈溶液としてイオン交換法に供する。かかる溶媒としては、1)水、2)メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、t−ブタノール等の炭素数1〜4の低級アルコール、3)エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール等の炭素数2〜4のグリコール、4)プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、5)乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、乳酸ブチル等の乳酸エステルが挙げられる。これらの溶媒は非イオン型界面活性剤の均一な溶媒希釈溶液が得られる範囲内において、単独で又は二種類以上を混合して使用することができる。なかでも、水、メタノール又はこれらの混合物が好ましい。かかる溶媒で希釈溶解した非イオン型界面活性剤の溶媒希釈溶液の濃度は通常1〜99質量%とするが、5〜95質量%とするのが好ましい。
【0015】
本発明の処理方法において、イオン交換法としては、バッチ法、カラム法が適用できるが、なかでもカラム法が好ましい。カラム法のイオン交換法に供する際の空間速度(SV)は、通常0.01〜20.0とするが、0.1〜10.0とするのが好ましい。
【0016】
本発明の処理方法では、以上説明したイオン交換法により、非イオン型界面活性剤に対するNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を100ppb以下となるように処理するが、前記の金属イオン濃度を各金属イオン毎で30ppb以下となるように処理するのが好ましい。各金属イオンの濃度は原子吸光分光測定法により求めることができる。なお1ppbは1μg/Lの濃度を示す。
【0017】
次に、本発明に係る金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤の製造方法(以下、本発明の製造方法という)について説明する。本発明の製造方法は、以上説明した本発明の処理方法によって得られる処理溶液から溶媒を留去する方法である。
【0018】
イオン交換法に供した処理溶液からの溶媒の留去には、公知の方法を適用できる。例えば、処理溶液を仕込んだ容器内を真空ポンプで0.5kPa程度に減圧しながら約110℃に加熱する条件下で3時間程度保持することにより溶媒を留去する減圧蒸留法を適用でき、また薄膜蒸留法や分子蒸留法等も適用できる。かくして得られる金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤は、その使用目的により、更に同様の精製操作を繰り返したり、乾燥して、具体的な用途に供することができる。
【0019】
本発明の製造方法によって得られる金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤は、半導体製造プロセスの各工程で用いる洗浄液や表面処理液、ホトレジストプロセスの処理液、剥離液、現像液、洗浄液やコート剤、電池、コンデンサ及びキャパシター等の電解液や電極製造組成物、種々のコート剤、インク及び塗料における顔料やカーボンブラックの分散剤、ナノテクノロジーにおけるカーボンナノチューブ、フラーレン及び金属ナノ粒子の分散剤、色素増感型太陽電池における酸化チタンの分散剤等、多くの分野において有用である。
【発明の効果】
【0020】
以上説明した本発明によると、非イオン界面活性剤に含まれるNa、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオンの濃度を、電子、半導体及び精密加工の分野等で要求されるppbのレベルにまで簡単な処理で安定して低減することができる。
【実施例】
【0021】
以下、本発明の構成及び効果をより具体的にするために実施例等を挙げるが、本発明がこれらの実施例に限定されるというものではない。尚、以下の実施例及び比較例において、部は質量部を、また%は質量%を意味する。
【0022】
実施例1
表1に記載した非イオン型界面活性剤A−1の2000gをメタノール800gに溶解して、濃度71.4%のメタノール希釈溶液を調製し、これを試料とした。強酸性カチオン交換樹脂として予め1N希塩酸を用いてH型に再生しておいたアンバーライト200CT(米国ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlと強アルカリ性アニオン交換樹脂として予め1Nテトラメチルアンモニウム塩水溶液を用いてOH型に再生しておいたアンバーライトIRA−900J(米ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlとを均一に混合し、その混合樹脂を垂直にセットした内容量300mlのカラムに充填して、4000gのメタノールで十分に洗浄した後、24時間静置した。前記の試料及びカラム内の液温を15〜25℃の範囲内で一定の温度に保ち、空間速度(SV)1.0で試料をカラムに通して処理した。処理液として得られたポリオキシエチレンステアリルエーテルのメタノール溶液から減圧蒸留法によりメタノールを留去して、金属イオン濃度を数ppbのレベルにまで低減したポリオキシエチレンステアリルエーテルを得た。
【0023】
実施例2〜21
実施例1と同様にして、表1に記載した非イオン型界面活性剤のメタノール希釈溶液をイオン交換法に供し、その処理液からメタノールを留去して、金属イオン濃度を低減した非イオン型界面活性剤を得た。
【0024】
比較例1
イオン交換樹脂として強酸性カチオン交換樹脂のみを用い、該強酸性カチオン交換樹脂として予め1N希塩酸を用いてH型に再生しておいたアンバーライト200CT(米国ダウ・ケミカル社製の商品名)150mlを用いたこと以外は、実施例1と同様に行った。
【0025】
比較例2
強酸性カチオン交換樹脂として予め1N希塩酸を用いてH型に再生しておいたアンバーライト200CT(米国ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlを用い、また強アルカリ性アニオン交換樹脂として予め1Nテトラメチルアンモニウム塩水溶液を用いてOH型に再生しておいたアンバーライトIRA−900J(米ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlを用いたが、双方を混合せずに、前者をカラム前段(上段)にセットし、また後者をカラム後段(下段)にセットして、その他は実施例1と同様に行った。
【0026】
比較例3
強アルカリ性アニオン交換樹脂として予め1Nテトラメチルアンモニウム塩水溶液を用いてOH型に再生しておいたアンバーライトIRA−900J(米ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlを用い、また強酸性カチオン交換樹脂として予め1N希塩酸を用いてH型に再生しておいたアンバーライト200CT(米国ダウ・ケミカル社製の商品名)75mlを用いたが、双方を混合せずに、前者をカラム前段(上段)にセットし、また後者をカラム後段(下段)にセットして、その他は実施例1と同様に行った。
【0027】
比較例4
イオン交換樹脂として強アルカリ性アニオン交換樹脂のみを用い、該強アルカリ性アニオン交換樹脂として予め1Nテトラメチルアンモニウム塩水溶液を用いてOH型に再生しておいたアンバーライトIRA−900J(米ダウ・ケミカル社製の商品名)150mlをカラムにセットして、その他は実施例1と同様に行った。
【0028】
比較例5
イオン交換樹脂を用いたイオン交換処理を行なわなかった例(未処理)。
以上の各例の内容を表1にまとめて示した。また以上の各例で得た非イオン型界面活性剤について、次のように金属イオン濃度を測定し、結果を表2にまとめて示した。
【0029】
非イオン型界面活性剤に含まれる金属イオン濃度の測定
各例で得た非イオン型界面活性剤を、ファーネス原子吸光光度計AA280Z(アジレント・テクノロジー社製の商品名)を用いたグラファイトファーネス式フレームレス原子化法による原子吸光分析法に供して測定した。



【0030】
【表1】
【0031】
表1において、
SV:非イオン型界面活性剤のメタノール希釈溶液をイオン交換法に供する際の空間速度
混合比:混合樹脂を用いた場合の強酸性カチオン交換樹脂/強アルカリ性アニオン交換樹脂の容量比
A−1:ポリオキシエチレンステアリルエーテル(質量平均分子量1150)
A−2:ポリオキシエチレンラウリルアミノエーテル(質量平均分子量1060)
A−3:ポリオキシエチレンラウリン酸アミドエーテル(質量平均分子量640)
A−4:ポリオキシエチレンポリスチリルフェニルエーテル(質量平均分子量700)
A−5:グリセリンモノラウレート(質量平均分子量280)
A−6:ソルビタンモノオレート(質量平均分子量430)
A−7:ポリオキシエチレンラウレート(質量平均分子量730)
A−8:ポリオキシエチレンヒマシ油エーテル(質量平均分子量2030)
A−9:ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート(質量平均分子量1310)
A−10:ポリオキシアルキレンオクチルエーテル(質量平均分子量2300、ポリオキシアルキレン:オキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=1/1(モル比)のランダム共重合体)
A−11:ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン縮合物(質量平均分子量2800)
A−12:トリメチロールプロパントリス(ポリオキシアルキレン)エーテル(質量平均分子量:5000、ポリオキシアルキレン:オキシエチレン単位/オキシプロピレン単位=1/1(モル比)のランダム共重合体)
A−13:サーフィノール440(米国エア・プロダクツ社製)
A−14:サーフィノール465(米国エア・プロダクツ社製)
A−15:サーフィノール485(米国エア・プロダクツ社製)
A−16:サーフィノール2502(米国エア・プロダクツ社製)
A−17:アデカプルロニックTR−701(ADEKA社製)
CA−1:アンバーライト200CT (強酸性カチオン交換樹脂)
CA−2:アンバーライトIR−120B (強酸性カチオン交換樹脂)
AN−1:アンバーライトIRA−900J (強アルカリ性アニオン交換樹脂)
AN−2:アンバーライトIRA−410J (強アルカリ性アニオン交換樹脂)
【0032】
【表2】
【0033】
表1に対応する表2の結果、なかでも未処理の比較例5に対する実施例1〜21の結果からも明らかなように、本発明によると、Na、K、Ca、Mg、Mn、Fe、Al、Cu、Zn、Ni及びCrの各金属イオン濃度を10ppb以下にまで低減できる。